(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005887
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】ロータリ除雪車
(51)【国際特許分類】
E01H 5/04 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
E01H5/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106321
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】503132257
【氏名又は名称】新潟トランシス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】志村 祐太
(72)【発明者】
【氏名】今 勲
(72)【発明者】
【氏名】宮廻 成志
(72)【発明者】
【氏名】更科 勝博
(72)【発明者】
【氏名】遠山 正人
(72)【発明者】
【氏名】野澤 大地
(72)【発明者】
【氏名】白樫 純
【テーマコード(参考)】
2D026
【Fターム(参考)】
2D026CK00
(57)【要約】
【課題】路肩の除雪に適したロータリ除雪車を提供する。
【解決手段】走行車両2と、この走行車両2の前方に設けられ雪を回収するオーガ8を有する除雪装置3とを備えたロータリ除雪車1において、除雪装置3を走行車両2の幅方向に移動可能に設けると共に、除雪装置3を幅方向に移動する油圧シリンダ28を備えるから、油圧シリンダ28により除雪装置3を路肩側に移動することにより、車幅よりも外側の路肩側の雪をオーガ8により取り込んで除雪することができる。また、除雪装置3の左側に、路肩の壁面に付着した雪を落とすブラシ手段61を設けたから、路肩の壁面に付着した雪をブラシ手段61で掻き落として除雪することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両と、この走行車両の前方に設けられ雪を回収するオーガを有する除雪装置とを備えたロータリ除雪車において、前記除雪装置を前記走行車両の幅方向に移動可能に設けると共に、前記除雪装置を前記幅方向に移動する移動手段を備えることを特徴とするロータリ除雪車。
【請求項2】
前記除雪装置の前記幅方向の一側に、路肩の壁面に付着した雪を落とすブラシ手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のロータリ除雪車。
【請求項3】
前記ブラシ手段は横向きに突出した毛体を上下方向に並設し、それら毛体の先端の並びが前記壁面の形状に対応することを特徴とする請求項2記載のロータリ除雪車。
【請求項4】
回収した雪をシュートから後方に排出する排雪装置を前記除雪装置に設け、前記シュートから排出された雪を前記走行車両の後部に送る移送装置を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のロータリ除雪車。
【請求項5】
回収した雪をシュートから後方に排出する排雪装置を前記除雪装置に設け、前記シュートから排出された雪を前記走行車両の荷台に搭載した融雪装置に送る移送装置を備えることを特徴とする請求項1又は2記載のロータリ除雪車。
【請求項6】
前記移送装置は、雪が滑り落ちる傾斜した案内路と、前記案内路の前側の雪投入口を拡大する雪投入口拡大装置とを備えることを特徴とする請求項4記載のロータリ除雪車。
【請求項7】
前記案内路は、雪が滑り落ちる底面部と、前記底面部の幅方向両側に設けられた側面部とを有すると共に、上部が開口し、前記雪投入口拡大装置は、雪投入口拡大部材と、この雪投入口拡大部材を開閉する開閉駆動手段を備えることを特徴とする請求項6記載のロータリ除雪車。
【請求項8】
前記除雪装置を前記走行車両に着脱可能に設けたことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のロータリ除雪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリ除雪車に関し、車体の前方に除雪装置を設けたロータリ除雪車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のものとして、車体の前部にオーガとブロワとシュートとより成る除雪装置が設けられ、回送時は除雪装置を一体として所定の高さ迄上昇させ、路面から離間させ、除雪作業時には除雪装置を下降させ、オーガで路上に積った雪を掻き集めブロワによりシュートを経て路外の適宜の場所に投雪するロータリ除雪車(例えば特許文献1)や、道路に積もった雪を効率的に除雪するため、オーガにより集積した雪をブロアによって発生させた空気流と遠心力を用いて投棄するロータリ除雪車(例えば、特許文献2、3)が知られている。このようなロータリ除雪車は、ヘリカルリボン形状をしたオーガと、回転式ブロアを備えた除雪装置を車両の前部に装着して構成されている。
【0003】
また、上記特許文献1のロータリ除雪車では、除雪装置昇降用油圧シリンダと車両走行及び作業用のエンジンにより駆動される油圧ポンプを備え、この油圧ポンプを動力源として前記除雪装置を駆動している。
【特許文献1】実開平5-16823号公報
【特許文献2】特開平10-96219号公報
【特許文献3】特開2000-240027号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ロータリ除雪車では、オーガにより集積した雪をブロアによって発生させた空気流と遠心力を用いて投棄するため、除雪を効率よく行うことができるが、車両前方の雪を取り込むため、道路側部の路肩などの壁面に付着した雪を取り込んで除雪することができなかった。
【0005】
また、走行用のエンジンを動力源として油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプを動力源して除雪装置を駆動しており、前記エンジンの回転力により油圧ポンプを駆動し、除雪時の走行抵抗の変化によりエンジンの出力が変動すると、油圧ポンプの出力も変動するため、除雪装置の駆動制御が複雑になる面があった。
【0006】
さらに、雪をブロアによって道路から投機するため、投機場所のない現場では使用が制限されるという問題がある。
【0007】
ところで、従来のロータリ除雪車はいずれも除雪の専用車両であるため、積雪時期以外は使用することができなかった。
【0008】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、路肩の壁面の除雪に適したロータリ除雪車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は走行車両と、この走行車両の前方に設けられ雪を回収するオーガを有する除雪装置とを備えたロータリ除雪車において、前記除雪装置を前記走行車両の幅方向に移動可能に設けると共に、前記除雪装置を前記幅方向に移動する移動手段を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、前記除雪装置の前記幅方向の一側に、路肩の壁面に付着した雪を落とすブラシ手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、前記ブラシ手段は横向きに突出した毛体を上下方向に並設し、それら毛体の先端の並びが前記壁面の形状に対応することを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、回収した雪をシュートから後方に排出する排雪装置を前記除雪装置に設け、前記シュートから排出された雪を前記走行車両の後部に送る移送装置を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、回収した雪をシュートから後方に排出する排雪装置を前記除雪装置に設け、前記シュートから排出された雪を前記走行車両の荷台に搭載した融雪装置に送る移送装置を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、前記移送装置は、雪が滑り落ちる傾斜した案内路と、前記案内路の前側の雪投入口を拡大する雪投入口拡大装置とを備えることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、前記案内路は、雪が滑り落ちる底面部と、前記底面部の幅方向両側に設けられた側面部とを有すると共に、上部が開口し、前記雪投入口拡大装置は、雪投入口拡大部材と、この雪投入口拡大部材を開閉する開閉駆動手段を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、前記除雪装置を前記走行車両に着脱可能に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の構成によれば、移動手段により除雪装置を路肩側に移動することにより、車幅よりも外側の路肩側の雪をオーガにより取り込んで除雪することができる。
【0018】
請求項2の構成によれば、路肩の壁面に付着した雪をブラシ手段で掻き落として除雪することができる。
【0019】
請求項3の構成によれば、路肩の壁面に毛体の先端が均等に当たるため、付着した雪をブラシ手段で均一に掻き落とすことができる。
【0020】
請求項4の構成によれば、シュートから排出された雪を移送装置により車両の後部に送ることができる。
【0021】
請求項5の構成によれば、シュートから排出された雪を移送装置により融雪装置に送ることができる。
【0022】
請求項6の構成によれば、スライダー装置により移送に動力を用いることなく、雪を融雪装置に送って融雪することができ、しかも、雪投入口が拡大することによりシュートからの雪のこぼれを防止できる。
【0023】
請求項7の構成によれば、開閉駆動手段により雪投入口拡大部材が開閉して雪投入口が拡大する。また、雪が目詰まりした場合、処理が煩雑となるが、案内路の前側に雪投入口拡大部材を設け、他は上部が開口しているため、雪が目詰まりしにくい構造となる。
【0024】
請求項8の構成によれば、除雪を行わないときは、除雪装置を取り外し、融雪装置を搭載している場合は融雪装置を取り外し、荷台を有する走行車両として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例1を示す除雪作業時のロータリ除雪車の正面図である。
【
図4】同上、回送時のロータリ除雪車の正面図である。
【
図11】同上、ロータリ除雪車の要部の側面図である。
【
図17】同上、スライダー装置の要部の正面図である。
【
図18】同上、スライダー装置の要部の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施例1について、
図1~
図20を参照して説明する。同図に示すようにロータリ除雪車(以下、除雪車という)1は、道路用の走行車両2と、該走行車両2の前方に着脱可能に設けられた除雪装置3とを備える。前記除雪装置3の除雪装置本体4は、左右方向(車幅方向)に沿って設けられた集雪用のオーガ装置5と、このオーガ装置5と走行車両2との間に設けられ該オーガ装置5により集められた雪を所定の方向に排雪するブロア43を備えた排雪装置6とから主に構成される。また、除雪装置3は、除雪装置本体4と、該除雪装置本体4を前記走行車両2の前方に着脱自在に設けると共に、除雪装置本体4を昇降する取付装置7を備え、この取付装置7は除雪装置3の一部を構成する。
【0027】
前記オーガ装置5は、オーガ8と、このオーガ8を覆うケーシング9を備え、前記オーガ8は、前記除雪装置本体4の左右のオーガ支持部材10,10の間に回転可能に支持されている。尚、オーガ装置5は路肩の壁面の除雪を行うために、オーガ装置5の車幅方向の幅は、走行車両2の車幅の1/2以上~2/3以下程度に形成されている。
【0028】
図11などに示すように、前記走行車両2の車体11の前方下部には、前記除雪装置3の前記取付装置7を着脱可能に取り付ける車両側取付体12が設けられ、この車両側取付体12は、車体11に固定した左右一対の取付ブラケット13,13と、これら左右の取付ブラケット13,13を連結する左右方向の連結杆14(
図6)とを備える。また、左右の取付ブラケット13,13の上部が車体11に固定されると共に、左右の取付ブラケット13,13の下部と車体11とが、前後方向のステー15,15により固定されている。また、前記走行車両2は、運転室16の後部に荷台17を有する。
【0029】
また、前記走行車両2は、左右の前輪18,18と、前後に並んだ左右の後輪19,19,19,19とを有し、これら前,後輪18,18,19,19,19,19にそれぞれ駆動力が伝達される。
【0030】
図11などに示すように、前記除雪装置3の一部を構成する取付装置7は、前記車両側取付体12に着脱可能に取り付ける除雪側取付体21を備える。そして、車両側取付体12から除雪側取付体21を取り外すことにより、車体11から除雪装置3を取り外すことができる。
【0031】
前記除雪側取付体21は、上下一対設けられた左右方向のガイド杆22,22(
図1)と、これらガイド杆22,22の両端が固定された左右の縦枠材23,23(
図4)と、これら左右の縦枠材23,23を連結する左右方向の横枠材24,24(
図1)とを一体に備える。そして、除雪側取付体21は、ボルトナットなどの着脱手段25(
図11)により前記左右の取付ブラケット13,13の前面に着脱可能に連結される。
【0032】
前記取付装置7は、前記除雪側取付体21に左右方向(車幅方向)移動可能に設けられた移動体たる移動枠26を備える。この移動枠26の上下左右には、前記上下のガイド杆22,22に移動可能に外嵌する筒状のスライダ27,27(
図1,
図4)が設けられている。また、移動手段たる油圧シリンダ28(
図1)の基端を左側の前記縦枠材23に連結し、その油圧シリンダ28の伸縮杆(図示せず)の先端を前記除雪側取付体21に連結し、油圧シリンダ28の伸縮により前記移動枠26が左右に移動する。尚、
図3及び
図4に示すように、移動枠26は、走行車両2の車幅内に収まるように形成され、また、移動枠26を車両幅方向の一側である左側に移動すると、オーガ8の左縁側が車幅から外側に位置するように構成している。
【0033】
図11に示すように、前記除雪装置本体4は、前記取付装置7の昇降リンク機構31を介して前記除雪側取付体21に支持されている。尚、昇降リンク機構31は除雪装置3の一部を構成する。そのリンク機構31は、ほぼ平行リンクをなす上下のリンク片32,33を左右に備え、上のリンク片32の後端側を移動枠26に枢着部32Kにより回動可能に連結すると共に、上のリンク片32の前端側を除雪装置本体4に枢着部32Zにより回動可能に連結している。また、下のリンク片33の後端側を移動枠26に枢着部33Kにより回動可能に連結すると共に、下のリンク片33の前端側を除雪装置本体4に枢着部33Zにより回動可能に連結している。また、左右の昇降用シリンダ34,34の下端側を前記枢着部33Kの近傍で移動枠26に枢着部34Kにより回動可能に連結すると共に、左右の昇降用シリンダ34,34の伸縮杆34S,34S(
図5)の上端側を前記枢着部32Zにより除雪装置本体4に回動可能に連結している。
【0034】
従って、
図1及び
図11に示すように、昇降用シリンダ34を収縮すると、除雪装置本体4が降下して除雪位置となり、
図5に示すように、昇降用シリンダ34を伸長すると、オーガ装置5が上昇し、除雪車1を非除雪状態(回送状態)に切り換えて走行することができる。
【0035】
図12などに示すように、前記オーガ8は回転軸41にヘリカルリボン形状をしたブレード42を取付けたものであり、軸方向の中央に関して左右対称に配置されている。すなわち、オーガ8のブレード42の捩れ方向は左右逆方向とされている。そして、オーガ8を正転方向に回転すると、道路55の雪はオーガ8の中央部に搬送され、オーガ8の中央部に搬送された雪は、前記排雪装置6のブロア43(
図4)により、空気と共にシュート44から除雪車1の後方に噴出される。尚、ブロア43及びシュート44は除雪装置3に設けられており、ブロア43はオーガ8の後部の排雪装置6に配置され、シュート44は排雪装置6(
図2)の上方に配置されている。
【0036】
図2に示すように、前記シュート44は複数の筒体45に分割されて伸縮可能に構成され、この例では3分割されており、隣り合う複数の筒体45,45,45間に伸縮用シリンダ46,46を設け、これら伸縮用シリンダ46,46の伸縮によりシュート44が伸縮する。また、シュート44の先端の筒体45の先端には、排雪筒47が水平軸を中心に傾動可能に設けられており、先端の筒体45と排雪筒47の間に設けた傾動用シリンダ48の伸長により排雪筒47が傾動し、後方に向かって雪を絞った状態で排出することができる。
【0037】
また、シュート44は図示しない駆動装置により旋回・傾動可能に設けられており、伸縮用シリンダ46を収縮し、先端側を車両幅方向の一側に倒すことにより、
図4及び
図5に示すようにシュート44を車幅内に収納することができる。
【0038】
前記オーガ装置5の前記ケーシング9は前面に前開口部51が設けられ、幅方向他側(右側)の開口部には前記オーガ支持部材10が配置されている。
図14などに示すように、ケーシング9の幅方向一側(左側)は前後方向の側板部52により閉塞され、この側板部52の下縁部52Sは、除雪装置3の除雪位置で、道路55の路面から離れる位置に設けられ、その側板部52の前縁部52Mは、前記ケーシング9の前開口部51より僅かに前方に位置する(
図14)。
【0039】
図12に示すように、前記道路55の路肩には壁体たる壁高欄56が設けられ、この壁高欄56の壁面57は、道路55から立ち上がり、上傾斜壁面57Uの下に垂直に対する角度が異なる下傾斜壁面57Sを有し、垂直に対する角度は下傾斜壁面57Sが上傾斜壁面57Uより大きい。このように壁面57は、壁面57の下端面57Kに比べて外側に位置する上,下傾斜壁面57U,57Sを有する。また、上,下傾斜壁面57U,57Sの間には、傾斜角度が切り替わる屈曲部58が設けられ、下傾斜壁面57Uと下端面57Kとの間には、屈曲部58Aが設けられている。尚、壁高欄56はコンクリートなどからなり、壁面57はコンクリート面である。
【0040】
前記除雪装置3には、路肩の前記壁面57に付着した雪を落とす雪落とし具たるブラシ手段61を有する。このブラシ手段61は、縦板状の取付部材62の前側に、該取付部材62より幅狭な支持体63を設け、この支持体63に複数の毛体64の基端を取り付け、横方向の毛体64を上下方向に隙間なく複数並設し、複数の毛体64の基端を前後方向に並べて束ね、それら基端を支持体63の前側に植設することにより、
図13に示すように、毛体64の先端側が僅かに広がるように設けられている。前記毛体64は断面円形で例えば直径3mm程度の合成樹脂製の棒状をなす。
【0041】
そして、前記支持体63を前側にして前記前縁部52Aに位置させ、前記取付部材62を前記側板部52の外面の先端側に、ボルトナットなどの取付手段65により着脱可能に取り付け、これにより、前後位置が前縁部62Mの位置で、側板部52の外面側に毛体64を配置し、この毛体64を幅方向外側に突設している。従って、異なる形状の壁面57の除雪の際は、対応するブラシ手段61に交換し、摩耗等の場合もブラシ手段61を交換することができる。また、オーガ装置5に取り付けた状態で、毛体64は前記前開口部51の前側に位置する。また、上側の毛体64は前記前開口部51の横方向の上縁51F(
図12)より上方に位置し、下端の毛体64は前記下縁部52Sの高さ位置に位置する。
【0042】
図12に示すように、取付状態で、前記毛体64の先端64Sは前記壁面57の形状に対応して並んでおり、先端64Sを結んだ仮想線が前記上,下傾斜壁面57U,57S及び屈曲部58に対応する形状をなす。このため毛体64の長さをその高さ位置により壁面57に対応するように設定している。このように高さ位置により車体11との間隔が異なる壁面57であっても、毛体64の先端が壁面57に均等に当たるため、付着した雪を均一に掻き落とすことができる。
【0043】
また、ケーシング9の幅方向他側は側板部52により閉塞され、側板部52の前縁部52Mは、前記ケーシング9の前開口部51の上縁51Fの位置より僅かに前方に位置し、毛体64は、前記支持体63を前記前縁部52Mに設けることにより該前縁部52Mの位置に設けられており、毛体64は間隔Kだけ前記前開口部51の前側に位置するため、ブラシ手段61により掻き落とした雪が前開口部51に送られ、側板部52により車幅方向外側に漏れることなく、オーガ8へと送られる。尚、
図13及び
図14に示すように、ブラシ手段61の取付部材62の前縁を、前縁部52Mの位置に合わせたが、取付部材62の前縁が前縁部52Mより前側になるように、側板部52の外面に取付部材62を取り付けた場合は、取付部材62の前縁が側板部52の前縁部52Mとなる。
【0044】
また、
図11に示すように、前記除雪装置3には、前記オーガ8より後方で左右にそり69,69が設けられており、これらそり69,69は、除雪作業時に道路面に接して除雪装置3を補助的に支持すると共に、除雪装置本体4の上下方向の向きを規制する。そして、前記そり69は、その基端部69Aが前記除雪装置本体4に固定され、その基端部69Aにそり本体69Bが高さ調整可能に固定されている。
【0045】
前記走行車両2の前記荷台17上には、その前側に動力ユニット71が搭載されている。この動力ユニット71は、車幅方向に長い略直方体形状の筐体72内に、
図19に示すように、油圧制御装置73と、この油圧制御装置73により制御される油圧ポンプ74と、この油圧ポンプ74の動力源たる原動機75又はバッテリと、前記原動機75の燃料を収納する燃料タンク76とを収納している。これにより、走行車両2のエンジン(図示せず)の回転力を動力とせずに、前記動力ユニット71を動力源として前記除雪装置3を駆動する。尚、動力源をバッテリにする場合、燃料タンクは不要となる。
【0046】
このように除雪装置3専用の動力ユニット71を搭載することにより、走行時の除雪抵抗などのエンジン負荷の変動に関係なく、除雪装置3により安定した除雪作業を行うことができる。
【0047】
前記荷台17上には、その後部に融雪装置81が着脱可能に搭載されている。この融雪装置81は、前後方向に長い略長方形形状の筐体82を備える。この筐体82の上面前側には、雪の投入口83が設けられ、筐体82の内部には、前記投入口83に投入された雪が落下する融水槽84と、ボイラなどの加熱手段85と、この加熱手段85により加熱した加熱水を前記融水槽84に散水する散水手段たるポンプシャワー86とが設けられている。尚、図中86Aは、ポンプシャワー86に複数設けられたノズルであり、このノズル86Aから加熱水を噴射する。また、融雪装置81は、融水槽84の水を、除雪車1の外部に排水する排水口87を備える。また、融雪装置81の動力源となる発電機88を備え、この発電機88は筐体82の外部に配置されている。
【0048】
前記シュート44から排出された雪を前記融雪装置81に送る移送装置たるスライダー装置90を備え、このスライダー装置90は走行車両2に着脱可能に設けられている。
図15~
図18に示すように、前記スライダー装置90の伸縮式の案内路91は、上部が開口した樋状の後部案内路92と、この後部案内路92にスライド可能に挿入した樋状の前部案内路93とを備える。前記後部案内路92は、上部が開口し、雪が流れ落ちる斜面たる底面部94と、これら底面部94の幅方向両側に設けられた側面部95,95とを有し、左右の側面部95,95の上部間に上開口部92Kが設けられている。また、前記前部案内路93は、上部が開口し、雪が流れ落ちる斜面たる底面部94Aと、これら底面部94Aの幅方向両側に設けられた側面部95A,95Aとを有し、左右の側面部95A,95Aの上部間に上開口部93Kが設けられている。
【0049】
前記後部案内路92の左右の側面部95,95の上縁95F,95F間には、複数の保形部材たる横梁材96,96がそれら左右の上縁95F,95Fに固定され、前側と後側に横梁材96,96が設けられている。また、前記前部案内路93の左右の側面部95A,95Aの上縁95F,95F間には、複数の保形部材たる横梁材97,98,98がそれら左右の上縁95F,95Fに固定され、前側と中央側と後側に横梁材97,98,98が設けられている。
【0050】
前記後部案内路92に前記前部案内路93をスライド可能に設けるスライド機構100を備える。このスライド機構100は、前部案内路93の前側で左右側面部95A,95Aの外面に取付腕部101,101を突出し、これら左右の取付腕部101,101の先端に、左右の案内杆102,102の先端側を固定し、それら案内杆102,102は案内路91と平行に配置されている。また、スライド機構100は、後部案内路92の前側で左右側面部95,95の外面に、前後に並んで左右のスライダ103,103,103A,103Aを設け、これらスライダ103,103,103A,103Aに前記左右の案内杆102,102をスライド可能に挿通している。
【0051】
また、案内路91の一方の側面部95,95Aの外側に、伸縮駆動手段たる油圧シリンダ105を配置し、この流体圧シリンダである油圧シリンダ105の伸縮杆105Sの先端を取付部106により側面部95Aの外面側に取り付け、前記油圧シリンダ105の基端側を取付部107により側面部95の外面側に取り付けている。従って、油圧シリンダ105を伸長すると、前部案内路93の左右に設けた案内杆102,102が、後部案内路92の左右で前後一対設けたスライダ103,103,103A,103Aにより案内されるため、前部案内路93が安定して前後にスライドし、案内路91を伸縮することができる。
【0052】
前記前部案内路93の前側が筒状の雪投入口111であり、この雪投入口111を拡大する雪投入口拡大装置112を備える。この拡大装置112は、雪投入口拡大部材113と、この雪投入口拡大部材113を傾動する開閉駆動手段たる油圧シリンダ114とを備え、この油圧シリンダ114は流体圧シリンダである。
【0053】
前記雪投入口拡大部材113は、平板状の上板部115と、この上板部115の左右縁側から下方に垂設した側板部116,116とを一体に備え、前記上板部115は左右の前記側面部95A,95Aの内面間に対応した幅を有し、前記側板部116は側面視で略三角形状をなし、
図17に示すように、左右の側板部116,116が左右の側面部95A,95A内に挿入可能に構成されている。尚、側板部116は、該側板部116の下縁116Sと前記上板部115が該側板部116の前縁116Mに向かってテーパ状に拡大する形状をなす。尚、上板部115の上面には、左右方向等間隔で、幅方向を上下方向とした帯状の縦リブ部117が複数(4箇所)設けられている。
【0054】
図15は、雪投入口拡大部材113が開いて雪投入口111を拡大して開成した状態を示し、この開成状態で前記下縁116Sは、側面部95Aの上縁95Fより下方で、該上縁95Fと略平行をなす。また、
図17に示すように、拡大部材113を閉成した状態(
図17)で、前記上板部115は前記左右の上縁95F,95Fと略同一高さとなり、上板部115が前記底面部94Aと略平行になる。
【0055】
前記上板部115の後縁に左右方向の回転軸121を固定し、この回転軸121の両端を、左右の前記側面部95A,95Aの上縁95F,95Fに突設した回動受け部122,122に回動自在に取り付けている。
【0056】
また、
図16に示すように、前記回転軸121の左右方向中央に、リンク片123の上端側を固定し、このリンク片123の下端側に、前記油圧シリンダ114の伸縮杆114S(
図15)の先端を枢着部124により回動可能に連結し、前記油圧シリンダ114の基端側を枢着部125により前記横梁材97に回動可能に連結している。
【0057】
従って、油圧シリンダ114を伸長すると、拡大部材113の前側が上方に開く方向に回動することにより拡大部材113が開いて雪投入口111が拡大し、油圧シリンダ114を縮小すると、逆に閉まる方向に拡大部材113が閉まる。そして、雪投入口111が拡大した拡大状態では、前部案内路93の左右の側面部95A,95Aと、拡大部材113の左右の側板部116,116とが略隙間なく連続し、投入された雪が外部に漏れることが防止される。また、前部案内路93の全長を筒状に形成すると、雪が目詰まりした場合、処理が煩雑となるが、前部案内路93の前側のみが拡大部材113により筒状であるから、雪が目詰まりしにくい構造となる。
【0058】
前記スライダー装置90は前記動力ユニット71の筐体72の上面72Jに着脱可能に取り付けられ、前記後部案内路92の底面部94の後側を回動取付部131により前記上面72Jにより取り付けている。前記回動取付部131は、ベース部132をボルトナットなどの着脱手段(図示せず)により上面72Jに着脱可能に取り付け、前記ベース部132に、
図18に示すように、左右一対の取付片133,133を突設し、これら左右一対の取付片133,133を、底面部94の下面に突設した連結部134,134に枢軸部135,135により回動自在に連結している。尚、ベース部132を上面72Jに固定し、枢軸部135により取付片133から連結部134を取り外せるように構成してもよい。
【0059】
また、底面部94の前側を傾動手段たる油圧シリンダ136により前記上面72Jに連結している。このためベース部132Aをボルトナットなどの着脱手段(図示せず)により上面72Jに着脱可能に取り付け、前記ベース部132Aに、左右一対の取付片133A,133Aを突設し、これら左右一対の取付片133A,133Aを、左右一対の油圧シリンダ136,136の下端側に枢軸部135A,135Aにより回動自在に連結し、油圧シリンダ136,136の伸縮杆136S,136Sの先端を、底面部94の下面に突設した連結部134B,134Bに枢軸部135B,135Bにより回動自在に連結している。尚、ベース部132を上面72Jに固定し、枢軸部135A又は枢軸部135Aにより上面72Jに対して後部案内路92を着脱自在に構成してもよい。
【0060】
また、
図1及び
図3に示すように、オーガ装置5の左右方向一側である左側を車幅から外側に位置させた状態で、シュート44の排雪筒47の後側に、案内路91の雪投入口111が位置すると共に、後部案内路92の後端の雪排出口92Hが融雪装置81の投入口83に位置するように、前記案内路91は平面視において車両前後方向に対して斜めに取り付けられている。
【0061】
そして、収納時には
図5に示すように、前部案内路93を後退して後部案内路92に収納するようにして案内路91を収縮し、案内路91が水平になるように油圧シリンダ114を駆動する。こうすることにより、除雪車1で最上部となる案内路91の高さ寸法を最小とすることができ、この回送状態で除雪場所まで走行する。尚、除雪作業の終了後に除雪車1の保管場所まで戻る際も回送状態とする。
【0062】
また、回送状態では、
図5に示すように、シュート44を伸縮用シリンダ46により収縮し、先端側を車両幅方向の一側に倒し、シュート44を収納状態とし、さらに、除雪装置3を上昇位置に持ち上げる。さらに、
図4及び
図6に示すように、除雪装置3の移動手段たる油圧シリンダ28を伸長して除雪装置3を車幅内に収まる車幅の略中央に位置させる。
【0063】
回送状態で除雪車1を除雪場所まで走行し、除雪作業を行う際は、
図2に示すように、シュート44を立てると共に伸長し、排雪筒47を後向きに配置し、除雪装置本体4を除雪位置まで下げる。また、
図1及び
図3に、スライダー装置90は、油圧シリンダ136を伸長し、前側が僅かに高くなるように案内路91を回動して斜めにした後、油圧シリンダ105を伸長し、前部案内路93を前方にスライド移動して案内路91を伸長し、案内路91の前端の雪投入口111を、シュート44の排雪筒47の位置に合わせる。
【0064】
また、雪投入口拡大装置112の油圧シリンダ114を伸長して、
図15に示すように、雪投入口111を拡大することにより、シュート44の排雪筒47から空気流と共に排出された雪をこぼすことなく、案内路91に送ることができる。
【0065】
また、油圧シリンダ28を伸縮することにより、
図1及び
図3に示すように、オーガ装置5の左縁が車幅から外側に位置すると共に、ブラシ手段61の毛体64の先端を壁面57に合わせる。
【0066】
そして、動力ユニット71を動力源として除雪装置3を駆動する。このように走行車両2のエンジンを動力源として用いず、除雪専用の動力源を搭載することにより、走行抵抗によるエンジン回転数の変化による出力変動の影響を受けることなく、安定した除雪作業を行うことができる。
【0067】
除雪車1を前進して除雪を行うと、車幅の外側に一部が張り出したオーガ8により、壁高欄56の近くの雪を取り込んで除雪を行うことができると共に、オーガ8が届かない壁面57に付着した雪を、ブラシ手段61が掻き落とし、ブラシ手段61はオーガ8の回転軸41より前側に位置するため、掻き落とした雪がケーシング9内に取り込まれる。
【0068】
また、ブラシ手段61は除雪装置3に着脱可能に設けられているから、異なる壁面57に付着した雪を除去する場合は、その壁面57に対応した形状を有するブラシ手段61に交換して除雪を行うことができる。
【0069】
オーガ8により中央に集められた雪は、ブロア43によりシュート44内に送られ、排雪筒47から排出され、スライダー装置90の雪投入口111に投入され、案内路91の傾斜した底面部94A,94を滑って、雪排出口92Hから融雪装置81の投入口83を通って融水槽84内に落下する。
【0070】
この場合、雪はブロア43により排雪筒47から吹き飛ばされて雪投入口111に入り、そのまま斜めの案内路91を滑って行くから、スライダー装置90に雪を送るための動力が不要で、且つ、吹き飛ばされた雪の流れを損なうことなく、融雪装置81に送ることができる。
【0071】
融雪装置81に送られた雪は、融水槽84内で加熱水のシャワーにより融かされ、水となって排水口87から排水される。これにより、除雪した雪を捨てる場所のない場所でも、雪を運搬車両に積むなどの作業が不要で、雪を処理することができる。
【0072】
次に、積雪時期以外の除雪車1の走行車両2の使用方法について説明する。除雪装置3を前記着脱手段25により車体11に設けた取付ブラケット13,13から取り外す。取り外し後、
図7~
図9に示すように、左右の取付ブラケット13,13に着脱手段25によりバンパー141を取り付ける。この場合、
図9に示すように、バンパー141の後面左右には、前後方向の取付部材142,142が一体に設けられており、これら取付部材142,142の後部を前記取付ブラケット13,13に着脱手段25により着脱可能に取り付ける。尚、着脱手段25と異なる着脱手段により、バンパー141を車体11に着脱可能に取り付けても良い。
【0073】
また、スライダー装置90は、前記ベース部132,132Aを、動力ユニット71の上面72Jから取り外すことにより、走行車両2から取り外す。さらに、図示しない着脱手段により荷台17に取り付けていた融雪装置81は、その着脱手段により走行車両2から取り外す。
【0074】
このようにして装置を外し、
図8及び
図9に示すように、荷台17のスペースを確保した状態で、荷台17を用いる運搬車両などとして、走行車両2を利用することができる。尚、この例では、動力ユニット71は搭載したままで走行車両2を利用するから、動力を必要とする現場に荷物を運搬すると共に、その現場で動力を供給することもできる。
【0075】
このように本実施例では、請求項1に対応して、走行車両2と、この走行車両2の前方に設けられ雪を回収するオーガ8を有する除雪装置3とを備えたロータリ除雪車1において、除雪装置3を走行車両2の幅方向に移動可能に設けると共に、除雪装置3を前記幅方向に移動する移動手段たる油圧シリンダ28を備えるから、油圧シリンダ28により除雪装置3を路肩側に移動することにより、車幅よりも外側の路肩側の雪をオーガ8により取り込んで除雪することができる。
【0076】
このように本実施例では、請求項2に対応して、除雪装置3の幅方向の一側である左側に、路肩の壁面57に付着した雪を落とすブラシ手段61を設けたから、路肩の壁面57に付着した雪をブラシ手段61で掻き落として除雪することができる。
【0077】
このように本実施例では、請求項3に対応して、ブラシ手段61は横向きに突出した毛体64を上下方向に並設し、それら毛体64の先端64Sの並びが壁面57の形状に対応するから、路肩の壁面57に毛体64の先端64Sが均等に当たるため、付着した雪をブラシ手段61で均一に掻き落とすことができる。
【0078】
このように本実施例では、請求項4に対応して、回収した雪をシュート44から後方に排出する排雪装置6を除雪装置3に設け、シュート44から排出された雪を走行車両2の後部に送る移送装置たるスライダー装置90を備えるから、シュート44から排出された雪をスライダー装置90により融雪装置81に送ることができる。
【0079】
このように本実施例では、請求項5に対応して、回収した雪をシュート44から後方に排出する排雪装置6を除雪装置3に設け、シュート44から排出された雪を走行車両2の荷台17に搭載した融雪装置81に送る移送装置たるスライダー装置90を備えるから、シュート44から排出された雪をスライダー装置90により融雪装置81に送ることができる。
【0080】
このように本実施例では、請求項6に対応して、移送装置であるスライダー装置90は、雪が滑り落ちる傾斜した案内路91と、案内路91の前側の雪投入口111を拡大する雪投入口拡大装置112とを備えるから、スライダー装置90により移送に動力を用いることなく、雪を融雪装置81に送って融雪することができ、しかも、雪投入口111が拡大することによりシュート44からの雪のこぼれを防止できる。
【0081】
このように本実施例では、請求項7に対応して、案内路91は、雪が滑り落ちる底面部94Aと、底面部94Aの幅方向両側に設けられた側面部95A,95Aとを有すると共に、上部が開口し、雪投入口拡大装置112は、雪投入口拡大部材113と、この雪投入口拡大部材113を開閉する開閉駆動手段たる油圧シリンダ114を備えるから、油圧シリンダ114により雪投入口拡大部材113が開閉して雪投入口111が拡大する。また、雪が目詰まりした場合、処理が煩雑となるが、案内路91の前側に雪投入口拡大部材113を設け、他は上部が開口しているため、雪が目詰まりしにくい構造となる。
【0082】
このように本実施例では、請求項8に対応して、除雪装置3を走行車両2に着脱可能に設けたから、除雪を行わないときは、除雪装置3を取り外し、融雪装置81を搭載している場合は融雪装置81を取り外し、荷台17を有する走行車両2として使用することができる。
【0083】
以下、実施例上の効果として、オーガ装置5の車幅方向の幅は、走行車両2の車幅の1/2以上~2/3以下程度で、通常のオーガ装置に比べて幅狭なものであるから、路肩の除雪に適したものとなる。また、除雪側取付体21は、上下一対設けられた左右方向のガイド杆22,22を備え、これらガイド杆22,22に移動枠26に設けた複数のスライダ27がスライド可能に設けられているから、除雪装置本体4などの荷重が加わる移動枠26を安定して車幅方向にスライドさせることができる。さらに、除雪装置本体4と移動枠26の間に昇降リンク機構31を設けたから、移動枠26と共に除雪装置本体4と昇降リンク機構31を車体11に取付け、取外しすることができる。
【0084】
また、移動枠26を車両幅方向の一側である左側に移動すると、オーガ8の左縁が車幅から外側に位置するから、従来のオーガではできなかった車幅外側の雪を取り込んで、除雪することができる。さらに、ブラシ手段61は、複数の毛体64の基端を前後方向に並べて束ね、それら基端を支持体63に植設したものであるから、前後方向に並んだ複数の毛体64により付着した雪を効率よく掻き落とすことができる。また、壁面57は、間に屈曲部58が設けられ、傾斜角の異なる上,下傾斜壁面57U,57Sを有し、これら上,下傾斜壁面57U,57Sは平坦面状をなし、この壁面57の形状と同じ形状に前記毛体64の先端64Sを並べたから、傾斜角の異なる上,下傾斜壁面57U,57Sを有する壁面57に、毛体64の先端64Sが均等に当たり、付着した雪を均一に掻き落とすことができる。さらに、ブラシ手段61は取付手段65により除雪装置3に着脱可能に取り付けているから、異なる形状の壁面57を除雪する際は、壁面57の形状に対応するブラシ手段61に交換することができ、また、摩耗等の場合もブラシ手段61を交換することができる。
【0085】
しかも、ケーシング9の幅方向他側は側板部52により閉塞され、側板部52の前縁部52M及び毛体64は、前記ケーシング9の前開口部51より前方で、オーガ8の回転軸41より前方で、且つ、オーガ8の車両前後方向前端より後方に位置し、また、毛体64は、前記前縁部52Mに位置するから、ブラシ手段61により掻き落とした雪が前開口部51に送られ、側板部52により車幅方向外側に漏れることなく、オーガ8へと送られる。
【0086】
また、除雪装置3を駆動する駆動装置たる動力ユニット71を備え、この動力ユニット71は走行車両2の走行手段たる前輪18及び後輪19の動力源たるエンジンと異なる動力源により駆動するから、車両走行時の除雪抵抗などの負荷の変動に関係なく、動力ユニット71により安定した除雪作業を行うことができる。
【0087】
また、シュート44から排出された雪を前記融雪装置81に送る移送装置たるスライダー装置90を備え、このスライダー装置90は走行車両2に着脱可能に設けられているから、除雪時期以外は取り外し、走行車両2を運搬車両として用いることができる。また、スライダー装置90を荷台17に備え付けの動力ユニット71の上面72Jに着脱可能に取り付けるから、荷台17にスライダー装置90の専用の架台などを設ける必要がない。また、上部が開口した案内路91には、上縁95F,95Fに横梁材96,97,98を設けたから、案内路91を保形することができる。また、後部案内路92に前部案内路93をスライド可能に設けるスライド機構100を備え、このスライド機構100は、左右の案内杆102,102を有するから、後部案内路92に対して前部案内路93をスムーズにスライドすることができる。また、案内路91は伸縮式であるから、回送時はコンパクトに収納することができる。
【0088】
また、案内路91は、雪が滑り落ちる底面部94,94Aと、底面部94,94Aの幅方向両側に設けられた側面部95,95,95A,95Aと、上開口部93Kとを有し、上部が開口し、雪投入口拡大装置112は、雪投入口拡大部材113と、この雪投入口拡大部材113を開閉する開閉駆動手段たる油圧シリンダ114を備え、雪投入口拡大部材113は、上板部115と、この上板部115の左右縁側から下方に垂設された左右の側板部116,116を有し、これら左右の側板部116,116が、案内路91の前側の左右の側面部95A,95Aの内面に近接して左右の側面部95A,95A内に挿入可能であり、雪投入口拡大部材113の後部を案内路91の側面部95A,95Aの上縁側に回動可能に取り付け、雪投入口拡大部材113が、上板部115の後部を中心に前側が底面部94Aから離れるように開成すると共に、上板部115が左右の側面部95A,95Aの上縁95F,95F側に沿うように閉成し、雪投入口拡大部材113の開成時に上板部115と側面部95A,95Aの上縁95F,95Fとの間の隙間を側板部116,116が塞ぐように構成し、側板部116,116の下部は、前部案内路93の左右の側面部95A,95A間に出没し、雪投入口拡大部材113が開いた状態で、側面部95Aと側板部116が連続するから、前部案内路93の前側では左右からも雪がこぼれることがない。さらに、下面に雪が当たる可能性のある上板部115の上面には、縦リブ部117を設けることにより、上板部115の変形を防止できる。
【0089】
また、オーガ装置5の左右方向一側である左側を車幅から外側に位置させた状態で、シュート44の排雪筒47の後側に、案内路91の雪投入口111が位置すると共に、後部案内路92の後端の雪排出口92Hが融雪装置81の投入口83に位置するように、前記案内路91は平面視において車両前後方向に対して斜めに取り付けられているから、車両幅方向一側の除雪時に、スライダー装置90により雪を後方の融雪装置81に送ることができ、スライダー装置90の平面上の向きを変える装置が不要となる。
【0090】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば、排雪装置を除雪装置に設ける請求項4及び5以外では、除雪装置はオーガ装置のみでもよく、この場合は、除雪装置であるオーガ装置を前記走行車両の幅方向に移動可能に設けると共に、前記除雪装置を前記幅方向に移動する移動手段を備えていればよい。また、実施例では、油圧ポンプを有する動力ユニットを走行車両に搭載することにより、伸縮シリンダには油圧シリンダを用いたが、油圧シリンダに代えて空気圧などによる流体圧シリンダを用いてもよい。尚、実施例で示した各シリンダは、いずれも伸縮駆動手段である。また、実施例では、除雪装置のオーガ装置が、車幅内から走行車両の車幅方向一側である左側に部分的に出るように構成したが、幅方向他側である右側にオーガ装置に右側が部分的に出るように構成してもよく、この場合、例えば中央分離帯の壁面の除雪を行うことができる。さらに、ブラシ手段の毛体は、断面円形のものを例示したが、断面四角形や断面多角形などでもよい。また、融雪装置は、加熱手段を有し、熱により雪を融かして水にするものであれば、各種のものを用いることができる。さらに、屈曲部58,58Aは湾曲状にしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 ロータリ除雪車
2 走行車両
3 除雪装置
8 オーガ
9 ケーシング
17 荷台
28 油圧シリンダ(移動手段)
44 シュート
56 壁高欄(壁体)
57 壁面
57U 上傾斜壁面
57S 下傾斜壁面
61 ブラシ手段
64 毛体
64S 先端
81 融雪装置
90 スライダー装置(移送装置)
91 案内路
92 後部案内路
93 前部案内路
111 雪投入口
112 雪投入口拡大装置