(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058891
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ロック機構及びこれを用いた開閉装置並びに開閉型処理装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/16 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
G03G21/16 133
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166292
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 倫明
(72)【発明者】
【氏名】西出 秀一
(72)【発明者】
【氏名】篠遠 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】上島 章
(72)【発明者】
【氏名】田中 輝
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 隆大
(72)【発明者】
【氏名】中村 亘
【テーマコード(参考)】
2H171
【Fターム(参考)】
2H171FA03
2H171FA28
2H171GA06
2H171GA12
2H171GA13
2H171GA34
2H171HA02
2H171HA23
2H171HA24
2H171HA33
2H171HA37
2H171JA02
2H171JA03
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2H171JA08
2H171JA12
2H171KA02
2H171KA09
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2H171KA23
2H171KA25
2H171QA04
2H171QA08
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2H171QB02
2H171QB03
2H171QB15
2H171QB16
2H171QB32
2H171QB52
2H171QB55
2H171QC03
2H171QC22
2H171QC24
2H171QC36
2H171SA11
2H171SA14
2H171SA18
2H171SA19
2H171SA22
2H171SA26
2H171SA31
2H171UA03
(57)【要約】
【課題】装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定する。
【解決手段】装置筐体11及び可動手段12の一方にロック部品2、他方に被ロック部品3とを備え、被ロック部品3は、ロック部品2側に向かって突出する突出手段4と、突出手段4の一部に設けられる突き当て手段5と、を有し、ロック部品2は、保持手段7を介して回転可能に保持され、突き当て手段5に突き当てられて回転するロック手段6と、ロック手段6の回転挙動範囲の中間に位置する荷重変曲点を境に、荷重変曲点直後には突き当て手段5を引き込む方向にロック手段6の回転方向が切り替わるようにロック手段6に対して荷重を付勢する付勢手段8と、ロック手段6の回転挙動範囲において突き当て手段5を接触したまま移動可能に受け止める受止め手段9と、を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を有する装置筐体と、前記装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段との間に設けられ、前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに前記装置筐体に対して前記可動手段を固定し、前記可動手段を前記閉位置から開位置に移動させるときに前記可動手段の固定状態を解除するロック機構であって、
前記装置筐体及び前記可動手段のいずれか一方に設けられるロック部品と、いずれか他方に前記ロック部品に対向するように設けられる被ロック部品とを備え、
前記被ロック部品は、前記装置筐体及び前記可動手段のいずれか一方から他方に跨がって位置するように、前記ロック部品側に向かって突出する突出手段と、
前記突出手段の一部に設けられる突き当て手段と、を有し、
前記ロック部品は、
保持手段を介して回転可能に保持され、前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに前記突き当て手段に突き当てられて回転するロック手段と、
前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに、前記ロック手段の回転挙動範囲の中間に位置する荷重変曲点を境に、前記荷重変曲点直後には前記突き当て手段を引き込む方向に前記ロック手段の回転方向が切り替わるように前記ロック手段に対して荷重を付勢する付勢手段と、
前記ロック手段のうち前記突き当て手段が突き当たる箇所に設けられ、前記ロック手段の回転挙動範囲において前記突き当て手段を接触したまま移動可能に受け止める受止め手段と、
を有することを特徴とするロック機構。
【請求項2】
請求項1に記載のロック機構において、
前記ロック部品は前記装置筐体側に設けられていることを特徴とするロック機構。
【請求項3】
請求項1に記載のロック機構において、
前記保持手段は、前記ロック手段の回転軸が遊びを持って保持される軸受部を有することを特徴とするロック機構。
【請求項4】
請求項3に記載のロック機構において、
前記保持手段の軸受部は前記突出手段の突出方向に対し斜め上方向に傾斜する案内溝を有し、前記ロック手段の回転軸が前記案内溝に沿って移動することを特徴とするロック機構。
【請求項5】
請求項4に記載のロック機構において、
前記案内溝は、前記ロック手段の回転軸が挿抜可能になるように片側が開放された溝形状であることを特徴とするロック機構。
【請求項6】
請求項4に記載のロック機構において、
前記突出手段は予め決められた位置に固定的に配置されていることを特徴とするロック機構。
【請求項7】
請求項4に記載のロック機構において、
前記付勢手段は、前記ロック手段の回転挙動位置が前記荷重変曲点にあるとき、前記受止め手段から前記突き当て手段が受ける力が前記案内溝の方向に沿って働くように、前記ロック手段を付勢することを特徴とするロック機構。
【請求項8】
請求項1に記載のロック機構において、
前記ロック手段はロール状の回転体の一部に径方向に張り出すストッパ部を有し、前記保持手段の一部に前記ストッパ部を引っ掛けることで初期位置に保持されることを特徴とするロック機構。
【請求項9】
請求項1に記載のロック機構において、
前記受止め手段は、前記ロック手段の一部から径方向に突出するアーム部材を有し、前記アーム部材の先端側に前記突き当て手段が突き当たる断面U字状の凹所を有することを特徴とするロック機構。
【請求項10】
請求項9に記載のロック機構において、
前記受止め手段は間隔をおいて配置される一対のアーム部材を有するものであり、
前記突き当て手段は、突出手段の先端部両側に一対のピン部材を配置し、前記一対のアーム部材間の空間部に前記突出手段を突入させ、前記一対のアーム部材の凹所に前記ピン部材を引っ掛けるようにしたことを特徴とするロック機構。
【請求項11】
請求項1に記載のロック機構において、
前記保持手段は、前記ロック手段の回転軸が予め決められた位置に固定的に配置される軸受部を有することを特徴とするロック機構。
【請求項12】
請求項11に記載のロック機構において、
前記突出手段は揺動可能に設けられ、付勢手段にて予め決められた方向に常時付勢され、予め決められた初期位置に保持されることを特徴とするロック機構。
【請求項13】
開口部を有する装置筐体と、
前記装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段と、
前記装置筐体と前記可動手段との間に設けられる請求項1乃至12のいずれかに記載のロック機構と、
を備えたことを特徴とする開閉装置。
【請求項14】
請求項13に記載の開閉装置と、
前記開閉装置の前記装置筐体内に設けられ、予め決められた処理を実施する処理手段と、
を備えたことを特徴とする開閉型処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉可能な可動手段を固定、解除するロック機構及びこれを用いた開閉装置並びに開閉型処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種のロック機構としては、例えば特許文献1乃至3に記載のものが既に知られている。
特許文献1には、トグルレバーを、ロック部材の待機位置から中立点までは待機位置側に回転付勢し、中立点を過ぎるとロック位置側に回転付勢方向が切り替わるトグルバネ、を備えたロック機構において、トグルレバーが中立点を通過する前後で、係合部材の突起部と被ロック部を、トグルベースとトグルレバーとによって挟持して当接状態に保持する構成とした画像形成装置が開示されている。
特許文献2には、係合部材は、付勢部材から係合部材との係合位置へ向かうように移動させる付勢力を受けて移動する被係合部材から受ける力を弾性変形によって緩衝する被突当部を有し、被突当部は、被係合部材の移動方向に対して傾斜した一対の被突当面であって、移動方向に直交する方向に互いに対向し、対向間隔が、係合位置に向かう移動方向における上流側から下流側に向かって徐々に狭まるように構成された一対の被突当面を有し、被突当面で被係合部材から受ける力によって対向間隔が拡がるように弾性変形するロック機構が開示されている。
特許文献3には、ロック本体内を移動可能で、付勢手段により相手側ストライカとの係止位置と係止解除位置のいずれかを初期位置として保持され、初期位置において硬質の当接部がロック本体のストッパ部に当接する移動ラッチを有し、前記当接部と、該当接部から分離されたラッチ主体部との間に介装される弾性体により当接部のストッパ部への衝接時の衝突音を吸収するように構成する移動ラッチの消音構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-194674号公報(発明を実施するための形態,
図5)
【特許文献2】特開2017-156520号公報(発明を実施するための形態,
図1)
【特許文献3】特開2002-371733号公報(発明の実施の形態,
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段を備えた開閉装置において、装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定するロック機構及びこれを用いた開閉装置並びに開閉型処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、開口部を有する装置筐体と、前記装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段との間に設けられ、前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに前記装置筐体に対して前記可動手段を固定し、前記可動手段を前記閉位置から開位置に移動させるときに前記可動手段の固定状態を解除するロック機構であって、前記装置筐体及び前記可動手段のいずれか一方に設けられるロック部品と、いずれか他方に前記ロック部品に対向するように設けられる被ロック部品とを備え、前記被ロック部品は、前記装置筐体及び前記可動手段のいずれか一方から他方に跨がって位置するように、前記ロック部品側に向かって突出する突出手段と、前記突出手段の一部に設けられる突き当て手段と、を有し、前記ロック部品は、保持手段を介して回転可能に保持され、前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに前記突き当て手段に突き当てられて回転するロック手段と、前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに、前記ロック手段の回転挙動範囲の中間に位置する荷重変曲点を境に、前記荷重変曲点直後には前記突き当て手段を引き込む方向に前記ロック手段の回転方向が切り替わるように前記ロック手段に対して荷重を付勢する付勢手段と、前記ロック手段のうち前記突き当て手段が突き当たる箇所に設けられ、前記ロック手段の回転挙動範囲において前記突き当て手段を接触したまま移動可能に受け止める受止め手段と、を有することを特徴とするロック機構である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたロック機構において、前記ロック部品は前記装置筐体側に設けられていることを特徴とするロック機構である。
本発明の第3の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたロック機構において、前記保持手段は、前記ロック手段の回転軸が遊びを持って保持される軸受部を有することを特徴とするロック機構である。
本発明の第4の技術的特徴は、第3の技術的特徴を備えたロック機構において、前記保持手段の軸受部は前記突出手段の突出方向に対し斜め上方向に傾斜する案内溝を有し、前記ロック手段の回転軸が前記案内溝に沿って移動することを特徴とするロック機構である。
【0007】
本発明の第5の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えたロック機構において、前記案内溝は、前記ロック手段の回転軸が挿抜可能になるように片側が開放された溝形状であることを特徴とするロック機構である。
本発明の第6の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えたロック機構において、前記突出手段は予め決められた位置に固定的に配置されていることを特徴とするロック機構である。
本発明の第7の技術的特徴は、第4の技術的特徴を備えたロック機構において、前記付勢手段は、前記ロック手段の回転挙動位置が前記荷重変曲点にあるとき、前記受止め手段から前記突き当て手段が受ける力が前記案内溝の方向に沿って働くように、前記ロック手段を付勢することを特徴とするロック機構である。
【0008】
本発明の第8の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたロック機構において、前記ロック手段はロール状の回転体の一部に径方向に張り出すストッパ部を有し、前記保持手段の一部に前記ストッパ部を引っ掛けることで初期位置に保持されることを特徴とするロック機構である。
本発明の第9の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたロック機構において、前記受止め手段は、前記ロック手段の一部から径方向に突出するアーム部材を有し、前記アーム部材の先端側に前記突き当て手段が突き当たる断面U字状の凹所を有することを特徴とするロック機構である。
本発明の第10の技術的特徴は、第9の技術的特徴を備えたロック機構において、前記受止め手段は間隔をおいて配置される一対のアーム部材を有するものであり、前記突き当て手段は、突出手段の先端部両側に一対のピン部材を配置し、前記一対のアーム部材間の空間部に前記突出手段を突入させ、前記一対のアーム部材の凹所に前記ピン部材を引っ掛けるようにしたことを特徴とするロック機構である。
【0009】
本発明の第11の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えたロック機構において、前記保持手段は、前記ロック手段の回転軸が予め決められた位置に固定的に配置される軸受部を有することを特徴とするロック機構である。
本発明の第12の技術的特徴は、第11の技術的特徴を備えたロック機構において、前記突出手段は揺動可能に設けられ、付勢手段にて予め決められた方向に常時付勢され、予め決められた初期位置に保持されることを特徴とするロック機構である。
【0010】
本発明の第13の技術的特徴は、開口部を有する装置筐体と、前記装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段と、前記装置筐体と前記可動手段との間に設けられる第1乃至12の技術的特徴のいずれかを備えたロック機構と、を備えたことを特徴とする開閉装置である。
本発明の第14の技術的特徴は、第13の技術的特徴を備えた開閉装置と、前記開閉装置の前記装置筐体内に設けられ、予め決められた処理を実施する処理手段と、を備えたことを特徴とする開閉型処理装置である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1の技術的特徴によれば、装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段を備えた開閉装置において、装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定することができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、可動手段側にロック部品を組み込む場合に比べて、可動手段の大型化を抑えながら、ロック機構を構築することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、保持手段が遊びを持たない軸受部を有する場合に比べて、ロック手段の製品公差を吸収でき、保持手段に対するロック手段の組立性を良好に保つことができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、案内溝がない場合に比べて、突き当て手段による突き当て動作に伴ってロック手段を安定的に回転させることができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、片側が開放していない案内溝の場合に比べて、ロック部品の組立を容易に行うことができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、ロック手段の回転軸の位置を固定する場合に比べて、被ロック部品の構成を簡略化することができる。
本発明の第7の技術的特徴によれば、付勢手段の付勢方向を工夫することで、ロック手段が荷重変曲点を通過するときに、突き当て手段と受止め手段との接触状態を容易に維持することができる。
本発明の第8の技術的特徴によれば、ストッパ部を用いない場合に比べて、ロック手段の回転挙動位置を初期位置に容易に位置決めすることができる。
本発明の第9の技術的特徴によれば、突き当て手段が突き当たる受止め手段を簡単に構築することができる。
本発明の第10の技術的特徴によれば、ロック部品の受止め手段に対し、被ロック部品の突き当て手段、突出手段を干渉することなく、容易に構築することができる。
本発明の第11の技術的特徴によれば、案内溝に沿ってロック手段を移動させる方式に比べて、ロック部品の構成を簡略化することができる。
本発明の第12の技術的特徴によれば、ロック手段の回転軸位置を固定的に配置したロック部品に対し、被ロック部品を適切に構築することができる。
本発明の第13の技術的特徴によれば、装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段を備えた開閉装置において、装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定することが可能なロック機構を含む開閉装置を構築することができる。
本発明の第14の技術的特徴によれば、装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段を備えた開閉装置において、装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定することが可能なロック機構を含む開閉装置を用いた開閉型処理装置を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】(a)は本発明が適用されたロック機構を用いた開閉装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は(a)で用いられるロック機構を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る開閉型処理装置としての画像形成装置の外観を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1に係る画像形成装置の開閉扉を開放したときの外観を示す説明図である。
【
図4】実施の形態1に係る画像形成装置の全体構成を示す説明図である。
【
図5】実施の形態1に係る開閉装置のロック機構のロック部品及び被ロック部品の相対位置関係を示す説明図である。
【
図6】(a)は開閉扉を閉じる際に、ロック機構のロック部品及び被ロック部品が係わり合う直前の状態を示す説明図、(b)は開閉扉の閉動作が完了したときのロック機構の状態を示す説明図である。
【
図7】実施の形態1に係るロック機構の詳細を示す説明図である。
【
図9】(a)(b)は実施の形態1に係るロック機構の閉動作過程のステップ1,2を示す説明図である。
【
図10】(a)(b)は実施の形態1に係るロック機構の閉動作過程のステップ3,4を示す説明図である。
【
図11】(a)(b)は実施の形態1に係るロック機構の閉動作過程のステップ5,6を示す説明図である。
【
図12】実施の形態1において、ロック部品の各機能部の選定位置を示す説明図である。
【
図13】(a)はロック部材の回転位置が荷重変曲点直前に位置する場合における突き当てピンと受止め凹部との位置関係を示す説明図、(b)はロック部材の回転位置が荷重変曲点に位置する場合における突き当てピンと受止め凹部との位置関係を示す説明図、(c)はロック部材の回転位置が荷重変曲点直後に位置する場合における突き当てピンと受止め凹部との位置関係を示す説明図である。
【
図14】(a)は本実施の形態に係るロック機構の案内溝の傾斜角度θをθ2(<θ1)に変更した変形の形態1の挙動過程のステップ1を示す説明図、(b)は本実施の形態に係るロック機構の案内溝の傾斜角度θをθ3(>θ1)に変更した場合の変形の形態2の挙動過程のステップ1を示す説明図である。
【
図15】(a)は変形の形態1の挙動過程のステップ2を示す説明図、(b)は変形の形態2の挙動過程のステップ2を示す説明図である。
【
図16】(a)は変形の形態1の挙動過程のステップ3を示す説明図、(b)は変形の形態2の挙動過程のステップ3を示す説明図である。
【
図17】(a)は変形の形態1の挙動過程のステップ4を示す説明図、(b)は変形の形態2の挙動過程のステップ4を示す説明図である。
【
図18】実施の形態2に係るロック機構の詳細を示す説明図である。
【
図20】実施の形態2に係るロック機構の閉動作過程のステップ1を示す説明図である。
【
図21】実施の形態2に係るロック機構の閉動作過程のステップ2を示す説明図である。
【
図22】実施の形態2に係るロック機構の閉動作過程のステップ3を示す説明図である。
【
図23】実施の形態2に係るロック機構の閉動作過程のステップ4を示す説明図である。
【
図24】(a)は実施の形態3に係る開閉装置のロック機構のロック部品の設置場所を示す説明図、(b)は同ロック機構の被ロック部品の設置場所を示す説明図である。
【
図25】実施の形態3に係るロック機構の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用されたロック機構を用いた開閉装置の実施の形態の概要を示す。
同図において、開閉装置10は、開口部11aを有する装置筐体11と、装置筐体11の開口部11aに対して開閉可能に移動する可動手段12(本例では開閉扉が相当)と、装置筐体11と可動手段12との間に設けられるロック機構1と、を備えたものである。
尚、この種の開閉装置10を利用し、開閉装置10の装置筐体11内に予め決められた処理を実施する図示外の処理手段13を組み込むようにすれば、開閉型処理装置を構築することが可能である。
本例において、ロック機構1は、装置筐体11の閉位置に可動手段12を移動させたときに装置筐体11に対して可動手段12を固定し、可動手段12を閉位置から開位置に移動させるときに可動手段12の固定状態を解除するものであって、装置筐体11及び可動手段12のいずれか一方に設けられるロック部品2と、いずれか他方にロック部品2に対向するように設けられる被ロック部品3とを備え、被ロック部品3は、装置筐体11及び可動手段12のいずれか一方から他方に跨がって位置するように、ロック部品2側に向かって突出する突出手段4と、突出手段4の一部に設けられる突き当て手段5と、を有し、ロック部品2は、保持手段7を介して回転可能に保持され、装置筐体11の閉位置に可動手段12を移動させたときに突き当て手段5に突き当てられて回転するロック手段6と、装置筐体11の閉位置に可動手段12を移動させたときに、ロック手段6の回転挙動範囲の中間に位置する荷重変曲点を境に、荷重変曲点直後には突き当て手段5を引き込む方向にロック手段6の回転方向が切り替わるようにロック手段6に対して荷重を付勢する付勢手段8と、ロック手段6のうち突き当て手段5が突き当たる箇所に設けられ、ロック手段6の回転挙動範囲において突き当て手段5を接触したまま移動可能に受け止める受止め手段9と、を有するものである。
【0014】
このような技術的手段において、開閉装置10としては、装置筐体11の開口部11aに対して開閉扉や引出型のカセット等の開閉可能な可動手段12を備えたものを広く含む。
また、ロック機構1は、装置筐体11側、可動手段12側のいずれか一方にロック部品2、他方に被ロック部品3を備えるものであればよい。
ここで、被ロック部品3は、突出手段4及び突き当て手段5を備えていればよい。本例において、突出手段4は、可動手段12を閉位置に移動させるときにロック部品2側に突出するものであればよく、装置筐体11及び可動手段12のいずれか一方から他方に跨がって位置するように配置されるものであればよい。また、突き当て手段5はロック部品2の一要素である受止め手段9に対して突き当たる機能を具備するものであれば形状は問わない。
【0015】
また、ロック部品2については、ロック手段6、保持手段7、付勢手段8及び受止め手段9を備えていればよい。
ここで、ロック手段6は、基本的に以下の要件を備えていればよく、形状等は問わない。
第1に、保持手段7を介して回転可能に保持されていること。
第2に、装置筐体11の閉位置に可動手段12を移動させたときに突き当て手段5に突き当てられて回転すること。
更に、付勢手段8は、ロック手段6に対して荷重を付勢するものであるが、途中でロック手段6の回転方向を切り替えるように荷重の付勢方向が切り替わる構成(例えばレイアウトの工夫)を必要とする。具体的には、可動手段12を閉位置に移動させるとき、ロック手段6の回転挙動範囲の中間に位置する荷重変曲点を境に、荷重変曲点直前までは突き当て手段5側に押し付ける方向にロック手段6を回転させ、荷重変曲点直後には突き当て手段5を引き込む方向にロック手段6の回転方向を切り替わるようにすればよい。
また、受止め手段9としては、以下の要件を備えていれば適宜選定して差し支えない。
第1に、ロック手段6のうち突き当て手段5が突き当たる箇所に設けられていること。
第2に、ロック手段6の回転挙動範囲において突き当て手段5を接触したまま移動可能に受け止めること。
ここで、第2の要件は、例えば受止め手段9が突き当て手段5と一次的に非接触な状態になると、再度接触するときに衝突に伴う異音が発生することを回避するものである。
【0016】
次に、本実施の形態に係るロック機構の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
先ず、ロック部品2としては、被ロック部品3に比べて、構成する要素数が多いため、設置スペースを確保し易いという観点から、装置筐体11側に設けられている態様が好ましい。
また、保持手段7の代表的態様としては、ロック手段6の回転軸が遊びを持って保持される軸受部7aを有する態様が挙げられる。本例は、ロック手段6の寸法公差を吸収する上で好ましい。
特に、本例では、保持手段7の軸受部7aは突出手段4の突出方向に対し斜め上方向に傾斜する案内溝7bを有し、ロック手段6の回転軸が案内溝7bに沿って移動する態様が好ましい。本例は、突き当て手段5の突き当てに伴ってロック手段6は回転軸を案内溝7bに沿って逃がしながら回転するので、案内溝7bがない場合に比べて、ロック手段6の回転動作に無理な負荷が作用しない。
【0017】
また、保持手段7に案内溝7bを有する態様にあっては、以下のように構成することが容易である。
第1には、案内溝7bは、ロック手段6の回転軸が挿抜可能になるように片側が開放された溝形状である態様にすることが好ましい。この場合、保持手段7の軸受部7aにロック手段6の回転軸を取付けるに当たって、片側開放の案内溝7bを利用することで、ロック手段6の取付作業が容易に行われる。但し、案内溝7bの長さについては、突き当て手段5による突き当てに伴うロック手段6の回転軸の逃げ量を考慮し、逃げ量よりも長く選定するようにすることが必要である。
第2に、被ロック部品3の突出手段4は予め決められた位置に固定的に配置されている態様にすることが可能である。その分、被ロック部品3の構成を簡略化するという観点で有効である。
第3に、付勢手段8は、ロック手段6の回転挙動位置が荷重変曲点にあるとき、受止め手段9から突き当て手段5が受ける力が案内溝7bの方向に沿って働くように、ロック手段6を付勢するようにすればよい。このようにすれば、ロック手段6が荷重変曲点に位置するとき、受止め手段9と突き当て手段5との接触状態が良好に保たれる点で好ましい。
【0018】
また、ロック手段6の好ましい態様としては、ロール状の回転体の一部に径方向に張り出すストッパ部6aを有し、保持手段7の一部にストッパ部6aを引っ掛けることで初期位置に保持される態様が挙げられる。本例は、ロック手段6を初期位置に簡単に保持する上で有効である。
更に、受止め手段9の代表的態様としては、ロック手段6の一部から径方向に突出するアーム部材9aを有し、アーム部材9aの先端側に突き当て手段5が突き当たる断面U字状の凹所9bを有する態様が挙げられる。
本例において、受止め手段9の好ましい態様としては、間隔をおいて配置される一対のアーム部材9aを有するものであり、突き当て手段5は、突出手段4の先端部両側に一対のピン部材5aを配置し、一対のアーム部材9a間の空間部に突出手段4を突入させ、一対のアーム部材9aの凹所9bにピン部材5aを引っ掛けるようにする態様が挙げられる。本例は、ロック手段6の回転軸の両側にて受止め手段9と突き当て手段5との突き当て動作を行うようにしたため、受止め手段9と突き当て手段5との突き当て動作が二重に実施されることになり、その分、ロック手段6による荷重変曲点前後の挙動が安定することになり、ロック手段6の誤操作防止の観点から好ましい。
【0019】
また、ロック機構1の別の代表的態様としては、保持手段7はロック手段6の回転軸が予め決められた位置に固定的に配置される軸受部7aを有する態様が挙げられる。本例は、保持手段7に案内溝7bを具備しない構造にすることが可能であるが、その代わりに、被ロック部品3の突出手段4は揺動可能に設けられ、図示外の付勢手段にて予め決められた方向に常時付勢され、予め決められた初期位置に保持されることが必要である。
【0020】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る開閉型処理装置としての画像形成装置の全体構成を示す外観斜視図、
図3は画像形成装置の開閉扉を開放した状態を示す外観斜視図である。
-画像形成装置の概要-
同図において、画像形成装置20は、開口部21aを有する装置筐体21と、装置筐体21の開口部21aを開閉する可動手段としての開閉扉25と、装置筐体21内に搭載される処理手段としての作像エンジン30(
図4参照)と、を備えている。
そして、本例では、
図3に示すように、装置筐体21と開閉扉25との間には、開閉扉25を閉位置にて固定し、開閉扉25を開放するときには固定状態を解除するロック機構100が設けられている。
尚、本例では、開口部21aを有する装置筐体21と、開閉扉25とで開閉装置(
図1に示す開閉装置10に相当)が構成されている。
【0021】
-画像形成装置の全体構成-
<作像エンジン>
本実施の形態において、作像エンジン30としては、例えば
図4に示すように、装置筐体21内に搭載され、用紙等の媒体に画像を形成するものであり、複数の色成分画像を形成する複数(本例では四つ)の画像形成部31(本例では31a~31d)と、各画像形成部31の色成分画像を一次的に転写して搬送する例えばベルト状の中間転写体40と、中間転写体40上の一次転写画像を媒体に一括転写する転写装置60と、媒体上に転写された画像を定着する定着装置70と、を備えたものが採用されているが、これに限られないことは勿論である。
【0022】
<画像形成部>
本例において、画像形成部31は、例えば四色(本例では、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K))の色成分画像を形成するものが略水平方向に姿勢並設されている。そして、各画像形成部31(具体的には31a~31d)の基本的構成は、例えば電子写真方式を採用したもので、ドラム状の感光体32と、感光体32を帯電する帯電器33と、帯電器33で帯電された感光体32に静電潜像を形成する静電潜像を書き込む潜像書込器34と、潜像書込器34によって形成された静電潜像を粉体としてのトナー(本例ではトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を使用)を用いて現像する現像器35と、感光体32上に形成されたトナー画像が中間転写体40に一次転写された後に感光体32上の残留物(主として残留トナー)を清掃する清掃器36と、を備えている。
【0023】
本例では、帯電器33としては、感光体32を接触帯電する帯電ロールや、感光体32を非接触帯電するコロトロン、スコロトロン等が用いられる。
また、本例では、潜像書込器34としては各感光体32に対して例えばLEDアレイにて別々に書き込むようにしたものが用いられるが、これに限られるものではなく、各感光体32に対して各色成分の静電潜像を対応するレーザ光で書き込む共用のレーザ走査器を設けるようにしてもよいし、レーザ走査器を夫々別々に設けるようにしてもよい。
更に、現像器35としては、例えばトナー及びキャリアを含む二成分現像剤を使用し、現像容器内に現像ロールを配設すると共に、現像容器内には現像剤を撹拌混合しながら帯電する例えば複数の撹拌搬送部材を配設するものが用いられるが、これに限られるものではなく、適宜選定して差し支えない。
更にまた、清掃器36としては、感光体32上に残留するトナーを掻き取る清掃ブレード、清掃ブラシ、清掃ロール等の清掃部材が適宜選定して用いられる。
尚、符号37(具体的には37a~37d)は各画像形成部31(31a~31d)の各現像器35に対して各色成分トナーを補給するトナーカートリッジである。
【0024】
<中間転写体>
また、中間転写体40は、複数の画像形成部31(31a~31d)の配列方向に沿って上方側に設けられており、複数(本例では四つ)の張架ロール41~44に掛け渡されている。本例では、張架ロール41は例えば駆動ロールとして用いられ、張架ロール42は転写装置60(本例では転写ロール61を使用)の対向ロールとして用いられ、更に、張架ロール43はベルト状の中間転写体40に張力を付与するテンションロールとして用いられている。
また、各画像形成部31(31a~31d)の感光体32に対向する中間転写体40の裏面には一次転写器46(本例では一次転写ロールを使用)が設けられ、一次転写器46に一次転写バイアスが印加され、感光体32上の画像を中間転写体40側に転写させるようになっている。
更に、中間転写体40の張架ロール41に架け渡された箇所には中間転写体用の清掃器47が設けられている。
【0025】
<転写装置>
本実施の形態において、転写装置60の基本的構成は、中間転写体40の張架ロール42に対向して転写ロール61を設置し、例えば転写ロール61を接地すると共に張架ロール42には図示外の転写電源からの転写電圧を印加し、中間転写体40と転写ロール61との間の転写域に転写電界を形成することで、転写域を通過する用紙に中間転写体40上の画像を一括転写するようにしたものである。
<定着装置>
また、本実施の形態において、定着装置70は、加熱源としてのヒータにより表面温度が予め決められた温度に加熱される回転可能な加熱定着部材(本例では加熱定着ロールを使用)71と、加熱定着部材71の軸方向に沿って所定の接触圧で接触転動する加圧定着部材(本例では加圧定着ロールを使用)72とを備え、両定着部材71,72の接触域に未定着画像が保持された媒体を通過させることで未定着画像を定着するようにしたものである。
【0026】
<媒体搬送系>
本例では、装置筐体21の下部に媒体供給装置50(本例では一つの媒体供給部)が設けられている。尚、媒体供給部の数、レイアウト等については適宜設計変更して差し支えなく、必要に応じて、手差し型の媒体供給部を付加するようにしてもよい。
そして、本例では、
図4に示すように、装置筐体21内の図中右側には略鉛直方向に延びる媒体搬送路51が設けられ、媒体供給装置50から供給された媒体は、搬送ロール52にて搬送され、中間転写体40と転写装置60との転写域の手前に設けられた位置合わせロール53にて位置合わせされた後に転写域に搬送され、中間転写体40上の画像の転写処理を受けた後、定着装置70の転写域を通過することで画像の定着処理を受ける。そして、定着装置70による定着処理を経た媒体は排出ロール55を介して装置筐体21の空洞部に形成された媒体排出受け56に収容される。
更に、媒体排出受け56についても媒体の排出位置に応じて適宜設計変更して差し支えなく、媒体搬送系についても、本例では媒体の片面に画像を形成する搬送方式が採用されているが、例えば両面搬送モジュールを付加することで媒体の両面に画像を形成するようにしてもよい。
【0027】
-ロック機構の基本構成例-
本例において、開閉扉25は、
図2及び
図3に示すように、装置筐体21の開口部21aの下縁部にヒンジ26を介して揺動可能に設けられ、装置筐体21の開口部21aに対して略水平の姿勢で突出する開放位置と、開口部21aを閉じる閉鎖位置との間で開閉可能に揺動するようになっている。
また、本例では、装置筐体21の開口部21aの上部には、装置筐体21の一部を構成するフロント上部フレーム110が設けられ、このフロント上部フレーム110には、側方部112を除いて
図4に示すトナーカートリッジ37(37a~37d)の挿入口111が設けられている。
【0028】
そして、本例では、ロック機構100は、
図3に示すように、開閉扉25に対向する装置筐体21側にロック部品101を備え、開閉扉25側にロック部品101と係わってロックされる被ロック部品102とを備えている。
本例では、装置筐体21のフロント上部フレーム110の側方部112の裏側にロック部品101が設置され、一方、このロック部品101に対向する開閉扉25の内側に被ロック部品102が設置されている。
更に、本例では、フロント上部フレーム110の側方部112には、被ロック部品102がロック部品101に向かって進入可能な受入口113が形成されている。
ここで、受入口113は略T状の開口形状に形成されており、縦方向スリット114の上部に横方向スリット115を有している。
【0029】
-被ロック部品の構成例-
本例において、被ロック部品102は、
図3、
図5乃至
図7に示すように、開閉扉25の内側に金属製の平板状のベース部材121を固着し、このベース部材121に対して略直角方向に突出する突出手段としての平板状の突出部材122を固着すると共に、この突出部材122の先端部には
図1の突き当て手段5のピン部材5aに相当する突き当てピン125を設けるようにしたものである。
本例では、突出部材122は、ベース部材121に固着される側が幅広の矩形状部として形成される突出基部123と、この突出基部123から先端側に向かって斜め方向に傾斜し、かつ、次第に幅狭に窄まるように形成される突起状部124とを有している。そして、突起状部124の先端部には断面円柱状の突き当てピン125の略中央部が固着され、突き当てピン125が突出部材122の先端部両側に一対張り出すように配置されている。
このように構成される被ロック部品102は、
図5に示すように、開閉扉25を閉じるときに、装置筐体21側に形成された受入口113に向けて移動していき、
図6(a)(b)に示すように、突出部材122が受入口113の縦方向スリット114を通過し、突き当てピン125が横方向スリット115を通過して、受入口113内に挿入され、装置筐体21側に設置されたロック部品101に係わり、開閉扉25の閉動作が完了した時点で開閉扉25を固定する。
【0030】
-ロック部品の構成例-
本例において、ロック部品101は、
図7及び
図8に示すように、開閉扉25を閉じるときに、被ロック部品102の突き当てピン125に突き当てられて回転するロック手段としてのロック回転部材130と、このロック回転部材130を回転可能に保持する保持手段としてのホルダ筐体140と、開閉扉25を閉じるときに、ロック回転部材130の回転挙動範囲の中間に位置する荷重変曲点を境に、ロック回転部材130の回転方向を予め決められた方向に切り替えるように、ロック回転部材130に対し荷重を付勢する付勢手段としての付勢バネ150と、ロック回転部材130のうち突き当てピン125が突き当たる箇所に設けられ、ロック回転部材130の回転挙動範囲において突き当てピン125を接触したまま移動可能に受け止める受止め手段としての受止め部材160と、を備えている。
【0031】
<ロック回転部材>
ロック回転部材130は、例えば合成樹脂によって一体的に構成されるものであって、両端に回転軸132を有する円柱状のロール本体131を有し、このロール本体131の周面の一部には略扇形状に径方向外方に張り出す突部133を形成するものである。
更に、ロール本体131の回転軸132の一端には付勢バネ150の一端を引っ掛けるための引っ掛けアーム134が設けられ、また、ロール本体131の周面の一部には受止め部材160が一体的に形成されている。
【0032】
<ホルダ筐体>
ホルダ筐体140は、例えば合成樹脂によって一体的に構成されるものであって、ロック回転部材130のロール本体131の軸方向寸法よりも少し離れた距離だけ離れて配置される一対のホルダ側板141を有し、この一対のホルダ側板141には、被ロック部品102の進入方向Eに沿って斜め上方に傾斜した案内溝142を形成するものである。
本例において、案内溝142は、水平基準線に対してθだけ斜め上方に傾斜して配置されており、一対のホルダ側板141の上端において片側が開放されると共に、下端側の終端をロール本体131の回転軸132が回転可能に保持される軸受部143として形成されている。
ここで、案内溝142及び軸受部143の径寸法dはロック回転部材130の回転軸132よりも遊びをもって選定されており、回転軸132の寸法公差を吸収することを可能にしている。また、案内溝142の傾斜角度θについては適宜選定して差し支えないが、例えば30°~60°の範囲(本例ではθ=45°を使用)で適宜選定されている。
【0033】
<付勢バネ>
本例において、ロック回転部材130の引っ掛けアーム134は、回転軸132から径方向に延びるアーム部材135の先端側に引っ掛け用ピン136を回転軸132と平行に突出して配置したものである。
一方、ホルダ筐体140の一部であるホルダ側板141の外表面には引っ掛け用ピン145が外方に張り出すように設けられている。
本例では、付勢バネ150は、
図7及び
図8に示すように、例えばコイルスプリングにて構成されており、その両端に引っ掛け部151を有している。このため、付勢バネ150は、ロック回転部材130の引っ掛けアーム134の引っ掛け用ピン136と、ホルダ筐体140側の引っ掛け用ピン145との間に引張した状態で掛け渡されている。
【0034】
本例において、付勢バネ150は、ロック回転部材130の回転挙動に伴って引っ掛けアーム134が回転し、例えば
図12に示すように、引っ掛けアーム134の先端に位置する引っ掛け用ピン136とホルダ筐体140側の引っ掛け用ピン145との中心間を結ぶ基準線Jがロック回転部材130の回転軸132の中心を通過するときに、付勢バネ150の付勢力が最大となり、このときのロック回転部材130の回転位置が荷重変曲点として働くものである。
このため、本例では、ロック回転部材130が荷重変曲点の位置に到達するとき、付勢バネ150はロック回転部材130に対して回転力を与えず、ロック回転部材130の回転軸132をホルダ筐体140の軸受部143に押し付ける。
しかしながら、ロック回転部材130が荷重変曲点に至る前にあっては、付勢バネ150は、ロック回転部材130を
図12中反時計回り方向に向けて回転させる付勢力を付与し、逆に、ロック回転部材130が荷重変曲点の位置を過ぎると、ロック回転部材130を
図12中時計回り方向に向けて回転させる付勢力を付与するようになっている。
【0035】
<受止め部材>
本例において、受止め部材160は、
図7及び
図8に示すように、ロック回転部材130のロール本体131の周面の一部から径方向に突出して間隔をおいて配置される一対のアーム部材161を有し、各アーム部材161の先端側に被ロック部品102の一対の突き当てピン125が突き当たる断面U字状の凹所165を有するものである。
特に、本例では、受止め部材160は、一対のアーム部材161間に空間部162を有しており、この空間部162に被ロック部品102の突出部材122を突入させ、一対のアーム部材161の凹所165に一対の突き当てピン125を受け止めるようになっている。
【0036】
<付勢バネ、受止め部材のレイアウトの検討>
本例において、ロック回転部材130は、
図7及び
図8に示すように、受止め部材160(具体的にはアーム部材161の凹所165)に被ロック部品102の突き当てピン125が突き当たると、ロック回転部材130は、案内溝142に沿って斜め上方に逃げながら回転させられる。このとき、ロック回転部材130には付勢バネ150による付勢力が作用するが、荷重変曲点前後において、受止め部材160と被ロック部品102の突き当てピン125とが接触状態を維持するには、以下の要件が必要である。
つまり、ロック回転部材130は、被ロック部品102の突き当てピン125による突き当て動作により案内溝142に沿って押し上げられる。これに対し、受止め部材160と突き当てピン125との接触状態を維持するには、
図12に示すように、付勢バネ150による付勢力により、ロック回転部材130が案内溝142の斜め下方に向かう力Fを受けることが必要である。荷重変曲点前後において、ロック回転部材130に力Fが作用するようにするには、
図12に示すように、案内溝142の傾斜方向に沿う第1の基準線L1に直交する第2の基準線L2を太い点線で示すと、ロック回転部材130が荷重変曲点に位置するときの付勢バネ150の基準線J(付勢バネ150の両端引っ掛け用ピン136,145及びロック回転部材130の回転軸中心を結ぶ線に相当)が第2の基準線L2の右下領域から左上領域に交差する位置関係になるように選定されればよい。
このとき、受止め部材160は、第2の基準線L2よりも右領域に形成されていればよい。この場合、ロック回転部材130に案内溝142の斜め下方に向かう力が作用することから、受止め部材160と突き当てピン125との接触状態は良好に維持される。
【0037】
-ロック機構の動作過程-
次に、本実施の形態に係るロック機構の動作過程について説明する。
今、
図5及び
図6(a)(b)に示すように、開閉扉25を閉じる場合には、
図9(a)に示すように、被ロック部品102が装置筐体21側の受入口113からロック部品101側に進入する。このとき、ロック回転部材130の突部133はホルダ筐体140を構成するホルダ側板141の一部に引っ掛けられ、ロック回転部材130は予め決められた初期位置に配置されている。
この後、被ロック部品102が更にロック部品101側に進入していくと、
図9(b)に示すように、被ロック部品102の突き当てピン125が受止め部材160の凹所165に受け止められる。
このとき、被ロック部品102の突き当てピン125が受止め部材160を押し込むと、ロック回転部材130は、案内溝142に沿って斜め上方に逃げなから付勢バネ150の付勢力に抗してロック回転部材130を回転させる。この段階では、受止め部材160の凹所165には突き当てピン125が開閉扉25を閉じる操作力で押し付けられている。また、付勢バネ150の付勢力により、ロック回転部材130は反時計回り方向に回転しようとするが、突き当てピン125で押さえ込まれているため、受止め部材160の凹所165と被ロック部品102の突き当てピン125との接触状態は維持される。
【0038】
<荷重変曲点直前での挙動>
次いで、被ロック部品102が更に受止め部材160を介してロック回転部材130を押し込むと、
図10(a)に示すように、ロック回転部材130は案内溝142に沿って逃げながら回転させられる。この結果、ロック回転部材130は荷重変曲点直前の位置に至る。
このとき、受止め部材160の凹所165内では、
図13(a)に示すように、突き当てピン125は開閉扉25の閉鎖操作力により凹所165に押し付けられ、また、ロック回転部材130は付勢バネ150による付勢力を受け、ロック回転部材130には案内溝142の斜め下方に向かう力F(
図12参照)が作用する。このため、受止め部材160の凹所165と被ロック部品102の突き当てピン125との接触状態は維持される。
【0039】
<荷重変曲点での挙動>
更に、
図10(b)に示すように、ロック回転部材130が荷重変曲点の位置に至ると、付勢バネ150の付勢力はロック回転部材130の回転方向には作用しないが、ロック回転部材130の回転軸132を基準線J(
図12参照)の方向から押圧し、その押圧力のうち案内溝142に沿う斜め下方に向かう成分の力Fがロック回転部材130に作用する。
このため、
図13(b)に示すように、受止め部材160の凹所165では、突き当てピン125が開閉扉25の閉鎖操作力により凹所165に押圧され、また、受止め部材160が案内溝142に沿う斜め下方の力Fを受けるため、受止め部材160の凹所165と被ロック部品102の突き当てピン125との接触状態は維持される。
【0040】
<荷重変曲点直後での挙動>
更にまた、
図11(a)に示すように、ロック回転部材130が荷重変曲点直後の位置に至ると、受止め部材160の凹所165内では、
図13(c)に示すように、突き当てピン125は開閉扉25の閉鎖操作力により凹所165に押し付けられ、また、荷重変曲点直後では、付勢バネ150は、ロック回転部材130に対して回転方向を切り替えるように荷重を付勢するため、ロック回転部材130には案内溝142の斜め下方に向かう力F(
図12参照)が作用するほか、ロック回転部材130の回転に伴って受止め部材160の凹所165が突き当てピン125を引き込むように作用する。このため、受止め部材160の凹所165と被ロック部品102の突き当てピン125との接触状態は維持される。
【0041】
しかる後、付勢バネ150は、ロック回転部材130に対して時計回り方向に回転力を与えるように荷重を付勢するため、
図11(b)に示すように、ロック回転部材130の回転に伴って受止め部材160の凹所165により被ロック部品102の突き当てピン125が更に引き込まれる。このように、ロック回転部材130が荷重変曲点の位置を超えると、付勢バネ150による付勢力が荷重変曲点を境にロック回転部材130の回転方向が切り替わるように変化し、ロック回転部材130の時計回り方向の回転に伴って、開閉扉25の閉位置に至るまで、受止め部材160によって被ロック部品102の突き当てピン125を引き込む。
この間、受止め部材160と突き当てピン125との接触状態は良好に維持されるため、ロック部品101と被ロック部品102との間の固定動作に伴って異音が発生するという懸念はない。
【0042】
-案内溝の傾斜角度についての検証-
本実施の形態に係るロック機構100は、ロック部品101のホルダ筐体140に案内溝142を備えた態様であるが、案内溝142の水平基準線に対する傾斜角度θについて検証した。
今、案内溝142の傾斜角度θとして、θ1を45°、θ2を30°、θ3を60°とし、実施の形態1に係るロック機構100(θ=θ1)とは別に、変形の形態1-1に係るロック機構100(θ=θ2)、変形の形態1-2に係るロック機構100(θ=θ3)を構築し、変形の形態1-1、変形の形態1-2に係るロック機構100の動作過程を調べた。
【0043】
図14(a)は変形の形態1-1に係るロック機構を示し、
図15(a)、
図16(a)、
図17(a)は変形の形態1-1に係るロック機構の被ロック部品102を徐々に押し込んだ際の動作過程を示す。
また、
図14(b)は変形の形態1-2に係るロック機構を示し、
図15(b)、
図16(b)、
図17(b)は変形の形態1-2に係るロック機構の被ロック部品102を徐々に押し込んだ際の動作過程を示す。
図14乃至
図17中、h1、h2、h3、h4は被ロック部品102のうち受入口113から外部に食み出した量を示すもので、h1>h2>h3>h4である。
【0044】
変形の形態1-1に係るロック機構によれば、案内溝142の傾斜角度θがθ2(<θ1)の態様であるが、変形の形態1-2に係るロック機構(θ=θ3>θ1)に比べて、ロック回転部材130が荷重変曲点に至るまでに必要な被ロック部品102の押し込み量が大きいことが理解される。このため、変形の形態1-1に係るロック機構を採用する場合には、被ロック部品102の突出部材122の長さ寸法を長くする必要がある。
また、変形の形態1-2に係るロック機構によれば、変形の形態1-1に係るロック機構に比べて、被ロック部品102の突き当てピン125と受止め部材160の凹所165との接触部の面圧が大きい。このため、案内溝142の傾斜角度θが大きい態様(変形の形態1-2に係るロック機構)の方が突き当てピン125と受止め部材160との間の接触状態を維持し易いことが理解される。
但し、突き当てピン125と受止め部材160との間の接触部の面圧が高いということは、その分、接触抵抗が嵩むことになるため、開閉扉25の閉鎖操作力を多く必要とすることにつながる。よって、案内溝142の傾斜角度θについては大きく設定すればよいというものではなく、30°~60°の範囲で適宜選定することが好ましいことが理解される。
【0045】
◎実施の形態2
図18は実施の形態2に係るロック機構の詳細を示す斜視図、
図19は
図18中XIX方向から見た矢視図である。
同図において、ロック機構100の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、ロック部品101と被ロック部品102とを備えているが、ロック部品101のホルダ筐体140及び被ロック部品102の構成が実施の形態1と異なるものである。尚、実施の形態1と同様な構成要素については同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、ロック部品101のホルダ筐体140は、一対のホルダ側板141を有するが、一対のホルダ側板141には、実施の形態1に係る案内溝142を用いることなく、ロック回転部材130の回転軸132が予め決められた位置に固定的に配置される軸受部143を備えたものである。ここでいう軸受部143も、ロック回転部材130の回転軸132の寸法公差を考慮し、ロック回転部材130の回転軸132を遊びをもって回転可能に保持することが好ましい。
【0046】
また、被ロック部品102は、開閉扉25の内側に支持ブラケット171を介して突出手段としての突出部材172の基部を揺動軸173周りに揺動可能に支持し、突出部材172の先端には突き当て手段としての突き当てピン175を設けたものである。
そして、本例では、突出部材172の揺動軸173には付勢手段としての付勢バネ176が巻装されており、この付勢バネ176は突出部材172を予め決められた方向に付勢するようになっている。また、支持ブラケット171の一部にはストッパ片177が設けられ、付勢バネ176によって付勢された突出部材172がストッパ片177によって予め決められた初期位置に位置規制されている。
【0047】
次に、本実施の形態に係るロック機構の動作過程について説明する。
開閉扉25を閉じる場合には、
図19に示すように、被ロック部品102が装置筐体21側の受入口113からロック部品101側に進入する。このとき、被ロック部品102の突出部材172は揺動可能ではあるが、予め決められた初期位置に保持されている。
この状態において、被ロック部品102の突き当てピン175が受止め部材160の凹所165に突き当たる。
この後、被ロック部品102の突出部材172が更に押し込まれると、
図20に示すように、被ロック部品102の突き当てピン175が受止め部材160の凹所165の奥側に突き当たり、開閉扉25の閉鎖操作力F1によって受止め部材160をロック回転部材130の回転軸132を中心として時計回り方向に回転させる。このとき、突出部材172は付勢バネ176の付勢力に抗して揺動軸173を中心に初期位置から少し下方に変位した状態に保たれ、突き当てピン175は付勢バネ176の付勢力F2によって受止め部材160の凹所165に接触した状態に配置されている。
この状態は、
図21に示すように、ロック回転部材130が荷重変曲点直前に至るまで継続する。
【0048】
<荷重変曲点での挙動>
この後、被ロック部品102が押し込まれ、
図22に示すように、ロック回転部材130が荷重変曲点の位置に至ると、付勢バネ150の付勢力はロック回転部材130の回転方向には作用しないが、被ロック部品102の突き当てピン175は、突出部材172の付勢バネ176の付勢力によって受止め部材160の凹所165に対し上方に向かって押し付けられる。
このため、受止め部材160の凹所165と被ロック部品102の突き当てピン175との接触状態は維持される。
【0049】
<荷重変曲点直後での挙動>
更にまた、
図23に示すように、ロック回転部材130が荷重変曲点直後の位置に至ると、突き当てピン175は開閉扉25の閉鎖操作力により凹所165に押し付けられている。また、荷重変曲点直後では、付勢バネ150は、ロック回転部材130に対して回転方向を切り替えるように荷重を付勢するため、ロック回転部材130の回転に伴って受止め部材160の凹所165が突き当てピン175を引き込むように作用する。このため、上述した引き込み力F3の作用によって、受止め部材160の凹所165と被ロック部品102の突き当てピン175との接触状態は維持される。
このように、ロック回転部材130が荷重変曲点の位置を超えると、付勢バネ150による付勢力が荷重変曲点を境にロック回転部材130の回転方向が切り替わるように変化し、ロック回転部材130の時計回り方向の回転に伴って、開閉扉25の閉位置に至るまで、受止め部材160による引き込み力F3によって被ロック部品102の突き当てピン175を引き込む。
この間、受止め部材160と突き当てピン175との接触状態は良好に維持されるため、ロック部品101と被ロック部品102との間の固定動作に伴って異音が発生するという懸念はない。
【0050】
◎実施の形態3
図24(a)(b)は実施の形態3に係る開閉装置を示す。
同図において、開閉装置200は、実施の形態1,2と異なり、開口部211を有する装置筐体210と、この装置筐体210の開口部211に対して開閉可能な可動手段としての引出型の媒体供給装置250とを備え、装置筐体210の開口部211の入口側方部と、媒体供給装置250との間にロック機構100を装備し、媒体供給装置250を閉じるときに、ロック機構100により媒体供給装置250の閉鎖直前で、開位置P2に位置した媒体供給装置250を引き込み動作を経て閉位置P1に固定するようにしたものである。
本例では、ロック機構100は、実施の形態1と略同様な構成のロック部品101、被ロック部品102を備えているが、実施の形態1と異なり、媒体供給装置250の引出操作側の側方部にロック部品101を装備し、装置筐体210の開口部211の入口側方部に被ロック部品102を装備したものである。
図25は本例のロック機構100の要部を示すものである。
同図において、ロック部品101の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、ロック回転部材130(ロール本体131、回転軸132、突部133)と、ホルダ筐体140(案内溝142、軸受部143)と、付勢バネ150と、受止め部材160(アーム部材161、凹所165)とを備えている。
一方、被ロック部品102は、実施の形態1と略同様に、突出部材122及び突き当てピン125を備えている。
従って、本例にあっても、媒体供給装置250を閉じる場合には、ロック機構100のロック部品101と被ロック部品102とが係わって媒体供給装置250を引き込み動作を伴って固定することが可能である。
【0051】
(付記)
(((1)))
開口部を有する装置筐体と、前記装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段との間に設けられ、前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに前記装置筐体に対して前記可動手段を固定し、前記可動手段を前記閉位置から開位置に移動させるときに前記可動手段の固定状態を解除するロック機構であって、
前記装置筐体及び前記可動手段のいずれか一方に設けられるロック部品と、いずれか他方に前記ロック部品に対向するように設けられる被ロック部品とを備え、
前記被ロック部品は、前記装置筐体及び前記可動手段のいずれか一方から他方に跨がって位置するように、前記ロック部品側に向かって突出する突出手段と、
前記突出手段の一部に設けられる突き当て手段と、を有し、
前記ロック部品は、
保持手段を介して回転可能に保持され、前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに前記突き当て手段に突き当てられて回転するロック手段と、
前記装置筐体の閉位置に前記可動手段を移動させたときに、前記ロック手段の回転挙動範囲の中間に位置する荷重変曲点を境に、前記荷重変曲点直後には前記突き当て手段を引き込む方向に前記ロック手段の回転方向が切り替わるように前記ロック手段に対して荷重を付勢する付勢手段と、
前記ロック手段のうち前記突き当て手段が突き当たる箇所に設けられ、前記ロック手段の回転挙動範囲において前記突き当て手段を接触したまま移動可能に受け止める受止め手段と、
を有することを特徴とするロック機構。
(((2)))
(((1)))に記載のロック機構において、
前記ロック部品は前記装置筐体側に設けられていることを特徴とするロック機構。
(((3)))
(((1)))又は(((2)))に記載のロック機構において、
前記保持手段は、前記ロック手段の回転軸が遊びを持って保持される軸受部を有することを特徴とするロック機構。
(((4)))
(((3)))に記載のロック機構において、
前記保持手段の軸受部は前記突出手段の突出方向に対し斜め上方向に傾斜する案内溝を有し、前記ロック手段の回転軸が前記案内溝に沿って移動することを特徴とするロック機構。
(((5)))
(((4)))に記載のロック機構において、
前記案内溝は、前記ロック手段の回転軸が挿抜可能になるように片側が開放された溝形状であることを特徴とするロック機構。
(((6)))
(((4)))に記載のロック機構において、
前記突出手段は予め決められた位置に固定的に配置されていることを特徴とするロック機構。
(((7)))
(((4)))に記載のロック機構において、
前記付勢手段は、前記ロック手段の回転挙動位置が前記荷重変曲点にあるとき、前記受止め手段から前記突き当て手段が受ける力が前記案内溝の方向に沿って働くように、前記ロック手段を付勢することを特徴とするロック機構。
(((8)))
(((1)))乃至(((7)))のいずれかに記載のロック機構において、
前記ロック手段はロール状の回転体の一部に径方向に張り出すストッパ部を有し、前記保持手段の一部に前記ストッパ部を引っ掛けることで初期位置に保持されることを特徴とするロック機構。
(((9)))
(((1)))乃至(((8)))のいずれかに記載のロック機構において、
前記受止め手段は、前記ロック手段の一部から径方向に突出するアーム部材を有し、前記アーム部材の先端側に前記突き当て手段が突き当たる断面U字状の凹所を有することを特徴とするロック機構。
(((10)))
(((9)))に記載のロック機構において、
前記受止め手段は間隔をおいて配置される一対のアーム部材を有するものであり、
前記突き当て手段は、突出手段の先端部両側に一対のピン部材を配置し、前記一対のアーム部材間の空間部に前記突出手段を突入させ、前記一対のアーム部材の凹所に前記ピン部材を引っ掛けるようにしたことを特徴とするロック機構。
(((11)))
(((1)))又は(((2)))に記載のロック機構において、
前記保持手段は、前記ロック手段の回転軸が予め決められた位置に固定的に配置される軸受部を有することを特徴とするロック機構。
(((12)))
(((11)))に記載のロック機構において、
前記突出手段は揺動可能に設けられ、付勢手段にて予め決められた方向に常時付勢され、予め決められた初期位置に保持されることを特徴とするロック機構。
(((13)))
開口部を有する装置筐体と、
前記装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段と、
前記装置筐体と前記可動手段との間に設けられる(((1)))乃至(((12)))のいずれかに記載のロック機構と、
を備えたことを特徴とする開閉装置。
(((14)))
(((13)))に記載の開閉装置と、
前記開閉装置の前記装置筐体内に設けられ、予め決められた処理を実施する処理手段と、
を備えたことを特徴とする開閉型処理装置。
【0052】
(((1)))に係るロック機構によれば、装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段を備えた開閉装置において、装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定することができる。
(((2)))に係るロック機構によれば、可動手段側にロック部品を組み込む場合に比べて、可動手段の大型化を抑えながら、ロック機構を構築することができる。
(((3)))に係るロック機構によれば、保持手段が遊びを持たない軸受部を有する場合に比べて、ロック手段の製品公差を吸収でき、保持手段に対するロック手段の組立性を良好に保つことができる。
(((4)))に係るロック機構によれば、案内溝がない場合に比べて、突き当て手段による突き当て動作に伴ってロック手段を安定的に回転させることができる。
(((5)))に係るロック機構によれば、片側が開放していない案内溝の場合に比べて、ロック部品の組立を容易に行うことができる。
(((6)))に係るロック機構によれば、ロック手段の回転軸の位置を固定する場合に比べて、被ロック部品の構成を簡略化することができる。
(((7)))に係るロック機構によれば、付勢手段の付勢方向を工夫することで、ロック手段が荷重変曲点を通過するときに、突き当て手段と受止め手段との接触状態を容易に維持することができる。
(((8)))に係るロック機構によれば、ストッパ部を用いない場合に比べて、ロック手段の回転挙動位置を初期位置に容易に位置決めすることができる。
(((9)))に係るロック機構によれば、突き当て手段が突き当たる受止め手段を簡単に構築することができる。
(((10)))に係るロック機構によれば、ロック部品の受止め手段に対し、被ロック部品の突き当て手段、突出手段を干渉することなく、容易に構築することができる。
(((11)))に係るロック機構によれば、案内溝に沿ってロック手段を移動させる方式に比べて、ロック部品の構成を簡略化することができる。
(((12)))に係るロック機構によれば、ロック手段の回転軸位置を固定的に配置したロック部品に対し、被ロック部品を適切に構築することができる。
(((13)))に係る開閉装置によれば、装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段を備えた開閉装置において、装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定することが可能なロック機構を含む開閉装置を構築することができる。
(((14)))に係る開閉型処理装置によれば、装置筐体の開口部に対して開閉可能に移動する可動手段を備えた開閉装置において、装置筐体の閉位置に可動手段を移動するときに、衝突音対策部品を用いることなく、衝突音を発生させずに可動手段を引き込み動作を伴って固定することが可能なロック機構を含む開閉装置を用いた開閉型処理装置を構築することができる。
【符号の説明】
【0053】
1…ロック機構,2…ロック部品,3…被ロック部品,4…突出手段,5…突き当て手段,5a…ピン部材,6…ロック手段,6a…ストッパ部,7…保持手段,7a…軸受部,7b…案内溝,8…付勢手段,9…受止め手段,9a…アーム部材,9b…凹所,10…開閉装置,11…装置筐体,11a…開口部,12…可動手段,13…処理手段