(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058772
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】固形物の混合方法及び固形物の混合設備
(51)【国際特許分類】
F23G 5/02 20060101AFI20240422BHJP
F23K 3/00 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
F23G5/02 D ZAB
F23K3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166077
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 篤徳
(72)【発明者】
【氏名】大澤 朋宏
(72)【発明者】
【氏名】西 宣夫
【テーマコード(参考)】
3K065
【Fターム(参考)】
3K065AA24
3K065AB01
3K065AC17
3K065BA05
3K065CA04
(57)【要約】
【課題】 既存の設備で異なる種類の固形物を適切に混合できる固形物の混合方法を提供する。
【解決手段】 投入口から投入した固形物を搬入装置で下流方向へ搬送して貯蔵装置に貯蔵する設備における固形物の混合方法であって、貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を切出して搬入装置に戻し、投入口から第1固形物とは異なる第2固形物を投入して搬入装置上で第1固形物と第2固形物とを混合する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入口から投入した固形物を搬入装置で下流方向へ搬送して貯蔵装置に貯蔵する設備における固形物の混合方法であって、
前記貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を切出して前記搬入装置に戻し、
前記投入口から前記第1固形物とは異なる第2固形物を投入して前記搬入装置上で前記第1固形物と前記第2固形物とを混合する、固形物の混合方法。
【請求項2】
投入口から投入した固形物を搬入装置で下流方向へ搬送して貯蔵装置に貯蔵する固形物の混合設備であって、
前記貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を切出す切出し装置と、
前記切出し装置で切出した前記第1固形物を前記搬入装置に戻す戻し装置と、を備え、
前記投入口から前記第1固形物とは異なる第2固形物を投入して前記搬入装置上で前記第1固形物と前記第2固形物とを混合する、固形物の混合設備。
【請求項3】
前記切出し装置で切出した前記第1固形物を前記下流方向へ搬出する搬出装置を備え、
前記第1固形物を前記搬出装置から前記戻し装置に落下させ、当該戻し装置で前記搬入装置に戻す、請求項2に記載の固形物の混合設備。
【請求項4】
前記搬出装置は、ベルト式コンベヤであり、
前記ベルト式コンベヤは、前記貯蔵装置から切出した前記第1固形物を前記下流方向へ搬出する状態と、前記戻し装置に搬送する状態とに切替え可能である、請求項3に記載の固形物の混合設備。
【請求項5】
前記搬出装置は、スクレーパ式コンベヤであり、
前記スクレーパ式コンベヤは、前記第1固形物を搬送途中から前記戻し装置に移すゲート装置を有している、請求項3に記載の固形物の混合設備。
【請求項6】
前記貯蔵装置は、少なくとも第1貯蔵装置と第2貯蔵装置とを含み、
前記第1貯蔵装置と前記第2貯蔵装置のいずれか一方は前記第1固形物を貯蔵し、
前記第1貯蔵装置と前記第2貯蔵装置の他方は前記第1固形物と前記第2固形物とを混合した混合固形物を貯蔵する、請求項2又は3に記載の固形物の混合設備。
【請求項7】
前記搬入装置は、前記投入口から投入された前記固形物の搬送速度を変更することが可能である、請求項2又は3に記載の固形物の混合設備。
【請求項8】
前記投入口は、当該投入口から前記搬入装置に投入する前記固形物の投入量を変更する投入量可変装置を有している、請求項2又は3に記載の固形物の混合設備。
【請求項9】
前記固形物は、異なる複数種類の固形燃料である、請求項2又は3に記載の固形物の混合設備。
【請求項10】
前記固形燃料は、前記第1固形物が石炭であり、前記第2固形物が固形バイオマス燃料である、請求項9に記載の固形物の混合設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、固形燃料などの固形物を混合する方法及び混合設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の固形物を混合して混合固形物を得る場合がある。例えば、異なる種類の石材などの固形物を混合する場合や、異なる種類の固形燃料を混合する場合などがある。以下、固形物として固形燃料を例に説明する。
【0003】
例えば、微粉炭焚ボイラなどでは石炭を燃料としているが、近年、脱炭素を目的としてカーボンニュートラル燃料の1つである木質バイオマス燃料の利用が注目されている。微粉炭焚ボイラをはじめとした噴霧燃焼式のボイラにおいては、石炭ミルでの粉砕が可能であり、燃料系統の改造が小規模で済むバイオマスペレット系燃料(ホワイトペレット(WP)又はバイオマスを半炭化してペレット化したブラックペレット(BP))の混焼需要が高まっている。流動床ボイラやストーカボイラにおいては、木質チップや建築廃材などの固形バイオマス燃料の混焼需要が高まっている。
【0004】
この種の文献として、石炭を主燃料とするボイラ火炉において、廃棄物を熱分解して生成される炭化燃料を副燃料として燃焼させる燃焼装置を記載したものがある(例えば、特許文献1参照)。この文献の燃焼装置は、運炭設備上に炭化燃料の貯蔵容器を備えさせ、運炭設備上で石炭に炭化燃料を一定割合で混合して混合した燃料を燃料バンカに貯蔵している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、石炭をはじめとする既存の燃料と固形バイオマス燃料を混焼する場合は、燃焼性やボイラの制御性に影響を与えることから、両燃料を均一に混ぜた状態でボイラに投入する必要がある。
【0007】
しかし、上記特許文献1のように運炭設備上に固形バイオマス燃料の貯蔵容器を備えさせて燃料を混合するためには、多大な建設費用等が必要となり実現は難しい。
【0008】
そこで、本出願は、既存の設備でも異なる種類の固形物を適切に混合できる固形物の混合方法及び固形物の混合設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本出願の一態様に係る固形物の混合方法は、投入口から投入した固形物を搬入装置で下流方向へ搬送して貯蔵装置に貯蔵する設備における固形物の混合方法であって、前記貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を切出して前記搬入装置に戻し、前記投入口から前記第1固形物とは異なる第2固形物を投入して前記搬入装置上で前記第1固形物と前記第2固形物とを混合する。
【発明の効果】
【0010】
本出願によれば、既存の設備であっても異なる種類の固形物を適切に混合することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本出願の第1実施形態に係る第1混合設備を模式的に示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す搬送装置に設けられたゲート装置の概略図面であり、(A)は閉鎖状態の断面図、(B)は開放状態の断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す第1混合設備で固形燃料を混合する状態を模式的に示す正面図である。
【
図4】
図4は、
図3に示す第1混合設備で混合した混合燃料を下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。
【
図5】
図5は、本出願の第2実施形態に係る第2混合設備を模式的に示す正面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示す第2混合設備で固形燃料を混合する状態を模式的に示す正面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示す第2混合設備で固形燃料の混合と同時に混合した固形燃料を下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示す第2混合設備で混合した混合燃料の混合割合をさらに変更して下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。
【
図9】
図9は、本出願の第3実施形態に係る第3混合設備を模式的に示す正面図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す第3混合設備で混合した混合燃料の混合割合をさらに変更して下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本出願に係る混合設備の実施形態を図面に基づいて説明する。本出願は、新設の混合設備、既設の混合設備のいずれでも実現可能であるが、以下の実施形態では、既設の貯蔵装置(以下、「貯蔵サイロ」という)を有する混合設備を例にして説明する。また、固形物は、固形燃料を例にし、第1固形燃料として石炭100、第2固形燃料として固形バイオマス燃料101を例にして説明する。この明細書及び特許請求の範囲の書類中における「上流方向」は「受入ホッパ10」の方向であり、「下流方向」は「バンカ52,53」の方向である。
【0013】
<第1混合設備の構成>
図1は、第1実施形態に係る第1混合設備1を模式的に示す正面図である。
図2は、
図1に示す搬出装置20に設けられたゲート装置25の概略図面であり、(A)は閉鎖状態の断面図、(B)は開放状態の断面図である。第1混合設備1は、貯蔵サイロ15が1つの例である。
図1は、固形燃料として石炭100を受け入れている状態を示している。
【0014】
<第1混合設備の構成>
図1に示すように、第1混合設備1は、車両70から石炭100が投入される受入ホッパ10を有している。受入ホッパ10に受け入れられた石炭100は、投入口11から搬入装置12に搬入される。搬入装置12に搬入された石炭100は、垂直搬送装置13によって貯蔵サイロ15の上方まで搬送され、垂直搬送装置13から貯蔵サイロ15に貯蔵される。この実施形態の搬入装置12は、ベルト式コンベヤとなっている。搬入装置12は、コンベヤベルトでの搬送量を調節できるように駆動モータが回転数可変となっている。この実施形態は、既設の設備が、貯蔵サイロ15に貯蔵した固形燃料を、切出し装置16で搬出装置20に切出し、その固形燃料を垂直搬送装置50で2つのバンカ52,53まで搬出する構成の例を示している。切出し装置16としては、ロータリバルブを用いることができる。ロータリバルブは、回転数を変更することで単位時間当りの切出し量を変更することができる。また、この例では2つのバンカ52,53が設けられているため、第1バンカ52と第2バンカ53のいずれに搬出するかを決める分岐コンベヤ51が設けられている。分岐コンベヤ51は、回転方向を正回転又は逆回転に変更することで、2つのバンカ52,53のいずれかに石炭100を搬出する。搬出装置20から下流の構成は一例である。
【0015】
第1混合設備1における搬出装置20は、スクレーパ式コンベヤ(以下、搬出装置20と同一の符号を付して「スクレーパ式コンベヤ20」ともいう)となっている。スクレーパ式コンベヤ20は、トラフ21の中でスクレーパ22を回転させるようになっており、スクレーパ22は、長手方向両端部に設けたスプロケットに掛けたチェーン23で回転駆動される。スクレーパ22は、トラフ21の幅方向に延びており、所定間隔で複数枚が設けられている。図における回転方向は、石炭100を下流方向へ送る回転方向を「正回転」、石炭100を上流方向へ送る回転方向を「逆回転」という。また、トラフ21の下流方向端部には、搬出口24が設けられている。
【0016】
そして、この搬出装置20の所定位置に、ゲート装置25が設けられている。
図2(A)に示すように、ゲート装置25は、ゲート26を閉じることでトラフ21内の石炭100を下流方向へ送ることができる。
図2(B)に示すように、ゲート装置25は、ゲート26を開放することでトラフ21内の石炭100を搬出装置20から下方へ落下させることができる。ゲート26の開閉は、例えば、電動アクチュエータなどの駆動装置27を用いることができる。
【0017】
ゲート装置25の下方には、このゲート装置25から落下させた石炭100を搬入装置12まで搬送する戻し装置30が設けられている。戻し装置30は、ベルト式コンベヤとなっている。戻し装置30は、搬出装置20のゲート装置25から落下させた石炭100を搬入装置12まで搬送できる長さとなっている。
【0018】
各構成は、制御装置40によって制御される。制御装置40は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ及びI/Oインターフェース等を有する。制御装置40は、受信部、記憶部、演算部及び出力部を有する。受信部及び出力部は、I/Oインターフェースにより実現される。記憶部は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリにより実現される。演算部は、不揮発性メモリに保存されたプログラムに基づいてプロセッサが揮発性メモリを用いて演算処理することで実現される。制御装置40による石炭100の切出量調整は、切出し装置16がロータリバルブの場合は、回転数制御によってできる。また、搬入装置12による固形バイオマス燃料101の受入量調整は、搬入装置12がベルト式コンベヤの場合は、駆動モータの回転数制御によってできる。
【0019】
このような第1混合設備1によれば、まず
図1に示すように、車両70によって受入ホッパ10に投入された石炭100が、受入ホッパ10の下部に設けられた投入口11から搬入装置12に投入される。搬入装置12に投入された石炭100は、垂直搬送装置13によって貯蔵サイロ15の上方まで搬送され、貯蔵サイロ15に貯蔵される。
【0020】
<第1混合設備による固形燃料の混合>
図3は、
図1に示す第1混合設備1で固形燃料を混合する状態を模式的に示す正面図である。
図4は、
図3に示す第1混合設備1で混合した混合燃料102を下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。固形燃料の混合は、第1固形物である石炭100と第2固形物である固形バイオマス燃料101とを混合する。第1混合設備1の場合、固形燃料を混合するときはスクレーパ式コンベヤ20が逆回転させられる。
【0021】
図3に示すように、貯蔵サイロ15に貯蔵されている石炭100は、切出し装置16によって搬出装置20に切出される。搬出装置20に切出される石炭100の量は、切出し装置16(ロータリバルブ)の回転数から単位時間当りの量を決定することができる。搬出装置20に切出された石炭100は、トラフ21のゲート装置25の部分から戻し装置30に落下させられ、戻し装置30によって搬入装置12まで搬送される。
【0022】
一方、受入ホッパ10には、車両70から固形バイオマス燃料101が投入される。受入ホッパ10に投入された固形バイオマス燃料101は、投入口11から搬入装置12に投入される。搬入装置12で搬入される固形バイオマス燃料101の単位時間当りの受入量は、コンベヤベルトを駆動する駆動モータの回転数で決定することができる。この搬入装置12に搬入された固形バイオマス燃料101に、戻し装置30で戻された石炭100が投入される。搬入装置12上では、固形バイオマス燃料101と石炭100とが混合されて混合燃料102となる。石炭100と固形バイオマス燃料101の混合割合については、制御装置40により、石炭100の量は第1貯蔵サイロ15の切出し装置16にて調整され、固形バイオマス燃料101の量は搬入装置12にて調整され、所定の混合割合に調整される。固形燃料の混合割合は、例えば、切出し装置16による石炭100の切出し量を増やすことで、石炭100の割合を多くできる。また、混合割合は、切出し装置16による石炭100の切出し量を減らすことで、固形バイオマス燃料101の割合を多くできる。この混合割合は、搬入装置12による固形バイオマス燃料101の搬送量を変更することでも同様にできる。
【0023】
このように石炭100と固形バイオマス燃料101とは、搬入装置12上で所望の割合で混合できる。搬入装置12上で混合された石炭100と固形バイオマス燃料101との混合燃料102は、垂直搬送装置13によって貯蔵サイロ15の上方まで搬送され、貯蔵サイロ15に貯蔵されている石炭100の上部に貯蔵される。
【0024】
このように、第1混合設備1によれば、石炭100と固形バイオマス燃料101とを所望の割合で混合した混合燃料102を得ることができる。
図3で貯蔵サイロ15に貯蔵されている混合燃料102は、石炭100の上部のみの状態であるが、貯蔵サイロ15の内部を全て混合燃料102とすることもできる。
【0025】
図4に示すように、貯蔵サイロ15に貯蔵された混合燃料102は、切出し装置16から搬出装置20に搬出できる。搬出装置20は、正回転で回転させられており、搬出装置20に搬出された混合燃料102は、搬出口24から垂直搬送装置50に搬出される。垂直搬送装置50に搬出された混合燃料102は、バンカ52,53の上方まで搬送され、分岐コンベヤ51によって2つのバンカ52,53のいずれかに供給される。
【0026】
以上のように、第1混合設備1によれば、1つの貯蔵サイロ15を備えた設備において2種類の固形燃料である石炭100と固形バイオマス燃料101とを適切に混合して混合燃料102を得ることができる。よって、既存の設備が1つの貯蔵サイロ15を備えた構成であっても、固形バイオマス燃料101を石炭100と適切に混合して混合燃料102を得ることが可能である。
【0027】
<第2混合設備の構成>
図5は、第2実施形態に係る第2混合設備2を模式的に示す正面図である。なお、上記した第1混合設備1と同一の構成には同一符号を付し、その構成の説明は省略する。
【0028】
第2混合設備2は、第1貯蔵サイロ15に加えて第2貯蔵サイロ17を有している例である。第2混合設備2も、搬出装置20がスクレーパ式コンベヤとなっている。スクレーパ式コンベヤ20の構成は、上記第1混合設備1と同様であり、トラフ21の中に設けられたスクレーパ22をチェーン23で回転させる構成となっている。そして、この実施形態の搬出装置20は、第1貯蔵サイロ15の切出し装置16よりも下流方向で第2貯蔵サイロ17の切出し装置18よりも上流の位置に第1ゲート装置25が備えられている。第1ゲート装置25は、
図2に示す構成と同じである。また、搬出装置20には、第2貯蔵サイロ17の切出し装置18よりも下流方向で戻し装置30に混合燃料102を落下させることができる位置に第2ゲート装置28が備えられている。第2ゲート装置28は、第1ゲート装置25と同一の構成である。第2混合設備2では、搬出装置20を正回転で駆動した状態で第1ゲート装置25及び第2ゲート装置28を開放すると、搬出装置20から固形燃料を戻し装置30に落下させることができる。
【0029】
第2混合設備2によれば、まず
図5に示すように、車両70によって受入ホッパ10に投入された石炭100が、受入ホッパ10の下部に設けられた投入口11から搬入装置12に投入される。搬入装置12に投入された石炭100は、垂直搬送装置13によって第1貯蔵サイロ15の上方まで搬送される。この石炭100は、2つの貯蔵サイロ15,17の上方に設けられた分岐コンベヤ14を逆回転で駆動することで、第1貯蔵サイロ15に貯蔵される。
【0030】
<第2混合設備による固形燃料の混合>
図6は、
図5に示す第2混合設備2で固形燃料を混合する状態を模式的に示す正面図である。
図7は、
図5に示す第2混合設備2で固形燃料の混合と同時に混合した混合燃料102を下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。
図8は、
図5に示す第2混合設備2で混合した混合燃料102の混合割合をさらに変更して下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。第2混合設備2においては、搬出装置20が正回転で駆動される。
【0031】
図6に示すように、第2混合設備2によれば、第1貯蔵サイロ15に貯蔵されている石炭100は、切出し装置16によって搬出装置20に切出される。搬出装置20に切出される単位時間当りの石炭100の量は、切出し装置16で決定することができる。搬出装置20は、第1ゲート装置25が開放されており、搬出装置20に切出された石炭100は開放されている第1ゲート装置25から戻し装置30に落下させられる。戻し装置30に落下させられた石炭100は、戻し装置30によって搬入装置12まで搬送される。
【0032】
一方、受入ホッパ10には、車両70から固形バイオマス燃料101が投入されている。受入ホッパ10に投入された固形バイオマス燃料101は、投入口11から搬入装置12に投入される。搬入装置12で搬入される固形バイオマス燃料101の単位時間当りの受入量は、搬入装置12のコンベヤベルトを駆動する駆動モータの回転数で決定することができる。この搬入装置12で搬入された固形バイオマス燃料101に、戻し装置30から石炭100が投入される。搬入装置12上では、固形バイオマス燃料101と石炭100とが混合される。石炭100の量と固形バイオマス燃料101の量の混合割合の調整は、制御装置40による第1貯蔵サイロ15の切出し装置16の回転数制御と、搬入装置12の駆動モータの回転数制御にて調整できる。
【0033】
これにより、搬入装置12上で石炭100と固形バイオマス燃料101とを所望の割合で混合することができる。搬入装置12上で混合された石炭100と固形バイオマス燃料101との混合燃料102は、垂直搬送装置13によって第2貯蔵サイロ17の上方まで搬送され、分岐コンベヤ14を正回転で駆動することで第2貯蔵サイロ17に貯蔵される。このように、第2混合設備2によれば、第2貯蔵サイロ17には、所定の割合で石炭100と固形バイオマス燃料101とを混合した混合燃料102が貯蔵される。
【0034】
図7に示すように、第2混合設備2によれば、石炭100と固形バイオマス燃料101とを混合して混合燃料102とする作業と並行して、第2貯蔵サイロ17に貯蔵した混合燃料102を下流方向のバンカ52,53へ供給することもできる。これは、第1貯蔵サイロ15の切出し装置16の位置と第1ゲート装置25の位置関係と、第2貯蔵サイロ17の切出し装置18と第2ゲート装置28の位置関係とによる。この場合、第2ゲート装置28は、閉鎖した状態である。第2混合設備2の搬出装置20によれば、第1貯蔵サイロ15から切出した石炭100を第1ゲート装置25から戻し装置30に落下させつつ、第2貯蔵サイロ17から切出した混合燃料102を搬出口24から垂直搬送装置50に搬出することができる。垂直搬送装置50に搬出された混合燃料102は、分岐コンベヤ51を介して第1バンカ52又は第2バンカ53に供給される。図は第2バンカ53に供給している状態を示している。
【0035】
このように、第2混合設備2によれば、石炭100と固形バイオマス燃料101との混合作業と並行して、混合した混合燃料102の下流方向への搬出とを同時に行うことができる。よって、第2貯蔵サイロ17の貯蔵量を越える混合燃料102を下流方向へ安定して供給することが可能となる。
【0036】
図8に示すように、第2混合設備2によれば、第1貯蔵サイロ15には石炭100を貯蔵した状態とし、第2貯蔵サイロ17には混合燃料102を貯蔵した状態としておくことができる。第1貯蔵サイロ15と第2貯蔵サイロ17は、このような貯蔵状態としておくことで、第1貯蔵サイロ15に貯蔵している石炭100と第2貯蔵サイロ17に貯蔵している混合燃料102とを搬出装置20上で混合できる。この混合燃料102は、垂直搬送装置50と分岐コンベヤ51とを介して下流のバンカ52,53へ供給できる。
【0037】
例えば、第2混合設備2において、第1貯蔵サイロ15に貯蔵している燃料と第2貯蔵サイロ17に貯蔵している燃料の混合率の差が大きい場合、各々を専用の貯蔵サイロとすると混合比の大きい方のサイロの燃料が早く無くなる。この場合、夜間や休日に燃料を受入れる必要が発生する可能性がある。第2混合設備2によれば、例えば第1貯蔵サイロ15は石炭100を最大限貯蔵している状態とし、第2貯蔵サイロ17は固形バイオマス燃料101が50%となった混合燃料102を最大限貯蔵した状態としておくことができる。第1貯蔵サイロ15と第2貯蔵サイロ17をこのような状態とすることで、第1貯蔵サイロ15と第2貯蔵サイロ17の切出し量を1:1として、石炭100と固形バイオマス燃料101とを搬出装置20に切出して混合燃料102とすることができる。このようにすれば、2台の貯蔵サイロ15,17の容量を最大限に使いつつ、固形バイオマス燃料101が25%の混合燃料102をバンカ52,53へ送り続けることができる。よって、混合燃料102での長期運用が可能となる。
【0038】
なお、第2混合設備2によれば、第2ゲート装置28を開放した状態で、第2貯蔵サイロ17に貯蔵した混合燃料102を搬出装置20に切出し、搬出装置20の第2ゲート装置28から戻し装置30に落下させることができる。このようにすれば、第2貯蔵サイロ17に貯蔵している混合燃料102を搬入装置12まで戻し、搬入装置12において混合燃料102に固形バイオマス燃料101をさらに混合することができる。このようにすれば、第2貯蔵サイロ17に貯蔵した混合燃料102を、さらに固形バイオマス燃料101の割合が多い混合燃料102にできる。
【0039】
このような第2混合設備2は、例えば、既存設備の改造などによって費用を抑えて混合設備を構成することができる。既設の設備は、石炭100を貯蔵する2つの貯蔵サイロ15,17と、貯蔵サイロ15の石炭100を切出し装置16で搬出装置20に切出し、垂直搬送装置50と分岐コンベヤ51を介してバンカ52,53に送る構成の場合などである。既存設備の具体的な改造は、搬出装置20には、固形バイオマス燃料101を混合する場合には貯蔵サイロ15から切出した石炭100を取り出せるゲート装置25を追加する。また、新たに追加する装置は、搬出装置20と搬入装置12との間に、ゲート装置25で取り出した石炭100を搬入装置12まで搬送するための戻し装置30を増設する。また、搬入装置12は、受入ホッパ10から受け入れる固形バイオマス燃料101の量を調整するために搬送量可変にする。この例では、搬入装置12がベルト式コンベヤであるため、駆動モータを回転数可変にする。また、制御装置40は、改造した各構成の制御が可能なように改造する。このような設備の改造は、固形バイオマス燃料101のサイロを新たに設置することなく、省スペース化、工期短縮、低コストで、第2混合設備2を構成できる。
【0040】
<第3混合設備の構成>
図9は、第3実施形態に係る第3混合設備3を模式的に示す正面図である。
図10は、
図9に示す第3混合設備3で混合した混合燃料102の混合割合をさらに変更して下流方向へ搬出する状態を模式的に示す正面図である。なお、上記した第2混合設備2と同一の構成には同一符号を付し、その構成の説明は省略する。第3混合設備3では、第1貯蔵サイロ15に石炭100が貯蔵されている状態から説明する。石炭100を第1貯蔵サイロ15に貯蔵する流れは、上記した第2混合設備2の
図5と同様である。
【0041】
第3混合設備3は、搬出装置29がベルト式コンベヤとなっている。搬出装置29は、ベルト式コンベヤであるため正回転と逆回転とに切替えることで、搬送方向が下流方向又は上流方向となる。また、第3混合設備3では、受入ホッパ10の投入口11に投入量可変装置60が設けられている。投入量可変装置60は、受入ホッパ10から搬入装置12に投入される固形燃料の投入量を変更することが可能となっている。投入量可変装置60としては、例えば、ロータリバルブを用いることができる。投入量可変装置60は、ロータリバルブを用いることで回転数の変更で固形燃料の投入量を変更できる。
【0042】
図9は、第3混合設備3において石炭100と固形バイオマス燃料101とを混合している状態を示している。第3混合設備3は、搬出装置29が逆回転で駆動される。そして、第1貯蔵サイロ15から切出し装置16で搬出装置29に切出した石炭100が、搬出装置29から戻し装置30に落下させられる。戻し装置30に落下させられた石炭100は、搬入装置12まで搬送される。
【0043】
一方、受入ホッパ10からは、戻し装置30で搬入装置12に戻される石炭100の量に対して所望の混合割合となる量の固形バイオマス燃料101が投入量可変装置60から投入される。これにより、戻し装置30で搬入装置12に戻された石炭100と投入量可変装置60から投入された固形バイオマス燃料101とが搬入装置12上で混合され、所望の混合割合となった混合燃料102を得ることができる。混合燃料102は、垂直搬送装置13を介して第2貯蔵サイロ17の上方まで搬送される。混合燃料102は、2つの貯蔵サイロ15,17の上方に設けられた分岐コンベヤ14を正回転で駆動することで、第2貯蔵サイロ17に貯蔵される。
【0044】
第3混合設備3では、石炭100と固形バイオマス燃料101との混合割合を任意に変更できるように、切出し装置16による石炭100の切出量と、投入量可変装置60による固形バイオマス燃料101の投入量が、制御装置40によって制御される。
【0045】
なお、第3混合設備3では、固形バイオマス燃料101の量を受入ホッパ10に備えられた投入量可変装置60で調整しているが、固形バイオマス燃料101の量は、他の実施形態のように搬入装置12で調整してもよい。搬入装置12による固形燃料の搬送量は、搬入装置12の搬送速度調整、投入量調整のいずれでもよい。
【0046】
第3混合設備3によれば、第2貯蔵サイロ17に貯蔵した混合燃料102を搬出装置29に切出し、下流のバンカ52,53へ供給することができる。また、第3混合設備3によれば、
図10に示すように、第1貯蔵サイロ15には石炭100を貯蔵した状態とし、第2貯蔵サイロ17には混合燃料102を貯蔵した状態としておくことができる。このようにすれば、搬出装置29を正回転で駆動し、第1貯蔵サイロ15に貯蔵している石炭100と第2貯蔵サイロ17に貯蔵している混合燃料102とを搬出装置29上に切出し、搬出装置29上で石炭100と混合燃料102とを混合することができる。よって、上記した第2混合設備2と同様に、2台の貯蔵サイロ15,17の容量を最大限に使いつつ、固形バイオマス燃料101の割合が少ない混合燃料102をバンカ52,53へ送り続けることができる。よって、混合燃料102での長期運用が可能となる。
【0047】
<その他の変更例>
上記した各実施形態は一例であり、上記した異なる実施形態の構成を組み合わせることもできる。例えば、第3混合設備3におけるベルトコンベヤ29はスクレーパ式コンベヤ20でもよい。また、既設の貯蔵サイロ15,17は1つ又は2つに限られず、さらに多くの貯蔵サイロが備えられた設備においても本出願は適用可能である。本出願は、要旨を損なわない範囲で種々の変更が可能であり、上記した実施形態に限定されない。
【0048】
また、上記した実施形態では固形物として固形燃料を混合する例を説明したが、固形物は固形燃料に限定されない。石炭100と固形バイオマス燃料101以外の組み合わせでも任意の混合割合とすることが可能である。例えば、大きさの異なる石材などの混合も可能であり、本出願の要旨を損なわない範囲で種々の構成を変更することは可能であり、本出願は上記した実施形態に限定されない。
【0049】
また、上記した実施形態は、第1固形燃料を石炭100とし第2固形燃料を固形バイオマス燃料101とした例を説明したが、第1固形燃料を固形バイオマス燃料101とし第2固形燃料を石炭100としてもよい。
【0050】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
[項目1]
投入口から投入した固形物を搬入装置で下流方向へ搬送して貯蔵装置に貯蔵する設備における固形物の混合方法であって、
前記貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を切出して前記搬入装置に戻し、
前記投入口から前記第1固形物とは異なる第2固形物を投入して前記搬入装置上で前記第1固形物と前記第2固形物とを混合する、固形物の混合方法。
【0051】
この構成により、貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を搬入装置まで戻すことで、投入口から搬入装置に投入して下流方向に搬送する第2固形物と搬入装置上で混合することができる。よって、第1固形物の貯蔵装置を備えていれば、第1固形物と第2固形物とを混合した混合物を得ることができる。
【0052】
[項目2]
投入口から投入した固形物を搬入装置で下流方向へ搬送して貯蔵装置に貯蔵する固形物の混合設備であって、
前記貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を切出す切出し装置と、
前記切出し装置で切出した前記第1固形物を前記搬入装置に戻す戻し装置と、を備え、
前記投入口から前記第1固形物とは異なる第2固形物を投入して前記搬入装置上で前記第1固形物と前記第2固形物とを混合する、固形物の混合設備。
【0053】
この構成により、貯蔵装置に貯蔵した第1固形物を切出し装置で戻し装置に切出し、この第1固形物を戻し装置で搬入装置まで戻すことで、投入口から搬入装置に投入して下流方向に搬送する第2固形物と搬入装置上で混合することができる。よって、第1固形物の貯蔵装置を備えていれば、第1固形物と第2固形物とを混合した混合物を得ることができる。
【0054】
[項目3]
前記切出し装置で切出した前記第1固形物を前記下流方向へ搬出する搬出装置を備え、
前記第1固形物を前記搬出装置から前記戻し装置に落下させ、当該戻し装置で前記搬入装置に戻す、項目2に記載の固形物の混合設備。
【0055】
このように構成すれば、第1固形物を切出し装置によって搬出装置に切出し、この第1固形物を搬出装置から戻し装置に落下させて搬入装置へ戻すことができる。
【0056】
[項目4]
前記搬出装置は、ベルト式コンベヤであり、
前記ベルト式コンベヤは、前記貯蔵装置から切出した前記第1固形物を前記下流方向へ搬出する状態と、前記戻し装置に搬送する状態とに切替え可能である、項目3に記載の固形物の混合設備。
【0057】
このように構成すれば、搬出装置がベルト式コンベヤの場合、第1固形物を下流方向へ送る方向に駆動するか戻し装置に送る方向に駆動するかを切り替えて適切に搬入装置まで戻すことができる。
【0058】
[項目5]
前記搬出装置は、スクレーパ式コンベヤであり、
前記スクレーパ式コンベヤは、前記第1固形物を搬送途中から前記戻し装置に移すゲート装置を有している、項目3に記載の固形物の混合設備。
【0059】
このように構成すれば、搬出装置がスクレーパ式コンベヤの場合、第1固形物を搬送途中のゲート装置から戻し装置に落下させて搬入装置まで適切に戻すことができる。
【0060】
[項目6]
前記貯蔵装置は、少なくとも第1貯蔵装置と第2貯蔵装置とを含み、
前記第1貯蔵装置と前記第2貯蔵装置のいずれか一方は前記第1固形物を貯蔵し、
前記第1貯蔵装置と前記第2貯蔵装置の他方は前記第1固形物と前記第2固形物とを混合した混合固形物を貯蔵する、項目2乃至5のいずれかに記載の固形物の混合設備。
【0061】
このように構成すれば、貯蔵装置が第1貯蔵装置と第2貯蔵装置とを有しているので、一方の貯蔵装置に第1固形物を貯蔵し、他方の貯蔵装置に第1固形物と第2固形物の混合物を貯蔵できる。よって、一方の貯蔵装置に第1固形物を残した状態で、他方の貯蔵装置に混合物を貯蔵できる。
【0062】
[項目7]
前記搬入装置は、前記投入口から投入された前記固形物の搬送速度を変更することが可能である、項目2乃至6のいずれかに記載の固形物の混合設備。
【0063】
このように構成すれば、搬入装置による固形物の搬送速度を変更して、貯蔵装置から搬入装置に戻される固形物の量に対する投入口から投入される固形物の量を調整できる。
【0064】
[項目8]
前記投入口は、当該投入口から前記搬入装置に投入する前記固形物の投入量を変更する投入量可変装置を有している、請求項2乃至6のいずれかに記載の固形物の混合設備。
【0065】
このように構成すれば、投入量可変装置で投入口から投入される固形物の量を変更して、貯蔵装置から搬入装置に戻される固形物の量に対する投入口から投入される固形物の量を調整できる。
【0066】
[項目9]
前記固形物は、異なる複数種類の固形燃料である、請求項2乃至8のいずれかに記載の固形物の混合設備。
【0067】
このように構成すれば、異なる複数種類の固形燃料を適切な割合で混合した混合燃料を得ることができる。
【0068】
[項目10]
前記固形燃料は、前記第1固形物が石炭であり、前記第2固形物が固形バイオマス燃料である、項目9に記載の固形物の混合設備。
【0069】
このように構成すれば、固形燃料である石炭と固形バイオマス燃料とを適切な割合で混合した混合燃料を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1 第1混合設備
2 第2混合設備
3 第3混合設備
10 受入ホッパ
11 投入口
12 搬入装置
13 垂直搬送装置
14 分岐コンベヤ
15 貯蔵サイロ(第1貯蔵サイロ)
16 切出し装置
17 第2貯蔵サイロ
18 切出し装置
20 搬出装置(スクレーパ式コンベヤ)
21 トラフ
22 スクレーパ
23 チェーン
24 搬出口
25 ゲート装置(第1ゲート装置)
26 ゲート
27 駆動装置
28 第2ゲート装置
29 搬出装置(ベルト式コンベヤ)
30 戻し装置
40 制御装置
50 垂直搬送装置
51 分岐コンベヤ
52 第1バンカ
53 第2バンカ
60 投入量可変装置
70 車両
100 石炭
101 固形バイオマス燃料
102 混合燃料