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特開2024-58952表示切替装置、車両用表示システム及び自動車
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058952
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】表示切替装置、車両用表示システム及び自動車
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
G09F9/00 311
G09F9/00 362
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166388
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】篠原 正幸
(72)【発明者】
【氏名】森 裕都
(72)【発明者】
【氏名】倉田 剛大
(72)【発明者】
【氏名】三品 匡央
(72)【発明者】
【氏名】岡安 裕
【テーマコード(参考)】
5G435
【Fターム(参考)】
5G435AA01
5G435BB15
5G435FF01
5G435FF07
5G435GG02
5G435HH02
5G435KK05
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】光源から出射される光の利用効率が高く、表示方向に指向性を有している表示切替装置を提供する。
【解決手段】表示切替装置(1)は、レンズアレイ(40)と、複数の光源(50)から出射された光のそれぞれが、レンズアレイ(40)のそれぞれのレンズ(41)によって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域(31)を含む表示部(10)と、を備え、画素領域(31)のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、複数の光源(50)の光の照射による表示部(10)の表示が指向性を有しており、該指向性の方向である指向方向を、光源(50)間で平均した第1平均指向方向(D1)は、表示部(10)の表示面(11)の法線方向に対して所定の角度傾いている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、
複数のレンズが配列されたレンズアレイと、
複数の前記光源から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、を備え、
前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、
複数の前記光源の光の照射による前記表示部の表示が指向性を有しており、該指向性の方向である指向方向を、前記光源間で平均した平均指向方向は、前記表示部の表示面の法線方向に対して所定の角度傾いている、表示切替装置。
【請求項2】
前記レンズアレイの重心に対して最も近い位置に位置する前記レンズを基準レンズとし、
前記基準レンズの主点と、複数の前記光源により構成される第1光源群の重心の位置とを結ぶ線分の方向が、前記表示面の法線方向に対して傾いている、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項3】
前記表示面から出射する光を、前記表示面の法線方向に対して傾ける方向に屈折させる、回折させる又はこれらを組合せた機能を持つ光学部材を更に備える、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項4】
前記光学部材は、レンズである、請求項3に記載の表示切替装置。
【請求項5】
前記光学部材は、プリズムである、請求項3に記載の表示切替装置。
【請求項6】
前記平均指向方向が互いに異なる2つの方向となっている、請求項1に記載の表示切替装置。
【請求項7】
複数の前記光源により構成される第1光源群からの光により、第1の前記平均指向方向による表示を実現し、
前記第1光源群とは異なる位置に配置されており、複数の前記光源により構成される第2光源群からの光により、第2の前記平均指向方向を実現する、請求項6に記載の表示切替装置。
【請求項8】
前記表示面から出射する光を、互いに異なる2つの方向に屈折させる、回折させる又はこれらを組合せた機能を持つ光学部材を更に備える、請求項3に記載の表示切替装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載の表示切替装置を備え、
前記表示切替装置は、車両内において、乗車者が着席することが想定されている乗車想定位置に前記平均指向方向が向いた状態で設けられている、車両用表示システム。
【請求項10】
前記表示切替装置は、車両に備えられるシフトレバーに備えられる、請求項9に記載の車両用表示システム。
【請求項11】
請求項9に記載の車両用表示システムが設置される、自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示切替装置、車両用表示システム及び自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、特定の方向に指向性を有している車載用表示装置について記載されている。車載用表示装置は、液晶パネルを備えた液晶方式の表示装置である。車載用表示装置は、液晶パネルの光源であるバックライトからの光を屈折するプリズムシート及び液晶パネルの前後に設けられた偏光板により、輝度分布及び視野角度のそれぞれに指向性を持たせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-84681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の車載用表示装置では、バックライトからの光は、導光板、光反射部材、下向きプリズムシート、拡散シート、上向きプリズムシート、光制御フィルム、及び偏光板を経由して液晶パネルに入射する。即ち、液晶方式の表示装置では、複数の部材を経由した光源の光を用いて液晶パネルに画像が表示される。また、液晶方式では、特定の偏光成分の光のみが表示に使われるため、光の利用効率は良くない。そのため、液晶パネルの輝度が十分ではなく、特に日中の太陽光下では、液晶パネルに表示された画像が見にくくなるという問題点がある。
【0005】
本開示の一態様は、光源から出射される光の利用効率が高く、表示方向に指向性を有している表示切替装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、複数の前記光源から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、を備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、複数の前記光源の光の照射による前記表示部の表示が指向性を有しており、該指向性の方向である指向方向を、前記光源間で平均した平均指向方向は、前記表示部の表示面の法線方向に対して所定の角度傾いている。
【0007】
上記構成によれば、レンズアレイの各レンズによって集光された光によって表示が行われるので、表示部での表示はある程度の指向性を有することになる。そして、各光源からの光の照射による表示部の表示の指向性の方向を平均した平均指向方向が、表示面の法線方向に対して所定の角度傾いている。すなわち、上記の構成によれば、表示部の表示面に対して、正面ではなく偏った方向に指向性を有する表示を実現することができる。この際に、例えば従来の液晶方式の表示装置のように、特定の偏光成分の光を使用する構成と比較して、光源から出射される光の利用効率を高めることができる。また、液晶方式の表示装置よりもコストを低くすることができる。
【0008】
上記表示切替装置において、前記レンズアレイの重心に対して最も近い位置に位置する前記レンズを基準レンズとし、前記基準レンズの主点と、複数の前記光源により構成される第1光源群の重心の位置とを結ぶ線分の方向が、前記表示面の法線方向に対して傾いている、構成であってもよい。
【0009】
上記構成によれば、レンズアレイの重心位置に対して第1光源群の重心位置をずらすことで、レンズアレイに対して第1光源群からの光の入射角に角度をつけることができる。そのため、レンズアレイの各レンズにより集光された第1光源群の光が通る方向を平均した方向を表示部の表示面の法線方向に対して傾けることができる。従って、レンズアレイの各レンズにより集光された第1光源群の光が通る領域に表示部の画素領域を配置することで、表示部において第1方向に指向性を有する表示画像を表示させることができる。
【0010】
上記表示切替装置において、前記表示面から出射する光を、前記表示面の法線方向に対して傾ける方向に屈折させる、回折させる又はこれらを組合せた機能を持つ光学部材を更に備える、構成であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、光学部材により、レンズアレイの各レンズにより集光された光が、表示面の法線方向に対して傾くように屈折及び/又は回折する。これにより、簡易な構成で表示に指向性を有している表示切替装置を提供することができる。
【0012】
上記表示切替装置において、前記光学部材は、レンズである、構成であってもよい。
【0013】
上記表示切替装置において、前記光学部材は、プリズムである、構成であってもよい。
【0014】
上記表示切替装置において、前記平均指向方向が互いに異なる2つの方向となっている、構成であってもよい。
【0015】
上記構成によれば、2つの方向に指向性を有する表示を実現できる。よって、2つのユーザの位置において視認可能な表示を行うことができる。
【0016】
上記表示切替装置において、複数の前記光源により構成される第1光源群からの光により、第1の前記平均指向方向による表示を実現し、前記第1光源群とは異なる位置に配置されており、複数の前記光源により構成される第2光源群からの光により、第2の前記平均指向方向を実現する、構成であってもよい。
【0017】
上記構成によれば、第1光源群からの光による平均指向方向と第2光源群からの光による平均指向方向とが異なる表示切替装置を実現することができる。
【0018】
上記表示切替装置において、前記表示面から出射する光を、互いに異なる2つの方向に屈折させる、回折させる又はこれらを組合せた機能を持つ光学部材を更に備える、構成であってもよい。
【0019】
上記構成によれば、光学部材により、平均指向方向が互いに異なる2つの方向となっている表示切替装置を提供することができる。
【0020】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る車両用表示システムは、上記態様の何れかに記載の表示切替装置を備え、前記表示切替装置は、車両内において、乗車者が着席することが想定されている乗車想定位置に前記平均指向方向が向いた状態で設けられている、構成であってもよい。
【0021】
上記構成によれば、乗車者の位置に応じて表示方向に指向性が設定された車両用表示システムを提供することができる。
【0022】
上記車両用表示システムにおいて、前記表示切替装置は、車両に備えられるシフトレバーに備えられる、構成であってもよい。
【0023】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る自動車は、上記態様の何れかに記載の車両用表示システムが設置される、構成であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本開示の一態様によれば、光源から出射される光の利用効率が高く、表示方向に指向性を有している表示切替装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】表示切替装置が備えられるシフトレバーを示す図である。
図2】本開示の実施形態1に係る表示切替装置の基本構成を示す模式図である。
図3図2に示すレンズアレイの構成例を示す図である。
図4】レンズアレイによる集光の状態の例を示す図である
図5】表示部の切替表示例を示す図である
図6】表示部、レンズアレイを構成するレンズおよび第1光源群を構成する各光源の対応関係を示す図である。
図7】表示部及びレンズアレイに対する第1光源群の位置関係を示す図である。
図8】実施形態1の変形例に係る表示切替装置の構成の要部を示す図である。
図9】平均指向方向が互いに異なる2つの方向となっている場合であって、平均指向方向と、画像を視認可能となるユーザの位置との関係を説明する図である。
図10】実施形態1の変形例に係る表示切替装置について説明する図である。
図11】実施形態1の変形例に係る表示切替装置について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
本開示の表示切替装置は、表示方向に指向性を有する表示装置である。本実施形態では、本開示の表示切替装置の一態様としての表示切替装置1について説明する。
【0027】
§1 適用例
まず、図1を参照して、表示切替装置が適用される場面の一例について説明する。図1は、表示切替装置1が備えられるシフトレバー70を示す図である。表示切替装置1は、自動車に設置される車両用表示システム90に備えられる。本実施形態において、車両用表示システム90は、自動車が備えるシフトレバー70に設置されている。
【0028】
図1に示すように、シフトレバー70のグリップ部71の上面には、画像表示部72が設置されている。画像表示部72には、運転手によるシフトレバー70の操作に応じた画像が表示される。画像表示部72には、シフトレバー70の操作に応じた車両のエンジンの変速機モードのそれぞれを示す画像が表示される。画像表示部72には、例えば、「P(パーキング)」、「R(リバース)」、「N(ニュートラル)」および「D(ドライブ)」を示す文字が表示される。
【0029】
画像表示部72に表示される画像は、車両内において、乗車者(ユーザ)が着席することが想定されている乗車想定位置に向けた、表示の指向性を有している。上記構成によれば、乗車者の位置に応じて表示方向に指向性が設定された車両用表示システムを提供することができる。画像表示部72は、以下に詳述する表示切替装置によって実現されている。
【0030】
§2 構成例
以下、本実施形態に係る表示切替装置1の構成について、図2図7に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、本開示の表示切替装置に関する構成を、図2などに示すようなX(X1-X2)方向(左右方向)、Y(Y1-Y2)方向(上下方向)、Z(Z1-Z2)方向(前後方向)という三方向の座標軸を規定して説明する。
【0031】
(表示切替装置の基本構成)
図2は、本実施形態に係る表示切替装置1の基本構成を示す模式図である。図2に示すように、表示切替装置1は、表示部10と、マイクロレンズアレイ(以下、レンズアレイと略称する)40と、を備える。また、表示切替装置1は、第1光源群51と、第1光源群51が取り付けられる基板3と、を更に備えてもよい。
【0032】
表示部10と、レンズアレイ40とは、筐体2により支持される。さらに、本実施形態において、第1光源群51が取付けられた基板3に筐体2を取付けることにより表示切替装置1の基本構成がなされる。
【0033】
表示切替装置1は、表示部10の上方(Z1側)に損傷防止用の保護層を備えてもよい。また、表示切替装置1は、表示部10の上方に調光部材を備えていてもよい。調光部材の例としては、例えばスモーク、ハーフミラー、偏光板、カラー板、拡散板、表示画像を表示する部材、拡散板と組み合わせて拡散機能をもったスモークなどが挙げられる。また、表示部10の上方に、表示部10の視野角を一部遮断する部材を備えていてもよい。視野角を一部遮断する部材の例としては、ルーバーなどが挙げられる。上述の各部材のサイズは、画像表示部72の大きさに応じて適宜設計され得る。
【0034】
第1光源群51は、レンズアレイ40に向けて光を照射する複数の光源50により構成される。複数の光源50のそれぞれは、同色の光を発光するように構成されてもよいし、異なる色を発光するように構成されてもよい。複数の光源50の一例として、RGBLEDが挙げられる。
【0035】
図3を参照して、レンズアレイ40の構成について説明する。図3は、図2に示すレンズアレイ40の構成例を示す図である。図3の符号100は、図2に示すレンズアレイ40をZ1方向から見た図である。図3の符号101は、符号100の点線で囲まれた部分を拡大して示すレンズアレイ40の斜視図である。図3の符号102に示す図は、レンズアレイ40の一部を拡大して示す部分断面図である。
【0036】
図3の符号100~符号102に示す図に示すように、レンズアレイ40は、複数のレンズ41が二次元マトリックス状に配列されて構成される。レンズアレイ40の複数のレンズ41のそれぞれは、第1光源群51の複数の光源50から出射された光を集光する。
【0037】
図4は、レンズアレイ40による集光の状態の例を示す図である。図4より、光源50の位置を変えることにより集光箇所を変化させることができることが理解され得る。
【0038】
図3の符号100及び符号101に示すように、複数のレンズ41が二次元マトリクス状に配列される領域の中心の位置がレンズアレイ40の重心の位置C1である。重心位置C1に対して最も近い位置に位置するレンズ41を基準レンズ41Aとして、以下説明する。
【0039】
表示部10は、画像層20と、マトリクス層30とからなり、表示すべき画像(表示画像)Pを表示する。マトリクス層30は、例えば画素領域31(開口、以下同様)と、画素領域31以外の領域である画素周囲領域32(マスク、以下同様)とを備える。画像層20と、マトリクス層30とは接合されている。なお、ここでいう「画素周囲領域32」とは、画素領域31のそれぞれの周囲にあって、透過率が一定である領域を指す。また、画素周囲領域32は第1光源群51側からの光、すなわち、レンズアレイ40が配置されている側からの光を遮光する。
【0040】
表示部10は、第1光源群51の位置から出射された光のそれぞれが、レンズアレイ40のそれぞれのレンズ41によって集光される光が通る領域を含んで配置される画素領域31を複数備えている。表示部10は、画素領域31のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定されている。
【0041】
図5は、表示部10の切替表示例を示す図である。図5の符号200に示す図は、表示部10(画像層20)に表示される表示例であり、符号201に示す図は表示される図柄の例示であり、符号202に示す図は符号200に示す図のA部の拡大図であり、符号203に示す図は符号202に示す図のB部の拡大図である。
【0042】
図5に示す表示例では、例えば同一の画像層20に表示画像P1(例示では平仮名「き」)と、表示画像P2(例示では図柄「△」)と、表示画像P3(例示では大文字のアルファベット「G」)と、表示画像P4(例示では数字「6」)とを切替えて表示することができる。
【0043】
図5の符号203に示すように、一例として、表示部10の全体を、1つの区域に最大4つの画素領域31を含むように複数の区域(複数の画素)に区切って表示を切り替えることが可能である。また、図3の符号203に示すように、表示部10の画素領域31以外の領域は画素周囲領域32となっている。
【0044】
図6は、表示部10、レンズアレイ40を構成するレンズ41および第1光源群51を構成する各光源50の対応関係を示す図である。図6において、2つの画素が例示され、第1光源群の各光源50A~50Dからの光はレンズアレイ40に集光されてそれぞれ対応する画素領域31から出射する。表示部10の各画素は、それぞれ画素領域31と、画素周囲領域32とに分割されている。図6に示す光源50A~50Dは、例えばそれぞれ白光、緑光、赤光、青光を出射する光源であってよい。
【0045】
上述のような表示切替装置1を用いることにより、液晶方式の表示装置を用いずにアニメーション表示または切替表示を行うことができる。これにより、液晶ディスプレイを用いるよりも低コストの表示切替装置を実現することができる。
【0046】
(表示の指向性について)
図7を参照して、表示切替装置1の表示部10に表示される表示画像の指向性について説明する。図7は、表示部10及びレンズアレイ40に対する第1光源群51の位置関係を示す図である。表示切替装置1は、第1光源群51の重心位置C2を表示部10の中心からずらすことで、表示部10において指向性を有する表示を可能にしている。
【0047】
図7に示すように、第1光源群51の各光源50は、基準線BLよりもX2側に配置されている。ここで、基準線BLとは、表示切替装置1の表示部10の表示面11の法線方向であって、表示部10の中心位置を通る線である。本実施形態において、基準線BLは、レンズアレイ40の重心位置C1、及び基準レンズ41Aの主点S1を通る線である。
【0048】
第1光源群51の重心位置C2は、レンズアレイ40の重心位置C1に対してX2方向にずれている。ここで、第1光源群51の重心位置C2は、複数の光源50のうち、最も外側に位置する光源50同士を結ぶ対角線の中間位置に相当する位置である。重心位置C2は、仮想的な位置である。レンズアレイ40の基準レンズ41Aの主点S1と、第1光源群51の重心の位置C2とを結ぶ線分L1の方向が、基準線BLに対して傾いている。換言すれば、線分L1は、表示面11の法線方向に対して傾いている。
【0049】
第1光源群51の各光源50からの光は、レンズアレイ40に対して角度をつけて入射する。レンズアレイ40に集光された第1光源群51の光は、表示部10の表示面11の法線方向に対して所定の角度傾いて、表示部10に入射される。表示部10から出射される光は、表示面11の法線方向に対して所定の角度傾いた状態で、出射される。より詳細には、表示部10の表示の指向性の方向である指向方向を、光源50間で平均した第1平均指向方向D1は、表示面11の法線方向に対して所定の角度α傾いている。即ち、第1光源群51からの光により、第1平均指向方向D1による表示を実現する。ここで、所定の角度αは、10度以上であることが好ましい。より好ましくは、所定の角度αが15度以上であるとよい。
【0050】
即ち、第1光源群51の各光源50からの光の照射による表示部10の表示は、指向性を有している。ユーザは、表示部10の表示面11の法線方向に対して所定の角度、換言すれば第1平均指向方向D1と対向する方向から視ると、表示部10に表示されている画像を視認することができる。しかし、ユーザは、表示面11の法線方向に対して所定の角度以外、換言すれば、第1平均指向方向D1と対向する方向以外の方向から視ると、表示部10に表示されている画像を明確に視認することはできない。
【0051】
上記表示切替装置1によれば、レンズアレイ40の各レンズ41によって集光された光によって表示が行われるので、表示部10での表示はある程度の指向性を有することになる。そして、各光源50からの光の照射による表示部10の表示の指向性の方向を平均した平均指向方向が、表示面の法線方向に対して所定の角度傾いている。すなわち、上記の構成によれば、表示部10の表示面11に対して、正面ではなく偏った方向に指向性を有する表示を実現することができる。この際に、例えば従来の液晶方式の表示装置のように、特定の偏光成分の光を使用する構成と比較して、光源から出射される光の利用効率を高めることができる。また、液晶方式の表示装置よりもコストを低くすることができる。
【0052】
また、上記表示切替装置1によれば、レンズアレイ40の重心位置C1に対して第1光源群51の重心位置C2をずらすことで、レンズアレイ40に対して第1光源群51からの光の入射角に角度をつけることができる。そのため、レンズアレイ40の各レンズ41により集光された第1光源群51の光が通る方向を平均した方向を表示部10の表示面11の法線方向に対して傾けることができる。従って、レンズアレイの各レンズにより集光された第1光源群51の光が通る領域に表示部10の画素領域31を配置することで、表示部10において指向性を有する表示画像を表示させることができる。
【0053】
また、上記表示切替装置1によれば、光の利用効率が高いため、第1平均指向方向D1を表示面11の法線方向に対して10度以上傾けたとしても、表示部10における表示の視認性を高くすることができる。また、第1平均指向方向D1を表示面11の法線方向に対して15度以上傾けたとしても、例えば自動車のシフトレバー70に備えられる車両用表示システム90において、表示部10における表示の視認性を高くすることができる。
【0054】
§3 変形例
以上、本開示の実施の形態を詳細に説明してきたが、前述までの説明はあらゆる点において本開示の例示に過ぎない。本開示の範囲を逸脱することなく種々の改良や変形を行うことができることは言うまでもない。例えば、以下のような変更が可能である。なお、以下では、上記実施形態と同様の構成要素に関しては同様の符号を用い、上記実施形態と同様の点については、適宜説明を省略した。以下の変形例は適宜組み合わせ可能である。
【0055】
<3.1>
実施形態1における表示切替装置1では、第1光源群51のみ備えている構成について説明したが、本開示の表示切替装置はこれに限られない。
【0056】
図8及び図9を参照して、本開示の一態様の表示切替装置1Aについて説明する。図8は、実施形態1の変形例に係る表示切替装置1Aの構成の要部を示す図である。表示切替装置1Aでは、複数の光源50Bから構成される第2光源群52を更に備えてもよい。なお、図8及び図9において、第1光源群51を構成する光源50を光源50Aと、第2光源群52を構成する光源50を光源50Bとする。
【0057】
図8に示すように、第1光源群51とは異なる位置に第2光源群52が配置されている。より詳細には、第2光源群52は、基準線BLよりもX1側に配置されている。第2光源群52の重心位置C3は、レンズアレイ40の重心位置C1に対してX1方向にずれている。レンズアレイ40の基準レンズ41Aの主点S1と、第2光源群52の重心の位置C3とを結ぶ線分L2の方向が、基準線BLに対して傾いている。換言すれば、線分L2は、表示面11の法線方向に対して傾いている。なお、線分L2は、表示面11の法線方向に対して、第1光源群51に係る線分L1と同じ傾きの角度であってもよいし、異なる傾きの角度であってもよい。また、線分L2は、表示面11の法線方向と同じ方向であってもよい。
【0058】
第2光源群52の各光源50Bからの光は、レンズアレイ40に対して角度をつけて入射する。レンズアレイ40に集光された第2光源群52の光は、表示部10の表示面11の法線方向に対して所定の角度傾いて、表示部10に入射される。表示部10から出射される第2光源群52の光は、表示面11の法線方向に対して所定の角度傾いた状態で、出射される。より詳細には、表示部10の指向性の方向である指向方向を、光源50B間で平均した第2平均指向方向D2は、表示面11の法線方向に対して所定の角度β傾いている。即ち、第2光源群52からの光により、第2平均指向方向D2を実現する。なお、第2平均指向方向D2は、表示面11の法線方向と同方向であってもよい。
【0059】
上記構成によれば、第1光源群51の第1平均指向方向D1、及び第2光源群52の第2平均指向方向D2は異なる方向となっている。そのため、2つの方向に指向性を有する表示を実現できる。よって、図9に示すように、2つのユーザの位置において視認可能な表示を行うことができる。また、第1光源群51からの光による第1平均指向方向D1と第2光源群52からの光による第2平均指向方向D2とが異なる表示切替装置1を実現することができる。
【0060】
図9は、平均指向方向が互いに異なる2つの方向となっている場合であって、平均指向方向と、画像を視認可能となるユーザの位置との関係を説明する図である。図9の符号300は、第1光源群51及び第2光源群52が左右方向に離れている場合を示す図である。図9の符号301は、第1光源群51及び第2光源群52が、上下方向に離れている場合を示す図である。なお、図9において、表示部10の表示面11に対して、X方向が左右方向であり、Y方向が上下方向であり、Z方向が奥行きの方向であるものとして説明する。
【0061】
図9の符号300に示すように、左右方向において、第1光源群51及び第2光源群52が異なる位置に配置される場合、異なる位置に存在する2人のユーザに対して、異なる2つの位置において視認可能な表示を行うことができる。第1平均指向方向D1と対向する位置に存在するユーザU1は、第2光源群52により表示される表示画像は視認できないが、第1光源群51により表示される表示画像を視認可能である。一方、第2平均指向方向D2と対向する位置に存在するユーザU2は、第1光源群51により表示される表示画像は視認できないが、第2光源群52により表示される表示画像を視認可能である。このような構成によれば、例えば、運転席側のユーザの乗車位置と助手席側のユーザ乗車位置との2つの位置に表示の指向性を強めることが可能である。
【0062】
図9の符号300に示すように、上下方向において、第1光源群51及び第2光源群52が異なる位置に配置される場合、1人のユーザに対して、異なる2つの位置において、視認可能な表示を行うことができる。例えば、車両内において、ユーザU1が着席することが想定されている乗車想定位置に合わせて、第2光源群52の第2平均指向方向D2が設定されている場合、ユーザU1がその乗車想定位置から通常の視線で見た表示部10の表示画像は第2光源群52により表示される画像である。一方、ユーザU1が、通常の視線から下方(Y2方向)に視線を移動させたとすると、ユーザU1の視線は第1光源群51の第1平均指向方向D1と対向するため、ユーザU1は第1光源群51により表示される画像を視認することができる。
【0063】
<3.2>
実施形態1では、表示切替装置1の表示部10における表示の指向性は、第1光源群51の重心位置C2を表示部10の中心からずらすことで可能とした。しかし、本開示の一態様の表示切替装置は、光を屈折させる光学部材を備えることで、表示部10において指向性を有する表示を可能とする構成としてもよい。本変形例に係る表示切替装置は、表示部10の表示面11から出射する光を、表示面11の法線方向に対して傾ける方向に屈折させる光学部材60としてのレンズを備えている。
【0064】
図10を参照して、本変形例に係る表示切替装置について説明する。図10は、実施形態1の変形例に係る表示切替装置について説明する図である。
【0065】
図10の符号400は、光学部材60として凸レンズ61を備える表示切替装置1Bの構成の要部を示す図である。図10の符号401は、表示切替装置1Bの表示部10による表示の指向性のシミュレーション結果を示す図である。
【0066】
図10の符号400に示すように、表示切替装置1Bは、表示部10の光の出射側(Z1側)に光学部材60である凸レンズ61を備えている。凸レンズ61は、表示部10から出射された第1光源群51の光を収束させる。
【0067】
図10の符号401に示すシミュレーション結果を参照して、表示切替装置1Bによる表示の指向性について説明する。符号401の図面上左上に示された光の強度分布をみると、図面上左右方向において光の強度の強い箇所が2つに分かれていることが分かる。符号401の光の強度分布の図面下方に示されている光の強度を示すグラフでは、±10度付近に2つのピークが有ることが分かる。
【0068】
即ち、凸レンズ61を備える表示切替装置1Bは、±10度付近に2つの平均指向方向を有している。凸レンズ61は、表示面11から出射する光を、互いに異なる2つの方向に屈折させている。従って、凸レンズ61を備える表示切替装置1Bにより、表示部10において指向性を有する表示が可能である。
【0069】
図10の符号410は、光学部材60として凹レンズ62を備える表示切替装置1Cの構成の要部を示す図である。図10の符号411は、表示切替装置1Cの表示部10による表示の指向性のシミュレーション結果を示す図である。
【0070】
図10の符号410に示すように、表示切替装置1Cは、表示部10のZ1側に光学部材60である凹レンズ62を備えている。凹レンズ62は、表示部10から出射された第1光源群51の光を発散させる。
【0071】
図10の符号411に示すシミュレーション結果を参照して、表示切替装置1Cによる表示の指向性について説明する。符号411の図面上左上に示された光の強度分布をみると、図面上左右方向において光の強度の強い箇所が2つに分かれていることが分かる。符号411の光の強度分布の図面下方に示されている光の強度を示すグラフでは、±15度付近に2つのピークが有ることが分かる。
【0072】
即ち、凹レンズ62を備える表示切替装置1Cは、±15度付近に2つの平均指向方向を有している。凹レンズ62は、表示面11から出射する光を、互いに異なる2つの方向に屈折させている。従って、凹レンズ62を備える表示切替装置1Cにより、表示部10において指向性を有する表示が可能である。
【0073】
図10の符号410は、光学部材60としてレンズ63を備える表示切替装置1Dの構成の要部を示す図である。図10の符号410に示すように、表示切替装置1Dは、凸レンズと凹レンズとを組み合わせたレンズ63を光学部材60として備えてもよい。レンズ63は、表示部10のZ1側に備えられている。
【0074】
表示切替装置1B~1Dのレンズ61~63の種類により、表示部10に表示される表示画像が拡大又は縮小される。そのため、表示部10に表示させる表示画像の大きさに応じて、凸レンズ又は凹レンズを適宜選択することにより、画像の大きさにバリエーションのある表示を行うことができる。これにより、ユーザの目につきやすい表示を行うことができる表示切替装置を提供することができる。
【0075】
表示切替装置1B~1Dのレンズ61~63は、図10に示した構成に限られるものではない。レンズ61~63の形状は、非対称の形状であってもよい。特定のユーザに対してのみ指向性を強める場合、レンズ61~63の形状は、非対称の形状であるほうがよい。例えば、自動車の運転手側にあるボタンに表示切替装置1B~1Dが適用される場合、ボタンの正面に着座する運転手及び助手席に着座する乗車者に対して指向性を向ける必要がある。そのため、レンズ61~63の形状は、左右非対称の形状とすることが好ましい。また、表示切替装置1B~1Dのレンズ61~63の表面に損傷防止用の保護層、又は光の反射を防止する反射防止層が形成されてもよい。
【0076】
なお、図10において、第1光源群51の配置位置は、図示した例に限られず、設定される表示の平均指向方向に応じて適宜変更可能である(図11において、同じ)。また、表示切替装置1B~1Dのレンズ61~63は、表示部10のZ2側に備えられていてもよい。表示切替装置1B~1Dのレンズ61~63には、プリズムが組み込まれていてもよいし、光を回折する部材を組み込ませてもよい。また、表示切替装置は、光を屈折させる光学部材の代わりに光を回折させる光学部材を備えていてもよい。
【0077】
<3.3>
本開示の一態様の表示切替装置1Eは、光を屈折させる光学部材を備えることで、表示部10において指向性を有する表示を可能とする構成としてもよい。本変形例に係る表示切替装置1Eは、表示部10の表示面11から出射する光を、表示面11の法線方向に対して傾ける方向に屈折させる光学部材60としてのプリズムを備えている。
【0078】
図11を参照して、表示切替装置1Eについて説明する。図11は、実施形態1の変形例に係る表示切替装置1Eについて説明する図である。図11の符号500は、光学部材60としてプリズム64を備える表示切替装置1Eの構成の要部を示す図である。図11の符号501は、符号500にて丸で囲んだ部分を拡大した図である。図11の符号502は、表示切替装置1Eの表示部10による表示の指向性のシミュレーション結果を示す図である。
【0079】
図11の符号500に示すように、表示切替装置1Eは、表示部10のZ1側に光学部材60であるプリズム64を複数備えている。プリズム64の基底は、Z2側に位置するように配置される。換言すれば、プリズム64の基底は、表示部10の画素領域31と対向するように配置されている。
【0080】
図11の符号501に示すように、第1光源群51の光は、表示部10の画素領域31から各プリズム64の基底へと入射する。各プリズム64の基底に入射された光は、屈折し、各プリズム64の面64Aの法線方向及び面74Bの法線方向に出射する。
【0081】
図11の符号502に示すシミュレーション結果を参照して、表示切替装置1Eによる表示の指向性について説明する。符号502の図面上方に示された光の強度分布をみると、図面上左右方向において光の強度の強い箇所が2つに分かれていることが分かる。符号502の光の強度分布の図面下方に示されている光の強度を示すグラフでは、±20度付近に2つのピークが有ることが分かる。
【0082】
即ち、プリズム64を備える表示切替装置1Eは、±20度付近に2つの平均指向方向を有している。各プリズム64は、表示面11から出射する光を、互いに異なる2つの方向に屈折させている。従って、プリズム64を備える表示切替装置1Eにより、表示部10において指向性を有する表示が可能である。
【0083】
なお、表示切替装置1Eの各プリズム64は、表示部10のZ2側に備えられていてもよい。また、表示切替装置1Eは、一つのプリズム64を備える構成であってもよい。また、プリズム64の基底は、Z1側に位置させてもよい。また、プリズム64は、直角三角形のような形状とし、Z1側に表示部10の表示面11の法線方向と平行な面を有する構成としてもよい。このような構成によれば、表示部10の表示の平均指向方向を1つすることができる。また、プリズム64の第1光源群51の光が出射する部分に応じて、プリズム64の斜面の角度を異なる斜面の角度に設定してもよい。このような構成によれば、表示の指向性の角度をより制御して、ユーザが視認する表示画像を明瞭化することができる。
【0084】
また、レンズアレイ40にプリズムを組み込む構成としてもよい。このような構成によれば、複数のプリズム64間の隙間(微細構造)に埃等の汚れが溜まることを低減することができる。また、一体に成形することにより表示切替装置のコストを低減することができる。
【0085】
上記表示切替装置1B~1Eによれば、光学部材60により、レンズアレイ40の各レンズ41により集光された光が、表示部10の表示面11の法線方向に対して傾くように屈折及び/又は回折する。これにより、簡易な構成で表示に指向性を有している表示切替装置を提供することができる。
【0086】
また、上記表示切替装置1B~1Eによれば、光学部材60により、平均指向方向が互いに異なる2つの方向となっている表示切替装置を提供することができる。
【0087】
§4 適用例
これまで説明した形態は、本開示の表示切替装置を、シフトレバーに適用するものであったが、本開示の表示切替装置は、車両のその他の運転装置に対して適用することができる。
【0088】
例えば、本開示の表示切替装置は、ワイパーの動作モードを制御するワイパースイッチに適用することができる。
【0089】
また、本開示の表示切替装置は、ダイヤル式で変速機の動作モードを選択するシステムに適用することができる。
【0090】
また、本開示の表示切替装置は、ハンドル(ステアリング)に設けられるスイッチ(ステアリングスイッチとも呼称される)に適用することができる。
【0091】
また、本開示の表示切替装置は、後部座席用の操作パネルに適用することができる。当該操作パネルは、例えば、車両の空調の制御、オーディオの動作の選択を行えるものであってもよい。これにより、後部座席の搭乗者が車両の運転装置の一部の制御を行うことができる。
【0092】
また、本開示の表示切替装置は、エンジンの電源のオン・オフを制御するいわゆるプッシュスタートスイッチに対して適用することができる。この場合、エンジンの電源がオフであり、かつ、運転手が車両のブレーキをかけている場合と、エンジンの電源がオフであり、かつ、運転手が車両のブレーキをかけていない場合とで表示する画像の色を変えてもよい。
【0093】
また、本開示の表示切替装置は、インストルメントパネルに対して適用することができる。例えば、インストルメントパネルに表示されるウィンカーまたはアラート表示に対して本開示の表示切替装置を適用してもよい。
【0094】
また、本開示の表示切替装置は、車両のヘッドライトの動作を制御するライトスイッチに対して適用することができる。
【0095】
また、本開示の表示切替装置は、車両のヒーターの動作を制御するヒーターコントロールスイッチに対して適用することができる。
【0096】
また、本開示の表示切替装置は、福祉車両に対して適用することができる。ここで、福祉車両として、例えば、人が座った状態の車椅子を搬送する福祉車両が知られている。このような福祉車両では、遮光調製スイッチなどの車椅子を車両内に移動させるためのスイッチ、セーフティベルトスイッチ、車椅子を固定するための固定装置スイッチなど多くのスイッチが存在する。また、スイッチによっては、「引く」、「押す」、「長押し」などの複数の操作を必要とする。そのため、福祉車両の各スイッチをどのように操作すればよいかが分からなくなるという問題がある。このような福祉車両の各スイッチに対して本開示の表示切替装置を適用することにより、福祉車両の操作者に対して現在選択しているモードがどのようなモードであるかを認識させやすくなり、誤動作が生じる虞を低減することができる。
【0097】
また、本開示の表示切替装置は、車両に関する装置に適用することに限られるものではない。本開示の表示切替装置は、車両以外に備えられる装置又はシステムであって、指向性を有する表示を行う必要が有る装置又はシステムに適用されてもよい。
【0098】
なお、上述した表示切替装置の適用例において、表示切替装置がスイッチとして適用される場合、表示切替装置の中央部にへこみを設けることで、表示に指向性有しつつ、ユーザのタッチ性の向上を図ることができる。
【0099】
また、上述した表示切替装置の適用例において、表示切替装置がシフトレバーなどのグリップ部分に適用される場合、表示切替装置の表示面側を凸形状にすることで、グリップ部を握りやすくすることができる。これにより、表示に指向性を有しつつ、操作性の向上を図ることができる。
【0100】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0101】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る表示切替装置は、複数の光源からの光の照射を切り替えることによって表示画像を切り替える表示切替装置であって、複数のレンズが配列されたレンズアレイと、複数の前記光源から出射された光のそれぞれが、前記レンズアレイのそれぞれの前記レンズによって集光される光が通る領域を含んで配置される複数の画素領域を含む表示部と、を備え、前記画素領域のそれぞれにおける透過率が所定の静止図柄に対応して設定され、複数の前記光源の光の照射による前記表示部の表示が指向性を有しており、該指向性の方向である指向方向を、前記光源間で平均した平均指向方向は、前記表示部の表示面の法線方向に対して所定の角度傾いている。
【0102】
本開示の態様2に係る表示切替装置は、上記態様1において、前記レンズアレイの重心に対して最も近い位置に位置する前記レンズを基準レンズとし、前記基準レンズの主点と、複数の前記光源により構成される第1光源群の重心の位置とを結ぶ線分の方向が、前記表示面の法線方向に対して傾いている、構成であってもよい。
【0103】
本開示の態様3に係る表示切替装置は、上記態様1または2において、前記表示面から出射する光を、前記表示面の法線方向に対して傾ける方向に屈折させる、回折させる又はこれらを組合せた機能を持つ光学部材を更に備える、構成であってもよい。
【0104】
本開示の態様4に係る表示切替装置は、上記態様3において、前記光学部材は、レンズである、構成であってもよい。
【0105】
本開示の態様5に係る表示切替装置は、上記態様3において、前記光学部材は、プリズムである、構成であってもよい。
【0106】
本開示の態様6に係る表示切替装置は、上記態様1~5の何れかにおいて、前記平均指向方向が互いに異なる2つの方向となっている、構成であってもよい。
【0107】
本開示の態様7に係る表示切替装置は、上記態様6において、複数の前記光源により構成される第1光源群からの光により、第1の前記平均指向方向による表示を実現し、前記第1光源群とは異なる位置に配置されており、複数の前記光源により構成される第2光源群からの光により、第2の前記平均指向方向を実現する、構成であってもよい。
【0108】
本開示の態様8に係る表示切替装置は、上記態様6または7において、前記表示面から出射する光を、互いに異なる2つの方向に屈折させる、回折させる又はこれらを組合せた機能を持つ光学部材を更に備える、構成であってもよい。
【0109】
本開示の態様9に係る車両用表示システムは、上記態様1~8の何れかに記載の表示切替装置を備え、前記表示切替装置は、車両内において、乗車者が着席することが想定されている乗車想定位置に前記平均指向方向が向いた状態で設けられている、構成であってもよい。
【0110】
本開示の態様10に係る車両用表示システムは、上記態様9において、前記表示切替装置は、車両に備えられるシフトレバーに備えられる、構成であってもよい。
【0111】
本開示の態様11に係る自動車は、上記態様9または10に記載の車両用表示システムが設置される、構成であってもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 表示切替装置
40 レンズアレイ
10 表示部
11 表示面
31 画素領域
32 画素周囲領域
50 光源
51 第1光源群
90 車両用表示システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11