(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005894
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240110BHJP
G01S 17/10 20200101ALI20240110BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/10
G01C3/06 120Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106333
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本橋 和也
【テーマコード(参考)】
2F112
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA07
2F112CA12
2F112DA11
2F112DA19
2F112DA25
2F112DA28
2F112DA32
2F112EA05
2F112GA10
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA40
5J084BB20
5J084BB40
5J084CA03
5J084CA31
5J084CA74
5J084EA01
5J084EA12
(57)【要約】
【課題】ノイズの影響を抑制する。
【解決手段】本開示に係る測定装置は、所定の波長帯域の範囲で温度に応じた波長の光を照射する発光部と、前記所定の波長帯域の光を通過させ、前記発光部から照射された光の反射光を通過させるフィルタと、複数の受光素子を有する受光センサと、前記フィルタと前記受光センサとの間に配置され、前記フィルタを通過した光を2以上の前記受光素子に分散させる分散素子と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長帯域の範囲で温度に応じた波長の光を照射する発光部と、
前記所定の波長帯域の光を通過させ、前記発光部から照射された光の反射光を通過させるフィルタと、
複数の受光素子を有する受光センサと、
前記フィルタと前記受光センサとの間に配置され、前記フィルタを通過した光を2以上の前記受光素子に分散させる分散素子と、
を備える測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定装置であって、
温度センサと、
前記温度センサの温度データに対応する前記受光素子の受光データに基づいて距離を測定する制御部と
を備える測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載の測定装置であって、
温度センサと、
前記受光素子が所定の受光データを出力する状況下において、前記温度センサの温度データが変化すると、異なる距離を出力する制御部と
を備える測定装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の測定装置であって、
前記温度センサの前記温度データに対応付けた重みデータを記憶する記憶部を備え、
前記制御部は、
前記温度センサの前記温度データに対応する前記重みデータを前記記憶部から取得し、
2以上の前記受光素子のそれぞれの受光データに、前記重みデータに応じた重み付けを行うことによって、前記距離を測定する、
測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記分散素子は、メタマテリアルにより構成されている、測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の測定装置であって、
前記分散素子は、前記フィルタを通過した光を前記受光センサに集光させる機能を有する、測定装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の測定装置であって、
前記分散素子は、所定方向に振動する光を通過させつつ、前記所定方向と交差する方向に振動する光を吸収する機能を有する、測定装置。
【請求項8】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記分散素子は、プリズム又は回折格子により構成されている、測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の測定装置であって、
前記フィルタと前記分散素子との間に配置され、前記フィルタを通過した光を前記分散素子に集光する集光レンズを備える、測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パルス光を射出してから反射光を受光するまでの光の飛行時間に基づいて、反射物までの距離を測定する測距装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光等の背景光によるノイズの影響を低減させるため、受光用光学系にバンドパスフィルタを設けることがある。但し、発光部から出射される光の波長が温度に応じて変化する場合、バンドパスフィルタの通過帯域を拡張する必要がある。この結果、受光素子の受光データに混入するノイズが増加して、測定精度が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、ノイズの影響を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための本発明の一形態は、所定の波長帯域の範囲で温度に応じた波長の光を照射する発光部と、前記所定の波長帯域の光を通過させ、前記発光部から照射された光の反射光を通過させるフィルタと、複数の受光素子を有する受光センサと、前記フィルタと前記受光センサとの間に配置され、前記フィルタを通過した光を2以上の前記受光素子に分散させる分散素子と、を備える測定装置である。
【0007】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ノイズの影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、測定装置1の全体構成の説明図である。
【
図3】
図3は、測定方法の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】
図4Aは、本実施形態の受光部20の説明図である。
図4Bは、参考例の受光部20の説明図である。
【
図5】
図5は、第1測定方法に用いられる対応テーブルである。
【
図7】
図7Aは、第2測定方法に用いられるテーブルである。
図7Bは、第2測定方法の説明図である。
【
図8】
図8は、発光素子121と受光素子222との対応関係の説明図である。
【
図9】
図9は、発光素子121と受光素子222との別の対応関係の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において、同一の又は類似する構成について共通の符号を付して重複した説明を省略することがある。
【0011】
<全体構成>
図1は、測定装置1の全体構成の説明図である。
図2は、測定装置1の概略説明図である。
【0012】
以下の説明では、
図2に示すように各方向を定めている。Z方向は、受光用光学系24の光軸に沿った方向である。なお、測定装置1の測定対象となる対象物90は、測定装置1に対してZ方向に離れていることになる。また、X方向及びY方向は、Z方向に対して垂直な方向である。なお、発光部12を構成する複数の発光素子121は、X方向及びY方向に沿って2次元配置されている。受光センサ22の複数の画素221も、X方向及びY方向に沿って2次元配置されている。
【0013】
測定装置1は、対象物90までの距離を測定する装置である。測定装置1は、いわゆるLiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)としての機能を有する装置である。測定装置1は、測定光を出射し、対象物90の表面で反射した反射光を検出し、測定光を出射してから反射光を受光するまでの時間を計測することによって、対象物90までの距離をTOF方式(Time of flight)で測定する。測定装置1は、照射部10と、受光部20と、制御部30とを有する。また、本実施形態の測定装置1は、温度センサ41を有する。
【0014】
照射部10は、対象物90に向かって測定光を照射する照射装置である。照射部10は、所定の画角で測定エリア50(
図2参照)に測定光を照射する。照射部10は、発光部12と、投光用光学系14とを有する。発光部12は、光を出射する部材(光源)である。例えば、発光部12は、面発光レーザー(VCSEL)アレイチップで構成されている。発光部12は、発光素子121(例えば面発光レーザー;VCSEL)を複数有しており、複数の発光素子121はX方向及びY方向に沿って2次元配置されている。投光用光学系14は、発光部12から出射された光を測定エリア50に照射する光学系である。発光部12は、それぞれの発光素子121を個別に発光させることができる。発光部12のそれぞれの発光素子121は、投光用光学系14を介して、測定エリア50の所定の領域に対応付けられている。或る発光素子121から出射した光は、投光用光学系14を介して、測定エリア50の対応する領域に照射されることになる。但し、照射部10は、発光部12の発光面全体から光を出射して、測定エリア50の全体に光を一括照射するように構成されても良い。なお、発光素子121が照射する光の波長は、温度に応じて変化する。この点については後述する。
【0015】
受光部20は、対象物90からの反射光を受光する。受光部20は、測定エリア50(
図2参照)からの反射光を受光することになる。受光部20は、受光センサ22と、受光用光学系24とを有する。受光センサ22は、2次元配置された複数の画素221を有する。例えば、VGAの受光センサ22の場合、480×640の画素221が2次元配置されている。各画素221は、受光素子222を有しており、受光素子222は、受光量に応じた信号(受光データ)を出力する。受光用光学系24は、測定エリア50からの反射光を受光部20に受光させる光学系である。受光用光学系24は、測定エリア50の像を受光センサ22の受光面で結像させる。受光センサ22のそれぞれの画素221は、受光用光学系24を介して、測定エリア50の所定の領域に対応付けられている。受光センサ22の或る画素221は、受光用光学系24を介して、測定エリア50の対応する領域からの光(反射光及び背景光)を受光することになる。また、受光センサ22のそれぞれの画素221は、発光部12の所定の発光素子121と対応付けられている。或る発光素子121から出射した光は、投光用光学系14及び受光用光学系24を介して、対応する画素221に受光されることになる。なお、受光センサ22や受光用光学系24については、後述する。
【0016】
制御部30は、測定装置1の制御を司る。制御部30は、照射部10を制御し、照射部10から照射させる光を制御する。また、制御部30は、受光部20の出力結果に基づいて、対象物90までの距離をTOF方式(Time of flight)で測定する。制御部30は、不図示の演算装置及び記憶装置を有する。演算装置は、例えばCPU、GPUなどの演算処理装置である。演算装置の一部がアナログ演算回路で構成されても良い。記憶装置は、主記憶装置と補助記憶装置とにより構成され、プログラムやデータを記憶する装置である。記憶装置に記憶されているプログラムを演算装置が実行することにより、対象物90までの距離を測定するための各種処理が実行される。
図1には、各種処理の機能ブロックが示されている。
【0017】
制御部30は、設定部32と、タイミング制御部34と、測距部36とを有する。設定部32は、各種設定を行う。タイミング制御部34は、各部の処理タイミングを制御する。例えば、タイミング制御部34は、発光部12から光を射出させるタイミングなどを制御する。測距部36は、対象物90までの距離を測定する。測距部36は、信号処理部362と、時間検出部364と、距離算出部366とを有する。信号処理部362は、受光センサ22の出力信号(受光データ)を処理する。時間検出部364は、光の飛行時間(光を照射してから反射光が到達するまでの時間)を検出する。距離算出部366は、対象物90までの距離を算出する。
【0018】
図3は、測定方法の一例を説明するためのタイミングチャートである。
【0019】
制御部30(タイミング制御部34)は、照射部10の発光部12に所定の周期でパルス光を出射させる。
図3の上側には、発光部12がパルス光を出射するタイミング(出射タイミング)が示されている。発光部12から出射された光は、投光用光学系14を介して測定エリア50に照射される。測定エリア50内の対象物90の表面で反射した光は、受光用光学系24を介して受光センサ22に受光される。受光センサ22の画素221は、パルス状の反射光を受光することになる。
図3の中央には、パルス状の反射光が到達するタイミング(到達タイミング)が示されている。
図3の下側には、受光センサ22の或る画素221の画素データS(或る画素221の受光素子222の受光データ)が示されている。受光センサ22の画素データSは、画素221の受光量を示すデータである。
【0020】
制御部30(タイミング制御部34)は、発光部12の全ての発光素子121から光を出射させて測定エリア50の全体に光を一括して照射しても良いし、発光部12の一部の発光素子121(例えば1つの発光素子121)から光を出射させて測定エリア50の所定の領域のみに光を照射しても良い。発光部12の一部の発光素子121(例えば1つの発光素子121)から光を出射させる場合、制御部30(信号処理部362)は、発光させた発光素子121に対応する画素221の画素データSを取得することになる。制御部30が取得する画素データSについては、後述する。
【0021】
制御部30の測距部36(信号処理部362)は、各画素221の画素データSに基づいて、反射光の到達タイミングを検出する。例えば、信号処理部362は、各画素221の画素データのピークのタイミングに基づいて、反射光の到達タイミングを検出する。
測距部36(時間検出部364)は、光の出射タイミングと、光の到達タイミングとに基づいて、光を照射してから反射光が到達するまでの時間Tfを検出する。時間Tfは、測定装置1と対象物90との間を光が往復する時間に相当する。そして、測距部36(距離算出部366)は、時間Tfに基づいて、対象物90までの距離Lを算出する。なお、光を照射してから反射光が到達するまでの時間をTfとし、光の速度をCとしたとき、距離Lは、L=C×Tf/2となる。制御部30は、受光部20の画素221ごとに検出した時間Tfに基づいて、画素221ごとに対象物90までの距離を算出することによって、距離画像を生成する。
【0022】
<受光部20について>
図4Bは、参考例の受光部20の説明図である。
【0023】
受光用光学系24は、集光レンズ241と、バンドパスフィルタBPFとを有する。集光レンズ241は、測定エリア50の像を受光センサ22の受光面に結像させる光学素子である。バンドパスフィルタBPFは、特定の波長の光を通過させ、当該特定波長以外の光をカットするフィルタである。以下の説明では、バンドパスフィルタBPFを通過する光の波長帯域のことを「通過帯域」と呼び、バンドパスフィルタBPFにカットされる光の波長帯域のことを「遮断帯域」と呼ぶことがある。バンドパスフィルタBPFは、反射光を透過させる必要があるため、少なくとも、発光部12から照射される光の波長を透過可能である。つまり、バンドパスフィルタBPFの通過帯域には、発光部12から出射される光の波長が少なくとも含まれる必要がある。受光用光学系24がバンドパスフィルタBPFを備えることにより、太陽光等の背景光における遮断帯域の光をカットできるため、背景光によるノイズの影響を抑制することができる。
【0024】
一方、発光部12から出射する光の波長λは、温度に応じて変化する。例えば、発光部12の温度が上昇すると、発光部12から出射する光の波長λは長くなる。ここでは一例として、発光部12から出射する光の波長λは、温度に応じて875~935nmの範囲で変化するものとする。また、発光部12の温度がT1~T3の範囲で変化するものとし、温度T1のときの波長λ1は875nmであり、温度T2のときの波長λ2は905nmであり、温度T3のときの波長λ3は935nmであるものとする。発光部12は、λ1(=875nm)~λ3(=935nm)の波長帯域の範囲で、温度に応じた波長λの光を出射することになる。
【0025】
バンドパスフィルタBPFは、発光部12から照射される光の波長を透過させる必要があるため、発光部12から出射する光の波長が温度に応じて所定の波長帯域(λ1(=875nm)~λ3(=935nm)の範囲)で変化する場合、バンドパスフィルタBPFは、その波長帯域(λ1~λ3の範囲)の光を透過させる必要がある。つまり、発光部12から出射される光の波長帯域(λ1~λ3の範囲)の全てが含まれるように、バンドパスフィルタBPFの通過帯域を拡張する必要がある。但し、バンドパスフィルタBPFの通過帯域が拡張された結果、バンドパスフィルタBPFを通過する背景光(背景光における通過帯域の光)が増加してしまう。このため、参考例に示す構成の場合、画素データS(画素221の受光量を示すデータ)に含まれるノイズが増加してしまう。
【0026】
【0027】
本実施形態の受光用光学系24は、バンドパスフィルタBPFと、分散素子25とを有する。なお、図中の受光用光学系24は集光レンズ241を備えるが、後述するように、受光用光学系24は集光レンズ241を備えていなくても良い。本実施形態においても、バンドパスフィルタBPFの通過帯域は、発光部12から出射される光の波長帯域(λ1(=875nm)~λ3(=935nm)の範囲)の全てを含むように、設定されている。
【0028】
分散素子25は、光を分散させる光学素子である。分散素子25は、バンドパスフィルタBPFと受光センサ22との間に配置されている。バンドパスフィルタBPFを通過した光が分散素子25に入射し、分散素子25によって分散された光は、受光センサ22の受光素子222に入射する。本実施形態の分散素子25は、バンドパスフィルタBPFを通過した光(バンドパスフィルタBPFの通過帯域の光)を、複数の受光素子222にわたって分散させるように設定されている。言い換えると、分散素子25は、バンドパスフィルタBPFを通過した光を、複数の受光素子222に分光する。ここでは、或る発光素子121に対して3個の受光素子222が対応付けられているものとし、この3個の受光素子222のことをそれぞれ第1受光素子222A、第2受光素子222B及び第3受光素子222Cと呼ぶことがある。また、第1受光素子222Aの受光データをS1、第2受光素子222Bの受光データをS2、第3受光素子222Cの受光データをS3と示すことがある。分散素子25は、この発光素子121に対応する測定エリア50の所定の領域(この発光素子121から出射した光が照射される測定エリア50上の領域)から届く光であって、バンドパスフィルタBPFの通過帯域の光を、この発光素子121に対応付けられている3個の受光素子222(第1受光素子222A、第2受光素子222B及び第3受光素子222C)にわたって分散させる。
なお、分散素子25がバンドパスフィルタBPFの通過帯域の光を分散する範囲は、3個分の受光素子222にわたる範囲に限られるものではなく、2以上の複数の受光素子222にわたる範囲であれば良い。
【0029】
分散素子25は、プリズム、回折格子、メタマテリアル等で構成することができる。メタマテリアルは、基板(例えばガラス基板)に光の波長よりも小さい微小構造体を配置した光学素子である。分散素子25は、微小構造体を3次元配置したメタマテリアルで構成しても良いし、微小構造体を2次元配置したメタマテリアル(メタサーフェス)で構成しても良い。
【0030】
メタマテリアルによって、集光機能を有する光学素子(メタレンズ)を構成することが可能である。このため、本実施形態の分散素子25をメタマテリアルで構成する場合、バンドパスフィルタBPFを通過した光を受光センサ22に集光させる機能(集光機能)を分散素子25に兼ね備えさせることが可能である。これにより、受光用光学系24の小型化を図ることが可能である。なお、メタマテリアルで構成された分散素子25が集光機能を有する場合、受光用光学系24は、図中の集光レンズ241を備えていなくても良い。一方、受光用光学系24が集光レンズ241を備えることにより、分散素子25に集光機能を兼ね備えさせる必要がないため、分散素子25の設計上の制約が軽減されるので、メタマテリアルにより分散素子25を構成することが容易になる。
【0031】
また、メタマテリアルによって、偏光フィルタ機能を有する光学素子を構成することが可能である。このため、本実施形態の分散素子25をメタマテリアルで構成する場合、所定方向に振動する光を通過させつつ、所定方向と交差する方向に振動する光を吸収する機能(偏光フィルタ機能)を分散素子25に兼ね備えさせることが可能である。例えば、発光部12が出射する光が所定方向に振動する光である場合、メタマテリアルで構成された分散素子25が所定方向に振動する光を通過させつつ、所定方向と交差する方向に振動する光を吸収することによって、ノイズの影響を抑制することができる。また、例えば、分散素子25が偏光軸を鉛直方向とし吸収軸を水平方向とする偏光フィルタ機能を有することによって、対象物90から直接届く反射光は通過させつつ、路面を反射した反射光(水平方向に振動する光)を吸収することができる。このように、分散素子25が偏光フィルタ機能を有することによって、不要な光によるノイズの影響を抑制できる。
【0032】
分散素子25は、プリズムや回折格子で構成されても良い。但し、分散素子25をプリズムで構成した場合、光の偏角が小さいため、複数の受光素子222にわたって光を分散させるためには分散素子25と受光センサ22との間隔を長く設定する必要がある。また、分散素子25を回折格子で構成した場合、回折格子の刻線数が少ないと、プリズムと同様に、分散素子25と受光センサ22との間隔を長く設定する必要がある。また、刻線数が多い回折格子で分散素子25を構成しても、回折効率に応じた光の損失によって、受光素子222が受光する光の強度が低下する。これに対し、分散素子25をメタマテリアルで構成した場合、分散素子25と受光センサ22との間隔を短く設定できるとともに、受光素子222の受光する光の強度の低下も抑制できる。例えば、分散素子25をプリズムで構成した場合には、分散素子25と受光センサ22との間隔を数10mm程度に設定する必要があるのに対し、分散素子25をメタマテリアルで構成した場合には、分散素子25と受光センサ22との間隔を約10μm程度に設定することが可能である。
【0033】
例えば、温度がT1のとき、発光部12は波長λ1(=875nm)の光を出射し、波長λ1の反射光は、分散素子25によって、第1受光素子222Aに分光される。また、温度がT2のとき、発光部12は波長λ2(=905nm)の光を出射し、波長λ2の反射光は、分散素子25によって、第2受光素子222Bに分光される。また、温度がT3のとき、発光部12は波長λ3(=935nm)の光を出射し、波長λ3の反射光は、分散素子25によって、第3受光素子222Cに分光される。このように、分散素子25は、反射光(発光部12が出射した波長の光)を、波長に応じた方向の受光素子222に分光する。
【0034】
背景光のうち、波長λ1~λ3の範囲の波長の背景光は、バンドパスフィルタBPFを通過する。本実施形態では、バンドパスフィルタBPFを通過した背景光は、分散素子25に入射し、3個の受光素子222にわたって分散される。このため、本実施形態に示す構成の場合、参考例と比べて、画素データS(画素221の受光量を示すデータ;反射光を受光した受光素子222の受光データ)に含まれるノイズの影響を約1/3に減らすことができる。本実施形態に示す構成の場合、参考例と比べて、SN比が約3倍に向上する。
【0035】
図1に示すように、測定装置1は、温度センサ41を備えている。温度センサ41は、測定装置1の温度(特に発光部12の温度)を測定するセンサである。温度センサ41は、測定結果を示す温度データを制御部30に出力する。制御部30は、温度センサ41の温度データに対応する受光素子222の受光データに基づいて距離を測定する。以下、この点について説明する。
【0036】
<第1測定方法>
図5は、第1測定方法に用いられる対応テーブルである。
制御部30の信号処理部362には、
図5に示す対応テーブルが予め記憶されている。対応テーブルには、温度Tと、画素データSとすべき受光データとが対応付けられている。
【0037】
なお、温度がT1~T12のとき、発光部12は、875~895nmの波長の光を出射し、分散素子25は、この波長帯域の光を第1受光素子222Aに向けて分光する。温度がT12~T23のとき、発光部12は、895~915nmの波長の光を出射し、分散素子25は、この波長帯域の光を第2受光素子222Bに向けて分光する。温度がT23~T3のとき、発光部12は、915~935nmの波長の光を出射し、分散素子25は、この波長帯域の光を第3受光素子222Cに向けて分光する。
【0038】
図6A~
図6Cは、第1測定方法の説明図である。
信号処理部362は、温度センサ41から取得した温度データに基づいて対応テーブルを参照し、画素データSとすべき受光データを決定する。例えば、温度センサ41の温度データがT1~T12の範囲(ここではT1以上T12以下)の場合、
図6Aに示すように、信号処理部362は、対応テーブルに基づいて、光を出射する発光素子121に対応する3個の受光素子222(第1受光素子222A、第2受光素子222B及び第3受光素子222C)の中から、第1受光素子222Aの受光データS1を取得する。同様に、制御部30は、温度センサ41の温度データがT12~T23の範囲の場合、
図6Bに示すように、対応テーブルに基づいて、第2受光素子222Bの受光データS2を取得する。また、制御部30は、温度センサ41の温度データがT23~T3の範囲の場合、
図6Cに示すように、対応テーブルに基づいて、第3受光素子222Cの受光データS3を取得する。信号処理部362は、温度に応じて選択した受光素子222から受光データを取得することによって、発光素子121に対応する画素221の画素データSを取得する。
【0039】
制御部30の測距部36(信号処理部362)は、温度に応じて選択した受光素子222から取得した受光データ(画素221の画素データS;
図3参照)に基づいて、反射光の到達タイミングを検出する。そして、測距部36(時間検出部364)は、光の出射タイミングと、光の到達タイミングとに基づいて、光を照射してから反射光が到達するまでの時間Tfを検出する。また、測距部36(距離算出部366)は、時間Tfに基づいて、対象物90までの距離Lを算出する。
【0040】
ところで、第1測定方法が採用された測定装置1の場合、第1受光素子222A~第3受光素子222Cが所定の受光データを出力する状況(基準状況)の下において温度センサ41の温度データを変化させると、制御部30は、異なる距離を出力するという現象が現れる。以下、この点について説明する。
まず、発光部12が所定の温度(基準温度)であり、測定装置1と対象物90との間に所定の距離(基準距離)をあけ、第1受光素子222A~第3受光素子222Cが所定の受光データS1~S3を出力する状況を設定し、この状況を基準状況とする。なお、基準温度や基準距離は、任意に設定可能である。例えば、基準温度がT2の場合、発光部12は波長λ2(=875nm)の光を出射し、分散素子25は、波長λ2の反射光を第2受光素子222Bに向けて分光するとともに、バンドパスフィルタBPFを通過する波長λ1~λ3の光を波長に応じて3個の受光素子222にわたって分散させる状況になり、3個の受光素子222は、この基準状況に応じた受光データS1~S3をそれぞれ出力することになる。なお、制御部30は、温度T2が温度T12~T23の範囲であることから、
図6Bに示すように第2受光素子222Bの受光データS2を画素データSとして取得し、画素データSに基づいて算出した距離を出力することになる。
次に、上記の基準状況下において、温度センサ41の温度データを変化させる。なお、ここでは、制御部30が取得する温度データを変化させるだけであり(言い換えると、制御部30にダミーの温度データを入力するだけであり)、発光部12が出射する光の波長は基準状況と同じであり、受光素子222が出力する受光データも基準状況と同じある。例えば、基準温度がT2の場合、温度センサ41の温度データをT1に変化させるときにも、発光部12は波長λ2(=875nm)の光を出射し、3個の受光素子222は、それぞれ基準状況と同じ受光データS1~S3をそれぞれ出力することになる。基準状況下において温度センサ41の温度データを変化させると、制御部30が取得する受光データが変化するため、制御部30は、異なる距離を出力することになる。例えば、基準状況下において温度センサ41の温度データをT2からT1に変化させると、発光部12の温度や、測定装置1と対象物90との距離が保たれており、第1受光素子222A~第3受光素子222Cが出力する受光データS1~S3が同じ状況下であるにも関わらず、制御部30は、出力する距離を、第2受光素子222Bの受光データS2に応じた距離から、第1受光素子222Aの受光データS1に応じた距離に変化させることになる。このように、第1測定方法が採用された測定装置1の場合、受光素子222が所定の受光データを出力する状況(基準状況)の下において温度センサ41の温度データが変化すると、制御部30は、異なる距離を出力することになる。つまり、受光素子222が所定の受光データを出力する状況(基準状況)の下において温度センサ41の温度データを変化させることによって、温度センサ41の温度データに対応する受光素子222の受光データに基づいて距離を測定することを検証することが可能である。
【0041】
<第2測定方法>
分散素子25が受光素子222に向けて出射する光の角度は、波長に応じて徐々に変化する。このため、分散素子25が2つの受光素子222(例えば第1受光素子222Aと第2受光素子222B)の境界部に向けて反射光を分光し、2つの受光素子222が反射光を受光することがある。このような場合、第1測定方法のように3個の受光素子222うちの1つの受光素子222の受光データに基づいて距離を測定するよりも、反射光を受光する2つの受光素子222の受光データに基づいて距離を測定する方が有利である。第2測定方法では、温度データに応じて2以上の受光素子222の受光データに基づいて距離を測定することが可能である。
【0042】
図7Aは、第2測定方法に用いられるテーブルである。
図7Bは、第2測定方法の説明図である。
【0043】
制御部30の記憶部(不図示)には、
図7に示す重みテーブルが予め記憶されている。重みテーブルには、温度Tと、重み係数とが対応付けられている。重み係数は、温度センサ41の温度データに対応付けた重みデータに相当する。重み係数には、第1重み係数W1と、第2重み係数W2と、第3重み係数W3とが含まれている。第1重み係数W1は、第1受光素子222Aの受光データS1に対する重み係数である。第2重み係数W2は、第2受光素子222Bの受光データS2に対する重み係数である。第3重み係数W3は、第3受光素子222Cの受光データS3に対する重み係数である。
【0044】
信号処理部362は、温度センサ41から取得した温度データに対応する重み係数(重みデータ)を、記憶部に記憶されている重みテーブルから取得する。すなわち、信号処理部362は、温度センサ41から取得した温度データに基づいて重みテーブルを参照し、温度データに対応する重み係数(第1重み係数W1、第2重み係数W2及び第3重み係数W3)を取得する。そして、信号処理部362は、光を出射した発光素子121に対応する3個の受光素子222(第1受光素子222A、第2受光素子222B及び第3受光素子222C)の受光データS1~S3をそれぞれ取得し、それぞれの受光素子222の受光データS1~S3に対して重み係数に応じた重み付けを行うことによって、画素データSを算出する。具体的には、信号処理部362は、次式に基づいて画素データSを算出する。
S=S1×W1+S2×W2+S3×W3
【0045】
例えば、温度T1の場合(波長λ1(=875nm)の反射光が分散素子25によって第1受光素子222Aに分光される場合)に対して、重み係数はそれぞれW1=1、W2=0、W3=0に設定されている。また、温度T2の場合(波長λ2(=905nm)の反射光が分散素子25によって第2受光素子222Bに分光される場合)に対して、重み係数はそれぞれW1=0、W2=1、W3=0に設定されている。また、温度T3の場合(波長λ3(=935nm)の反射光が分散素子25によって第3受光素子222Cに分光される場合)、重み係数はそれぞれW1=0、W2=0、W3=1に設定されている。そして、温度TがT1とT2の中間の温度の場合、温度TがT2よりもT1に近いほど、W1はW2よりも大きくなるようにW1,W2が設定されている(W3はゼロに設定されている)。これにより、分散素子25が第1受光素子222Aと第2受光素子222Bとの境界部に反射光を分光する状態であっても、精度良く距離を測定することができる。また、温度TがT2とT3の中間の温度の場合、温度TがT3よりもT2に近いほど、W2はW3よりも大きくなるようにW2,W3が設定されている(W1はゼロに設定されている)。これにより、分散素子25が第2受光素子222Bと第3受光素子222Cとの境界部に反射光を分光する状態であっても、精度良く距離を測定することができる。
【0046】
なお、制御部30の測距部36(信号処理部362)は、算出した画素データSに基づいて、反射光の到達タイミングを検出する(
図3参照)。そして、測距部36(時間検出部364)は、光の出射タイミングと、光の到達タイミングとに基づいて、光を照射してから反射光が到達するまでの時間Tfを検出する。また、測距部36(距離算出部366)は、時間Tfに基づいて、対象物90までの距離Lを算出する。
【0047】
ところで、第2測定方法が採用された測定装置1の場合であっても、受光素子222が所定の受光データを出力する状況(基準状況)の下において温度センサ41の温度データが変化すると、制御部30は、異なる距離を出力することになる。つまり、受光素子222が所定の受光データを出力する状況(基準状況)の下において温度センサ41の温度データを変化させることによって、温度センサ41の温度データに対応する受光素子222の受光データに基づいて距離を測定することを検証することが可能である。なお、第2測定方法が採用された測定装置1の場合、温度センサ41の温度データを徐々に変化させると、制御部30が出力する距離が徐々に変化する。
【0048】
<照射方法について>
図8は、発光素子121と受光素子222との対応関係の説明図である。また、
図8は、画素221と受光素子222との対応関係の説明図でもある。
【0049】
既に説明した通り、発光部12は、複数の発光素子121を備えている。図中には、発光部12の複数の発光素子121のうちの隣接する2つの発光素子121(#1、#2)が示されている。また、図中には、2つの発光素子121(#1、#2)に対応する測定エリア50上の領域(#1、#2)が示されている。また、図中には、2つの発光素子121(#1、#2)や測定エリア50上の2つの領域(#1、#2)と対応する2つのお受光センサ22の画素221(#1、#2)が示されている。2つの画素221(#1、#2)は、発光部12の2つの発光素子121(#1、#2)とそれぞれ対応する。発光素子121#1から出射した光は、測定エリア50上の領域#1に照射されるとともに、領域#1からの光(反射光及び背景光)は、画素221#1に受光されることになる。また、発光素子121#2から出射した光は、測定エリア50上の領域#2に照射されるとともに、領域#2からの光(反射光及び背景光)は、画素221#2に受光されることになる。
【0050】
図8に示す形態では、受光センサ22の1つの画素221に複数(ここでは3個)の受光素子222が含まれている。ここでは、受光用光学系24の分散素子25は、測定エリア50上の領域#1から届く光(反射光及び背景光)を、画素221#1に属する複数の受光素子222(ここでは第1受光素子222A~第3受光素子222C)にわたって分光する。同様に、受光用光学系24の分散素子25は、測定エリア50上の領域#2から届く光(反射光及び背景光)を、画素221#2に属する複数の受光素子222にわたって分光する。
【0051】
図8では、発光素子121#1に対応付けられている複数の受光素子222(画素221#1に属する複数の受光素子222)と、発光素子121#2に対応付けられている複数の受光素子222(画素221#2に属する複数の受光素子222)は、別々であり、重複していない。このように、2つの発光素子121のうちの一方の発光素子121に対応付けられている複数の受光素子222と、他方の発光素子121に対応付けられている複数の受光素子222とが異なる場合、制御部30(タイミング制御部34)は、その2つの発光素子121から光を同時に出射させることが可能である。なお、
図8に示す場合、制御部30(タイミング制御部34)は、発光部12の全ての発光素子121から光を出射させて測定エリア50の全体に光を一括して照射しても良いし、発光部12の一部の発光素子121(例えば1つの発光素子121)から光を出射させて測定エリア50の所定の領域のみに光を照射しても良い。
【0052】
図9は、発光素子121と受光素子222との別の対応関係の説明図である。
図9は、画素221と受光素子222との別の対応関係の説明図でもある。
【0053】
図9に示す形態では、受光センサ22の1つの画素221は、1個の受光素子222により構成されている。ここでは、受光用光学系24の分散素子25は、測定エリア50上の領域#1から届く光(反射光及び背景光)を、3個の画素221により構成されている3個の受光素子222にわたって分光する。また、受光用光学系24の分散素子25は、測定エリア50上の領域#2から届く光(反射光及び背景光)を、3個の画素221により構成されている3個の受光素子222にわたって分光する。
図9では、発光素子121#1に対応付けられている複数の受光素子222と、発光素子121#2に対応付けられている複数の受光素子222は、一部が重複している。このように、2つの発光素子121のそれぞれに対応付けられている複数の受光素子222が一部重複する場合、制御部30(タイミング制御部34)は、その2つの発光素子121から光を同時に出射させることを行わない。この場合、制御部30は、発光部12の一部の発光素子121(例えば1つの発光素子121)から光を出射させて測定エリア50の所定の領域のみに光を照射する。なお、2以上の発光素子121から光を同時に出射させる場合には、制御部30(タイミング制御部34)は、対応する複数の受光素子222が重複しない複数の発光素子121から光を照射する。
【0054】
なお、
図4Aに示すように、分散素子25の前(測定エリア50の側)に集光レンズ241を配置し、測定エリア50上の異なる領域(#1、#2)から届く光(反射光及び背景光)を集光レンズ241によって分散素子25の異なる位置に集光させることが望ましい。これにより、
図8に示すように、画素221#1に属する複数の受光素子222と、画素221#2に属する複数の受光素子222とが重複しないように、受光用光学系24を構成し易くなる。
【0055】
===小括===
本実施形態の測定装置1は、発光部12と、バンドパスフィルタBPF(フィルタに相当)と、受光センサ22と、分散素子25とを備えている。発光部12は、所定の波長帯域の範囲で温度に応じた波長の光を照射する。バンドパスフィルタBPFは、所定の波長帯域の光を通過させ、発光部12から照射された光の反射光を通過させる。受光センサ22は、複数の受光素子222を有する。分散素子25は、バンドパスフィルタBPFと受光センサ22との間に配置され、バンドパスフィルタBPFを通過した光を2以上の受光素子222に分散させる。このような構成によれば、温度に応じた波長の光が発光部12から照射され、その光は、バンドパスフィルタBPFを通過した後、分散素子25によって波長に応じた特定の受光素子222に分光される。一方、バンドパスフィルタBPFを通過した背景光は、分散素子25によって、2以上の受光素子222にわたって分散される。このため、反射光を受光する受光素子222が受光する背景光を軽減させることができ、反射光を受光する受光素子222から出力される受光データに含まれるノイズの影響を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態の測定装置1は、温度センサ41と、制御部30とを更に備えており、制御部30は、温度センサ41の温度データに対応する受光素子222の受光データに基づいて距離を測定する。これにより、ノイズの影響を抑制した受光データに基づいて距離を測定できるため、測定精度が向上する。
【0057】
また、本実施形態の測定装置1は、温度センサ41と、制御部30とを更に備えており、受光素子222が所定の受光データを出力する状況(基準状況)の下において温度センサ41の温度データが変化すると、制御部30は、異なる距離を出力する。つまり、受光素子222が所定の受光データを出力する状況(基準状況)の下において温度センサ41の温度データを変化させることによって、温度センサ41の温度データに対応する受光素子222の受光データに基づいて距離を測定することを検証することが可能である。
【0058】
また、本実施形態の測定装置1は、温度センサ41の温度データに対応付けた重み係数(重みデータに相当)を記憶する記憶部を備える(
図7A参照)。そして、制御部30は、温度センサ41の温度データに対応する重み係数(重みデータ)を記憶部から取得し、2以上の受光素子222のそれぞれの受光データに対して重み係数に応じた重み付けを行うことによって、受光データSを算出し、その受光データSに基づいて距離を測定する。これにより、分散素子25が受光素子222の境界部に反射光を分光する状態であっても、精度良く距離を測定することができる。
【0059】
また、本実施形態の分散素子25は、メタマテリアルにより構成されている。これにより、分散素子25と受光センサ22との間隔を短く設定することができ、測定装置1の小型化を図ることができる。
分散素子25をメタマテリアルにより構成する場合、分散素子25が集光機能(フィルタを通過した光を受光センサ22に集光させる機能)を有することが望ましい。これにより、受光用光学系24の小型化を図ることが可能である。また、分散素子25をメタマテリアルにより構成する場合、分散素子25が偏光フィルタ機能(所定方向に振動する光を通過させつつ、所定方向と交差する方向に振動する光を吸収する機能)を有することが望ましい。これにより、不要な光によるノイズの影響を抑制できる。
なお、分散素子25は、プリズム又は回折格子により構成されても良い。これにより、分散素子25を安価に構成できる。
【0060】
また、本実施形態の測定装置1は、バンドパスフィルタBPFと分散素子25との間に配置された集光レンズ241を備える。これにより、分散素子25が集光機能を兼ね備える必要が無いため、分散素子25の設計上の制約を軽減できる。
【0061】
以上、本発明の実施形態につき詳述したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。また、上記の実施形態は本発明を分かりやすく説明するために構成を詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施形態の構成の一部について、他の構成に追加、削除、置換することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 測定装置、10 照射部、
12 発光部、121 発光素子、14 投光用光学系、
20 受光部、22 受光センサ、221 画素、
222 受光素子、222A~C 第1~第3受光素子、
24 受光用光学系、241 集光レンズ、
BPF バンドパスフィルタ、25 分散素子、
30 制御部、32 設定部、
34 タイミング制御部、36 測距部、
362 信号処理部、364 時間検出部、366 距離算出部、
41 温度センサ、
50 測定エリア、90 対象物