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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058886
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】塗装具
(51)【国際特許分類】
   B05C 17/00 20060101AFI20240422BHJP
   B05C 1/02 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B05C17/00
B05C1/02 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166285
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武川 哲
(72)【発明者】
【氏名】中村 善彦
【テーマコード(参考)】
4F040
4F042
【Fターム(参考)】
4F040AA18
4F040AB04
4F040BA09
4F040CA02
4F040CA10
4F042AA15
4F042AB00
4F042BA05
4F042BA27
4F042DD14
4F042DD18
4F042FA24
(57)【要約】
【課題】均一で十分な厚さの塗膜を確保することができるとともに、過剰な塗料を使用することなく容易に塗装作業を行うことのできる塗装具を提供する。
【解決手段】刷毛20に塗料を付着して塗装具本体10をボルト1、ナット2及び座金4に被せ、塗装具本体10を周方向に回動することにより、塗装具本体10の周方向複数箇所の刷毛20で同時に塗料が塗布される。その際、各刷毛20は塗装具本体10によって覆われているので、各刷毛20が塗装具本体10とともに回転しても塗装具本体10の外部に塗料が飛散することがない。また、塗装具本体10の内面に付着して流れ落ちる塗料が塗装具本体10の開口縁の塗料受容部11に溜まることから、塗装具本体10の開口縁から塗料が外部に垂れることがない。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突起状の塗装対象物に被せられる塗装具本体と、塗装具本体の内側に配置された複数の刷毛とを備え、刷毛に塗料を付着させて塗装具本体を塗装対象物に被せ、塗装対象物の周方向に回転させることにより、刷毛の塗料を塗装対象物に塗布する塗装具であって、
前記塗装具本体は、塗装対象物が挿入される面を開口した略半球状の部材によって各刷毛を覆うように形成され、
塗装具本体の開口縁には、塗装具本体の内面から流れ落ちる塗料を受容する塗料受容部が塗装具本体の周方向に亘って設けられている
ことを特徴とする塗装具。
【請求項2】
前記塗料受容部は、塗装具本体の開口縁の内側に向かって断面円弧状に湾曲するように形成されている
ことを特徴とする請求項1記載の塗装具。
【請求項3】
前記各刷毛は塗装具本体の周方向に間隔をおいて配置され、
塗装具本体の周方向の位置が異なる複数の刷毛が互いに塗装具本体の軸方向及び径方向の少なくとも一方に位置がずれるように配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の塗装具。
【請求項4】
前記塗装具本体の内面に固定され、前記刷毛を支持する複数の刷毛支持部材を備え、
各刷毛支持部材は互いに塗装具本体の周方向に位置がずれるように配置されている
ことを特徴とする請求項1記載の塗装具。
【請求項5】
前記各刷毛支持部材は、塗装具本体の内面に沿って延びる円弧状の部材によって形成されるとともに、互いに中央部が交差するように塗装具本体の内面に固定されている
ことを特徴とする請求項4記載の塗装具。
【請求項6】
前記塗装具本体に電動回転工具に着脱自在に連結される回転軸が設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項記載の塗装具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種部材を締結するボルト及びナット等、突起状の塗装対象物の塗装に用いられる塗装具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えば橋梁、水門等の鋼構造物の部材を締結するボルト及びナットの露出部分には防食用の塗装が施される。
【0003】
従来、このようなボルト及びナットの塗装方法の一つとして、エアレススプレー塗装が知られている。エアレススプレー塗装は、プランジャポンプやダイヤフラムポンプを用いて塗料に高い圧力を与えて霧化することにより塗装対象物に塗料を噴霧する方法であり、鋼構造物等の大面積を有する箇所の塗装に広く用いられている。しかしながら、ボルトの締結部はナットや平座金からなるため、平坦部のみならず、凹凸部や角部等の複雑な形状を有している。このため、スプレー塗装ではボルトやナットの角部に十分な厚さの塗膜を確保することができず、耐用年数に満たないうちに腐食を生ずる場合があるという問題点がある。
【0004】
また、このようなボルト及びナットの塗装方法の一つとして、刷毛塗り塗装が行われる場合もある。しかしながら、刷毛塗り塗装では、作業者によって塗りムラや塗膜厚のバラツキを生じやすいため、塗り残し部分や薄膜部分において耐食性の低下を生ずるという問題点がある。
【0005】
そこで、このような問題点を解決するために、円筒状のカップをボルト及びナットに被せるとともに、カップの内面とボルト及びナットとの間に塗料を注入することにより、均一で十分な厚さの塗膜を形成するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5606183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記カップ式のものでは、ボルト及びナットの塗装部分全体を覆うカップ内に塗料を充填するようにしているため、塗料の使用量が過剰になり、塗料に要するコストが高くなるとともに、塗装部分から塗料が垂れて美観を損なうという問題点があった。
【0008】
本発明は前記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、均一で十分な厚さの塗膜を確保することができるとともに、過剰な塗料を使用することなく容易に塗装作業を行うことのできる塗装具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前記目的を達成するために、突起状の塗装対象物に被せられる塗装具本体と、塗装具本体の内側に配置された複数の刷毛とを備え、刷毛に塗料を付着させて塗装具本体を塗装対象物に被せ、塗装対象物の周方向に回転させることにより、刷毛の塗料を塗装対象物に塗布する塗装具であって、前記塗装具本体は、塗装対象物が挿入される面を開口した略半球状の部材によって各刷毛を覆うように形成され、塗装具本体の開口縁には、塗装具本体の内面から流れ落ちる塗料を受容する塗料受容部が塗装具本体の周方向に亘って設けられている。
【0010】
これにより、刷毛に塗料を付着して塗装具本体を塗装対象物に被せ、塗装具本体を塗装対象物の周方向に回転させることにより、塗装具本体の周方向複数箇所の刷毛で同時に塗料が塗装対象物に塗布される。その際、各刷毛が塗装具本体によって覆われていることから、各刷毛が塗装具本体とともに回転しても塗装具本体の外部に塗料が飛散することがない。また、塗装具本体の内面に付着して流れ落ちる塗料が塗装具本体の開口縁の塗料受容部に溜まることから、塗装具本体の開口縁から塗料が外部に垂れることがない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、刷毛塗りによる厚膜塗装によって塗装対象物に十分な厚さの塗膜を確保することができるとともに、従来のカップ注入式の塗装に比べ、過剰な塗料を使用することがないという利点がある。また、塗装対象物に被せた塗装具本体を回転させる操作のみで塗装を行うことができるので、塗装作業を極めて容易に行うことができるとともに、作業者が直接刷毛塗りを行う場合に比べ、塗りムラや塗膜厚のバラツキのない均一な塗膜を形成することができる。更に、塗装具本体の周方向複数箇所の刷毛で同時に塗装を行うことができるので、塗装対象物の全体に効率よく塗装することができる。その際、塗装具本体の外部に塗料が飛散することがなく、塗装具本体の開口縁から塗料が外部に垂れることもないので、作業場所や作業者への塗料の付着を防止することができるとともに、外部への飛散や流れ落ちによる塗料の無駄を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態を示す塗装具の斜視図
図2】塗装具の側面図
図3】塗装具の平面図
図4】塗装具本体の底面図
図5】塗装具本体及び塗料受容部の分解側面断面図
図6】第1の位置における塗装具の側面断面図
図7】第2の位置における塗装具の側面断面図
図8】第3の位置における塗装具の側面断面図
図9】第4の位置における塗装具の側面断面図
図10】塗装具の分解側面図
図11】第1の刷毛支持部材の側面図
図12】第2の刷毛支持部材の側面図
図13】第3の刷毛支持部材の側面図
図14】第4の刷毛支持部材の側面図
図15】第1~4の刷毛支持部材の平面図
図16】塗装具の使用状態を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図16は本発明の一実施形態を示すもので、突起状の塗装対象物としてのボルト及びナットの塗装に用いられる塗装具を示すものである。
【0014】
同図に示すボルト1及びナット2は、例えば橋梁、水門等の鋼構造物用の鋼板からなる締結対象部材3を締結するもので、締結対象部材3の表面に突出するボルト1のネジ部にはナット2が螺合し、ナット2と締結対象部材3との間には座金4が設けられている。
【0015】
本実施形態の塗装具は、ボルト1及びナット2に被せられる塗装具本体10と、塗装具本体10の内側に設けられた複数の刷毛20と、刷毛20を支持する第1~第4の刷毛支持部材31~34とを備え、電動回転工具40に取り付けて使用される。
【0016】
塗装具本体10は、椀型の半球状部材からなり、その開口縁には塗料を受容するための塗料受容部11が設けられている。塗料受容部11は塗装具本体10の開口部と等しい外径を有する環状の部材からなり、塗装具本体10の開口縁に固定されている。塗料受容部11は塗装具本体10の開口部の内側に向かって図中上方に断面円弧状に反り返るように形成され、塗装具本体10の開口縁の周方向全体に亘って形成されている。
【0017】
塗装具本体10の内面には、各刷毛支持部材30がそれぞれ係合する複数の係合部12が設けられ、各係合部12は塗装具本体10の中心側から開口縁側に向かって一対ずつ放射状に延びる突条部12aの間に塗装具本体10を係合するように形成されている。
【0018】
塗装具本体10の頂部には、電動回転工具40に連結される回転軸13が取り付けられており、回転軸13は電動回転工具40のチャック41に連結可能に形成されている。
【0019】
刷毛20は、柄を有しない平刷毛からなり、先端側が塗装具本体10の内側に向かって延びるように基端側を第1~第4の刷毛支持部材31~34に固定されている。
【0020】
第1~第4の刷毛支持部材31~34は、塗装具本体10の内面に沿って略半円形状に延びる円弧状に形成され、それぞれ刷毛20を4本ずつ支持するようになっている。この場合、第1~第4の刷毛支持部材31~34の両側に刷毛20が図中上下方向に間隔をおいて2つずつ左右対称位置に配置されている。また、第1~第4の刷毛支持部材31~34は、互いに塗装具本体10の周方向に等間隔で位置がずれるように配置され、それぞれ塗装具本体10の中心側から開口縁側に向かって延びる放射線上の刷毛20の位置が互いに異なるように形成されている。
【0021】
即ち、第1の位置A(図3のA-A線位置)に配置される第1の刷毛支持部材31は、図6に示すように、上方の刷毛20が主にボルト1の上面に接するように配置され、下方の刷毛20が主に座金4と締結対象部材3に接するように配置されている。
【0022】
第2の位置B(図3のB-B線位置)に配置される第2の刷毛支持部材32は、図7に示すように、上方の刷毛20が主にボルト1の側面に接するように配置され、下方の刷毛20が主にナット2の側面上部に接するように配置されている。
【0023】
第3の位置C(図3のC-C線位置)に配置される第3の刷毛支持部材33は、図8に示すように、上方の刷毛20が主にナット2の上面に接するように配置され、下方の刷毛20が主にナット2の側面下部に接するように配置されている。
【0024】
第4の位置D(図4のD-D線位置)に配置される第4の刷毛支持部材34は、第2の刷毛支持部材32と同様、図9に示すように、上方の刷毛20が主にボルト1の側面に接するように配置され、下方の刷毛20が主にナット2の側面上部に接するように配置されている。
【0025】
第1乃至第4の位置A~Dにおいては、塗装具本体10の周方向の位置が異なる複数の刷毛20を互いに少なくとも一部同士が塗装具本体10の周方向に間隔をおいて重なり合うように塗装具本体10の軸方向及び径方向の少なくとも一方にずらして配置されている。即ち、第1~第4の位置A~Dの刷毛20を塗装具本体10の周方向に重ねると、これらの刷毛20の一部の位置が互いに塗装具本体10の軸方向及び径方向の少なくとも一方にずれるとともに、これらの刷毛20同士が塗装具本体10の周方向の投影面において連続するように配置されている。
【0026】
第1~第4の刷毛支持部材31~34は、それぞれ第1~第4の位置A~Dの係合部12に係合するとともに、互いに中央部に設けた交差部31a~34aが交差するように塗装具本体10の内面に固定される。この場合、各交差部31a~34aは他の部分よりも図中上下方向に寸法が小さくなるように形成されるとともに、図中上下方向の位置が互いに異なるように設けられている。即ち、互いに交差する各交差部31a~34aが図中上下方向に重なることにより、第1~第4の刷毛支持部材31~34が互いに図中上下方向の同一位置に配置される。この場合、塗装具本体10には、図10に示すように、第4の刷毛支持部材34、第3の刷毛支持部材33、第2の刷毛支持部材32、第1の刷毛支持部材31の順に各刷毛支持部材31~34が固定された後、塗料受容部11が塗装具本体10に固定される。
【0027】
電動回転工具40は、ドリル、ドライバー等の加工具を回転させる周知の器具からなり、塗装具本体10の回転軸13を着脱自在に連結するチャック41を有し、チャック41に連結された塗装具本体10を回転させるようになっている。電動回転工具40には手指で把持するための把持部42が設けられ、把持部42にはモータを作動させるスイッチ43が設けられている。スイッチ43は、把持部42を把持しながら指で押圧操作するとモータが回転し、押圧を解除するとモータの回転が停止するようになっている。
【0028】
以上のように構成された塗装具を用いて塗装対象物(ボルト1、ナット2及び座金4)の塗装を行う場合は、まず、図示しない塗料容器から塗料を塗装具本体10内に注入し、各刷毛20に塗料を付着させる。
【0029】
次に、図16に示すように塗装具本体10を塗装対象物に被せるとともに、電動回転工具40のスイッチ43を操作してモータを作動させることにより、塗装具本体10を周方向に回転させる。これにより、各刷毛20が塗装対象物及び締結対象部材3の表面に接しながら塗装具本体10とともに回転し、各刷毛20の塗料が塗装対象物及び締結対象部材3に塗布される。その際、第1の位置Aの刷毛20と、第2及び第4の位置B,Dの刷毛20と、第3の位置Cの刷毛20は、互いに塗装具本体10の軸方向及び径方向の少なくとも一方に位置がずれるように配置されているので、塗装具本体10の周方向各位置の刷毛20による塗布部分に隙間が生ずることがなく、塗装対象物及び締結対象部材3の表面に各刷毛20がムラなく接触し、これらの表面全体に塗料が満遍なく塗布される。
【0030】
即ち、塗装具本体10の第1の位置Aにおいては、第1の刷毛支持部材31の各刷毛20によって主にボルト1の上面、座金4及び締結対象部材3に塗料が塗布され、第2の位置B及び第4の位置Dにおいては、第2及び第4の刷毛支持部材32,34の各刷毛20によって主にボルト1の側面及びナット2の側面上部に塗料が塗布される。また、第3の位置Cにおいては、第3の刷毛支持部材33の各刷毛20によって主にナット2の上面及び側面下部主に塗料が塗布される。
【0031】
その際、各刷毛20は塗装具本体10によって覆われているので、各刷毛20が塗装具本体10とともに回転しても塗装具本体10の外部に塗料が飛散することがない。また、塗装具本体10の内面に付着して流れ落ちる塗料が塗装具本体10の開口縁の塗料受容部11に溜まることから、塗装具本体10の開口縁から塗料が外部に垂れることがない。
【0032】
このように、本実施形態の塗装具によれば、突起状の塗装対象物に被せられる塗装具本体10と、塗装具本体10の内側に設けられた複数の刷毛20とを備え、各刷毛20に塗料を付着させて塗装具本体10を塗装対象物に被せ、塗装具本体10を塗装対象物の周方向に回動することにより、各刷毛20の塗料を塗装対象物に塗布するようにしたので、刷毛塗りによる厚膜塗装によって塗装対象物の角部にも十分な厚さの塗膜を確保することができるとともに、従来のカップ注入式の塗装に比べ、過剰な塗料を使用することがないという利点がある。更に、塗装対象物に被せた塗装具本体10を回転させるだけで塗装を行うことができるので、塗装作業を容易に行うことができるとともに、作業者が直接刷毛塗りを行う場合に比べ、塗りムラや塗膜厚のバラツキのない均一な塗膜を形成することができる。
【0033】
また、塗装具本体10は、塗装対象物が挿入される面を開口した略半球状の部材からなり、各刷毛20を覆うように形成されるとともに、塗装具本体10の開口縁には塗装具本体10の内面から流れ落ちる塗料を受容する塗料受容部11が設けられているので、塗装具本体10の外部に塗料が飛散することがなく、作業場所や作業者への塗料の付着を防止することができるとともに、外部への飛散や流れ落ちによる塗料の無駄を少なくすることができる。
【0034】
この場合、塗料受容部11は、塗装具本体の開口縁の内側に向かって断面円弧状に湾曲するように形成されているので、塗装具本体10の内面から流れ落ちる塗料を確実に受け止めることができる。また、塗料受容部11が断面円弧状に湾曲した形状に形成されているので、塗料受容部11と締結対象部材3の表面との接触面積を小さくすることができる。これにより、締結対象部材3の表面に塗料受容部11を接触させながら塗装具本体10を回転させた場合でも、接触抵抗を小さくすることができ、塗装具本体10を常に円滑に回転させることができる。
【0035】
また、各刷毛20が塗装具本体10の周方向に間隔をおいて配置されているので、塗装具本体10の周方向複数箇所の刷毛20で同時に塗装を行うことができ、塗装対象物の全体に効率よく塗装することができる。この場合、塗装具本体10の周方向の位置が異なる複数の刷毛20が互いに塗装具本体10の軸方向及び径方向の少なくとも一方に位置がずれるように配置されているので、塗装具本体10の周方向各位置の刷毛20による塗布部分に隙間が生ずることがなく、塗りムラを確実に防止することができる。その際、各刷毛20は塗料を含むと幅方向に広がるため、各刷毛20の重なり量をより多くすることができる。
【0036】
更に、各刷毛20を支持する複数の第1~第4の刷毛支持部材31~34を備え、各刷毛支持部材31~34は互いに塗装具本体10の周方向に位置がずれるように配置されているので、各刷毛支持部材31~34に塗装具本体10の軸方向及び径方向に位置の異なる刷毛20をそれぞれ設けることができ、塗装具全体の組み立てを容易に行うことができる。
【0037】
この場合、各刷毛支持部材31~34は、塗装具本体10の内面に沿って延びる円弧状の部材によって形成されるとともに、互いに中央部が交差するように塗装具本体10の内面に固定されているので、塗装具本体10の中心で各刷毛支持部材31~34を分割する必要がなく、部品点数及び組立工数を少なくすることができる。
【0038】
また、塗装具本体10に電動回転工具40に着脱自在に連結される回転軸13が設けられているので、塗装具本体10の駆動手段として汎用品からなる電動回転工具40を用いることができ、汎用性の向上及び塗装具自体の低コスト化を図ることができる。
【0039】
尚、前記各実施形態で示した刷毛20の数及び周方向の配置は一例であり、前記実施形態に記載されたものに限定されない。
【0040】
また、前記実施形態では、塗装具本体10を電動回転工具40によって回転させるようにしたものを示したが、手指で把持可能な把持部を設けて手動で回転させるようにしてもよい。
【0041】
更に、前記実施形態では、ボルト1、ナット2、座金4に塗装する場合を示したが、これらの塗装対象物以外にも、突起状の塗装対象物であれば本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…ボルト、2…ナット、4…座金、10…塗装具本体、11…塗料受容部、20…刷毛、31…第1の刷毛支持部材、32…第2の刷毛支持部材、33…第3の刷毛支持部材、34…第4の刷毛支持部材、40…電動回転工具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16