(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005898
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】光コネクタのアダプタ一体型カセットケース
(51)【国際特許分類】
G02B 6/46 20060101AFI20240110BHJP
G02B 6/36 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G02B6/46
G02B6/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106338
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】391005581
【氏名又は名称】三和テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100069213
【弁理士】
【氏名又は名称】平田 功
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 靖弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 貴司
【テーマコード(参考)】
2H036
2H038
【Fターム(参考)】
2H036JA01
2H036QA44
2H036QA47
2H036QA48
2H036QA56
2H036RA25
2H038CA37
2H038CA38
(57)【要約】
【課題】小型軽量化されたアダプタ本体が容易に形成され、アダプタ本体とケース本体部底板との固定を強固にした光コネクタのアダプタ一体型カセットケースを提供する。
【解決手段】上壁板部2Aと、その両端及びその間に複数垂設された側壁板部2Bにてアダプタ本体2を形成するとともに、該アダプタ本体2の各側壁板部2B下端をカセットケースのケース本体部1における底板1Aの前端上面に固定し、これによって、底板1A上面に正面視四角筒状のアダプタ単体を複数個連設した多連式のアダプタQを形成し、且つ前記アダプタ本体2後方のケース本体部1内に、光ファイバ20Aのケーブル収容部1Bを形成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上壁板部と、その両端及びその内側に複数のプラグ挿入口を区劃するよう等間隔に垂設された複数の側壁板部にてアダプタ本体を形成するとともに、該アダプタ本体の各側壁板部下端をカセットケースのケース本体部における底板の前端上面に固定し、これによって、前記の底板上面の左右方向に正面視略四角筒状のアダプタ単体を複数個連設した多連式のアダプタを形成し、且つ前記アダプタ後方のカセットケース本体内に、光ファイバのケーブル収容部を形成してなることを特徴とする光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項2】
前記アダプタ本体は、その上壁板部を、前記ケース本体部内の横幅と略同幅の矩形板状に形成するとともに、前記上壁板部に垂設された左右両端及びその間の複数の側壁板部を、当該アダプタ本体の下面開口部とケース本体部の底板とを固定する複数の連結手段を嵌入可能な厚板壁材にて形成したことを特徴とする請求項1記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項3】
前記連結手段として、前記アダプタ本体の各側壁板部をケース本体部の底板に固定する係止部を下方に備えた連結プレートを使用することを特徴とする請求項2記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項4】
前記各厚板壁材直上にあって、前記矩形板状の上壁板部に前記連結プレートを上方より押し込む開口を形成するとともに、前記各厚板壁材内に前記開口と垂直配置で連通する前記連結プレートの嵌入孔を貫設したことを特徴とする請求項2記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項5】
前記ケース本体部の底板に、前記上壁板部の開口を介して前記各厚板壁材の嵌入孔に押し込まれた連結プレート下方の係止部が係止固定される係止孔を貫設したことを特徴とする請求項3記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項6】
前記連結プレートは、水平バーとその両端手前に垂設された一対のアームにて略コ字型に形成されるとともに、前記一対のアーム下端に前記ケース本体部における底板の係止孔に係止固定される係止部を具備していることを特徴とする請求項3記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項7】
前記連結プレートにおける一対のアーム下端の係止部は、外向き係止爪にて各形成されていることを特徴とする請求項6記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項8】
前記ケース本体部における底板の係止孔には、前記連結プレートの一対のアーム下端に設けられた外向き係止爪が係止固定されるよう段差部が形成されていることを特徴とする請求項6記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項9】
前記ケース本体部における底板の前部上面に前記アダプタ本体を載置する台部を設け、該台部上面の横方向に所定の間隔を置いて前記アダプタ本体の前記厚板壁材を除いた各側壁板部下端の嵌合溝を複数設けたことを特徴とする請求項1記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項10】
前記ケース本体部の先端に複数のリブ突起を設け、該リブ突起を前記アダプタ本体の前端下方に形成された複数の嵌合孔に嵌合させ、前記ケース本体部と一体化するよう形成したことを特徴とする請求項1記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項11】
前記リブ突起の下方には、第2突起が連設され、該第2突起は前記アダプタ本体の嵌合孔よりも下側の壁面下方に受保持状に係止されるように形成したことを特徴とする請求項1記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項12】
前記アダプタは、LC型のアダプタの他、SC型、MU型、MPO型の光コネクタのアダプタにも適用できることを特徴とする請求項1記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【請求項13】
前記カセットケースは、全体を金属材等の導電性材料にて形成したことを特徴とする請求項1記載の光コネクタのアダプタ一体型カセットケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アダプタをカセットケースに一体に連結固定した光コネクタのアダプタ一体型カセットケースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の光コネクタのアダプタ一体型カセットケースは、カセットケース(ボックス)の開口部先端にシャッタ付きアダプタを挿着することで一体となって組み立てられる。
【0003】
例えば、特許文献1に示すように、2心のアダプタを3個配置させる場合として、まずケーシングの開口部にこれらアダプタを3個まとめて挿入する。このとき、前記ケーシングの開口部近傍の上下両面にはそれぞれ2個の小孔が設けられ、これに左右ラッチの短い方の切片が係合する(特許文献1の
図17参照)。而して、3個のアダプタはケーシングの開口部に並列に取り付けられる。
【0004】
また、特許文献2に示すように、複合光ファイバモジュールの前端の上面に小孔を設け、これにアダプタの上壁に形成した切片が係合する光ファイバ部材が公知である(特許文献2のfig1A、fig8、fig19A、fig21Aを参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-067602号公報(
図17参照)
【特許文献2】US2017/0192191号公報(fig1A、fig8、fig19A、fig21Aを参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した特許文献1では、
図17に示すように四角筒状のケーシングの開口部先端に四角筒状のアダプタを3個まとめて挿入し、ケーシングの開口部の上下両面にある2個の小孔に左右ラッチの短い切片が係合するため、小孔から切片が外れやすく、しかも従来品である四角筒状のアダプタが四角筒状のケーシングの開口部に取り付けられるため組立時において全体が大型化し且つ重量化するという欠陥がある。
【0007】
また、特許文献2では、複合光ファイバモジュールの先端上面の小孔に、四角筒状のアダプタの上面の切片が係合するため、アダプタのハウジングと、複合光ファイバモジュールのケース本体部とが外れやすく、しかも組立時において、その強度が充分に確保できないという欠陥がある。
【0008】
そこで、本発明は、叙上のような従来存した諸事情に鑑み案出されたもので、カセットケースの底板にアダプタを構成する側壁板部下端を固定することで、カセットケースと一体化された小型軽量のアダプタが容易に形成されるとともに、前記アダプタとカセットケースのケース本体部の底板との組立時の強度を充分に確保して、両者が外れないように連結することが可能な光コネクタのアダプタ一体型カセットケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明にあっては、上壁板部と、その両端及びその内側に複数のプラグ挿入口を区劃するよう等間隔に垂設された複数の側壁板部にてアダプタ本体を形成するとともに、該アダプタ本体の各側壁板部下端をカセットケースのケース本体部における底板の前端上面に固定し、これによって、前記の底板上面の左右方向に正面視略四角筒状のアダプタ単体を複数個連設した多連式のアダプタを形成し、且つ前記アダプタ後方のカセットケース本体内に、光ファイバのケーブル収容部を形成してなることを特徴とする。
【0010】
前記アダプタ本体は、その上壁板部を、前記ケース本体部内の横幅と略同幅の矩形板状に形成するとともに、前記上壁板部に垂設された左右両端及びその間の複数の側壁板部を、当該アダプタ本体の下面開口部とケース本体部の底板とを固定する複数の連結手段を嵌入可能な厚板壁材にて形成したことを特徴とする。
【0011】
前記連結手段として、前記アダプタ本体の各側壁板部をケース本体部の底板に固定する係止部を下方に備えた連結プレートを使用することを特徴とする。
【0012】
前記各厚板壁材直上にあって、前記矩形板状の上壁板部に前記連結プレートを上方より押し込む開口を形成するとともに、前記各厚板壁材内に前記開口と垂直配置で連通する前記連結プレートの嵌入孔を貫設したことを特徴とする。
【0013】
前記ケース本体部の底板に、前記上壁板部の開口を介して前記各厚板壁材の嵌入孔に押し込まれた連結プレート下方の係止部が係止固定される係止孔を貫設したことを特徴とする。
【0014】
前記連結プレートは、水平バーとその両端手前に垂設された一対のアームにて略コ字型に形成されるとともに、前記一対のアーム下端に前記ケース本体部における底板の係止孔に係止固定される係止部を具備していることを特徴とする。
【0015】
前記連結プレートにおける一対のアーム下端の係止部は、外向き係止爪にて各形成されていることを特徴とする。
【0016】
前記ケース本体部における底板の係止孔には、前記連結プレートの一対のアーム下端に設けられた外向き係止爪が係止固定されるよう段差部が形成されていることを特徴とする。
【0017】
前記ケース本体部における底板の前部上面に前記アダプタ本体を載置する台部を設け、該台部上面の横方向に所定の間隔を置いて前記アダプタ本体の前記厚板壁材を除いた各側壁板部下端の嵌合溝を複数設けたことを特徴とする。
【0018】
前記ケース本体部の先端に複数のリブ突起を設け、該リブ突起を前記アダプタ本体前端下方に形成された複数の嵌合孔に嵌合させ、前記ケース本体部と一体化するよう形成したことを特徴とする。
【0019】
前記リブ突起の下方には、第2突起が連設され、該第2突起は前記アダプタ本体の嵌合孔よりも下側の壁面下方に受保持状に係止されるように形成したことを特徴とする。
【0020】
前記アダプタは、LC型のアダプタの他、SC型、MU型、MPO型の光コネクタのアダプタにも適用できることを特徴とする。
【0021】
前記カセットケースは、全体を金属材等の導電性材料にて形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、カセットケースの底板にアダプタの側壁板部の下端を固定することで、カセットケースと一体化された小型、軽量の多連式のアダプタが容易且つ低コストで形成され、当該アダプタ本体とカセットケースのケース本体部との組立時の強度を確保して、両者が外れないように連結することができる等の諸々のセキュリティシステムを構築可能にするものである。
【0023】
すなわち、本発明にあっては、上壁板部と、その両端及びその内側に複数のプラグ挿入口を区劃するよう等間隔に垂設された複数の側壁板部にてアダプタ本体を形成するとともに、該アダプタ本体の各側壁板部下端をカセットケースのケース本体部における底板の前端上面に固定し、これによって、前記の底板上面の左右方向に正面視略四角筒状のアダプタ単体を複数個連設した多連式のアダプタを形成し、且つ前記アダプタ後方のカセットケース本体内に、光ファイバのケーブル収容部を形成してなるので、ケース本体部の底板前端と、前記上壁板部に垂設された複数の側壁板部の下面開口部との結合により小型軽量の多連式アダプタが容易且つ低コストで形成される。また、前記カセットケース本体のケーブル収容部内に、光ファイバケーブルの余長部分を絡ませることなくコイル状に纏めて収容することができる。
【0024】
前記アダプタ本体は、その上壁板部を、前記ケース本体部内の横幅と略同幅の矩形板状に形成するとともに、前記上壁板部に垂設された左右両端及びその間の複数の側壁板部を、当該アダプタ本体の下面開口部とケース本体部の底板とを固定する複数の連結手段を嵌入可能な厚板壁材にて形成したので、これら連結手段によって確実かつ強固にケース本体部の底板と固定することができ、当該アダプタ本体とケース本体との組立時において、両者が外れないように強固な結合構造とすることができる。
【0025】
前記連結手段として、前記アダプタ本体の各側壁板部をケース本体部の底板に固定する係止部を下方に備えた連結プレートを使用するので、下面に開口部を有するアダプタ本体とケース本体部の両部材を連結プレートの係止部によって確実強固に連結固定することができる。
【0026】
前記各厚板壁材直上にあって、前記矩形板状の上壁板部に前記連結プレートを上方より押し込む開口を形成するとともに、前記各厚板壁材内に前記開口と垂直配置で連通する前記連結プレートの嵌入孔を貫設したので、各連結プレートを開口から各厚板壁材内の嵌入孔へ押し込むことで、アダプタ本体下面の開口部を閉鎖しつつケース本体部の底板に確実強固に連結固定することができる。
【0027】
前記ケース本体部の底板に、前記上壁板部の開口を介して前記各厚板壁材の嵌入孔に押し込まれた連結プレート下方の係止部が係止固定される係止孔を貫設したので、連結プレート下方の係止部が底板の係止孔に係止固定されることで、アダプタ本体下面の開口部を閉鎖しつつケース本体部の当該底板に確実強固に連結固定することができる。
【0028】
前記連結プレートは、水平バーとその両端手前に垂設された一対のアームにて略コ字型に形成されるとともに、前記一対のアーム下端に前記ケース本体部における底板の係止孔に係止固定される係止部を具備して形成されているので、連結プレート下端に係止部を具備した一対のアームによって、前記連結プレートの上方への引き抜きが阻止されるとともに、前記アダプタ本体下面の開口部を閉鎖しつつケース本体部に確実強固に連結固定することができる。
【0029】
前記連結プレートにおける一対のアーム下端の係止部は、外向き係止爪にて各形成されているので、アダプタ本体下面の開口部とケース本体部の組立時において、両部材が外れないように連結強度を著しくに向上することができる。
【0030】
前記ケース本体部における底板の係止孔には、前記連結プレートの一対のアーム下端に設けられた外向き係止爪が係止固定されるよう段差部が形成されているので、前記段差部に係止爪が係止固定されることでアダプタ本体下面の開口部とケース本体部との一体化が充分に担保され抜けが確実に防止される。
【0031】
前記ケース本体部における底板の前部上面に前記アダプタ本体を載置する台部を設け、該台部上面の横方向に所定の間隔を置いて前記アダプタ本体の前記厚板壁材を除いた各側壁板部下端の嵌合溝を複数設けたので、前記ケース本体部の底板に対してアダプタ本体が正確な位置で嵌合固定されるとともに、外部から衝撃や加圧等を受けても、アダプタ本体がケース本体部の底板から外れるのを有効に防止することができる。
さらに、前記ケース本体部における底板の前部上面は台部によって厚板に形成されるので、当該部分の折れや反りの発生を効果的に防止することができ、前記ケース本体部に対してアダプタ本体を常に安定した状態で取り付けておくことができる。
【0032】
前記ケース本体部の先端に複数のリブ突起を設け、該リブ突起を前記アダプタ本体の前端下方に形成された複数の嵌合孔に嵌合させ、前記ケース本体部と一体化するよう形成したので、光コネクタの組み立てに際して、前記ケース本体部の底板に対するアダプタ本体の正確な位置決めを可能とするとともに、シャッタ付きアダプタの場合、リブ突起後方の傾斜面とシャッタ軸との隙間を小さくすることができるので、当該シャッタの軸位置が安定的に保持され、これによってシャッタの開閉具合にバラツキをなくすことができ、スムーズなシャッタ開閉が可能となる。加えて、前記アダプタ本体の下端開口部とケース本体部との間の隙間を少なくすることができるので、防塵性が高くなり、アダプタ本体の左右方向への移動を阻止(ガタ止め)して両部材をしっかりと連結固定することができる。
【0033】
前記リブ突起の下方には、第2突起が連設され、該第2突起は前記アダプタ本体の嵌合孔よりも下側の壁面下方に受保持状に係止されるように形成したので、前記リブ突起の機能に加えて第2突起の受保持状の係止力によって、下方側からの作用に対して充分な抑止効果が発揮される。
【0034】
前記アダプタは、LC型のアダプタの他、SC型、MU型、MPO型の光コネクタのアダプタにも適用できるので、汎用性の高い光コネクタのアダプタ一体型カセットケースとすることができる。
【0035】
前記カセットケースは、全体を金属材等の導電性材料にて形成したので、電磁的なノイズに対してシールド性が高い製品を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明を実施するための一形態を示す光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの分解斜視図である。
【
図2】光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの一例を示し、(a)はケース本体部の斜視図、(b)はケース本体部の端部を一部拡大した斜視図である。
【
図3】光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの一例を示し、(a)はケース本体部の平面図、(b)はケース本体部の底面図である。
【
図4】アダプタ本体の一例を示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は背面図である。
【
図5】アダプタ本体の一例を示し、(a)は右側面図、(b)は左側面図である。
【
図6】アダプタ本体の一例を示し、(a)は
図4のA-A断面図、(b)は
図4のB-B断面図である。
【
図7】光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの一例を示し、(a)は平面図、(b)は底面図である。
【
図8】光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの一例を示し、(a)は正面図、(b)は背面図、(c)は側面図である。
【
図9】光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの全体斜視図である。
【
図10】連結プレート(連結手段)の一例を示し、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は平面図である。
【
図11】ケース本体部のリブ突起を斜め下方からアダプタ本体の嵌合孔に嵌合させるようにして差し込む状態を示す斜視図である。
【
図12】ケース本体部を持ち上げてアダプタ本体に水平に嵌め込んだ状態を示す斜視図である。
【
図15】光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの一例を示し、(a)は連結プレート(連結手段)をアダプタ本体の上壁板部の開口を介して各厚板壁材の嵌入孔に押し込む前状態の断面図、(b)は一対のアーム下端の係止部を各厚板壁材の嵌入孔に押し込んでいる途中の状態の断面図、(c)は一対のアーム下端の外向き係止爪(係止部)がケース本体部における底板の係止孔の段差部に係止固定された状態の断面図である。
【
図16】アダプタ本体後方のカセットケース本体内の光ファイバのケーブル収容部内に当該光ファイバケーブルを収納した状態を示す平面図である。
【
図17】アダプタ本体の一例を示し、(a)は4連式アダプタ本体の上壁板部の嵌入孔に連結プレート(連結手段)を嵌入させる前状態を示す一部端面を切り欠いた斜視図、(b)は4連式アダプタ本体の上壁板部の嵌入孔に連結プレート(連結手段)を嵌入させた状態を示す一部端面を切り欠いた斜視図である。
【
図18】アダプタ本体を背面から視た断面図である。
【
図19】連結プレート(連結手段)をアダプタ本体の厚板壁材の嵌入孔に嵌入させてケース本体部の底板に係止させた状態を示す拡大断面図である。
【
図20】ケース本体部のリブ突起を斜め下方からアダプタ本体の嵌合孔に嵌合させるようにして差し込んだ状態を示す組立て前のアダプタ本体の拡大された断面図である。
【
図21】アダプタ本体を示し、(a)は組立て後のアダプタ本体の拡大された断面図、(b)はそのシャッタ軸位置における拡大された一部断面図である。
【
図22】従来のアダプタ本体を示すもので、(a)は組立て後のアダプタ本体の拡大された一部断面図、(b)はそのシャッタ軸位置における拡大された一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明に係る光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの実施の一例を詳細に説明する。
なお、本光コネクタのアダプタ一体型カセットケースは、本実施形態ではLC型アダプタについて説明するが、この他、SC型、MU型、MPO型のアダプタにも採用できるものである。また、本実施形態では、光コネクタのシャッタ付きアダプタ一体型カセットケースについて説明しているが、シャッタの無い光コネクタのアダプタ一体型カセットケースであっても良い。
【0038】
図1に示すように、本実施形態の光コネクタのシャッタ付きアダプタ一体型カセットケースは、カセットケースのケース本体部1と、ケース本体部1の底板1Aの前端上面に固定されるアダプタ本体2と、ケース本体部1の後方の光ファイバのケーブル収容部1B上面を被蓋するケースカバー3と、を備えている。前記ケースカバー3は、その四隅に垂直な脚部3Aのフック3Bを、ケース本体部1の後方四隅の被係止部1Cに係止固定されることでケーブル収容部1B上面を被蓋する。
【0039】
図1、
図9、
図16に示すように、前記ケースカバー3の後端中央部には凹部3Cが形成され、該凹部3C内にMPOアダプタ20が嵌合固定され、ケースカバー3の前端両側にはプレート固定ラッチ21を挿入する環状フランジ22を備えている。そして、一つのMPOアダプタ20から複数本の光ファイバ20Aが引き出され、前記ケーブル収容部1B内でコイル状に纏められ、これら先端に接続した複数の各プラグPが前記アダプタ本体2内に設けられた、後述するプラグ挿入口6の後部に差し込まれる。
【0040】
図1、
図4、
図7、
図8、
図9、
図20に示すように、前記アダプタ本体2は、上壁板部2Aと、その両端及びその内側に複数のプラグ挿入口6を区劃するよう等間隔に垂設された複数の側壁板部2Bを備えるとともに、これら各側壁板部2Bの下端を、前記カセットケースのケース本体部1における底板1Aの前端上面に固定してなる。これによって、前記各側壁板部2Bの下面開口部2Cが閉鎖され、前記底板1A上面の左右方向に正面視略四角筒状のアダプタ単体を複数個連設した本願発明に係る多連式のアダプタQが形成される。
【0041】
尚、前記多連式のアダプタQのアダプタ単体には、内部にバネ4Aを有するシャッタ4、前ホルダ部5Aと後ホルダ部5Bとを中央の割りスリーブ5Cを介して端面同士を接合させたスリーブホルダ5、及び光コネクタのプラグ挿入口6等を備える。
【0042】
また、前記多連式のアダプタQは、そのアダプタ本体2を構成する上壁板部2Aを、前記ケース本体部1の横幅と略同幅の矩形板状に形成するとともに、該矩形板状の上壁板部2Aに垂設された左右両端及びその間の複数の側壁板部2Bを、これら各側壁板部2Bの下端と前記ケース本体部1の底板1Aとを固定する複数の連結する連結手段として連結プレート10を嵌入可能な厚板壁材7にて形成している。
【0043】
本実施例では、
図1、
図7、
図11、
図12、
図17、
図18に示すように、前記厚板壁材7は、前記矩形板状の上壁板部2Aの下面に、これより薄い3個の側壁板部2Bを介して4連式のアダプタ本体2を1ポートとして、計3ポート左右方向に連設するよう形成されている。つまり、前記上壁板部2Aの左右両端およびその間に等間隔でそれぞれ2個の厚板壁材7が垂設されるとともに、計4個の互いに間隔を設けて隣設する前記厚板壁材7の間に、各3個の薄板の側壁板部2Bが垂設され、これによって等間隔に4個のプラグ挿入口6を備えた4連式のアダプタ本体2が計3ポート形成される。しかしながら、本発明は、アダプタ本体2を4連式とし、総ポート数を3ポートに特定するものではなく、4連式以外のアダプタ本体2とするとともに、3ポート以外の複数ポートを連設してアダプタQを形成しても良い。
【0044】
前記連結プレート10(連結手段)は、アダプタ本体2の下端をケース本体部1の底板1Aに固定する係止部10Cを下方に備えている。すなわち、
図10、
図15に示すように、前記連結プレート10は、水平バー10Aの両端手前に垂設された一対のアーム10B、10Bにて略コ字型に形成されるとともに、前記一対のアーム10B、10B下端に前記ケース本体部1における底板1Aの係止孔11に係止固定される外向き係止爪10Dにて各形成される係止部10Cを具備している。
【0045】
図1、
図4、
図5、
図6、
図7、
図9、
図17に示すように、前記各厚板壁材7の直上にあって前記矩形板状の上壁板部2Aに前記連結プレート10を上方より押し込む細長状の開口12が長さ方向と直交するよう形成されている。そして、前記各厚板壁材7内に前記開口12と垂直配置で連通する前記連結プレート10の嵌入孔13が各々貫設されている。
【0046】
図15、
図17、
図19に示すように、前記係止孔11は、ケース本体部1の底板1Aに、前記アダプタ本体2の上壁板部2Aの開口12を介して前記各厚板壁材7の嵌入孔13に押し込まれた連結プレート10下方の係止部10Cが係止固定されるよう形成されている。また、前記係止孔11には、前記連結プレート10の一対のアーム10B、10B下端に設けられた係止部10Cを構成する外向き係止爪10Dが係止固定されるよう段差部14が形成されている。この段差部14は、前記係止孔11の下方外側に段差状に形成され、前記連結プレート10下方の係止部10Cの外向き係止爪10D(上側の平面部と下側の傾斜面とから構成される)の平面部が係止されるものとなっている。
【0047】
また、
図3、
図4、
図13、
図14に示すように、前記ケース本体部1の底板1Aの前部上面に前記アダプタ本体2を載置する台部8を設け、該台部8上面の横方向には所定の間隔を置いて前記アダプタ本体2の各側壁板部2B下端の嵌合溝8Aを複数設ける。本実施形態では、各厚板壁材7間に垂設された各側壁板部2Bの数に対応するよう各3個ずつ設けられている。これによって組み立て時にケース本体部1の底板1Aに対してアダプタ本体2が正確な位置に嵌合固定され、ケース本体部1の底板1Aの前部上面に設けられた台部8上のアダプタ本体2が前記台部8からズレるのを阻止し得、斯くして既述した連結プレート10によりケース本体部1の底板1Aとアダプタ本体2とが確実、容易にして且つ強固に固定される。
【0048】
図20、
図21(a)、(b)に示すように、前記ケース本体部1の底板1Aの先端には、複数のリブ突起15を設け、前記各々コネクタ挿入口6に内蔵されたスリーブホルダ5及びシャッタ4等を挟みつつ当該リブ突起15をアダプタ本体2の前端下方に形成された複数の嵌合孔16に嵌合させることによって、前記ケース本体部1と一体化するよう形成されている。
【0049】
このとき、
図11、
図12、
図13、
図14に示すように、前記ケース本体部1を斜めから、リブ突起15を前記アダプタ本体2の嵌合孔16に嵌合させるようにして差し込み、次いで前記ケース本体部1を持ち上げてアダプタ本体2の後端に、当該ケース本体部1における底板1Aの前部上面の後方に複数設けられたホルダ9を嵌め込む。これによりケース本体部1をワンタッチでアダプタ本体2に嵌め込むことができ、以って前記アダプタ本体2の離脱を防止するとともに、前記ケース本体部1の底板1Aの反りを矯正できる。
尚、
図2(a)、(b)に示すように、前記ホルダ9は、前端に垂直面9a、後端に傾斜面9bを各備えている。スペースの小さい作業現場では、ケース本体部1のケーブル収容部1B底面をスライドさせつつアダプタ本体2を前記ケース本体部1前方の台部8へ取り付けるのが好適である。すなわち、前記アダプタ本体2を前記傾斜面9bを乗り越えて前記ケース本体部1の底板1Aの台部8上に載置したとき、当該アダプタ本体2の後端が前記垂直面9aに係止され、これによって前記アダプタ本体2は台部8上に安定して保持される。
【0050】
而して、従来、
図22(a)、(b)に示すように、ケース本体部101をアダプタ本体102の下方側から差し込むことだけで両部材を連結させるものであるから、シャッタ軸104Bとケース本体部101の底板101との隙間Lが大となり、両部材の結合力が弱くシャッタ104の開閉具合にバラツキが生じ易かった。
【0051】
そこで、本実施形態では、前記リブ突起15の下方に、第2突起15Aを増設し、該第2突起15Aによって、
図21(a)、(b)に示すように、前記アダプタ本体2の前端下方の嵌合孔16よりも下側の壁面下方に受保持状に係止されるようにしたものである。こうすることで、前記アダプタ本体2の位置決めとともに、リブ突起15後方の傾斜面とシャッタ軸4Bとの隙間lを小さくして、両部材の結合力を強くするためシャッタ軸4B位置が安定し、シャッタの開閉具合のバラツキを少なくすることができる。
【0052】
なお、前記ケース本体部1は、ケースカバー3を含めてカセットケース全体を金属材等の導電性材料にて形成し、これによって電磁的なノイズに対してシールド性が高い製品を製作することができるものとなっている。
【0053】
次に、以上のように構成された形態についての組付、使用、動作の一例について説明する。
【0054】
前記アダプタ本体2に内蔵されているスリーブホルダ5及びシャッタ4等の部材を挟みつつケース本体部1の先端の複数のリブ突起15をアダプタ本体2の前端下方に形成された複数の嵌合孔16に嵌合させ、前記ケース本体部1と一体化する。このとき、
図13、
図14に示すように、前記ケース本体部1を斜めから、リブ突起15を前記アダプタ本体2の嵌合孔16に嵌合させるようにして差し込み、当該ケース本体部1を持ち上げてアダプタ本体2に嵌め込む。このとき、アダプタ本体2の上壁板部2Aに垂設された複数の側壁板部2B下端が、前記ケース本体部1の底板1Aの前部上面に設けられた台部8上面の嵌合溝8Aに嵌合固定される。
【0055】
次いで、
図15(a)、(b)、(c)に示すように、アダプタ本体2の上壁板部2Aの細長状の開口12に、連結プレート(連結手段)10を上方より押し込むと、各厚板壁材7内部に前記開口12と垂直配置で連通する嵌入孔13内へ前記連結プレート10の水平バー10Aの両端手前に垂設された一対のアーム10B、10Bが嵌入されるとともに、前記アーム部10B、10B下端に設けられた外向き係止爪10Dにて各形成されている係止部10Cが、ケース本体部1における底板1Aの係止孔11の段差部14に係止される。こうして、前記アダプタ本体2とケース本体部1が外れないように固定され、本発明に係る光コネクタのアダプタ一体型カセットケースの組立てが完了する。
【符号の説明】
【0056】
Q アダプタ
P プラグ
l、L 隙間
1 ケース本体部
1A 底板
1B ケーブル収容部
1C 被係止部
2 アダプタ本体
2A 上壁板部
2B 側壁板部
2C 開口部
3 ケースカバー
3A 脚部
3B フック
3C 凹部
4 シャッタ
4A バネ
4B シャッタ軸
5 スリーブホルダ
5A 前ホルダ部
5B 後ホルダ部
5C 割スリーブ
6 プラグ挿入口
7 厚板壁材
8 台部
8A 嵌合溝
9 ホルダ
9a 垂直面
9b 傾斜面
10 連結プレート(連結手段)
10A 水平バー
10B アーム
10C 係止部
10D 係止爪
11 係止孔
12 開口
13 嵌入孔
14 段差部
15 リブ突起
15A 第2突起
16 嵌合孔
20 MPOアダプタ
20A 光ファイバ
21 プレート固定ラッチ
22 環状フランジ
101 ケース本体部
101A 底面
102 アダプタ本体
104 シャッタ
104B シャッタ軸