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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058855
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】消火設備
(51)【国際特許分類】
   A62C 37/50 20060101AFI20240422BHJP
   A62C 35/68 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A62C37/50
A62C35/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166229
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100161171
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 潤一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(72)【発明者】
【氏名】松浦 正幸
【テーマコード(参考)】
2E189
【Fターム(参考)】
2E189HA12
2E189HA13
2E189HA15
2E189MB05
2E189MB06
(57)【要約】
【課題】流水系統、ポンプ、およびアラーム弁を含む設備において、点検作業のさらなる効率化を実現する。
【解決手段】消火水を送水するポンプと、火災の熱によりスプリンクラヘッドが開放することで2次側配管に充水されていた水を散水するスプリンクラと、2次側配管内の圧力低下により弁が開放されることで、1次側配管から2次側配管に消火水を流水させるとともに流水検知信号を出力するアラーム弁と、消火水を所望の配管経路に流水させるための開閉制御が可能な電動弁と、点検情報を検知するセンサと、制御部とを備え、制御部は、点検モードにおいて、電動弁の開閉制御およびポンプの駆動制御を行うことで所望の流水経路に消火水を流水させ、センサによる検知結果から流水系統、ポンプ、およびアラーム弁の少なくともいずれか1つの自動点検を実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火水を送水するポンプと、
火災の熱によりスプリンクラヘッドが開放することで2次側配管に充水されていた水を散水するスプリンクラと、
前記2次側配管内の圧力低下により弁が開放されることで、1次側配管から前記2次側配管に前記消火水を流水させるとともに、前記消火水の流水を検知することで流水検知信号を出力するアラーム弁と、
前記消火水を所望の配管経路に流水させるための開閉制御が可能な電動弁と、
点検情報を検知するセンサと、
制御部と
を備え、
前記制御部は、
火災監視時において、前記アラーム弁から出力された前記流水検知信号を受信することで前記ポンプを駆動させ、
点検モードにおいて、前記電動弁の開閉制御および前記ポンプの駆動制御を行うことで前記所望の流水経路に前記消火水を流水させ、前記センサによる検知結果から流水系統、前記ポンプ、および前記アラーム弁の少なくともいずれか1つの自動点検を実行する
消火設備。
【請求項2】
前記所望の流水経路は、前記点検モードにおいて前記制御部によって前記ポンプが駆動制御されることで水源から前記消火水を吸い上げ、吸い上げた前記消火水を前記水源に戻す配管経路であり、
前記センサは、前記所望の流水経路に設けられた流量計、および前記ポンプの動作性能を測定するための各種計器で構成され、
前記電動弁は、前記所望の流水経路に消火水を供給し、アラーム弁側に前記消火水を供給しない経路に設けられた第1の電動弁群で構成され、
前記制御部は、
前記点検モードにおいて、前記第1の電動弁群の前記開閉制御を行うとともに前記ポンプを駆動制御することで、前記所望の流水経路に前記消火水を供給し、前記ポンプの駆動により前記水源の水を循環させる状態を形成し、
前記流量計による測定結果、前記各種計器による測定結果を前記点検情報として記憶することで、前記流水系統および前記ポンプの前記自動点検を実行する
請求項1に記載の消火設備。
【請求項3】
前記所望の流水経路は、呼水槽の水量を強制的に減らすために、前記呼水槽に貯まっている水を水源に流す配管経路であり、
前記センサは、前記呼水槽が減水状態になっていること、および満水状態になっていることを検知するレベルスイッチで構成され、
前記制御部は、
前記点検モードにおいて、所定時間にわたって前記電動弁を開状態とするように前記開閉制御を行い、前記所定時間の経過後に前記電動弁を閉状態とするように前記開閉制御を行うことで、前記呼水槽の水を強制的に減らした後に前記満水状態に復帰させる状態を形成し、
前記レベルスイッチにより、前記減水状態および前記満水状態が検知されたか否かを点検情報として記憶することで、前記流水系統の前記自動点検を実行する
請求項1に記載の消火設備。
【請求項4】
前記所望の流水経路は、前記1次側配管および前記2次側配管からなる配管経路であり、
前記センサは、前記アラーム弁に設けられ、前記流水検知信号を出力する流水検知器で構成され、
前記電動弁は、前記点検モードにおいて前記2次側配管に充水された消火水を強制的に排水するために設けられた第2の電動弁群で構成され、
前記制御部は、
前記点検モードにおいて、前記第2の電動弁群を開状態とするように前記開閉制御を行い、前記スプリンクラから散水される状態を模擬的に再現して前記2次側配管内の圧力が低下する状態を形成し、
前記流水検知器から前記流水検知信号が出力されるか否かを点検情報として記憶することで、前記アラーム弁および前記流水系統の前記自動点検を実行する
請求項1に記載の消火設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、流水系統、ポンプ、およびアラーム弁を備えた消火設備に関するものであり、特に自動点検機能を有する消火設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
スプリンクラヘッド、アラーム弁、およびポンプを備えた消火設備において、アラーム弁の1次側圧力値および2次側圧力値を遠隔で取得することができる従来技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
消火設備による監視エリアおいて、火災の熱によりスプリンクラヘッドが開放すると、アラーム弁よりスプリンクラヘッド側である2次側配管に充水されていた水が散水される。散水に伴って2次側配管内の圧力が低下することで、アラーム弁が開放され、アラーム弁より水源側の1次側配管から消火水が流れる。
【0004】
さらに、アラーム弁から流水検知信号が出力されることでポンプが始動され、消火水が水源から1次側配管、アラーム弁、2次側配管を介してスプリンクラヘッドに供給され、散水作業が継続される。
【0005】
特許文献1では、アラーム弁の1次側配管の圧力値および2次側配管の圧力値を、遠隔から取得できる技術が開示されている。この結果、点検員は、アラーム弁が設置されている場所まで行くことなしに圧力値を確認することができ、点検コストの低減を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-85914号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来技術には以下のような課題がある。特許文献1によれば、アラーム弁関連の圧力値に関する機能点検を遠隔から可能としているが、ポンプ関連の機能点検を行うに当たっては、依然として点検員が設置現場まで行き、点検作業を実施する必要があった。
【0008】
ポンプの運転を伴う消火設備の点検作業は、休日作業となることが多い。また、点検対象のバルブ類は、手動で開閉を行い、都度、計器類の目視確認で各動作機能の良否を判定していた。従って、点検員の健全な労働環境の確保、および残業削減を図るために、夜間や休日の作業量を削減することが強く望まれる。
【0009】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、流水系統、ポンプ、およびアラーム弁を含む設備において、従来技術と比較して点検作業のさらなる効率化を実現する消火設備を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係る消火設備は、消火水を送水するポンプと、火災の熱によりスプリンクラヘッドが開放することで2次側配管に充水されていた水を散水するスプリンクラと、2次側配管内の圧力低下により弁が開放されることで、1次側配管から2次側配管に消火水を流水させるとともに、消火水の流水を検知することで流水検知信号を出力するアラーム弁と、消火水を所望の配管経路に流水させるための開閉制御が可能な電動弁と、点検情報を検知するセンサと、制御部とを備え、制御部は、火災監視時において、アラーム弁から出力された流水検知信号を受信することでポンプを駆動させ、点検モードにおいて、電動弁の開閉制御およびポンプの駆動制御を行うことで所望の流水経路に消火水を流水させ、センサによる検知結果から流水系統、ポンプ、およびアラーム弁の少なくともいずれか1つの自動点検を実行するものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、流水系統、ポンプ、およびアラーム弁を含む設備において、従来技術と比較して点検作業のさらなる効率化を実現する消火設備を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施の形態1に係る消火設備の全体構成図である。
図2】本開示の実施の形態1に係るポンプの内部構成を示した図である。
図3】本開示の実施の形態1に係る消火設備において、性能点検を自動化した際の所望の流水経路を示した説明図である。
図4】本開示の実施の形態1に係る消火設備において、呼水槽点検を自動化した際の所望の流水経路を示した説明図である。
図5】本開示の実施の形態1に係る消火設備において、アラーム弁関連の点検を自動化した際の所望の流水経路を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の消火設備の好適な実施の形態につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る消火設備は、外部制御が可能な電動弁を用いて、点検項目に応じて電動弁の開閉制御およびポンプの駆動制御を行い、そのときの各センサによる検知結果を点検情報として記憶することができる自動点検機能を備えていることを技術的特徴とするものである。
【0014】
実施の形態1.
まず始めに、システムの全体像について説明する。
図1は、本開示の実施の形態1に係る消火設備の全体構成図である。本実施の形態1に係る消火設備は、制御盤10、圧力タンク20、ポンプ30、アラーム弁40、スプリンクラ50、水源60、呼水槽70を備えて構成されている。
【0015】
また、種々の配管経路には、流路の開閉状態を切り換えるバルブV101~V106、V110、V111、V120が設けられている。図1において、黒で塗りつぶされた記号で表示されたバルブV102、V103、V105、V110、V111は、常時閉(ノーマルクローズ)のバルブを意味し、白抜きの記号で表示されたバルブV100、V101、V104、V106、V120は、常時開(ノーマルオープン)のバルブを意味している。
【0016】
図1では、地下に水源60がある場合を例示しており、ポンプ30と水源60とをつなぐ配管内を水で満たすために、呼水槽70が設けられている。また、スプリンクラ50は、閉鎖型スプリンクラヘッドを有しており、火災の熱によりスプリンクラヘッドが開放すると、スプリンクラヘッド側である2次側配管に充水されていた水が散水され、消火作業に利用される。
【0017】
アラーム弁40は、1次側圧力測定部41、2次側圧力測定部42、および流水検知器43を備えている。散水が開始されることに伴う2次側配管内の圧力低下により、アラーム弁40内の流路に設けられたクラッパは開放状態に切り替わり、アラーム弁40を介して水源側の1次側配管から2次側配管へと消火水が流れる。
【0018】
この結果、制御盤10内のコントローラである制御部は、火災監視時において、流水検知器43から出力された流水検知信号を受信することでポンプ30を始動させ、消火水が水源60から1次側配管、アラーム弁40、2次側配管を介してスプリンクラ50に供給され、散水作業が継続されることとなる。
【0019】
図2は、本開示の実施の形態1に係る自動点検対象であるポンプ30の内部構成を示した図である。ポンプ30は、制御部からの指令に基づいてモータ301の回転に伴って駆動部302が駆動されることで、水源60に貯まっている消火水を1次側配管に送水する。
【0020】
ポンプ30が正常に機能しているかは、ポンプ30を駆動させたときの電圧計303、電流計304、連成計305、圧力計306の各種計器の測定値をモニタすることで定量的に点検することができる。
【0021】
本実施の形態1に係る消火設備では、配管系路上にある種々のバルブを、制御部からの指令により開閉制御が可能な電動弁に置き換え、点検項目に応じて電動弁の開閉制御およびポンプの駆動制御を行い、そのときの各センサによる検知結果を点検情報として記憶することで、流水系統、ポンプ30、およびアラーム弁40の点検作業を自動化している。そこで、本実施の形態1に係る消火設備が有している自動点検機能について、詳細に説明する。
【0022】
まず、点検モードにおいて実行されるポンプ30関連の自動点検機能について説明する。ポンプ30の機能点検としては、締切運転での点検、性能点検、呼水槽点検があり、それぞれの点検に応じて、開閉するバルブが異なる。
【0023】
(1)締切運転での点検
締切運転での点検とは、ポンプ30を起動させるが、全てのバルブを閉じて水が流れない状態で、図2に示した各種計器の測定値をモニタする点検である。従って、図1に示した構成では、締切運転での点検を自動化するためには、バルブV100、V101、V104を電動弁とする。
【0024】
制御部は、点検モードにおいて、電動弁であるバルブV100、V101、V104を閉状態に切り換えた上で、ポンプ30を起動し、各種計器である電圧計303、電流計304、連成計305、圧力計306の測定値を点検情報として記憶することで、締切運転での点検を自動で行うことができる。締切運転での点検が完了した後に、制御部は、ポンプ30を停止させるとともに、バルブV100、V101、V104を開状態に戻すことで、点検前の状態に復帰させる。
【0025】
(2)性能点検
性能点検とは、ポンプ30により水源60から吸い上げた水を水源60に戻す経路のバルブを開いて流水させた状態で、図2に示した各種計器の測定値をモニタする点検である。従って、図1に示した構成では、性能点検を自動化するためには、バルブV100、V101、V102、V103、V104を電動弁とする。
【0026】
図3は、本開示の実施の形態1に係る消火設備において、性能点検を自動化した際の所望の流水経路を示した説明図である。図3では、先の図1に対して、性能点検を行う際の所望の流水経路が太い矢印線として追記されている。
【0027】
制御部は、点検モードにおいて、電動弁であるバルブV100、V101、V104を閉状態に切り換え、かつ、電動弁であるバルブV102、V103を開状態に切り換える。すなわち、制御部は、ポンプ30の駆動により水源60の消火水を循環させる状態を形成し、アラーム弁40側に消火水を供給しないように、バルブV100~V104から構成された第1の電動弁群の開閉制御を行う。
【0028】
さらに、制御部は、ポンプ30を起動し、ポンプ30の動作性能を定量的に評価するために、流量計31の測定値、および各種計器である電圧計303、電流計304、連成計305、圧力計306の測定値を点検情報として記憶することで、図3に示した経路で流水させながらの性能点検を自動で行うことができる。
【0029】
性能点検が完了した後に、制御部は、ポンプ30を停止させるとともに、バルブV100、V101、V104を開状態に戻し、バルブV102、V103を閉状態に戻すことで、点検前の状態に復帰させる。
【0030】
(3)呼水槽点検
呼水槽点検とは、呼水槽70の水を水源60に排水して、呼水槽70の水位がさがることで減水状態となって減水警報が出るか確認し、その後、水源60への排水経路のバルブを閉じ、給水経路のバルブを開くことで呼水槽70が満水状態となり、給水が止まることを確認する点検である。従って、図1に示した構成では、呼水槽点検を自動化するためには、バルブV105、V106を電動弁とする。
【0031】
図4は、本開示の実施の形態1に係る消火設備において、呼水槽点検を自動化した際の所望の流水経路を示した説明図である。図4では、先の図1に対して、呼水槽点検を行う際の所望の流水経路が太い矢印線として追記されている。
【0032】
制御部は、点検モードにおいて、電動弁であるバルブV106を閉状態に切り換え、かつ、電動弁であるバルブV105を所定時間にわたって開状態に切り換えて呼水槽70の水量を強制的に減らすことで減水警報が出るか確認し、所定時間の経過後、バルブV106を開状態、バルブV105を閉状態に戻した上で、呼水槽70が満水状態になったかを確認し、確認結果を点検情報として記憶することで、図4に示した経路での排水動作を伴う呼水槽点検を自動で行うことができる。
【0033】
なお、呼水槽70にはレベルスイッチ71が設けられており、制御部は、レベルスイッチ71からの出力により、減水警報が出たか、満水状態になったかを検知することができる。
【0034】
次に、アラーム弁40関連の自動点検機能について説明する。図5は、本開示の実施の形態1に係る消火設備において、アラーム弁40関連の点検を自動化した際の所望の流水経路を示した説明図である。図5では、先の図1に対して、アラーム弁40関連の点検を行う際の所望の流水経路が太い矢印線として追記されている。なお、図5では、2つのアラーム弁40のうちの1つについて自動検査を行う場合を例示している。
【0035】
アラーム弁40関連の点検を自動化するためには、バルブV110、V111を電動化し、バルブV110、V111を開状態とすることで、スプリンクラから散水される状態を模擬的に再現できるようにする。
【0036】
制御部は、点検モードにおいて、第2の電動弁群であるバルブV110、V111を開状態とするように開閉制御を行い、スプリンクラから散水される状態を模擬的に再現して2次側配管内の圧力が低下する状態を形成する。
【0037】
そして、制御部は、流水検知器43から流水検知信号が出力されるか否かを点検情報として記憶することで、図5に示した経路での流水動作を伴うアラーム弁40関連の点検を自動で行うことができる。
【0038】
なお、制御部は、1次側圧力測定部41および2次側圧力測定部42による圧力測定結果を点検情報としてさらに記憶することができる。
【0039】
アラーム弁40関連の点検が完了した後に、制御部は、バルブV110、V111を閉状態に戻すことで、点検前の状態に復帰させる。
【0040】
上述した各種の点検情報は、制御部にデータ履歴として蓄積することができる。また、制御部は、必要に応じてデータ履歴、点検情報をサーバーなどに保存させる、あるいは、客先にメールなどで通知することもできる。
【0041】
また、消火設備の納入メーカは、外部から制御部あるいはサーバーにアクセスして、点検結果を取得することができる。あるいは、消火設備の納入メーカは、必要に応じて外部から制御部にアクセスして、所望のタイミングで自動点検機能を実行させた上で点検結果を取得することもできる。
【0042】
また、自動点検機能の起動方法としては、法定点検と同様に、現地で制御盤10を操作するか、あるいはネットワークを介して遠隔で手動起動または定期的に自動起動としてもよい。
【0043】
なお、バルブの電動化だけではなく、新たなセンサを付加することで、点検作業のさらなる効率化を図ることも考えられる。例えば、ポンプ30に振動センサを設置しておくことで、制御部は、点検作業時にポンプを駆動した際の振動値をモニタすることで、ポンプ30の軸ブレ異常を検知することが可能となる。
【0044】
また、アラーム弁40に設けられているクラッパにセンサを取り付け、開状態、閉状態をセンサ出力によってモニタすることで、アラーム弁40内のクラッパが正常に機能しているかを検知することが可能となる。
【0045】
以上のように、本実施の形態1によれば、手動開閉を行っていたバルブを電動化し、所望の配管経路にのみ消火水を流すための開閉制御を可能としている。そして、点検モードにおいて、点検項目に応じて電動弁の開閉制御およびポンプの駆動制御を行い、そのときの各センサによる検知結果を点検情報として記憶することで、流水系統、ポンプ、アラーム弁に関する自動点検機能を実現している。
【0046】
このような機能を備えることで、点検員は、所望のタイミングで、流水系統、ポンプ、およびアラーム弁を含む設備において、効率化を図った点検作業を実施することができる。
【0047】
また、法定点検前の所望のタイミングでも、自動点検機能を活用することができ、法定点検前に流水系統、ポンプ、およびアラーム弁の状態を定量的にモニタすることができ、法定点検前の修繕や法定点検時の修繕に備えることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 制御盤、20 圧力タンク、30 ポンプ、40 アラーム弁、43 流水検知器、50 スプリンクラ、60 水源、70 呼水槽、71 レベルスイッチ、301 モータ、302 駆動部、303 電圧計、304 電流計、305 連成計、306 圧力計、V100~V106、V110、V111、V120 バルブ。
図1
図2
図3
図4
図5