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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058947
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】結着バックボード
(51)【国際特許分類】
   A41G 3/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
A41G3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166379
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】519447721
【氏名又は名称】一般社団法人湊式増毛技術協会
(74)【代理人】
【識別番号】100092576
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 久男
(72)【発明者】
【氏名】湊 英次
(57)【要約】
【課題】髪の扱いに慣れていない者であっても、確実に増毛施術ができる改良した結着バックボードの提供。
【解決手段】被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や増毛材料を見やすくするための結着バックボードであって、平板状のボード本体10と、ボード本体10の裏面の一部又は全部に貼着され、自毛群に絡ませるための湾曲した紐状体を外表面に多数設けた裏面シート20とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に前記被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や前記増毛材料を見やすくするための結着バックボードであって、
平板状のボード本体と、
前記ボード本体の裏面の一部又は全部に貼着され、前記自毛群に絡ませるための湾曲した紐状体を外表面に多数設けた裏面シートと、
を備えることを特徴とする、結着バックボード。
【請求項2】
前記裏面シートに設けた前記紐状体は、雌型面ファスナーのループの頂部を除去した形状を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の結着バックボード。
【請求項3】
前記裏面シートは、前記ボード本体から離間した裏面離間部を有する
ことを特徴とする、請求項1記載の結着バックボード。
【請求項4】
前記裏面離間部は、前記裏面シートを前記ボード本体側が内側となるように湾曲した
ことを特徴とする、請求項3記載の結着バックボード。
【請求項5】
被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に前記被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や前記増毛材料を見やすくするための結着バックボードであって、
平板状のボード本体と、
前記ボード本体の裏面の一部又は全部に立設した、前記自毛群に絡ませるための、可撓性を有するロッド群と、
を備えることを特徴とする、結着バックボード。
【請求項6】
前記ロッド群を構成する各ロッドは、先端に向かって細くなっている
ことを特徴とする、請求項5記載の結着バックボード。
【請求項7】
前記ロッド群は、長さが互いに異なる複数種類のロッドで構成されている
ことを特徴とする、請求項5記載の結着バックボード。
【請求項8】
前記ロッド群は、前記ボード本体の裏面の一部に立設され、
前記ボード本体の裏面の残りの部分に貼着され、前記自毛群に絡ませるための湾曲した紐状体を外表面に多数設けた裏面シートを更に備える
ことを特徴とする、請求項5記載の結着バックボード。
【請求項9】
前記ボード本体の表面の一部又は全部に設けた表面シートであって、結着対象の前記自毛を絡ませてその位置を一時的に保持するためのループを外表面に多数設けた表面シートを更に備える
ことを特徴とする、請求項1~8の一項に記載の結着バックボード。
【請求項10】
前記表面シートは、前記ボード本体から離間した表面離間部を有する
ことを特徴とする、請求項9記載の結着バックボード。
【請求項11】
前記表面離間部は、前記表面シートを前記ボード本体側が内側となるように湾曲した
ことを特徴とする、請求項10記載の結着バックボード。
【請求項12】
前記表面シートは、前記ボード本体の表面の一部あるいは全部に貼着された雄型面ファスナーと、前記雄型面ファスナーに着脱自在に固定される円筒状の雌型面ファスナーと、を備えることを特徴とする、請求項9記載の結着バックボード。
【請求項13】
被増毛者の衣服の一部を挟むクリップと、
前記クリップと前記ボード本体とを連結する紐状の連結部材と
を更に備えることを特徴とする、請求項1又は5に記載の結着バックボード。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結着バックボードに係り、より詳細には、被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や増毛材料を見やすくするための結着バックボードに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の結着バックボードの一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1には、本件発明者が提案した、増毛作業に手間がかからず、増毛材料の保管場所もとらないため、一般の理髪店、美容室などで希望者に気安く、おしゃれな増毛ができるような、増毛法と増毛用具が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2620848号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
大人だけでなく子供にも薄毛があり、子供の薄毛は学校でいじめの原因となることがあった。このような子供達にも増毛をしてあげられれば、薄毛によるいじめを未然に防ぐことが可能になる。特許文献1で提案した増毛法が、理容師、美容師が施術する多くのサロン等で実施されているので、このようなサロン等で薄毛の子供達に増毛施術することが考えられる。
しかし、このようなサロン等に子供達を通わせると、増毛を他人に知られて噂になりかねず、いじめを助長してしまう心配もある。
そこで、本件発明者は、増毛施術を子供達の親にしてもらうことに着目した。これにより、他人に知られることなく、子供達にも増毛をしてあげることが可能となる。さらに、小さな子供はお母さんに抱かれながら増毛してもらうことで、親子の絆も強くなると考えられる。
【0005】
ところで、特許文献1で提案した増毛用具は、理容師や美容師が施術することを想定したプロ仕様のものであった。訓練を積んだ理容師や美容師による施術は、例えば、一時間に数百本の速さで素早く行われる。これに対して、親が子供に増毛をする場合には、このような素早さは要求されないが、髪の扱いに慣れていない親であっても子供に確実に施術できることが求められる。
【0006】
増毛用具の一つとして、結着バックボードが、被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や増毛材料を見やすくするために使用されている。結着バックボードの頭皮側の表面には、自毛群を押さえている結着バックボードがずれないよう、結着バックボードを自毛群に係止するシートが貼り付けられている。このシートには、先端部に球状、鉤状などの引っ掛かり部を有する短い紐状体が多数設けられている。
【0007】
一方、増毛は、自毛の伸長に合わせて定期的に繰り返し施術されるため、二回目以降の増毛施術の際には、自毛に古い増毛材料が結着したままとなっている。そのため、結着バックボードを自毛群から剥がす際に、古い増毛材料の結着箇所がシートの紐状体の引っ掛かり部に引っ掛かり、自毛が引張られて被増毛者が痛みを感じてしまうことがあった。特に、小さい子供は大人よりも痛みを強く感じる傾向があるため、親が子供に増毛を施術しているときに少しでも痛みを感じると、子供が増毛をいやがってしまうおそれがあった。
【0008】
また、結着バックボードを自毛群に係止する際に、ヘアピンで結着ボードを自毛群に挟んで固定することが行われている。
ところが、ヘアピンで挟まれた自毛群から、増毛材料を結着する自毛を毛取りペンで取り出す際には、ヘアピンで挟まれた自毛の先端側だけでなく、自毛の根元側も引っ張られることになるため、被増毛者が痛みを感じてしまうことがあった。増毛施術中、例えば何百、何千本もの自毛を順次に取り出しては増毛材料を結着する作業が繰り返されるので、被増毛者は繰り返し痛みを感じてしまうことがあった。このような増毛施術中に感じる痛みは、大人であれば十分に我慢できる程度の弱いものであることも多いが、親が子供に増毛を施術する場合、子供が痛みをいやがって増毛の施術が中断してしまうおそれがあった。
【0009】
また、特許文献1で提案した増毛法には、毛取りペンで自毛群から取り出した一本の自毛を増毛材料に形成されたループに通す作業が含まれる。その際、一方の手は毛取りペンを持ち、他方の手は増毛材料を持っているため、自毛群から取り出した自毛を一時的に保持する手段が必要となる。
そこで、特許文献1で提案した増毛用具の一つである結着バックボードでは、二つ折りにした紙状体の外側面に、先端部に球状、鉤状などの引っ掛かり部を有する短い紐状体が多数設けられたシートを貼着し、このシートに、取り出した自毛を絡ませて一時的に保持していた。
【0010】
ところで、引っ掛かり部を有する短い紐状体が多数設けられたシートは、自毛をしっかりと保持できるものの、シートに絡ませた自毛をシートから取り外す際に、自毛が引っ掛かり部から外れにくいことがあった。その際、訓練を積んだ理容師や美容師であれば、引っ掛かった自毛を素早く取り外すことができるが、髪の扱いに慣れていない親の場合、引っ掛かった自毛を取り外そうとして無理に引っ張り、子供が痛みを感じてしまうおそれがあった。
【0011】
本発明の課題は、髪の扱いに慣れていない者であっても、確実に増毛施術ができる改良した結着バックボードを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の発明の結着バックボードは、被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に前記被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や前記増毛材料を見やすくするための結着バックボードであって、平板状のボード本体と、前記ボード本体の裏面の一部又は全部に貼着され、前記自毛群に絡ませるための湾曲した紐状体を外表面に多数設けた裏面シートと、を備えることを特徴としている。
【0013】
第2の発明の結着バックボードは、被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に前記被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や前記増毛材料を見やすくするための結着バックボードであって、平板状のボード本体と、前記ボード本体の裏面の一部又は全部に立設した、前記自毛群に絡ませるための、可撓性を有するロッド群と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
第1及び第2の発明によれば、髪の扱いに慣れていない者であっても、確実に増毛施術ができる改良した結着バックボードを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態に係る結着バックボードの説明図であり、(a)は、結着バックボードの正面図であり、(b)は、(a)に示す結着バックボードの裏面図であり、(c)は、(b)に示す結着バックボードの裏面シートの拡大側面図であり、(d)は、(c)に示す裏面シートの紐状体の説明図である。
図2】結着バックボードの使用方法の説明図であり、(a)は、被増毛者の頭部に配置した結着バックボードを上方から見た図であり、(b)は、(a)のA-A線に沿った断面図である。
図3】(a)~(f)は、増毛法の説明図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る結着バックボードの説明図であり、(a)は、結着バックボードの側面図であり、(b)は、(a)に示す結着バックボードの斜視図である。
図5】本発明の第2実施形態の変形例に係る結着バックボードの側面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る結着バックボードの説明図であり、(a)は、結着バックボードの側面図であり、(b)は、(a)に示す結着バックボードの斜視図である。
図7】(a)~(c)は、本発明の第3実施形態の変形例に係る結着バックボードの側面図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る結着バックボードの説明図であり、(a)は、結着バックボードの側面図であり、(b)は、(a)に示す結着バックボードの正面図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る結着ボートの説明図であり、(a)は、結着バックボードの正面図であり、(b)は、(a)に示す結着バックボードの拡大側面図であり、裏面図であり、(c)は、ロッドの撓みの説明図である。
図10】本発明の第6実施形態に係る結着ボートの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
図1に、本実施形態の結着バックボード1を示す。結着バックボード1は、被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や増毛材料を見やすくするものである。図1(a)及び図1(b)に示すように、結着バックボード1は、平板状のボード本体10と、ボード本体10の裏面10bの一部に貼着された裏面シート20とを備えている。
【0017】
ボード本体10は、互いに対向する第1の端縁11及び第2の端縁12と、第1の端縁11及び第2の端縁12間の一対の側縁13とによって囲まれた基本的に矩形の紙製又はプラスチック製の平板であって、両側縁13から第1の端縁11を延長するように両側に延在した張出部14を有する。
【0018】
図1(b)に示すように、裏面シート20は、長方形を有し、ボード本体10の裏面のうち第1の端縁11寄りの部分に貼着されている。
ここで、裏面シート20は、図1(c)に示すように、基材21と、その外表面に多数設けた、自毛群に絡ませるための湾曲した紐状体22とから構成されている。図1(d)に示す例では、紐状体22は、雌型面ファスナーのループ頂部を、例えばバリカンでカットして除去した形状を有する。同図では、ループ頂部の除去部分を破線で示す。
【0019】
紐状体22は、雌側面ファスナーのループの一部分であるたため、適度な弾力を有し、これにより、結着バックボード1で被増毛者の頭部の自毛群を押さえたときに、自毛群と効果的に絡むことによって、結着バックボード1の位置ずれが防止される。
【0020】
その上、図1(c)に示すように、紐状体22は、球状、鉤状などの引っ掛かり部のない一定の太さの湾曲した形状であるため、結着バックボード1を自毛群から剥がす際に、自毛群(特に、古い増毛材料の結着箇所)が裏面シート20の紐状体22に引っ掛かりにくくなっている。特に、紐状体22の先端が斜め上方を向いているため、即ち、ボード本体10の表面と平行な方向(図面横方向)よりも、その表面と反対側(図面上方向)に向いているため、紐状体22が湾曲していても、結着バックボード1を剥がす際に、自毛群が引っ掛かりにくくなっている。
これにより、結着バックボード1を自毛群から剥がす際に、被増毛者が痛みを感じることを低減することができる。特に、大人よりも痛みを強く感じる傾向がある小さい子供に増毛する場合にも、施術中に子供が痛みを感じることを低減することができる。
【0021】
次に、図2を参照して、結着バックボード1の使用方法を説明する。図2(a)に示すように、結着バックボード1は、被増毛者の頭部Hに配置し、被増毛者の自毛群W0を押さえるのに使用される。その際、結着対象の自毛Wや増毛材料を見やすくするため、作業位置の自毛群W0を、結着バックボードの1の張出部14で梳いて、作業位置の向こう側と手前側に分ける。
図2(b)に示す例では、分け目の両側に配置した結着バックボード1と結着バックボード2が、それぞれ裏面シート10を下にして、裏面シート10の紐状体22を自毛群W0に絡ませることにより、位置がずれないようにして自毛群W0を押さえている。本実施形態では、結着バックボード2は、結着バックボード1と同一構造のものである。
そして、結着バックボード1に押さえられた自毛群W0から、結着対象の自毛Wを結着バックボード1上に取り出す。これにより、取り出された自毛Wが、他の自毛群W0から区別されて見やすくなる。
【0022】
なお、結着バックボード1及び2を被増毛者の頭部Hに配置する際には、図2(a)に示すように、第1の端縁11(図1(a))側が作業位置の分け目に向くように配置することが好ましい。これにより、第1の端縁11は張出部14の突出分だけ、第2の端縁12よりも広い範囲で作業位置付近の自毛群W0を両側に分けることができる。
また、結着バックボード1及び2の表面側は、結着対象の自毛や増毛材料を、他の自毛群から区別してより見やすくするため、白色を含む明るい色にすることが好ましい。
【0023】
次に、図3(a)~図3(f)を参照して、増毛法について説明する。
本実施形態で説明する増毛法では、取り出した一本の自毛Wを増毛材料Aのリング部Rに挿通し、リング部Rを引き絞ることにより、増毛材料Aを自毛Wに結着させる。以下、具体的に説明する。
【0024】
図3(a)に示すように、増毛材料Aは、リング部Rと、このリング部Rから伸びる二本の増毛部L1及びL2とからなる。このリング部Rは、二本の増毛部L1及びL2を引くことにより、引き絞られるようになっている。
増毛の施術にあたっては、図3(b)に示すように、自毛Wを、リング部Rを通したピンセットPで摘まみ、リング部Rの手前に引き出す。これにより、図3(c)に示すように、自毛Wが増毛材料Aのリング部Rに挿通される。
続いて、図3(d)に示すように、増毛材料Aの増毛部L1及びL2を互いに反対方向へ引っ張ることにより、リング部Rを引き絞り、図3(e)に示すように、自毛Wの根元に、増毛材料Aを結着させる。
【0025】
また、図3(f)に示すように、自毛Wの伸長に伴い、増毛材料Aの結着位置も自毛Wの根元から毛先側へ移動する。二回目以降の増毛施術の際には、自毛Wに古い増毛材料Aを結着させたまま、自毛Wの根元に新しい増毛材料Aを結着させるとよい。
【0026】
[第2実施形態]
次に、図4を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図4に示すように、本実施形態の結着バックボードは、ボード本体10と、ボード本体10の裏面10bの一部に貼着された裏面シート20aと、ボード本体10の裏面10bの反対側の表面10aの一部に設けた表面シート30とを備えている。
なお、ボード本体10の構成は第1実施形態のものと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0027】
裏面シート20aは、上述した第1実施形態の裏面シート20と同様に、基材21と、その外表面に多数設けた、自毛群に絡ませるための湾曲した紐状体22とから構成されている(図1(c)参照)。
本実施形態では、図4(a)に示すように、裏面シート20aは、長方形のシートの縁部をボード本体10の第1の端縁11に沿って貼着した貼着部23と、ボード本体10から離間した裏面離間部24とを有する。さらに、同図に示すように、裏面シート20aの裏面離間部24は、ボード本体10側を内側にして折り返されて湾曲し、長方形のシートの貼着部23とは反対側の縁部が、紐状体22が設けられた外表面側でボード本体10に貼着されている。
【0028】
また、結着バックボードを裏面シート20aで自毛群W0に係止する際に、ヘアピン40で結着バックボードを自毛群W0に挟んで固定することが行われている。本実施形態の結着バックボードでは、図4(a)に示すように、裏面シート20aの裏面離間部24がボード本体10から大きく離れているため、図4(b)に示すように、ヘアピン40で、ボード本体10を挟まずに、裏面シート20aのみを自毛群W0と挟んで固定する。
【0029】
ここで、一般に、ヘアピン40はバネによって閉じるように付勢されているため、ヘアピン40が自毛群W0を挟んだ場合、ヘアピン40の開きが大きいほど挟む力が強くなる。特に、ヘアピン40の嵌合面には、凹凸が形成されているため、固いボード本体10を挟み込んだ場合には、この凹凸の高さの分だけヘアピン40が更に大きく開くことになり、挟む力が一層強くなる。
これに対し、ヘアピン40でボード本体10を挟まずに、裏面シート20aの裏面離間部24と自毛群W0を挟んだ場合、ボード本体10を挟まない分だけ、ヘアピン40の開きが小さくなり、挟む力が弱くなる。
その上、樹脂製の面ファスナーを利用した裏面シート20aは軟質であるため、ヘアピン40に挟まれた部分が、ヘアピン40の嵌合面の凹凸に従って変形する。その結果、裏面シート20aを挟んだ場合には、嵌合面の凹凸の高さに関係なく、裏面シート20と自毛群W0の厚さ分だけ、ヘアピン40が小さく開くことになるため、挟む力が一層弱くなる。
このように、ヘアピン40が毛髪群W0を挟む力が弱いため、ヘアピン40で挟まれた自毛群W0から、増毛材料Aを結着する自毛WをピンセットPで摘まんで弱い力で取り出すことができる。これにより、自毛Wを取り出す際に、被増毛者が痛みを感じることを低減することができる。
【0030】
また、図4(b)に示すように、表面シート30は、その外表面に、結着対象の自毛W及び増毛材料Aを絡ませてその位置を一時的に保持するためのループを多数設けている。表面シート30は、例えば、雌型面ファスナーで構成することができる。
このように、表面シート30のループに、自毛Wを絡ませるので、絡ませた自毛Wを表面シート30から取り外す際に、自毛Wがループに引っ掛からず、容易に外すことができる。その結果、髪の扱いに慣れていない者が施術する場合であっても、被増毛者に痛みを感じさせることなく、自毛Wを表面シート30から取り外すことができる。
【0031】
また、裏面シート20aを構成する面ファスナーの樹脂製の基材21は弾力を有するため、図4(a)に示すように、折り返されて湾曲した裏面離間部24は、湾曲してボード本体10から大きく離間している。これにより、ボード本体10の第2の端部12側を被増毛者の頭皮に対して立ち上げて、結着バックボードを斜めに傾斜させることができる。その結果、取り出した自毛Wを寝かした状態よりもより直立させた状態で、表側シート30で一時的に保持することができる。これにより、結着対象の自毛が見やすくなるとともに、結着作業がし易くなり、髪の扱いに慣れていないものであっても、確実に増毛施術を行うことができる。
【0032】
(変形例)
次に、図5を参照して、第2実施形態の変形例を説明する。
本変形例におけるボード本体10及び表面シート30の構成は、第2実施形態のものと同一であるので、その詳細な説明を省略する。
図5に示すように、本変形例では、裏面シート20bは、ボード本体10の第1の端縁11付近に貼着した第1貼着部25と、第2の端縁12付近に貼着した第2貼着部27との間の裏面離間部26とを有する。ボード本体10に対して裏面シート20bを弛ませることによって、裏面離間部26は、ボード本体10から大きく離間している。
【0033】
本変形例においても、上述した第2実施形態と同様に、裏面離間部26をヘアピン40で挟むことにより、ボード本体10をも挟む場合と比較して、ヘアピン40が挟む力が弱くなる。このため、ヘアピン40で挟まれた自毛群W0から自毛WをピンセットPで摘まんで、強く引っ張ることなく取り出すことができる。これにより、自毛Wを取り出す際に、被増毛者が痛みを感じることを低減することができる。
【0034】
また、本変形例においても、上述した第2実施形態と同様に、裏面離間部26がボード本体10から離間しているため、取り出した自毛Wをより直立させた状態で、表側シート30で一時的に保持することができる。これにより、結着作業がし易くなり、髪の扱いに慣れていない者であっても、確実に増毛施術を行うことができる。
【0035】
[第3実施形態]
次に、図6を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図6に示すように、本実施形態の結着バックボードは、ボード本体10と、ボード本体10の裏面の一部に貼着された裏面シート20と、ボード本体10の表面の一部に設けた表面シート30aとを備えている。
なお、ボード本体10及び裏面シート20の構成は第1実施形態のものと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0036】
本実施形態の表面シート30aも、上述した第2実施形態の表面シート30と同様に、その外表面に、結着対象の自毛W及び増毛材料Aを絡ませてその位置を一時的に保持するためのループを多数設けている。これにより、絡ませた自毛Wを、ループに引っ掛かることなく、表面シート30aから容易に取り外すことができる。
【0037】
さらに、図6(a)及び図6(b)に示すように、表面シート30aは、長方形のシートの縁部をボード本体10の第1の端縁11に沿って貼着した第1の貼着部31と、ボード本体10から離間した表面離間部32とを有する。さらに、同図に示すように、裏面シート30aの表面離間部32は、ボード本体10側を内側にして折り返され、長方形のシートの貼着部31とは反対側の縁部が、第2の貼着部31aとして、ループが設けられた外表面側でボード本体10に貼着されている。表面シート30aを構成する樹脂製の面ファスナーは弾力を有するため、折り返された表面離間部32は、湾曲してボード本体10から大きく離間している。
【0038】
これにより、ボード本体10を頭皮平行に配置した場合であっても、表面シート30aが頭皮に対して斜めに立ち上げることができる。その結果、取り出した自毛Wを寝かした状態よりもより直立させた状態で、表側シート30aで一時的に保持することができる。これにより、取り出した自毛Wが見やすくなるとともに、結着作業がし易くなり、髪の扱いに慣れていない者であっても、確実に増毛施術を行うことができる。
【0039】
(変形例1)
次に、図7(a)を参照して、第3実施形態の変形例1を説明する。
変形例1におけるボード本体10及び裏面シート20の構成は、第3実施形態のものと同一であるので、その詳細な説明を省略する。
図7(a)に示すように、変形例1では、表面シート30bは、ボード本体10の第1の端縁11付近に貼着した第1貼着部33と、第2の端縁12付近に貼着した第2貼着部35との間の表面離間部34とを有する。ボード本体10に対して表面シート30bを弛ませることによって、表面離間部34がボード本体10から大きく離間している。
これにより、変形例1においても、上述した第3実施形態と同様に、取り出した自毛Wをより直立させた状態で、表側シート30で一時的に保持することができる。
【0040】
(変形例2)
次に、図7(b)を参照して、第3実施形態の変形例2を説明する。
変形例2におけるボード本体10及び裏面シート20の構成は、第3実施形態のものと同一であるので、その詳細な説明を省略する。
図7(b)に示すように、変形例2では、表面シート30cは、上述した第3実施形態における表面シート30aとは逆向きに配置されている。具体的には、長方形のシートの端縁が、貼着部36として、ボード本体10の中央部に貼着され、表面シート30cの表面離間部37は、ボード本体10の第1の端部11側でボード本体10側を内側にして折り返されている。さらに、長方形のシートの貼着部36とは反対側の端縁が、ループが設けられた外表面側でボード本体10に貼着されている。表面シート30cを構成する樹脂製の面ファスナーは弾力を有するため、折り返された表面離間部37は湾曲してボード本体10から大きく離間している。
これにより、本変形例2においては、上述した第3実施形態の場合よりも、取り出した自毛Wをより一層直立させた状態で、表側シート30で一時的に保持することができる。
【0041】
(変形例3)
次に、図7(c)を参照して、第3実施形態の変形例3を説明する。
変形例3におけるボード本体10及び裏面シート20aの構成は、第2実施形態のものと同一であり、表面シート30aは、第3実施形態のものと同一である。
これにより、変形例3においては、上述した第3実施形態の場合よりも、取り出した自毛Wをより一層直立させた状態で、表側シート30で一時的に保持することができる。
【0042】
[第4実施形態]
次に、図8を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
図8に示すように、本実施形態の結着バックボードは、ボード本体10と、ボード本体10の裏面の一部に貼着された裏面シート20aと、ボード本体10の表面の一部に設けた表面シート30dとを備えている。
なお、本実施形態におけるボード本体10及び裏面シート20aの構成は、第2実施形態のものと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0043】
表面シート30dは、ボード本体10の表面の一部に貼着された雄型面ファスナー38と、雄型面ファスナー38に着脱自在に固定される円筒状の雌型面ファスナー39と、を備えている。
本実施形態では、雌型面ファスナー39のループに、取り出した自毛Wを絡ませるので、絡ませた自毛Wを、ループに引っ掛かることなく、雌型面ファスナー39から容易に取り外すことができる。その結果、髪の扱いに慣れていない者が施術する場合であっても、被増毛者が痛みを感じることなく、絡ませた自毛Wを雌型面ファスナー39から取り外すことができる。
【0044】
また、図8(b)に示すように、雌型面ファスナー39は、その位置を雄形面ファスナー38上で調整でき、例えば、符号39aで示す破線の位置へ移動させることができる。
これにより、取り出した自毛Wを一時的に保持する位置及び高さを結着作業がし易いように調節できるので、髪の扱いに慣れていないものであっても、確実に増毛施術を行うことができる。
【0045】
また、図8(a)に示すように、表面シート30dの雌型面ファスナー39は、ボード本体10の表面から大きく突出している。その結果、この雌型面ファスナー39に自毛Wを係止すると、雌型面ファスナー39の手前で自毛Wと結着バックボードとの間に空間が生じ、自毛Wの途中部分が浮いた状態となる。これにより、この空間にハサミを入れて、自毛Wのこの途中部分を容易に切ることができる。
そして、自毛Wを切る位置に応じて、雌型面ファスナー39の位置を移動させることができる。例えば、古い増毛材料Aが結着している自毛を、その増毛材料Aの古い結着部Nよりも根元側で切る場合、古い結着部Nの位置に応じて、雌型面ファスナー39の位置を調節することができる。
【0046】
[第5実施形態]
次に、第5実施形態として、第2の発明の実施形態を説明する。
本実施形態の結着バックボード2も、第1実施形態のものと同じく、被増毛者の自毛に増毛材料を結着する結着作業中に被増毛者の自毛群を押さえるとともに、結着対象の自毛や増毛材料を見やすくするものである。
なお、ボード本体10の構成は第1実施形態のものと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図9(a)に示すように、結着バックボード2は、平板状のボード本体10と、ボード本体10の裏面10bの第1端縁11寄りの一部に立設した、自毛群W0に絡ませるための、合成樹脂製の可撓性を有するロッド群40とを備えている。ロッド群40は、同図に示すように、千鳥状に配列されている。また、ロッド群40の隣接するロッドの中心間隔は、例えば、3~8mmである。
【0048】
さらに、図9(b)に示すように、ロッド群40は、長さが互いに異なる複数種類のロッドで構成され、ここでは、ロッド群40は、長いロッド41と短いロッド42の2種類の長さのロッドで構成されている。長いロッド41の長さは、例えば、4~10mm程度であり、短いロッド42の長さは、例えば、2~5mm程度である。
また、同図に示すように、ロッド群40を構成する各ロッド41及び42は、いずれも先端に向かって徐々に細くなっている。ロッド群40を構成する各ロッド41及び42の根元部の直径は、例えば、0.5~1.0mm程度である
なお、図9(b)では、図面の奥側の列のロッドの図示を省略している。
【0049】
このように、結着バックボード2を頭部に載置すると、立設したロッド群40が、自毛群W0に絡まることにより、結着バックボード2がしっかりと係止される。
その一方で、結着バックボード2を剥がす際にロッド40に古い結着部が引っかかることがある。その場合、ロッド40が可撓性を有するため、図9(c)の右側のロッド40で示すように、ロッド40が撓んで湾曲する。同図では、右側のロッド40が、右矢印の方向へ引っ張られて撓んだ様子を示す。ロッド40が撓むことにより、引っ掛かった結着部が湾曲したロッド40の先端からスルリと抜けやすくなる。
【0050】
特に、本実施形態では、ロッド40を先端に向かって細くしたことによって、ロッド40がより一層撓みやすくなり、ロッド40に引っかかった結着部が、ロッド40からより一層と抜けやすくなる。
【0051】
さらに、本実施形態では、長いロッド41が長いほど、ロッド41が撓みやすくなって、引っ掛かった結着部が撓んだロッド41の先端から抜けやすくなる。その一方で、短いロッド42で、自毛群W0としっかりと係合することができる。その上、ロッド41が短いほど、古い結着部が引っかかりにくくなるとともに、引っかかってもロッド41が短いので抜けやすくなる。
【0052】
このように、本実施形態の結着バックボード2によれば、結着バックボード2を自毛群W0から剥がす際に、被増毛者が痛みを感じることを低減することができる。その結果、髪の扱いに慣れていない者であっても、確実に増毛施術をすることができる。
【0053】
[第6実施形態]
次に、第6実施形態として、第2の発明の他の実施形態を説明する。
なお、ボード本体10及びロッド群40の構成は第5実施形態のものと同一であり、裏面シート20は第1実施形態のものと同一であるため、その詳細な説明を省略する。
【0054】
図10に示すように、本実施形態の結着バックボード3では、ボード本体10の裏面10bに、ロッド群40に加えて、残りの部分に裏面シート20が貼着されている。裏面シート20には、自毛群W0に絡ませるための湾曲した紐状体が外表面に多数設けられている。
このように、本実施形態の結着バックボード3によれば、ロッド群40に加えて、裏面シート20を設けたことにより、頭頂部から離れて、頭部の傾斜が急な部分であっても、結着バックボード3を自毛群W0にしっかりと係止しすることができる。これにより、結着バックボード3の頭部から脱落防止を図ることができる。
【0055】
さらに、図10に示すように、本実施形態の結着バックボード3には、被増毛者の衣服の一部を挟むクリップ50と、クリップ50とボード本体10とを連結する紐状の連結部材60とが更に設けられている。連結部材60の一端は、クリップ50に接続し、他端はボード本体10のコーナーの鳩目に接続している。連結部材60の長さは、例えば、30~60cm、好ましくは、50cmである。
【0056】
クリップ50を被増毛者の衣服、例えば、後ろ襟に挟着することによって、万一、結着バックボード3が頭部から外れても、結着バックボード3が連結部材60でクリップ50にぶら下がるため、結着バックボード3が床に落下することが防止される。これにより、床に落下した結着バックボード3を再び、被増毛者の頭部に載置することを回避することができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明には、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能である。例えば、上述した第1の実施形態の結着バックボードに、第2~第3実施形態における表側シートを組み合わせてもよい。また、例えば、上述した第2実施形態の結着バックボード又はその変形例における表側シートの代わりに、第3実施形態の表側シートを組み合わせてもよい。また、上述した第5又は第6実施形態の結着バックボードに、第2~第4実施形態における表面シートを組み合わせてもよい。
また、上述した実施形態では、ボード本体に張出部を有する結着バックボードの例を説明したが、本発明では、張出部はなくてもよく、また、ボード本体の輪郭は、直線状のものに限定されず、例えば、曲線状の輪郭でもよい。
また、上述した実施形態では、裏面シートを矩形のシートで構成した例を説明したが、本発明では、裏面シートの輪郭も、直線状のものに限定されず、例えば、曲線状の輪郭でもよい。
また、上述した第2及び第3実施形態では、表面シートを矩形のシートで構成した例を説明したが、本発明では、裏面シートの輪郭も、直線状のものに限定されず、例えば、曲線状の輪郭でもよい。
また、上述した実施形態では、裏面離間部及び表面離間部が湾曲した例を説明したが、裏面離間部及び表面離間部は、湾曲していなくてもよいし、また、ボード本体と離間部との間にヘアピンが挟めれば、ボード本体から大きく離間していなくてもよい。
また、上述した第5実施形態では、ロッド群を千鳥状に配置した例を説明したが、ロッド群の配列パターンはこれに限定されず、例えば、ロッド群を直交格子の交点に配列してもよい。
また、第6実施形態で説明したクリップ及び連結部材は、第1~第5実施形態の結着バックボードと組み合わせてもよい。
また、本発明は、子供の増毛に限定されず、大人の増毛にも適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
1、2、3 結着バックボード
10 ボード本体
10a 表面
10b 裏面
11 第1の端縁
12 第2の端縁
13 側縁
14 張出部
20、20a 裏面シート
21 基材
21a 外表面
22 紐状体
23 貼着部
24、26 裏面離間部
30a、30b、30c、30d 表面シート
31、31a、33、35、36 貼着部
32、34、37 表面離間部
38 雄型面ファスナー
39 雌型面ファスナー
40 ロッド群、ロッド
41 長いロッド
42 短いロッド
50 クリップ
60 連結部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10