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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058802
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】表示装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/14 20060101AFI20240422BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240422BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240422BHJP
   H04N 23/90 20230101ALI20240422BHJP
   H04N 23/611 20230101ALI20240422BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20240422BHJP
【FI】
H04N7/14
G09F9/00 366Z
G09G5/00 550C
G09G5/00 555D
G09G5/00 510V
H04N23/90
H04N23/611
G06F3/048
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166128
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】冨沢 一成
(72)【発明者】
【氏名】後藤 尚志
(72)【発明者】
【氏名】原田 勉
(72)【発明者】
【氏名】小橋 淳二
【テーマコード(参考)】
5C122
5C164
5C182
5E555
5G435
【Fターム(参考)】
5C122EA42
5C122FA18
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK12
5C122GC52
5C122GE06
5C122GE11
5C122HA86
5C164FA09
5C164FA10
5C164GA08
5C164VA05P
5C164VA32P
5C182AA02
5C182AB01
5C182AB02
5C182AB04
5C182AB08
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA55
5C182BA56
5C182BB01
5C182BB11
5C182BC01
5C182BC26
5C182CB42
5C182CC24
5C182DA70
5E555AA26
5E555BA04
5E555BB04
5E555CA42
5E555EA22
5E555FA00
5G435AA01
5G435BB01
5G435EE49
(57)【要約】
【課題】画面に表示された画像を見ている人物と、画像に表示された人物との間の視線を一致させること。
【解決手段】一実施形態に係る表示装置は、画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、表示領域と平面視において重なる位置に設けられ、表示装置に対向するユーザを被写体として撮影する複数のカメラと、表示領域に表示される画像に含まれる人物の目の位置に基づいて、複数のカメラのうちの1つを、被写体を撮影するカメラとして選択する制御部と、を備える。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、
前記表示領域と平面視において重なる位置に設けられ、表示装置に対向するユーザを被写体として撮影する複数のカメラと、
前記表示領域に表示される画像に含まれる人物の目の位置に基づいて、前記複数のカメラのうちの1つを、前記被写体を撮影するカメラとして選択する制御部と、を備える、
表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記表示領域に表示される画像に含まれる人物の右目と左目の間に位置するカメラを、前記被写体を撮影するカメラとして選択する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記表示領域に表示される画像に含まれる人物の右目と左目を結ぶ直線の中点の最も近くに位置するカメラを、前記被写体を撮影するカメラとして選択する、
請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
外部装置と通信する通信部をさらに備え、
前記制御部は、
前記外部装置により送信された画像に含まれる前記外部装置のユーザの目の位置に基づいて、前記複数のカメラのうちの1つを、前記被写体を撮影するカメラとして選択し、
前記選択したカメラにより撮影された前記被写体を含む画像を前記外部装置に送信する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記複数のカメラのうちの1つを用いて、前記被写体の顔の位置を特定し、
前記特定した被写体の顔の右目と左目の間の位置から前記表示パネルに向けて垂直に延びる仮想線と交差する位置に設けられたカメラを、前記被写体を撮影するカメラとして選択する、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項6】
前記複数のカメラは、
前記表示領域のうちの前記人物が表示される可能性が高い第1領域と平面視において重なる位置に密に設けられ、前記表示領域のうちの前記人物が表示される可能性が低い第2領域と平面視において重なる位置に疎に設けられる、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示パネルは、自発光型の表示素子を含む表示パネルである、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項8】
第1ユーザにより使用される第1表示装置と、第2ユーザにより使用される第2表示装置とを含み、前記第1表示装置と前記第2表示装置とが通信可能に接続されるシステムであって、
前記第1表示装置は、
画像を表示する第1表示領域を有する第1表示パネルと、
前記第1表示領域と平面視において重なる位置に設けられ、前記第1ユーザを撮影する複数の第1カメラと、
前記第1表示領域に表示される画像に含まれる前記第2ユーザの目の位置に基づいて、前記複数の第1カメラのうちの1つを、前記第1ユーザを撮影するカメラとして選択し、前記選択したカメラにより撮影された前記第1ユーザを含む画像を前記第2表示装置に送信する第1制御部と、を備え、
前記第2表示装置は、
画像を表示する第2表示領域を有する第2表示パネルと、
前記第2表示領域と平面視において重なる位置に設けられ、前記第2ユーザを撮影する複数の第2カメラと、
前記第2表示領域に表示される画像に含まれる前記第1ユーザの目の位置に基づいて、前記複数の第2カメラのうちの1つを、前記第2ユーザを撮影するカメラとして選択し、前記選択したカメラにより撮影された前記第2ユーザを含む画像を前記第1表示装置に送信する第2制御部と、を備える、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インカメラを有する表示装置を利用したWeb会議やビデオ通話が普及してきている。このようなWeb会議やビデオ通話においては、画面に表示された画像(映像)を見ている人物と、画面に表示された人物との間で視線が合わなくなってしまうことがある。
【0003】
このため、画面に表示された画像を見ている人物と、画像に表示された人物との間の視線を一致させることが可能な技術の実現が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2021/111955号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、画面に表示された画像を見ている人物と、画像に表示された人物との間の視線を一致させることが可能な表示装置およびシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態に係る表示装置は、画像を表示する表示領域を有する表示パネルと、前記表示領域と平面視において重なる位置に設けられ、表示装置に対向するユーザを被写体として撮影する複数のカメラと、前記表示領域に表示される画像に含まれる人物の目の位置に基づいて、前記複数のカメラのうちの1つを、前記被写体を撮影するカメラとして選択する制御部と、を備える。
【0007】
一実施形態に係るシステムは、第1ユーザにより使用される第1表示装置と、第2ユーザにより使用される第2表示装置とを含み、前記第1表示装置と前記第2表示装置とが通信可能に接続される。前記第1表示装置は、画像を表示する第1表示領域を有する第1表示パネルと、前記第1表示領域と平面視において重なる位置に設けられ、前記第1ユーザを撮影する複数の第1カメラと、前記第1表示領域に表示される画像に含まれる前記第2ユーザの目の位置に基づいて、前記複数の第1カメラのうちの1つを、前記第1ユーザを撮影するカメラとして選択し、前記選択したカメラにより撮影された前記第1ユーザを含む画像を前記第2表示装置に送信する第1制御部と、を備える。前記第2表示装置は、画像を表示する第2表示領域を有する第2表示パネルと、前記第2表示領域と平面視において重なる位置に設けられ、前記第2ユーザを撮影する複数の第2カメラと、前記第2表示領域に表示される画像に含まれる前記第1ユーザの目の位置に基づいて、前記複数の第2カメラのうちの1つを、前記第2ユーザを撮影するカメラとして選択し、前記選択したカメラにより撮影された前記第2ユーザを含む画像を前記第1表示装置に送信する第2制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る表示装置の概略的な斜視図である。
図2図2は、同実施形態に係る表示装置の概略的な断面図である。
図3図3は、副画素のレイアウトの一例を示す平面図である。
図4図4は、比較例に係る表示装置の動作例を説明するための図である。
図5図5は、同実施形態に係る表示装置の構成例を示すブロック図である。
図6図6は、同実施形態に係る表示装置の動作例を説明するための図である。
図7図7は、同実施形態に係る表示装置の動作例を説明するための図である。
図8図8は、同実施形態に係る表示装置に設けられるカメラのレイアウトの一例を示す平面図である。
図9図9は、同実施形態に係る表示装置に設けられるカメラのレイアウトの一例を示す平面図である。
図10図10は、同実施形態に係る表示装置に設けられるカメラのレイアウトの一例を示す平面図である。
図11図11は、同実施形態に係る表示装置における初期設定動作を説明するための図である。
図12図12は、同実施形態に係る表示装置の適用例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
なお、開示はあくまで一例にすぎず、以下の実施形態に記載した内容により発明が限定されるものではない。当業者が容易に想到し得る変形は、当然に開示の範囲に含まれる。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合もある。複数の図面において、対応する要素には同じ参照数字を付して、詳細な説明を省略する場合もある。
【0010】
図1は、一実施形態に係る表示装置1の概略的な斜視図である。本実施形態においては、図1に示すように、第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zを定義する。第1方向X、第2方向Yおよび第3方向Zは、例えば互いに垂直に交わる方向であるが、垂直以外の角度で交わってもよい。第3方向Zの矢印が示す方向を上または上方向と称し、その反対方向を下または下方向と称することがある。また、第3方向Zと平行に表示装置1やその構成要素を見ることを平面視と称する。
【0011】
表示装置1は、筐体2と、表示パネル3と、カバーガラス4とを備えている。表示装置1は、有機発光ダイオード(OLED)やマイクロLEDといった自発光型の表示素子を備える表示装置であり、例えば、スマートフォンやタブレット端末、モニター装置、パソコン、テレビ等、種々様々な電子機器に転用することができる。
【0012】
表示パネル3は、図1に示す第1面F1と、第1面の反対側の第2面F2(図2参照)とが略平行なフラットパネル型の表示パネルであり、筐体2によって支持されている。カバーガラス4は、表示パネル3を覆っている。表示パネル3は、多数の画素を有した表示領域DAを有している。
【0013】
図1の例において、表示領域DAは、第2方向Yと平行な一対の長辺Sa1,Sa2と、第1方向Xと平行な一対の短辺Sb1,Sb2とを有する長方形状である。筐体2、表示パネル3およびカバーガラス4も、表示領域DAと同様の長方形状である。但し、表示領域DA、筐体2、表示パネル3およびカバーガラス4は、長方形状に限られず、正方形状、正円形状、楕円形状、等の他の形状であってもよい。
【0014】
表示装置1においては、複数のカメラ5が、平面視において表示領域DAと重なる位置に配置されている。カメラ5は、筐体2と表示パネル3との間の空間内に配置される。カメラ5は、第1面F1側の画像を撮像するものであり、インカメラや前面カメラ等と称されてもよい。
【0015】
図2は、表示装置1の概略的な断面図である。筐体2は、底部2aと、底部2aの周縁から第3方向Zに突出する側部2bとを有している。表示パネル3は、底部2aから離間した状態で、例えば側部2bによって支持されている。
【0016】
カバーガラス4は、例えば側部2bによって支持され、表示パネル3の第1面F1を覆っている。カバーガラス4は、第1面F1に接着されてもよい。カメラ5は、表示パネル3の第2面F2と、筐体2の底部2aとの間に配置されている。例えば、カメラ5は、筐体2の底部2aに固定される。
【0017】
図2に示すように、カメラ5は、レンズユニット5aと、イメージセンサ5bと、レンズユニット5aを支持するホルダ5cと、を備えている。レンズユニット5aは、1つまたは複数のレンズを含み、第1面F1から第2面F2に向けて表示パネル3の透過領域TA(図3参照)を透過する光Lを集光する。イメージセンサ5bは、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を有するセンサであり、レンズユニット5aにより集光された光Lに基づき画像データを生成する。
【0018】
図3は、表示パネル3が備える副画素SPのレイアウトの一例を示す概略的な平面図である。図3に示すように、表示パネル3の表示領域DAには、副画素SPR,SPG,SPBと、透過領域TAとが千鳥状に配置されている。副画素SPRは、赤波長に対応した光を出射する自発光型の表示素子を備える。副画素SPGは、緑波長に対応した光を出射する自発光型の表示素子を備える。副画素SPBは、青波長に対応した光を出射する自発光型の表示素子を備える。透過領域TAは、可視光を透過する領域であり、遮光性を有した配線等の要素が配置されない領域である。透過領域TAと重なる位置には、カメラ5が配置されている。なお、副画素SPR,SPG,SPBおよび透過領域TAのレイアウトや形状は、図3に示したものに限定されず、他の種々の変形を適用し得る。
【0019】
ところで、近年、インカメラを有する表示装置を利用したWeb会議やビデオ通話が普及してきている。このようなWeb会議やビデオ通話においては、画面に表示された画像(映像)を見ている人物と、画面に表示された人物との間で視線が合わなくなってしまうことがある。
【0020】
図4は、画面中央に1つのカメラ(インカメラ)50が配置された表示装置100を利用して、Web会議またはビデオ通話を行う場合を説明するための図である。
図4においては、ユーザU1が表示装置100Aを所持し、ユーザU2が表示装置100Bを所持している。表示装置100A内のカメラ50Aにより撮影された画像(つまり、ユーザU1を含む画像)は、ネットワークを介して表示装置100Bに送信される。表示装置100B内のカメラ50Bにより撮影された画像(つまり、ユーザU2を含む画像)は、ネットワークを介して表示装置100Aに送信される。
【0021】
なお、図4においては、ユーザU1の顔が、表示装置100A内に配置されたカメラ50Aの正面に位置し、ユーザU2の顔が、表示装置100B内に配置されたカメラ50Bの正面より下側にずれて位置している場合を想定する。
【0022】
ここでは、説明の便宜上、まず、表示装置100Bに設けられたカメラ50Bにより、当該カメラ50Bの正面より下側に位置するユーザU2であって、カメラ目線のユーザU2が撮影された場合を想定する。撮影された画像は、ネットワークを介して、表示装置100Bから表示装置100Aに送信される。
【0023】
表示装置100Aは、表示装置100Bから送信されてくる上記した画像を受信し、当該受信した画像を画面に表示する。この場合、図4の左側に示すように、ユーザU2の顔は、表示装置100Aの画面下側領域に表示される。ユーザU1は、カメラ50Aの正面から、表示装置100Aの画面下側領域に表示されたユーザU2の顔を見るように、当該画面下側領域に視線を向ける。具体的には、図4の左側に示すように、ユーザU1は、カメラ目線SLCと角度θをなす方向に視線SL1を向ける。これによれば、ユーザU1は、表示装置100Aの画面下側領域に表示されたユーザU2と視線を合わせることができる。換言すると、ユーザU1は、自身の視線SL1と、ユーザU2の視線SL2とを一致させることができる。
【0024】
一方、上記したように、ユーザU1の視線SL1は、カメラ目線SLCと角度θをなす方向を向いているため、ユーザU1の視線SL1とカメラ目線SLCとは一致せず、カメラ50Aは、カメラ目線のユーザU1を撮影することができない。このため、カメラ50Aは、当該カメラ50Aの正面に位置するユーザU1の顔であって、カメラ目線でないユーザU1の顔を撮影する。撮影された画像は、ネットワークを介して、表示装置100Aから表示装置100Bに送信される。
【0025】
表示装置100Bは、表示装置100Aから送信されてくる上記した画像を受信し、当該受信した画像を画面に表示する。この場合、図4の右側に示すように、ユーザU1の顔は、表示装置100Bの画面中央領域に表示される。ユーザU2は、カメラ50Bの正面より下側の位置から、表示装置100Bの画面中央領域に表示されたユーザU1の顔を見るように、当該画面中央領域に視線を向ける。カメラ50Bは表示装置100Bの画面中央に配置されているため、ユーザU2の視線SL2と、カメラ目線SLCとは一致する。しかしながら、上記したように、ユーザU1の視線SL1は、カメラ目線SLCと角度θをなす方向を向いているため、当該ユーザU1の視線SL1と、ユーザU2の視線SL2(カメラ目線SLC)とは一致しない。つまり、ユーザU2はユーザU1と視線を合わせることができない。
【0026】
以上のように、画面中央に配置された1つのカメラ50を有する表示装置100を利用して、Web会議またはビデオ通話を行う場合、一方のユーザ(ユーザU2)の顔がカメラ正面からずれてしまうと、他方のユーザ(ユーザU1)は一方のユーザと視線を合わせるために、カメラ目線でなくなるため(或いはカメラがユーザの視線を捉えない状態となるため)、その結果、一方のユーザは他方のユーザと視線を合わせることができなくなってしまう。
【0027】
そこで、本実施形態に係る表示装置1は、このような問題を解消し得る構成を提案する。具体的には、本実施形態に係る表示装置1は、複数のカメラ5を備え、画面に表示される通信先の相手の位置に応じて撮影に使用するカメラを切り替える(選択する)構成を有する。
【0028】
図5は、本実施形態に係る表示装置1の構成例を示すブロック図である。図5に示すように、表示装置1は、表示パネル3と、複数のカメラ5と、コントローラ10(制御部)と、通信部20とを備えている。表示パネル3およびカメラ5については既に説明したため、ここではその詳しい説明を省略する。
【0029】
コントローラ10は、表示装置1内の各部の動作を制御するプロセッサである。コントローラ10は、表示制御部11と、画像認識部12と、カメラ選択部13とを含む。
【0030】
表示制御部11は、通信部20を介して外部装置(例えば、Web会議やビデオ通話の通信先の相手が所持する表示装置1)より受信された画像等、各種画像を表示パネル3に表示するための制御を行う。画像認識部12は、表示パネル3に表示される画像に対して画像認識処理を実行し、当該画像に含まれる人物の顔や、当該人物の右目と左目の表示パネル3上での位置を特定する。カメラ選択部13は、画像認識部12により特定された右目と左目の間に位置するカメラ5、より詳しくは、右目と左目を結ぶ直線の中点の最も近くに位置するカメラ5を、被写体を撮影するためのカメラとして選択する。
【0031】
通信部20は、外部装置(例えば、Web会議やビデオ通話の通話先の相手が所持する表示装置1)とネットワークを介して無線通信を行うための通信インタフェースである。Web会議またはビデオ通話の際にカメラ5により撮影された画像は、通信部20を介して、通信先の相手が所持する表示装置1に送信される。
【0032】
次に、図6を参照して、本実施形態に係る表示装置1を利用して、Web会議またはビデオ通話が行われる場合の当該表示装置1の動作について説明する。
図6においては、ユーザU1が表示装置1Aを所持し、ユーザU2が表示装置1Bを所持している。表示装置1A内のカメラ5Aにより撮影された画像(つまり、表示装置1Aに対向するユーザU1を含む画像)は、ネットワークを介して表示装置1Bに送信される。表示装置1B内のカメラ5Bにより撮影された画像(つまり、表示装置1Bに対向するユーザU2を含む画像)は、ネットワークを介して表示装置1Aに送信される。
【0033】
なお、図6においては、ユーザU1の顔が、表示装置1Aの画面中央に配置されたカメラ5A(図6においてドットが付されたカメラ5A)の正面に位置し、ユーザU2の顔が、表示装置1Bの画面中央に配置されたカメラ5B(図6においてドットが付されたカメラ5B)の正面より下側にずれて位置している場合を想定する。
【0034】
ここでは、説明の便宜上、まず、表示装置1Bに設けられた複数のカメラ5Bのうちの1つにより、当該カメラ5Bの正面より下側に位置するユーザU2であって、カメラ目線のユーザU2が撮影された場合を想定する。撮影された画像は、ネットワークを介して、表示装置1Bから表示装置1Aに送信される。
【0035】
表示装置1Aは、表示装置1Bから送信されてくる上記した画像を受信し、当該受信した画像を画面に表示する。この場合、図6の左側に示すように、ユーザU2の顔は、表示装置1Aの画面下側領域に表示される。表示装置1Aは、画面に表示される画像に対して画像認識処理を実行し、当該画面に表示されたユーザU2の右目と左目の当該画面上での位置を特定する。そして、表示装置1Aは、画面に表示されたユーザU2の右目と左目の間に位置するカメラ5Aを、ユーザU1を撮影するためのカメラとして選択する。以下では、表示装置1Aに設けられた複数のカメラ5Aのうち、ユーザU1を撮影するためのカメラとして選択されたカメラ5A(図6において斜線が付されたカメラ5A)を、「選択カメラ5A」と称する。
【0036】
ユーザU1は、画面中央に配置されたカメラ5Aの正面から、表示装置1Aの画面下側領域に表示されたユーザU2の顔を見るように、当該画面下側領域に視線を向けることで、カメラ目線のユーザU2と視線を合わせることができる。換言すると、ユーザU1は、表示装置1Aの画面下側領域を見ることにより、自身の視線SL1と、ユーザU2の視線SL2とを一致させることができる。
【0037】
表示装置1Aは、この時のユーザU1の様子を、選択カメラ5Aにより撮影する。これによれば、図4を用いて説明した場合とは異なり、表示装置1A内の選択カメラ5Aは、当該選択カメラ5Aの正面より上側に位置するユーザU1であって、カメラ目線のユーザU1を撮影することができる。つまり、選択カメラ5Aは、ユーザU1の視線SL1とカメラ目線SLCとが一致した状態のユーザU1を撮影することができる。撮影された画像は、ネットワークを介して、表示装置1Aから表示装置1Bに送信される。
【0038】
表示装置1Bは、表示装置1Aから送信されてくる上記した画像を受信し、当該受信した画像を画面に表示する。この場合、図6の右側に示すように、ユーザU1の顔は、表示装置1Bの画面上側領域に表示される。表示装置1Bは、画面に表示される画像に対して画像認識処理を実行し、当該画面に表示されたユーザU1の右目と左目の当該画面上での位置を特定する。そして、表示装置1Bは、画面に表示されたユーザU1の右目と左目の間に位置するカメラ5Bを、ユーザU2を撮影するためのカメラとして選択する。以下では、表示装置1Bに設けられた複数のカメラ5Bのうち、ユーザU2を撮影するためのカメラとして選択されたカメラ5B(図6において斜線が付されたカメラ5B)を、「選択カメラ5B」と称する。
【0039】
上記したように、表示装置1Aの選択カメラ5Aによれば、カメラ目線のユーザU1が撮影されているため、ユーザU2は、表示装置1Bの画面上側領域に表示されたユーザU1の顔を見るように、当該画面上側領域に視線を向けることで、当該カメラ目線のユーザU1と視線を合わせることができる。換言すると、ユーザU2は、画面上側領域を見ることにより、自身の視線SL2と、ユーザU1の視線SL1とを一致させることができる。
【0040】
なお、本実施形態に係る表示装置1は、図6に示す一連の動作の途中で、通信先の相手の顔の位置がずれたとしても、当該顔の右目と左目の間に位置するカメラ5を追従して選択する。例えば、図7に示すように、通信先の相手の顔の位置が左から右にずれた場合、表示装置1は、図中左側の顔(つまり、位置がずれる前の顔)の右目と左目の間に位置するカメラであって、被写体を撮影するカメラとして選択中のカメラ5sの選択を取り止め、図中右側の顔(つまり、位置がずれた後の顔)の右目と左目の間に位置するカメラ5tを、被写体を撮影するカメラとして新たに選択する。
【0041】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置1は、ユーザの視線が向く位置に設けられたカメラ5(具体的には、画面に表示された人物の右目と左目の間に位置するカメラ5)を、当該ユーザを撮影するカメラとして選択するため、カメラ目線のユーザを常に撮影することが可能である。このため、本実施形態に係る表示装置1を利用して、Web会議やビデオ通話を行う場合、Web会議やビデオ通話の途中で、一方のユーザ(ユーザU2)の顔の位置がずれ、他方のユーザ(ユーザU1)が一方のユーザと視線を合わせるために視線を移動させたとしても、表示装置1はカメラ目線の他方のユーザを撮影することが可能である。これによれば、一方のユーザと他方のユーザとの視線を常に一致させることが可能である。
【0042】
なお、本実施形態に係る表示装置1が、例えば7インチのスマートフォンである場合、当該表示装置1には、図8(a)に示すように、8×18個のカメラ5を、表示領域DAと重なる位置全体に敷き詰めるように設けてもよいし、図8(b)に示すように、3×5個のカメラ5を、間隔を空けて設けてもよい。なお、図8(b)に示す構成において、第1方向Xに隣接する2つのカメラ5の間隔と、第2方向Yに隣接する2つのカメラ5の間隔とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図8(a)に示す構成は、多数のカメラ5を設けるため、図8(b)に示す構成より高コストになってしまうものの、通信先の相手の顔が画面上のどの位置に表示されたとしても、画面上に表示された顔の右目と左目の間に位置するカメラ5を選択することが可能なため、高精度な視線一致を実現させることが可能である。一方、図8(b)に示す構成は、図8(a)に示す構成よりカメラ5の個数を削減しているため、視線一致の精度は多少低下するものの、低コストに視線一致を実現させることが可能である。
【0043】
また、本実施形態に係る表示装置1が、例えば13インチのモニター装置である場合、当該表示装置1には、図9(a)に示すように、20×12個のカメラ5を、表示領域DAと重なる位置全体に敷き詰めるように設けてもよいし、図9(b)に示すように、7×4個のカメラ5を、間隔を空けて設けてもよい。なお、図9(b)に示す構成において、第1方向Xに隣接する2つのカメラ5の間隔と、第2方向Yに隣接する2つのカメラ5の間隔とは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図9(a)に示す構成は、多数のカメラ5を設けるため、図9(b)に示す構成より高コストになってしまうものの、通信先の相手の顔が画面上のどの位置に表示されたとしても、画面上に表示された顔の右目と左目の間に位置するカメラ5を選択することが可能なため、高精度な視線一致を実現させることが可能である。一方、図9(b)に示す構成は、図9(a)に示す構成よりカメラ5の個数を削減しているため、視線一致の精度は多少低下するものの、低コストに視線一致を実現させることが可能である。
【0044】
さらに、本実施形態に係る表示装置1は、図10(a)に示すように、表示領域DAの下側領域にはカメラ5を配置しない構成であってもよい。あるいは、本実施形態に係る表示装置1は、図10(b)に示すように、表示領域DAの中央領域に近づくほどカメラ5を密に配置する構成であってもよい。本実施形態に係る表示装置1を利用して、Web会議やビデオ通話が行われる場合、ユーザは互いに画面中央領域正面に自身の顔がくるように、自身の位置や表示装置1の位置を調整することが予想される。このため、図10(a),(b)に示す構成によれば、ユーザの顔が表示される可能性の高い領域には多数のカメラ5を配置しつつも、その他の領域に配置されるカメラ5の個数を削減することが可能なため(つまり、ユーザの顔が表示される可能性の高い領域にはカメラ5を密に配置し、ユーザの顔が表示される可能性の低い領域にはカメラ5を疎に配置することが可能なため)、高精度な視線一致の実現と低コスト化を両立させることが可能である。なお、図10では、表示装置1がモニター装置である場合を示したが、表示装置1がスマートフォンの場合も同様な構成を適用することが可能である。
【0045】
なお、本実施形態に係る表示装置1は、図6に示した一連の動作の前に、以下に示す初期設定動作を行ってもよい。図11は、本実施形態に係る表示装置1において行われる初期設定動作を説明するための図である。
【0046】
表示装置1Aは、当該表示装置1A内に設けられる複数のカメラ5Aのうちの1つを用いて、いわゆるフェイストラッキングを行い、被写体であるユーザU1の顔の位置と、当該ユーザU1の右目と左目の位置を特定する。表示装置1Aは、特定されたユーザU1の右目と左目を結ぶ直線の中点から当該表示装置1A(表示パネル3)に向けて垂直に延びる仮想線VLを生成し、当該仮想線VLと交差する位置に配置されたカメラ5Aを、ユーザU1を撮影する最初のカメラ5Aとして選択する。
【0047】
また、表示装置1Aは、表示装置1Bから送信されてくる画像を受信すると、当該画像に含まれるユーザU2の右目と左目の間に、上記した最初のカメラ5Aが位置するように、当該画像の表示位置を調整する。つまり、表示装置1Aは、ユーザU1の正面にユーザU2の顔が表示されるように、当該ユーザU2を含む画像の表示位置を調整する。
【0048】
以上説明した初期設定動作を行うことにより、表示装置1Aは、ユーザU1の正面にユーザU2の顔を表示し、かつ、当該ユーザU1を撮影するカメラとして当該ユーザU1の正面に位置するカメラ5Aを選択した状態で、Web会議やビデオ通話を開始することができる。なお、表示装置1Aは、初期設定動作が完了した後は、図6に示した一連の動作を行うものとする。初期設定動作は、例えば画面に表示された完了ボタンがユーザU1によりタップされる等、手動で完了されてもよいし、最初のカメラ選択と画像の表示位置の調整が完了したことを検知して自動的に完了してもよい。
【0049】
なお、ここでは、表示装置1A側を例にとって説明したが、表示装置1B側でも同様な初期設定動作が行われる。また、初期設定動作におけるフェイストラッキングには、被写体の顔の位置と、被写体の右目と左目の位置とを特定しやすくするために、画面中央より上側領域に配置されたカメラ5(例えば、図11において斜線が付されたカメラ5A,5B)が用いられることが望ましい。なお、フェイストラッキング用のカメラは、表示装置1とは別に用意されてもよい。
【0050】
以上説明した本実施形態においては、表示装置1がWeb会議やビデオ通話に利用され、表示装置1を利用する複数のユーザ間の視線を一致させる場合について説明したが、本実施形態に係る表示装置1は、インカメラを利用して自身を撮影する、いわゆる自撮りにも適用することが可能である。
【0051】
例えば、図12(a)に示すように、画面上部に1つのカメラ(インカメラ)150が配置された表示装置200を利用して自撮りを行う場合、カメラ目線の画像を撮影するためには、ユーザUは、画面上部に配置されたカメラ150に視線を向けなければならない(つまり、自身の視線SL1と、カメラ目線SLCとを一致させる必要がある)。しかしながら、この場合、ユーザUは、表示装置200の画面に表示された自身の顔を見ることができず、ユーザUの視線SL1(カメラ目線SLC)と、画面上における自身の視線SL2とを一致させることができない。つまり、ユーザUは画面に表示された自身と視線を合わせることができない。
【0052】
これに対し、本実施形態に係る表示装置1を利用して自撮りを行う場合、図12(b)に示すように、画面上に表示された自身の右目と左目の間に位置するカメラ5が、自撮りに使用するカメラとして選択されるため、ユーザUは、自身の視線SL1と、画面上における自身の視線SL2と、カメラ目線SLCとを一致させることができる。つまり、本実施形態に係る表示装置1によれば、ユーザUは画面に表示された自身と視線を合わせた上で、自撮りを行うことが可能である。
【0053】
以上説明した一実施形態に係る表示装置1は、画像を表示する表示領域DAを有する表示パネル3と、表示領域DAと平面視において重なる位置に設けられ、当該表示装置1のユーザを被写体として撮影する複数のカメラ5と、表示領域DAに表示される画像に含まれる人物の目の位置に基づいて、複数のカメラ5のうちの1つを、被写体を撮影するカメラとして選択するコントローラ10と、を備える。これによれば、画面に表示された画像を見ている人物と、画像に表示された人物との間の視線を一致させることが可能となる。
【0054】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1…表示装置、2…筐体、3…表示パネル、4…カバーガラス、5…カメラ、U…ユーザ、SL1,SL2…視線、SLC…カメラ目線。
図1
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図6
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図10
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図12