(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058903
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
A61B 1/07 20060101AFI20240422BHJP
A61B 1/00 20060101ALI20240422BHJP
A61B 1/06 20060101ALI20240422BHJP
G02B 23/26 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A61B1/07 730
A61B1/00 715
A61B1/00 731
A61B1/06 531
G02B23/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166308
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000113263
【氏名又は名称】HOYA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 伶
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040BA14
2H040CA03
2H040DA12
4C161AA01
4C161BB03
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF40
4C161HH22
4C161LL02
4C161NN01
4C161PP08
(57)【要約】
【課題】製造コストが低減でき、かつ光漏れを低減できる内視鏡を提供する。
【解決手段】円柱形状の先端部を有する挿入部を備え、前記先端部が前記挿入部の長さ方向と交差する方向に体内の観察部位へ照明光を照射する内視鏡であって、前記先端部の外周に形成された平坦面311に垂直に穿設され、前記照明光のライトガイド60が収容された収容孔374と、収容孔374の縁部に設けられ、ライトガイド60からの照明光を観察部位Z側に屈折させて出射させる照明窓37とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱形状の先端部を有する挿入部を備え、前記先端部が前記挿入部の長さ方向と交差する方向に体内の観察部位へ照明光を照射する内視鏡であって、
前記先端部の外周に形成された平坦面に垂直に穿設され、前記照明光の光源が収容された収容孔と、
前記収容孔の縁部に設けられ、前記光源からの照明光を前記観察部位側に屈折させて出射させる光学部材とを備える内視鏡。
【請求項2】
前記光学部材と前記長さ方向に並設され、前記観察部位の観察像光が入射される観察窓を備え、
前記収容孔の軸心方向と前記光学部材から出射される前記照明光の光軸とが成す角度は、前記収容孔の軸心方向と前記観察像光の光軸とが成す角度以上である請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記光学部材は、
前記照明光の入射面が傾斜しており、
前記長さ方向において前記観察部位寄りの端に近い程、前記収容孔の軸心方向の寸法が大きい請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記光学部材は前記観察窓よりも前記挿入部の先端側に設けられており、
前記光学部材は、
前記照明光の入射面が傾斜しており、
前記長さ方向において前記観察窓に近い程、前記収容孔の軸心方向の寸法が大きい請求項2に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記光学部材は、
前記照明光の入射面が前記収容孔の軸心方向の断面視でノコギリ歯状である請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記光学部材は、
前記照明光の出射面に拡散板を有する請求項1又は2に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記収容孔の前記縁部には段差が形成されており、
前記光学部材の縁部には、前記段差と係合する係合段差が形成されている請求項1又は2に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、十二指腸等の観察用の所謂側視型の内視鏡が広く普及している。斯かる側視型内視鏡は、挿入部の長さ方向と交差する方向に照明光を照射し、体内の観察部位の観察に用いられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、観察窓が照射窓よりも操作部側に設けられており、照射窓から出射される照明光の光軸を観察窓側に少しシフトさせるべく、照射窓に入射する光源からの照明光の光軸も観察窓側にシフトさせた構成の内視鏡が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の内視鏡は、照明光の光源として光ファイバー素線の束を用いており、上述した構成を実現するために、挿入部の先端部に、挿入部の長さ方向に対して斜めに孔が形成され、鈍角に曲げられた状態で光源が斯かる孔に挿入されている。
【0006】
しかし、挿入部の長さ方向に対して斜めに孔を形成する作業及び斯かる孔に光源を挿入する作業が難しいことから作業性が劣るので製造コストが上昇する問題があった。更に、光源が鈍角に曲げられているので、光源の屈曲部にて外部への光漏れが増加し、導光効率が低下する問題もあった。
【0007】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、製造コストが低減でき、かつ光漏れを低減できる内視鏡を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る内視鏡は、円柱形状の先端部を有する挿入部を備え、前記先端部が前記挿入部の長さ方向と交差する方向に体内の観察部位へ照明光を照射する内視鏡であって、前記先端部の外周に形成された平坦面に垂直に穿設され、前記照明光の光源が収容された収容孔と、前記収容孔の縁部に設けられ、前記光源からの照明光を前記観察部位側に屈折させて出射させる光学部材とを備える。
【0009】
本発明にあっては、前記収容孔に設けられた光学部材が、前記収容孔の光源からの照明光を前記観察部位側に屈折させて前記観察部位を照射する。よって、前記収容孔を前記観察部位に向けて斜めに形成する作業が不要であり、前記収容孔に前記光源を挿入する作業が容易になる。かつ、前記光源が鈍角に曲がることもなくなるので、屈曲部での光漏れを低減できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、製造コストが低減でき、かつ光漏れを低減できる内視鏡を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態1に係る内視鏡の外観図である。
【
図2】実施形態1に係る内視鏡の挿入部の先端を拡大して示す部分的拡大図である。
【
図3】実施形態1に係る内視鏡において、先端部を取り外した状態を説明する説明図である。
【
図4】実施形態1に係る内視鏡の先端本体を拡大して示す斜視図である。
【
図6】実施形態1に係る内視鏡の照明窓の断面図である。
【
図7】実施形態1に係る内視鏡の照明窓の変形例を例示する照明窓の断面図である。
【
図8】実施形態1に係る内視鏡の照明窓にレンズ拡散板が設けられた状態を示す照明窓の断面図である。
【
図9】実施形態2に係る内視鏡の先端部の構成を示す先端部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施形態に係る内視鏡について、図面に基づいて詳述する。
【0013】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る内視鏡10の外観図である。本実施形態の内視鏡10は、上部消化管向けの軟性鏡である。内視鏡10は、操作部20及び挿入部30を備える。操作部20は、一端に向けて徐々に縮径する円筒形状であり、起上操作レバー21、チャンネル入口22及び湾曲ノブ23を有する。操作部20は、他端が図示しないビデオプロセッサ等に接続されている。
【0014】
図2は、実施形態1に係る内視鏡10の挿入部30の先端を拡大して示す部分的拡大図である。挿入部30は細長い円筒形状であり、基端が操作部20の一端に連設されている。挿入部30は、操作部20側から順に軟性部12、湾曲部13及び先端部50を有している。
【0015】
先端部50は、略円柱形状であって細長い円筒形状の湾曲部13の一端に設けられており、先端本体31を備えている。湾曲部13は湾曲ノブ23の操作に応じて湾曲する。湾曲部13の他端は、細長い円筒形状の軟性部12の一端に連結されており、軟性部12の他端は操作部20の一端に連結されている。
【0016】
先端部50は、体内の観察部位Z(
図5参照)を観察及び撮像する撮像素子を有する先端本体31と、先端本体31を覆うカバー52と、向き調整部80とを含む。本実施形態の内視鏡10では、カバー52が先端本体31に対して着脱可能である。
【0017】
図3は、実施形態1に係る内視鏡10において、カバー52を取り外した状態を説明する説明図であり、
図4は、実施形態1に係る内視鏡10の先端本体31を拡大して示す斜視図である。
【0018】
先端本体31は略円柱形状であり、湾曲部13と連結された基部を除く部分が、先端側から軸心に沿って形成された割溝39によって光学収容部33とレバー室69とに分かれている。また、先端本体31は、周面の一部を平坦に切り欠いて形成された平坦面311を有している。
【0019】
光学収容部33の平坦面311には、挿入部30(先端部50)の長さ方向に沿って観察窓36及び照明窓37(光学部材)が並設されている。照明窓37は、観察窓36よりも先端側に配置されている。換言すれば、観察窓36は照明窓37よりも操作部20側に配置されている。また、観察窓36よりも湾曲部13側には、観察窓36に水及び空気を噴射して清掃するノズル38が設けられている。
即ち、本実施形態の内視鏡10は、観察が可能な視野方向が先端部50(挿入部30)の長さ方向と直交する方向である、いわゆる側視型である。
【0020】
レバー室69は中空であり、先端本体31の周面に沿った湾曲した長方形の薄板状のレバー室蓋67で覆われている。レバー室蓋67は、ネジ66により四隅で固定されている。
【0021】
先端本体31では、割溝39の操作部20側の側壁に、チャンネル出口35が形成されている。また、チャンネル出口35よりも先端側には、向き調整部80が配置されている。向き調整部80は、チャンネル出口35を介して押し出される処置具40の先端部の向きを変更させる。
【0022】
チャンネル入口22とチャンネル出口35との間は、軟性部12及び湾曲部13の内部を通るチャンネル34が形成されている。チャンネル入口22から処置具40を挿入することにより、処置具40の先端部がチャンネル出口35から押し出される。
【0023】
向き調整部80は、処置具40の先端部の向きを変更させる。向き調整部80は、外側に凹む窪みを有しており、処置具40の先端部が該窪みに沿って屈曲することによって、向きが変わる。詳しくは、起上操作レバー21の操作により、向き調整部80が動く。向き調整部80が動くことにより、向き調整部80の上の処置具40の先端部が屈曲される。
処置具40は、例えば、高周波ナイフ、鉗子または造影チューブ等の処置用の機器である。
【0024】
カバー52は、湾曲部13に開口端部56を有する有底円筒形状であり、底部、即ち先端が半球殻形状を成している。カバー52の外周面には、先端本体31への取り付け時に、先端本体31の観察窓36、照明窓37及び向き調整部80に対応する位置に略長方形の窓部53が形成されている。窓部53は、カバー52の軸方向に沿って形成されている。よって、窓部53を介して、先端本体31の平坦面311が露出されている。換言すれば、先端部50の外周面に平坦面311が設けられている。
【0025】
図5は、
図3のV-V線による断面図である。
光学収容部33側の平坦面311には、照明窓37よりも操作部20側に所定間隔を隔てて、伝搬孔361が穿設されている。伝搬孔361は、断面視矩形であり、一側が平坦面311に開口している。伝搬孔361の一側縁には、観察窓36が設けられている。
【0026】
観察窓36は、矩形の板形状であり、例えばガラス又は樹脂製である。照明窓37からの照明光に照射された観察部位Zからの光であって、観察部位Zの観察及び撮像に用いられる観察像光が観察窓36に入射される。
【0027】
実施形態1に係る内視鏡10においては、
図5に示すように、観察窓36と垂直な方向、即ち、先端本体31の径方向に位置する観察部位ではなく、斯かる観察部位よりも少し湾曲部13側にシフトした位置の観察部位Zからの観察像光が観察窓36に入射されるように構成されている。即ち、観察窓36へ入射する観察像光は、観察窓36と垂直な方向に対してθ2の入射角にて斜めに入射される。これは、総胆管のファーター乳頭等のような孔の観察を容易にするためである。ここで、観察像光の入射角θ2は、例えば、10~15度である。
【0028】
伝搬孔361は、略L字形状であり、前記一側の内部には、観察窓36を介して入射された前記観察像光を反射させて後述する撮像素子70に導光するプリズム362が配設されている。プリズム362の入射面は、観察窓36と対向している。
【0029】
また、伝搬孔361の他側の近傍には、前記観察像光を用いて観察部位Zの観察及び撮像を行う撮像素子70が配設されている。撮像素子70は、CCD(電荷結合素子)等であり、プリズム362の出射面と対向するように設けられている。また、プリズム362及び撮像素子70の間には複数の光学レンズからなるリレーレンズ群(図示せず)が介在しても良い。
【0030】
観察窓36を介して入射された観察像光は、プリズム362及び前記リレーレンズ群を通して撮像素子70の撮像面所定位置に結像する。
【0031】
また、光学収容部33の平坦面311には、前記照明光の光源が収容された収容孔374が平坦面311に対して垂直に穿設されている。収容孔374は、断面視矩形であり、一側が平坦面311に開口している。収容孔374の一側縁であって、観察窓36側の縁部には、照明窓37の後述する係合段差373と係合する、段差376が形成されている。収容孔374の前記一側縁には、照明窓37が係合されている。また、収容孔374の他側には、先端部50の長さ方向に沿って形成された、光路375が連通している。
【0032】
照明窓37は、例えばガラス又は樹脂製であり、光源から出射された照明光を観察部位Zに照射する。実施形態1に係る内視鏡10は、上述の如く、照明窓37からの照明光により照らされた観察部位Zを観察及び撮像する。
【0033】
図6は、実施形態1に係る内視鏡10の照明窓37の断面図である。
図6においては、入射光を破線の矢印にて示し、以降出射までの光の進行を実線の矢印にて示している。
図6では、便宜上、平坦面311及び収容孔374を破線にて示している。
【0034】
照明窓37は矩形の板形状であり、出射面372はライトガイド60からの照明光に対して垂直を成しているが、入射面371は前記照明光に対して傾斜している。即ち、照明窓37は、先端部50(先端本体31)の長さ方向に沿って厚みが異なる。照明窓37は、観察窓36側に近い程、即ち、観察部位Zよりの縁に近い程、厚みが厚い。また、照明窓37は、観察窓36側の縁部であって、入射面371寄りの縁部に、収容孔374の段差376と係合する係合段差373が形成されている。
【0035】
光路375及び収容孔374には、ライトガイド60が挿入されている。ライトガイド60は、前記照明光の光源であって、光ファイバー素線の束である。ライトガイド60は、前記プロセッサから供給される照明光を照明窓37まで導光する。ライトガイド60は先端面が照明窓37と対向するように、照明窓37の近傍に配置されている。
【0036】
上述の如く、平坦面311に対して垂直に収容孔374が穿設されているので、ライトガイド60の前記先端面から出射される照明光は、光軸が平坦面311に対して垂直になるように伝搬し、照明窓37に入射される。この際、照明窓37の入射面371に入射した照明光は、
図5及び
図6の如く、観察窓36側、即ち観察部位Z側に、屈折して出射面372から出射される。出射面372から出射される照明光は、平坦面311と垂直な方向、即ち、収容孔374の軸心方向に対してθ1の出射角にて斜めに、観察部位Z側にシフトして出射される。
【0037】
この際、照明窓37からの照明光の出射角θ1は、観察窓36への観察像光の入射角θ2以上である。
【0038】
ところが、観察窓36に入射する観察像光が、観察窓36と垂直な方向に対して所定角度の入射角にて斜めに入射するので、これに応じて、照明窓37からの照明光の照射位置もシフトさせる必要がある。
【0039】
従来には、観察部位Zにあわせて収容孔の軸心方向が観察部位Zを向くように、即ち照明窓から出射する照明光の軸心が観察部位Zを向くように、収容孔を挿入部の長さ方向に対して斜めに穿設することによって対応していた。しかし、この場合は、収容孔を斜めに穿設する作業及び斜めの収容孔にライトガイドを挿入する作業が難しいことから作業性が劣るので、製造コストが上昇する問題がある。また、収容孔内に挿入されるライトガイドを直角以上の鈍角に曲げる必要があるので、ライトガイドの屈曲部において外部への光漏れが増加し、導光効率が低下する問題もあった。
【0040】
これに対して、実施形態1に係る内視鏡10では、上述の如く、照明窓37がライトガイド60から入射される照明光を、観察窓36側、即ち観察部位Z側に、屈折させて出射させることによって観察部位Zを照射する。
【0041】
これによって、実施形態1に係る内視鏡10は、収容孔374を斜めに穿設する必要が無くなるので作業性が高まり、製造コストを低減でき、かつ、ライトガイド60の曲げ角を鈍角よりも小さい直角にするので、ライトガイド60の屈曲部における光漏れを低減できる。
【0042】
また、実施形態1に係る内視鏡10は、照明窓37がライトガイド60から入射される照明光を観察部位Z側に屈折させて観察部位Zを照射するので、照明光の照射範囲と観察部位Zとが大部分重なる。すると、光強度(照度)がガウス分布を有することから、観察部位Zの比較的大きな範囲において均一な光強度が得られる。よって、観察部位Zの観察及び撮像においてより鮮明な映像が得られる。
【0043】
また、実施形態1に係る内視鏡10においては、上述の如く、収容孔374の前記一側縁の段差376に照明窓37の係合段差373が係合した状態で、照明窓37が収容孔374に取り付けられている。よって、組立時における照明窓37の位置決めが容易であるうえに、安定的に照明窓37を固定できる。
【0044】
(変形例)
図7は、実施形態1に係る内視鏡10の照明窓37Aの変形例を例示する照明窓37Aの断面図である。
図7においては、入射光を破線の矢印にて示し、以降出射までの光の進行を実線の矢印にて示している。また、
図7では、便宜上、平坦面311及び収容孔374を破線にて示している。
【0045】
照明窓37Aは矩形の板形状であり、出射面372Aはライトガイド60からの照明光に対して垂直を成しているが、入射面371Aは、厚み方向、換言すれば、収容孔374の軸心方向の断面視でノコギリ歯の形状を成している。
【0046】
より詳しくは、照明窓37Aは、観察窓36側に近い程、即ち、観察部位Zよりの縁に近い程、厚みが厚くなる、即ち出射面372Aからの距離が長くなる傾斜面が、先端部50(先端本体31)の長さ方向に沿って入射面371Aに複数形成されている。
【0047】
また、照明窓37Aは、観察窓36側の縁部であって、入射面371A寄りの縁部に、収容孔374の段差376と係合する係合段差373Aが形成されている。
【0048】
上述の如く、ライトガイド60の前記先端面から出射される照明光(
図7の破線の矢印参照)は、光軸が平坦面311に対して垂直になるように伝搬し、照明窓37Aに入射される。この際、照明窓37Aの入射面371Aに入射した照明光は、
図7の如く、観察窓36側(
図7の右側)、即ち観察部位Z側に、屈折して出射面372Aから出射される。出射面372Aから出射される照明光は、平坦面311と垂直な方向、即ち、収容孔374の軸心方向に対してθ1の出射角にて斜めに、観察部位Z側にシフトして出射される。
【0049】
更に、実施形態1に係る内視鏡10は、以上の記載に限定されるものではない。内視鏡10がレンズ拡散板を更に有しても良い。
図8は、実施形態1に係る内視鏡10の照明窓37Aにレンズ拡散板90が設けられた状態を示す照明窓37Aの断面図である。
図8においては、入射光を破線の矢印にて示し、以降出射までの光の進行を実線の矢印にて示している。また、
図8では、便宜上、平坦面311及び収容孔374を破線にて示している。
【0050】
図8の如く、照明窓37Aの出射面372Aには、レンズ拡散板90が布設されている。レンズ拡散板90は、出射面372Aに倣う矩形であり、拡散角が例えば10度程度である、色収差補正用のレンズ拡散板である。
なお、照明窓37Aについては、既に説明しており、説明を省略する。
【0051】
以上のように、照明窓37Aの出射面372Aにレンズ拡散板90が布設されていることから、実施形態1に係る内視鏡10は上述した効果に加えて、色収差の低減を図ることができる。よって、観察部位Zの観察及び撮像においてより鮮明な映像を得ることができる。
【0052】
以上においては、観察窓36が照明窓37よりも湾曲部13側に配設された場合を例に挙げて説明したがこれに限定されるものではない。例えば、照明窓37が観察窓36よりも湾曲部13側に配設された構成であっても良い。この場合においても、観察部位Zの位置に応じて、照明窓37が照明光を観察部位Z側に屈折させて出射すれば良い。
【0053】
(実施形態2)
実施形態1に係る内視鏡10では、光源としてライトガイド60を用いる場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではない。
図9は、実施形態2に係る内視鏡10の先端部50の構成を示す先端部50の断面図である。
図9では、便宜上、カバー52を取り外した状態を示している。
【0054】
実施形態2に係る内視鏡10は、実施形態1と同様、操作部20及び挿入部30を備えており、挿入部30は操作部20側から順に軟性部12、湾曲部13及び先端部50を有している。
【0055】
先端部50は、実施形態1と同様、先端本体31と、先端本体31を覆うカバー52とを有し、カバー52は先端本体31から着脱可能である。先端本体31は、光学収容部33及びレバー室69に分かれている(
図4参照)。
【0056】
光学収容部33には平坦面311が設けられており、平坦面311には、先端部50の長さ方向に沿って観察窓36及び照明窓37が並設されている。観察窓36及び照明窓37については、実施形態1と同様であり、詳しい説明を省略する。
【0057】
照明窓37よりも操作部20側に所定間隔を隔てて、伝搬孔361が穿設され、伝搬孔361の一側縁に観察窓36が設けられている。また、伝搬孔361の内部にはプリズム362が配設されている。
【0058】
また、光学収容部33の平坦面311には、前記照明光の光源が収容された収容孔374が平坦面311に対して垂直に穿設されており、収容孔374の一側縁には、照明窓37が設けられている。また、収容孔374の他側には、先端部50の長さ方向に沿って形成された、光路375が連通している。
【0059】
実施形態2に係る内視鏡10においては、前記照明光の光源としてLED61(光源)が用いられる。LED61は、収容孔374に配設されている。LED61は、出光面が収容孔374の軸心方向に対して垂直になるように、即ち照明窓37の出射面372と平行になるように照明窓37の近傍に設けられている。LED61において前記出光面と反対側には、駆動基板62が設けられている。また、駆動基板62には、電力を供給する電線63が接続されており、電線63は、収容孔374及び光路375を介して挿入部30を経て操作部20へ向かって延びている。
【0060】
上述の如く、平坦面311に対して垂直に収容孔374が穿設されているので、LED61の前記出光面から出射される照明光は、光軸が平坦面311に対して垂直になるように伝搬し、照明窓37に入射される。この際、照明窓37の入射面371に入射した照明光は、
図6の如く、観察窓36側、即ち観察部位Z側に、屈折して出射面372から出射される。出射面372から出射される照明光は、平坦面311と垂直な方向、即ち、収容孔374の軸心方向に対してθ1の出射角にて斜めに、観察部位Z側にシフトして出射される。
この際、照明窓37からの照明光の出射角θ1は、観察窓36への観察像光の入射角θ2以上である。
【0061】
実施形態2に係る内視鏡10においても、実施形態1と同様、照明窓37がLED61から入射される照明光を、観察窓36側、即ち観察部位Z側に、屈折させて出射させることによって観察部位Zを照射する。
【0062】
これによって、実施形態2に係る内視鏡10は、収容孔374を斜めに穿設する必要が無くなり、作業性が高まるので、製造コストを低減できる。かつ、照明光の光源として、LED61を用いるので、光ファイバー素線の束の場合に屈曲部にて光漏れが発生する問題が存在しない。
【0063】
実施形態2の内視鏡10における他の構成は、実施形態1の内視鏡10と同じであり、実施形態1と同様の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0064】
実施形態1~2で記載されている技術的特徴(構成要件)はお互いに組み合わせ可能であり、組み合わせすることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
10 内視鏡
20 操作部
30 挿入部
36 観察窓
37,37A 照明窓
50 先端部
60 ライトガイド
61 LED
90 レンズ拡散板
311 平坦面
371,371A 入射面
372 出射面
373,373A 係合段差
374 収容孔
376 段差