(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058890
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ベルト駆動装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166290
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】江澤 聡史
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA24
2H200JB06
2H200JB11
2H200JB39
2H200JB40
2H200JC03
2H200JC07
2H200JC09
2H200JC10
2H200JC19
(57)【要約】
【課題】ベルト駆動装置等において、駆動ロールおよび従動ロールに掛け回されて回転するベルトのうち従動ロールの偏心に起因して当該従動ロールからベルトの回転方向の上流側および下流側の部分で発生する速度変動を抑制する。
【解決手段】ベルト駆動装置は、ベルト11と、ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールとを備えている。その従動ロールの一部として、互いに共通する部位に最大の超過偏心部+E1,+E2又は不足偏心部-E1,-E2を有する同じロール径D1,D2の従動ロール13および従動ロール14を、ベルトの回転方向Jに間隔をあけた位置に変位しない状態で配置して、最大の超過偏心部+E1,+E2どうし又は最大の不足偏心部-E1,-E2どうしがベルトの従動ロール13および従動ロール14に接触する部分11m1,11m2の回転方向の中央位置Rc1,Rc2で逆の位相になるよう従動回転させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトと、
前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールと、
を備え、
前記従動ロールの一部として、互いに共通する部位に最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する同じロール径の第一従動ロールおよび第二従動ロールを、
前記ベルトの回転方向にこの順で間隔をあけた位置に変位しない状態で配置して、前記最大の超過偏心部どうし又は最大の不足偏心部どうしが前記ベルトの前記第一従動ロールおよび第二従動ロールに接触する部分の前記回転方向の中央位置で逆の位相になるよう従動回転させるベルト駆動装置。
【請求項2】
ベルトと、
前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールと、
を備え、
前記従動ロールの一部として、最大の超過偏心部を有する第一従動ロールと前記第一従動ロールと同じロール径であって最大の不足偏心部を有する第二従動ロールを、
前記ベルトの回転方向に間隔をあけた位置に変位しない状態で配置して、前記最大の超過偏心部と前記最大の不足偏心部が前記ベルトの前記第一従動ロールおよび第二従動ロールに接触する部分の前記回転方向の中央位置で同じ位相になるよう従動回転させるベルト駆動装置。
【請求項3】
前記第一従動ロールおよび第二従動ロールが同期して従動回転する請求項1又は2に記載のベルト駆動装置。
【請求項4】
前記第一従動ロールおよび第二従動ロールがタイミングベルトでつながれている請求項3に記載のベルト駆動装置。
【請求項5】
前記ベルトの前記第一従動ロールに接触する部分の長さと前記ベルトの前記第二従動ロールに接触する部分の長さとの差が20%以下である請求項1又は2に記載のベルト駆動装置。
【請求項6】
前記ベルトの前記第一従動ロールに接触する部分の長さと前記ベルトの前記第二従動ロールに接触する部分の長さが同じである請求項5に記載のベルト駆動装置。
【請求項7】
前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う単数又は複数の上流処理部と、
前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う単数又は複数の下流処理部と、
を備え、
前記下流処理部の処理が、前記上流処理部の前記ベルトにむけて処理する位置と位置合わせをして行われる請求項1又は2に記載のベルト駆動装置。
【請求項8】
前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う複数の上流処理部を備え、
前記複数の上流処理部の各処理が、互いに前記ベルト上の位置合わせをして行われる請求項1又は2に記載のベルト駆動装置。
【請求項9】
前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う複数の下流処理部を備え、
前記複数の下流処理部の各処理が、互いに前記ベルト上の位置合わせをして行われる請求項1又は2に記載のベルト駆動装置。
【請求項10】
ベルトと前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールとを有するベルト駆動装置と、
前記ベルトのうち前記駆動ロールと前記従動ロールの間又は前記従動ロールどうしの間に形成されるベルト面にむけて像を形成して順次転写する複数の作像転写部と、
を備え、
前記ベルト駆動装置が請求項1に記載のベルト駆動装置で構成されている画像形成装置。
【請求項11】
ベルトと前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールとを有するベルト駆動装置と、
前記ベルトのうち前記駆動ロールと前記従動ロールの間又は前記従動ロールどうしの間に形成されるベルト面にむけて像を形成して順次転写する複数の作像転写部と、
を備え、
前記ベルト駆動装置が請求項2に記載のベルト駆動装置で構成されている画像形成装置。
【請求項12】
前記複数の作像転写部の一部が、前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面に配置され、
前記複数の作像転写部の残りが、前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面に配置されている請求項10又は11に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルト駆動装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の画像形成ステーションによって形成される互いに色の異なる画像を、ベルト状部材上に直接、又はベルト状部材によって搬送される記録媒体上に重ね合わせた状態で転写することにより、カラー画像を形成するカラー画像形成装置が記載されている。
また特許文献1には、そのカラー画像形成装置において、前記ベルト状部材を循環駆動するベルト駆動ロールの表面速度が、前記各画像形成ステーション間距離の整数分の一の周期で変動するように、前記ベルト駆動ロールに駆動力を伝達させる駆動力伝達手段を備えることが記載されている。
【0003】
特許文献2には、書き込み手段にて4個の感光体ドラム上に潜像を形成し、現像手段にて当該潜像をトナー像にして、各トナー像を中間転写ベルト上に転写して重ね合わせトナー像を形成し、当該重ね合わせトナー像を転写材に一括転写する画像形成装置が記載されている。
また特許文献2には、その画像形成装置において、前記中間転写ベルトは少なくとも3本以上の内側に設けられた張架用ローラに張架され、ベルト走行方向の順に第1と第2の2本の張架用ローラの外周面を結ぶことで形成される張設面に、前記4個の感光体ドラムのうち3個が等間隔で当接するように配列され、他の1個は第3の張架用ローラより下流の張設面に当接するように配置され、前記第2および第3の張架用ローラは2連で構成され、互いに逆方向に、等距離移動可能となることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-20852号公報(請求項7、
図1)
【特許文献2】特許第4735336号公報(請求項1、段落0048、
図2、
図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、駆動ロールおよび従動ロールに掛け回されて回転するベルトのうち従動ロールの偏心に起因して当該従動ロールからベルトの回転方向の上流側および下流側の部分で発生する速度変動を、最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する1本の従動ロールを配置してベルトを支持する場合に比べて、抑制することができるベルト駆動装置および画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、
ベルトと、
前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールと、
を備え、
前記従動ロールの一部として、互いに共通する部位に最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する同じロール径の第一従動ロールおよび第二従動ロールを、
前記ベルトの回転方向にこの順で間隔をあけた位置に変位しない状態で配置して、前記最大の超過偏心部どうし又は最大の不足偏心部どうしが前記ベルトの前記第一従動ロールおよび第二従動ロールに接触する部分の前記回転方向の中央位置で逆の位相になるよう従動回転させるベルト駆動装置である。
【0007】
また、第2の発明は、
ベルトと、
前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールと、
を備え、
前記従動ロールの一部として、最大の超過偏心部を有する第一従動ロールと前記第一従動ロールと同じロール径であって最大の不足偏心部を有する第二従動ロールを、
前記ベルトの回転方向に間隔をあけた位置に変位しない状態で配置して、前記最大の超過偏心部と前記最大の不足偏心部が前記ベルトの前記第一従動ロールおよび第二従動ロールに接触する部分の前記回転方向の中央位置で同じ位相になるよう従動回転させるベルト駆動装置である。
【0008】
第3の発明は、上記第1の発明又は第2の発明のベルト駆動装置において、
前記第一従動ロールおよび第二従動ロールが同期して従動回転するものである。
【0009】
第4の発明は、上記第3の発明のベルト駆動装置において、
前記第一従動ロールおよび第二従動ロールがタイミングベルトでつながれているものである。
【0010】
第5の発明は、上記第1の発明又は第2の発明のベルト駆動装置において、
前記ベルトの前記第一従動ロールに接触する部分の長さと前記ベルトの前記第二従動ロールに接触する部分の長さとの差が20%以下であるものである。
【0011】
第6の発明は、上記第5の発明のベルト駆動装置において、
前記ベルトの前記第一従動ロールに接触する部分の長さと前記ベルトの前記第二従動ロールに接触する部分の長さが同じであるものである。
【0012】
第7の発明は、上記第1の発明又は第2の発明のベルト駆動装置において、
前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う単数又は複数の上流処理部と、
前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う単数又は複数の下流処理部と、
を備え、
前記下流処理部の処理が、前記上流処理部の前記ベルトにむけて処理する位置と位置合わせをして行われるものである。
【0013】
第8の発明は、上記第1の発明又は第2の発明のベルト駆動装置において、
前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う複数の上流処理部を備え、
前記複数の上流処理部の各処理が、互いに前記ベルト上の位置合わせをして行われるものである。
【0014】
第9の発明は、上記第1の発明又は第2の発明のベルト駆動装置において、
前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う複数の下流処理部を備え、
前記複数の下流処理部の各処理が、互いに前記ベルト上の位置合わせをして行われるものである。
【0015】
さらに、第10の発明は、
ベルトと前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールとを有するベルト駆動装置と、
前記ベルトのうち前記駆動ロールと前記従動ロールの間又は前記従動ロールどうしの間に形成されるベルト面にむけて像を形成して順次転写する複数の作像転写部と、
を備え、
前記ベルト駆動装置が上記第1の発明のベルト駆動装置で構成されている画像形成装置である。
【0016】
また、第11の発明は、
ベルトと前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールとを有するベルト駆動装置と、
前記ベルトのうち前記駆動ロールと前記従動ロールの間又は前記従動ロールどうしの間に形成されるベルト面にむけて像を形成して順次転写する複数の作像転写部と、
を備え、
前記ベルト駆動装置が上記第2の発明のベルト駆動装置で構成されている画像形成装置である。
【0017】
第12の発明は、上記第10の発明又は第11の発明の画像形成装置において、
前記複数の作像転写部の一部が、前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面に配置され、
前記複数の作像転写部の残りが、前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面に配置されているものである。
【発明の効果】
【0018】
上記第1および第2の発明によれば、ベルトに発生する上記速度変動を、最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する1本の従動ロールを配置してベルトを支持する場合に比べて、抑制することができる。
【0019】
上記第3の発明によれば、第一従動ロールおよび第二従動ロールが個別に従動回転する場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制できる。
【0020】
上記第4の発明によれば、第一従動ロールおよび第二従動ロールがタイミングベルトでつながれていない場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を容易に抑制できる。
【0021】
上記第5の発明によれば、ベルトの第一従動ロールに接触する部分の長さとベルトの第二従動ロールに接触する部分の長さとの差が20%を超える場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制することができる。
【0022】
上記第6の発明によれば、ベルトの第一従動ロールに接触する部分の長さとベルトの第二従動ロールに接触する部分の長さが異なる場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制しやすくなる。
【0023】
上記第7の発明によれば、上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制でき、下流処理部のベルトにむけて処理する位置が上流処理部のベルトにむけて処理する位置と位置ずれすることが抑制される。
【0024】
上記第8の発明によれば、上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトのうち第一従動ロールからベルトの回転方向の上流側の部分で発生する速度変動を抑制でき、複数の上流処理部でベルトにむけてそれぞれ処理する各位置がずれることが抑制される。
【0025】
上記第9の発明によれば、上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトのうち第二従動ロールからベルトの回転方向の下流側の部分で発生する速度変動を抑制でき、複数の下流処理部のベルトにむけてそれぞれ処理する各位置がずれることが抑制される。
【0026】
上記第10および第11の発明によれば、ベルト駆動装置において最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する1本の従動ロールを配置してベルトを支持する場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制できる。また、上記速度変動に起因して、複数の作像転写部の像をベルトにむけてそれぞれ転写する各位置がずれることが抑制される。
【0027】
上記第12の発明によれば、ベルト駆動装置において上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制できる。また、上記速度変動に起因して、第二ベルト面に配置される残りの作像転写部のベルトにむけて転写する像の位置が、第一ベルト面に配置される作像転写部の一部のベルトにむけて転写する像の位置とずれることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】実施の形態1に係るベルト駆動装置の全体の概要図である。
【
図2】
図1のベルト駆動装置の一部の概要図である。
【
図3】
図2のベルト駆動装置の一部の別の構成を示す概要図である。
【
図4】(A)は従動ロールにおける最大の超過偏心部および不足偏心部の測定に関する概要図、(B)は(A)の測定に関する別の部分の概要図である。
【
図5】実施の形態2に係るベルト駆動装置の一部の概要図である。
【
図6】実施の形態3に係るベルト駆動装置の全体と変形例の概要図である。
【
図7】実施の形態4に係るベルト駆動装置の全体と変形例の概要図である。
【
図8】実施の形態5に係る画像形成装置の全体の概要図である。
【
図9】
図8の画像形成装置におけるベルト駆動装置を採用した作像転写部の概要図である。
【
図10】(A)は比較例のベルト駆動装置の一部の概要図、(B)は別の比較例のベルト駆動装置の一部の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0030】
実施の形態1.
図1と
図2は、本発明の実施の形態1を示す図面である。
図1には実施の形態1に係るベルト駆動装置1Aの全体が概念的に示され、
図2にはそのベルト駆動装置1Aの一部(第一従動ロールと第二従動ロールを中心にした部分)が概念的に示されている。
本明細書および図面においては実質的に同一の構成要素に対して同一の符号を付し、また、本明細書ではその構成要素の重複説明を省略する。
【0031】
・ベルト駆動装置の構成
ベルト駆動装置1Aは、筐体10と、ベルト11と、ベルト11を掛け回して回転させる駆動ロール12および従動ロール13~16とを備えている。
【0032】
筐体10は、ベルト11、駆動ロール12等の構成部品を配置して支持する構造体である。
筐体10は、ベルト駆動装置1Aが単独で使用される場合には、例えば外装材で囲まれる外装部分を含む箱状の形態からなる構造体として構成される。また、筐体10は、ベルト駆動装置1Aが他の装置の一部として使用される場合には、例えば、外装材で囲まれる外装部分がなく、ベルト11、駆動ロール12等の構成部品を配置して支持する骨組み等の内部部分のみからなる構造体として構成される。
【0033】
ベルト11は、駆動ロール12と所要数の従動ロール13~16とに張力が付与された状態で回転可能に掛け回されることにより循環移動する環状の変形可能な部材である。ベルト11は、張力が付与されて掛け回された際、ベルト長さが弾性的に伸びる部材として構成される。
【0034】
また、ベルト11は、回転して移動する速度やベルト面の移動状態の安定性が求められる用途に使用されるものが好適である。
このため、ベルト11は、例えば、ベルト駆動装置1Aが画像を形成する画像形成装置に使用される場合、転写される未定着の像をベルト11の外周面11aに一時的に保持して搬送する中間転写ベルト、静電潜像が形成されて保持する感光体ベルト等の像保持ベルトが対象になる。また、ベルト11は、例えば、ベルト駆動装置1Aがベルト11の外周面11aに保持されて搬送される被処理部材に物資を転移させる処理を行う処理部と組み合わせて使用される場合、その被処理部材を搬送する部材搬送ベルト等の搬送ベルトが対象になる。
【0035】
駆動ロール12は、回転軸12aと回転軸12aの外周面に固定して設けられるロール本体12bとからなる構造のロールである。
また、駆動ロール12は、筐体10の所定の位置に変位しない状態で回転可能に配置される。そして、駆動ロール12は、回転軸12aが図示しない駆動装置からの回転動力を受け、これにより所要の方向Cに所要の速度で回転してベルト11を所要の回転方向Jに循環移動させるよう駆動する。
【0036】
従動ロール13~16はいずれも、回転軸と回転軸の外周面に固定して設けられるロール本体とからなる構造のロールである。
図2に代表して示すと、従動ロール13は回転軸13aとロール本体13bからなるロールであり、従動ロール14は回転軸14aとロール本体14bからなるロールである。
【0037】
また、従動ロール13~16は、筐体10において、ベルト11を掛け回したときに要求される形態に対応するよう割り当てられた所定の位置に回転可能にそれぞれ配置される。そして、従動ロール13~16は、循環移動するベルト11から力を受け、これにより従動して回転する。
【0038】
実施の形態1では、従動ロール13が駆動ロール12からほぼ水平方向に所要の間隔をあけた位置に配置され、従動ロール14が従動ロール13から斜め下方に所要の間隔をあけた位置に配置される。また実施の形態1では、従動ロール15が従動ロール14から斜め下方に所要の間隔をあけた最下位の位置に配置され、従動ロール16が駆動ロール12と従動ロール15の間の位置に配置されている。
【0039】
これにより、実施の形態1におけるベルト11は、駆動ロール12と従動ロール13~16との掛け回されたときに、上方でほぼ水平な方向に延びるほぼ水平なベルト面を形成し、また、そのほぼ水平なベルト面の回転方向Jの上流側の端部および下流側の端部からそれぞれ斜め下方に斜めに延びる斜めのベルト面を形成する形態になる。
【0040】
このときのベルト11は、全体として、ほぼ逆三角形状に近い形態になるよう掛け回される。また、このときの駆動ロール12と従動ロール13~16はいずれも、ベルト11の内側に存在して、ベルト11の内周面11bに接触して支持することになる。
【0041】
従動ロール13~16の一部である従動ロール13と従動ロール14は、後述する第一従動ロールと第二従動ロールとしてそれぞれ構成されている。
従動ロール15は、最下位に存在する従動ロールとして配置されている。
【0042】
従動ロール16は、ベルト11の内周面11bに対して接近する方向および離れる方向に変位可能な状態で配置され、その内周面11b側に接触して所要の押付け力Fを加えて張力を付与する張力付与ロール(テンション)として構成されている。
【0043】
ベルト駆動装置1Aにおいては、従動ロール13と従動ロール14を1つの従動ロール(例えば従動ロール13のみ)を配置する構成ではなく、従動ロールの偏心に起因して発生するベルト11の速度変動を抑制する対策の観点から、第一従動ロールの一例としての従動ロール13と第二従動ロールの一例としての従動ロール14とを配置する構成を採用している。
【0044】
この場合、従動ロール13と従動ロール14は、
図2に示されるように、そのロール径D1,D2が互いに同じ寸法からなる従動ロールである。
また、従動ロール13と従動ロール14は、互いに共通する部位に最大の超過偏心部(+E)又は不足偏心部(-E)を有する従動ロールでもある。
【0045】
ここで、上記最大の超過偏心部(+E)は、従動ロール13,14として使用する予定のロール製品(完成品)に存在する複数の偏心部のうち、所要のロール径(外周面)を超えて偏心した超過偏心部の最大のものである。
上記最大の不足偏心部(-E)は、従動ロール13,14として使用する予定のロール製品に存在する複数の偏心部のうち所要のロール径に対して不足して偏心した不足偏心部の最大のものである。
【0046】
超過偏心部(+E)と不足偏心部(-E)はいずれも、製造上のバラツキで発生し得るものである。
上記最大とは、装置への実装時における固定部を基準にしてベルト11に接触する面部分の円周振れを測定した値が最も大きい場合をいう。
【0047】
また、上記互いに共通する部位とは、従動ロール13,14として使用する予定のロール製品における最大の超過偏心部(+E)又は不足偏心部(-E)を示す軸方向における位置のずれ量が、ベルト11に接触する面部分の軸長(軸方向の長さ)の1/2程度の範囲内におさまる関係にある部位のことをいう。
【0048】
さらに、上記最大の超過偏心部(+E)と上記最大の不足偏心部(-E)の情報については、例えば、以下の方法で測定して得られる。
【0049】
すなわち、測定は、はじめに、
図4に示されるように、従動ロール13,14として使用する予定の測定対象となるロール製品を、同じ軸受(実際に搭載するベルト駆動装置における軸受を含む)29に取り付ける。
続いて、測定は、その取り付けたロール製品を一定の速度で回転させながら、そのロール製品におけるロール本体13b、14bの表面の高さ(座標)をロールの軸方向および周方向にわたって当該表面の位置情報と関連付けて、円周振れとして計測することで行われる。
この測定は、ロール製品のロール本体の軸方向の表面のうち、少なくともベルト11が掛け回されて接触する予定の範囲について行えばよい。
【0050】
図4では、従動ロール13,14として使用する予定の測定対象となるロール製品を、便宜上、従動ロール13と従動ロール14として表示している。
また、
図4(A)では、最大の超過偏心部(+E)又は不足偏心部(-E)がロール本体13b、14bの軸方向におけるP1という位置を中心にした部位に存在している場合を例示している。ちなみに、ロール本体13b、14bには、その軸方向における
図4(A)に示すP1の位置以外の例えばP2,P3等の他の位置に超過偏心部(+E)又は不足偏心部(-E)が複数存在していることもあるが、それらはいずれも最大のものでないこととする。
また、
図4(B)では、実線で示すロール本体13b,14bの外周面を目標基準のロール径Dの位置とみなし、最大の超過偏心部(+E)と最大の不足偏心部(-E)を二点鎖線で誇張した状態で例示している。
図4(B)における符号SPは、測定時に決定するロール本体13b、14bの周方向における測定開始点を示す。
【0051】
上記測定の際、円周振れの計測は、例えば、ミツトヨ社製(ID-C112JK)等の測定機器を用いて行われる。
図4(B)では、測定した結果として、従動ロール13,14として使用する予定のロール製品のロール本体13b、14bにおける最大の超過偏心部(+E1,+E2)又は最大の不足偏心部(-E1,-E2)どうしが、測定開始点SPからは異なる位置Q1,Q2に存在している場合を例示している。
ちなみに、上記した一連の測定は、組み立て工程における専用の作業として実行してもよいが、ロール製品の検品工程の一作業として組み込んで行い、そのときの測定結果を後で使用できるように保管しておくようにしてもよい。また、最大の超過偏心部(+E)と上記最大の不足偏心部(-E)の情報については、別の測定方法で測定しても構わない。
【0052】
また、ベルト駆動装置1Aにおいては、従動ロール13と従動ロール14を、
図2に示されるように、ベルト11の回転方向Jにこの順に所要の間隔をあけた位置に、変位しない状態で配置されている。
【0053】
上記変位しない状態とは、従動ロール13と従動ロール14が定位置で回転可能に配置されている状態である。また変位しない状態とは、換言すると、例えばベルト11の内周面11bに対して接近する方向および離れる方向に移動することができない固定された状態でもある。従動ロール14は、従動ロール13よりもベルト11の回転方向Jの下流側に配置される。
【0054】
しかも、ベルト駆動装置1Aにおける従動ロール13と従動ロール14は、
図2に示されるように、最大の超過偏心部(+E1,+E2)どうし又は不足偏心部(-E1,-E2)どうしがベルト11の従動ロール13と従動ロール14にそれぞれ接触する部分11m1,11m2の回転方向Jに沿う中央位置Rc1,Rc2において逆の位相になるよう従動回転するように構成されている。
【0055】
具体的に説明すると、従動ロール13と従動ロール14は、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)と従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)とが、ベルト11の接触する部分11m1,11m2の中央位置Rc1,Rc2において逆の位相になるよう従動回転する構成になっている。
この場合、最大の超過偏心部(+E1)と最大の超過偏心部(+E2)は、その最大の大きさが互いに同じであるか又は近いことが好ましいが、その大きさが互いに異なっていても構わない。
【0056】
また、従動ロール13と従動ロール14は、従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)と従動ロール14における最大の不足偏心部(-E2)とが、ベルト11の接触する部分11m1,11m2の中央位置Rc1,Rc2において逆の位相になるよう従動回転する構成にされることもある。
この場合も、最大の不足偏心部(-E1)と最大の不足偏心部(-E2)は、その最大の大きさが互いに同じであるか又は近いことが好ましいが、その大きさが互いに異なっていても構わない。
【0057】
最大の超過偏心部(+E1,+E2)どうしが上記逆の位相になるようにする構成と、最大の不足偏心部(-E1,-E2)どうしが上記逆の位相になるようにする構成は、いずれか一方を選択して採用することになる。この場合は、例えば、その最大の値が相対的に大きい方の構成を採用すればよい。
ただし例外としては、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)と最大の不足偏心部(-E1)の周方向の間隔と、従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)と最大の不足偏心部(-E2)の周方向の間隔と一致する場合は、上記2つの構成を同時に採用することが可能になる。
【0058】
ここで、従動ロール13と従動ロール14においてベルト11がそれぞれ接触する部分11m1,11m2は、
図2に括弧書きして示されるように、その接触開始位置13s、14sとその接触終了位置13e、14eとがロール中心O1,O2を中心にしてそれぞれなす角度(中心角又はラップ角)α1,α2を有するものである。また、上記接触する部分11m1,11m2は、その回転方向Jの長さL1、L2を有するものでもある。
【0059】
従動ロール13および従動ロール14における上記ベルト11が接触する部分11m1,11m2の角度α1,α2や長さL1、L2については、従動ロール13および従動ロール14に代えて1つの従動ロールに置き換えた場合の該当する角度や長さに比べると、相対的に小さく又は短くすることができる。
【0060】
また、上記逆の位相とは、最大の超過偏心部(+E1,+E2)又は不足偏心部(-E1,-E2)どうしが、上記中央位置Rc1,Rc2において、従動ロール13,14のロール本体13b、14bにおいて直径方向(ロール中心O1,O2を通るロール径D1,D2に沿う方向)の両端に位置する(正反対の位置に存在する)関係になることをいう。上記括弧内の正反対の位置は、ロール本体13b、14bにおいて中央位置Rc1,Rc2からロール中心O1,O2を挟んで対向する位置に加えて、その対向する位置を中心にして中心角で±5度以内の範囲内でずれた位置を含む。
【0061】
図2では、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)がロール本体13bの上記中央位置Rc1にあるときに、従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)がロール本体14bの上記中央位置Rc2とは直径方向の反対側の位置にある場合を示している。
また
図2では、従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)がロール本体13bの上記中央位置Rc1にあるときに、従動ロール14における最大の不足偏心部(-E2)がロール本体14bの上記中央位置Rc2とは直径方向の反対側の位置にある場合も、括弧書きして選択的に示している。
【0062】
実施の形態1における従動ロール13と従動ロール14は、同期して従動回転するように構成されている。これにより、従動ロール13と従動ロール14は、最大の超過偏心部(+E)又は不足偏心部(-E)どうしが上記逆の位相になる状態が維持されて回転するようになる。
【0063】
また、従動ロール13と従動ロール14は、タイミングベルト18でつながれて従動回転するよう構成されている。
【0064】
タイミングベルト18は、回転伝達用ベルトのうちベルト内周面に例えばラック歯のようなギヤ歯が設けられている。また、タイミングベルト18は、
図3に示されるように、従動ロール13の回転軸13aと従動ロール14の回転軸14aにそれぞれ固定して取り付けられるギヤ歯付きプーリ19A,19Bに、互いのギヤ歯どうしが噛み合うように掛け回されている。
これにより、従動ロール13と従動ロール14は、タイミングベルト18により同期して回転し合うよう保たれる。
【0065】
さらに、ベルト駆動装置1Aにおいては、
図2に示されるように、ベルト11の従動ロール13に接触する部分11m1の長さL1とベルト11の従動ロール14に接触する部分11m2の長さL2との差(絶対値)が20%以下であるよう構成されている。
この長さL1と長さL2との差が20%を超えると、従動ロール13と従動ロール14の配置によるベルト11の後述する一部で発生する一時的な速度変動を抑制する作用効果が得られにくくなる。
【0066】
・ベルト駆動装置の動作
以上の構成からなるベルト駆動装置1Aは、駆動ロール12が矢印Cで示す方向に回転すると、ベルト11が駆動ロール12および従動ロール13~16に支持されて回転方向Jに回転して循環移動する。
このとき従動ロール13~16は、張力が付与されて循環移動するベルト11の力をベルト11に接触した状態で受けることで従動回転する。また、このとき従動ロール13と従動ロール14は、同期して従動回転する。
【0067】
ベルト駆動装置1Aにおいて最大の超過偏心部(+E1,+E2)どうしが上記逆の位相になる構成を採用している場合は、ベルト駆動装置1Aが作動すると、従動ロール13と従動ロール14では次のような動きがある。
すなわち、この場合の従動ロール13と従動ロール14では、
図2に示されるように、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)がベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1に達したとき、従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)がベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2とは正反対の位置になるロール本体14bの表面部分に達して存在することになる。
【0068】
このときのベルト11は、従動ロール13におけるベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1で最大の超過偏心部(+E1)に起因してロール本体13bの外側に隆起した表面部分を通過するので、従動ロール13の外側に一時的に押し出されるような状態で移動させられる。
その一方で、このときのベルト11は、従動ロール14におけるベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2で最大の超過偏心部(+E2)が存在しないので、その超過偏心部(+E2)に起因してロール本体14bが外側に隆起した表面部分を通過することがなくなる。このため、ベルト11は、従動ロール14の外側に一時的に押し出されるような状態で移動させられることもない。
【0069】
この結果、ベルト11は、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)が上記中央位置Rc1に達したとき、従動ロール14の上記中央位置Rc2で最大の超過偏心部(+E2)の影響により外側に押し出された状態で同時に移動させられることがない。これにより、ベルト11は、従動ロール14よりも回転方向Jの下流側にあるベルト部分の速度が一時的に変動することが抑えられる。
このとき速度の変動は、厳密にはサイン波形的な変動であって、主に瞬時の減速でもある。
【0070】
また、ベルト駆動装置1Aにおいて最大の不足偏心部(-E1,-E2)どうしが上記逆の位相になる構成を採用している場合は、ベルト駆動装置1Aが作動すると、従動ロール13と従動ロール14では次のような動きがある。
すなわち、この場合の従動ロール13と従動ロール14では、従動ロール13と従動ロール14では、
図2に括弧書きして選択的に示されるように、従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)がベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1に達したとき、従動ロール14における最大の不足偏心部(-E2)がベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2とは正反対の位置になるロール本体14bの表面部分に達して存在することになる。
【0071】
このときのベルト11は、従動ロール13におけるベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1で最大の不足偏心部(-E1)に起因してロール本体13bが内側に窪んだ表面部分を通過するので、従動ロール13の内側に一時的に引き込まれたような状態で移動させられる。
その一方で、このときのベルト11は、従動ロール14におけるベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2で最大の不足偏心部(-E2)が存在しないので、その不足偏心部(-E2)に起因してロール本体13bの表面が内側に窪んだ部分を通過することがなくなる。これにより、ベルト11は、従動ロール14の内側に一時的に引き込まれるような状態で移動させられることもない。
【0072】
この結果、ベルト11は、従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)が上記中央位置Rc1に達したとき、従動ロール14の上記中央位置Rc2で最大の不足偏心部(-E2)の影響により同時にロール本体14bの内側に引き込まれた状態で移動させられることがない。これにより、ベルト11は、従動ロール14よりも回転方向Jの下流側にあるベルト部分の速度が一時的に変動することが抑えられる。
このとき速度の変動は、厳密にはサイン波形的な変動であって、主に瞬時の増速でもある。
【0073】
以上説明したように、ベルト駆動装置1Aによれば、ベルト11が従動ロールの偏心に起因して回転方向Jの当該従動ロールの上流側および下流側の部分で発生する速度変動が、
図10(B)に示されるように最大の超過偏心部(+E)又は不足偏心部(-E)を有する1本の従動ロール130を配置する場合に比べてはもとより、
図10(A)に示される比較例のベルト駆動装置1Xに比べても、抑制される。
【0074】
比較例のベルト駆動装置1Xは、上記従動ロール13および従動ロール14を、最大の超過偏心部(+E)どうし又は不足偏心部(-E)どうしがベルト11の従動ロール13と従動ロール14に接触する部分の回転方向Jのほぼ中央位置Rc1,Rc2で同じ位相になるよう配置して従動回転させるよう構成されているものである。
上記ほぼ中央位置Rc1,Rc2は、ベルト11の回転方向Jの各中央位置Rc1,Rc2よりも上流側又は下流側にずれる中心角(ずれ角)が例えば20度以内の範囲におさまる位置になる。
【0075】
この比較例のベルト駆動装置1Xでは、従動ロール13および従動ロール14がそれぞれ有する最大の超過偏心部(+E1, +E2)又は不足偏心部(-E1, -E2)に起因して、ベルト11のうち従動ロール13から回転方向Jの上流側になる部分や従動ロール14から回転方向Jの上流側になる部分で瞬時の増速又は減速という一時的な速度変動が発生しやすくなる。
【0076】
また、ベルト駆動装置1Aは、
図10(B)に例示されるように、ベルト11が接触する部分11mxの角度(中心角、ラップ角)αxが比較的大きい角度になる1本の従動ロール130に代えて、第一従動ロールとしての従動ロール13と第二従動ロールとしての従動ロール14とを配置した場合に有効である。上記角度αxが比較的大きい角度とは、例えば90度以上の角度である。従動ロール130は、最大の超過偏心部(+E)又は不足偏心部(-E)を有する従動ロールである。
【0077】
つまり、上記1本の従動ロール130を適用する場合は、ベルト11が従動ロール130の偏心(最大の超過偏心部+E)に起因して従動ロール130のロール本体130bの外側に押し出されるように移動させられることによる影響量が、上記角度αxが比較的大きいことに比例して増大する傾向がある。また、ベルト11が従動ロール130の偏心(最大の不足偏心部-E)に起因してロール本体130bの内側に引き込まれるように移動させられることによる影響量が、上記角度αxが比較的大きいことに比例して増大する傾向もある。
【0078】
このため、このときのベルト11は、従動ロール130からベルト11の回転方向Jの上流側および下流側の部分で速度が一時的に変動しやすくなる。
また、従動ロール130は、ベルト駆動装置の大型化等の要請に伴ってロール径Dxとロール長を大きくするにつれて偏心が増えやすくなり、かかる偏心に起因した一時的な速度変動も誘発しやすくなる。
【0079】
また、ベルト駆動装置1Aにおいては、従動ロール13と従動ロール14がタイミングベルト18でつながれている。このため、ベルト駆動装置1Aでは、ベルト11の緩みや従動ロール13,14等のロールの外径の微小な違いにより位相関係が変動することが防止され、この結果、ベルト11の上記速度変動の抑制効果が維持される。
【0080】
この他、ベルト駆動装置1Aにおいては、ベルト11の従動ロール13に接触する部分11m1の長さL1とベルト11の従動ロール14に接触する部分11m2の長さL2との差が20%以下になるよう構成されている。
このため、その長さL1と長さL2との差が20%を超える構成にした場合に比べると、従動ロール13と従動ロール14を配置したことによる上記したベルト11の一時的な速度変動を抑制する作用効果が得られやすい。
【0081】
上記長さL1と長さL2については、同じになるように構成することが好ましい。このように構成した場合は、長さL1と長さL2が異なる場合に比べると、上記したベルト11の速度変動を抑制する作用効果が、その速度変動のサイン波形的な変動が相殺されることになって、より得られやすくなる。
【0082】
また、ベルト駆動装置1Aでは、上記特許文献1に記載の技術のように、ベルト11の駆動ロール12の表面速度が各画像形成ステーション(複数の処理部)間の距離の整数分の一の周期で変動するように駆動ロール12に駆動力を伝達させる駆動力伝達手段を採用することも可能である。
さらに、ベルト駆動装置1Aでは、上記特許文献2に記載の技術のように2つの従動ロール13,14を互いに逆方向に等距離移動が可能になるよう構成した場合、その2つの従動ロール13,14が逆方向へ等移動することでベルト11の経路変動や張力変動が発生しやくなる。しかも、この場合は、そのベルト11の経路変動や張力変動に起因した新たな位置ずれを誘発するおそれもある。
この点、ベルト駆動装置1Aでは、上記特許文献2に記載の技術を採用した場合のような上記ベルト11の経路変動や張力変動の発生も抑制される。
【0083】
・ベルト駆動装置に処理部を配置する場合
さらに、ベルト駆動装置1Aは、
図1に二点鎖線で例示されるように、ベルト11のうち第一ベルト面11cに2つの上流処理部20A,20Bを配置するとともに、ベルト11のうち第二ベルト面11dに2つの下流処理部20C,20Dを配置して使用することが可能である。
【0084】
この場合、第一ベルト面11cは、従動ロール13からベルト11の回転方向Jの上流側に最初に形成される処理作業用のベルト面である。実施の形態1における第一ベルト面11cは、従動ロール13と従動ロール13よりも回転方向Jの上流側で最初に配置される駆動ロール12との間に形成されるベルト面になる。
第二ベルト面11dは、従動ロール14からベルト11の回転方向Jの下流側に最初に形成される処理作業用のベルト面である。実施の形態1における第二ベルト面11dは、従動ロール14と従動ロール14よりも回転方向Jの下流側で最初に配置される従動ロール15との間に形成されるベルト面になる。
【0085】
また、上流処理部20A,20Bは、第一ベルト面11cにむけて物質を転移させる処理を行うものである。下流処理部20C,20Dは、第二ベルト面11dにむけて物質を転移させる処理を行うものである。
図1における符号25は、上流処理部20A,20Bによる処理作業が行われる第一ベルト面11cと下流処理部20C,20Dによる処理作業が行われる第二ベルト面11dを、ベルト11の内周面11bからそれぞれ接触して保持する部材(保持部材)である。実施の形態1では、その保持部材25として従動ロールを適用している。
【0086】
上流処理部20A,20Bと下流処理部20C,20Dは、ベルト11が例えば中間転写ベルトである場合、物質の一例である未定着のトナー像を作成してベルト11の外周面11aに転写する作像転写部が適用される。この場合、上記保持部材25は、転写ロールになる。またこの場合、ベルト駆動装置1Aは、画像形成装置におけるベルト駆動装置として使用され、画像形成装置の一部を構成することになる。
また、上流処理部20A,20Bと下流処理部20C,20Dは、ベルト11が例えば感光ベルトである場合、静電潜像を形成するために物質の一例でもある光をベルト11の外周面11aに照射する潜像形成部が適用される。またこの場合も、ベルト駆動装置1Aは、画像形成装置におけるベルト駆動装置として使用され、画像形成装置の一部を構成することになる。
【0087】
上流処理部20A,20Bと下流処理部20C,20Dを配置したベルト駆動装置1Aでは、回転方向Jに回転するベルト11の第一ベルト面11cに対して上流処理部20A,20Bによる処理が順次行われる。また、ベルト駆動装置1Aでは、回転方向Jに回転するベルト11の第二ベルト面11dに対して下流処理部20C,20Dによる処理が順次行われる。
この際、下流処理部20C,20Dによる処理は、上流処理部20A,20Bにより処理されたベルト11の位置(外周面11aの位置)と位置合わせをして行われる。上流処理部20A,20Bによる各処理どうしも、位置合わせをして行われる。また、上流処理部20A,20Bどうしの各処理と下流処理部20C,20Dどうしの各処理についても、いずれも位置合わせをして行われる。
【0088】
そして、上流処理部20A,20Bと下流処理部20C,20Dを配置したベルト駆動装置1Aでは、従動ロールの一部として従動ロール13および従動ロール14を配置しない場合に比べると、上記した通り、ベルト11のうち従動ロール14からベルト11の回転方向Jの上流側および下流側の部分で発生する一時的な速度変動が抑制される。
この結果、下流処理部20C,20Dによる第二ベルト面11dにおける外周面11aにむけた処理は、ベルト11の上記一時的な速度変動が発生することに影響されてベルト11の通過する位置(時期)が微妙に変動することに起因して、上流処理部20A,20Bによる第一ベルト面11cにおける外周面11aにむけて処理した位置とずれてしまうことが抑制される。
【0089】
実施の形態2.
図5には、実施の形態2に係るベルト駆動装置1Bの一部(第一従動ロールと第二従動ロールを中心にした部分)が概念的に示されている。
ベルト駆動装置1Bは、従動ロール13および従動ロール14に関する構成の一部を次のように変更した以外は実施の形態1に係るベルト駆動装置1Aと同じ構成からなるものである。
【0090】
ベルト駆動装置1Bでは、従動ロール13および従動ロール14を、最大の超過偏心部(+E1,+E2)と最大の不足偏心部(-E1,-E2)がベルト11の従動ロール13および従動ロール14に接触する部分11m1,11m2の回転方向Jに沿う中央位置Rc1,Rc2で同じ位相になるよう従動回転させる構成に変更した。
【0091】
上記同じ位相とは、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)と従動ロール14における最大の不足偏心部(-E2)との組み合わせの場合、従動ロール13における上記中央位置Rc1に最大の超過偏心部(+E1)が到達したときに、従動ロール14における上記中央位置Rc2において最大の不足偏心部(-E2)が同時又はほぼ同時に存在することになる関係をいう。
また上記同じ位相とは、従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)と従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)との組み合わせの場合、従動ロール13における上記中央位置Rc1に最大の不足偏心部(-E1)が到達したときに、従動ロール14における上記中央位置Rc2において最大の超過偏心部(+E2)が同時又はほぼ同時に存在することになる関係をいう。
【0092】
上記ほぼ同時にする存在する場合とは、完全に同時に存在するときの位置を中心にして中心角で±5度以内の範囲内でずれた位置に存在することである。
図5では、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)又は不足偏心部(-E1)がロール本体13bの上記中央位置Rc1にあるときに、従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)又は不足偏心部(-E2)がロール本体14bの上記中央位置Rc2にある場合を、括弧書きして選択的に併合して示されている。
【0093】
・ベルト駆動装置の動作
ベルト駆動装置1Bは、駆動ロール12が矢印Cで示す方向に回転すると、実施の形態1に係るベルト駆動装置1Aの場合と同様に、ベルト11が駆動ロール12および従動ロール13~16に支持されて回転方向Jに回転して循環移動する。
【0094】
ベルト駆動装置1Bにおいて従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)と従動ロール14における最大の不足偏心部(-E2)とが上記同じ位相になる構成を採用している場合は、ベルト駆動装置1Bが作動すると、従動ロール13と従動ロール14では次の動きがある。
すなわち、この場合の従動ロール13と従動ロール14では、
図5に示されるように、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)がベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1に達したとき、従動ロール14における最大の不足偏心部(-E2)がベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2に達して存在することになる。
【0095】
このときのベルト11は、従動ロール13におけるベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1で最大の超過偏心部(+E1)に起因してロール本体13bの外側に隆起した表面部分を通過するので、従動ロール13の外側に一時的に押し出されるような状態で移動させられる。
その一方で、このときのベルト11は、従動ロール14におけるベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2で最大の不足偏心部(-E2)に起因してロール本体14bの表面が内側に窪んだ部分を通過するので、従動ロール14の内側に一時的に引き込まれるような状態で移動させられる。
【0096】
このことから、ベルト11は、従動ロール13における最大の超過偏心部(+E1)が上記中央位置Rc1に達して従動ロール13の外側に一時的に押し出される状態に移動させられても、従動ロール14の上記中央位置Rc2で最大の不足偏心部(-E2)の存在により従動ロール14の内側に一時的に引き込まれるような状態に移動させられることになる。これにより、ベルト11は、従動ロール13における上記中央位置Rc1と従動ロール14における上記中央位置Rc2においてほぼ相反する方向へそれぞれ移動させられ、その各移動による変動が相殺される状態になる。
【0097】
この結果、このときのベルト11は、従動ロール14からベルト11の回転方向Jの下流側にあるベルト部分の速度が、上記最大の超過偏心部(+E1)の存在に起因して一時的に変動することが抑えられる。
また、このときの抑制効果は、例えば、従動ロール13および従動ロール14におけるベルト11が接触する各部分11m1,11m2の角度α1,α2がいずれも、実施の形態1における場合と同様に、小さい角度になる程、得られやすくなる。
【0098】
また、ベルト駆動装置1Bにおいて従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)と従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)とが上記同じ位相になる構成を採用している場合は、ベルト駆動装置1Bが作動すると、従動ロール13と従動ロール14では次の動きがある。
すなわち、この場合の従動ロール13と従動ロール14では、
図5に括弧書きして選択的に示されるように、従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)がベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1に達したとき、従動ロール14における最大の超過偏心部(+E2)がベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2に達して存在することになる。
【0099】
このときのベルト11は、従動ロール13におけるベルト11の接触する部分11m1の中央位置Rc1で最大の不足偏心部(-E1)に起因してロール本体13bの内側に窪んだ表面部分を通過するので、従動ロール13の内側に一時的に引き込まれるような状態で移動させられる。
その一方で、このときのベルト11は、従動ロール14におけるベルト11の接触する部分11m2の中央位置Rc2で最大の超過偏心部(+E2)に起因してロール本体14bの外側に隆起した表面部分を通過するので、従動ロール14の外側に一時的に押し出されるような状態で移動させられる。
【0100】
このことから、ベルト11は、従動ロール13における最大の不足偏心部(-E1)が上記中央位置Rc1に達して従動ロール13の内側に一時的に引き込まれる状態に移動させられても、従動ロール14の上記中央位置Rc2で最大の超過偏心部(+E2)の存在により従動ロール14の外側に一時的に押し出されるような状態に移動させられることになる。これにより、ベルト11は、従動ロール13における上記中央位置Rc1と従動ロール14における上記中央位置Rc2においてほぼ相反する方向へそれぞれ移動させられ、その各移動による変動が相殺される状態になる。
【0101】
この結果、このときのベルト11は、従動ロール14からベルト11の回転方向Jの下流側にあるベルト部分の速度が、上記最大の不足偏心部(-E1)の存在に起因して一時的に変動することが抑えられる。
また、このときの抑制効果は、例えば、従動ロール13および従動ロール14におけるベルト11が接触する各部分11m1,11m2の角度α1,α2がいずれも、上記した構成を採用した場合と同様に、小さい角度になる程、得られやすくなる。
【0102】
以上説明したように、ベルト駆動装置1Bによれば、ベルト11の従動ロールの偏心に起因して回転方向Jの当該従動ロールの下流側の部分で発生する速度変動が、
図10(B)に示されるような1本の従動ロール130を配置する場合に比べてはもとより、
図10(A)に示される比較例のベルト駆動装置1Xに比べても、抑制される。
また、ベルト駆動装置1Bによる上記抑制効果は、実施の形態1に係るベルト駆動装置1Aの場合よりも有効に得られる。
【0103】
実施の形態3.
図6には、実施の形態3に係るベルト駆動装置1Cの全体が概念的に示されている。
ベルト駆動装置1Cは、第一ベルト面11cに2つの上流処理部20A,20Bを配置する一方で、第二ベルト面11dには下流処理部20C,20Dを配置しない変更をした以外は実施の形態1に係るベルト駆動装置1Aと同じ構成からなるものである。
【0104】
上記2つの上流処理部20A,20Bは、ベルト11が中間転写ベルト又は感光ベルトである場合には、実施の形態1における2つの上流処理部20A,20Bと同じ構成からなるものである。
また、上流処理部20A,20Bは、ベルト11にむけて順次行う各処理が互いに位置合わせをして行われるよう構成されている。
【0105】
さらに、従動ロール13および従動ロール14は、実施の形態1における従動ロール13および従動ロール14と同じ構成(
図2,
図3参照)か、又は実施の形態2における従動ロール13および従動ロール14と同じ構成(
図5参照)を適用している。
【0106】
そして、2つの上流処理部20A,20Bを配置したベルト駆動装置1Cでは、従動ロールの一部として従動ロール13および従動ロール14を配置しない場合に比べると、実施の形態1における動作の一部として説明した作用効果とほぼ同様にして、ベルト11のうち従動ロール14からベルト11の回転方向Jの上流側および下流側の部分で発生する一時的な速度変動が抑制される。
この結果、ベルト駆動装置1Cでは、ベルト11で発生する上記一時的な速度変動に影響されることにより、2つの上流処理部20A,20Bにおいてベルト11にむけてそれぞれ処理するベルト11上の各位置が互いにずれることが抑制される。
【0107】
・実施の形態3の変形例
ベルト駆動装置1Cは、ベルト11について、
図6に二点鎖線で例示するように2つの上流処理部20A,20Bによる処理を直接行う被処理部材90を搬送する搬送ベルトとして構成することが可能である。
【0108】
この場合、上流処理部20A,20Bとしては、実施の形態1において例示した作像転写部の他に、次のものが適用できる。他の例としては、例えば、物質の一例としてのインクを被処理部材90にむけて噴射して画像等を形成する印字装置や、物質の一例としての塗料や粉体を被処理部材90にむけて吐出又は塗布して塗装面、粉体付着面等を形成する塗装装置等が適用される。
上流処理部20A,20Bとして上記印字装置を適用した場合は、ベルト駆動装置1Cは印字装置の一部を構成することになる。また、上流処理部20A,20Bとして上記塗装装置を適用した場合は、ベルト駆動装置1Cは塗装装置の一部を構成することになる。
【0109】
また、被処理部材90としては、例えばベルト11に保持して搬送することが可能なシート状の部材が適用される。また、被処理部材90は、回転方向Jに循環移動するベルト11の外周面11aに静電的作用等の作用により保持して搬送されるよう図示しない供給手段から所要のタイミングで供給される。
【0110】
そして、このような構成からなる変形例のベルト駆動装置1Cでは、従動ロールの一部として従動ロール13および従動ロール14を配置しない場合に比べると、実施の形態1における動作の一部として説明した作用効果とほぼ同様にして、ベルト11のうち従動ロール14からベルト11の回転方向Jの上流側および下流側の部分で発生する一時的な速度変動が抑制される。
【0111】
この結果、変形例のベルト駆動装置1Cでは、ベルト11の一時的な速度変動が発生することでベルト11に対する被処理部材90の保持される姿勢が微妙に変化することがなく被処理部材90が安定して搬送される。これにより、ベルト11で発生する上記一時的な速度変動に影響されることにより、2つの上流処理部20A,20Bにおいてベルト11で搬送される被処理部材90にむけてそれぞれ処理する被処理部材90上の各位置がずれることが抑制される。
【0112】
実施の形態4.
図7には、実施の形態4に係るベルト駆動装置1Dの全体が概念的に示されている。
ベルト駆動装置1Dは、従動ロール13,14等の配置する位置を変更するとともに、第二ベルト面11dに2つの下流処理部20C,20Dを配置するよう変更した以外は実施の形態1に係るベルト駆動装置1Aと同じ構成からなるものである。
【0113】
従動ロール13と従動ロール14は、従動ロール13が従動ロール14よりも下方に配置されており、その上下における配置関係が実施の形態1における従動ロール13と従動ロール14の上下の配置関係とは逆の関係になっている。ただし、この場合も、従動ロール14は、従動ロール13よりもベルト11の回転方向Jの下流側に配置される。
【0114】
また、実施の形態4では、駆動ロール12が、従動ロール14からほぼ水平方向に所要の間隔をあけた位置に配置されている。従動ロール15は、従動ロール13から斜め下方に所要の間隔をあけて離れた最下位の位置に最下位の従動ロールとして配置されている。従動ロール16は、駆動ロール12と従動ロール15の間の位置に張力付与ロールとして配置されている。
【0115】
さらに、従動ロール13および従動ロール14は、その上下における配置関係が逆の関係になっているが、実施の形態1における従動ロール13および従動ロール14と同じ構成(
図2,
図3参照)か、又は実施の形態2における従動ロール13および従動ロール14と同じ構成(
図5参照)を適用している。
【0116】
上記2つの下流処理部20C,20Dは、実施の形態2における2つの上流処理部20A,20Bの場合と同様に構成される。第二ベルト面11dは、実施の形態1における第二ベルト面11dと同様に、第二従動ロールとしての従動ロール14からベルト11の回転方向Jの下流側に最初に形成される処理作業用のベルト面である。
また、下流処理部20C,20Dは、ベルト11にむけて順次行う各処理が互いに位置合わせをして行われるよう構成されている。
【0117】
そして、2つの下流処理部20C,20Dを配置したベルト駆動装置1Dでは、従動ロールの一部として従動ロール13および従動ロール14を配置しない場合に比べると、実施の形態1における動作の一部として説明した作用効果とほぼ同様にして、ベルト11のうち従動ロール14からベルト11の回転方向Jの下流側の部分で発生する速度変動が抑制される。
この結果、ベルト駆動装置1Dでは、ベルト11で発生する上記一時的な速度変動に影響されることにより、2つの下流処理部20C,20Dにおいてベルト11にむけてそれぞれ処理するベルト11上の各位置が互いにずれることが抑制される。
【0118】
・実施の形態4の変形例
ベルト駆動装置1Dは、実施の形態3の変形例のベルト駆動装置1Cと同様に、ベルト11について、
図7に二点鎖線で例示されるように2つの下流処理部20C,20Dによる処理を直接行う被処理部材90を搬送する搬送ベルトとして構成することが可能である。
この場合、2つの下流処理部20C,20Dとしては、実施の形態3の変形例で説明した内容と同様に、作像転写部や、印字装置、塗装装置等の他のものを適用できる。
【0119】
そして、このような構成からなる変形例のベルト駆動装置1Dでは、実施の形態3の変形例のベルト駆動装置1Cの場合で得られる上記作用効果がほぼ同様に得られる。
【0120】
実施の形態5.
図8には、実施の形態5に係る画像形成装置5の全体が概念的に示されている。
画像形成装置5は、
図8に示されるように、所要の外観形状からなる筐体50を有しており、その筐体50の内部空間に、作像転写部6、媒体供給部80、図示しない給電部、制御部等を備えている。
【0121】
まず筐体50は、各種の支持部材、外装材等を組み合わせて所要の構造および形状に形成された構造体である。実施の形態5における筐体50は、作像転写部6等を配置して収容する第一筐体50Aと、媒体供給部80を配置して収容する第二筐体50Bとに分けた構成になっている。
【0122】
次に、作像転写部6は、現像剤からなる像を形成して被処理部材の一例である記録媒体91に転写するよう構成された部分である。
実施の形態5における作像転写部6は、第一筐体50Aの内部空間51Aに配置されている。また、作像転写部6は、
図8に示されるように、現像剤としてのトナーからなるトナー像を形成する4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dと、4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dで形成されて転写される各色のトナー像を中継して記録媒体91に転写する位置まで搬送する中間転写装置70とで構成されている。
【0123】
像形成装置60A,60B,60C,60Dは、色又は種類が異なる4つのトナー(A,B,C,D)からなるトナー像を個別専用に形成する装置である。色や種類が異なるトナーからなるトナー像としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の有彩色又は無彩色のトナーからなる通常のトナー像が挙げられるが、これに限定されない。
【0124】
また、像形成装置60A,60B,60C,60Dは、
図9等に示されるように、矢印で示す方向に回転駆動する感光ドラム61を有しており、その感光ドラム61の周囲に帯電装置62、潜像形成装置63、現像装置64A,64B,64C,64D、ドラム清掃装置66等の機器を配置して構成されている。
このうち潜像形成装置63は、画像形成装置5が接続される情報端末器、原稿読取装置等の接続機器から入力される画像の情報に基づく露光を帯電された感光ドラム61にむけて行うことで感光ドラム61上に静電潜像を形成する。また、現像装置64A,64B,64C,64Dは、4つのトナー(A,B,C,D)のいずれか1つをそれぞれ収容して現像を行う4つの現像装置であることを示している。
【0125】
中間転写装置70は、
図8や
図9に示されるように、中間転写ベルトとしてのベルト11と、ベルト11を掛け回して回転させる駆動ロール12および従動ロール13~16と、転写ロール形式の一次転写装置、転写ロール形式の二次転写装置、図示しないベルト清掃装置等を配置して構成されている。
【0126】
この中間転写装置70は、中間転写ベルトとしてのベルト11と、ベルト11を掛け回して回転させる駆動ロール12および従動ロール13~16とを有するベルト駆動装置を使用している。
また、中間転写装置70は、そのベルト駆動装置が、実施の形態1に係るベルト駆動装置1A(
図1~
図3参照)か又は実施の形態2に係るベルト駆動装置1B(
図5参照)にて構成されている。
【0127】
このため、従動ロール13は第一従動ロールとして構成され、従動ロール14は第二従動ロールとして構成されている。また、従動ロール15は、最下位の従動ロールであるうえに、上記二次転写装置におけるバックアップロールとしても構成されている。従動ロール16は、張力付与ロールとして構成されている。
【0128】
また、上記一次転写装置は、像形成装置60A,60B,60C,60Dにおける各感光ドラム61とベルト11を挟んで対向する位置に、ベルト11の内周面11bから接触してベルト11を各感光ドラム61に押し付けて従動回転する保持部材25の一例である一次転写ロール25Aを使用している。一次転写ロール25Aには、図示しない給電部から一次転写電圧が供給される。
さらに、上記二次転写装置は、バックアップロールとしての従動ロール15にベルト11を挟んで対向する位置に、ベルト11の外周面11aから接触してベルト11を従動ロール15に押し付けて従動回転する二次転写ロール26を使用している。二次転写ロール26には、図示しない給電部から二次転写電圧が供給される。
【0129】
次に、媒体供給部80は、作像転写部6のうち中間転写装置70における二次転写を行う位置に供給すべき記録媒体91を収容するとともに供給する構成部分である。
二次転写を行う位置は、二次転写位置であり、実施の形態5ではベルト11の従動ロール15に支持されている部分と二次転写ロール26との間の位置になる。
【0130】
実施の形態5における媒体供給部80は、
図8に示されるように、第二筐体50Bの内部空間51Bに配置されている。また、媒体供給部80は、複数の記録媒体91を所要の向きで積載して収容する収容体81と、収容体81に収容されている記録媒体91を1つずつ送り出す送出装置82等で構成されている。
記録媒体91としては、例えば記録用紙等のシート状の媒体が使用される。
【0131】
また、第二筐体50Bから第一筐体50Aには、記録媒体91を搬送する媒体搬送路85が設けられている。
【0132】
媒体搬送路85は、記録媒体91を挟持して搬送する複数の搬送ロール86a~86eや、記録媒体91の搬送空間を確保して記録媒体91の搬送を案内する図示しない複数の案内部材や、ベルト搬送装置87等の部品や装置を配置して構成されている。
第一筐体50Aと第二筐体50Bの間には、搬送中の記録媒体91を通過させる通過口52が設けられている。また、第一筐体50Aには、画像が形成された後の記録媒体91を外部に排出させる排出口53が設けられている。
【0133】
また、作像転写部6は、記録媒体91に二次転写されたトナー像を記録媒体91に定着させる定着部65が設けられている。
【0134】
実施の形態5における定着部65は、
図8に示されるように、記録媒体91の導入口やその排出口が設けられた筐体65aの内部空間に、加熱用回転体67、加圧用回転体68等の機器を配置してなる定着装置で構成されている。
定着部65は、加熱用回転体67と加圧用回転体68が接触し合う部分が、未定着像のトナー像が転写された記録媒体91を挟持した状態で通過させるとともに、その通過の際にトナー像を記録媒体91に定着させるための加熱、加圧等の処理を行う定着処理部(ニップ部)となる。
【0135】
そして、画像形成装置5においては、
図8に示されるように、4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dの一部である像形成装置60A,60Bが、駆動ロール12と従動ロール13の間にほぼ水平面として形成される第一ベルト面11cにむけてトナー像を形成して順次転写するように配置される。この像形成装置60A,60Bは、上流側の2つの像形成装置になり、実施の形態1で例示した2つの上流処理部20A,20B(
図1参照)の一具体例にもなる。
【0136】
また、4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dの残りの像形成装置60C,60Dは、従動ロール14と従動ロール15の間に傾斜面として形成される第二ベルト面11dにむけてトナー像を形成して順次転写するよう配置される。この像形成装置60C,60Dは、下流側の2つの像形成装置になり、実施の形態1で例示した2つの下流処理部20C,20D(
図1参照)の一具体例にもなる。
【0137】
さらに、4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dは、下流処理部に相当する像形成装置60C,60Dによるトナー像の一次転写である処理が、上流処理部に相当する像形成装置60A,60Bによりベルト11にむけて行うトナー像の一次転写である処理をする位置と位置合わせして行われるよう構成されている。
また、像形成装置60A,60B,60C,60Dは、そのトナー像の一次転写である各処理を互いに位置合わせして行うようになっている。
【0138】
・画像形成装置の動作
画像形成装置5は、4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dを作動させて画像形成を行う動作の指令を受けると、次のように作動する。
【0139】
まず、作像転写部6における4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dにおいて各感光ドラム61が矢印で示す方向に回転し始め、帯電動作、露光動作、現像動作およびドラム清掃動作が実行される。また、これと同時に、作像転写部6における中間転写装置70において中間転写ベルトとしてのベルト11が回転方向Jに回転し始め、一次転写動作、二次転写動作およびベルト清掃動作が実行される。
一方、媒体供給部80において画像形成に必要な記録媒体91が送り出され、その記録媒体91が媒体搬送路85を経由して中間転写装置70における二次転写位置まで搬送される。
【0140】
これにより、像形成装置60A,60B,60C,60Dでそれぞれ形成されたトナー像が、中間転写装置70におけるベルト11に順次位置合わせして重ね合わせるように一次転写された後、ベルト11により二次転写位置まで搬送される。また、ベルト11に一次転写された多重のトナー像は、二次転写位置で記録媒体91に二次転写される。
【0141】
続いて、トナー像が二次転写された記録媒体91が媒体搬送路85を経由して定着部65に搬送され、そこで定着動作が実行される。定着後の記録媒体91は、媒体搬送路85を経由して第一筐体50Aの外部(排出収容部や後処理部)に排出される。
【0142】
このようにして画像形成装置5では、像形成装置60A,60B,60C,60Dの全部で形成される各トナー像を位置合わせして重ね合わせてなる多重画像又は多色画像を記録媒体91に形成することができる。
なお、画像形成装置5は、像形成装置60A,60B,60C,60Dの一部(複数又は単数の像形成装置)を作動させることで、その作動した像形成装置で形成される複数のトナー像を位置合わせして重ね合わせてなる多重画像もしくは多色画像又は単数のトナー像からなる単色画像を記録媒体91に形成することもできる。
【0143】
そして、画像形成装置5は、作像転写部6における中間転写装置70のベルト駆動装置がベルト駆動装置1A又はベルト駆動装置1Bで構成されている。
このため、画像形成装置5では、中間転写装置70のベルト駆動装置として、
図10(B)に示されるように1本の従動ロール130を配置したベルト駆動装置を適用した場合に比べてはもとより、
図10(A)に示される比較例のベルト駆動装置1Xを適用した場合に比べても、ベルト11に発生する速度変動を抑制できる。
したがって、画像形成装置5では、ベルト11に発生する上記速度変動に起因して、4つの像形成装置60A,60B,60C,60Dで形成される複数のトナー像をベルト11にむけてそれぞれ一次転写する各位置が互いにずれることが抑制される。
【0144】
変形例.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態1~5として例示した構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で種々の改変や改変した実施が可能である。このため、本発明は、例えば、以下に例示する変形例も含むものである。
【0145】
実施の形態1~4に係るベルト駆動装置1A~1D(変形例のベルト駆動装置1C、1Dも含む)や実施の形態5に係る画像形成装置5では、ベルト11を掛け回す従動ロール13,14を除く従動ロールとして、従動ロール15,16に限らず、さらに別の従動ロールを追加して配置してもよい。
この変形例に対応してベルト11の掛け回されたときの全体の形態も必要に応じて変更することが可能である。
【0146】
従動ロールのうち張力付与ロールとしての従動ロール16を配置する位置は、適宜選定することが可能である。
張力付与ロールを配置したベルト駆動装置においては、
図10(B)で例示したような従動ロール130が配置されている場合、従動ロール130が有する偏心部(+E,-E)の存在により発生するベルト11の速度変動を張力付与ロールがある程度吸収する。
この点、1本の従動ロール130に代えて実施の形態1,2等で例示した従動ロール13と従動ロール14を配置したベルト駆動装置であれば、従動ロール13と従動ロール14に存在する偏心部(+E,-E)に起因したベルト11の速度変動が発生しにくくすることが可能となる。
また、張力付与ロールとしての従動ロール16は、ベルト駆動装置1A~1Dの用途等の条件によっては、ベルト11の外周面11aから接触するよう配置してベルト11に張力を付与するよう構成してもよい。
【0147】
実施の形態1,2では、従動ロール14を従動ロール13よりもベルト11の回転方向Jの下流側になるよう配置した場合を例示したが、従動ロール13を従動ロール14よりもベルト11の回転方向Jの下流側になるように配置してもよい。
【0148】
また、実施の形態1,2では、上流処理部として2つの上流処理部20A,20Bを配置する構成例を示したが、その上流処理部は単数であっても又は3つ以上であってもよい。
さらに、実施の形態1,2では、下流処理部として2つの下流処理部20C,20Dを配置する構成例を示したが、その下流処理部についても単数であっても又は3つ以上であってもよい。
【0149】
実施の形態3では、上流処理部として2つの上流処理部20A,20Bを配置する構成例を示したが、その上流処理部は3つ以上であってもよい。
実施の形態4では、下流処理部として2つの下流処理部20C,20Dを配置する構成例を示したが、その下流処理部は3つ以上であってもよい。
【0150】
実施の形態5では、ベルト駆動装置1A、1Bを適用する形式の中間転写装置70を備えた画像形成装置5を例示したが、そのような形式の中間転写装置70を備えた画像形成装置であれば、必要な変更や追加などを行ってもよい。例えば、作像転写部6における像形成装置60の数は、複数であれば4つ以外の数であってもよい。
【0151】
また、本発明の画像形成装置としては、実施の形態3で例示したベルト駆動装置1Cやその変形例をベルト駆動装置として採用する画像形成装置であってもよい。
このような構成からなる画像形成装置の発明は、例えば、上記第10の発明又は第11の発明の画像形成装置において、前記複数の作像転写部が、前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面に配置されているものといえる。
【0152】
また、本発明の画像形成装置としては、実施の形態4で例示したベルト駆動装置1Dやその変形例をベルト駆動装置として採用する画像形成装置であってもよい。
このような構成からなる画像形成装置の発明は、例えば、上記第10の発明又は第11の発明の画像形成装置において、前記複数の作像転写部が、前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第一ベルト面に配置されているものといえる。
【0153】
(付記)
(((1)))
ベルトと、
前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールと、
を備え、
前記従動ロールの一部として、互いに共通する部位に最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する同じロール径の第一従動ロールおよび第二従動ロールを、
前記ベルトの回転方向にこの順で間隔をあけた位置に変位しない状態で配置して、前記最大の超過偏心部どうし又は最大の不足偏心部どうしが前記ベルトの前記第一従動ロールおよび第二従動ロールに接触する部分の前記回転方向の中央位置で逆の位相になるよう従動回転させるベルト駆動装置。
(((2)))
ベルトと、
前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールと、
を備え、
前記従動ロールの一部として、最大の超過偏心部を有する第一従動ロールと前記第一従動ロールと同じロール径であって最大の不足偏心部を有する第二従動ロールを、
前記ベルトの回転方向に間隔をあけた位置に変位しない状態で配置して、前記最大の超過偏心部と前記最大の不足偏心部が前記ベルトの前記第一従動ロールおよび第二従動ロールに接触する部分の前記回転方向の中央位置で同じ位相になるよう従動回転させるベルト駆動装置。
(((3)))
前記第一従動ロールおよび第二従動ロールが同期して従動回転する(((1)))又は(((2))) に記載のベルト駆動装置。
(((4)))
前記第一従動ロールおよび第二従動ロールがタイミングベルトでつながれている(((3))) に記載のベルト駆動装置。
(((5)))
前記ベルトの前記第一従動ロールに接触する部分の長さと前記ベルトの前記第二従動ロールに接触する部分の長さとの差が20%以下である(((1)))又は(((2))) に記載のベルト駆動装置。
(((6)))
前記ベルトの前記第一従動ロールに接触する部分の長さと前記ベルトの前記第二従動ロールに接触する部分の長さが同じである(((5))) に記載のベルト駆動装置。
(((7)))
前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う単数又は複数の上流処理部と、
前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う単数又は複数の下流処理部と、
を備え、
前記下流処理部の処理が、前記上流処理部の前記ベルトにむけて処理する位置と位置合わせをして行われる(((1)))又は(((2))) に記載のベルト駆動装置。
(((8)))
前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う複数の上流処理部を備え、
前記複数の上流処理部の各処理が、互いに前記ベルト上の位置合わせをして行われる(((1)))又は(((2))) に記載のベルト駆動装置。
(((9)))
前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面にむけて物質を転移させる処理を行う複数の下流処理部を備え、
前記複数の下流処理部の各処理が、互いに前記ベルト上の位置合わせをして行われる(((1)))又は(((2))) に記載のベルト駆動装置。
(((10)))
ベルトと前記ベルトを掛け回して回転させる駆動ロールおよび従動ロールとを有するベルト駆動装置と、
前記ベルトのうち前記駆動ロールと前記従動ロールの間又は前記従動ロールどうしの間に形成されるベルト面にむけて像を形成して順次転写する複数の作像転写部と、
を備え、
前記ベルト駆動装置が(((1)))から(((9)))のいずれかに記載のベルト駆動装置で構成されている画像形成装置。
(((11)))
前記複数の作像転写部の一部が、前記ベルトのうち前記第一従動ロールから前記回転方向の上流側に形成される第一ベルト面に配置され、
前記複数の作像転写部の残りが、前記ベルトのうち前記第二従動ロールから前記回転方向の下流側に形成される第二ベルト面に配置されている(((10))) に記載の画像形成装置。
【0154】
(((1)))および(((2)))に係るベルト駆動装置によれば、ベルトに発生する上記速度変動を、最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する1本の従動ロールを配置してベルトを支持する場合に比べて、抑制することができる。
(((3)))に係るベルト駆動装置によれば、第一従動ロールおよび第二従動ロールが個別に従動回転する場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制できる。
(((4)))に係るベルト駆動装置によれば、第一従動ロールおよび第二従動ロールがタイミングベルトでつながれていない場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を容易に抑制できる。
(((5)))に係るベルト駆動装置によれば、ベルトの第一従動ロールに接触する部分の長さとベルトの第二従動ロールに接触する部分の長さとの差が20%を超える場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制することができる。
(((6)))に係るベルト駆動装置によれば、ベルトの第一従動ロールに接触する部分の長さとベルトの第二従動ロールに接触する部分の長さが異なる場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制しやすくなる。
(((7)))に係るベルト駆動装置によれば、上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制でき、下流処理部のベルトにむけて処理する位置が上流処理部のベルトにむけて処理する位置と位置ずれすることが抑制される。
(((8)))に係るベルト駆動装置によれば、上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトのうち第一従動ロールからベルトの回転方向の上流側の部分で発生する速度変動を抑制でき、複数の上流処理部でベルトにむけてそれぞれ処理する各位置がずれることが抑制される。
(((9)))に係るベルト駆動装置によれば、上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトのうち第二従動ロールからベルトの回転方向の下流側の部分で発生する速度変動を抑制でき、複数の下流処理部のベルトにむけてそれぞれ処理する各位置がずれることが抑制される。
(((10)))に係る画像形成装置によれば、ベルト駆動装置において最大の超過偏心部又は不足偏心部を有する1本の従動ロールを配置してベルトを支持する場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制できる。また、上記速度変動に起因して、複数の作像転写部の像をベルトにむけてそれぞれ転写する各位置がずれることが抑制される。
(((11)))に係る画像形成装置によれば、ベルト駆動装置において上記第一従動ロールおよび第二従動ロールを配置しない場合に比べて、ベルトに発生する上記速度変動を抑制できる。また、上記速度変動に起因して、第二ベルト面に配置される残りの作像転写部のベルトにむけて転写する像の位置が、第一ベルト面に配置される作像転写部の一部のベルトにむけて転写する像の位置とずれることが抑制される。
【符号の説明】
【0155】
1A,1B…ベルト駆動装置
5 …画像形成装置
6 …作像転写部
11…ベルト
11m1,11m2…ベルトの従動ロールに接触する部分
11c…第一ベルト面(駆動ロールと従動ロールの間に形成されるベルト面の一例)
11d…第二ベルト面(従動ロールどうしの間に形成されるベルト面の一例)
12…駆動ロール
13…従動ロール(第一従動ロールの一例)
14…従動ロール(第二従動ロールの一例)
15,16…従動ロール
18…タイミングベルト
20A,20B…処理部(複数の上流処理部の一例)
20C…処理部(単数の下流処理部の一例)
20C,20D…処理部(複数の下流処理部の一例)
60A,60B…上流側の2つの像形成装置(複数の上流処理部の一例)
60C,60D…下流側の2つの像形成装置(複数の下流処理部の一例)
70…中間転写装置(ベルト駆動装置の一例)
+E1,+E2…最大の超過偏心部
-E1,-E2…最大の不足偏心部
J …回転方向
Rc1,Rc2…中央位置