(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058752
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】超音波流量計
(51)【国際特許分類】
G01F 1/667 20220101AFI20240422BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20240422BHJP
【FI】
G01F1/667 A
G01F1/66 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166040
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 裕基
(72)【発明者】
【氏名】松本 大樹
(72)【発明者】
【氏名】三宅 龍馬
【テーマコード(参考)】
2F035
【Fターム(参考)】
2F035DA08
2F035DA14
(57)【要約】
【課題】非金属チューブ内を流れる気体の流量を精度良く測定できるようにする。
【解決手段】超音波流量計1は、第1の角度α1を持った第1のくさび材14と、第2の角度α2を持った第2のくさび材15と、チューブ100で励起される縦波の伝搬時間差に基づいて気体の流量を測定する流量測定部53とを備えている。第1の角度α1及び第2の角度α2は、チューブ100が縦波と横波との双方を励起し、縦波に対し横波の混在比率が10%以下となるように構成されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非金属チューブ内を流れる気体の流量を測定する超音波流量計であって、
超音波信号を送受信する第1の超音波素子と、
超音波信号を送受信する第2の超音波素子と、
前記第1の超音波素子に対向する第1の面と、前記チューブの外面に対向する第2の面とが第1の角度をなし、超音波信号を伝播する第1のくさび材と、
前記第2の超音波素子に対向する第3の面と、前記チューブの外面に対向する第4の面とが第2の角度をなし、超音波信号を伝播する第2のくさび材と、
前記第1の超音波素子と、前記第1のくさび材と、前記第2の超音波素子と、前記第2のくさび材とを収容する筐体と、
前記第1の超音波素子と前記第2の超音波素子との間で送受信する超音波信号のうち前記チューブで励起される縦波の伝搬時間差に基づいて当該チューブ内を流れる気体の流量を測定する流量測定部と、を備え、
前記第1のくさび材の前記第1の角度及び前記第2のくさび材の前記第2の角度は、前記チューブが縦波と横波との双方を励起し、前記縦波に対し前記横波の混在比率が10%以下となるように構成された超音波流量計。
【請求項2】
非金属チューブ内を流れる気体の流量を測定する超音波流量計であって、
超音波信号を伝播し、音速が1800m/秒以上2500m/秒以下であり、前記チューブの外側に配置される第1のくさび材と、
超音波信号を伝播し、音速が1800m/秒以上2500m/秒以下であり、前記チューブの外側に配置される第2のくさび材と、
前記第1のくさび材に設けられ、超音波信号を送受信する第1の超音波素子と、
前記第2のくさび材に設けられ、超音波信号を送受信する第2の超音波素子と、
前記第1のくさび材と、前記第2のくさび材と、前記第1の超音波素子と、前記第2の超音波素子とを収容する筐体と、
前記第1の超音波素子と前記第2の超音波素子との間で送受信する超音波信号のうち前記チューブで励起される縦波の伝搬時間差に基づいて当該チューブ内を流れる気体の流量を測定する流量測定部と、を備え、
前記第1の超音波素子における超音波信号を送受信する面と、前記チューブの外面とのなす角度、及び前記第2の超音波素子における超音波信号を送受信する面と、前記チューブの外面とのなす角度は、20度以上40度以下となるように構成された超音波流量計。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波流量計において、
前記第1の超音波素子における超音波信号を送受信する面の長さ、及び前記第2の超音波素子における超音波信号を送受信する面の長さは30mm以下である超音波流量計。
【請求項4】
請求項2に記載の超音波流量計において、
前記第1の超音波素子及び前記第2の超音波素子は、2MHz未満の超音波信号を送信するように構成された超音波流量計。
【請求項5】
請求項1または2に記載の超音波流量計において、
前記第1のくさび材と前記チューブの外面との間及び前記第2のくさび材と前記チューブの外面との間には、それぞれ音響結合材が介在している超音波流量計。
【請求項6】
請求項1または2に記載の超音波流量計において、
前記チューブの外面を、前記第1のくさび材及び前記第2のくさび材が対向する方向とは異なる方向から支持する支持部が設けられている超音波流量計。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波流量計において、
前記第1のくさび材及び前記第2のくさび材は、前記チューブを径方向両側から挟むように配置され、
前記支持部は、前記チューブを径方向両側から支持する第1支持部及び第2支持部を含む超音波流量計。
【請求項8】
請求項7に記載の超音波流量計において、
前記第1支持部及び前記第2支持部の間隔は、前記チューブの外径よりも狭く設定され、前記チューブが前記第1支持部及び前記第2支持部により押圧されて変形する超音波流量計。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波流量計において、
前記第1のくさび材及び前記第2のくさび材の間隔は、前記チューブを径方向に押圧するように設定されている超音波流量計。
【請求項10】
請求項9に記載の超音波流量計において、
前記第1のくさび材、前記第2のくさび材、前記第1支持部及び前記第2支持部で囲まれた空間には、変形後の前記チューブの一部を逃がすための逃げしろが設けられている超音波流量計。
【請求項11】
請求項1または2に記載の超音波流量計において、
前記チューブの外径が20mm以下である超音波流量計。
【請求項12】
請求項1または2に記載の超音波流量計において、
前記チューブは、ナイロン、テフロン、ポリウレタンのうち、いずれかで構成された樹脂製チューブである超音波流量計。
【請求項13】
請求項1または2に記載の超音波流量計において、
前記筐体は、前記チューブを径方向に挟むように配置されて互いに結合される第1筐体及び第2筐体を含んでいる超音波流量計。
【請求項14】
請求項13に記載の超音波流量計において、
前記第1のくさび材と前記第1の超音波素子とが前記第1筐体に収容され、
前記第2のくさび材と前記第2の超音波素子とが前記第2筐体に収容されている超音波流量計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流路を流れる流体の流量を超音波信号により測定する超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
流路を流れる流体の流量を測定する測定機器として、一般的に、熱式のフローセンサが知られている。熱式のフローセンサは、流路内に配置される上流側ヒータと下流側ヒータとを備えており、流体が流れる時の上流側ヒータと下流側ヒータの温度分布の変化を検出し、その検出結果に基づいて流量を測定している。
【0003】
ところが、熱式のフローセンサは、偏流や乱流バタつきが生じると測定が安定しないため、ヒータの上流に整流板が必要になる。整流板を設けると圧力損失が発生するとともに、整流板に汚染物質が詰まり易く、更なる圧力損失の増大をもたらすことがある。また、熱式のフローセンサのヒータは汚れに弱く、壊れやすいという短所もある。
【0004】
一方、流路を流れる流体の流量を超音波信号によって測定する測定機器として、超音波流量計が知られている(例えば特許文献1、2参照)。特許文献1の超音波流量計は、金属配管の外壁に対して着脱自在に取り付けられ、金属配管の外から気体の流量を測定するクランプオン型超音波流量計である。特許文献1のクランプオン型超音波流量計の測定原理は、いわゆる伝搬時間差式であり、金属配管内を流れる気体に対して斜めに超音波信号を通過させ、流れに沿った方向と流れに逆らった方向とで超音波信号の伝播時間差を測定し、この伝搬時間差から気体の流速・流量を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、例えばエアシリンダ等の空気圧システムでは、レギュレータで設定した空気圧を元に、エアシリンダの動作タイミング調整やブロー量の調整などをスピードコントローラや絞り弁の絞り量によって調整している。この空気圧システムの流路途中に流量計を配置すれば、システムの動作管理を流量に基づいて行うことができ、有効である。
【0007】
ところが、熱式のフローセンサを配置すると、上述した整流板による圧力損失の発生により、調整条件が変動していまい、再調整が必要になるとともに、経時的な詰まりによって高頻度の調整やメンテナンスが必要になってしまう。
【0008】
そこで、特許文献1のクランプオン型超音波流量計を用いれば、流路に整流板を配置せずに済むので、熱式のフローセンサを配置した場合のような問題は起こらないと考えられる。
【0009】
しかしながら、特許文献1のクランプオン型超音波流量計は、金属配管の共振現象を利用して信号を強化し、信号とノイズの比(S/N)を向上させることにより、流体流量の正確な測定を可能にしている。従って、金属配管に取り付けられることが前提となっており、空気圧システムで一般的に用いられている軟質樹脂製配管では音速が遅く、金属配管にて用いられるガイド波の励起が困難である。
【0010】
また、特許文献1では、金属配管の外から流量測定用の超音波信号を送信することで内部を流れる液体の測定は可能であるが、空気圧システムのように対象流体が気体の場合、気体は液体と比較して密度が小さく音速が遅いため、管外から測定しようとすると信号強度が低くなり、測定が困難である。
【0011】
本開示は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、非金属チューブ内を流れる気体の流量を精度良く測定できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本開示の一態様では、非金属チューブ内を流れる気体の流量を測定する超音波流量計を前提とすることができる。超音波流量計は、超音波信号を送受信する第1の超音波素子と、超音波信号を送受信する第2の超音波素子と、前記第1の超音波素子に対向する第1の面と、前記チューブの外面に対向する第2の面とが第1の角度をなし、超音波信号を伝播する第1のくさび材と、前記第2の超音波素子に対向する第3の面と、前記チューブの外面に対向する第4の面とが第2の角度をなし、超音波信号を伝播する第2のくさび材と、前記第1の超音波素子と、前記第1のくさび材と、前記第2の超音波素子と、前記第2のくさび材とを収容する筐体と、前記第1の超音波素子と前記第2の超音波素子との間で送受信する超音波信号のうち前記チューブで励起される縦波の伝搬時間差に基づいて当該チューブ内を流れる気体の流量を測定する流量測定部と、を備えている。前記第1のくさび材の前記第1の角度及び前記第2のくさび材の前記第2の角度は、前記チューブが縦波と横波との双方を励起し、前記縦波に対し前記横波の混在比率が10%以下となるように構成されている。
【0013】
すなわち、送信された超音波信号によりチューブが縦波と横波との双方を励起する。縦波と横波とでは音速が異なるので、互いに弱め合ったりして信号強度が低くなり、流量の測定が困難になる場合が想定される。このため、測定には、縦波と横波の一方のみを励起したいが、縦波と横波の信号強度を比較すると、縦波の方が高い。
【0014】
本態様では、チューブが縦波と横波との双方を励起するが、縦波に対し横波の混在比率が10%以下となるように、第1のくさび材の第1の角度及び第2のくさび材の第2の角度を設定している。横波の混在比率が10%を超えると、縦波と横波とが互いに弱め合う傾向が強くなるが、横波の混在比率が10%以下であると、相対的に信号強度の高い縦波を用いた測定が可能になるので、測定精度が向上する。
【0015】
本開示の他の態様に係る超音波流量計の第1のくさび材及び第2のくさび材の音速は1800m/秒以上2500m/秒以下とすることができる。前記第1の超音波素子における超音波信号を送受信する面と、前記チューブの外面とのなす角度、及び前記第2の超音波素子における超音波信号を送受信する面と、前記チューブの外面とのなす角度は、20度以上40度以下となるように構成されている。
【0016】
この構成によれば、超音波素子における超音波信号を送受信する面と、チューブの外面とのなす角度が30度以上40度以下であるため、超音波信号によってチューブが縦波と横波との双方を励起した際、縦波に対し横波の混在比率が10%以下になる。これにより、相対的に信号強度の高い縦波を用いた測定が可能になるので、測定精度が向上する。
【0017】
また、第1の超音波素子における超音波信号を送受信する面の長さ、及び第2の超音波素子における超音波信号を送受信する面の長さを30mm以下とすることができる。これにより、筐体の大型化を回避しながら、上記角度範囲(20度以上40度以下)とすることによる作用効果が十分に高まり、縦波を用いた測定が高精度に行えるようになる。
【0018】
また、第1の超音波素子及び第2の超音波素子が2MHz未満の超音波信号を送信するように構成されていてもよい。これにより、非金属チューブ内を流れる気体の流量の測定に適した周波数領域の超音波信号を伝播させることができる。
【0019】
また、第1のくさび材とチューブの外面との間及び第2のくさび材とチューブの外面には、音響結合材が介在していることにより、各超音波素子から送信された超音波信号がチューブに伝達され易くなり、迷信号を抑制できる。
【0020】
また、チューブの外面を、第1のくさび材及び第2のくさび材が対向する方向とは異なる方向から支持する支持部が設けられていてもよい。この場合、第1のくさび材及び第2のくさび材がチューブを径方向両側から挟むように配置され、支持部は、チューブを径方向両側から支持する第1支持部及び第2支持部を含んでいてもよい。これにより、曲がったり、潰れているチューブを測定に適した形状にして第1のくさび材及び第2のくさび材に対する相対的な位置を適切に設定できる。
【0021】
また、第1のくさび材及び第2のくさび材の間隔がチューブを径方向に押圧するように設定されていてもよく、この場合、変形後のチューブの一部を逃がすための逃げしろを設けておくことができる。チューブは、ナイロン、テフロン(登録商標)、ポリウレタンのうち、いずれかで構成された樹脂製チューブとすることができる。
【0022】
また、筐体は、チューブを径方向に挟むように配置されて互いに結合される第1筐体及び第2筐体を含んでいてもよい。この場合、第1のくさび材と第1の超音波素子とを第1筐体に収容し、第2のくさび材と第2の超音波素子とを第2筐体に収容できる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、チューブが縦波と横波との双方を励起した場合に、相対的に信号強度の高い縦波を用いることで、非金属チューブ内を流れる気体の流量を精度良く測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態1に係る超音波流量計をチューブに取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【
図2】実施形態1に係る超音波流量計の端面図である。
【
図3】
図2におけるIII-III線断面図である。
【
図4】超音波流量計が取り付けられたチューブの状態を示す断面図である。
【
図5】超音波流量計が取り付けられたチューブの断面形状を比較する図であり、FIG.5Aは支持部が無い場合、FIG.5Bは支持部がある場合である。
【
図7】くさび材の角度による指向性フィルタ特性の相違を説明する図であり、FIG.7Aは角度が大きい場合、FIG.7Bは角度が小さい場合である。
【
図8】受信側素子で受信した超音波信号の例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る
図3相当図である。
【
図10】実施形態2に係る超音波流量計の筐体を省略した状態を示す斜視図である。
【
図12】実施形態2に係る第1の超音波素子から送信された超音波信号の伝播を説明する図であり、FIG.12Aは比較例であり、FIG.12Bは本発明である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波流量計1をチューブ100に取り付ける前の状態を示している。
図2~
図4は、超音波流量計1をチューブ100に取り付けた状態を示している。
【0027】
超音波流量計1は、例えば圧縮空気をはじめとした各種気体の流量測定が可能に構成されている。超音波流量計1は、図示しないが空気圧システムに組み込んで利用することができる。空気圧システムは、大きく分けて駆動系用途のシステムと、吐出系用途のシステムと、吸引系用のシステムとがある。駆動系用途のシステムは、例えばエアシリンダ、チャック、圧入器等のように圧縮空気の圧力を利用して部材に力を加えるシステムである。吐出系用途のシステムは、例えば、ブロー、パージ、塗料などのスプレー、着座、リークテスト等で用いられる。吸引系用途のシステムは、例えば、吸着、真空引き等で用いられる。
【0028】
空気圧システムには、コンプレッサで圧縮された圧縮空気が流れるチューブ100が設けられている。チューブ100は非金属材料からなる非金属チューブであり、その材料としては、例えば樹脂材を挙げることができ、樹脂材で構成された場合、樹脂製チューブ100となる。チューブ100を構成する樹脂材としては、例えばナイロン、テフロン、ポリウレタン等を挙げることができ、これらのうち、いずれかの材料で構成することが可能である。また、チューブ100の外径は、3mm以上20mm以下の範囲で設定されている。このようなチューブ100は、取り回ししやすい程度の柔らかさを持っており、流路が潰れないように屈曲させることも可能である。
【0029】
チューブ100には、スピードコントローラや絞り弁等が設けられており、レギュレータで設定した空気圧を元に、エアシリンダ等の動作タイミング調整やブロー量の調整などをスピードコントローラや絞り弁の絞り量によって調整している。本実施形態では、空気圧システムのチューブ100に超音波流量計1を取り付け、この超音波流量計1により、チューブ100内の流路を流れる流体の流量を超音波信号により測定することで、空気圧システムの動作管理を流量に基づいて行えるようにしている。尚、超音波流量計1は、圧縮空気以外にも例えば窒素やアルゴン等の流量を測定することもできる。超音波流量計1が流量を測定する流体を、例えば対象流体、被測定流体と呼ぶこともできる。
【0030】
以下、超音波流量計1の具体的な構造について説明する。超音波流量計1は、チューブ100に対して着脱可能に取り付けられるクランプオン型の流量計であり、
図1に示すように、互いに分離可能な第1分割体10と第2分割体20とを備えている。
図2~
図4に示すように、第1分割体10及び第2分割体20により、チューブ100が径方向両側から挟まれるようになっている。また、この実施形態の説明では、チューブ100の流体の流れ方向を基準として、「上流」、「下流」と定義するが、この定義は説明の便宜を図るためだけであり、本発明を限定するものではない。また、
図1~4の上側を超音波流量計1の「上」といい、
図1~4の下側を超音波流量計1の「下」というものとするが、これも説明の便宜を図るためだけであり、本発明を限定するものではない。
【0031】
図2に示すように、超音波流量計1は、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12と、第1のくさび材14及び第2のくさび材15とを備えている。第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、共に超音波信号を送受信するものであり、例えば圧電素子等で構成されていて全体として板状をなしている。第1の超音波素子11は、チューブ100の外側において径方向一方(
図3の上側)に位置しており、超音波信号を送受信する送受信面11aを有している。また、第2の超音波素子12は、チューブ100の外側において径方向他方(
図3の下側)に位置しており、超音波信号を送受信する送受信面12aを有している。第1の超音波素子11の送受信面11aの長さL1、及び第2の超音波素子12の送受信面12aの長さL2は、共に30mm以下に設定されている。また、
図4に示すように、第1の超音波素子11の送受信面11aの幅W1、及び第2の超音波素子12の送受信面12aの幅W2は、共に20mm以下に設定されている。
【0032】
第1のくさび材14は、第1の超音波素子11とチューブ100との間で超音波信号を伝播するものであり、チューブ100の外側において第1の超音波素子11とチューブ100との間に配置されている。第1のくさび材14は、チューブ100の外面に対向するチューブ側面14aと、第1の超音波素子11の送受信面11aに対向する素子側面14bとを有している。第1の超音波素子11は、第1のくさび材14に設けられている。
【0033】
第1のくさび材14のチューブ側面14aは、チューブ100の管軸線Xと平行に延びる面で構成されている。第1のくさび材14の素子側面14bは、上流側へ行くほどチューブ100の管軸線Xから離れるように、当該管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜している。したがって、第1のくさび材14のチューブ側面14aと素子側面14bとの管軸線Xに対する角度が相違することになり、これにより、第1のくさび材14は上流側へ行くほど厚み寸法が厚くなる形状となる。第1のくさび材14は、例えばポリフェニルスルホン(PPSU)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)等で構成することができる。これにより、音速が1800m/秒以上2500m/秒以下である第1のくさび材14となる。
【0034】
第1のくさび材14の素子側面14bが第1の面であり、第1のくさび材14のチューブ側面14aが第2の面である。素子側面14bとチューブ側面14aとは、第1の角度α1をなしている。また、第1のくさび材14の素子側面14bは、第1の超音波素子11の送受信面11aに沿っており、また、第1のくさび材14のチューブ側面14aは、チューブ100の外面に沿っているので、チューブ100の側方から見たときに送受信面11aとチューブ100の外面とのなす角度は、第1の角度α1となる。第1の角度α1の詳細については後述する。
【0035】
第1のくさび材14のチューブ側面14aと、チューブ100の外面との間には、音響結合材13cが介在している。チューブ100の外面が音響結合材13cに接触し、さらに第1のくさび材14のチューブ側面14aが音響結合材13cに接触している。音響結合材13cは第1のくさび材14の一部を構成する部材であってもよいし、チューブ100の一部を構成する部材であってもよい。音響結合材13cは、例えばゴムやグリス等からなる粘弾性体で構成されている。音響結合材13cをゴム製とする場合には、架橋ゴム、例えばブチルゴム(イソブチエン・イソプレンゴム(IIR))、エチレン(エチレン-プロピレンゴム(EPDM))、ニトリルゴム(NBR)(アクリロニトリル・ブタジエンゴム(BR)、フッ素ゴム(FKM)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ノルボルネンゴム(NOR)等で構成することができる。また、音響結合材13cをゴム製とする場合、予めシート状に成形されたものを用いることができる。
【0036】
第2のくさび材15は、第2の超音波素子12とチューブ100との間で超音波信号を伝播するものであり、チューブ100の外側において第2の超音波素子12とチューブ100との間に配置されている。つまり、第1のくさび材14及び第2のくさび材15は、チューブ100を径方向両側から挟むように配置されている。
【0037】
図4に示すように、第1のくさび材14及び第2のくさび材15の間隔は、チューブ100を径方向に押圧するように設定されている。すなわち、チューブ100に外力が作用していない時の形状を仮想線で示している。第1のくさび材14のチューブ側面14aと、第2のくさび材15のチューブ側面15aとの間隔が、音響結合材13cを合わせたチューブ100の外径寸法よりも短くなっており、これにより、超音波流量計1が取り付けられたチューブ100は径方向に押圧されて変形する。
【0038】
第2のくさび材15は、チューブ100の外面に対向するチューブ側面15aと、第2の超音波素子12の送受信面12aに対向する素子側面15bとを有している。第2の超音波素子12は、第2のくさび材15に設けられている。
【0039】
第2のくさび材15のチューブ側面15aは、チューブ100の管軸線Xと平行に延びる面で構成されている。第2のくさび材15の素子側面15bは、上流側へ行くほどチューブ100の管軸線Xから離れるように、当該管軸線Xに対して所定角度だけ傾斜している。したがって、第2のくさび材15のチューブ側面15aと素子側面15bとの管軸線Xに対する角度が相違することになり、これにより、第2のくさび材15は下流側へ行くほど厚み寸法が厚くなる形状となる。第2のくさび材15は、第1のくさび材14と同様な材料で構成されており、従って、音速が1800m/秒以上2500m/秒以下である第2のくさび材15となる。
【0040】
第2のくさび材15の素子側面15bが第3の面であり、第2のくさび材15のチューブ側面15aが第4の面である。素子側面15bとチューブ側面15aとは、第2の角度α2をなしている。また、第2のくさび材15の素子側面15bは、第2の超音波素子12の送受信面12aに沿っており、また、第2のくさび材15のチューブ側面15aは、チューブ100の外面に沿っているので、チューブ100の側方から見たときに送受信面12aとチューブ100の外面とのなす角度は、第2の角度α2となる。第2の角度α2の詳細については後述する。
【0041】
第2のくさび材15のチューブ側面15aと、チューブ100の外面との間には、音響結合材13cが介在している。チューブ100の外面が音響結合材13cに接触し、さらに第2のくさび材15のチューブ側面15aが音響結合材13cに接触している。音響結合材13cは第2のくさび材15の一部を構成する部材であってもよい。
【0042】
第1分割体10は、第1の超音波素子11と、第1のくさび材14と、第1の超音波素子11及び第1のくさび材14を収容する第1筐体30とを備えている。第1筐体30は、第1箱状部31と、第1ベース部32とを有している。第1箱状部31は、下方に開放するとともに、チューブ100の長さ方向に長く形成されており、第1の超音波素子11及び第1のくさび材14は第1箱状部31内に配置されている。第1のくさび材14の周縁部には、第1取付板部14cが設けられている。第1取付板部14cは第1箱状部31ないし第1ベース部32に固定されている。
【0043】
第1ベース部32は、第1箱状部31の下方に配置されて当該第1箱状部31に一体化されている。
図3に示すように、第1ベース部32の中央部には、第1開放口32aが形成されており、第1開放口32aはチューブ100の長さ方向に長い形状となっている。第1のくさび材14のチューブ側面14aは、第1開放口32aから下方に臨むように配置される。チューブ側面14aに音響結合材13cが付着している場合には、音響結合材13cが第1開放口32aから下方に臨むように配置される。
【0044】
図1に示すように、第1ベース部32の長手方向両側は、第1箱状部31から延出するように形成されている。第1ベース部32の長手方向両側には、
図2に一部のみ示すネジSが挿通するネジ挿通孔32bが形成されている。また、
図4に示すように、第1ベース部32には、チューブ100の外面を、第1のくさび材14及び第2のくさび材15が対向する方向(上下方向)とは異なる方向(側方)から支持する一対の上側支持部32cが設けられている。上側支持部32cは、第1ベース部32の下面から下方へ突出してチューブ100の長さ方向に延びている。
図4の右側に位置する上側支持部32cを第1支持部とし、
図4の左側に位置する上側支持部32cを第2支持部とし、これら左右の上側支持部32cがチューブ100を径方向両側から支持することになる。
【0045】
図3に示すように、第2分割体20は、第2の超音波素子12と、第2のくさび材15と、第2の超音波素子12及び第2のくさび材15を収容する第2筐体40とを備えている。本実施形態では、筐体が第1筐体30と第2筐体40とを含んでいる。第2筐体40は、第2箱状部41と、第2ベース部42とを有している。第2箱状部41は、上方に開放するとともに、チューブ100の長さ方向に長く形成されており、第2の超音波素子12及び第2のくさび材15は第2箱状部41内に配置されている。第2のくさび材15の周縁部には、第2取付板部15cが設けられている。第2取付板部15cは第2箱状部41ないし第2ベース部42に固定されている。
【0046】
第2ベース部42は、第2箱状部41の上方に配置されて当該第2箱状部41に一体化されている。
図3に示すように、第2ベース部42の中央部には、第2開放口42aが形成されており、第2開放口42aはチューブ100の長さ方向に長い形状となっている。第2のくさび材15のチューブ側面15aは、第2開放口42aから上方に臨むように配置される。チューブ側面15aに音響結合材13cが付着している場合には、音響結合材13cが第2開放口42aから上方に臨むように配置される。
【0047】
図1に示すように、第2ベース部42の長手方向両側は、第2箱状部41から延出するように形成されている。第2ベース部42の長手方向両側には、第1ベース部32のネジ挿通孔32bに挿通したネジSが挿通するネジ挿通孔42bが形成されている。ネジ挿通孔42bに挿通したネジSには、図示しないナットが螺合するようになっている。
【0048】
また、
図4に示すように、第2ベース部42には、チューブ100の外面を、第1のくさび材14及び第2のくさび材15が対向する方向(上下方向)とは異なる方向(側方)から支持する一対の下側支持部42cが設けられている。下側支持部42cは、上側支持部32cと同様に配置されており、
図4の右側に位置する下側支持部42cを第1支持部とし、
図4の左側に位置する下側支持部42cを第2支持部とし、これら左右の下側支持部42cが上側支持部32cと共に、チューブ100を径方向両側から支持することになる。
【0049】
右側の上側支持部32cと、左側の上側支持部32cとの間隔は、チューブ100の外径よりも狭く設定されている。また、同様に、右側の下側支持部42cと、左側の下側支持部42cとの間隔も、チューブ100の外径よりも狭く設定されている。これにより、チューブ100が左右の上側支持部32c及び下側支持部42cにより径方向に押圧されて変形する。
【0050】
図4に示すように、超音波流量計1の第1筐体30及び第2筐体40は、チューブ100を径方向に挟むように配置されてネジS(
図2に示す)により互いに結合される。したがって、第1筐体30及び第2筐体40を互いに結合した状態では、チューブ100を配置するための空間Rが形成される。この空間Rは、第1のくさび材14、第2のくさび材15、上側支持部32c及び下側支持部42cで囲まれた空間である。空間Rに配置されたチューブ100は、上述したように上下方向及び左右方向に押圧されて変形する。空間Rの4つの隅部R1は、変形後のチューブ100の一部を逃がすための逃げしろである。
【0051】
図5は、超音波流量計1が取り付けられたチューブ100の断面形状を比較する図であり、FIG.5Aは上側支持部32c及び下側支持部42cが無い場合、FIG.5Bは上側支持部32c及び下側支持部42cがある場合である。FIG.5Aに示すように、上側支持部32c及び下側支持部42cが無いと、上下方向の押圧力を受けたチューブ100は、斜め方向に長径を有する楕円形に近い形状になり、チューブ100の上側部分が第1のくさび材14の右側領域に強く接し、チューブ100の下側部分が第2のくさび材15の左側領域に強く接するようないびつな形状になる。こうなると、例えば第1の超音波素子11から送信された超音波信号を第2の超音波素子12で受信し難くなり、測定精度に悪影響を及ぼすおそれがある。これに対して、FIG.5Bに示すように、上側支持部32c及び下側支持部42cを設けることで、チューブ100が左右対称及び上下対称な形状になり、例えば第1の超音波素子11から送信された超音波信号を第2の超音波素子12で確実に受信でき、その結果、測定精度を高めることができる。
【0052】
図3に示すように、超音波流量計1は、第1筐体30に収容される第1回路基板51及び第2筐体40に収容される第2回路基板52を更に備えている。第1回路基板51は、第1の超音波素子11を覆うように配置されており、第1の超音波素子11と接続されている。第2回路基板52は、第2の超音波素子12を覆うように配置されており、第2の超音波素子12と接続されている。
【0053】
超音波流量計1は、流量測定部53及び制御部54も備えている。流量測定部53及び制御部54は、第1信号線51aを介して第1回路基板51と接続され、第2信号線52aを介して第2回路基板52と接続されている。第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は制御部54によって制御される。具体的には、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、2MHz未満の超音波信号を送信するように構成されており、この周波数の超音波信号の送信は、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12のハードウェアの構成、並びに、制御部54によるハードウェアの制御によって可能である。
【0054】
また、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12で受信された超音波信号は、第1信号線51a及び第2信号線52aを介して流量測定部53に送信される。尚、流量測定部53及び制御部54は、第1回路基板51ないし第2回路基板52に設けられていてもよい。
【0055】
流量測定部53は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されており、第1の超音波素子11と第2の超音波素子12との間で送受信する超音波信号のうち、チューブ100で励起される縦波の伝搬時間差に基づいてチューブ100内の気体の流量を測定する部分である。流量測定部53は、伝搬時間差式の測定部であり、より具体的には、第1の超音波素子11と第2の超音波素子12との間で送受信する超音波信号は、流量測定部53に入力される。
【0056】
第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、チューブ100の管軸線Xに対して傾斜しているので、チューブ100内を流れる流体に超音波が斜めに通ることになる。第1の超音波素子11は、流れに逆らった方向に超音波信号を送信し、第2の超音波素子12は、流体の流れに沿った方向に超音波信号を送信する。このように、流体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向とに超音波信号を送信してそれぞれ検出することで、流体の流れに沿った方向と流れに逆らった方向と超音波信号の伝播時間に差が生じることになる。
【0057】
例えば、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12が間欠的にバースト波超音波信号(数MHzオーダの超音波パルスが例えば10個程度の塊となっている信号)を出射し、受信波形を流量測定部53のA/Dコンバータで高速サンプリングする。流量測定部53は、往路受信波形と復路受信波形とをそれぞれの出射時点の時刻を原点として位置合わせし、その状態から時間方向に相対的にずらしながら波形形状のマッチングを行い、マッチング度が極大となる時間シフト量を伝搬時間差として決定する。流量測定部53は、決定した伝搬時間差から流速・流量を算出する。流量測定部53が算出する流量は、瞬時流量であってもよく、積算流量であってもよい。
【0058】
(第1の角度及び第2の角度)
第1のくさび材14の第1の角度α1は素子側面14bとチューブ側面14aとがなす角度であり、また、第2のくさび材15の第2の角度α2は素子側面15bとチューブ側面15aとがなす角度である。第1の角度α1、及び第2の角度α2は、超音波信号が入力したチューブ100が縦波と横波との双方を励起し、かつ、チューブ100が励起した縦波に対し横波の混在比率が10%以下となるように構成されている。すなわち、超音波信号が入力したチューブ100が縦波と横波との双方を励起すると、縦波の音速と横波の音速とが異なっていることから、受信側素子で受信した時点で縦波と横波とが干渉して弱め合うことがある。このように、両方の波が混在すると、測定の安定性に影響を与えるためどちらかの波のみを励起したいが、横波は縦波に比べて強度が低いため、より信号強度の高い縦波を用いて安定した測定を行いたい。
【0059】
ここで、縦波に対する横波の混在比率が10%を超えると、受信側素子で受信した超音波信号が弱まりやすかったり、信号強度の高い縦波の割合が減ることで測定が安定しなくなってしまう。一方、本実施形態では、縦波に対する横波の混在比率が10%以下であるため、受信側素子で受信した超音波信号が弱まることはなくなるとともに、信号強度の高い縦波を用いて安定した測定が可能になる。縦波に対する横波の混在比率が9%以下、または8%以下とすることで、より一層安定した測定が可能になる。
【0060】
図6は、縦波(一点鎖線で示す)の透過率と、横波(二点鎖線で示す)の透過率と、横波の透過率/縦波の透過率(実線で示す)とを示すグラフである。縦軸が透過率であり、横軸は第1の角度α1または第2の角度α2である。縦波の透過率と横波の透過率とは、第1の角度α1または第2の角度α2に依存し、例えばZoeppritz方程式にて計算することができる。
【0061】
このグラフから明らかなように、縦波に対する横波の混在比率を10%以下にするためには、第1の角度α1または第2の角度α2が40度以下となる。要するに、第1の角度α1または第2の角度α2を40度以下に設定することで、信号強度の高い縦波を用いて安定した測定が可能になる。つまり、チューブ100が縦波と横波との双方を励起した場合に、相対的に信号強度の高い縦波を用いて流量を精度良く測定できる。
【0062】
また、
図7は、第1の角度α1または第2の角度α2による指向性フィルタ特性の相違を説明する図である。第1の角度α1または第2の角度α2が大きくなればなるほど、第1のくさび材14または第2のくさび材15の指向性フィルタ特性が強くなり、反対に第1の角度α1または第2の角度α2が小さくなればなるほど、第1のくさび材14または第2のくさび材15の指向性フィルタ特性が弱くなる。
図7中、実線の矢印は、狙いとする測線角度であり、破線の矢印は狙い外の測線角度である。指向性フィルタ特性が小さいと、狙いとする測定経路以外の経路から伝播した超音波信号が測定信号に多く含まれることになり、測定精度が悪化する要因となる。本実施形態では、第1の角度α1または第2の角度α2を20度以上としており、これにより、狙いとする測定経路以外の経路から伝播した超音波信号が測定信号に含まれにくくなり、測定精度が向上する。第1の角度α1または第2の角度α2を、25度以上、または30度以上とすることで、指向性フィルタ特性が大きくなり、測定精度をより一層向上させることができる。
【0063】
第1のくさび材14または第2のくさび材15の指向性フィルタ特性は、第1の超音波素子11または第2の超音波素子12の大きさ、第1のくさび材14または第2のくさび材15の音速、第1の角度α1または第2の角度α2、超音波信号の周波数によって決定される。本実施形態では、第1の超音波素子11または第2の超音波素子12の長さL1、L2を30mm以下とし、第1のくさび材14または第2のくさび材15の音速を1800m/秒以上2500m/秒以下とし、超音波信号の周波数を2MHz以下としている。第1の超音波素子11または第2の超音波素子12の長さL1、L2の下限は、例えば10mm以上とすることができる。超音波信号の周波数の下限は、1MHz以上とすることができる。この範囲内では、第1の角度α1または第2の角度α2を20度以上とするのが好ましい。
【0064】
第1の超音波素子11または第2の超音波素子12の長さL1、L2は長ければ長いほど、指向性フィルタ特性が向上するが、超音波流量計1のサイズも大型化して適用範囲が限定されてしまうので、第1の超音波素子11または第2の超音波素子12の長さL1、L2を30mm以下とするのが好ましい。また、第1のくさび材14または第2のくさび材15の音速が遅ければ遅いほど指向性フィルタ特性が向上するが、測定結果の信頼性が低下してしまうので、1800m/秒以上とするのが好ましい。また、超音波信号の周波数が高ければ高いほど指向性フィルタ特性が向上するが、気体中での減衰が大きくなるので、2MHz未満とするのが好ましい。
【0065】
図8は、受信側素子で受信した超音波信号の例を示す図であり、第1の角度α1または第2の角度α2が35度の場合、20度の場合、25度の場合、30度の場合をそれぞれ示している。この図から明らかなように、35度、25度、20度の場合では、複数の反射信号が明瞭に区別可能な形態で受信できるが、20度の場合は、複数の反射信号の区別がし難くなる傾向にある。この点からも、第1の角度α1または第2の角度α2の下限は20度以上が好ましい。
【0066】
(実施形態2)
図9~
図12は、本発明の実施形態2に係る超音波流量計1を示すものである。この実施形態2では、内蔵チューブ13を有している点で実施形態1のクランプオン型とは異なっている。以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について詳細に説明する。
【0067】
図9に示すように、実施形態2に係る超音波流量計1は、内蔵チューブ13を有しており、上流側外部配管101と下流側外部配管102との間に設けられる。上流側外部配管101は、超音波流量計1よりも上流側に位置する外部配管であり、また、下流側外部配管102は、超音波流量計1よりも下流側に位置する外部配管である。上流側外部配管101及び下流側外部配管102は、チューブ100と同様な材料からなる。
【0068】
超音波流量計1を空気圧システムに取り付ける際には、既存の配管の一部を切断した後、切断部よりも上流側を上流側外部配管101とし、切断部よりも下流側を下流側外部配管102として超音波流量計1を上流側外部配管101と下流側外部配管102との間に設置することが可能である。つまり、超音波流量計1は既存の配管を切断して設置することが可能である。尚、超音波流量計1は、空気圧システムの新設時に当該空気圧システムに組み込むこともできる。
【0069】
内蔵チューブ13は、対象流体が流れる流路を規定するとともに、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12から送信された超音波信号を減衰する部材からなり、ダンピング配管と呼ぶこともできる。具体的には、内蔵チューブ13は、超音波信号の減衰能を有する材料として、例えばナイロン、テフロン、ポリウレタン等からなり、第1のくさび材14及び第2のくさび材15を構成する材料よりも軟質な材料で構成されている。
【0070】
内蔵チューブ13における超音波信号が通過する部分の内面及び外面は、凹凸の無い、滑らかな面で構成されている。本実施形態では、内蔵チューブ13の長さ方向全体にわたり、内面及び外面が滑らかな面となっているので、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12から送信された超音波信号が狙い通りに伝達される。また、内蔵チューブ13の流路には、流体の流れ方向と交差する方向に存在する部材(例えばメッシュ、フィルタ等)が設けられていない。つまり、内蔵チューブ13は、上流端から下流端まで完全に貫通した流路を有する円管材で構成されている。また、内蔵チューブ13の内面が滑らかな面で構成されていることから、内蔵チューブ13の内面に汚れが溜まりにくくなる。尚、内蔵チューブ13の外径は例えば3mm以上20mm以下の範囲で設定することができる。
【0071】
第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12は、内蔵チューブ13の外側に位置している。第1のくさび材14は、第1の超音波素子11と内蔵チューブ13との間に配置されている。内蔵チューブ13と第1のくさび材14との間には、音響結合材13cが介在している。内蔵チューブ13の外面が音響結合材13cに接触している。音響結合材13cは内蔵チューブ13の一部を構成する部材であってもよい。
【0072】
第2のくさび材15は、第2の超音波素子12と内蔵チューブ13との間に配置されている。したがって、対象流体の流量は、内蔵チューブ13の流路を流れている時に測定される。内蔵チューブ13と第2のくさび材15との間にも、音響結合材13cが介在している。
【0073】
超音波流量計1は、対象流体の流れ方向に長い形状のセンタブロック2をさらに備えている。センタブロック2は、例えば金属や硬質樹脂等の高剛性な部材からなるものである。したがって、内蔵チューブ13は、センタブロック2を構成する材料よりも軟質な材料で構成されていて、センタブロック2を構成する材料よりも超音波信号の減衰能が高くなっている。
【0074】
センタブロック2には、内蔵チューブ13が差し込まれる差込孔29が流体の流れ方向に貫通するように形成されている。内蔵チューブ13の上流側部分及び下流側部分は、差込孔29に差し込まれた状態でセンタブロック2に固定される。また、第1のくさび材14及び第2のくさび材15も、センタブロック2に固定されている。
【0075】
具体的には、センタブロック2には、第1のくさび材14の内蔵チューブ13側が差し込まれる第1開口部25が形成されている。
図10に示すように、第1のくさび材14には、センタブロック2の外面に重ね合わされる第1フランジ部14cが形成されている。第1フランジ部14cには、第1ホルダ16が重ね合わされている。第1ホルダ16には、固定用のネジ(図示せず)が挿通するネジ挿通孔16aが形成されている。ネジ挿通孔16aに挿通されたネジは、第1のくさび材14の第1フランジ部14cを貫通してセンタブロック2にねじ込まれる。これにより、第1のくさび材14がセンタブロック2に締結固定される。また、
図9に示すように、第1の超音波素子11は第1ホルダ16により第1のくさび材14に押さえ付けられている。
【0076】
また、センタブロック2には、第2のくさび材15の内蔵チューブ13側が差し込まれる第2開口部26が形成されている。
図10に示すように、第2のくさび材15には、センタブロック2の外面に重ね合わされる第2フランジ部15cが形成されている。第2フランジ部15cには、第2ホルダ17が重ね合わされている。第2ホルダ17には、固定用のネジ(図示せず)が挿通するネジ挿通孔(図示せず)が形成されている。従って、第1のくさび材14と同様に、第2のくさび材15をセンタブロック2に締結固定できる。また、
図9に示すように、第2の超音波素子12は第2ホルダ17により第2のくさび材15に押さえ付けられている。
【0077】
超音波流量計1は、上流側接続部60及び下流側接続部61と、上流側管路部材62及び下流側管路部材63とをさらに備えている。流体の流れ方向上流側から下流側に向かって、上流側接続部60、上流側管路部材62、内蔵チューブ13、下流側管路部材63及び下流側接続部61が順に同一直線上に位置するように配置されている。この直線は、内蔵チューブ13の管軸線X及びその延長線からなる直線である。尚、上流側管路部材62及び下流側管路部材63は必要に応じて設けられるものであり、省略してもよい。
【0078】
内蔵チューブ13の上流側部分及び下流側部分の外面には、それぞれOリングからなる上流側配管シール材13a及び下流側配管シール材13bが密着するように設けられている。上流側配管シール材13aは、差込孔29の上流側の内面に密着するようになっており、上流側配管シール材13aによって内蔵チューブ13の上流側部分と差込孔29との間がシールされるようになっている。また、下流側配管シール材13bは、差込孔29の下流側の内面に密着するようになっており、下流側配管シール材13bによって内蔵チューブ13の下流側部分と差込孔29との間がシールされるようになっている。
【0079】
図10及び
図11に示すように、センタブロック2の両側面には、側面開口部2bが形成されている。側面開口部2bは、センタブロック2の長手方向に長い形状とされている。側面開口部2bにより、差込孔29が側方に開放されることになる。したがって、内蔵チューブ13の一部が側面開口部2bから見える状態になる。側面開口部2bからグリス13dを塗布することができる。グリス13dは、超音波信号を減衰させるグリスであり、センタブロック2と内蔵チューブ13との間に介在するように塗布する。これにより、内蔵チューブ13内の音波をより一層減衰させることができる。
【0080】
上流側接続部60は、上流側外部配管101の流路と内蔵チューブ13の流路とが連通するように、上流側外部配管101を接続するための部材である。上流側接続部60の下流側の外周面には、例えばネジ山60aが形成されており、このネジ山60aをセンタブロック2の差込孔29の上流側の内周面に形成されているネジ溝29aに螺合させることで、上流側接続部60がセンタブロック2に対して気密に接続される。
【0081】
上流側接続部60は、いわゆるワンタッチフィッティング、チューブフィッティング等と呼ばれている接続構造を構成する部材であり、上流側外部配管101をワンタッチ操作、即ち、工具等を用いることなく、接続したり、その接続を解除することが可能なものである。上流側接続部60の構成は、上述した構成に限られるものではなく、各種フィッティング構造を採用することができる。また、上流側接続部60の形状も任意に設定することができる。
【0082】
下流側接続部61は、下流側外部配管102の流路と内蔵チューブ13の流路の下流側とが連通するように、下流側外部配管102を接続するための部材である。下流側接続部61は、上流側接続部60と同様に構成されており、下流側の外周面に形成されているネジ山61aをセンタブロック2の差込孔29の下流側の内周面に形成されているネジ溝29bに螺合させることで、下流側接続部61がセンタブロック2に対して気密に接続されるようになっている。尚、上流側接続部60及び下流側接続部61は、ネジ以外の固定構造を用いてセンタブロック2に固定することも可能である。
【0083】
上流側管路部材62は、内蔵チューブ13と上流側接続部60との間に設けられ、内蔵チューブ13の流路と上流側外部配管101の流路とを連通させるための部材である。具体的には、上流側管路部材62は、円筒状をなしており、センタブロック2の差込孔29の上流側に差し込まれた状態で保持されている。上流側管路部材62の流路の上流側は、上流側接続部60の流路と連通し、また、上流側管路部材62の流路の下流側は、内蔵チューブ13の流路と連通している。
【0084】
ここで、内蔵チューブ13の内径は、上流側外部配管101の内径よりも大きく設定されている。これにより、上流側外部配管101から内蔵チューブ13に流入した流体の流速が低下するので、上流側外部配管101を高速で流れている流体であっても流量の測定が可能になる。尚、図示しないが、内蔵チューブ13の内径と、上流側外部配管101の内径とは同じであってもよいし、内蔵チューブ13の内径が上流側外部配管101の内径より小さくてもよい。
【0085】
下流側管路部材63は、内蔵チューブ13と下流側接続部61との間に設けられ、内蔵チューブ13の流路と下流側外部配管102の流路とを連通させるための部材である。具体的には、下流側管路部材63は、円筒状をなしており、センタブロック2の差込孔29の下流側に差し込まれた状態で保持されている。下流側管路部材63の流路の下流側は、下流側接続部61の流路と連通し、また、下流側管路部材63の流路の上流側は、内蔵チューブ13の流路と連通している。
【0086】
超音波流量計1は、回路基板65を更に備えている。回路基板65は、第1の超音波素子11を覆うように配置されており、内蔵チューブ13の管軸線Xと略平行に延びている。回路基板65には、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12が接続されている。さらに、回路基板65には、内蔵チューブ13の流路を流れる流体の圧力を測定する圧力測定部66と、制御部67とが実装されている。制御部67は、外部に設けられていてもよい。圧力測定部66は、流体の圧力を電気信号に変換して出力するように構成された圧力センサで構成されており、具体的には、ひずみゲージ等を用いることができる。
【0087】
圧力測定部66の配設構造について具体的に説明する。センタブロック2の上流側部分には、圧力測定部66の受圧部66aが嵌合する筒状部22が内蔵チューブ13の管軸線Xに対して直交する方向へ突出するように設けられている。筒状部22の内面と受圧部66aの外面との間には、Oリングからなるセンサ部シール材23が設けられおり、センサ部シール材23によって筒状部22と受圧部66aとの間の気密性が確保されるようになっている。
【0088】
さらに、センタブロック2の上流側部分には、内蔵チューブ13と上流側接続部60との間に、内蔵チューブ13の流路に連通する連通路24が設けられている。連通路24は、上流側管路部材62の周壁を貫通する第1通路62bと、当該第1通路62bと連通し、圧力測定部66の受圧部66aに達するまで延びる第2通路2aとを含んでいる。第1通路62bは、センタブロック2の差込孔29の内部において上流側配管シール材13aと上流側接続部60の間の部分に連通している。また、第2通路2aも、センタブロック2の差込孔29の内部において上流側配管シール材13aと上流側接続部60の間の部分に連通している。これにより、内蔵チューブ13の流路は、連通路24を介して筒状部22の内部と連通し、圧力測定部66の受圧部66aが連通路24に臨むように設けられることになる。尚、図示しないが、圧力測定部66を内蔵チューブ13の下流側に設けてもよい。
【0089】
超音波流量計1は、表示灯68、操作部(操作ボタン)及び表示パネル(図示せず)も備えている。表示灯68及び表示パネルは制御部67によって制御される。制御部67は、例えばマイクロコンピュータ等で構成されており、外部機器からの指令に基づいて第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12を制御して、流量測定の開始及び停止を実行する。また、制御部67は、測定値が予め設定された範囲外になった場合には、表示灯68の表示形態をそれまでの形態とは異なる形態に変化させる。例えば、表示灯68の表示色を変えたり、表示灯68を点滅させたりすることができる。表示パネルは、例えば有機ELパネルや液晶パネル等で構成されており、測定値や各種設定情報等が表示される。各種設定は、ユーザが操作部を操作することで可能になっている。操作部の操作状態は、制御部67によって取得し、受け付けられる。
【0090】
流量測定部53は、信号線65aを介して制御部67と通信可能に接続されている。第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12で受信された超音波信号、圧力測定部66で測定された圧力は、信号線65aを介して流量測定部53に送信される。尚、流量測定部53は、回路基板65に設けられていてもよい。
【0091】
流量測定部53は、圧力測定部66で測定された圧力を使用することで、質量流量を測定することもできる。質量流量を測定する際、内蔵チューブ13の流路を流れる流体の温度を測定する温度センサを設けておき、温度センサによって検出された流体の温度を用いてもよいし、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12で受信した超音波信号に基づいて音速を算出し、算出された音速から温度を推定し、質量流量の測定に用いてもよい。
【0092】
図1に示すように、超音波流量計1の筐体72は、第1の超音波素子11と、第1のくさび材14と、内蔵チューブ13と、第2の超音波素子12と、第2のくさび材15とを収容する部材であり、本実施形態では、回路基板65、圧力測定部66、センタブロック2等も筐体72に収容されている。筐体72は、流体の流れ方向に分割されており、第1筐体構成部72aと第2筐体構成部72bとを有している。筐体72の構成は上述した構成に限られるものではなく、例えば内蔵チューブ13の径方向に分割可能に構成されていてもよい。
【0093】
(流体の流量測定)
次に、上記のように構成された超音波流量計1を用いて流体の流量を測定する場合について説明する。はじめに比較例について説明する。
図12のFIG.12Aは、比較例を示しており、内蔵チューブ13が無い状態で、本実施形態2と同様な位置関係となるように、第1の超音波素子11及び第2の超音波素子12と、第1のくさび材14及び第2のくさび材15とを配置している。この比較例の場合、第1の超音波素子11の送受信面11aから送信された超音波信号は、第1のくさび材14の素子側面14bに入射して第1のくさび材14を伝播し(矢印A1)、第1のくさび材14のチューブ側面14aから流体に伝播する(矢印A2)。このとき、流体が気体である場合のように、第1のくさび材14と流体との間の音響インピーダンスの差が大きいと、第1のくさび材14と流体との界面での反射が大きくなる。第1のくさび材14と流体との界面で反射した超音波信号の成分を矢印A3で示す。この反射した成分が多いため、流体に伝播する超音波信号(矢印A2)の強度が低くなる。また、第1のくさび材14と流体との界面で反射した超音波信号は、第1のくさび材14内に滞留する。第1のくさび材14内に滞留した超音波信号は、センタブロック2等の部材を介して受信側素子(第2の超音波素子12)まで回り込み、第2の超音波素子12で受信される(矢印A4)。このように流体とは別の経路を通じて受信された超音波信号はノイズ成分となり、流量の測定を阻害する。第2の超音波素子12から送信された超音波信号も同様に、第2のくさび材15と流体との界面で反射する成分が多くなってしまい、反射した成分がセンタブロック2等の部材を介して第1の超音波素子11まで回り込み、第1の超音波素子11で受信され、ノイズ成分となる。
【0094】
これに対し、FIG.12Bに示す本実施形態2では、流路を規定している内蔵チューブ13が超音波信号を減衰する部材で構成されているので、第1のくさび材14と内蔵チューブ13との音響インピーダンスが近くなる。また、第1のくさび材14と内蔵チューブ13との間に音響結合材13cが介在している。実施形態2では、第1の超音波素子11の送受信面11aから送信された超音波信号は、第1のくさび材14の素子側面14bに入射して第1のくさび材14を伝播し(矢印B1)、第1のくさび材14のチューブ側面14aから音響結合材13c及び内蔵チューブ13に順に伝播する(矢印B2)。第1のくさび材14と内蔵チューブ13との音響インピーダンスが近いので、第1のくさび材14と内蔵チューブ13との界面での超音波信号の反射が小さくなるとともに、内蔵チューブ13で超音波信号が減衰する。これにより、センタブロック2等の部材を介して受信側素子(第2の超音波素子12)まで回り込む超音波信号を減少させることができ、その結果、ノイズ成分が減少する。
【0095】
超音波信号は内蔵チューブ13で規定されている流路内の流体を通過した後(矢印B3)、内蔵チューブ13及び音響結合材13cに順に伝播する(矢印B4)。次いで、第2のくさび材15を伝播して第2の超音波素子12で受信される(矢印B5)。第2の超音波素子12から送信された超音波信号も同様に、第2のくさび材15と内蔵チューブ13との界面での反射が小さくなるので、ノイズ成分が減少する。
【0096】
したがって、実施形態2では、実施形態1と同様に、チューブ100が励起した縦波に対し横波の混在比率が10%以下となるようにして相対的に信号強度の高い縦波を用いた測定を可能にしながら、内蔵チューブ13によって超音波信号を減衰させてノイズ成分を減少させることができるので、測定が安定するとともに測定精度がより一層向上する。
【0097】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明に係る超音波流量計は、例えば空気圧システム等に組み込んで利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 超音波流量計
11 第1の超音波素子
12 第2の超音波素子
13c 音響結合材
14 第1のくさび材
14a チューブ側面(第2の面)
14b 素子側面(第1の面)
15 第2のくさび材
15a チューブ側面(第4の面)
15b 素子側面(第3の面)
30 第1筐体
32c 上側支持部
40 第2筐体
42c 下側支持部
100 チューブ
α1 第1の角度
α2 第2の角度