(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058773
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】包装箱、およびブランク
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20240422BHJP
B65D 5/50 20060101ALI20240422BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B65D5/54 C
B65D5/50 C
B65D81/05 500Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166078
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】安藤 聡真
【テーマコード(参考)】
3E060
3E066
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB18
3E060AC02
3E060BB01
3E060CC02
3E060CC18
3E060CC43
3E060CC52
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE16
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA14
3E060EA06
3E066AA75
3E066BA06
3E066CA03
3E066EA05
3E066FA11
3E066HA01
3E066JA03
3E066KA01
3E066KA02
3E066LA09
3E066MA09
3E066NA60
(57)【要約】
【課題】開封操作を容易にする包装箱、およびフランクを提供する。
【解決手段】上壁12は、側壁から蓋部を切り離すための左右で一対の上切込み線12Cを備え、前壁11は、前壁11から蓋部を切り離すための左右で一対の前切込み線11Cを備える。上切込み線12Cは、上壁12と後壁13との稜から前壁に向けて延びる。前切込み線11Cは、指掛け部11Nから前壁11の縁のなかで指掛け部11Nよりも上方に位置する部位まで延びる。緩衝保持板は、折曲げ線を備え、蓋部の立ち上がりと連動して折曲げを伸張するように後壁13と蓋部とに接合される。前壁11と上壁12との少なくとも一方が接続壁であり、前切込み線11Cは、上切込み線12Cに直接または接続壁の左右端辺のなかで側壁と接合されない部分を介して接続される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装物品が収容される空間を区切る外壁と、前記空間に前記包装物品を保持するように前記空間に位置する緩衝保持板と、を備え、前記外壁が前壁、後壁、下壁、上壁、および前記上壁に接続されて左右で一対の側壁から構成される、包装箱であって、
前記前壁と前記上壁とは、前記前壁のなかで指が掛けられる指掛け部から前記上壁に連続し、かつ前記指掛け部の引き上げによって前記上壁と前記後壁との稜から立ち上がる蓋部を備え、
前記上壁は、前記側壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の上切込み線を備え、
前記前壁は、前記前壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の前切込み線を備え、
前記上切込み線は、前記上壁と前記後壁との稜から前記前壁に向けて延び、
前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の縁のなかで前記指掛け部よりも上方に位置する部位まで延び、
前記緩衝保持板は、折曲げ線を備え、前記蓋部の立ち上がりに連動して前記緩衝保持板が折曲げを伸張するように前記後壁と前記蓋部とに接合され、
前記前壁と前記上壁との少なくとも一方が接続壁であり、
前記前切込み線は、前記上切込み線に直接または前記接続壁の左右端辺のなかで前記側壁と接合されない部分を介して接続される
ことを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の左右端辺まで延びる
請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記前壁の左右端辺は、前記側壁の前端辺とは別体であり、
前記前切込み線は、前記前壁の左右端辺における前記上壁と前記下壁との中間に接続される
請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記上切込み線は、前記上壁と前記側壁との稜に配置される
請求項1に記載の包装箱。
【請求項5】
前記側壁は、前記上壁から折曲げられた左右で一対の上壁フラップを備え、
前後方向における前記上壁フラップの長さは、前後方向における前記上壁の長さよりも短く、
前記上壁は、前記上壁フラップによって前記側壁に接続され、
前記上切込み線は、前記上壁と前記上壁フラップとの稜に配置され、
前記蓋部は、前記上壁の全体を備える
請求項4に記載の包装箱。
【請求項6】
前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の左右端辺まで延び、
前記上切込み線は、前記上壁と前記側壁との稜に配置される
請求項1に記載の包装箱。
【請求項7】
前記側壁は、前記上壁から折曲げられた左右で一対の上壁フラップと、前記後壁から折曲げられた左右で一対の後壁フラップと、前記下壁から折曲げられた左右で一対の下壁フラップと、から構成され、
前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の左右端辺における前記上壁と前記下壁との中間に接続され、
前後方向における前記上壁フラップの長さは、前後方向における前記上壁の長さよりも短く、
前記上壁は、前記上壁フラップによって前記側壁に接続され、
前記上切込み線は、前記上壁と前記上壁フラップとの稜に配置され、
前記蓋部は、前記上壁の全体を備え、
前記接続壁は、前記前壁および前記上壁である
請求項1に記載の包装箱。
【請求項8】
前記緩衝保持板は、
前記後壁から前記前壁まで延び、かつ前記上壁と平行な保持板と、
前記蓋部のなかで前記上壁に接合された接合板と、
前記保持板の前端辺から前記接合板まで延びる連結板と、を備え、
前記保持板と前記連結板とが、前記折曲げ線によって折曲げられている
請求項1に記載の包装箱。
【請求項9】
前記保持板は、上側保持板であり、
前記連結板は、上側前連結板であり、
前記緩衝保持板は、
前記後壁から前記前壁まで延び、かつ前記上壁と平行な下側保持板と、
前記下壁から前記下側保持板の前端辺まで延び、かつ前記下壁から連続する下側前連結板と、
前記下側保持板の後端辺から前記上側保持板の後端辺まで連なる後連結板と、を備え、
前記後連結板は、前記後壁に接合され、
前記上側保持板は、前記上側保持板を貫通する円形状の上側保持孔を備え、
前記下側保持板は、前記下側保持板を貫通する円形状の下側保持孔を備える
請求項8に記載の包装箱。
【請求項10】
前記指掛け部は、弧状を有する切断線によって前記前壁の左右方向における中央に区切られている
請求項1~9のいずれか一項に記載の包装箱。
【請求項11】
前記前壁は、前記前壁の左右方向における中央に前記前壁を貫通する指差込孔を備え、
前記指掛け部は、前記指差込孔のなかに突き出る舌片である
請求項1~9のいずれか一項に記載の包装箱。
【請求項12】
包装物品が収容される空間を区切る外壁と、前記空間に前記包装物品を保持するように前記空間に位置する緩衝保持板と、を備える包装箱を製造するためのブランクであって、
前記外壁は、前壁、後壁、下壁、上壁、および左右で一対の側壁から構成され、
前記前壁と前記後壁とは、前記上壁を介して連結され、
前記上壁と前記下壁とは、前記後壁を介して連結され、
前記側壁は、前記上壁から折曲げられた左右で一対の上壁フラップと、前記後壁から折曲げられた左右で一対の後壁フラップと、前記下壁から折曲げられた左右で一対の下壁フラップと、から構成され、
前記前壁と前記上壁とは、前記前壁のなかで指が掛けられる指掛け部から前記上壁に連続し、かつ前記包装箱において前記指掛け部の引き上げによって前記上壁と前記後壁との稜から立ち上がる蓋部を備え、
前記上壁は、前記側壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の上切込み線を備え、
前記前壁は、前記前壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の前切込み線を備え、
前記緩衝保持板は、折曲げ線を備え、前記包装箱において前記蓋部の立ち上がりに連動して前記緩衝保持板が折曲げを伸張するように前記後壁と前記蓋部とに接合され、
前記前壁と前記上壁との少なくとも一方が接続壁であり、
前記前切込み線は、前記上切込み線に直接または前記接続壁の左右端辺のなかで前記側壁と接合されない部分を介して接続される
ことを特徴とするブランク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、包装物品を収容するための包装箱、およびブランクに関する。
【背景技術】
【0002】
卵などの包装物品を収容するための紙製の包装箱は、例えば前壁、後壁、下壁、蓋板、左側壁、および右側壁を備える。包装箱の一例は、上下で一対の緩衝保持板をさらに備える。各緩衝保持板は、当該緩衝保持板が蓋板と平行になるように、下壁と蓋板との間に位置する。各緩衝保持板は、上下方向に貫通する保持孔を備える。包装物品は、各緩衝保持板に取り囲まれるように、各緩衝保持板の保持孔に通される。各緩衝保持板は、包装箱の外側から包装物品に作用する外力を和らげる(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
前壁は、上下で一対の前壁切り込みを備える。各前壁切り込みは、緩衝保持板と平行に位置すると共に、前壁における左右方向の一端から他端まで延びる。そして、前壁のなかで一対の前壁切り込みに挟まれた部分が前壁から切り離される。これによって、包装箱に収容された包装物品が包装箱の前方から視認される。
【0004】
蓋板は、蓋板の前方辺である前折罫線と、蓋板における前後方向の中央に配置された蓋折罫線と、を備える。包装箱は、蓋板から前壁に向けて前折罫線で折曲げられている。前折罫線と蓋折罫線とは、それぞれ蓋板における左右方向の一端から他端まで延びる。蓋体は、左右で一対の蓋板切り込みをさらに備える。蓋板切り込みは、左右方向における蓋板の端部に位置する。蓋板切り込みは、前折罫線から蓋折罫線まで延びる。そして、蓋板のなかで一対の蓋板切り込みに挟まれた部分が蓋板から切り離されて上方に持ち上げられる。これによって、蓋板が開放されるように、蓋板が蓋折罫線で折曲げられると共に、包装箱に収容された包装物品が包装箱の外部に取り出し可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、上述した包装箱の開封は、(i)前壁切り込みに挟まれた部分を左右方向に引っ張りながら前壁から切り離す操作、および(ii)蓋板切り込みに挟まれた部分を上方に引っ張りながら蓋板から切り離して蓋折罫線で蓋板を折曲げる操作を要する。(i)前壁の切り離し操作と、(ii)蓋板の切り離し操作と、を相互に異なる方向に別々に進めるような複雑な操作は、包装箱に本来求められる開封の簡便さを実現しがたたくする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための包装箱は、包装物品が収容される空間を区切る外壁と、前記空間に前記包装物品を保持するように前記空間に位置する緩衝保持板と、を備え、前記外壁が前壁、後壁、下壁、上壁、および前記上壁に接続されて左右で一対の側壁から構成される、包装箱である。前記前壁と前記上壁とは、前記前壁のなかで指が掛けられる指掛け部から前記上壁に連続し、かつ前記指掛け部の引き上げによって前記上壁と前記後壁との稜から立ち上がる蓋部を備える。前記上壁は、前記側壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の上切込み線を備える。前記前壁は、前記前壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の前切込み線を備える。前記上切込み線は、前記上壁と前記後壁との稜から前記前壁に向けて延び、前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の縁のなかで前記指掛け部よりも上方に位置する部位まで延びる。前記緩衝保持板は、折曲げ線を備え、前記蓋部の立ち上がりに連動して前記緩衝保持板が折曲げを伸張するように前記後壁と前記蓋部とに接合される。そして、前記前壁と前記上壁との少なくとも一方が接続壁であり、前記前切込み線は、前記上切込み線に直接または前記接続壁の左右端辺のなかで前記側壁と接合されない部分を介して接続される。
【0008】
上記課題を解決するためのブランクは、包装物品が収容される空間を区切る外壁と、前記空間に前記包装物品を保持するように前記空間に位置する緩衝保持板と、を備える包装箱を製造するためのブランクである。前記外壁は、前壁、後壁、下壁、上壁、および左右で一対の側壁から構成される。前記前壁と前記後壁とは、前記上壁を介して連結され、前記上壁と前記下壁とは、前記後壁を介して連結され、前記側壁は、前記上壁から折曲げられた左右で一対の上壁フラップと、前記後壁から折曲げられた左右で一対の後壁フラップと、前記下壁から折曲げられた左右で一対の下壁フラップと、から構成される。前記前壁と前記上壁とは、前記前壁のなかで指が掛けられる指掛け部から前記上壁に連続し、かつ前記包装箱において前記指掛け部の引き上げによって前記上壁と前記後壁との稜から立ち上がる蓋部を備える。前記上壁は、前記側壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の上切込み線を備える。前記前壁は、前記前壁から前記蓋部を切り離すための左右で一対の前切込み線を備える。前記緩衝保持板は、折曲げ線を備え、前記包装箱において前記蓋部の立ち上がりに連動して前記緩衝保持板が折曲げを伸張するように前記後壁と前記蓋部とに接合される。そして、前記前壁と前記上壁との少なくとも一方が接続壁であり、前記前切込み線は、前記上切込み線に直接または前記接続壁の左右端辺のなかで前記側壁と接合されない部分を介して接続される。
【0009】
上記各構成によれば、前壁から上方に向けて指掛け部を引き上げる操作によって、指掛け部から上方に向けて前切込み線が切断される。さらに上方に指掛け部を引き上げる操作によって、上壁と後壁との稜まで上切込み線が切断される。前壁や側壁から切り離される蓋部は、上壁と後壁との稜から立ち上がり、包装箱を開封する。これによって、指掛け部の引き上げ方向のように、包装箱の開封方向が単一方向に設定される。そして、前壁に対する蓋部の切り離しから側壁に対する蓋部の切り離しまでのように、包装箱の開封操作が単一方向の操作として連続する。また、前切込み線も上切込み線も左右で一対であるから、開封操作が右手で行われる場合であれ、開封操作が左手で行われる場合であれ、包装箱の容易な開封操作が実現可能になる。
【0010】
一方、蓋部の立ち上がりと共に、蓋部と後壁とに接合された緩衝保持板も変位する。このとき、後壁のなかで緩衝保持板に接合される部位である被接合部位は、上壁と後壁との稜から離れている。このため、蓋部に位置する各点の立ち上がる軌跡は、蓋部の立ち上がりが進むほど、被接合部位から離れる。緩衝保持板に位置する各点もまた、蓋部の立ち上がりが進むほど、被接合部位から離れることを要求される。この点、蓋部が立ち上がるときに緩衝保持板の折曲げを伸張するように、緩衝保持板が後壁と蓋部とに接合されている。緩衝保持板における折曲げの伸張は、緩衝保持板に位置する各点が被接合部位から離れることを円滑に進める。結果として、蓋部の立ち上がりに連動する緩衝保持板の変位が円滑に進む。そして、単一方向の操作による包装箱の開封が円滑に進む。
【0011】
上記包装箱において、前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の左右端辺まで延びてもよい。
上記構成によれば、前壁における蓋部の範囲が指掛け部から前壁の左右端辺まで広がる。このため、前切込み線が前壁の左右端辺まで延びない場合と比べて、蓋部の引き上げによって前壁に開けられる範囲が広がる。結果として、包装箱から包装物品を取り出す作業が容易になる。
【0012】
上記包装箱において、前記前壁の左右端辺は、前記側壁の前端辺とは別体であり、前記前切込み線は、前記前壁の左右端辺における前記上壁と前記下壁との中間に接続されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、前切込み線の切断からはじめられる包装箱の開封が前壁の左右端辺を通じて前壁から上壁に続く。このように、側壁の前端辺とは予め別体である前壁の左右端辺が包装箱の開封に用いられる。このため、指掛け部から上壁まで前壁を切断する場合に比べて、包装箱の開封に要する負荷が軽減される。
【0014】
上記包装箱において、前記上切込み線は、前記上壁と前記側壁との稜に配置されてもよい。
上記構成によれば、上壁における蓋部の範囲が上壁における左右方向の全幅に広がる。このため、上切込み線が上壁と側壁との稜に配置されない場合と比べて、蓋部の引き上げによって包装箱に開けられる開口の範囲が広がる。結果として、包装箱から包装物品を取り出す作業が容易になる。
【0015】
上記包装箱において、前記側壁は、前記上壁から折曲げられた左右で一対の上壁フラップを備え、前後方向における前記上壁フラップの長さは、前後方向における前記上壁の長さよりも短く、前記上壁は、前記上壁フラップによって前記側壁に接続され、前記上切込み線は、前記上壁と前記上壁フラップとの稜に配置され、前記蓋部は、前記上壁の全体を備えてもよい。
【0016】
上記構成によれば、上壁フラップの前後方向における長さが上壁の前後方向における長さよりも短く、かつ上壁が上壁フラップによって側壁に接続される。このため、上壁の左右端辺が上壁フラップに接続されない部分、すなわち側壁に接続されない部分を備える。開封部の切り離しは、上壁の左右端辺なかで側壁から予め離されている部分の引き上げと、上壁フラップの切断とを通じて終わる。このため、前壁から後壁まで上壁を切断する場合に比べて、包装箱の開封に要する負荷が軽減される。また、蓋部が上壁の全体を備えるため、蓋部の引き上げによって包装箱に開けられる開口の範囲がさらに広がる。
【0017】
上記包装箱において、前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の左右端辺まで延び、前記上切込み線は、前記上壁と前記側壁との稜に配置されてもよい。
上記包装箱において、前記側壁は、前記上壁から折曲げられた左右で一対の上壁フラップと、前記後壁から折曲げられた左右で一対の後壁フラップと、前記下壁から折曲げられた左右で一対の下壁フラップと、から構成され、前記前切込み線は、前記指掛け部から前記前壁の左右端辺における前記上壁と前記下壁との中間に接続され、前後方向における前記上壁フラップの長さは、前後方向における前記上壁の長さよりも短く、前記上壁は、前記上壁フラップによって前記側壁に接続され、前記上切込み線は、前記上壁と前記上壁フラップとの稜に配置され、前記蓋部は、前記上壁の全体を備え、前記接続壁は、前記前壁および前記上壁でもよい。
【0018】
上記包装箱において、前記緩衝保持板は、前記後壁から前記前壁まで延び、かつ前記上壁と平行な保持板と、前記蓋部のなかで前記上壁に接合された接合板と、前記保持板の前端辺から前記接合板まで延びる連結板と、を備え、前記保持板と前記連結板とが、1つの前記折曲げ線によって折曲げられ、前記接合板と前記連結板とが、他の前記折曲げ線によって折曲げられてもよい。
【0019】
上記構成によれば、蓋部が立ち上がるときに折曲げを伸張するように、緩衝保持板が後壁と蓋部とに接合されている。緩衝保持板における折曲げの伸張は、蓋部の立ち上がりに連動する緩衝保持板の変位を円滑に進める。
【0020】
上記包装箱において、前記保持板は、上側保持板であり、前記連結板は、上側前連結板であり、前記緩衝保持板は、前記後壁から前記前壁まで延び、かつ前記上壁と平行な下側保持板と、前記下壁から前記下側保持板の前端辺まで延び、かつ前記下壁から連続する下側前連結板と、前記下側保持板の後端辺から前記上側保持板の後端辺まで連なる後連結板と、を備え、前記後連結板は、前記後壁に接合され、前記上側保持板は、前記上側保持板を貫通する円形状の上側保持孔を備え、前記下側保持板は、前記下側保持板を貫通する円形状の下側保持孔を備えてもよい。
【0021】
上記構成によれば、緩衝保持板が上側保持板と下側保持板とを備えると共に、上側保持板が上側保持孔を備え、かつ下側保持板が下側保持孔を備えるため、空間に卵などの球状の包装物品を保持することが可能ともなる。そして、下側前連結板から接合板まで連なる緩衝保持板が下壁に連なる。このため、単一方向の操作による開封を可能にした包装箱が一枚のブランクから製造可能にもなる。
【0022】
上記包装箱において、前記指掛け部は、弧状を有する切断線によって前記前壁の左右方向における中央に区切られてもよい。
上記構成によれば、前壁の左右方向における中央に、指掛け部が切断線によって区切られる。このため、右手が指掛け部に掛けられる場合であれ、左手が指掛け部に掛けられる場合であれ、指を掛ける操作が同様に実現される。また、指掛け部が貫通孔などに区切られる場合と比べて、前壁の機械的な剛性が高められる。
【0023】
上記包装箱において、前記前壁は、前記前壁の左右方向における中央に前記前壁を貫通する指差込孔を備え、前記指掛け部は、前記指差込孔のなかに突き出る舌片であってもよい。
【0024】
上記構成によれば、前壁の左右方向における中央に、指掛け部が指差込孔によって区切られる。このため、右手が指掛け部に掛けられる場合であれ、左手が指掛け部に掛けられる場合であれ、指を掛ける操作が同様に実現されるうえ、指を差し込む操作が容易ともなる。そして、指差込孔を通じた包装物品の前方からの視認が可能ともなる。
【発明の効果】
【0025】
本開示の包装箱、およびブランクによれば、包装箱の開封性が向上可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、一実施形態における包装箱の正面、平面、および右側面を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、包装箱を内部構造と共に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、包装箱の右側壁を切り欠いた包装箱の斜視図である。
【
図10】
図10は、包装箱の前壁が開封された包装箱の斜視図である。
【
図11】
図11は、包装箱の上壁が開封された包装箱の斜視図である。
【
図13】
図13は、変更例における包装箱の正面、平面、および右側面を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、包装箱の右側壁を切り欠いた包装箱の右側面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1から
図12を参照して包装箱、およびブランクを説明する。
[包装箱]
包装箱は、外壁を備える。外壁は、包装物品を収容する空間を区切る。包装箱は、ブランクシートから打ち抜かれた一枚のブランク(
図12を参照)のカートニングによって形成される。ブランクを構成する包材は、植物繊維や合成繊維などの繊維を膠着させた箱用板紙である。箱用板紙は、合成高分子物質を含有してもよいし、繊維状無機材料を含有してもよい。包材の一例は、白板紙である。包材は、チップボールでもよいし、色板紙でもよい。白板紙は、クラフト紙でもよいし、クラフト伸張紙でもよいし、グラシンでもよいし、コートボール紙でもよい。包材は、耐水紙でもよいし、耐油紙でもよいし、パール紙でもよいし、アルミ蒸着紙でもよい。
【0028】
包装物品の一例は、飲食物である。包装物品は、化粧品や美容用品でもよいし、スポーツ用品でもよいし、各種のギフトでもよい。包装物品は、球体状でもよいし、多面体状でもよいし、不定形状でもよい。包装箱の用途は、搬送用でもよいし、販促用でもよいし、陳列用でもよいし、収納用でもよい。包装箱による包装形式は、包装物品を個別に包装する個包装でもよいし、複数の包装物品をまとめて包装する集合包装でもよい。包装箱による包装形式は、包装物品に直接接する一次包装でもよいし、包装物品に間接的に接する二次包装でもよい。
【0029】
以下、包装箱の一例として、包装物品に卵を用いる個包装の搬送用、および陳列用の一次包装箱を説明する。
図1が示すように、外壁は、前壁11、上壁12、後壁13、下壁14、および上壁12に接続されて左右で一対の側壁から構成される。前壁11、上壁12、後壁13、および下壁14は、それぞれ矩形板状を有する。前壁11、上壁12、後壁13、および下壁14は、卵を収容する直方体状の空間を区切る。
【0030】
前壁11から後壁13に向く方向が後方であり、後壁13から前壁11に向く方向が前方であり、前方と後方との両方が前後方向である。上壁12から下壁14に向く方向が下方であり、下壁14から上壁12に向く方向が上方であり、上方と下方との両方が上下方向である。
【0031】
図12が示すように、ブランクは、前壁11、上壁12、後壁13、および下壁14の順に一列に前壁11、上壁12、後壁13、および下壁14を並べる。ブランクは、前壁11と後壁13とによって上壁12を挟み、かつ上壁12と下壁14とによって後壁13を挟む。
【0032】
図1に戻り、前壁11の上端辺11FTは、上壁12に連続すると共に、上壁12の前端辺を兼ねる。前壁11の上端辺11FTは、前壁11と上壁12との稜である。前壁11の上端辺11FTは、隙間を空けて並ぶ2つの切断線11Sを備えたスリット付き罫線である。罫線は、箱板紙を押し込むことによって形成される線状の溝である。各切断線11Sは、前壁11に対して上壁12を折り曲げやすくする。
【0033】
上壁12の後端辺12BTは、後壁13に連続すると共に、後壁13の上端辺を兼ねる(
図5を参照)。上壁12の後端辺12BTは、上壁12と後壁13との稜である。上壁12の後端辺12BTは、隙間を空けて並ぶ2つの切断線12Sを備えたスリット付き罫線である。各切断線12Sは、上壁12に対して後壁13を折り曲げやすくする。
【0034】
後壁13の下端辺13BBは、下壁14に連続すると共に、下壁14の後端辺を兼ねる(
図7を参照)。後壁13の下端辺13BBは、後壁13と下壁14との稜である。後壁13の下端辺13BBは、隙間を空けて並ぶ2つの切断線13Sを備えたスリット付き罫線である。各切断線13Sは、後壁13に対して下壁14を折り曲げやすくする。
【0035】
下壁14の前端辺14FBは、下側前連結板21EB(
図3を参照)に連続すると共に、下側前連結板21EBの下端辺を兼ねる。下壁14の前端辺14FBは、下壁14と下側前連結板21EBとの稜である。下壁14の前端辺14FBは、隙間を空けて並ぶ2つの切断線14Sを備えたスリット付き罫線である(
図7を参照)。各切断線14Sは、下壁14に対して下側前連結板21EBを折り曲げやすくする。
【0036】
[側壁]
図1が示すように、左右で一対の側壁は、複数のフラップから構成される。各側壁は、複数のフラップの接合によって形成される。各側壁は、包装箱の外部から包装物品を視認できるように、包装箱における側面の一部を開ける。右の側壁から左の側壁に向く方向が左方であり、左の側壁から右の側壁に向く方向が右方であり、右方と左方との両方が左右方向である。
【0037】
図12が示すように、上壁12は、左右で一対の上壁フラップ12FR,12FLを備える。後壁13は、左右で一対の後壁フラップ13FR,13FLを備える。下壁14は、左右で一対の下壁フラップ14FR,14FLを備える。右の側壁は、右の上壁フラップ12FR、右の後壁フラップ13FR、および右の下壁フラップ14FRから構成される。左の側壁は、左の上壁フラップ12FL、左の後壁フラップ13FL、および左の下壁フラップ14FLから構成される。
【0038】
図1に戻り、上壁フラップ12FR,12FLは、前後方向に延びる板状を有する。上壁12の左右端辺12R,12L(
図4,5を参照)で上壁12から折曲げられている。上壁フラップ12FR,12FLは、上壁12の左右端辺12R,12Lにおける前端部を切り欠かれている。上壁フラップ12FR,12FLの切り欠き12FKは、後方に向けて先細る形状を有する。前後方向における上壁フラップ12FR,12FLの長さは、前後方向における上壁12の長さとほぼ等しい。上下方向における上壁フラップ12FR,12FLの長さは、上下方向における前壁11の長さの1/3程度である。
【0039】
後壁フラップ13FR,13FLは、上下方向に延びる板状を有する。後壁フラップ13FR,13FLは、後壁13の左右端辺13R,13L(
図6,7を参照)で折曲げられている。上下方向における後壁フラップ13FR,13FLの長さは、上下方向における後壁13の長さとほぼ等しい。前後方向における後壁フラップ13FR,13FLの長さは、前後方向における上壁12の長さの1/2程度である。
【0040】
下壁フラップ14FR,14FLは、前後方向に延びる矩形板状を有する。下壁フラップ14FR,14FLは、下壁14の左右端辺14R,14L(
図4を参照)で折曲げられている。前後方向における下壁フラップ14FR,14FLの長さは、前後方向における下壁14の長さとほぼ等しい。上下方向における下壁フラップ14FR,14FLの長さは、上下方向における前壁11の長さの1/3程度である。
【0041】
上壁フラップ12FR,12FLと下壁フラップ14FR,14FLとは、後壁フラップ13FR,13FLの内側に配置されている(
図8,9を参照)。上壁フラップ12FR,12FLと下壁フラップ14FR,14FLとは、後壁フラップ13FR,13FLに接合されている。接合材は、接着材でもよいし、テープ材でもよい。
【0042】
[緩衝保持板]
図2が示すように、包装箱は、外壁の区切る空間のなかに緩衝保持板を備える。緩衝保持板は、外壁の区切る空間に包装物品を保持する。緩衝保持板は、折曲げ線を備え、外壁に区切られる空間のなかで折曲げられている。折曲げ線は、緩衝保持板の折れ曲がりを誘導する罫線である。緩衝保持板は、下側前連結板21EB、下側保持板25E、後連結板23E、上側保持板26E、上側前連結板21ET、および接合板22Eから構成される。下側前連結板21EB、下側保持板25E、後連結板23E、上側保持板26E、上側前連結板21ET、および接合板22Eは、それぞれ矩形板状を有する。下側前連結板21EB、下側保持板25E、後連結板23E、上側保持板26E、上側前連結板21ET、および接合板22Eは、それぞれ左右で一対の側壁に覆われている。
【0043】
図12が示すように、ブランクは、下側前連結板21EB、下側保持板25E、後連結板23E、上側保持板26E、上側前連結板21ET、および接合板22Eの順に一列に下側前連結板21EB、下側保持板25E、後連結板23E、上側保持板26E、上側前連結板21ET、および接合板22Eを並べる。ブランクは、下壁14の前端辺14FBに下側前連結板21EBを連ねる。ブランクは、下側前連結板21EBと後連結板23Eとによって下側保持板25Eを挟み、かつ上側前連結板21ETと接合板22Eとによって上側保持板26Eを挟む。
【0044】
図3が示すように、下側前連結板21EBは、下壁14の前端辺14FBで前壁11に沿って下壁14から折り曲げられている。下側前連結板21EBは、下壁14から下側保持板25Eの前端辺まで延びる。下側前連結板21EBは、下側保持板25Eの前端辺で下側保持板25Eから折り曲げられている。上下方向における下側前連結板21EBの長さは、上下方向における前壁11の長さの1/4程度である。下側前連結板21EBは、前壁11の指掛け部11Nよりも下方に配置されている。下側前連結板21EBは、前壁11に接合されている。接合材は、接着材でもよいし、テープ材でもよい。
【0045】
下側保持板25Eは、後連結板23Eの下端辺で上壁12に沿って折曲げられている。下側保持板25Eは、後壁13から前壁11まで延びる。下側保持板25Eは、上壁12と平行に配置されている。下側保持板25Eは、下側保持板25Eを上下方向に貫通する円形状の下側保持孔25Hを備える。下側保持孔25Hは、卵の下部が嵌め込まれる大きさを有する。下側保持板25Eは、下側前連結板21EBにおける上下方向の長さ分だけ、下壁14から離れている。下側保持板25Eと下壁14との間における上下方向の長さは、下側保持孔25Hに嵌め込まれる卵が下壁14から離れる、あるいは下壁14に接する程度の大きさである。下側保持孔25Hに嵌め込まれる卵は、包装箱の前後方向や左右方向から加わる応力を下側保持板25Eによって和らげられる。
【0046】
後連結板23Eは、下側保持板25Eの後端辺で後壁13に沿って下側保持板25Eから折り曲げられている。後連結板23Eは、下側保持板25Eの後端辺から上側保持板26Eの後端辺まで延びる。後連結板23Eは、上側保持板26Eの後端辺で後壁13に沿って上側保持板26Eから折り曲げられている。上下方向における後連結板23Eの長さは、上下方向における前壁11の長さの1/2程度である。後連結板23Eは、前後方向において前壁11の指掛け部11Nと対向するように配置されている。後連結板23Eは、後壁13に接合されている。接合材は、接着材でもよいし、テープ材でもよい。
【0047】
上側保持板26Eは、上側前連結板21ETの下端辺で上壁12に沿って折曲げられている。上側保持板26Eは、前壁11から後壁13まで延びる。上側保持板26Eは、上壁12と平行に配置されている。上側保持板26Eは、上側保持板26Eを上下方向に貫通する円形状の上側保持孔26Hを備える。上側保持孔26Hは、卵の上部が嵌め込まれる大きさを有する。上側保持板26Eは、上側前連結板21ETにおける上下方向の長さ分だけ、上壁12から離れている。上側保持板26Eと上壁12との間における上下方向の長さは、上側保持孔26Hに嵌め込まれる卵が上壁12から離れる、あるいは上壁12に接する程度の大きさである。上側保持孔26Hに嵌め込まれる卵は、包装箱の前後方向や左右方向から加わる応力を上側保持板26Eによって和らげられる。
【0048】
上側前連結板21ETは、上側保持板26Eの前端辺で前壁11に沿って上側保持板26Eから折り曲げられている。上側前連結板21ETは、上側保持板26Eから接合板22Eの前端辺まで延びる。上側前連結板21ETは、接合板22Eの前端辺で接合板22Eから折り曲げられている。上下方向における上側前連結板21ETの長さは、上下方向における前壁11の長さの1/4程度である。上側前連結板21ETは、前壁11の指掛け部11Nよりも上方に配置されている。上側前連結板21ETは、前壁11の前切込み線11Cよりも上方に配置されている。上側前連結板21ETは、前壁11に接合されていない。
【0049】
接合板22Eは、上側前連結板21ETの上端辺で上壁12に沿って上側前連結板21ETから折り曲げられている。接合板22Eは、上壁12に接合されている。接合材は、接着材でもよいし、テープ材でもよい。
【0050】
[前壁11]
図4が示すように、前壁11は、1つの指掛け部11Nを備える。指掛け部11Nは、前壁11の左右方向における中央に配置されている。指掛け部11Nは、切断線11Pによって前壁11に区切られている。切断線11Pは、前壁11を貫通するスリットであって、下向きに凸となる弧状を有する。なお、切断線11Pは、半円弧状を有してもよいし、半楕円弧状を有してもよいし、折れ線状を有してもよい。
【0051】
図4の二点鎖線が示すように、指掛け部11Nは、切断線11Pの両端部を結ぶような折曲げ線11Vによって前壁11に区切られている。折曲げ線11Vは、折曲げ線11Vに沿った山折りを前壁11に誘導する罫線である。利用者の指が指掛け部11Nに差し込まれるとき、指掛け部11Nは折曲げ線11Vで包装箱の内側に折り曲げられる。これによって、利用者の指が指掛け部11Nに掛けられる。
【0052】
前壁11は、左右で一対の前切込み線11Cを備える。左右で一対の前切込み線11Cは、指掛け部11Nから前壁11の縁まで延びる。前切込み線11Cの延びる先である前壁11の縁の一例は、前壁11の左右端辺11R,11Lである。前壁11の左右端辺11R,11Lは、上壁フラップ12FR,12FLの前端辺、および下壁フラップ14FR,14FLの前端辺、すなわち側壁の前端辺とは別体である。前切込み線11Cの延びる先は、前壁11の左右端辺11R,11Lにおける上壁12と下壁14との中間である。前切込み線11Cの延びる先は、前壁11の縁のなかで指掛け部11Nよりも上方に位置する。左右で一対の前切込み線11Cの延びる先は、上下方向において指掛け部11Nよりも上側、かつ指掛け部11Nの左右両側である。前切込み線11Cの延びる先は、前壁11のなかで緩衝保持板と接合しない。すなわち、前切込み線11Cの延びる先は、上下方向において上側前連結板21ETよりも下方、かつ下側前連結板21EBよりも上方である。
【0053】
前切込み線11Cは、包材の繊維が切断された部分を含む線である。前切込み線11Cは、スリットや貫通孔が間隔を空けて線状に並ぶミシン目線でもよい。前切込み線11Cは、包材における厚さ方向の途中まで切れ目が形成された半切れ線でもよい。
【0054】
前切込み線11Cと切断線11Pとの間は、指掛け部11Nの引き上げによって前切込み線11Cの切断がはじまるような間隔を空けてもよい。前切込み線11Cは、切断線11Pに接続されてもよい。前切込み線11Cと前壁11の縁との間は、指掛け部11Nの引き上げによって前切込み線11Cの切断が前壁11の縁に達するような間隔を空けてもよい。前切込み線11Cは、前壁11の縁に接続されてもよい。
【0055】
図4の一点鎖線が示すように、切断線11P、および前切込み線11Cは、前壁11に下向き三角形状の部分を区切る。
図4の一点鎖線、切断線11P、および前切込み線11Cが囲む範囲は、前壁11のなかで前切込み線11Cに挟まれた部分であって、指掛け部11Nの引き上げによって当該部分を前壁11から切り離すような機能的一体性を有する。
【0056】
前壁11のなかで、指掛け部11Nよりも上方に位置し、かつ前壁11の縁と一対の前切込み線11Cとが囲む範囲は、蓋部を構成する。一対の前切込み線11Cは、前壁11から蓋部を切り離すための切断予定線である。なお、
図4には、前切込み線11Cが直線状を有する例を示すが、前切込み線11Cは、折れ線状を有してもよいし、曲線状を有してもよい。
【0057】
[上壁12]
図6が示すように、上壁12は、左右で一対の上切込み線12Cを備える。左右で一対の上切込み線12Cは、上壁12と後壁13との稜である上壁12の後端辺12BTから前壁11に向けて延びる。上切込み線12Cは、上壁12と側壁との稜、すなわち上壁12と上壁フラップ12FR,12FLとの稜である上壁12の左右端辺12R,12Lに配置されている。
【0058】
上切込み線12Cは、包材の繊維が切断された部分を含む線である。上切込み線12Cは、スリットや貫通孔が間隔を空けて線状に並ぶミシン目線でもよい。上切込み線12Cは、包材における厚さ方向の途中まで切れ目が形成された半切れ線でもよい。
【0059】
上切込み線12Cは、上壁12の左右端辺12R,12Lのなかで上壁フラップ12FR,12FLに連なる部分の全体にわたり配置されてもよい。上切込み線12Cと上壁12の後端辺12BTとの間は、上壁12の前方からの引き上げによって上切込み線12Cの切断が後端辺12BTに達するような間隔を空けてもよい。上切込み線12Cは、上壁12の後端辺12BTに接続されてもよい。
【0060】
上切込み線12Cと前壁11の上端辺11FTとの間は、指掛け部11Nの引き上げによって上切込み線12Cの切断がはじまるような間隔を空けてもよい。上述したように、上壁フラップ12FR,12FLは、上壁12の左右端辺12R,12Lの前端部に切り欠き12FKを備える。すなわち、上壁12の左右端辺12R,12Lは、上壁フラップ12FR,12FLの切り欠き12FKの分だけ、側壁に接合されない部分を有する。このように、上壁12の左右端辺12R,12Lのなかで側壁に接合されない部分を介し、上切込み線12Cは、前壁11の上端辺11FTに接続されてもよい。
【0061】
上壁12のなかで、前壁11に連なり、かつ一対の上切込み線12Cに挟まれる範囲は、蓋部を構成する。すなわち、蓋部は、前壁11の指掛け部11Nから上壁12まで連続し、上壁12の全体を備え、かつ上壁12と後壁13との稜を中心に回動可能に構成されている。一対の上切込み線12Cは、側壁から蓋部を切り離すための切断予定線である。なお、
図6には、上切込み線12Cが直線状を有する例を示すが、上切込み線12Cは、折れ線状を有してもよいし、曲線状を有してもよい。
【0062】
前壁11、および上壁12は、接続壁を構成する。接続壁は、左右端辺を備える壁である。接続壁の左右端辺の一部は、前切込み線11Cに上切込み線12Cを接続し、かつ側壁に接続されていない。前切込み線11Cが接続壁の左右端辺に接続することは、前切込み線11Cの一端部が接続壁の左右端辺に配置されることでもよい。前切込み線11Cが接続壁の左右端辺に接続することは、前切込み線11Cの切断が指掛け部11Nから接続壁の左右端辺に達するように、前切込み線11Cの一端部が接続壁の左右端辺に近接することでもよい。上切込み線12Cが接続壁の左右端辺に接続することは、上切込み線12Cの一端部が接続壁の左右端辺に配置されることでもよい。上切込み線12Cが接続壁の左右端辺に接続することは、上切込み線12Cの切断が接続壁の左右端辺からはじまるように、あるいは上切込み線12Cの切断が接続壁の左右端辺に達するように、上切込み線12Cの一端部が接続壁の左右端辺に近接することでもよい。
【0063】
言い換えれば、接続壁は、側壁と接続されていない左右端辺を備え、かつ前壁11が前切込み線11Cで切断された後でも、上壁12が上切込み線12Cで切断され終わるまでは、側壁に接続されている壁である。
【0064】
[作用]
図10が示すように、包装箱が開封されるとき、利用者の指が指掛け部11Nに差し込まれた後、指掛け部11Nが上方に引き上げられる。前壁11のなかで前切込み線11Cに挟まれた蓋部の一部は、指掛け部11Nの引き上げによって前壁11から切り離されはじめる。指掛け部11Nの引き上げが進むと、前切込み線11Cによる切断は、前壁11の左右端辺11R,11Lに達する。そして、前切込み線11Cに挟まれた蓋部の一部は、上側前連結板21ETから前側上方に離れるように、前壁11の上端辺11FTを中心として回動して立ち上がりはじめる。
【0065】
図11が示すように、指掛け部11Nの引き上げがさらに進むと、指掛け部11Nを引き上げる応力は、前壁11の上端辺11FTからさらに上壁12を引き上げる力として作用する。上壁12のなかで上切込み線12Cに挟まれた蓋部の残部は、指掛け部11Nの引き上げによって側壁から切り離されはじめる。そして、指掛け部11Nの引き上げによる上壁12の切り離しは、上壁12の後端辺12BTに達すると共に、上切込み線12Cに挟まれた蓋部の残部を立ち上げる。
【0066】
この間、緩衝保持板は、蓋部の立ち上がりに連動して緩衝保持板の折曲げを伸張する。すなわち、上側前連結板21ETは、上側前連結板21ETと接合板22Eとの境界である折曲げ線を中心に上壁12に向けて回動する。上側保持板26Eは、上側前連結板21ETと上側保持板26Eとの折曲げを伸張するように上壁12に近づく。これによって、上壁12の全体を含む蓋部は、上壁12の後端辺12BTから立ち上がると共に、上側前連結板21ETと上側保持板26Eとも、上壁12に沿って立ち上がる。そして、包装箱は、前壁11の上部、および上壁12の全体を開封する。
【0067】
以上、上記実施形態によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)指掛け部11Nの引き上げ方向のように、包装箱の開封方向が単一方向に設定される。そして、前壁11に対する蓋部の切り離しから、側壁に対する蓋部の切り離しまでのように、包装箱の開封操作が単一方向の操作として連続する。
【0068】
(2)前切込み線11Cも上切込み線12Cも左右で一対であるから、開封操作が右手で行われる場合であれ、開封操作が左手で行われる場合であれ、包装箱の容易な開封操作が実現可能になる。
【0069】
(3)後壁13のなかで後連結板23Eに接合される被接合部位は、上壁12と後壁13との稜から離れている。このため、上壁12に位置する各点の立ち上がる軌跡は、蓋部の立ち上がりが進むほど、被接合部位から離れる。そして、上側前連結板21ETや上側保持板26Eに位置する各点もまた、蓋部の立ち上がりが進むほど、被接合部位から離れることを要求される。
【0070】
この点、蓋部が立ち上がるときに上側前連結板21ETと上側保持板26Eの折曲げを伸張するように、緩衝保持板が後壁13と蓋部とに接合されている。緩衝保持板における折曲げの伸張は、上側前連結板21ETや上側保持板26Eに位置する各点が被接合部位から離れることを円滑に進める。結果として、蓋部の立ち上がりに連動する緩衝保持板の変位が円滑に進む。そして、単一方向の操作による包装箱の開封が円滑に進む。
【0071】
(4)前壁11における蓋部の範囲が指掛け部11Nから前壁11の左右端辺11R,11Lまで広がる。このため、前切込み線11Cが前壁11の左右端辺11R,11Lまで延びない場合と比べて、蓋部の引き上げによって前壁11に開けられる範囲が広がる。結果として、包装箱から包装物品を取り出す作業が容易になる。
【0072】
(5)前切込み線11Cの切断からはじめられる包装箱の開封が前壁11の左右端辺11R,11Lを通じて前壁11から上壁12に続く。このように、側壁の前端辺とは予め別体である前壁11の左右端辺11R,11Lが包装箱の開封に用いられる。このため、指掛け部11Nから上壁12まで前壁11を切断する場合に比べて、包装箱の開封に要する負荷が軽減される。
【0073】
(6)上壁12における蓋部の範囲が上壁12における左右方向の全幅に広がる。このため、上切込み線12Cが上壁12と側壁との稜に配置されない場合と比べて、蓋部の引き上げによって包装箱に開けられる開口の範囲が広がる。結果として、包装箱から包装物品を取り出す作業が容易になる。
【0074】
(7)緩衝保持板が上側保持板26Eと下側保持板25Eとを備えると共に、上側保持板26Eが上側保持孔26Hを備え、かつ下側保持板25Eが下側保持孔25Hを備える。このため、空間に卵などの球状の包装物品を保持することが可能ともなる。そして、下側前連結板21EBから接合板22Eまで連なる緩衝保持板が下壁14に連なるため、単一方向の操作による開封を可能にした包装箱が一枚のブランクから製造可能にもなる。
【0075】
(8)前壁11の左右方向における中央に、指掛け部11Nが切断線11Pによって区切られる。このため、右手が指掛け部11Nに掛けられる場合であれ、左手が指掛け部11Nに掛けられる場合であれ、指を掛ける操作が同様に実現される。また、指掛け部11Nが貫通孔などに区切られる場合と比べて、前壁11の機械的な剛性が高められる。
【0076】
[変更例]
上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
[指掛け部11N]
・
図13が示すように、前壁11は、前壁11の左右方向における中央に前壁11を貫通する指差込孔11Hを備えてもよい。この際、指掛け部11Nは、指差込孔11Hのなかに突き出る舌片でもよい。
【0077】
この変更例によれば、前壁11の左右方向における中央に、指掛け部11Nが指差込孔11Hによって区切られる。このため、右手が指掛け部11Nに掛けられる場合であれ、左手が指掛け部11Nに掛けられる場合であれ、指を掛ける操作が同様に実現されるうえ、指を差し込む操作が容易ともなる。そして、指差込孔11Hを通じた包装物品の前方からの視認が可能ともなる。
【0078】
図14の一点鎖線、切断線11P、および前切込み線11Cが囲む範囲は、前壁11のなかで前切込み線11Cに挟まれた部分であって、指掛け部11Nの引き上げによって当該部分を前壁11から切り離すような機能的一体性を有する。
【0079】
[側壁]
・左右で一対の側壁は、上壁フラップ12FR,12FLと後壁フラップ13FR,13FLとから構成されてもよい。
【0080】
包装箱における右の側壁は、包装箱の右側面の全体を覆うように上壁12の右端辺12Rで上壁12から折曲げられる矩形板状を有してもよい。矩形板状の右側壁は、フラップを介して後壁13に接合されてもよいし、フラップを介して下壁14に接合されてもよい。
【0081】
包装箱における左の側壁は、包装箱の左側面の全体を覆うように上壁12の左端辺12Lで上壁12から折曲げられる矩形板状を有してもよい。矩形板状の左側壁は、フラップを介して後壁13に接合されてもよいし、フラップを介して下壁14に接合されてもよい。
【0082】
・
図13が示すように、前後方向における上壁フラップ12FR,12FLの長さは、前後方向における上壁12の長さよりも短くてもよい。前後方向における下壁フラップ14FR,14FLの長さは、前後方向における下壁14の長さよりも短くてもよい。
【0083】
この構成においても、上壁12が上壁フラップ12FR,12FLによって側壁に接続される。上切込み線12Cは、上壁12と上壁フラップ12FR,12FLとの稜に配置されると共に、蓋部は上壁12の全体を備える。なお、左右で一対の側壁の少なくとも一方における前後方向の長さが、前後方向における上壁12の長さよりも短くてもよい。これにより、上壁12の左右端辺12R,12Lは、上壁フラップ12FR,12FLの長さが短い分だけ、側壁に接続されない部分の長さを長くできる。ひいては、上切込み線12Cの長さが短い分だけ、蓋部の開封に要する負荷を軽減できる。
【0084】
・
図15,16が示すように、前後方向における上壁フラップ12FR,12FLの長さは、前後方向における下壁フラップ14FR,14FLの長さよりも短くてもよい。
この構成によれば、蓋部の開封に要する負荷を軽減しながらも、下壁フラップ14FR,14FLの長さが上壁フラップ12FR,12FLの長さよりも長い分だけ、包装箱の姿勢を安定させることが可能ともなる。
【0085】
[前切込み線11C]
・左右で一対の前切込み線11Cは、指掛け部11Nから前壁11の上端辺11FTまで延びてもよいし、前壁11の上角部11Eまで延びてもよい。左右で一対の前切込み線11Cは、前壁11の左右端辺11R,11Lのなかで側壁に接合されない部分を介して前壁11の上端辺11FTまで延びてもよい。なお、側壁に接合されない部分を介して前切込み線11Cが上端辺11FTまで延びるとは、側壁に接合されない部分が上端辺11FTに直接接続されてもよいし、前切込み線11Cが上端辺11FTに直接接続されてもよい。
【0086】
・前切込み線11Cが指掛け部11Nから前壁11の上端辺11FTまで延びる場合、当該前切込み線11Cに直接接続される上切込み線12Cもまた前壁11の上端辺11FTまで延びてもよい。あるいは、上壁12の左右端辺12R,12Lのなかで側壁に接合されず、かつ当該前切込み線11Cに直接接続される端部もまた前壁11の上端辺11FTまで延びてもよい。この際、前壁11は、接続壁ではない。上壁12のみが、接続壁である。
【0087】
・前切込み線11Cが指掛け部11Nから前壁11の上角部11Eまで延びる場合、当該前切込み線11Cに直接接続される上切込み線12Cもまた前壁11の上角部11Eまで延びてもよい。あるいは、上壁12の左右端辺12R,12Lのなかで側壁に接合されず、かつ当該前切込み線11Cに直接接続される端部もまた前壁11の上角部11Eまで延びてもよい。この際、前壁11は、接続壁ではない。上壁12のみが、接続壁である。
【0088】
・前切込み線11Cは、前壁11の左右端辺11R,11Lのなかで側壁に接合されない部分を途中に経て、指掛け部11Nから前壁11の上端辺11FTまで延びてもよい。この場合、前壁11は、接続壁を構成する。上壁12は、接続壁を構成してもよいし、接続壁を構成しなくてもよい。
【0089】
[上切込み線12C]
・左右で一対の上切込み線12Cは、上壁12の後端辺12BTから前壁11の上端辺11FTまで、上壁12の前後方向の全体にわたり配置されてもよい。この際、上壁12は、接続壁ではない。
【0090】
・左右で一対の上切込み線12Cは、上壁12の左右端辺12R,12Lのなかで側壁に接合されない部分を介して、前壁11の上端辺11FTまで延びてもよいし、上壁12の後端辺12BTまで延びてもよい。なお、側壁に接合されない部分を介して上端辺11FTまで延びるとは、側壁に接合されない部分が上端辺11FTに直接接続されてもよいし、上切込み線12Cが上端辺11FTに直接接続されてもよい。側壁に接合されない部分を介して後端辺12BTまで延びるとは、側壁に接合されない部分が後端辺12BTに直接接続されてもよいし、上切込み線12Cが後端辺12BTに直接接続されてもよい。
【0091】
・上切込み線12Cが前壁11の上端辺11FTまで延びる場合、当該上切込み線12Cに直接接続される前切込み線11Cもまた前壁11の上端辺11FTまで延びてもよい。この際、上壁12は、接続壁ではない。前壁11は、接続壁を構成してもよいし、接続壁を構成しなくてもよい。
【0092】
・上壁12の後端辺12BTの途中から、上壁12の左右端辺12R,12Lのなかで側壁に接合されない部分を経て、上切込み線12Cが前壁11の上端辺11FTまで延びてもよい。この場合もまた、上切込み線12Cと前切込み線11Cとが上端辺11FTで直接接続されてもよい。この際、上壁12は、接続壁を構成する。前壁11は、接続壁を構成してもよいし、接続壁を構成しなくてもよい。
【0093】
[上壁12]
図13,17が示すように、包装箱、およびブランクの上壁12は、上壁12を上下方向に貫通する上壁孔12Hを備えてもよい。上壁孔12Hは、下側保持孔25Hよりも小さくてもよいし、上側保持孔26Hよりも小さくてもよい。この変更例によれば、包装箱の上方から包装物品を視認できる。
【符号の説明】
【0094】
11…前壁
11C…前切込み線
11FT…上端辺
11N…指掛け部
11P,11S,12S,13S,14S…切断線
11R,11L,12R,12L,13R,13L,14R,14L…左右端辺
11V…折曲げ線
12…上壁
12BT…後端辺
12C…上切込み線
12FR,12FL…上壁フラップ
13…後壁
13BB…下端辺
13FR,13FL…後壁フラップ
14…下壁
14FB…前端辺
14FR,14FL…下壁フラップ
21EB…下側前連結板
21ET…上側前連結板
22E…接合板
23E…後連結板
25E…下側保持板
25H…下側保持孔
26E…上側保持板
26H…上側保持孔