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  • 特開-目標検出装置及び目標検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058933
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】目標検出装置及び目標検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 8/12 20060101AFI20240422BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G01V8/12 A
G01N21/21 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166351
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯田 直樹
【テーマコード(参考)】
2G059
2G105
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059EE05
2G059FF01
2G059JJ19
2G059KK04
2G059MM01
2G105AA01
2G105BB16
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE06
2G105HH04
(57)【要約】
【課題】目標検出性能を向上させることができる目標検出装置を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る目標検出装置は、画像取得部、算出部、及び判定部を備える。画像取得部は、目標を含む領域を撮影して画像を得る撮像装置と、特定方向に偏光した光を選択的に透過させる偏光フィルタと、を含み、前記偏光フィルタを介さずに前記撮像装置で前記領域を撮影した元画像と、前記偏光フィルタを介して前記撮像装置で前記領域を撮影したフィルタ画像と、を取得する。算出部は、前記元画像の輝度値に対する前記フィルタ画像の輝度値の減少率を、1つ又は複数の画素からなるセグメントごとに算出する。判定部は、前記減少率が所定の閾値を超えるか否かを前記セグメントごとに判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標を含む領域を撮影して画像を得る撮像装置と、特定方向に偏光した光を選択的に透過させる偏光フィルタと、を含み、前記偏光フィルタを介さずに前記撮像装置で前記領域を撮影した元画像と、前記偏光フィルタを介して前記撮像装置で前記領域を撮影したフィルタ画像と、を取得する画像取得部と、
前記元画像の輝度値に対する前記フィルタ画像の輝度値の減少率を、1つ又は複数の画素からなるセグメントごとに算出する算出部と、
前記減少率が所定の閾値を超えるか否かを前記セグメントごとに判定する判定部と、
を備える目標検出装置。
【請求項2】
前記画像取得部は、
前記領域からの光の第1部分が前記偏光フィルタを介して前記撮像装置に入射し、前記領域からの光の第2部分が前記偏光フィルタを介さずに前記撮像装置に入射する第1の状態と、前記領域からの光の前記第1部分が前記偏光フィルタを介さずに前記撮像装置に入射し、前記領域からの光の前記第2部分が前記偏光フィルタを介して前記撮像装置に入射する第2の状態と、を切り替えるために、前記偏光フィルタを駆動するフィルタ駆動機構と、
前記第1の状態で前記撮像装置により得られた第1の画像及び前記第2の状態で前記撮像装置により得られた第2の画像から前記元画像及び前記フィルタ画像を生成する画像生成部と、
をさらに備える請求項1に記載の目標検出装置。
【請求項3】
前記フィルタ駆動機構は、前記第1の状態及び前記第2の状態を切り替えるために、前記撮像装置の光軸まわりに前記偏光フィルタを回転させる、請求項2に記載の目標検出装置。
【請求項4】
前記判定部による前記セグメントごとの判定結果に基づいて前記元画像又は前記フィルタ画像からクラッタ成分を除去し、前記クラッタ成分を除去した前記元画像又は前記フィルタ画像から前記目標を検出する検出部をさらに備える請求項1に記載の目標検出装置。
【請求項5】
前記セグメントは1つの画素からなる、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の目標検出装置。
【請求項6】
特定方向に偏光した光を選択的に透過させる偏光フィルタを介さずに撮像装置で目標を含む領域を撮影することにより得られる元画像と、前記偏光フィルタを介して前記撮像装置で前記領域を撮影することにより得られるフィルタ画像と、を取得することと、
前記元画像の輝度値に対する前記フィルタ画像の輝度値の減少率を、1つ又は複数の画素からなるセグメントごとに算出することと、
前記減少率が所定の閾値を超えるか否かを前記セグメントごとに判定することと、
を備える目標検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、目標検出装置及び目標検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線カメラなどの撮像装置を使用して海上又は地上の目標を検出する技術が知られている。このような目標検出技術においては、太陽光などの光が海面又は地面によって反射されて生じる反射光(クラッタ)が目標検出のノイズとなる。海面又は地面により反射された光は偏光が揃うことが知られている。このため、クラッタを除去又は低減するために偏光フィルタが用いられることは一般的である。ただし、偏光フィルタを使用すると、目標から放射される光もカットされてしまい、本来欲しい信号成分まで減少してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-32776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、目標検出性能を向上させることができる目標検出装置及び目標検出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態に係る目標検出装置は、画像取得部、算出部、及び判定部を備える。画像取得部は、目標を含む領域を撮影して画像を得る撮像装置と、特定方向に偏光した光を選択的に透過させる偏光フィルタと、を含み、前記偏光フィルタを介さずに前記撮像装置で前記領域を撮影した元画像と、前記偏光フィルタを介して前記撮像装置で前記領域を撮影したフィルタ画像と、を取得する。算出部は、前記元画像の輝度値に対する前記フィルタ画像の輝度値の減少率を、1つ又は複数の画素からなるセグメントごとに算出する。判定部は、前記減少率が所定の閾値を超えるか否かを前記セグメントごとに判定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る目標検出装置を示すブロック図。
図2】実施形態に係るフィルタを示す斜視図。
図3】実施形態に係る元画像及びフィルタ画像を生成する方法を説明する図。
図4】実施形態に係る元画像を示す図。
図5】実施形態に係るフィルタ画像を示す図。
図6】実施形態に係るクラッタ分離を説明する図。
図7】実施形態に係る目標検出方法を示すフローチャート。
図8】実施形態に係る目標検出装置を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
【0008】
図1は、実施形態に係る目標検出装置100を概略的に示している。図1に示す目標検出装置100は、目標を含む領域を撮像した画像から目標を検出するものであり、画像取得部110、画像処理部120、及び制御部130を備える。目標検出装置100は、航空機などの飛翔体、船舶、又は地上の設備などに設置される。目標は、船舶又は車両などの水上(例えば海上)又は地上にある物体であり得るが、これに限定されない。以降では、撮像の対象となる領域を対象領域とも呼ぶ。
【0009】
図1に示す例では、画像取得部110は、撮像装置111、偏光フィルタ114を含むフィルタ部200、フィルタ駆動機構115、及び画像生成部116を備える。
【0010】
撮像装置111は、対象領域を撮像して画像を得る。撮像装置111は、光学系112及びセンサ113を備える。光学系112は、レンズなどの少なくとも1つの光学素子を含み、対象領域からの光をセンサ113に導く。センサ113の例は、赤外線センサ、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどを含む。本実施形態では、撮像装置111は赤外線センサを備える赤外線カメラであり、画像を構成する各画素は輝度値を有する。
【0011】
偏光フィルタ114は、偏光子とも呼ばれ、特定方向に偏光した光を選択的に透過させる。偏光フィルタ114は、特定方向に偏光した光以外の光成分を遮断する。太陽光などの光が海面又は地面によって反射されて生じる不要な反射光であるクラッタは偏光が揃う。偏光フィルタ114は、対象領域からの光に含まれるクラッタをカット(除去)するために使用される。
【0012】
フィルタ駆動機構115は、フィルタ部200を駆動する。例えば、フィルタ駆動機構115は、対象領域からの光の第1部分が偏光フィルタ114を介して撮像装置111に入射し、対象領域からの光の第2部分が偏光フィルタ114を介さずに撮像装置111に入射する第1の状態と、対象領域からの光の第1部分が偏光フィルタ114を介さずに撮像装置111に入射し、対象領域からの光の第2部分が偏光フィルタ114を介して撮像装置111に入射する第2の状態と、を切り替えるために、フィルタ部200を回転させる。
【0013】
図2は、フィルタ部200の構成の一例を概略的に示している。図2に示す例では、フィルタ部200は、偏光フィルタ114に加えて、円環状の枠部材201及び透過レンズ202を備える。偏光フィルタ114及び透過レンズ202は、平面視で半円形状を有し、偏光フィルタ114及び透過レンズ202で構成されるフィルタ面が円形状となるように互いに隣接して枠部材201により支持されている。
【0014】
フィルタ部200は、撮像装置111の光軸210がフィルタ面の中心を通り、撮像装置111の光軸210まわりに回転可能に設けられる。フィルタ部200が回転すると、フィルタ面が回転する。図2に示す状態は上述した第1の状態に対応し、フィルタ部200がフィルタ駆動機構115により180度回転された状態が上述した第2の状態に対応する。第1の状態では、対象領域からの光の第1部分が偏光フィルタ114を介して撮像装置111に入射し、対象領域からの光の第2部分が透過レンズ202を介して撮像装置111に入射する。第2の状態では、対象領域からの光の第1部分が透過レンズ202を介して撮像装置111に入射し、対象領域からの光の第2部分が偏光フィルタ114を介して撮像装置111に入射する。
【0015】
図1を再び参照すると、画像生成部116は、第1の状態で得られた第1の画像及び第2の状態で得られた第2の画像を撮像装置111から受け取り、第1の画像及び第2の画像から元画像及びフィルタ画像を生成する。元画像は、偏光フィルタ114を介さずに撮像装置111で対象領域を撮影することにより得られる画像を示し、フィルタ画像は、偏光フィルタ114を介して撮像装置111で対象領域を撮影することにより得られる画像を示す。
【0016】
図3に示すように、第1の画像では、左半分は、偏光フィルタ114を通過した対象領域からの光の第1部分に基づくフィルタ画像部分であり、右半分は、透過レンズ202を通過した対象領域からの光の第2部分に基づく元画像部分である。一方、第2の画像では、左半分は、透過レンズ202を通過した対象領域からの光の第1部分に基づく元画像部分であり、右半分は、偏光フィルタ114を通過した対象領域からの光の第2部分に基づくフィルタ画像部分である。画像生成部116は、第1の画像の左半分と第2の画像の右半分を結合してフィルタ画像を生成し、第1の画像の右半分と第2の画像の左半分を結合して元画像を生成する。
【0017】
図1を再び参照すると、画像処理部120は、元画像とフィルタ画像との比較に基づいて元画像からクラッタ成分を除去し、クラッタ成分を除去した元画像から目標を検出する。なお、画像処理部120は、元画像とフィルタ画像との比較に基づいてフィルタ画像からクラッタ成分を除去し、クラッタ成分を除去したフィルタ画像から目標を検出するようにしてもよい。画像処理部120は、算出部121、判定部122、及び検出部123を備える。
【0018】
算出部121は、元画像及びフィルタ画像から輝度値の減少率を画素ごとに算出する。具体的には、算出部121は、元画像の輝度値に対するフィルタ画像の輝度値の減少率を画素ごとに算出する。元画像における座標(x,y)の画素の輝度値をI(x,y)、フィルタ画像における座標(x,y)の画素の輝度値をI(x,y)、座標(x,y)における輝度値の減少率をD(x,y)とすると、輝度値の減少率D(x,y)は例えば下記式(1)と表すことができる。
D(x,y)=(I(x,y)-I(x,y))/I(x,y)・・・(1)
【0019】
判定部122は、画素ごとに、輝度値の減少率が所定の閾値を超えるか否かを判定する。判定部122は、減少率が所定の閾値を超える画素をクラッタに関する画素と判定する。クラッタに関する画素は、具体的には、クラッタを生じる物体(例えば海面又は地面)に関する画素、すなわち、目標とは異なる物体に関する画素を示す。
【0020】
図4は、元画像を概略的に示し、図5は、フィルタ画像を概略的に示している。図4に示すように、クラッタは目標が発する光よりも強度が強く、元画像では、クラッタを生じる物体に関する画素の輝度値が目標に関する画素の輝度値よりも大きい。図5に示すように、フィルタ画像では、偏光フィルタ114の効果によってクラッタがカットされ、クラッタを生じる物体に関する画素の輝度値が大きく低減する。一方、目標からの光は無偏光であるため、目標に関する画素の輝度値の低減は小さい。ただし、クラッタは目標からの光よりも強度が十分に強いことが想定され、その場合、フィルタ画像でも、クラッタを生じる物体に関する画素の輝度値が目標に関する画素の輝度値よりも大きくなる。
【0021】
上述したように偏光フィルタ114の効果によってクラッタを生じる物体に関する画素の輝度値が大きく低減することから、本実施形態では、元画像の輝度値に対するフィルタ画像の輝度値の減少率が大きい画素を、クラッタを生じる物体に関する画素と判定するようにしている。
【0022】
図1を再び参照すると、検出部123は、判定部122による画素ごとの判定結果に基づいて、元画像からクラッタ成分を除去し、クラッタ成分を除去した元画像から目標を検出する。例えば、検出部123は、元画像内のクラッタを生じる物体に関する各画素の輝度値をゼロに設定する。検出部123は、元画像上での目標の座標から目標の地理的位置(例えば緯度及び経度)をさらに算出してもよい。
【0023】
制御部130は、目標検出装置100の動作を制御する。具体的には、制御部130は、画像取得部110及び画像処理部120を制御する。例えば、制御部130は、撮像装置111の撮像タイミングと偏光フィルタ114を含むフィルタ部200の回転を同期させる。制御部130は、フィルタ部200が上述した第1の状態となるようにフィルタ駆動機構115を制御し、撮像装置111に対象領域の撮像を行わせる。続いて、制御部130は、フィルタ部200が上述した第2の状態となるようにフィルタ駆動機構115を制御し、撮像装置111に対象領域の撮像を行わせる。
【0024】
上述した画像生成部116、画像処理部120、及び制御部130は、コンピュータなどの情報処理装置150に実装され得る。情報処理装置150は、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサ、メモリ、及び入出力インタフェースを備える。メモリは、目標検出プログラムなどのプログラムやデータを記憶する。目標検出プログラムは、汎用プロセッサにより実行されると、画像生成部116、画像処理部120、及び制御部130に関して説明する処理を汎用プロセッサに行わせる。入出力インタフェースは、撮像装置111及びフィルタ駆動機構115と通信するためのインタフェースである。
【0025】
なお、画像生成部116、画像処理部120、及び制御部130に関して説明する処理の少なくとも一部は、汎用プロセッサに代えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの専用プロセッサにより行われてもよい。
【0026】
次に、目標検出装置100の動作について説明する。
【0027】
図7は、一実施形態に係る目標検出方法の処理手順の一例を概略的に示している。図7に示す目標検出方法は、図1に示す目標検出装置100により実行され得る。
【0028】
図7のステップS701において、画像取得部110は、元画像及びフィルタ画像を取得する。例えば、フィルタ駆動機構115は、フィルタ部200を回転させ、それにより、対象領域からの光の第1部分が偏光フィルタ114を介して撮像装置111に入射し、対象領域からの光の第2部分が透過レンズ202を介して撮像装置111に入射する第1の状態を生成する。撮像装置111は、第1の状態で対象領域を撮影して第1の画像を得る。続いて、フィルタ駆動機構115は、フィルタ部200を回転させ、それにより、対象領域からの光の第1部分が透過レンズ202を介して撮像装置111に入射し、対象領域からの光の第2部分が偏光フィルタ114を介して撮像装置111に入射する第2の状態を生成する。撮像装置111は、第2の状態で対象領域を撮影して第2の画像を得る。画像生成部116は、第1の画像の左半分と第2の画像の右半分を結合してフィルタ画像を生成し、第1の画像の右半分と第2の画像の左半分を結合して元画像を生成する。
【0029】
ステップS702において、算出部121は、元画像の輝度値に対するフィルタ画像の輝度値の減少率を画素ごとに算出する。例えば、算出部121は、上記の式(1)に従って輝度値の減少率を画素ごとに算出する。
【0030】
ステップS703において、判定部122は、輝度値の減少率が所定の閾値を超えるか否かを画素ごとに判定する。判定部122は、輝度値の減少率が所定の閾値を超える画素を、クラッタに関する画素と判定し、輝度値の減少率が所定の閾値以下である画素を目標に関する可能性がある画素と判定する。なお、判定部122は、輝度値の減少率が所定の閾値以上である画素を、目標とは異なる物体に関する画素と判定し、輝度値の減少率が所定の閾値を下回る画素を目標の可能性がある画素と判定してもよい。
【0031】
ステップS704において、検出部123は、ステップS703で得られる画素ごとの判定結果に基づいて元画像からクラッタ成分を除去し、クラッタ成分を除去した元画像から目標を検出する。例えば、検出部123は、元画像においてクラッタに関する画素の輝度値をゼロに設定する。
【0032】
以上のように、目標検出装置100では、画像取得部110は、偏光フィルタ114を介さずに撮像装置111で対象領域を撮影することで得られる元画像と、偏光フィルタ114を介して撮像装置111で対象領域を撮影することで得られるフィルタ画像と、を取得する。算出部121は、元画像の輝度値に対するフィルタ画像の輝度値の減少率を画素ごとに算出する。判定部122は、減少率が所定の閾値を超える画素をクラッタに関する画素と判定する。検出部123は、画素ごとの判定結果に基づいて元画像からクラッタ成分を除去し、クラッタ成分を除去した元画像から目標を検出する。当該構成では、クラッタに関する画素を効果的に特定することができ、その結果、目標検出性能が向上する。
【0033】
元画像の輝度値に対するフィルタ画像の輝度値の減少率と閾値を画素ごとに比較することでクラッタに関する画素を特定することは、検出部123において、元画像からクラッタ成分を除去することを可能にし、元画像から目標を精度良く検出することを可能にする。すなわち、目標検出性能を向上させることができる。
【0034】
図1及び図2に示す画像取得部110の構成は一例に過ぎない。画像取得部110は、元画像及びフィルタ画像を取得することができれば、いかなる構成であってもよい。
【0035】
図8は、実施形態に係る目標検出装置800を概略的に示している。図8において、図1に示した部分と同様の部分に同様の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0036】
図8に示すように、目標検出装置800は、画像取得部810、画像処理部120、及び制御部830を備える。
【0037】
画像取得部810は、撮像装置811、812、偏光フィルタ813、及び画像受信部814を備える。撮像装置811、812は、各々が同じ対象領域を撮像するように並んで配置されている。偏光フィルタ813は撮像装置811の前方に配置され、対象領域からの光は偏光フィルタ813を介して撮像装置811に入射する。当該構成では、撮像装置811及び偏光フィルタ813はフィルタ画像を得るために使用され、撮像装置812は元画像を得るために使用される。画像受信部814は、撮像装置811からフィルタ画像を受け取り、撮像装置812から元画像を受け取り、フィルタ画像及び元画像を画像処理部120へ入力する。
【0038】
制御部830は、目標検出装置800の動作を制御する。具体的には、制御部830は、画像取得部810及び画像処理部120を制御する。例えば、制御部830は、撮像装置811、812に対象領域の撮像を同時に行わせる。
【0039】
上述した構成を有する目標検出装置800では、上述した目標検出装置100と同様に、クラッタに関する画素を効果的に特定することができ、その結果、目標検出性能が向上する。
【0040】
目標検出装置100は1台の撮像装置を備え、目標検出装置800は2台の撮像装置を備えることから、目標検出装置100のほうが設置スペースが小さくて済むという利点がある。
【0041】
上述した実施形態では、輝度値の減少率を画素単位で算出する。代替として、輝度値の減少率は、4×4の画素ブロックなどの画素ブロック単位で算出するようにしてもよい。画素ブロックの輝度値は、画素ブロック内の画素の輝度値の平均であってよい。ここでは、1つの画素又は画素ブロック(複数の画素)を総称する用語としてセグメントを使用する。すなわち、セグメントは1つの画素又は複数の画素からなる。一般化すると、算出部121は、元画像の輝度値に対するフィルタ画像の輝度値の減少率をセグメントごとに算出し、判定部122は、減少率が所定の閾値を超えるか否かをセグメントごとに判定する。
【0042】
上述した実施形態では、撮像装置として赤外線カメラを使用する。代替として、撮像装置としてカラー画像を得るデジタルカメラを使用してもよい。カラー画像を得るデジタルカメラを使用する実施形態では、算出部121は、元画像及びフィルタ画像の各々について画素ごとに所定の変換式に従ってR値、G値、及びB値を輝度値に変換したうえで、元画像の輝度値に対するフィルタ画像の輝度値の減少率を算出する。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
100…目標検出装置、110…画像取得部、111…撮像装置、112…光学系、113…センサ、114…偏光フィルタ、115…フィルタ駆動機構、116…画像生成部、120…画像処理部、121…算出部、122…判定部、123…検出部、130…制御部、150…情報処理装置、200…フィルタ部、201…枠部材、202…透過レンズ、210…光軸、800…目標検出装置、810…画像取得部、811…撮像装置、812…撮像装置、813…偏光フィルタ、814…画像受信部、830…制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8