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特開2024-58765画像処理方法、プロジェクター、及びプログラム
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  • 特開-画像処理方法、プロジェクター、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058765
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】画像処理方法、プロジェクター、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 9/31 20060101AFI20240422BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240422BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20240422BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20240422BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H04N9/31 820
G09G5/00 510B
G09G5/00 550C
G09G5/02 B
G09G5/36 520P
G09G5/36 520C
G09G5/00 530M
G09G5/36 520L
G09G5/00 520J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166062
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】西森 喬
【テーマコード(参考)】
5C060
5C182
【Fターム(参考)】
5C060GA01
5C060GD04
5C060JA18
5C182AA03
5C182AA04
5C182AA21
5C182AC03
5C182BA03
5C182BA14
5C182BC01
5C182BC22
5C182BC25
5C182CA15
5C182CA21
5C182CB04
5C182CB44
5C182CB52
5C182CC24
5C182CC26
5C182DA02
5C182DA04
5C182DA14
5C182DA18
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】処理の負荷を抑制でき、且つ補正後の画像の見た目に違和感が生じにくい色補正技術を提供する。
【解決手段】プロジェクター10Aは、処理装置110と、光学装置120と、を備える。処理装置110は、以下の第1取得部110a、第2取得部110b、補正部110c、及び投射制御部110dとして機能する。第1取得部110aは、光学装置120から画像を投射される投射面SSを撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得する。第2取得部110bは、第1画像のうちエッジを含む一部分にエッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得する。補正部110cは、光学装置120から投射面SSに投射する画像を、第2画像に基づいて補正する。投射制御部110dは、補正部110cにより補正された画像を、光学装置120を用いて投射面SSに投射する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、
前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、
前記光学装置から前記投射面に投射する投射画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、
を含む、画像処理方法。
【請求項2】
前記エッジをぼかす画像処理は、ディザー処理である、請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記ディザー処理において使用される色は前記第1画像に含まれる色である、請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記第2画像を取得することは、
前記撮像画像に前記減色処理及び前記エッジをぼかす画像処理を施した第3画像を取得することと、
前記第3画像において前記一部分に対応する部分を、前記第1画像における前記一部分に合成することによって、前記第2画像を取得することと、を含む、請求項1乃至3のうちの何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記投射画像を、前記第2画像を用いて補正することは、
第1時刻において前記第2画像を用いて前記投射画像を補正することであり、
前記第2画像において前記エッジをぼかす画像処理が施された位置又は強度とは異なる位置又は強度で、前記一部分に前記エッジをぼかす画像処理が施される第4画像を取得することと、
前記第1時刻とは異なる第2時刻において、前記第4画像を用いて前記投射画像を補正することと、
を更に含む、請求項1乃至3のうちの何れか1項に記載の画像処理方法。
【請求項6】
光学装置と、
処理装置と、を含み、
前記処理装置は、
前記光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、
前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、
前記光学装置から前記投射面に投射する画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、
前記第2画像に基づいて補正された画像を、前記光学装置を用いて前記投射面に投射することと、を実行する、プロジェクター。
【請求項7】
コンピューターに、
光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、
前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、
前記光学装置から前記投射面に投射する画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理方法、プロジェクター、及びプログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、部屋の壁面等、模様又は色彩が付与された面が画像の投射先となる投射面である場合、白色の投射面に投射した場合と同様の投射画像がユーザーの眼に映るようにするために、投射面における色の分布に応じて投射画像の色を予め補正する色補正が一般に行われる。投射面における色の分布に応じた色補正に関する技術としては、特許文献1に開示の技術が挙げられる。特許文献1には、予め設定された条件が満たされると色補正の補正値のキャリブレーションと色補正とを実行する技術が開示されている。特許文献1に開示の技術における色補正では、3次元ルックアップテーブルが利用される。以下では、3次元ルックアップテーブルは3D-LUTと表記される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-20093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
3D-LUTを用いた色補正には、色の数に比例して処理負荷及び回路規模が大きくなる、といった問題があった。3D-LUTを用いた色補正に先立って補正対象の画像に色の数を減らす減色処理を施せば、処理負荷及び回路規模を低減させることができる。しかし、補正対象の画像に減色処理を施すと、色の境界部分が目立ちやすくなり、色補正後の画像の見た目に違和感が生じやすくなる、という問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の画像処理方法の一態様は、光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、前記光学装置から前記投射面に投射する画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、を含む。
【0006】
また、本開示のプロジェクターの一態様は、光学装置と、処理装置と、を含み、前記処理装置は、前記光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、前記光学装置から前記投射面に投射する画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、前記第2画像に基づいて補正された画像を前記光学装置を用いて前記投射面に投射することと、を実行する。
【0007】
また、本開示のプログラムの一態様は、コンピューターに、光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、前記光学装置から前記投射面に投射する画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第1実施形態によるプロジェクター10Aの構成例を示す図である。
図2】プロジェクター10Aから投射画像を投射される投射面SSの一例を示す図である。
図3】第1実施形態におけるエッジをぼかす画像処理を説明するための図である。
図4】プロジェクター10Aの処理装置110がプログラムPRAに従って実行する画像処理方法の流れを示すフローチャートである。
図5】本実施形態の効果を説明するための図である。
図6】本開示の第2実施形態によるプロジェクター10Bの構成例を示す図である。
図7】第2実施形態におけるエッジをぼかす画像処理を説明するための図である。
図8】プロジェクター10Bの処理装置110がプログラムPRBに従って実行する画像処理方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に述べる実施形態には技術的に好ましい種々の限定が付されている。しかし、本開示の実施形態は、以下に述べる形態に限られるものではない。
(A:第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態によるプロジェクター10Aの構成例を示す図である。プロジェクター10Aには、図示せぬ画像供給装置が有線又は無線により接続される。プロジェクター10Aは、画像供給装置から供給される画像データの表す画像を投射面SSに投射する。画像供給装置の具体例としては、例えばパーソナルコンピューターが挙げられる。本実施形態における投射面SSは、プロジェクター10Aが設置される部屋の壁面である。投射面SSには、投射スクリーンとは異なり、様々な模様が様々な色彩で描かれている。図2は、投射面SSの一例を示す図である。図2に示される投射面SSには、例えば白色の下地に水色等の白色とは異なる色で水玉模様が描かれている。図2における斜め線のハッチングは白色とは異なる色を表す。
【0010】
図1に示されるようにプロジェクター10Aは、処理装置110、光学装置120、カメラ130、及び記憶装置140、を含む。プロジェクター10Aは、処理装置110、光学装置120、カメラ130、及び記憶装置140の他に、画像供給装置と有線又は無線により通信する通信装置、及びユーザーの各種入力操作を受け付けるキーボード等の入力装置を含む。しかし、通信装置、及び入力装置については、本開示との関連が薄いため、図1では図示が省略されている。
【0011】
処理装置110は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサー、即ちコンピューターを含んで構成される。処理装置110は、単一のプロセッサーで構成されてもよいし、複数のプロセッサーで構成されてもよい。処理装置110は、記憶装置140に記憶されているプログラムPRAに従って作動することにより、プロジェクター10Aの制御中枢として機能する。
【0012】
光学装置120は、投射レンズ、液晶駆動部、液晶パネル、及び光源部、を含む。なお、図1では、投射レンズ、液晶駆動部、液晶パネル、及び光源部の図示は省略されている。液晶駆動部は、処理装置110から供給される画像データに従って液晶パネルを駆動することにより、この画像データの表す画像を液晶パネルに描画する。光源部は、例えば、ハロゲンランプ又はレーザーダイオードなどの光源を含む。光源部からの光は、液晶パネルにおいて画素毎に変調され、投射レンズを介して画像光として投射される。この画像光が投射面SSに投射されることにより、投射面SSに投射画像が表示される。なお、光学装置120は、画像光を投射面SSに投射できる構成であればよく、液晶駆動部、及び液晶パネルに代えて、デジタルミラーデバイス(DMD)を備える構成であってもよい。
【0013】
カメラ130は、例えば、レンズ等の光学系にて集光された光を電気信号に変換する撮像素子であるCCD(Charge Coupled Device)又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等を備える。カメラ130は、投射面SSの中心に光軸が向くように姿勢を調整済である。カメラ130には、可視光を受光するため、可視光を透過させるフィルターが取り付けられている。カメラ130は、処理装置110による制御の下、投射面SSの画像を撮像する。カメラ130は、投射面SSを撮像する毎に、撮像した画像を表す画像データを処理装置110へ出力する。
【0014】
記憶装置140は、処理装置110が読み取り可能な記録媒体である。記憶装置140は、例えば、不揮発性メモリーと揮発性メモリーとを含む。不揮発性メモリーは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)又はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)である。揮発性メモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。記憶装置140の不揮発性メモリーには、本開示の画像処理方法を処理装置110に実行させるプログラムPRAが予め記憶されている。記憶装置140の揮発性メモリーは、プログラムPRAを実行する際のワークエリアとして処理装置110によって利用される。
【0015】
また、不揮発性メモリーには、カメラ130により撮像される撮像画像上の位置と光学装置120により表示される表示画像上の位置とを相互に変換するための変換データ、及び投射画像の色補正に用いる3D-LUTを生成する際に用いる各色の撮像データが予め記憶されている。変換データ、及び各色の撮像データは、周知のキャリブレーションを行うことにより適宜生成され、不揮発性メモリーに記憶される。
【0016】
キャリブレーションとは、カメラ130により撮像される撮像画像上の位置を規定するカメラ座標系と光学装置120における液晶パネル上の位置を規定するパネル座標系とを対応付けるための処理のことをいう。変換データの具体例としては、カメラ座標系とパネル座標系とを相互変換するための変換行列が挙げられる。変換データは、例えばガウシアンドット等のパターン画像を光学装置120から投射されている状態の投射面SSをカメラ130により撮像することで得られた撮像画像と当該パターン画像とを比較することで生成される。
【0017】
各色の撮像データは、R、G、及びBの各色の値が(0,0,0)、(0,0,64)、(0,0,128)…(255,255,192)、(255,255,255)の合計125枚の画像を光学装置120から投射面SSに順次投射し、各画像を投射されている状態の投射面SSをカメラ130により撮像することで生成される。なお、これら125枚の撮像画像を順次撮像する過程では、カメラ130の露光及びシャッタースピードは固定であることが好ましい。また、カメラ130のホワイトノイズ及び投射面SSの微細パターンを除去するために125枚の撮像画像の各々を表す撮像データには、メディアンフィルターによるノイズ除去処理が施されていることが好ましい。また、変換データを用いた射影変換等により各撮像画像から投射面SSに対応する部分のみが抽出されていることが好ましい。
【0018】
処理装置110は、プロジェクター10Aの電源投入等を契機としてプログラムPRAを不揮発性メモリーから揮発性メモリーへ読み出し、読み出したプログラムPRAの実行を開始する。プログラムPRAに従って作動している処理装置110は、図1に示される第1取得部110a、第2取得部110b、補正部110c、及び投射制御部110dとして機能する。図1に示される第1取得部110a、第2取得部110b、補正部110c、及び投射制御部110dは、プログラムPRAに従って処理装置110を作動させることにより実現されるソフトウェアモジュールである。図1に示される第1取得部110a、第2取得部110b、補正部110c、及び投射制御部110dの各々が担う機能は次の通りである。
【0019】
第1取得部110aは、光学装置120に全白色の画像を投射させ、当該画像を投射される状態の投射面SSをカメラ130により撮像して得られる撮像画像に減色処理を施すことによって得られる画像を表す第1の画像データを取得する。なお、第1の画像データを取得する際には、減色処理に先立ってホワイトノイズ等の除去及び投射面SSに対応する部分の抽出が施されていることが好ましい。減色処理の具体例としては、互いに隣接し且つ色が近似する複数の画素を一つの領域とし、領域毎に1つの色を割り当てることが挙げられる。第1の画像データにより表わされる画像は、本開示における第1画像の一例である。
【0020】
第2取得部110bは、第1取得部110aと同様に全白色の画像を投射されている投射面SSをカメラ130により撮像して得られる撮像画像に減色処理を施す。この減色処理による減色数は、第1取得部110aの減色処理における減色数と同一であってもよいし、異なっていてもよい。次いで、第2取得部110bは、当該減色済の画像においてエッジを含む一部分を処理対象部分として特定する。エッジとは、色の境界のことをいう。本実施形態における投射面SSは、図2に示されるように、白色の下地に白色とは異なる色で水玉模様が描画された壁面であるから、エッジとして各水玉の輪郭線が抽出される。加えて、本実施形態では、投射面SSにおいて色の境界となっているエッジの他に、減色処理を施すことにより現れた疑似境界に対応するエッジが抽出される。従って、本実施形態における処理対象部分には、投射面SSにおいて色の境界となっているエッジと疑似境界に対応するエッジとが含まれる。そして、第2取得部110bは、当該減色済の画像における処理対象部分に、エッジをぼかす画像処理を施した画像を取得する。図3は、本実施形態におけるエッジをぼかす画像処理を説明するための図である。本実施形態におけるエッジをぼかす画像処理は第1画像に含まれる色を用いたフロイドスタインバーグ方式のディザー処理であるが、ガウシアンフィルターを用いた処理であってもよい。
【0021】
より詳細に説明すると、第2取得部110bは、まず、全白色の画像を投射されている投射面SSをカメラ130により撮像して得られる画像を表す画像データをカメラ130から取得し、当該画像データに対して減色処理を施す。次いで、第2取得部110bは、減色処理を施した画像データにエッジ抽出を施し、エッジの位置を示すマスクデータを生成することにより処理対象部分を特定する。次いで、第2取得部110bは、減色処理を施した画像データの処理対象部分にエッジをぼかす画像処理を施し、減色処理及びエッジをぼかす処理が施された画像を表す第3の画像データを取得する。そして、第2取得部110bは、第1の画像データ、第3の画像データ、及びマスクデータに基づいて、第3の画像データの表す画像において処理対象部分に対する部分、即ちマスクデータの示す部分を、第1画像における処理対象部分にマージする。これにより、第2取得部110bは、全白色の画像を投射されている投射面SSをカメラ130により撮像して得られる撮像画像におけるエッジの部分に当該エッジをぼかす画像処理を施した画像を表す第2の画像データを取得する。第2の画像データの表す画像は本開示における第2画像の一例であり、第3の画像データの表す画像は本開示における第3画像の一例である。
【0022】
補正部110cは、光学装置120から投射面SSに投射する投射画像の色補正を行うための3D-LUTを、不揮発性記憶部に記憶されている各色の撮像データ及び第2の画像データに基づいて生成する。そして、補正部110cは、各色の撮像データ及び第2の画像データに基づいて生成した3D―LUTを用いて投射画像の色補正を行う。なお、3D-LUTの生成、及び3D-LUTを用いた投射画像の色補正については従来と特段に代わるところはない。
【0023】
投射制御部110dは、補正部110cにより補正済みの投射画像を表す画像データを光学装置120に与えることにより、補正済みの投射画像を投射面SSに表示させる。
【0024】
また、プログラムPRAに従って作動している処理装置110は、図4に示す画像処理方法を実行する。図4に示されるように、本実施形態の画像処理方法は、第1取得処理SA110、第2取得処理SA120、補正処理SA130、及び投射制御処理SA140を含む。
【0025】
第1取得処理SA110では、処理装置110は、第1取得部110aとして機能する。第1取得処理SA110では、処理装置110は、前述の第1の画像データを取得する。
【0026】
第2取得処理SA120では、処理装置110は、第2取得部110bとして機能する。第2取得処理SA120では、処理装置110は、前述の第2の画像データを取得する。
【0027】
補正処理SA130では、処理装置110は、補正部110cとして機能する。補正処理SA130では、処理装置110は、光学装置120から投射面SSに投射する投射画像の色補正を行うための3D-LUTを、各色の撮像データ及び第2の画像データに基づいて生成し、当該3D-LUTを用いて投射画像の色補正を行う。
【0028】
投射制御処理SA140では、処理装置110は、投射制御部110dとして機能する。投射制御処理SA140では、処理装置110は、補正処理SA130にて補正済みの投射画像を表す画像データを光学装置120に与えることにより、補正済みの投射画像を投射面SSに表示させる。
【0029】
本実施形態では、第1画像における処理対象部分に、撮像画像に減色処理及びエッジをぼかす画像処理を施した第3画像において処理対象部分に対する部分をマージすること、即ち第1画像における処理対象部分に第3画像において処理対象部分に対応する部分を合成することによって取得される第2画像に基づいて投射画像の色補正が行われる。本実施形態において投射画像を補正する際の基準となる第2画像における色の数は減色処理により低減されているので、3D-LUTを用いて投射画像の色補正を行う際の処理負荷が減色処理を施さない態様に比較して低減される。
【0030】
また、画像に減色処理を施すと、色の境界部分、即ちエッジが目立ちやすくなる。具体的には、図5におけるグラフGSに示されるように、投射面SSにおいて水平走査方向に沿った輝度が連続的に変化している部分であっても、同図5におけるグラフG1に示されるように第1画像では輝度が不連続に変化して疑似境界が発生する。この第1画像に基づいて投射画像の色補正を行い、図5におけるグラフPG1に示されるように水平走査方向に沿って輝度が変化する投射画像が、投射面SSにおいてグラフGSに示されるように輝度が変化している部分に投射されたとする。この場合、当該投射面SSを見るユーザーの眼には、グラフGSの表す輝度とグラフPG1の表す輝度とを合成した輝度、即ち図5におけるグラフPU1で示されるように輝度が変化する画像が映り、エッジが目立つ等の違和感が強くなる。
【0031】
これに対して、第2画像ではエッジの部分にエッジをぼかすディザー処理が施されているので、図5におけるグラフG2に示されるように第2画像では輝度が第1画像に比較して滑らかに変化する。この第2画像を基準として補正された投射画像では、図5におけるグラフPG2に示されるように輝度が変化し、投射面SSを見るユーザーの眼には、グラフGSの表す輝度とグラフPG2の表す輝度とを合成した輝度、即ち図5におけるグラフPU2で示されるように輝度が変化する画像が映り、見た目の違和感が軽減される。
【0032】
また、プロジェクター10Aがユーザーにより押される等してプロジェクター10Aと投射面SSとの相対的な位置関係に変化が生じると、投射画像におけるエッジに対応する投射面SS上の位置が変化するが、本実施形態ではエッジの部分はぼかされているため、投射画像の見た目に大きな変化が生じにくい。つまり、本実施形態によれば、投影位置ずれによるロバスト性が向上する。一方で、エッジから離れた箇所にはディザー処理は施されないため、均一な補正結果を得ることができる。なお、エッジ境界の幅、即ちエッジ境界の画素数、又はエッジの抽出感度を投射画像のフレーム毎に異ならせる、或いはディザパターンを投射画像のフレーム毎に異ならせる等、第2画像をフレーム毎に切り替えるようにすれば、投射面SSに近づいてもディザドットによる補正誤差が視認され難くなる。
【0033】
このように、本実施形態のプロジェクター10Aによれば、投射画像の色補正の処理負荷を減色によって軽減し、且つ色補正後の投射画像の見た目の違和感を軽減することができる。
【0034】
(B:第2実施形態)
図6は、本開示の第2実施形態によるプロジェクター10Bの構成例を示す図である。図6では図1におけるものと同じ構成要素には同一の符号を付与し、詳細な説明を省略する。図1図6とを比較すれば明らかなように、プロジェクター10Bの構成はプログラムPRAに代えてプログラムPRBが記憶装置140に記憶されている点においてプロジェクター10Aの構成と異なる。
【0035】
プログラムPRBは、当該プログラムPRBに従って作動している処理装置110を、第1取得部110a、第2取得部110e、第3取得部110f、補正部110g、及び投射制御部110dとして機能させる点においてプログラムPRAと異なる。
【0036】
第2取得部110eは、全白色の画像を投射されている状態の投射面SSのカメラ130による撮像画像に減色処理を施す点、色済の画像にエッジ抽出を施して処理対象部分を特定する点、及び当該減色済の画像における処理対象部分にエッジをぼかす画像処理を施した画像を表す第2の画像データを取得する点では第2取得部110bと同一である。第2取得部110eと第2取得部110bとの相違点については後に明らかする。
【0037】
第3取得部110fは、第2の画像データの表す画像とは処理対象部分の位置が異なる画像を表す第4の画像データを取得する。処理対象部分はエッジの位置であるから、本実施形態では、第3取得部110fは、第2取得部110eとは異なる抽出感度でエッジを抽出することにより、処理対象部分の位置を異ならせる。なお、第4の画像データの表す画像は、第2の画像データの表す画像とは異なる強さでエッジをぼかす画像処理が施される画像であってもよい。具体的には、第2の画像データと第4の画像データのうちの何れか一方においてエッジをぼかす画像処理の処理量、即ちエッジをぼかす強さが0の場合があってもよい。第2取得部110eは、エッジをぼかす画像処理の処理量が0となる場合がある点において第2取得部110bと異なる。本実施形態における第4の画像データの表す画像は本開示における第4画像の一例である。
【0038】
補正部110gは、第1時刻においては第2の画像データの表す画像を基準として3D-LUTを生成して投射画像を補正する一方、第1時刻とは異なる第2時刻においては第4の画像データの表す画像を基準として3D-LUTを生成して投射画像を補正する。第1時刻の一例としては奇数番目のフレームの時刻が挙げられ、第2時刻の一例としては偶数番目のフレームの時刻が挙げられる。図7は、本実施形態におけるエッジをぼかす画像処理を説明するための図である。本実施形態によれば、図7に示されるように第2の画像データの表す画像と第4の画像データの表す画像とではエッジの位置が異なり、ユーザーの眼には両画像の時間平均に対応する画像が映るので、結果としてエッジ部分がぼやけることとなる。
【0039】
また、プログラムPRBに従って作動している処理装置110は、図8に示す画像処理方法を実行する。図8に示されるように、本実施形態の画像処理方法は、第1取得処理SA110、第2取得処理SB120、第3取得処理SB125、補正処理SB130、及び投射制御処理SA140を含む。第2取得処理SB120では、処理装置110は、第2取得部110eとして機能する。第2取得処理SB120では、処理装置110は、前述の第2の画像データを取得する。第3取得処理SB125では、処理装置110は、第3取得部110fとして機能する。第3取得処理SB125では、処理装置110は、前述の第4の画像データを取得する。補正処理SB130では、処理装置110は、補正部110gとして機能する。補正処理SB130では、処理装置110は、第1時刻においては第2の画像データの表す画像を基準として3D-LUTを生成して投射画像を補正する一方、第1時刻とは異なる第2時刻においては第4の画像データの表す画像を基準として3D-LUTを生成して投射画像を補正する。
【0040】
本実施形態のプロジェクター10Bによっても、投射画像の色補正の処理負荷を減色によって軽減し、且つ色補正後の投射画像の見た目の違和感を軽減することができる。
【0041】
(C:変形)
上記各実施形態は、以下のように変形され得る。
(1)第1実施形態のプロジェクター10Aはカメラ130を含んでいたが、カメラ130はプロジェクター10Aには含まれず、プロジェクター10Aに対して通信線等を介して接続される別体の装置であってもよい。別第2実施形態のプロジェクター10Bに含まれるカメラ130も同様に、プロジェクター10Bには含まれず、プロジェクター10Bに対して通信線等を介して接続される別体の装置であってもよい。
【0042】
(2)上記第1実施形態における第1取得部110a、第2取得部110b、補正部110c、及び投射制御部110dはソフトウェアモジュールであった。しかし、第1取得部110a、第2取得部110b、補正部110c、及び投射制御部110dのうちの何れか一つ或いは複数、又は全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアモジュールであってもよい。第1取得部110a、第2取得部110b、補正部110c、及び投射制御部110dのうちの何れか一つ或いは複数、又は全部がハードウェアモジュールであっても、上記第1実施形態と同じ効果が奏される。第2実施形態における第1取得部110a、第2取得部110e、第3取得部110f、補正部110g、及び投射制御部110dについても同様に何れか一つ或いは複数、又は全部がハードウェアモジュールであってもよい。
【0043】
(3)プログラムPRAは単体で製造されてもよく、有償又は無償で提供されてもよい。プログラムPRAを提供する際の具体的な態様としては、フラッシュROM等のコンピューター読み取り可能な記録媒体にプログラムPRAを書き込んで提供する態様、又はインターネット等の電気通信回線経由のダウンロードによりプログラムPRAを提供する態様が挙げられる。これらの態様により提供されるプログラムPRAに従って一般的なコンピューターを作動させることで、当該コンピューターに本開示の表示方法を実行させることが可能になる。同様に、プログラムPRBが単体で製造されてもよく、有償又は無償で提供されてもよい。
【0044】
(D:本開示のまとめ)
本開示は、上述した実施形態及び変形例に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実現することができる。例えば、本開示は、以下の態様によっても実現可能である。以下に記載した各態様中の技術的特徴に対応する上記実施形態中の技術的特徴は、本開示の課題の一部又は全部を解決するために、或いは本開示の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
以下、本開示のまとめを付記する。
【0045】
(付記1)
本開示の一態様による画像処理方法は、光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、前記光学装置から前記投射面に投射する投射画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、を含む。本態様の画像処理方法における第2画像は、投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施し、更にエッジを含む一部分に当該エッジをぼかす処理を施すことで得られる。本態様の画像処理方法において投射画像を補正する際の基準となる第2画像における色の数は減色処理により低減されているので、3D-LUTを用いて投射画像の色補正を行う際の処理負荷が減色処理を施さない態様に比較して低減される。また、第2画像の元となった第1画像では減色処理により色の境界部分が目立ちやすくなっているが、第2画像では色の境界、即ちエッジの部分にエッジをぼかす処理が施されているので、第2画像では色の境界部分が目立ちにくくなっている。このように、本態様の画像処理方法によれば、投射画像の色補正の処理負荷を減色によって軽減し、且つ色補正後の投射画像の見た目の違和感を軽減することができる。
【0046】
(付記2)
より好ましい態様の画像処理方法は、前記エッジをぼかす画像処理は、ディザー処理である、(付記1)に記載の画像処理方法である。本態様によれば、第1画像のうちエッジを含む一部分にディザー処理を施すことで第1画像におけるエッジをぼかして第2画像を生成することができる。
【0047】
(付記3)
更に好ましい態様の画像処理方法は、前記ディザー処理において使用される色は、前記第1画像に含まれる色である、(付記2)に記載の画像処理方法である。本態様によれば、第1画像に含まれる色を用いて当該第1画像におけるエッジをぼかすディザー処理が行われるので、第1画像におけるエッジを自然にぼかすことができる。
【0048】
(付記4)
別の好ましい態様の画像処理方法は、前記第2画像を取得することは、前記撮像画像に前記減色処理及び前記エッジをぼかす画像処理を施した第3画像を取得することと、前記第3画像において前記一部分に対応する部分を、前記第1画像における前記一部分に合成することによって、前記第2画像を取得することと、を含む、(付記1)、(付記2)、又は(付記3)に記載の画像処理方法である。本態様によれば、投射画像を補正する際の基準となる第2画像を、第1画像においてエッジに対応する一部分に、撮像画像に減色処理及びエッジをぼかす画像処理を施した第3画像において当該一部分に対応する部分を合成することによって取得することができる。
【0049】
(付記5)
更に好ましい態様の画像処理方法は、前記投射画像を前記第2画像を用いて補正することは、第1時刻において前記第2画像を用いて前記投射画像を補正することであり、前記第2画像において前記エッジをぼかす画像処理が施された位置又は強度とは異なる位置又は強度で、前記一部分に前記エッジをぼかす画像処理が施される第4画像を取得することと、前記第1時刻とは異なる第2時刻において、前記第4画像を用いて前記投射画像を補正することと、を更に含む、(付記1)、(付記2)、(付記3)、又は(付記4)に記載の画像処理方法である。本態様の画像処理方法によれば、第1時刻とは異なる第2時刻では、第1時刻において投射画像の補正に用いる第2画像とは異なる位置及び強度でぼかす画像処理を投射面の撮像画像に施すことで得られる第4画像を用いて投射画像を補正することができる。
【0050】
(付記6)
本開示の一態様によるプロジェクターは、光学装置と、処理装置と、を含み、前記処理装置は、前記光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、前記光学装置から前記投射面に投射する画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、前記第2画像に基づいて補正された投射画像を、前記光学装置を用いて前記投射面に投射することと、を実行する。本態様のプロジェクターによれば、投射画像の色補正の処理負荷を減色によって軽減し、且つ色補正後の投射画像の見た目の違和感を軽減することができる。
【0051】
(付記7)
本開示の一態様によるプログラムは、コンピューターに、光学装置から画像を投射される投射面を撮像した撮像画像に減色処理を施すことによって得られる第1画像を取得することと、前記第1画像のうちエッジを含む一部分に前記エッジをぼかす画像処理を施すことで得られる第2画像を取得することと、前記光学装置から前記投射面に投射する画像を、前記第2画像に基づいて補正することと、を実行させる。本態様のプログラムによれば、投射画像の色補正の処理負荷を減色によって軽減し、且つ色補正後の投射画像の見た目の違和感を軽減することができる。
【符号の説明】
【0052】
10A,10B…プロジェクター、110…処理装置、110a…第1取得部、110b,110e…第2取得部、110c,110g…補正部、110d…投射制御部、110f…第3取得部、120…光学装置、130…カメラ、140…記憶装置、PRA,PRB…プログラム、SS…投射面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8