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特開2024-58755欠陥発生要因推定装置、欠陥発生要因推定方法、欠陥発生要因推定モデルの学習方法、操業条件決定方法および鉄鋼製品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058755
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】欠陥発生要因推定装置、欠陥発生要因推定方法、欠陥発生要因推定モデルの学習方法、操業条件決定方法および鉄鋼製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/16 20060101AFI20240422BHJP
   B22D 46/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B22D11/16 Z
B22D46/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166047
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久山 修司
(72)【発明者】
【氏名】山口 広史
(72)【発明者】
【氏名】西田 修司
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏和
(72)【発明者】
【氏名】三木 祐司
【テーマコード(参考)】
4E004
【Fターム(参考)】
4E004MC23
4E004NB01
(57)【要約】
【課題】溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係に基づいて、欠陥発生要因を推定することができる欠陥発生要因推定装置、欠陥発生要因推定方法、欠陥発生要因推定モデルの学習方法、操業条件決定方法および鉄鋼製品の製造方法を提供すること。
【解決手段】欠陥発生要因推定装置は、製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置を算出する欠陥発生深さ算出手段と、スラブ深さごとの欠陥発生率を算出する欠陥発生率算出手段と、スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を算出する介在物付着率算出手段と、製品の製造条件を入力データとし、介在物付着率を出力データとして予め学習された推定モデルを用いて、一部の製造条件を選択し、選択した製造条件を段階的に変更した場合の介在物付着率を推定することにより、欠陥発生要因を推定する欠陥発生要因推定手段と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置を算出する欠陥発生深さ算出手段と、
前記深さ位置に基づいて、スラブ深さごとの欠陥発生率を算出する欠陥発生率算出手段と、
前記スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を算出する介在物付着率算出手段と、
前記製品の製造条件を入力データとし、前記介在物付着率を出力データとして予め学習された推定モデルを用いて、一部の製造条件を選択し、選択した製造条件を段階的に変更した場合の介在物付着率を推定することにより、欠陥発生要因を推定する欠陥発生要因推定手段と、
を備える欠陥発生要因推定装置。
【請求項2】
前記推定モデルは、前記凝固開始位置からの距離と、連続鋳造における操業条件とを含む製造条件を入力データとし、前記凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を出力データとして、予め学習されたものである請求項1に記載の欠陥発生要因推定装置。
【請求項3】
前記欠陥発生深さ算出手段は、スラブ精整におけるスラブグラインダー研削量、熱間圧延におけるスケールオフ量、酸洗による板厚減少量を少なくとも考慮して、前記深さ位置を算出する請求項1に記載の欠陥発生要因推定装置。
【請求項4】
前記欠陥発生要因推定手段は、一以上の製造条件と前記介在物付着率との関係を、一次元データまたは多次元データとして表示する請求項1に記載の欠陥発生要因推定装置。
【請求項5】
前記介在物付着率は、溶鋼中の気泡または微小な固体である介在物が鋳造過程で付着する確率である請求項1に記載の欠陥発生要因推定装置。
【請求項6】
前記製造条件は、タンディッシュ吹込ガス流量、鋳込速度、鋳込幅、鋳込厚、スラブ長さ、スラグ塩基度のうちのいずれか一つ以上を含む請求項1に記載の欠陥発生要因推定装置。
【請求項7】
コンピュータが備える欠陥発生深さ算出手段が、製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置を算出するステップと、
前記コンピュータが備える欠陥発生率算出手段が、前記深さ位置に基づいて、スラブ深さごとの欠陥発生率を算出するステップと、
前記コンピュータが備える介在物付着率算出手段が、前記スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を算出するステップと、
前記コンピュータが備える欠陥発生要因推定手段が、前記製品の製造条件を入力データとし、前記介在物付着率を出力データとして予め学習された推定モデルを用いて、一部の製造条件を選択し、選択した製造条件を段階的に変更した場合の介在物付着率を推定することにより、欠陥発生要因を推定するステップと、
を含む欠陥発生要因推定方法。
【請求項8】
コンピュータが備える欠陥発生深さ算出手段が、製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置を算出するステップと、
前記コンピュータが備える欠陥発生率算出手段が、前記深さ位置に基づいて、スラブ深さごとの欠陥発生率を算出するステップと、
前記コンピュータが備える介在物付着率算出手段が、前記スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を算出するステップと、
前記コンピュータが備えるモデル学習手段が、前記製品の製造条件を入力データとし、前記介在物付着率を出力データとして、前記介在物付着率を推定する推定モデルを学習するステップと、
を含む欠陥発生要因推定モデルの学習方法。
【請求項9】
請求項7に記載の欠陥発生要因推定方法によって推定された欠陥発生要因に基づいて、操業条件を決定する操業条件決定方法。
【請求項10】
請求項9に記載の操業条件決定方法によって決定された操業条件に基づいて、鉄鋼製品を製造する鉄鋼製品の製造方法。
【請求項11】
請求項7に記載の欠陥発生要因推定方法によって、鋳造後の操業条件に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を推定し、推定した介在物付着率に基づいて、その後の工程の操業条件を変更し、鉄鋼製品を製造する鉄鋼製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、欠陥発生要因推定装置、欠陥発生要因推定方法、欠陥発生要因推定モデルの学習方法、操業条件決定方法および鉄鋼製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、品質異常の原因を推定する作業をオペレータが行うに際し、原因推定作業を支援する支援システムが開示されている。特許文献1で提案された方法では、過去の製造実績データにおける操業変数と品質との相関関係に着目し、品質と相関の強い操業変数を抽出し、その操業変数の時系列チャートをオペレータに表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6116445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で提案された方法では、品質異常の原因を特定するために、製品品質データと製造条件データとから、品質と製造条件との相関に基づく関係に着目することで原因推定を行っている。しかしながら、単純に操業因子と品質との相関をみるだけでは、溶鋼の凝固過程中のどの段階で欠陥の種となる介在物が付着して、最終製品における表面欠陥となったのかまでは推定することはできない。最終製品における表面欠陥をなくすための操業を実施するためには、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係を把握することは極めて重要である。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係に基づいて、欠陥発生要因を推定することができる欠陥発生要因推定装置、欠陥発生要因推定方法、欠陥発生要因推定モデルの学習方法、操業条件決定方法および鉄鋼製品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る欠陥発生要因推定装置は、製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置を算出する欠陥発生深さ算出手段と、前記深さ位置に基づいて、スラブ深さごとの欠陥発生率を算出する欠陥発生率算出手段と、前記スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を算出する介在物付着率算出手段と、前記製品の製造条件を入力データとし、前記介在物付着率を出力データとして予め学習された推定モデルを用いて、一部の製造条件を選択し、選択した製造条件を段階的に変更した場合の介在物付着率を推定することにより、欠陥発生要因を推定する欠陥発生要因推定手段と、を備える。
【0007】
本発明に係る欠陥発生要因推定装置は、上記発明において、前記推定モデルは、前記凝固開始位置からの距離と、連続鋳造における操業条件とを含む製造条件を入力データとし、前記凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を出力データとして、予め学習されたものである。
【0008】
本発明に係る欠陥発生要因推定装置は、上記発明において、前記欠陥発生深さ算出手段は、スラブ精整におけるスラブグラインダー研削量、熱間圧延におけるスケールオフ量、酸洗による板厚減少量を少なくとも考慮して、前記深さ位置を算出する。
【0009】
本発明に係る欠陥発生要因推定装置は、上記発明において、前記欠陥発生要因推定手段は、一以上の製造条件と前記介在物付着率との関係を、一次元データまたは多次元データとして表示する。
【0010】
本発明に係る欠陥発生要因推定装置は、上記発明において、前記介在物付着率は、溶鋼中の気泡または微小な固体である介在物が鋳造過程で付着する確率である。
【0011】
本発明に係る欠陥発生要因推定装置は、上記発明において、前記製造条件は、タンディッシュ吹込ガス流量、鋳込速度、鋳込幅、鋳込厚、スラブ長さ、スラグ塩基度のうちのいずれか一つ以上を含む。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る欠陥発生要因推定方法は、コンピュータが備える欠陥発生深さ算出手段が、製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置を算出するステップと、前記コンピュータが備える欠陥発生率算出手段が、前記深さ位置に基づいて、スラブ深さごとの欠陥発生率を算出するステップと、前記コンピュータが備える介在物付着率算出手段が、前記スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を算出するステップと、前記コンピュータが備える欠陥発生要因推定手段が、前記製品の製造条件を入力データとし、前記介在物付着率を出力データとして予め学習された推定モデルを用いて、一部の製造条件を選択し、選択した製造条件を段階的に変更した場合の介在物付着率を推定することにより、欠陥発生要因を推定するステップと、を含む。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る欠陥発生要因推定モデルの学習方法は、コンピュータが備える欠陥発生深さ算出手段が、製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置を算出するステップと、前記コンピュータが備える欠陥発生率算出手段が、前記深さ位置に基づいて、スラブ深さごとの欠陥発生率を算出するステップと、前記コンピュータが備える介在物付着率算出手段が、前記スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を算出するステップと、前記コンピュータが備えるモデル学習手段が、前記製品の製造条件を入力データとし、前記介在物付着率を出力データとして、前記介在物付着率を推定する推定モデルを学習するステップと、を含む。
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る操業条件決定方法は、上記の欠陥発生要因推定方法によって推定された欠陥発生要因に基づいて、操業条件を決定する。
【0015】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鉄鋼製品の製造方法は、上記の操業条件決定方法によって決定された操業条件に基づいて、鉄鋼製品を製造する。
【0016】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る鉄鋼製品の製造方法は、上記の欠陥発生要因推定方法によって、鋳造後の操業条件に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を推定し、推定した介在物付着率に基づいて、その後の工程の操業条件を変更し、鉄鋼製品を製造する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る欠陥発生要因推定装置および欠陥発生要因推定方法では、溶鋼の凝固過程と介在物の付着の再現性に着目し、過去の多数の操業実績データから、溶鋼の凝固過程中のどの段階で欠陥の種となる介在物が付着し、製品の表面欠陥として現れるのかを推定する推定モデルを用いる。これにより、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係を把握することができるため、表面欠陥のない製品を製造するための操業を考えることができる。また、本発明に係る欠陥発生要因推定モデルの学習方法によれば、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係に基づいて、欠陥発生要因を推定する推定モデルを構築することができる。また、本発明に係る操業条件決定方法によれば、表面欠陥のない製品を製造するための操業を実施することができる。また、本発明に係る鉄鋼製品の製造方法によれば、表面欠陥のない鉄鋼製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る欠陥発生要因推定装置の概略的な構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る欠陥発生要因推定装置が実行する欠陥発生要因推定方法の手順を示すフローチャートである。
図3図3は、ステンレス製品(鉄鋼製品)の製造プロセスの一例を示す図である。
図4図4は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法のデータ読取ステップにおいて、データベースから読み取る製造実績データの一例を示す図である。
図5図5は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法の欠陥発生率算出ステップで算出した、スラブ深さごとの欠陥の有無を集計した積み上げグラフである。
図6図6は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法の欠陥発生率算出ステップで算出した、スラブ深さごとの欠陥発生率を示す折れ線グラフである。
図7図7は、本発明の実施例であり、モールドにおける溶鋼の凝固と溶鋼の流動のイメージを示す図である。
図8図8は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法の介在物付着率算出ステップで算出した、メニスカス距離ごとの介在物付着率を示す折れ線グラフである。
図9図9は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法のモデル学習ステップで構築した推定モデルのモデル精度を示すヒストグラムである。
図10図10は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法の欠陥発生要因推定ステップで推定した、メニスカスからの距離と、タンディッシュ吹込ガス流量と、介在物付着率との関係を示すコンター図である。
図11図11は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法の欠陥発生要因推定ステップで推定した、メニスカスからの距離と、介在物付着率との関係を示すグラフである。
図12図12は、本発明の実施例であり、欠陥発生要因推定方法の欠陥発生要因推定ステップで推定した、スラグ塩基度と、介在物付着率との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る欠陥発生要因推定装置、欠陥発生要因推定方法、欠陥発生要因推定モデルの学習方法、操業条件決定方法および鉄鋼製品の製造方法について、図面を参照しながら説明する。以下では、厚板鋼材を製造する鉄鋼プロセスに対して本発明を適用した場合の例を説明する。但し、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、以下の実施の形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものも含まれる。
【0020】
(欠陥発生要因推定装置)
実施形態に係る欠陥発生要因推定装置について、図1を参照しながら説明する。欠陥発生要因推定装置を実現するための情報処理装置10は、演算処理部101と、記憶部(ROM:Read Only Memory)103と、一時記憶部(RAM:Random Access Memory)104と、バス配線105と、データベース(DB)120と、を備えている。
【0021】
演算処理部101は、CPU(Central Processing Unit)等の電子回路等を用いて実現され、記憶部103内の欠陥発生要因推定プログラム102を実行して、欠陥発生要因推定処理に必要な各種演算処理を実行する。演算処理部101は、欠陥発生要因推定プログラム102の実行によって機能する機能ブロックとして、データ読取部106、欠陥発生深さ算出部107、欠陥発生率算出部108、介在物付着率算出部109、モデル学習部110および欠陥発生要因推定部111を備える。
【0022】
データ読取部106は、後記するデータ読取ステップを実行する。また、欠陥発生深さ算出部107は、後記する欠陥発生深さ算出ステップを実行する。また、欠陥発生率算出部108は、後記する欠陥発生率算出ステップを実行する。また、介在物付着率算出部109は、後記する介在物付着率算出ステップを実行する。また、モデル学習部110は、後記するモデル学習ステップを実行する。また、欠陥発生要因推定部111は、後記する欠陥発生要因推定ステップを実行する。各ステップの詳細は後記する(後記図2参照)。
【0023】
記憶部103には、欠陥発生要因推定プログラム102が記憶されている。データベース120には、過去の製造実績データが保存されている。なお、情報処理装置10には、例えば図1に示すように、欠陥発生要因の推定結果を表示する表示装置20と、オペレータからの入力を受け付ける入力装置30と、が接続されていてもよい。
【0024】
(欠陥発生要因推定方法)
実施形態に係る欠陥発生要因推定装置が実行する欠陥発生要因推定方法について、図2を参照しながら説明する。欠陥発生要因推定方法は、データ読取ステップと、欠陥発生深さ算出ステップと、欠陥発生率算出ステップと、介在物付着率算出ステップと、モデル学習ステップと、欠陥発生要因推定ステップと、を含む。なお、実施形態に係る欠陥発生要因推定方法において、データ読取ステップ~モデル学習ステップまでのステップと、欠陥発生要因推定ステップとは、それぞれ別のタイミングで実施してもよい。すなわち、データ読取ステップ~モデル学習ステップによって予め推定モデルを構築しておき、それとは別のタイミングで、推定モデルを用いた欠陥発生要因推定ステップを実施してもよい。
【0025】
以下、実施形態に係る欠陥発生要因推定方法の各ステップについて説明する。なお、欠陥発生要因推定方法は、例えば対象材の製造が完了し、欠陥発生要因推定装置によって欠陥発生分布が計測されたタイミングで処理を開始する。
【0026】
<データ読取ステップ>
データ読取ステップでは、データ読取部106が、データベース120に格納されている連続鋳造の製造実績データを読み取る(ステップS1)。この製造実績データは、過去に製造された多数のコイル(鋼帯)におけるスラブ(半製品)の厚み変化に関連する製造条件、表面欠陥の発生に関連する製造条件、コイル表面上の欠陥発生有無等が、製品(最終製品)ごとにまとめられたデータである。また、製造実績データは、例えば行方向が過去に製造された製品を表し、列方向が製造条件および検査結果(欠陥の有無)等を表した、行列データ等で構成される(後記図4参照)。
【0027】
<欠陥発生深さ算出ステップ>
欠陥発生深さ算出ステップでは、欠陥発生深さ算出部107が、データ読取ステップで読み取った製造条件に基づいて、製品における表面欠陥の、スラブ段階における深さ位置(欠陥発生深さ位置)を算出する(ステップS2)。「欠陥発生深さ位置」とは、最終製品で表面欠陥となって現れる介在物が付着した、スラブ内の深さ位置のことを示している。
【0028】
欠陥発生深さ算出ステップでは、具体的には、スラブの厚み変化に関連する製造条件に基づいて、各工程における製品の厚み方向の減少量を算出することにより、製品における表面欠陥がスラブ段階でのどの深さだったのかを算出する。なお、「スラブの厚み変化に関連する製造条件」としては、例えば熱間圧延における圧下量、加熱温度、酸洗の酸濃度および酸洗速度、スラブとコイルのグラインダーパス回数等の、製品表面がスケール剥離・研削・溶解する製造条件が挙げられる。
【0029】
欠陥発生深さ算出ステップでは、例えばスラブ精整におけるスラブグラインダー研削量、熱間圧延におけるスケールオフ量、酸洗による板厚減少量(酸洗溶解量)を少なくとも考慮して、上記の深さ位置を算出する。なお、欠陥発生深さ算出ステップでは、データ読取ステップで読み取った全ての製品について、スラブ段階における欠陥発生深さを算出する。
【0030】
<欠陥発生率算出ステップ>
欠陥発生率算出ステップでは、欠陥発生率算出部108が、スラブ段階における深さ位置に基づいて、所定のスラブ深さごとの欠陥発生率を算出する(ステップS3)。欠陥発生率算出ステップでは、欠陥発生深さ算出ステップで欠陥発生深さを算出した各スラブについて、所定のスラブ深さ(所定の深さピッチ、例えば0.5mm)で、欠陥が発生した製品数と、全製品数とを集計する。そして、欠陥が発生した製品数を、全製品数で除することにより、所定のスラブ深さごとの欠陥発生率(欠陥発生割合)を算出する。なお、欠陥発生率算出ステップでは、データ読取ステップで読み取った全ての製品について、所定のスラブ深さごとの欠陥発生率を算出する。ここで、上記の説明では、深さ方向の所定の深さピッチを一定としたが、欠陥発生率のスラブ深さ方向の分布が分かれば、必ずしも一定ピッチでなくてもよい。
【0031】
<介在物付着率算出ステップ>
介在物付着率算出ステップでは、介在物付着率算出部109が、欠陥発生率算出ステップで定めたスラブ深さを、当該スラブ深さと同等のシェル厚さになるスラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離(以下、「メニスカスからの距離」という)に変換する(ステップS4)。これにより、スラブ深さごとの欠陥発生率に基づいて、メニスカスからの距離ごとの介在物付着率を算出する。
【0032】
ここで、介在物付着率算出ステップで算出する介在物付着率は、溶鋼中の気泡または微小な固体である介在物が鋳造過程で付着する確率である。なお、介在物付着率算出ステップでは、データ読取ステップで読み取った全ての製品について、メニスカスからの距離ごとの介在物付着率を算出する。
【0033】
<モデル学習ステップ>
モデル学習ステップでは、モデル学習部110が、製品の製造条件を入力データとし、介在物付着率を出力データとして、当該介在物付着率を推定する欠陥発生要因推定モデル(以下、「推定モデル」という)を学習する(ステップS5)。
【0034】
モデル学習ステップでは、データ読取ステップで読み取った操業実績データと、介在物付着率算出ステップで算出したメニスカスからの距離ごとの介在物付着率とに基づいて、推定モデルの学習を行う。モデル学習ステップでは、より具体的には、メニスカスからの距離と、連続鋳造における操業条件とを含む製造条件を入力データとし、メニスカスからの距離ごとの介在物付着率を出力データとして、推定モデルの学習を行う。
【0035】
モデル学習ステップにおける推定モデルの学習は、例えばランダムフォレスト、線形回帰、サポートベクターマシン、ニューラルネットワーク等の回帰手法によって行うことができる。但し、説明変数から目的変数を推定する手法であれば、上記の回帰手法以外によって推定モデルの学習を行ってもよい。
【0036】
<欠陥発生要因推定ステップ>
欠陥発生要因推定ステップでは、欠陥発生要因推定部111が、モデル学習ステップで構築した推定モデルに対して、推定したい操業条件の説明変数の値とメニスカスからの距離とを入力する。これにより、当該操業条件においてメニスカスからの距離における介在物付着率を算出する(ステップS6)。
【0037】
欠陥発生要因推定ステップでは、具体的には、製品の製造条件を入力データとし、介在物付着率を出力データとして予め学習された推定モデルを用いて、一部の製造条件を選択し、選択した製造条件を段階的に変更した場合の介在物付着率を推定する。これにより、欠陥発生要因を推定する。推定モデルに入力する製造条件としては、例えばタンディッシュ吹込ガス流量、鋳込速度、鋳込幅、鋳込厚、スラブ長さ、スラグ塩基度のうちのいずれか一つ以上が含まれる。
【0038】
また、欠陥発生要因推定ステップでは、例えば一以上の製造条件と介在物付着率との関係を、一次元データまたは多次元データとして表示する(後記図10図12参照)。
【0039】
(実施例)
本発明の実施例について、図3図12を参照しながら説明する。以下では、本発明に係る欠陥発生要因推定方法を、ステンレス製品の製造に適用した場合の例について説明する。
【0040】
図3は、ステンレス製品の製造プロセスの一例を示している。ステンレス製品の製造では、精錬、鋳造、スラブ精整、熱間圧延、酸洗焼鈍1(第一の酸洗焼鈍)、冷間圧延、酸洗焼鈍2(第二の酸洗焼鈍)を経て、スリット・検査工程で欠陥判定が行われる。そして、コイル状の製品として出荷される。以下、本発明に係る欠陥発生要因推定方法の各ステップ(図2参照)に沿って説明を行う。
【0041】
<データ読取ステップ>
まず、データ読取ステップにおいて、図4に示すような製造実績データを読み取る。同図の製造実績データは、行方向が過去に製造されたコイル製品を表し、列方向が各プロセスの製造条件および検査結果を表した行列データである。また、同図の製造実績データにおいて、1行目にはコイルNo.が記載されており、1列目には項目の名称が記載されている。この製造実績データのサンプル数(行数)は、2300コイルである。
【0042】
<欠陥発生深さ算出ステップ>
欠陥発生深さ算出ステップでは、図4の製造実績データの2行目のコイルデータから、下記式(1)~(5)により、各プロセスにおける剥離・研削・溶解によるスラブの厚み方向の減少量を算出する。そして、下記式(6)により、鋳造完了から製品までに減少したスラブ換算での厚み量を算出する。これにより、コイルのスラブ段階における欠陥発生深さを算出する。
【0043】
(A)スラブ精整におけるスラブグラインダー研削量=●●[mm]/1パス×グラインダーパス回数 ・・・(1)
(B)熱間圧延における加熱時の表面スケールオフ量=●●[mm] ・・・(2)
(C)酸洗焼鈍1における酸洗溶解量=●●[g/m]×比重7.5×●●[g/m]/板幅[m]×(基準酸洗速度[mpm]/酸洗速度[mpm]) ・・・(3)
(D)酸洗焼鈍1におけるコイルグラインダー研削量=●●[μm]/1パス×グラインダーパス回数 ・・・(4)
(E)酸洗焼鈍2における酸洗溶解量=●●[g/m]×比重7.5×●●[g/m]/板幅[m] ・・・(5)
(F)鋳造完了から製品までのスラブ換算厚み減少量=(A)+(B)+(C)×スラブ厚/酸洗焼鈍板厚+(D)×スラブ厚/酸洗焼鈍板厚+(E)×スラブ厚/製品厚 ・・・(6)
【0044】
また、欠陥発生深さ算出ステップでは、図4の製造実績データの3行目以降の2300コイルの全てに対して、上記式(1)~(6)の計算を行い、各コイルのスラブ段階における欠陥発生深さを算出する。
【0045】
<欠陥発生率算出ステップ>
欠陥発生率算出ステップでは、各コイルのスラブ段階における欠陥発生深さのデータに基づいて、スラブ深さ0.5mmピッチでの欠陥発生率を算出する。図5は、欠陥発生深さの集計結果を、欠陥なしスラブ数(=コイル数。但し、一つのスラブから複数のコイルが生成されている場合はスラブ数に換算する)と、欠陥ありスラブ数とで積み上げた積み上げグラフで表現したものである。同図において、横軸はスラブ深さ(0.5mmピッチ)を、縦軸はスラブ本数を表している。また、図6は、図5の集計結果に基づいて、欠陥発生率を求めたものであり、横軸はスラブ深さ(0.5mmピッチ)を、縦軸は欠陥発生率を表している。
【0046】
<介在物付着率算出ステップ>
介在物付着率算出ステップでは、下記式(7)により、図6に示したスラブ深さを、連続鋳造機のモールドのメニスカス(凝固開始点)からの引き抜き方向への距離に変換する。
【0047】
スラブ深さ(シェル厚)[m]=凝固定数[ms-1/2]×(メニスカスからの距離[m]/鋳込速度[ms-1]^(1/2) ・・・(7)
【0048】
上記式(7)の意味について、図7を参照しながら説明する。同図は、モールドにおける溶鋼の凝固と溶鋼の流動のイメージを示している。同図に示すように、モールド内において、欠陥の種となる介在物がシェルに付着するが、介在物が付着した際のシェル厚が、ちょうど各プロセスを通じてスラブが削られていったときに、製品段階で欠陥として表面に暴露する。そのため、メニスカスからの距離と、上記式(7)におけるシェル厚は、スラブ深さと同義となる。また、「所定のスラブ深さにおける欠陥発生率」は、「所定のメニスカスからの距離における介在物付着率」とみなすことができる。
【0049】
図8は、図6の横軸のスラブ深さを、メニスカスからの距離に変換した結果を示しており、横軸はメニスカスからの距離を、縦軸は介在物付着率を表している。なお、スラブ深さをメニスカスからの距離に変換したことに伴い、図6の縦軸の欠陥発生率を、図8では介在物付着率として示している。図8に示すように、メニスカス付近、メニスカスからそれぞれ30~40mm、70~80mm、90~120mmの位置において、介在物が付着しやすいことがわかる。すなわち、同図では、上記の位置に向かって、溶鋼流動が介在物を運んでいることが示唆されている。
【0050】
モデル学習ステップでは、説明変数(入力データ)をメニスカス距離、タンディッシュ吹込ガス流量、鋳込速度、鋳込幅、鋳込厚、スラブ長さ、スラグ塩基度とし、目的変数を介在物付着率として、機械学習手法のランダムフォレストを用いて推定モデルを学習した。図9は、学習された推定モデルのモデル精度を示すヒストグラムであり、横軸が推定モデルで推定された介在物付着率を、縦軸が検証サンプル数(度数)を表している。また、同図において、ドットハッチングで示したものが欠陥なし(介在物付着なし)と推定したコイルを示すヒストグラムであり、斜線ハッチングで示したものが欠陥あり(介在物付着あり)と推定したコイルを示すヒストグラムである。
【0051】
図9では、欠陥なしと推定したコイルを示すヒストグラムの山のピークと、斜線ハッチングで示したものが欠陥ありと推定したコイルを示すヒストグラムの山のピークとが、左右に明確に離れている。そのため、学習済みの推定モデルは、コイルの欠陥の有無を精度よく推定できているといえる。
【0052】
<欠陥発生要因推定ステップ>
欠陥発生要因推定ステップでは、上記の学習済みの推定モデルに対して、説明変数のうちの鋳込速度、鋳込幅、鋳込厚、スラブ長さ、スラグ塩基度の値を実績操業の平均値で固定して入力した。また、説明変数のうちのメニスカス距離とタンディッシュ吹込ガス流量の二つの説明変数を変化させながら入力した。このように、欠陥発生要因推定ステップでは、一部の入力データを固定し、かつその他の入力データを段階的に変更させながら推定モデルに入力することにより、介在物付着率を推定した。
【0053】
図10は、上記の方法によって推定された、メニスカスからの距離と、タンディッシュ吹込ガス流量と、介在物付着率との関係を示すコンター図である。同図において、縦軸はメニスカスからの距離を、横軸はタンディッシュ吹込ガス流量を、ドットの濃さは介在物付着率を表している。同図において、メニスカスからの距離は上に行くほど遠くなる。また、タンディッシュ吹込ガス流量は、右に行くほど大きくなる。また、介在物付着率は、ドットが濃くなるほど高くなる。
【0054】
図10を参照することにより、メニスカス付近では介在物付着率が高いこと、タンディッシュ吹込ガス流量を増やすほど介在物付着率を小さくできること等を読み取ることができる。従って、オペレータは、同図の結果を参照することにより、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係を把握することができ、介在物付着量、すなわち製品の表面欠陥を抑制するための、最適な溶鋼流動を考えるための示唆を得ることができる。
【0055】
ここで、図10では、複数の説明変数(メニスカスからの距離、タンディッシュ吹込ガス流量)と、介在物付着率との関係を推定していたが、一つの説明変数と介在物付着率との関係を推定してもよい。
【0056】
例えば図11は、説明変数のうちのメニスカスからの距離と、介在物付着率との関係を示すグラフである。同図において、横軸はメニスカスからの距離を、縦軸は介在物付着率を表している。また、実線、破線および一点鎖線は、タンディッシュ吹込ガス流量(TD吹込ガス流量)が、それぞれ4L/min、24L/min、58L/minである場合の介在物付着率を示している。このように、鋳造後の操業条件に基づいて、メニスカスからの距離(=スラブ深さ)ごとの欠陥付着率を推定してもよい。
【0057】
また、図12は、説明変数のうちのスラグ塩基度と、介在物付着率との関係を示すグラフである。同図において、横軸はスラグ塩基度を、縦軸は介在物付着率を表している。このように、鋳造後の操業条件に基づいて、スラグ塩基度ごとの欠陥付着率を推定してもよい。
【0058】
また、これまでの説明では、欠陥発生要因推定ステップの推定結果に基づいて、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係を把握し、製品の表面欠陥をなくすための操業条件を決定し、次の操業に生かすことを想定していた。それに代わり、例えば欠陥発生要因推定ステップにおいて、鋳造後の操業条件に基づいてスラブ鋳造時の介在物付着率を推定し、その推定結果に基づいて、その後の工程の操業条件を変更してもよい。すなわち、製品の製造時において、途中の工程まで進んだ段階で介在物付着率を推定し、その推定結果に応じて以降の工程の操業条件を決定(変更)してもよい。
【0059】
この場合、例えば上記の図11に示すように、鋳造後の操業条件に基づいて、メニスカスからの距離(=スラブ深さ)ごとの欠陥付着率を推定する。続いて、推定した欠陥付着率から、欠陥付着率が品質保証の観点から定めた閾値よりも大きくなるスラブ深さ量(例えば欠陥付着率が20%となるのはスラブ表層から2mm内)を読み取る。そして、読み取ったスラブ深さ量だけ、最終的にスラブ表層が削られるように、後工程であるスラブ精整工程のスラブグラインダー研削量を決定する。
【0060】
すなわち、スラブを削るべき量から、熱間圧延における表面スケールオフ量や、酸洗焼鈍における酸洗溶解量の予測値を差し引いた量を、スラブグラインダー研削量として決定する。なお、決定したスラブグラインダー研削量が、予め設定した最大グラインダー研削量(例えば手入能率の観点から定めた最大研削量)を超える場合、例えば酸洗速度を下げる設定等に変更する。
【0061】
また、例えば上記の図12に示すように、精錬工程におけるスラグ塩基度ごとの欠陥付着率を推定する。ここで、スラグ塩基度は、スラグの造り込みコスト等の介在物発生以外の操業観点から制約される。そのため、例えばスラグ塩基度が1.25~2.00%で制約される場合、介在物付着率が最も小さくなるスラグ塩基度1.6%の値を図12から読み込む。そして、読み込んだスラグ塩基度(1.6%)を、精錬工程のスラグ塩基度の設定値として決定する。
【0062】
このように、予め設定した操業条件のままで製品を製造すると、スラブのどの深さに欠陥が発生する確率が高いのかを推定し、その推定結果に基づいて適切な操業条件に変更することにより、表面欠陥のない製品を製造することができる。
【0063】
以上説明した実施形態に係る欠陥発生要因推定装置および欠陥発生要因推定方法では、溶鋼の凝固過程と介在物の付着の再現性に着目する。そして、過去の多数の操業実績データから、溶鋼の凝固過程中のどの段階で欠陥の種となる介在物が付着し、製品の表面欠陥として現れるのかを推定する推定モデルを用いる。これにより、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係を把握することができるため、表面欠陥のない製品を製造するための操業を考えることができる。
【0064】
また、実施形態に係る欠陥発生要因推定モデルの学習方法によれば、溶鋼の凝固過程と介在物付着との関係に基づいて、欠陥発生要因を推定する推定モデルを構築することができる。
【0065】
また、実施形態に係る操業条件決定方法によれば、上記の欠陥発生要因推定方法によって推定された欠陥発生要因に基づいて、操業条件を決定することができる。これにより、表面欠陥のない製品を製造するための操業を実施することができる。
【0066】
また、実施形態に係る鉄鋼製品の製造方法によれば、上記の操業条件決定方法によって決定された操業条件に基づいて、鉄鋼製品を製造することができる。これにより、表面欠陥のない鉄鋼製品を製造することができる。
【0067】
また、実施形態に係る鉄鋼製品の製造方法によれば、上記の欠陥発生要因推定方法によって、鋳造後の操業条件に基づいて、スラブ鋳造時の凝固開始位置からの距離ごとの介在物付着率を推定し、推定した介在物付着率に基づいて、その後の工程の操業条件を変更し、鉄鋼製品を製造することができる。これにより、表面欠陥のない鉄鋼製品を製造することができる。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述および図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は、全て本発明の範疇に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
10 情報処理装置
101 演算処理部
102 欠陥発生要因推定プログラム
103 記憶部(ROM)
104 一時記憶部(RAM)
105 バス配線
106 データ読取部
107 欠陥発生深さ算出部
108 欠陥発生率算出部
109 介在物付着率算出部
110 モデル学習部
111 欠陥発生要因推定部
120 データベース(DB)
20 表示装置
30 入力装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12