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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058902
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ベビーキャリア
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/28 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
B60N2/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166307
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000112288
【氏名又は名称】ピジョン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】折野 慎治
(72)【発明者】
【氏名】大沼 利夫
(72)【発明者】
【氏名】冨田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 舞
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087CE07
(57)【要約】
【課題】肩ベルトの高さ調節が簡便なベビーキャリアを提供する。
【解決手段】ベビーキャリア1は、乳幼児がもたれかかる背もたれ11と、背もたれ11の前面に設けられる一対の縦ベルト20と、一端31が縦ベルト20に繋がって背もたれ11に対して上下可能な肩ベルト30と、乳幼児の股の間に通される股ベルト50と、を備え、肩ベルト30の他端22側は連結部としての雄バックル33を介して股ベルト50に連結される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児がもたれかかる背もたれと、
前記背もたれの前面に設けられる一対の縦ベルトと、
一端がそれぞれ前記縦ベルトに繋がって前記背もたれに対して上下可能な一対の肩ベルトと、
乳幼児の股の間に通される股ベルトと、を備え、
前記肩ベルトは連結部を介して前記股ベルトに連結される
ことを特徴とするベビーキャリア。
【請求項2】
前記肩ベルトの一端は、前記縦ベルトの外周を包む筒状部を有し、
前記筒状部は、前記縦ベルトに対して上下可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項3】
前記縦ベルトは、前記背もたれの異なる高さ位置に形成された少なくとも2つのスリットに挿通されて環状に前記背もたれに設けられ、前記背もたれに対して回転可能である
ことを特徴とする請求項1に記載のベビーキャリア。
【請求項4】
前記背もたれには、乳幼児と接するシートカバーが取り付けられ、
前記シートカバーには、前記肩ベルトを挿通するための一対の縦スリットが形成され、
前記一対の縦スリットは、前記肩ベルトの高さを変えられるようにそれぞれ所定の長さを有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のベビーキャリア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベビーキャリアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、股ベルト、左右の腰ベルト及び左右の肩ベルトによる5点式のシートベルトによって乳幼児を固定するベビーカーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-202982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示のベビーカーは、背もたれの裏側から手前側へ肩ベルトを挿通させるための水平方向のベルト調整スリットが背もたれの複数の高さ位置に設けられている。このため、特許文献1に開示のベビーカーは、肩ベルトの高さを変更する場合に、例えば、一番下のベルト調整スリットから肩ベルトを取り外してその上のベルト調整スリットに付け替える必要がある。
【0005】
このように、特許文献1に開示のベビーカーでは、肩ベルトの高さを変更する場合にその都度左右のベルト調整スリットから肩ベルトを取り外して別のベルト調整スリットに付け替える必要があり、手間となっている。
【0006】
このため、ベビーカーに乗せた乳幼児の身体の大きさに対して肩ベルトの高さが適切な高さではない場合であっても、肩ベルトを別のベルト調整スリットに付け替える手間を面倒に感じて不適切な高さでシートベルトを使用される可能性がある。そのほかにも、肩ベルトを付け替える手間を面倒に感じて乳幼児の身体の大きさに対して肩ベルトの高さが不適切な高さのままとし、シートベルトを着用させずにベビーカーを使用される可能性がある。
【0007】
また、肩ベルトの高さを変更するための構成としてバックル等の固い部材が乳幼児の背中側に取り付けられていると、リクライニング状態で寝ている時に、バックルによって背中側のゴワゴワ感に繋がり、乳幼児に不快感を与えてしまう。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、肩ベルトの高さ調節が簡便であり、乳幼児の快適性が損なわれないベビーキャリアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様によれば、ベビーキャリアであって、乳幼児がもたれかかる背もたれと、前記背もたれの前面に設けられる一対の縦ベルトと、一端がぞれぞれ前記縦ベルトに繋がって前記背もたれに対して上下可能な一対の肩ベルトと、乳幼児の股の間に通される股ベルトと、を備え、前記肩ベルトは連結部を介して前記股ベルトに連結される。
【発明の効果】
【0010】
上記の態様では、ベビーキャリアの肩ベルトの高さ調節が簡便となり、使用時に乳幼児の快適性が損なわれない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係るベビーカーのシートの正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るベビーカーの肩ベルトが繋がれた背もたれを前面側から見た図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るベビーカーの肩ベルトの正面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るベビーカーの背もたれを前面側から見た図である。
図5】本発明の第1実施形態に係るベビーカーの背もたれを背面側から見た図である。
図6】本発明の第1実施形態に係るベビーカーの縦ベルトの張設方法を説明する図である。
図7】本発明の第2実施形態に係るベビーカーの背もたれの前面側の斜視図である。
図8】本発明の第2実施形態に係るベビーカーの縦ベルト及び肩ベルトの斜視図である。
図9】本発明の第2実施形態に係るベビーカーの縦ベルトの取り付け方法を説明する図である。
図10】本発明の第2実施形態に係るベビーカーの背もたれを背面側から見た図である。
図11】本発明の第2実施形態に係るベビーカーの肩ベルトの高さを説明する図である。
図12】本発明の第2実施形態の変形例1に係るベビーカーの肩ベルトカバーの正面図である。
図13】本発明の第2実施形態の変形例1に係るベビーカーの背もたれの前面側の斜視図である。
図14】本発明の第2実施形態の変形例1に係るベビーカーの背もたれを背面側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。本発明のベビーキャリアは、乳幼児の移動に用いられる運搬手段であり、例えば、ベビーカー、チャイルドシート及び自転車に取り付ける子供乗せシートを含む。以下の実施形態では、ベビーキャリアとしてベビーカーについて説明する。
【0013】
[第1実施形態]
以下では、ベビーカー1のシート10、シートベルト100を中心に説明し、図面ではシート10、シートベルト100以外の図示は省略する。また、以下では、シート10について乳幼児が着座する側を前面または表として説明する。
【0014】
まず、図1から図6を参照して第1実施形態に係るベビーカー1について説明する。図1は、ベビーカー1のシート10の正面図である。図2は、肩ベルト30が繋がれた背もたれ11を前面側から見た図である。図3は、肩ベルト30の正面図である。図4は、背もたれ11を前面側から見た図であり、図5は、背もたれ11を背面側から見た図である。図6は、縦ベルト20の張設方法を説明する図である。
【0015】
図1に示すように、ベビーカー1は、肩ベルト30、腰ベルト50及び股ベルト60を含むシートベルト100と、シートベルト100が取り付けられるシート10と、を備える。
【0016】
シート10は、乳幼児がもたれかかる背もたれ11と、乳幼児が着座する座部12と、を備え、背もたれ11及び座部12は、クッション性のあるシートカバー13によって覆われる。シートカバー13は、肩ベルト30を挿通するための一対の縦スリット13aと、腰ベルト50を挿通するための一対の腰ベルトスリット13bと、を有する。一対の縦スリット13aは、肩ベルト30の高さを変更できるようにそれぞれ所定の長さ(スリット長)Hをもって形成される。なお、図2以降では、シートカバー13が外された背もたれ11が図示されている。
【0017】
シートベルト100は、乳幼児の上半身の前のめりを抑えるための肩ベルト30と、乳幼児の腰部に巻き回される腰ベルト50と、乳幼児の股の間に通される股ベルト60と、を含むベルトシステムである。肩ベルト30、腰ベルト50及び股ベルト60は、いずれも手洗いする等のためにシート10から取り外すことができる。
【0018】
肩ベルト30は、図2に示す縦ベルト20に取り付けられ、シートカバー13の左右の縦スリット13aに挿通されてシート10の前方へ引き出される。
【0019】
図1に示すように、腰ベルト50は、肩ベルト30との連結具としてのアジャスターバックル51と、股ベルト60との連結部としての雄バックル52と、を有する。肩ベルト30の長さ及び腰ベルト50の長さは、ともにアジャスターバックル51に通過させる肩ベルト30の長さによって変更することができる。アジャスターバックル51は、肩ベルト30と腰ベルト50とを連結及び分離させることができる面ファスナー、ボタンまたはボタンホック等の既知のものであってもよい。なお、肩ベルト30と腰ベルト50とは、アジャスターバックル51によって連結されず、肩ベルト30が雄バックル52に係止されて腰ベルト50と連結されるものであってもよい。
【0020】
股ベルト60は、一端に雌バックル61を有し、他端が面ファスナー等によって座部12から取り外し可能に取り付けられるか、または座部12に縫い付けられる。雌バックル61は、左右の両側面に腰ベルト50の雄バックル52が連結される連結口を有し、解除ボタン62が操作されると雄バックル52との連結が解除される。
【0021】
次に、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る背もたれ11、縦ベルト20及び肩ベルト30について説明する。以下では、図2から図14までシートカバー13が外された状態の背もたれ11に基づいて説明する。
【0022】
図2に示すように、背もたれ11は、背もたれ11の外形を維持するためのフレーム部14と、メッシュ生地によって形成されたメッシュ部15と、を備える。
【0023】
また、背もたれ11には、肩ベルト30を支持するために左右一対の縦ベルト20が設けられる。
【0024】
乳幼児の快適性の観点から、縦ベルト20は、背もたれ11の半ばより上の高さであって着座する乳幼児の頭部と重ならない位置(例えば、着座した乳幼児の頭部の両脇の位置)に設けられることが望ましい。縦ベルト20が設けられるメッシュ部15の背面には、補強生地16が設けられる。
【0025】
背もたれ11には、縦ベルト20を挿通するためのスリット18が縦ベルト20に対応した位置に複数形成される。スリット18は、下スリット18a及び上スリット18bよりなり、いずれも補強生地16とともにメッシュ部15を貫通して形成される。
【0026】
縦ベルト20は、肩ベルト30が取り付けられるための縦ベルト本体部20aと、縦ベルト20の張設/解除のためのラダーバックル22と、を備える。後述するように、縦ベルト20は、ラダーバックル22によって、背もたれ11に対して張設された状態と張設を解除された状態をとることができる。
【0027】
図3に示すように、肩ベルト30は、乳幼児の上半身の前のめりを抑えるための肩ベルト本体部30aと、縦ベルト20に繋がるために一端31が筒状に形成された筒状部31aと、を備える。
【0028】
図2に示すように、筒状部31aは、縦ベルト本体部20aの外周を包むようにして縦ベルト20に繋がる。筒状部31aは、縦ベルト20に対して上下可能であるため、肩ベルト30は、縦ベルト20及び背もたれ11に対して上下可能である。
【0029】
筒状部31aは、縦ベルト20のラダーバックル22を通過できる程度の大きさからなり、肩ベルト30と同様の強度及び柔らかさを有する生地からなる。そのため、筒状部31aが乳幼児の背中や頭部によって押しつぶされてもゴワゴワ感が抑えられる。また、筒状部31aが柔らかな生地であるため、肩ベルト30を上下させるにあたり乳幼児の髪が筒状部31aに巻き込まれることが抑えられる。
【0030】
肩ベルト30は、一端31の高さを下スリット18aから上スリット18bまでの任意の高さにすることができ、無段階に高さを変更することができる。ここで、肩ベルト30は、変更された高さを維持させてもよいし、高さを維持させなくてもよい。筒状部31aと縦ベルト本体部20aとの摩擦力が大きければ、肩ベルト30は縦ベルト20に対して高さを維持可能である。他方、筒状部31aと縦ベルト本体部20aとの摩擦力が小さいと、肩ベルト30は、自重で下限の高さに下がるものの、使用者が肩ベルト30を引き上げれば容易に肩ベルト30の高さを調節できるため、使用者にとって不便ではない。
【0031】
次に、図4から図6を参照して縦ベルト20について詳細に説明する。
【0032】
図4及び図5に示すように、背もたれ11に張設された縦ベルト20は、縦ベルト本体部20aが背もたれ11の前面に臨む。縦ベルト20は、下端部20bが接続部として背もたれ11の背面に取り付けられる。下端部20bは、ファスナー等によって背もたれ11から取り外し可能に取り付けられるか、または背もたれ11の背面に縫い付けられる。
【0033】
縦ベルト20の上端部20cには、ラダーバックル22が取り付けられる。ラダーバックル22は、背もたれ11に対する留め具として機能し、背もたれ11の背面に設けられるバックルループ17に係止される。ラダーバックル22は、例えば、「日」の字状の横3本、縦2本の構成よりなるバックルであり、中央の横部材に上端部20cが巻き回されて縦ベルト20に取り付けられる。
【0034】
バックルループ17は、ベルト状の生地によって、両端を背もたれ11に縫い付けられ、背もたれ11と密着しない中央部17a(図5参照)の内側をラダーバックル22が通過可能である。
【0035】
下スリット18aは、縦ベルト20を背もたれ11の背面側から前面側へ挿通させるために形成され、上スリット18bは、縦ベルト20を背もたれ11の前面側から背面側へ挿通させるために形成される。なお、背もたれ11の前面に臨む縦ベルト本体部20aの長さを変更するために、上スリット18bに加えて異なる高さ位置にスリット18及びバックルループ17が設けられてもよい。
【0036】
次に、図6を参照して縦ベルト20の張設方法について説明する。図6は、いずれも、背もたれ11を背面側から見た図である。図6(A)は、縦ベルト20を張設する前の初期状態の図であり、図6(B)は、ラダーバックル22が下スリット18aに挿通されて背もたれ11の前面で持ち上げられている状態の図である。図6(C)は、ラダーバックル22が上スリット18bに挿通されて背もたれ11の背面に引き出された状態の図であり、図6(D)は、ラダーバックル22がバックルループ17に係止された状態の図である。
【0037】
図6(A)に示すように、縦ベルト20は、下端部20bにおいて背もたれ11に固定されており、初期状態として背もたれ11の背面において垂れ下がった状態となる。
【0038】
次に、図6(B)に示すように、縦ベルト20は、ラダーバックル22とともに縦ベルト本体部20aが下スリット18aに挿通され、縦ベルト本体部20aが背もたれ11の前面に臨む。この時、背もたれ11の前面において縦ベルト20に肩ベルト30が取り付けられる。具体的には、肩ベルト30の筒状部31a(図3参照)にラダーバックル22を通過させて縦ベルト本体部20aに肩ベルト30が取り付けられる。
【0039】
次に、図6(C)に示すように、縦ベルト20は、背もたれ11の背面側に向けてラダーバックル22が上スリット18bに挿通され、ラダーバックル22が背もたれ11の背面に臨む。
【0040】
次に、図6(D)に示すように、縦ベルト20は、ラダーバックル22がバックルループ17の中央部17aを通過させられ、バックルループ17に係止される。これにより、縦ベルト20が背もたれ11に張設された状態となる。
【0041】
この時、ラダーバックル22の縦方向の長さLよりも横方向の長さWの方が大きいため、バックルループ17の中央部17aに通過させるにあたり、ラダーバックル22を90°捻ってバックルループ17を通過させる。つまり、長さWでは中央部17aを通過できず、長さLであれば中央部17aを通過できる。これにより、肩ベルト30及び縦ベルト20が前方に大きく引っ張られても縦ベルト20の張設が解除されない。縦ベルト20の張設を解除する場合は、上記の手順を逆に行う。なお、肩ベルト30の筒状部31aにラダーバックル22を通過させる場合にもラダーバックル22を90°捻る必要があるように筒状部31aの内径が設定されてもよい。
【0042】
このように、縦ベルト20を背もたれ11に対して張設状態とすることで、縦ベルト20に肩ベルト30を取り付けることができる。また、縦ベルト20の張設を解除した状態とすることで、縦ベルト20から肩ベルト30を取り外すことができる。
【0043】
なお、ここまで縦ベルト20の下端部20bが背もたれ11に固定された例について示したが、縦ベルト20の下端部20bが背もたれ11に固定されていなくてもよい。例えば、縦ベルト20の上端部20cと同様に下端部20bにもラダーバックルが設けられ、さらに下スリット18a付近にバックルループを設けて縦ベルト20を固定する(張設する)方法を採用してもよい。
【0044】
さらに、縦ベルト20の背もたれ11への固定方法についても上述に限らず、縦ベルト20の上端部20c、下端部20bともに、例えば、スナップ止め、ファスナー等のような既知の方法を採用して固定するものでもよい。
【0045】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態に係るベビーカー1は、縦ベルト20に対して上下可能な筒状部31aによって肩ベルト30を上下させることができ、肩ベルト30の高さ調節が簡便である。中でも、従来のように肩ベルト30を背もたれから一度抜いて別の高さのスリットに付け替える必要がなく、肩ベルト30の高さを調節することが簡便である。
【0046】
また、肩ベルト30の高さの調節が簡便であることから、ベビーカー1を使用するにあたって、肩ベルト30が不適切な高さのまま使用されることや、肩ベルト30の高さが合わないことによる肩ベルト30の不使用が抑制される。その結果、ベビーカー1に着座させる乳幼児の安全性、快適性が向上する。
【0047】
さらに、肩ベルト30は、背もたれ11に対して適宜任意の高さに調節することができ、無段階で高さを調節できることから、乳幼児の身体の大きさや乳幼児の服装に応じて常に適切な肩ベルト30の高さにすることができる。
【0048】
また、筒状部31aは柔らかな生地であるため、乳幼児の背中側においてゴワゴワ感を与えることが抑えられ、快適性が損なわれない。さらに、筒状部31aが柔らかな素材であるため、肩ベルト30を上下させるにあたり乳幼児の髪が肩ベルト30(主として筒状部31a)に巻き込まれることが抑制される。
【0049】
また、図6(B)に示すように、縦ベルト20が背もたれ11に対して張設を解除した状態にすると、肩ベルト30を着脱でき、左右の肩ベルト30を個別に手洗いすることや交換することが簡単にできる。
【0050】
[第2実施形態]
次に、図7から図11を参照して本発明の第2実施形態に係るベビーカー2について説明する。図7は、ベビーカー2の背もたれ11の前面側の斜視図である。図8は、ベビーカー2の縦ベルト20及び肩ベルト30の斜視図である。図9は、ベビーカー2の縦ベルト20の取り付け方法を説明する図である。図10は、ベビーカー2の背もたれ11を背面側から見た図である。図11は、ベビーカー2の肩ベルト30の高さを説明する図である。
【0051】
図7に示すように、第2実施形態に係るベビーカー2の縦ベルト20は、肩ベルト30と一体に構成され、背もたれ11の前面及び背面にわたって環状である。具体的には、縦ベルト20は、縦ベルト本体部20aと、縦ベルト本体部20aとは別に構成され、縦ベルト20の一部となるラダーベルト23と、を備える。ラダーベルト23は、一端23aがラダーバックル24に取り付けられ、他端23bが接続部としての縫い目25によって縦ベルト本体部20aに接続される。
【0052】
図8に示すように、縦ベルト本体部20aの端部20dには、ベルト生地を折り返して縫合等によって固定されたひっかけ部20eが形成される。ひっかけ部20eがラダーバックル24に係止されると、図7に示すように、縦ベルト本体部20aとラダーベルト23により環状の縦ベルト20が構成される。
【0053】
図7に示すように、縦ベルト20は、背もたれ11に設けられた下スリット18a及び上スリット18bに挿通されて、背もたれ11に対して回転可能に取り付けられる。具体的には、縦ベルト本体部20aが下スリット18aに挿通され、ラダーベルト23が上スリット18bに挿通され、背もたれ11の背面側でラダーバックル24を介して縦ベルト本体部20aとラダーベルト23とが連結される。
【0054】
上スリット18bの前方には、ラダーベルト23が前方に大きく引っ張られた場合の上スリット18bに掛かる負荷を分散するための補強ループ19が設けられる。
【0055】
また、図7に示すように、肩ベルト30は、縦ベルト本体部20aと一体に形成されて繋がっている。肩ベルト30と縦ベルト本体部20aは、連続した一本のベルト生地により構成される。換言すれば、一本のベルト生地は、縫い目25を境として縦ベルト本体部20aと、肩ベルト30と、に分かれる。
【0056】
次に、図9から図11を参照して、第2実施形態に係る縦ベルト20の取り付け方法について説明する。
【0057】
図9に示すように、縦ベルト20を背もたれ11に取り付ける場合は、まず、縦ベルト本体部20aが下スリット18aに挿通され、ラダーベルト23が上スリット18bに挿通される。
【0058】
次に、図10に示すように、背もたれ11の背面側において、縦ベルト本体部20aに形成されたひっかけ部20eがラダーバックル24に係止されて縦ベルト20が環状になる。これにより、縦ベルト20は、背もたれ11に回転可能に支持される。
【0059】
縦ベルト20が背もたれ11に対して回転すると、背もたれ11の背面側において、ラダーバックル24は、下スリット18aから上スリット18bの間を上下可能である。また、縦ベルト20が背もたれ11に対して回転すると、背もたれ11の前面側において、肩ベルト30は、下スリット18aから上スリット18bの間を上下可能である。つまり、肩ベルト30は、一端31(図11参照)の高さを下スリット18aから上スリット18bまでの任意の高さにすることができ、無段階に高さを変更することができる。
【0060】
ここで、肩ベルト30は、変更された高さを維持させてもよいし、高さを維持させなくてもよい。スリット18と縦ベルト本体部20a及びラダーベルト23との摩擦力が大きければ、肩ベルト30は背もたれ11に対して高さを維持可能である。他方、スリット18と縦ベルト本体部20a及びラダーベルト23との摩擦力が小さいと、肩ベルト30は、自重で高さが下がるものの、使用者が肩ベルト30を引き上げれば容易に肩ベルト30の高さを調節できるため、使用者にとって不便ではない。
【0061】
図11に示すように、肩ベルト30の一端31が下スリット18aに近い高さにある場合は、ラダーベルト23は背もたれ11の前面側へ大きく引き出される。この時、背もたれ11の背面側から見ると、図10に示すように、ラダーバックル24が上スリット18bに近い高さにある。
【0062】
なお、図11に示すように、肩ベルト30の一端31は、ラダーベルト23によって上方へ引っ張られているため、縦ベルト本体部20aから肩ベルト30にかけてのベルト生地が弓なりとなり、肩ベルト30に乳幼児の腕や肩を通過させ易い。
【0063】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態に係るベビーカー2は、背もたれ11に対して回転可能な縦ベルト20によって肩ベルト30が背もたれ11に対して上下可能である。これにより、肩ベルト30を引き上げたり引き下げたりすることで背もたれ11に対して縦ベルト20が回転し、肩ベルト30の高さ調節が簡便である。中でも、従来のように肩ベルト30を背もたれから一度抜いて別の高さのスリットに付け替える必要がなく、肩ベルト30の高さを調節することが簡便である。
【0064】
さらに、肩ベルト30は、背もたれ11に対して適宜任意の高さに調節することができ、無段階で高さを調節できることから、乳幼児の身体の大きさや乳幼児の服装に応じて常に適切な肩ベルト30の高さにすることができる。
【0065】
また、縦ベルト20(縦ベルト本体部20a)及び肩ベルト30(肩ベルト本体部30a)は一本のベルトであるため、縦ベルト20と肩ベルト30とを繋ぐものとしてバックル等の固い部材が乳幼児の背中に設けられない。このため、乳幼児の背中にゴワゴワ感を与えることが抑えられ、快適性が損なわれない。
【0066】
また、ラダーバックル24からひっかけ部20eの係止を解除することで背もたれ11から縦ベルト20を簡単に取り外すことができる。このため、左右の縦ベルト20及び肩ベルト30を個別に手洗いすることや交換することができる。
【0067】
また、肩ベルト30の一端31は、ラダーベルト23によって上方へ引っ張られるため、縦ベルト本体部20aから肩ベルト30にかけてのベルト生地が弓なりとなり、肩ベルト30に乳幼児の腕や肩を通過させ易い。
【0068】
[第2実施形態の変形例1]
次に、図12から図14を参照して、第2実施形態に係るベビーカー2の変形例1について説明する。変形例1に係るベビーカー2は、肩ベルト30が背もたれ11に対して起立するように肩ベルトカバー40が取り付けられる。
【0069】
図12は、ベビーカー2の肩ベルトカバー40の正面図である。図13は、ベビーカー2の肩ベルトカバー40が取り付けられた背もたれ11の前面側の斜視図である。図14は、ベビーカー2の肩ベルトカバー40が取り付けた背もたれ11を背面側から見た図である。
【0070】
図12及び図13に示すように、肩ベルトカバー40は、肩ベルト30を包む筒状の本体部41と、背もたれ11に当接して本体部41が垂れ下がらないように付勢するための付勢部42と、ラダーバックル24に係止されるための係止ベルト43と、を備える。
【0071】
肩ベルトカバー40は、本体部41の内側に肩ベルト30(図12において不図示)を通過させて肩ベルト30に取り付けられるとともに、係止ベルト43がラダーバックル24に係止されて縦ベルト20に取り付けられる。
【0072】
本体部41及び付勢部42は、クッション性のある生地であり、ベビーカー2が急停止して乳幼児が前のめりとなっても肩ベルト30が乳幼児の身体に食い込むことが抑制される。
【0073】
付勢部42は、舌状に形成される。図13に示すように、付勢部42は、付勢部42から本体部41にかけての生地の剛性によって本体部41を背もたれ11から起立させる。これにより、肩ベルト30が背もたれ11から起立した状態が維持され、乳幼児の着座時に肩ベルト30に乳幼児の腕や肩を通過させ易い。
【0074】
図12に示すように、係止ベルト43は、一端43aが本体部41の付勢部42側の開口部付近の内側に縫い付けられる。また、他端43bには、ベルト生地が折り返されて縫合等で固定されたひっかけ部43cが形成される。
【0075】
図13に示すように、肩ベルトカバー40が縦ベルト20及び肩ベルト30に取り付けられると、係止ベルト43がラダーベルト23の上に重なり、上スリット18bに挿通されて背もたれ11の背面側へ引き出される。
【0076】
背もたれ11の背面側では、図14に示すように、係止ベルト43のひっかけ部43cはラダーバックル24に係止される。ひっかけ部43cがラダーバックル24に係止されると、肩ベルトカバー40が肩ベルト30から抜け落ちない。また、背もたれ11の背面側からひっかけ部43cを引っ張ると本体部41が上方へ引き上げられるため、本体部41を背もたれ11からより起立した状態にすることができる。
【0077】
また、ひっかけ部43cがラダーバックル24に係止されると、係止ベルト43は、ラダーベルト23とともに背もたれ11に対して上下するため、肩ベルト30の上下に追随して肩ベルトカバー40も上下する。このため、肩ベルト30は、どの高さであっても肩ベルトカバー40によって背もたれ11から起立した状態が維持される。
【0078】
[第2実施形態の変形例1の効果]
本発明の第2実施形態の変形例1に係るベビーカー2では、クッション性のある生地でできた肩ベルトカバー40によって、肩ベルト30が乳幼児の身体に食い込むことを抑制できる。
【0079】
また、肩ベルトカバー40は、付勢部42によって肩ベルト30が背もたれ11から起立した状態を維持させる。さらに、肩ベルトカバー40は、係止ベルト43によって、肩ベルト30とともに背もたれ11を上下するため、肩ベルト30がどの高さであっても背もたれ11から起立した状態を維持させる。
【0080】
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果を説明する。
【0081】
乳幼児がもたれかかる背もたれ11と、背もたれ11の前面に設けられる一対の縦ベルト20と、一端31がぞれぞれ縦ベルト20に繋がって背もたれ11に対して上下可能な一対の肩ベルト30と、乳幼児の股の間に通される股ベルト60と、を備え、肩ベルト30は連結部としての雄バックル33を介して股ベルト60に連結される。
【0082】
この構成によれば、肩ベルト30が背もたれ11に対して上下可能であるため、従来のように肩ベルト30を背もたれから一度抜いて別の高さのスリットに付け替える必要がなく、肩ベルト30の高さを調節することが簡便である。
【0083】
また、肩ベルト30の高さの調節が簡便であることから、ベビーカー1を使用するにあたって、肩ベルト30が不適切な高さのまま使用されることや、肩ベルト30の高さが合わないことによる肩ベルト30の不使用が抑制される。その結果、ベビーカー1に着座させる乳幼児の安全性、快適性が向上する。
【0084】
肩ベルト30の一端31は、縦ベルト20の外周を包む筒状部31aを有し、筒状部31aは、縦ベルト20に対して上下可能である。
【0085】
この構成によれば、肩ベルト30は、縦ベルト20に繋がるにあたり、筒状部31aを介して縦ベルト20に繋がるため、固い部材を必要としない。このため、乳幼児の背中側においてゴワゴワ感を与えることが抑えられ、乳幼児の快適性が損なわれない。
【0086】
縦ベルト20は、背もたれ11の異なる高さ位置に形成された少なくとも2つのスリット18に挿通されて環状に背もたれ11に設けられ、背もたれ11に対して回転可能である。
【0087】
この構成によれば、肩ベルト30は、縦ベルト20に繋がるにあたり、縦ベルト本体部20aと一体に繋がるため、固い部材を必要としない。このため、乳幼児の背中側においてゴワゴワ感を与えることが抑えられ、乳幼児の快適性が損なわれない。
【0088】
背もたれ11には、乳幼児と接するシートカバー13が取り付けられ、シートカバー13には、肩ベルト30を挿通するための一対の縦スリット13aが形成され、一対の縦スリット13aは、肩ベルト30の高さを変えられるようにそれぞれ所定の長さを有する。
【0089】
この構成によれば、肩ベルト30が縦スリット13a内を上下することにより肩ベルト30の高さを簡便に調節できる。このため、使用者が肩ベルト30の高さを調節することを面倒に感じずに適宜適切な高さで用いることができる。
【0090】
また、肩ベルト30の高さの調節が簡便であることから、ベビーカー2を使用するにあたって、肩ベルト30が不適切な高さのまま使用されることや、肩ベルト30の高さが合わないことによるシートベルト100の不使用が抑制される。その結果、ベビーカー2に着座させる乳幼児の安全性、快適性が向上する。
【0091】
また、シートカバー13のクッション性によって乳幼児の背中側の快適性が向上する。さらに、シートカバー13のクッション性によって、筒状部31aや縦ベルト20に起因するゴワゴワ感がさらに抑制される。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0093】
例えば、背もたれ11は、フレーム部14、メッシュ部15及び補強生地16を含むものである必要はなく、その他の既知の素材に基づく周知の構成であってもよい。
【0094】
また、ベビーカー1、2について、シートカバー13を用いた使用形態について説明したが、夏場などの気温が高いときは、シートカバー13を取外し、背もたれ11に直接乳幼児を着座させるようにしてもよい。この場合であっても、縦ベルト20が設けられる位置が乳幼児の身体と重なり難い場所であり、また縦ベルト20や筒状部31aが強度のある柔らかな素材であるため筒状部31aや縦ベルト20に起因するゴワゴワ感が抑制される。
【符号の説明】
【0095】
1、2 ベビーカー
10 シート
11 背もたれ
12 座部
13 シートカバー
13a 縦スリット
15 メッシュ部
16 補強生地
17 バックルループ
18 スリット
18a 下スリット
18b 上スリット
19 補強ループ
20 縦ベルト
20a 縦ベルト本体部
20d 端部
22 ラダーバックル
23 ラダーベルト
24 ラダーバックル
30 肩ベルト
30a 肩ベルト本体部
31a 筒状部
33 雄バックル
34 連結バックル
40 肩ベルトカバー
41 本体部
42 付勢部
43 係止ベルト
43c ひっかけ部
50 腰ベルト
60 股ベルト
100 シートベルト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14