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特開2024-58759電解次亜生成装置とこの装置を備えた可搬式浄水装置
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  • 特開-電解次亜生成装置とこの装置を備えた可搬式浄水装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058759
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】電解次亜生成装置とこの装置を備えた可搬式浄水装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/461 20230101AFI20240422BHJP
   B01D 65/06 20060101ALI20240422BHJP
   C02F 1/44 20230101ALI20240422BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
B01D65/06
C02F1/44 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166056
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000147291
【氏名又は名称】株式会社清水合金製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100081293
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 哲男
(72)【発明者】
【氏名】濱野 治男
【テーマコード(参考)】
4D006
4D061
【Fターム(参考)】
4D006GA02
4D006HA01
4D006KC03
4D006KC16
4D006KD24
4D006KE22Q
4D006MA01
4D006PA01
4D006PB02
4D006PC53
4D061DA02
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB16
4D061EB19
4D061EB33
4D061EB37
4D061EB39
4D061ED13
4D061GA30
4D061GC11
4D061GC20
(57)【要約】
【課題】少水量、少流量の水処理に好適であり、極少量の希釈食塩水を連続してつくることが可能な電解次亜生成装置とこの電解次亜生成装置を備えた可搬式浄水処理装置を提供する。
【解決手段】電解次亜生成装置1は、真水槽11と食塩投入槽12とを区画形成し、かつ真水槽11から食塩投入槽12に真水を供給するための貯留槽2と、この貯留槽内の真水槽11の真水と食塩投入槽12の飽和食塩水とを個別に供給して所定の希釈食塩水濃度に制御する濃度調整手段3と、濃度調整手段3から合流させて極少量の希釈食塩水の濃度を均一化する混合槽4と、混合槽4の後段に希釈食塩水が供給される電解槽5とを備えた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真水槽と食塩投入槽とを区画形成し、かつ前記真水槽から前記食塩投入槽に真水を供給するための貯留槽と、この貯留槽内の前記真水槽の真水と前記食塩投入槽の飽和食塩水とを個別に供給して所定の希釈食塩水濃度に制御する濃度調整手段と、前記濃度調整手段から合流させて極少量の希釈食塩水の濃度を均一化する混合槽と、前記混合槽の後段に前記希釈食塩水が供給される電解槽とを備えたことを特徴とする電解次亜生成装置。
【請求項2】
前記貯留槽を区画形成した仕切板からオーバーフローさせることにより前記食塩投入槽に真水を供給するようにした請求項1に記載の電解次亜生成装置。
【請求項3】
前記真水槽から内部に液位計を備えた前記食塩投入槽に真水を供給制御しながら流入させて前記食塩投入槽内を飽和食塩水とした請求項1又は2に記載の電解次亜生成装置。
【請求項4】
前記濃度調整手段は、真水ポンプと食塩水ポンプで構成され、前記真水ポンプと前記食塩水ポンプにより所定の希釈食塩水濃度になるように前記真水ポンプと前記食塩水ポンプの混合比率を制御するようにした請求項1又は2に記載の電解次亜生成装置。
【請求項5】
前記混合槽の流入側には、逆椀構造部と流路を形成する仕切板を配置し、前記混合槽の流出側には、飽和食塩水と真水を拡散させる滞留部を設けた請求項1又は2に記載の電解次亜生成装置。
【請求項6】
枠体の内部に中空糸膜モジュールと逆洗タンクを備え、前記中空糸膜モジュールの1次側に原水ラインを、2次側に濾過水ラインを有し、前記濾過水ラインを、逆洗ラインを介して前記逆洗タンクに接続し、前記逆洗タンクには流出ラインを介して前記濾過水ラインに接続した可搬式浄水装置であり、前記可搬式浄水装置の前記逆洗タンク、前記流出ライン又は前記濾過水ラインの何れか1つに前記電解次亜生成装置の前記真水槽に真水を取水する取水ラインを接続すると共に、前記電解槽に接続した次亜タンクを次亜ラインを介して前記濾過水ラインの次亜注入部に接続した請求項1又は2に記載の電解次亜生成装置を用いた可搬式浄水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型で、少水量、少流量の水処理に好適であり、極少量の希釈食塩水を連続してつくることが可能な電解次亜生成装置とこの電解次亜生成装置を備えた可搬式浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原水を濾過した濾過水に連続的に塩素注入を行うことができる電解次亜生成装置が知られている。電解次亜生成装置は、予め貯留した食塩水を電気分解して電解次亜(電解次亜塩素酸ナトリウム、電解次亜塩素酸ソーダ)を生成して、次亜塩素水を連続供給している。
【0003】
特許文献1には、この種の電解次亜生成装置からなる塩素発生装置を所定の水処理支持枠内に組込むと共に、浄水処理に必要な各種設備を所定の水処理支持枠体内に配置して、この枠体をトラックに載置固定して、移動可能な水処理装置を構成している。
【0004】
同文献の水処理装置は、水処理支持枠の内側には、原水槽、膜ろ過装置、紫外線殺菌装置、活性炭吸着装置、処理水槽、塩素発生器、各種配管類、各種ポンプ類等で構成される水処理部がコンパクトに纏められて支持されている。さらに、水処理支持枠の後方側には、水処理部を制御する制御操作盤と、紫外線殺菌装置を制御する紫外線殺菌装置用制御盤と、塩素発生器を制御する塩素発生器用制御盤とが各々設けられている。
また、枠体の外方には、飲料水のみならず、シャワー水や浴槽水の温水等を供給できるように、ガス発電機、貯湯槽をユニット化してトラックのステージ上に設置している。
【0005】
浄水装置を搭載したトラックにより必要な場所に移動できるようにして、地震、風水害等の災害により浄水施設や給水設備などのライフラインが支障をきたした際には、トラックのキャビンに載置した水処理装置により、造水を行い必要な飲料水や生活用水を確保可能にしている。
【0006】
また、特許文献2に開示されるように、本件出願人は、トラックや車の進入が困難な山間部や限界集落などでも造水可能な設備を提供するために、小型で人力で搬入可能な可搬型水処理装置を提案した。
同文献の装置は、膜フィルタや殺菌装置、ポンプ、配管等の浄水処理に必要なすべての構成部品を小型に形成した枠体内にすべて格納し、所定の設置場所まで人力で運ぶ際にも狭い路地などにも分け入ることができると共に、省スペースに設置することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-237087号公報
【特許文献2】特開2018-130682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の電解次亜生成装置は、食塩投入後、一定期間、食塩投入しなくても済むように食塩水槽を大型化している。また、多量の処理水に連続して塩素注入を可能にするために、食塩水を連続供給する食塩水槽は大型の水槽である。よって、同文献の電解次亜生成装置は、各種設備と共に枠体に収容して大型トラックで移動可能にして造水が必要な場所で水処理を可能にしたものであるが、同文献の電解次亜生成装置は、少水量、少流量の水処理を対象としたものではない。
【0009】
また、食塩水槽に貯留した食塩水をそのまま電解すると食塩の消費が早くなるため、食塩水槽に貯留した食塩水を濾過水と混合して希釈してから、希釈食塩水を電解槽に供給する必要がある。
希釈食塩水とする際にポンプやバルブ等で調合比率を決めるためには、ある程度の流量が必要であるため、特に、少水量を対象とした小型の装置の場合には、流量を大きくすることができないため、極少量の希釈食塩水を連続してつくることが難しい。また、極少量の場合には水流による撹拌作用が弱く、均一な濃度の希釈食塩水を生成することが難しい。
【0010】
したがって、特許文献1の塩素発生装置は、少水量、少流量の水処理を対象としたものではなく、極少量の食塩水を安定してつくることはできないので、極少量の食塩水から極少量の電解次亜を安定して生成することができない。
【0011】
特許文献2の可搬型浄水処理装置は、消毒手段である次亜注入設備の次亜タンク内に薬液を貯留しているので、薬液が不足した場合には、都度、液体の次亜塩素酸ナトリウムを希釈して薬液を補充する必要がある。
【0012】
また、トラックや車の進入が困難な山間部や限界集落などでは、頻繁にメンテナンス作業や補給作業を行えない場合もある。
このため、可搬型浄水処理装置を長期間保管する場合の他、長期保管後に稼働する際、メンテナンスや補給ができない場合にも、次亜タンク内の薬液が劣化してしまい、次亜タンクに残っていた薬液を廃棄して、再度、薬液を補充する必要がある。
【0013】
ここで、従来の電解次亜生成装置を可搬型浄水処理装置の次亜タンクに接続しても、極少量の希釈食塩水を連続してつくることができない。
【0014】
よって、可搬型浄水処理装置に適応可能な小型の電解次亜生成装置であって、食塩投入後、長期間、食塩補充をしなくても、安定して極少量の希釈食塩水を連続してつくることができ、安定した濃度の薬液供給が可能な電解次亜生成装置の開発が望まれていた。
【0015】
本発明は、従来の課題を解決するために開発したものであり、その目的とするところは、少流量の水処理に好適であり、極少量の希釈食塩水を連続してつくることが可能な電解次亜生成装置とこの電解次亜生成装置を備えた可搬式浄水処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、請求項1に係る発明は、真水槽と食塩投入槽とを区画形成し、かつ真水槽から食塩投入槽に真水を供給するための貯留槽と、この貯留槽内の真水槽の真水と食塩投入槽の飽和食塩水とを個別に供給して所定の希釈食塩水濃度に制御する濃度調整手段と、濃度調整手段から合流させて極少量の希釈食塩水の濃度を均一化する混合槽と、混合槽の後段に希釈食塩水が供給される電解槽とを備えた電解次亜生成装置である。
【0017】
請求項2に係る発明は、貯留槽を区画形成した仕切板からオーバーフローさせることにより食塩投入槽に真水を供給するようにした電解次亜生成装置である。
【0018】
請求項3に係る発明は、真水槽から内部に液位計を備えた食塩投入槽に真水を供給制御しながら流入させて食塩投入槽内を飽和食塩水とした電解次亜生成装置である。
【0019】
請求項4に係る発明は、濃度調整手段は、真水ポンプと食塩水ポンプで構成され、真水ポンプと食塩水ポンプにより所定の希釈食塩水濃度になるように真水ポンプと食塩水ポンプの混合比率を制御するようにした電解次亜生成装置である。
【0020】
請求項5に係る発明は、混合槽の流入側には、逆椀構造部と流路を形成する仕切板を配置し、混合槽の流出側には、飽和食塩水と真水を拡散させる滞留部を設けた電解次亜生成装置である。
【0021】
請求項6に係る発明は、枠体の内部に中空糸膜モジュールと逆洗タンクを備え、中空糸膜モジュールの1次側に原水ラインを、2次側に濾過水ラインを有し、濾過水ラインを、逆洗ラインを介して逆洗タンクに接続し、逆洗タンクには流出ラインを介して濾過水ラインに接続した可搬式浄水装置であり、可搬式浄水装置の逆洗タンク、流出ライン又は濾過水ラインの何れか1つに電解次亜生成装置の真水槽に真水を取水する取水ラインを接続すると共に、電解槽に接続した次亜タンクを次亜ラインを介して濾過水ラインの次亜注入部に接続した請求項1に記載の電解次亜生成装置を用いた可搬式浄水装置である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に係る発明によると、真水槽と食塩投入槽とを区画形成し、かつ真水槽から食塩投入槽に真水を供給するための貯留槽としたことにより、必要な量の真水を確保することができ、また、貯留槽内の真水槽の真水と食塩投入槽の飽和食塩水とを個別に供給して所定の希釈食塩水濃度に制御する濃度調整手段により、少水量、少流量であっても、適切な希釈食塩水濃度に制御することができる。
さらに、濃度調整手段から合流させて極少量の希釈食塩水の濃度を均一化する混合槽により、極少量の食塩水が均一化され、混合槽の後段に設けた電解槽に安定した濃度の希釈食塩水を供給可能となる。
よって、少水量の希釈食塩水を連続供給して、安定的に電解次亜を生成することができ、少水量でも安定した水処理が可能となる。
【0023】
加えて、電解槽を薬液タンク(次亜タンク)に接続すれば、安定的に電解次亜を供給することができるから、薬液タンク内の薬液が劣化することなく、長期保管後に再稼働する場合や中長期の運用の際においても、薬液タンク内に安定した濃度の薬液を保持できる。また、薬液タンク内の薬液の補給や薬液の希釈の作業などの手間をなくすことができる。
【0024】
請求項2に係る発明によると、貯留槽を区画形成した仕切板からオーバーフローさせることにより食塩投入槽に真水を供給するようにしたので、真水の供給が限られている場合でも使用する真水を真水槽に貯留しているから、少水量、少流量の水源で水量や水圧の調整が難しい場合でも、安定的に真水を供給することができる。
しかも、真水槽からオーバーフローした真水を食塩投入槽に流入するようにしたので、真水槽に真水を供給する際には、真水槽を満水状態にすると共に、食塩投入槽と隔離された真水槽の真水を食塩投入槽へ供給することができる。
【0025】
請求項3に係る発明によると、真水槽から内部に液位計を備えた食塩投入槽に真水を供給制御しながら流入させて食塩投入槽内を飽和食塩水としたので、食塩投入槽の水位が低下した際には、真水槽に給水し、真水槽の真水を食塩投入槽に流入するように制御して、必要な真水を有効活用することができる。
また、液位計を食塩投入槽に設けて真水槽の流入を制御するから、真水槽には液位計を設ける必要がなく液位計の数を減らすことが可能となり、装置の大型化を抑制することができる。
加えて、真水槽に貯留する真水の貯留量を増加させることが可能となり、水源が限られた環境下でも、一定期間、食塩投入や真水の補給をしなくても電解処理に必要な飽和食塩水を貯留できるとともに真水を確保できる。
【0026】
請求項4に係る発明によると、濃度調整手段は、真水ポンプと食塩水ポンプで構成され、真水ポンプと食塩水ポンプにより所定の希釈食塩水濃度になるように真水ポンプと食塩水ポンプの混合比率を制御するようにしたので、バルブ等の制御が難しく、流量を大きくすることができない場合でも、真水ポンプと食塩水ポンプとの比率を調整するだけで、少量の真水と少量の飽和食塩水を混合して、所定の希釈食塩水濃度にすることができる。
【0027】
請求項5に係る発明によると、混合槽の流入側には、逆椀構造部と流路を有する仕切板を配置し、混合槽の流出側には、飽和食塩水と真水を拡散させる滞留部を設けたので、仕切板により、濃度調整手段より合流させた真水と飽和食塩水を混合槽内で十分に撹拌させて混合し、さらに、滞留部で飽和食塩水と真水を拡散させて、極少量の希釈食塩水を均一な濃度にすることができる。
よって、極少量であっても、安定した濃度の希釈食塩水を電解槽に連続供給が可能となり、電解次亜の生成効率の向上を図ることができる。
【0028】
請求項6に係る発明によると、電解次亜生成装置を所定の枠体内に収容して、可搬式浄水装置の逆洗タンク、逆洗ライン又は濾過水ラインの何れか1つに電解次亜生成装置の真水槽に真水を取水する取水ラインを接続すると共に、電解槽に接続した次亜タンクを次亜ラインを介して濾過水ラインの次亜注入部に接続したので、電解槽により生成した電解次亜を次亜タンクに供給可能となり、しかも、次亜タンク内の薬液が劣化することなく、次亜タンク内に安定した濃度の薬液を保持可能となる。
また、この装置を稼働するとき、電解槽で生成した薬液を、次亜タンクの次亜ラインを介して濾過水ラインの次亜注入部に注入できるから、常時安定した濃度の次亜注入(薬液注入)をすることができ、安定した水質の浄水処理が可能で、少水量の水処理に好適な可搬式浄水処理装置を提供することができる。
加えて、長期保管後に再稼働する場合や中長期の運用の際に、次亜タンクの薬液補給の作業が不要となるから、可搬式浄水処理装置の使用価値、利便性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の実施形態における電解次亜生成装置とこの装置を可搬式浄水装置に適用した状態を説明するフロー図である。
図2】同上の貯留槽の食塩投入槽内に飽和食塩筒を設けた状態を示す拡大説明図である。
図3】同上の混合槽の一例を示した拡大断面図である。
図4図1の他例におけるフロー図である。
図5】電解次亜生成装置を可搬式浄水装置に配置した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明における電解次亜生成装置を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態における電解次亜生成装置とこの装置を可搬式浄水装置に適用した状態を説明するフロー図である。
【0031】
図1に示すように、貯留槽2の水槽内は、仕切板16によって真水を貯留する真水槽11と食塩水を貯留する食塩投入槽12を区画形成しており、貯留槽2を区画形成した仕切板16は、真水槽11の真水が仕切板16を越流可能に設けている。
本例は、貯留槽2に真水槽11と食塩投入槽12を設け、真水を一旦真水槽11に貯めて、真水槽11から越流させた真水を食塩投入槽12に供給している。
【0032】
また、真水槽11には、液位計を設けておらず食塩投入槽12の液位計13の液面水位に基づいて、真水槽11の真水供給が制御される。
真水槽11の真水給水は、食塩投入水槽12の液面水位が所定の水位まで低下したときに開始され、取水ライン19に設けた真水取水弁(電磁弁)18を制御盤により弁開状態に制御すると、取水ライン19の真水が水槽内に流入して真水が貯留される。
【0033】
また、一定の水位まで上昇すると、真水槽11の真水が仕切板16を越流して食塩投入槽12に送られる。真水槽11から流入した真水により食塩投入槽12の液面が上昇して所定の液面水位に達すると、電磁弁18を閉状態に制御して真水槽11への真水供給は停止される。これにより、真水槽11への真水供給と食塩投入槽12への真水供給が停止する。また、真水供給が停止されるときには、真水槽11と食塩投入槽12が満水状態になるように制御している。
このように、本例では、食塩投入槽12に設けた液位計13のみで、真水槽11と食塩投入槽12の二つの水槽の液面管理をしている。
【0034】
また、真水槽11に貯留した真水は、真水ポンプ7により真水ライン21を介して電解ユニット23内の電解槽5に送水され、希釈食塩水をつくるために使用される。
このため、図2に示すように、真水槽11の貯水量は、食塩水投入槽12に設置された液位計13の満水レベルから真水供給を開始レベルの間で飽和食塩水を希釈するのに必要な水量以上を確保できる貯水量としている。
【0035】
食塩投入槽12は、蓋など取外して水槽の上方開口から食塩を投入可能であり、食塩投投入後、しばらく食塩補充をしなくても十分な飽和食塩水を貯留可能な容量に設けている。食塩投入槽内には、底部に板状フィルタ15を有する筒状の飽和食塩筒14を設けると共に、水槽内の液面水位を監視する液位計13を有している。
【0036】
飽和食塩筒14内の飽和食塩水を食塩水ポンプ8で取水して食塩水ライン22を介して飽和食塩水を供給する際に、ポンプが未溶解で固体状態の食塩などの吸込みを防ぐためにフィルタ15が飽和食塩筒14の底部に設けられており、これにより不純物や固形物のない飽和食塩水を食塩水ポンプ8により送水している。
【0037】
図2において、Lは最低食塩投入高さであり、Lは最高食塩投入高さであり、水槽内の液位計13は、最高食塩投入高さよりも高い位置に設けて、液面水位が最高液面水位Xから最低液面水位Xになったとしても、食塩の上面には必ず液面があるように設定して、食塩が露出しないように液面水位を管理している。
そのため、投入した食塩が露出して固まることがなく、食塩投入槽12内に飽和食塩水が貯留される。
【0038】
また、Yは真水槽11の液面水位の低水位状態を示し、Yは真水槽の液面水位の高水位状態を示しており、真水槽11に長期間補水をしなくても、必要な真水の水量を確保できるような貯水量としている。
前述したように、真水槽11内には液位計は設けておらず、食塩投入槽12の液面水位に基づいて真水供給を制御するので、液位計を減らし真水槽内のスペースをできるだけ拡張して、真水の貯水量を増加させることができため、コンパクトな構成の水槽でありながら必要な水量を確保できる。
【0039】
なお、貯留槽内を仕切板により、真水槽11と食塩投入槽12を区画形成しているが、真水槽11と食塩投入槽12とを個別の水槽とした貯水槽により構成とすることも可能である。
また、真水槽11から食塩投入槽12に真水を流入させる手段は、仕切板16からオーバーフローにより供給する手段に限定されず、実施形態に合わせて適宜設定することができる。例えば、仕切板に貫通穴を設けて真水を流入させることも可能であり、真水槽と食塩投入槽を筒状樹脂パイプなどにより接続して、この樹脂パイプの貫通穴から真水供給してもよい。
【0040】
よって、この貯留槽2では、真水槽11に真水供給する際には、オーバーフローにより食塩投入槽12に真水供給しているので、真水槽11内を満水状態にするときには、食塩投入槽内も満水状態にすることができ、食塩の補充や真水の補給を長期間しない場合でも電解処理できるように、電解処理に必要な飽和食塩水を貯留しつつ、充分な真水の水量を確保して、水源が限られた環境下でも極少量の希釈食塩水をつくるのに必要な水を保持できる。
【0041】
濃度調整手段3は、真水槽11に貯留した真水と食塩投入槽12に貯留した飽和食塩水とを個別に供給して所定の希釈食塩水濃度に制御する手段である。濃度調整手段3は、真水ポンプ7と食塩水ポンプ8で構成され、真水ポンプ7と食塩水ポンプ8により所定の希釈食塩水濃度になるように真水ポンプ7と食塩水ポンプ8の混合比率を制御するようにしている。
【0042】
食塩投入槽12に貯留した飽和食塩水を電解槽5に供給してそのまま電解すると生成効率が悪くなるため、本例では、食塩投入槽12に貯留した飽和食塩水を真水と混合して希釈してから、希釈食塩水を電解槽5に供給している。
【0043】
本例では、少水量、少流量の水処理に好適な極少量の希釈食塩水をつくるために、食塩水ポンプ7と真水ポンプ8にはチューブポンプを用いている。チューブポンプは、少水量、少流量の送水が可能であるから、ポンプの運転比率などを調整して、所定の混合比率に制御して目的の濃度で混合して極少量の希釈食塩水をつくることができる。
【0044】
例えば、3%の希釈食塩水を作る場合には、真水ポンプ7と食塩水ポンプ8の混合比率が、7.8:1となるようにポンプを調整すればよい。なお、所定の希釈食塩水濃度に調整できれば、チューブポンプ以外の他のポンプや他の手段でもよい。
【0045】
所定の比率に調整した状態で、真水ポンプ7と食塩水ポンプ8を運転することで、真水槽11の真水は真水ライン21を介して真水ポンプ7により送水され、食塩投入槽12の飽和食塩水は食塩水ライン22を介して食塩水ポンプ8により送水され、Y型コネクタ9を経由して、真水と飽和食塩水が混合されて、極少量の希釈食塩水となる。
【0046】
このように、ポンプの運転比率を調整するだけで、任意の希釈食塩水をつくることができるから、極少量の希釈食塩水の連続供給が可能となる。また、無隔膜法による電気分解での過剰な食塩消費量を抑制でき、過剰な頻度での補水、食塩投入を抑制し、装置の稼働期間を長くすることができる。
【0047】
Y型コネクタ9の後段の混合槽4は、濃度調整手段3から合流させて極少量の希釈食塩水濃度の均一化を図るために設けられている。少水量、少流量の場合には、撹拌作用を発揮することが難しいため、濃度調整手段3により得た希釈食塩水の濃度を均一化させている。
混合槽4の内部構造は、希釈食塩水の濃度の均一化を図ることができれば特に限定はなく、例えば、図3の混合槽4を適用することができる。
【0048】
図3に示す、一例の混合槽4は、流入側には、逆椀構造部43と流路を形成する仕切板44、45を配置し、流出側には、飽和食塩水と真水を拡散させる滞留部46を設けている。
流入側の流入部41では、逆椀構造部43により、混合槽4の流入部41に進入した食塩水と真水は逆椀構造43の椀内で衝突して逆方向に流路が変えられると共に、流入直後の液体と逆向きに戻ってきた液体とが強制的に混ざり合い、槽内で撹拌作用が発揮される。このため、液体の流速による撹拌効果が望めない水量が極めて少ない場合でも混合することが可能となる。
【0049】
混合槽4の内部には、貫通穴47を有する大仕切板44とこの仕切板よりもわずかに小さい小仕切板45を配置している。大仕切板44に形成した貫通穴47が小さい流路となっており、逆椀構造部43の外側のやや大きい流路から、この小さい流路に進入したときに流速が変化するので、混合作用が発揮される。
また、外周側の流路から内側の流路に流路を変えられることによって槽内の流れに変化が生じる。このため、槽内を流れる液体が大小の流路、および、内外の流路を通過するので、流路が拡大縮小して液体の流速が変化して撹拌作用が発揮される。
【0050】
混合槽4の流出側には、飽和食塩水と真水を拡散させる滞留部46を設けており、流出部42付近は、流路の幅よりも広い空間を形成している。このため、仕切板45の外周側から滞留部46に進入した液体は、この空間内で拡散して、飽和食塩水と真水を混合した希釈食塩水の均一化が図られる。
【0051】
このように、混合槽4内では、逆椀構造部43と、仕切板44と、仕切板45と、滞留部46とにより撹拌作用、拡散作用を発揮させて、混合槽内で希釈食塩水の濃度の均一化を図っている。
【0052】
電解槽5は、電解ユニット23内に収容されており、外観は略円柱形状で、混合槽4から供給された希釈食塩水を電解するための電極6を有している。また、電解槽5は注入ライン20を介して次亜タンク30に接続しており、電解槽5で生成した電解次亜を連続供給可能に構成している。
電極6は、陽極用電極と陰極用電極を構成するために、電解槽5の内周側に設けた電極と電解槽の軸心の中央位置に設けた棒状電極を電解槽5内に設けており、電解に必要な電気は電気ユニット24から供給されている。
【0053】
本例では、電解槽5は、電解ユニット23内の所定の区画に収容し、電解ユニット23と電気ユニット24の間に設けた切欠部より電気配線して、電気部品に液体がかからないようにして漏電を防止している。
なお、電解槽の形状は矩形形状の水槽でもよく、電極は、板状電極を使用することも可能であるが、省スペースに配置し、コンパクト化を図るためには、本例の略円柱形状の電解槽が好ましい。
【0054】
電解ユニット23には、漏液検知センサ10を備えており、電解ユニット内で液漏れが発生したときには、この漏液検知センサ10により液漏れを検知して、電気ユニット24からの電気供給を停止して漏電を防止している。
【0055】
電気ユニット24は、電気部品に電気供給するために電気供給源と電気制御する制御機構とを有する電気部27と、電解により発生したガスを換気するため又は電気部27で発生した熱を排気するためにファン25と排気機構26とを有している。本例では、ファン25の送風により送風ライン29を経由して熱やガスが排気機構26から排出される。また、電解で発生したガスは次亜タンク30に設けたガス抜き穴35から排気される。
【0056】
電気供給源は、例えば蓄電池などでもよい。また、外部電源より供給された電源を送電するように設けてもよい。制御機構は、電解次亜装置内の各種センサや電気供給を一括して制御するように設けてもよく、特定の電気部品のみ制御するように設けてもよい。
【0057】
なお、図4に示す他例のように、送風ライン29が電気ユニット24、電解ユニット23、次亜タンク室36を順に経由してガスや熱を排気するようにしてもよい。この順にファン25から送風するとき、電気ユニット24では電気部27で発生した熱を排出し、電解ユニット23では内部の熱やガスを排出し、次亜タンク室30では室内のガスが排出される。この場合は、電解ユニット23内でガス漏れが生じた場合、腐食性ガスが排気機構26から排出されるので、ファンが損傷することがない。
【0058】
本例は、電解ユニット23と電気ユニット24と貯留槽2とを着脱自在に固定部材により連結固定して、電解次亜装置の構成を分離可能に設けている。
従来の電解次亜装置では、メンテナンスの際には、メーカーの技術者が装置を設置した現場に行きメンテナンス作業をしていたので、メンテナンスのために維持管理コストが高くなっていた。
また、メンテナンスが必要な部品は、メーカーの技術者でなければ扱えない構造となっており、ユーザーが触れることはできない構造であったため、メーカーの技術者によるメンテナンス作業が実施できないことで、長期間、装置を稼働させることができない問題もあった。
【0059】
そこで、本例では、消耗しやすく交換が必要となる部品を容易に交換しやすいように構成している。
部品交換の必要が生じやすい部品(電解槽の電極、ポンプ、電磁弁など)を電解ユニット23に集約して格納し、この電解ユニット23の部品を着脱可能に構成して、ユーザーが必要に応じて、単独で交換作業をできようにしている。
【0060】
例えば、メンテナンス作業をする際には、各部品やその付近に設けた2次元バーコードなどにより、簡易に部品交換作業の解説や情報(動画による交換作業の説明など)を取得できようにして、容易にメンテナンス作業ができるようにしている。
【0061】
なお、消耗が生じやすい部品などには、使用状況や使用時間を記録してその記録に基づいて、メンテナンスの到来時期を知らせて、ユーザーが容易にメンテナス時期を管理できるような記録装置、通信機器、表示システムなどを設けてもよい。
【0062】
また、消耗が生じやすい部品を格納している電解ユニット23ごと交換してもよい。本例では、電解ユニット23と電気ユニット24と貯留槽2とを、個別に分離可能に構成しているから、交換した電解ユニット23をそのまま取付るだけでよいので、交換作業は容易となる。
【0063】
上記の構成によって、本願発明の電解次亜生成装置では、以下のような作用・効果を有している。
【0064】
本願発明に係る電解次亜生成装置は、貯留槽2を区画形成した仕切板16からオーバーフローさせることにより食塩投入槽12に真水を供給するようにしたので、真水の供給が限られている場合でも使用する真水を真水槽12に貯留できる。このため、少水量、少流量の水源で水量や水圧の調整が難しくポンプなどによる安定した送水が難しい場合でも、簡易な構成により、安定的に食塩投入槽12に真水を供給することができる。
【0065】
また、真水槽11からオーバーフローした真水を食塩投入槽12に流入するようにしたので、真水槽11に真水を供給する際には、真水槽11を満水状態にすると共に、食塩投入槽12も満水状態にすることができる。これにより、極少量の希釈食塩水の処理に必要な水量を確保可能となる。
【0066】
真水槽11から内部に液位計13を備えた食塩投入槽12に真水を供給制御しながら流入させて食塩投入槽12内を飽和食塩水としたので、食塩投入槽12の水位が低下した際には、真水槽11に給水し、真水槽11の真水を食塩投入槽12に流入するように制御して、また、真水槽11の真水給水を停止する際には、必ず、食塩の上面に液面水位があるように、食塩投入槽へ真水給水するので、必要な真水を有効活用することができと共に、投入した食塩が露出して固まることがなく、食塩投入槽12内に飽和食塩水が貯留することができる。
【0067】
液位計13を食塩投入槽12のみに設けて真水の流入を制御するから、真水槽11には液位計を設ける必要がなく液位計の数を減らすことが可能となり、装置の大型化を抑制することができる。
液位計の数を減らすことにより真水槽11のスペースを拡張して、真水槽11に貯留する真水の貯留量を増加させることが可能となり、水源が限られた環境下でも、一定期間、食塩投入や真水の補給をしなくても電解処理に必要な飽和食塩水を貯留できるとともに真水を確保できる。
【0068】
濃度調整手段3は、真水ポンプ7と食塩水ポンプ8で構成され、真水ポンプ7と食塩水ポンプ8との比率を調整して、所定の比率で真水ライン21から取水した真水と食塩水ライン22から取水した飽和食塩水を混合できるようにしているので、バルブ等の制御が難しく、流量を大きくすることができない場合でも、少量の真水と少量の飽和食塩水を混合して、所定の希釈食塩水濃度に調整することができる。真水ポンプ7と食塩水ポンプ8は、チューブポンプを用いることができ、少水量、少流量でも対応可能であり、簡易な構成で混合比率を調整できるから、極少量の希釈食塩水を連続的につくることができる。
【0069】
また、混合槽4の流入側には、逆椀構造部43と流路47を有する仕切板44、45を配置し、混合槽4の流出側には、飽和食塩水と真水を拡散させる滞留部46を設けたので、仕切板44、45により、濃度調整手段3より合流させた真水と飽和食塩水を混合槽4内で十分に撹拌させて混合し、さらに、滞留部46で飽和食塩水と真水を拡散させて、極少量の希釈食塩水を均一な濃度にすることができる。
【0070】
よって、極少量であっても、安定した濃度の希釈食塩水を電解槽5に連続供給が可能となり、電解次亜の生成効率の向上を図ることができる。
【0071】
続けて、本例の電解次亜生成装置を可搬式浄水装置に適用した実施形態について、説明する。図5は、電解次亜生成装置を可搬式浄水装置に配置した状態を示す説明図である。
【0072】
図5に示すように、可搬式浄水装置70は、枠体71の内部に中空糸膜モジュール51と逆洗タンク60を備え、中空糸膜モジュール51の1次側に原水ライン53を、2次側に濾過水ライン52を有し、濾過水ライン52を、逆洗ライン69を介して逆洗タンク60に接続し、逆洗タンク60には流出ライン62を介して濾過水ライン52に接続している。
また、可搬式浄水装置70の濾過水ライン52に電解次亜生成装置1の真水槽11に真水を取水する取水ライン19を接続すると共に、電解槽5に注入ライン20を介して接続した次亜タンク30は、次亜ライン33を介して濾過水ライン52の次亜注入部32に接続している。
【0073】
図5において、50は制御盤であり、電動弁65、66、67、68や濾過動作、逆洗動作など可搬式浄水装置の運転を制御している。
54はプレフィルタであり、55は濾過水を給水口から給水するための給水ラインであり、56は逆洗水排水ライン、57は原水取水ポンプ接続口、58は原水取水ポンプ、61は逆洗ポンプ、63は逆止弁、64は逆洗タンクの水位計、72は原水、73は原水取水ホースである。
【0074】
本例では、所定の枠体71内に電解次亜生成装置1を格納し、電解次亜生成装置の電解槽5は注入ライン20を介して次亜タンク30に接続して、電解槽5で生成した電解次亜を連続供給可能にしている。よって、電解次亜生成装置1で生成した電解次亜を、連続供給するので、次亜タンク30の薬液が劣化するこなく、フレッシュで安定した電解次亜を次亜タンク30内に保持できる。
【0075】
また、次亜タンク30の水位計31で監視した水位が所定水位になったときに、装置を稼働させて、電解槽5で生成した電解次亜を、次亜タンク30の次亜ライン33を介して次亜ポンプ34により濾過水ライン52の次亜注入部32に注入できるから、常時安定した濃度の次亜注入(薬液注入)をすることができ、安定した水質の浄水処理が可能となる。このため、山間部などで薬液補給が高頻度で行えない場合でも、常に、次亜供給が可能となる。
【0076】
さらに、本例では、常時、電解次亜生成装置により電解次亜が供給されるので、長期保管後に再稼働する場合や中長期の運用の場合などに、次亜タンク30の薬液補給の作業が不要となる。
【0077】
また、本例は、逆洗タンク60、流出ライン62、濾過水ライン52が、電解次亜生成装置1の真水槽11に真水を取水するための取水ライン19に接続している。
図5に示すように、流出ライン62は取水ライン19と接続しているので、電解次亜生成装置1の真水槽11に真水を供給する際には、逆洗タンク60内に貯留された逆洗水を逆洗ポンプ61により流出ライン62を介して送水して、真水槽11に真水を供給することができる。
【0078】
逆洗タンク60の流出ライン62から逆洗水を真水槽11に供給する場合、逆洗水には一定の濃度の塩素が含まれているので、真水槽11に真水(逆洗水)を貯留したときに塩素の殺菌作用により雑菌の繁殖を防ぐことができる。このため、真水槽11を満水状態にした後、しばらく、補水しないときに、衛生性に優れた真水を貯留することができる。
【0079】
また、濾過水ライン52から濾過水を真水槽11に供給する場合、中空糸膜モジュール51により濾過された濾過水は、濾過水ライン52から取水ライン19に流入して真水槽11に真水給水される。また、このとき、濾過水ライン52上に設けた次亜注入部32により次亜注入され、濾過水には一定の塩素が含まれているため、真水槽11に真水(濾過水)を貯留するときにも同様に雑菌の繁殖を防ぐことができる。但し、濾過水に含まれる塩素濃度は、逆洗水に含まれる塩素濃度よりも薄いので、殺菌作用を発揮できる期間は短くなる。
【0080】
いずれの場合も、貯留する真水には塩素が含まれているので、塩素を含まない場合と比べて、真水の衛生性を高めた状態で貯留できる。このため、実施形態に応じて、適宜、選択すればよい。
【0081】
よって、本例の電解次亜生成装置を可搬式浄水装置は、冬季期間における補充作業が困難となる山間部の小規模施設においても、予め食塩投入しておけば、連続して稼働させることが可能となり、維持管理作業の負担が軽減される。
また、常設時では、薬液の劣化が早い夏場などの高温期においてもオンサイトで必要なときに必要な量の薬液を生成できるから、濃度管理が容易であり維持管理の負担が軽減される。
【0082】
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は、前記実施の形態記載に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲に記載されている発明の精神を逸脱しない範囲で、種々の変更ができるものである。
【符号の説明】
【0083】
1 電解次亜生成装置
2 貯留槽
3 濃度調整手段
4 混合槽
5 電解槽
6 電極
7 真水ポンプ
8 食塩水ポンプ
9 Y型コネクタ
11 真水槽
12 食塩投入槽
13 液位計
14 飽和食塩筒
15 フィルタ
16 仕切板
18 真水取水弁(電磁弁)
19 取水ライン
20 注入ライン
21 真水ライン
22 食塩水ライン
30 次亜タンク
31 水位計
32 次亜注入部
33 次亜ライン
34 次亜ポンプ
41 流入部
42 流出部
43 逆椀構造部
44 仕切板(大仕切板)
45 仕切板(小仕切板)
46 滞留部
47 貫通穴
51 中空糸膜モジュール
52 濾過水ライン
53 原水ライン
54 プレフィルタ
55 給水ライン
56 逆洗水排水ライン
60 逆洗タンク
61 逆洗ポンプ
62 流出ライン
70 可搬式浄水装置
71 枠体
図1
図2
図3
図4
図5