(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058888
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240422BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H02J3/14 130
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166288
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 瑞
【テーマコード(参考)】
3C100
5G066
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA56
3C100BB13
3C100BB33
5G066AA03
5G066AE01
5G066AE09
5G066DA03
5G066KA01
5G066KA12
5G066KD01
(57)【要約】
【課題】DRシステムによるネガワット生産のための制御処理において、制御対象設備に短周期の起動・停止が発生することを低減し、制御対象設備への負担軽減を可能にすること。
【解決手段】情報処理装置10は、設定部12aと算出部12bと処理部12cとを備える。設定部12aは、制御処理の対象設備20に目標値とモニタリング期間とを設定する。算出部12bは、モニタリング期間における制御処理の対象設備20のネガワット量の平均値と目標値とに基づき、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する。処理部12cは、算出部12bにより再計算されたネガワット量に応じて、所定の期間内に追加の設備制御処理を行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象の設備に目標値とモニタリング期間とを設定する設定部と、
前記モニタリング期間における対象設備への設備制御処理により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と前記目標値とに基づき、前記モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する算出部と、
前記算出部により再計算されたネガワット量に応じて、前記所定の期間内に追加の設備制御処理を行う処理部と、
を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記処理部は、前記追加の設備制御処理として、前記制御対象の設備を有する第一の施設内の設備について設備制御処理を行い、前記第一の施設内の前記設備に対する設備制御処理では前記再計算されたネガワット量が前記目標値を満たさない場合、現時点で設備制御処理が行われている対象設備を有する第二の施設内の設備についての設備制御処理である第1の追加の設備制御処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記追加の設備制御処理として、前記第1の追加の設備制御処理が行われた後に、前記第二の施設内の前記設備に対する設備制御処理では前記再計算されたネガワット量が前記目標値を満たさない場合、過去に設備制御処理が行われたことがある対象設備を有する第三の施設内の設備についての設備制御処理である第2の追加の設備制御処理を行う
ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記算出部は、前記所定の期間後における対象設備のネガワット量の平均値を再計算し、
前記処理部は、前記所定の期間後における対象設備のネガワット量の平均値が前記目標値を満たさない場合、追加の設備制御処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
情報処理装置で実行される情報処理工程であって、
制御対象の設備に目標値とモニタリング期間とを設定する設定工程と、
前記モニタリング期間における対象設備への設備制御処理により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と前記目標値とに基づき、前記モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する算出工程と、
前記算出工程により再計算されたネガワット量に応じて、前記所定の期間内に追加の設備制御処理を行う処理工程と、
を含むことを特徴とする情報処理方法。
【請求項6】
制御対象の設備に目標値とモニタリング期間とを設定する設定手順と、
前記モニタリング期間における対象設備への設備制御処理により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と前記目標値とに基づき、前記モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する算出手順と、
前記算出手順により再計算されたネガワット量に応じて、前記所定の期間内に追加の設備制御処理を行う処理手順と、
をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電力の需給バランスを保つための方法として、デマンドレスポンス(以下DRと呼称)が行われている。DRは、電力の供給側である電力会社が需要家側に電力の節約をしてもらうことで余剰電力を生み出し、需要家側は、節約した分の対価を受け取るという仕組みである。DRにより生み出された余剰電力を予め持っている基準値と比較することにより算出し、ネガワットとして発電した電力と同等にみなすことにより、電力会社は容易に需要量と供給量のバランスを保つことができる。
【0003】
DRシステムでは、設備制御中に生み出されるネガワットを、制御する側が指定した目標値にコントロールする必要があるが、対象設備以外の急な電力使用等により、ネガワットを目標値にコントロールすることは非常に難しい。
【0004】
そこで、前述の課題を解決する技術として、フィードバックディスパッチ技術が知られている。フィードバックディスパッチとは、制御対象設備のネガワットの計算をリアルタイムで行い、目標値との乖離を埋めるため、自動で制御対象設備の設定値の変更や制御対象設備の追加ディスパッチを行う技術である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】“デマンドレスポンス|用語集|新電力ネット”、[online]、[令和4年8月5日検索]、インターネット〈https://pps-net.org/glossary/27553〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、フィードバックディスパッチ技術により、制御設備の設定値の変更や割り当てを実施する場合に、例えば大型熱源など、制御対象設備に対する起動・停止が頻繁に発生し、負荷がかかるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の情報処理装置は、制御対象の設備に目標値とモニタリング期間とを設定する設定部と、モニタリング期間における対象設備への設備制御処理により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と目標値とに基づき、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する算出部と、算出部により再計算されたネガワット量に応じて、所定の期間内に追加の設備制御処理を行う処理部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、制御対象設備に短周期の起動・停止が発生することを低減し、制御対象設備への負荷軽減が可能になるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報処理方法の概要を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、電力会社からのDR発動指令の具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る追加の設備制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態に係る情報処理の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る情報処理の具体例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理の具体例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施形態に係る処理手順を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。
【0011】
〔1.システムの構成例〕
図1は、本実施形態に係る情報処理装置を含むシステムの構成を示す図である。
図1に示すシステムは、情報処理装置10と、制御処理の対象設備20と、追加の制御処理の対象設備30とを有する。ここで制御処理の対象設備20と追加の制御処理の対象設備30は、どちらも設備制御処理50、追加の設備制御処理60の対象となることができる。本件では説明の便宜上、制御処理の対象設備20で通常の設備制御処理50を行い、追加の制御処理の対象設備30で追加の設備制御処理60を行うものとして説明する。
【0012】
情報処理装置10は、電力会社からのDR発動指令40による指令値の受付けに応じて、制御処理の対象設備20に生産するネガワット量の目標値とモニタリング期間とを設定し、設備制御処理50を行う。そして、情報処理装置10は、モニタリング期間における制御処理の対象設備20への設備制御処理50により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と生産するネガワット量の目標値とに基づき、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算し、所定の期間内に追加の制御処理の対象設備30に対し追加の設備制御処理60を行う。
【0013】
ここで、DR発動指令40とは、電力会社から需要家へと通知されるDRについての指令であり(
図3参照)、需要家はDR発動指令40に応じてネガワットを生産する。また、設備制御処理50及び追加の設備制御処理60とは、フィードバックディスパッチ技術により、制御設備の設定値の変更や割り当てを実施することを指す。また、生産するネガワット量というのは需要家側で電力を節約した結果得られる余剰電力のことを指す。
【0014】
情報処理装置10は、まず、電力会社からのDR発動指令40による指令値の受付けに応じて、制御処理の対象設備20に生産するネガワット量の目標値とモニタリング期間とを設定し、設備制御処理50を行う。例えば、情報処理装置10は、電力会社からのDR発動指令40の指令値を受付けた時に、制御処理の対象設備20について、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値と、予め決められたモニタリング期間とを設定し、モニタリング期間内に制御処理の対象設備20に対し設備制御処理50を行う。
【0015】
そして、情報処理装置10は、モニタリング期間における制御処理の対象設備20への設備制御処理50により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と生産するネガワット量の目標値とに基づき、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する。例えば、情報処理装置10は、モニタリング期間における制御処理の対象設備20への設備制御処理により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値が、生産するネガワット量の目標値まで達していない場合、モニタリング期間後の5分間に生産する必要があるネガワット量を再計算する。
【0016】
その後、情報処理装置10は、所定の期間内に追加の制御処理の対象設備30に対し追加の設備制御処理60を行う。例えば、情報処理装置10は、モニタリング期間後の5分間に、制御処理の対象設備20とは異なる追加の制御処理の対象設備30に対し、追加の設備制御処理60を行うことで、ネガワットを生産する。なお、前述のモニタリング期間後の5分間は、あくまで一例であり、任意に変更することができるものとする。
【0017】
大型熱源などの起動・停止に時間を要する装置においては、モニタリング期間を長く設定することで、起動・停止が頻繁に発生することを低減し、制御対象設備への負担軽減が可能になる。一方、起動・停止が短時間で可能で、対象設備への負担が少ない装置においては、モニタリング期間を短く設定してもよい。
【0018】
制御処理の対象設備20及び追加の制御処理の対象設備30は、電力会社からのDR発動指令40の対象となっている需要家の施設内の設備であり、設備制御処理50によりネガワットを生産することができる機械設備である。また、追加の制御処理の対象設備30は、制御処理の対象設備20とは異なる設備であるが、制御処理の対象設備20と同じ施設内の設備でもよいし、異なる施設内の設備でもよい。
【0019】
〔2.情報処理装置10の構成〕
次に、
図2を参照し、
図1に示した情報処理装置10の構成を説明する。
図2は、実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報処理装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを有する。また、情報処理装置10と制御処理の対象設備20及び追加の制御処理の対象設備30は有線又は無線により互いに通信可能に接続される。
【0020】
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、制御処理の対象設備20又は追加の制御処理の対象設備30と有線又は無線で接続され、制御処理の対象設備20又は追加の制御処理の対象設備30との間で情報の送受信を行う。
【0021】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータ及びプログラムを格納するが、特に本発明に密接に関連するものとしては、対象設備情報記憶部13aと、発動指令情報記憶部13bと、算出情報記憶部13cとを有する。
【0022】
対象設備情報記憶部13aは、制御処理の対象設備20及び追加の制御処理の対象設備30の情報について記憶する。例えば、対象設備情報記憶部13aは、対象設備を識別するためのID、対象設備の停止から復帰までの時間、対象設備の希望モニタリング期間等の情報を記憶する。
【0023】
なお、希望モニタリング期間は、設備制御処理50を設計する担当者が希望するモニタリング期間であり、後述するDR発動指令40のインターバルよりも短く、かつ、対象設備の停止から復帰までの時間以上の間隔となるように、各対象設備に設定されるものとする。また、前述の3つの情報は、本実施形態に係る情報処理が行われる前に予め記憶されているものとする。
【0024】
発動指令情報記憶部13bは、電力会社からのDR発動指令40に関する情報を記憶する。例えば、発動指令情報記憶部13bは、電力会社からのDR発動指令40における指令値や、DR発動指令40により設備制御処理50の対象設備を有する施設の情報等を記憶する。
【0025】
ここで、
図3を参照し、電力会社からのDR発動指令40及びDR発動指令40に対する設備制御処理について説明する。
図3は、電力会社からの発動指令の具体例を示す図である。電力会社からのDR発動指令40は、複数の処理単位を示すインターバルで構成されており、例えば
図3の例では、3時間のDR発動指令40に対し、1インターバル30分間のインターバルが6コマ存在している。そして、インターバルごとに電力会社から指令値が設定されるため、需要家は、各インターバル内で複数の設備制御処理を行うことで、目標値となる指令値の量のネガワットを生産する。
【0026】
図3の例では、1コマ目のインターバルには30kWの指令値が設定されているため、1コマ目のインターバル30分間で、30kWのネガワットが生産される必要がある。よって、各対象設備に対し指令値30kWを基に設定された生産するネガワット量の目標値を達成するように設備制御処理が行われ、1コマ目の30分間で30kWの量のネガワットが生産されることになる。
【0027】
算出情報記憶部13cは、後述する算出部12bにより再計算された所定の期間に生産するネガワット量を記憶する。例えば、算出情報記憶部13cは、後述する算出部12bにより再計算された、生産するネガワット量の目標値を達成するためにモニタリング期間後の5分間で生産するネガワット量について記憶する。
【0028】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報処理装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。制御部12は、設定部12aと、算出部12b、処理部12cとを有する。
【0029】
設定部12aは、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値とモニタリング期間とを設定する。例えば、設定部12aは、発動指令情報記憶部13bに記憶された、DR発動指令40による指令値から、制御処理の対象設備20が生産するネガワット量の目標値を制御処理の対象設備20に設定する。また、設定部12aは、例えば、対象設備情報記憶部13aに記憶された希望モニタリング時間を参照し、制御処理の対象設備20にモニタリング期間を設定する。
【0030】
算出部12bは、モニタリング期間における制御処理の対象設備20への設備制御処理50により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と目標値とに基づき、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する。そして、算出部12bは、再計算したネガワット量を算出情報記憶部13cに格納する。
【0031】
例えば、算出部12bは、設定されたモニタリング期間内の制御処理の対象設備20への設備制御処理50により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値と、制御処理の対象設備20の生産するネガワット量の目標値とを比較し、モニタリング期間後の任意の時間に生産するネガワット量を再計算する。そして、算出部12bは、再計算したネガワット量を算出情報記憶部13cに格納する。
【0032】
ここで、算出部12bは、モニタリング終了時点で生産されたネガワット量の平均値(移動平均)を1分周期で計算し、その生産されたネガワット量の平均値と生産するネガワット量の目標値とを比較し、現時点での生産するネガワット量の目標値と実際に生産されたネガワット量の差分を、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量として再計算する。つまり、モニタリング期間後の所定の期間に後述する処理部12cによる追加の設備制御処理60により、算出されたネガワット量が生産された場合、所定の期間後の平均値がその時点での目標値と等しくなるように、算出部12bは、ネガワット量を再計算する。
【0033】
また、算出部12bは、所定の期間後における制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値を再計算してもよい。そして、算出部12bは、再計算したネガワット量の平均値を算出情報記憶部13cに格納する。
【0034】
例えば、算出部12bは、モニタリング期間後の所定の期間に行われた追加の制御処理の対象設備30に対する追加の設備制御処理60で生産されたネガワット量と、制御処理の対象設備20がこれまでに生産したネガワット量との和を、インターバル開始からモニタリング終了時点までの時間で割った平均値を再計算し、算出情報記憶部13cに格納する。
【0035】
処理部12cは、算出部12bにより再計算されたネガワット量に応じて、所定の期間内に追加の設備制御処理60を行う。例えば、処理部12cは、算出情報記憶部13cに記憶された、所定の期間に生産するネガワット量を参照し、制御処理の対象設備20とは異なる追加の制御処理の対象設備30に対し追加の設備制御処理60を行い、ネガワットを生産する。
【0036】
また、処理部12cは、追加の設備制御処理60として、制御処理の対象設備20を有する第一の施設内の設備について設備制御処理を行い、第一の施設内の対象設備に対する設備制御処理では再計算されたネガワット量が目標値を満たさない場合、現時点で設備制御処理が行われている対象設備を有する第二の施設内の設備についての設備制御処理である第1の追加の設備制御処理を行ってもよい。
【0037】
さらに、処理部12cは、追加の設備制御処理60として、第1の追加の設備制御処理が行われた後に、第二の施設内の設備に対する設備制御処理では再計算されたネガワット量が目標値を満たさない場合、過去に設備制御処理が行われたことがある対象設備を有する第三の施設内の設備についての設備制御処理である第2の追加の設備制御処理を行ってもよい。
【0038】
ここで、
図4を参照し、処理部12cが行う追加の設備制御処理について説明する。
図4は、実施形態に係る追加の設備制御処理の手順を示すフローチャートである。処理部12cが、追加の設備制御処理60を行う場合(ステップS101;Yes)、処理部12cは、第一の設備内の設備について設備制御処理を行う(ステップS102)。一方、処理部12cは、追加の設備制御処理60を行わない場合(ステップS101;No)、追加の設備制御処理60を行うまで待機する。
【0039】
その後、処理部12cは、再計算されたネガワット量が目標値を満たす場合(ステップS103;Yes)、処理を終了する。一方、処理部12cは、再計算されたネガワット量が目標値を満たさない場合(ステップS103;No)、第二の設備内の設備について第1の追加の設備制御処理を行う(ステップS104)。
【0040】
そして、処理部12cは、再計算されたネガワット量が目標値を満たす場合(ステップS105;Yes)、処理を終了する。一方、処理部12cは、再計算されたネガワット量が目標値を満たさない場合(ステップS105;No)、第三の設備内の設備について第2の追加の設備制御処理を行う(ステップS106)。
【0041】
その後、処理部12cは、再計算されたネガワット量が目標値を満たす場合(ステップS107;Yes)、処理を終了する。一方、処理部12cは、再計算されたネガワット量が目標値を満たさない場合(ステップS107;No)、第四の設備内の設備について設備制御処理を行う(ステップS108)。
【0042】
ここで、第一の施設とは、設備制御処理50が行われている制御処理の対象設備20を有する施設であり、第二の施設とは、DR発動指令40により現時点で設備制御処理が行われている対象設備を有する施設であり、第一の施設以外の施設である。
【0043】
また、第三の施設とは、これまでのDR発動指令40において、1回でも設備制御処理が行われた対象設備を有する施設であり、第一及び第二の施設以外の施設である。さらに、第四の施設とは、これまでのDR発動指令40で設備制御処理が行われた対象設備を一つも有しない施設である。なお、DR発動指令40による設備制御処理の有無は、発動指令情報記憶部13bに記憶された情報を参照することにより判断される。
【0044】
また、処理部12cは、所定の期間後における制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が生産されるネガワット量の目標値を満たさない場合、追加の設備制御処理60を行ってもよい。例えば、処理部12cは、所定の期間後における制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が、制御処理の対象設備20に設定された生産するネガワット量の目標値を満たしていない場合、再度追加の設備制御処理60を行い、ネガワットを生産する。
【0045】
〔3.情報処理の具体例〕
ここで、
図5から
図7を参照し、情報処理装置10による、モニタリング期間の設定から追加の設備制御処理60、2サイクル目以降の設備制御処理の具体例について説明する。
図5から
図7は、実施形態に係る情報処理の具体例を示す図である。
【0046】
まず、設定部12aは、制御処理の対象設備20に対し、予め記憶された希望モニタリング期間を参照し、モニタリング期間の設定を行う。また、設定部12aは、DR発動指令40による指令値から、制御処理の対象設備20が生産するネガワット量の目標値を設定する。
図5から
図7の例では、モニタリング期間が8分に設定されており、目標値が点線で示されている。次に、情報処理装置10は、モニタリング期間内に制御処理の対象設備20の設備制御処理50を行い、ネガワットを生産する。
【0047】
そして、算出部12bは、モニタリング期間内の設備制御処理50により生産されたネガワット量の平均値(移動平均)を1分周期で計算し、モニタリング期間終了時に制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値と制御処理の対象設備20で生産されるネガワット量の目標値との差分を、モニタリング期間後の5分間で生産する必要があるネガワット量として再計算する。
【0048】
図6の例では、モニタリング期間終了時に制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値(一点鎖線)は、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値(点線)に達していないため、算出部12bはその差分をモニタリング期間後の5分間で生産する必要があるネガワット量として再計算する。なお、算出部12bで再計算されたネガワット量を全て生産することができた場合、5分間終了時に制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値は、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値に達することになる。
【0049】
算出部12bで再計算されたネガワット量に基づき、処理部12cは、制御処理の対象設備20以外の追加の制御処理の対象設備30に対して(
図4参照)、追加の設備制御処理60を行う。次に、算出部12bは、追加の設備制御処理60を行った5分間の終了時点で、モニタリング期間終了時点での制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値を再計算する。
【0050】
図7の例では、処理部12cにより5分間の追加の設備制御処理60が行われ、5分間終了時点での制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が算出部12bで再計算されており、モニタリング期間終了時点に対象設備で生産されたネガワット量の平均値よりも、1回目の追加の設備制御処理60の期間である5分間終了時に制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値の方が、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値に近い値となっているが、未だ制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値には達していない。
【0051】
算出部12bで新たに再計算した平均値が制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値を満たしている場合、情報処理装置10は、追加の設備制御処理60を元に戻し、インターバルの終了時まで通常の設備制御処理50を行う。
【0052】
一方、算出部12bで新たに再計算した制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値を満たしていない場合、情報処理装置10は、インターバルの残りの時間で再度追加の設備制御処理60が可能であれば、現状の設備制御処理を維持しつつ、モニタリング処理を再開し、追加の設備制御処理60を行う。
【0053】
図7の例では、前述の通り、算出部12bで再計算した制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値を満たしておらず、また、モニタリング期間が8分であることから、30分のインターバルの残りの時間で再度追加の設備制御処理60を行うことが可能であるため、情報処理装置10はモニタリング処理を再開し、前述の一連の設備制御処理を再度行い、追加の設備制御処理60を行う。
【0054】
ここで、算出部12bは、最初のモニタリング期間後の5分間を含めた8分間をモニタリング期間とみなし、この期間内に制御処理の対象設備20への設備制御処理により生産された余剰電力(ネガワット)量の平均値を計算し、モニタリング期間終了時の制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値と制御処理の対象設備20で生産されるネガワット量の目標値との差分を再計算する。また、前述の一連の処理をインターバル内で可能な限り行うことにより、情報処理装置10は、制御処理の対象設備20で生産される目標値のネガワット量を生産することができる。
【0055】
〔4.情報処理装置の情報処理の一例〕
次に、
図8を用いて、情報処理装置10の情報処理について説明する。
図8は、実施形態に係る情報処理装置における情報処理の流れを示すフローチャートである。情報処理装置10は、例えば、DR発動指令40による指令値を受付ける(ステップS201)。
【0056】
情報処理装置10が、DR発動指令40による指令値を受付けた場合(ステップS201;Yes)、設定部12aは、制御処理の対象設備20に生産するネガワット量の目標値とモニタリング期間とを設定する(ステップS202)。一方、情報処理装置10は、発動指令による指令値を受付けていない場合(ステップS201;No)、DR発動指令40による指令値を受付けるまで待機する。
【0057】
そして、算出部12bは、制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値と制御処理の対象設備20で生産される目標値とに基づき、生産する必要があるネガワット量を再計算する(ステップS203)。その後、処理部12cは、算出部12bで再計算されたネガワット量に応じて追加の設備制御処理60を行う(ステップS204)。次に、情報処理装置10は、追加の設備制御処理60後の制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が制御処理の対象設備20で生産される目標値を満たすか否かを判定する(ステップS205)。
【0058】
追加の設備制御処理60後の、制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が制御処理の対象設備20で生産する目標値を満たす場合(ステップS205;Yes)、情報処理装置10は、追加の設備制御処理60を元に戻す(ステップS206)。一方、追加の設備制御処理60後の、制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が、制御処理の対象設備20で生産する目標値を満たさない場合(ステップS205;No)、情報処理装置10は、インターバル内で再度追加の設備制御処理60が可能であるか否かを判断する(ステップS207)。
【0059】
インターバル内で再度追加の設備制御処理60が可能である場合(ステップS207;Yes)、情報処理装置10は、ステップS203に戻り処理を続ける。一方、インターバル内で再度追加の設備制御処理60が可能でない場合(ステップS207;No)、情報処理装置10は処理を終了する。
【0060】
〔5.実施形態の効果〕
前述してきたように、本実施形態に係る情報処理装置10は、制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値とモニタリング期間とを設定する設定部12aと、モニタリング期間における制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値と生産するネガワット量の目標値とに基づき、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量を再計算する算出部12bと、算出部12bにより再計算されたネガワット量に応じて、追加の制御処理の対象設備30に対して、所定の期間内に設備制御処理を行う処理部12cとを備える。
【0061】
設定部12aは、制御処理の対象設備20に対し、指令値に基づく制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値とモニタリング期間とを設定する。また、算出部12bは、モニタリング期間内の設備制御処理50により、制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値と制御処理の対象設備20で生産するネガワット量の目標値との差分を、モニタリング期間後の所定の期間に生産するネガワット量として再計算する。さらに、処理部12cは、再計算されたネガワット量に応じて、制御処理の対象設備20とは異なる追加の制御処理の対象設備30に対し、所定の期間内に設備制御処理を行う。
【0062】
これにより、情報処理装置10は、対象設備ごとに最適な周期で制御を行うことにより、対象設備への負荷軽減や、これまで設備制御処理の対象とすることができなかった設備についても設備制御処理の対象とすることができ、対象設備に設定された対象設備で生産する目標値のネガワット量を生産することができるという効果を奏する。
【0063】
また、情報処理装置10の処理部12cは、追加の設備制御処理60として、制御処理の対象設備20を有する第一の施設内の設備について設備制御処理を行い、第一の施設内の制御処理の対象設備20に対する設備制御処理では再計算されたネガワット量が目標値を満たさない場合、現時点で設備制御処理が行われている対象設備を有する第二の施設内の設備についての制御処理である第1の追加の設備制御処理を行う。
【0064】
さらに、情報処理装置10の処理部12cは、追加の設備制御処理60として、第1の追加の設備制御処理に加え、第二の施設内の設備に対する設備制御処理では再計算されたネガワット量が目標値を満たさない場合、過去に設備制御処理が行われたことがある対象設備を有する第三の施設内の設備についての設備制御処理である第2の追加の設備制御処理を行う。
【0065】
これらにより、情報処理装置10は、追加の設備制御処理60の対象となる設備を有する施設について優先順位を設定することにより、追加の設備制御処理の管理を容易に行うことができるという効果を奏する。
【0066】
また、情報処理装置10の算出部12bは、所定の期間後における制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値を再計算し、処理部12cは、所定の期間後における制御処理の対象設備20で生産されたネガワット量の平均値が生産するネガワット量の目標値を満たさない場合、追加の設備制御処理60を行う。
【0067】
[6.ハードウェア構成]
前述した、実施形態に係る情報処理装置10は、例えば、
図9に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。
図9は、情報処理装置10の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、補助記憶装置1400、通信I/F(インタフェース)1500、入出力I/F(インタフェース)1600が、バス1800により接続された形態を有する。
【0068】
CPU1100は、ROM1300又は補助記憶装置1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0069】
補助記憶装置1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、係るプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信I/F1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0070】
CPU1100は、入出力I/F1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入出力装置1700を制御する。CPU1100は、入出力I/F1600を介して、入出力装置1700からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータについて入出力I/F1600を介して入出力装置1700へ出力する。
【0071】
例えば、コンピュータ1000が本実施形態に係る情報処理装置10として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部12の機能を実現する。
【0072】
[7.その他]
前述の実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0073】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の通り構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【0074】
前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0075】
また、前述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」等に読み替えることができる。例えば、制御部は、制御手段や制御回路に読み替えることができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0077】
10 情報処理装置
11 通信部
12 制御部
12a 設定部
12b 算出部
12c 処理部
13 記憶部
13a 対象設備情報記憶部
13b 発動指令情報記憶部
13c 算出情報記憶部
20 制御処理の対象設備
30 追加の制御処理の対象設備
40 DR発動指令
50 設備制御処理
60 追加の設備制御処理