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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024058996
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】テープ剥離判定装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/08 20060101AFI20240422BHJP
   H05K 13/02 20060101ALI20240422BHJP
   G01N 21/956 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
H05K13/08 A
H05K13/02 B
G01N21/956 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166457
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大樹
【テーマコード(参考)】
2G051
5E353
【Fターム(参考)】
2G051AA65
2G051AB02
2G051CA04
2G051EA16
2G051EB01
2G051ED08
5E353EE02
5E353HH12
5E353HH25
5E353HH26
5E353HH32
5E353HH40
5E353KK03
5E353KK11
5E353PP02
5E353QQ12
(57)【要約】
【課題】ボトムテープとカバーテープとの剥離の成否の判定精度を従来よりも高めることができるテープ剥離判定装置を提供する。
【解決手段】テープ剥離判定装置は、キャリアテープを構成するボトムテープとカバーテープとを剥離させる剥離部によって剥離される前記カバーテープの通路上の撮像対象領域であって、剥離の成否に応じて前記カバーテープの有無が変化する前記撮像対象領域を撮像して、少なくとも輝度を表す画像データを取得するカメラと、前記画像データの前記撮像対象領域の内部に設定した複数の検知エリアの各々を対象として、前記撮像対象領域に前記カバーテープが無いときの輝度基準値を個別に設定する基準設定部と、前記キャリアテープが前記剥離部まで送られた後に前記カメラにより取得した判定用画像データから求めた複数の前記検知エリアの各々の輝度測定値、および前記輝度基準値に基づいて前記剥離の成否を判定する判定部と、を備える。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリアテープを構成するボトムテープとカバーテープとを剥離させる剥離部によって剥離される前記カバーテープの通路上の撮像対象領域であって、剥離の成否に応じて前記カバーテープの有無が変化する前記撮像対象領域を撮像して、少なくとも輝度を表す画像データを取得するカメラと、
前記画像データの前記撮像対象領域の内部に設定した複数の検知エリアの各々を対象として、前記撮像対象領域に前記カバーテープが無いときの輝度基準値を個別に設定する基準設定部と、
前記キャリアテープが前記剥離部まで送られた後に前記カメラにより取得した判定用画像データから求めた複数の前記検知エリアの各々の輝度測定値、および前記輝度基準値に基づいて前記剥離の成否を判定する判定部と、
を備えるテープ剥離判定装置。
【請求項2】
前記基準設定部は、前記カメラにより前記カバーテープが無いと判明している前記撮像対象領域を撮像して取得した基準画像データに基づいて、前記輝度基準値を個別に設定する、請求項1に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項3】
前記基準設定部は、前記基準画像データの複数の前記検知エリアの各々を対象として、エリア内の複数の画素の前記輝度の平均値を前記輝度基準値とし、
前記判定部は、前記判定用画像データの複数の前記検知エリアの各々を対象として、エリア内の複数の画素の前記輝度の平均値を前記輝度測定値とする、
請求項2に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項4】
前記判定部は、複数の前記検知エリアの各々の前記輝度測定値と前記輝度基準値との差分値を所定の閾値と比較して前記剥離の成否を判定する、請求項1に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記差分値が前記閾値を超える前記検知エリアの数量が所定数以上の場合に前記剥離に成功したと判定し、前記所定数未満の場合に前記剥離に成功しなかったと判定する、請求項4に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記差分値が前記閾値を超えかつ相互に接する前記検知エリアの数量が前記所定数以上の場合に前記剥離に成功したと判定し、前記所定数未満の場合に前記剥離に成功しなかったと判定する、請求項5に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項7】
前記剥離部は、前記キャリアテープが送られたときに前記ボトムテープと前記カバーテープとの間に進入する剥離刃を有し、
前記撮像対象領域は、前記剥離刃の上面に設定される、
請求項1~6のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項8】
前記剥離刃は、テープ長さ方向に延びて前記ボトムテープと前記カバーテープとを接着する二条の接着部のうちの一条を剥離する、請求項7に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項9】
複数の前記検知エリアは、前記撮像対象領域の内部に二次元マトリックス状に設定される、請求項1~6のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項10】
前記剥離部を有するテープフィーダに前記キャリアテープを装填するテープ装填装置に組み込まれる、請求項1~6のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項11】
前記基準設定部は、前記キャリアテープが前記剥離部まで送られる以前に前記カメラにより前記撮像対象領域を撮像して取得した基準画像データに基づいて、前記輝度基準値を個別に設定する、請求項10に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項12】
前記剥離部を有するテープフィーダを具備して前記キャリアテープから供給される部品を基板に装着する部品装着機に組み込まれる、請求項1~6のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置。
【請求項13】
前記カメラは、前記部品装着機に具備されて前記基板に付された位置マークを撮像する基板カメラである、請求項12に記載のテープ剥離判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品供給用のキャリアテープを構成するボトムテープとカバーテープとの剥離の成否を判定するテープ剥離判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回路パターンが形成された基板に対基板作業を実施して、基板製品を量産する技術が普及している。主要な対基板作業である部品の装着作業を実施する部品装着機の多数は、キャリアテープを送って部品を供給するテープフィーダを備える。テープ自動装填機能を有するテープフィーダは、キャリアテープの自動装填時にボトムテープとカバーテープとを剥離させる剥離部を有する。剥離に失敗したテープフィーダを用いて部品装着機が装着作業を開始すると、部品が供給され得ないので、すぐに装着作業が停止になってしまう。したがって、キャリアテープの使用開始時に剥離の成否を判定する技術が必要であり、その一技術例が特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1には、ボトムテープから剥離されたカバーテープがたどる経路にあるテープガイドに識別マークを設け、該識別マークをカメラで撮像、画像認識することにより、輝度などの判定条件を用いてカバーテープの有無、および剥離の成否を判定する技術が開示されている。これによれば、カバーテープが識別マークを覆うことにより識別マークの見え方が変化することを利用して、剥離の成否を判定することができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-63044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の技術例では、カバーテープが透明であるため、カバーテープの有無による輝度の差異が顕著とならない。加えて、カバーテープは、識別マーク上における姿勢が水平な平面状態で一定になるとは限らず、撮像のたびに傾斜したり、屈曲したりと様相が変化し得る。そのため、カバーテープは、撮像時の照明光を不均一に反射したり、撮像のたびに照明光を反射する状況が変化したりする可能性がある。加えて、剥離されたカバーテープに接着剤が残っていると、照明光の反射に影響を及ぼす。これらの要因を考慮すると、輝度を用いた判定条件を適正に設定することが難しく、剥離の成否を誤判定するおそれがある。
【0006】
それゆえ、本明細書では、ボトムテープとカバーテープとの剥離の成否の判定精度を従来よりも高めることができるテープ剥離判定装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書は、キャリアテープを構成するボトムテープとカバーテープとを剥離させる剥離部によって剥離される前記カバーテープの通路上の撮像対象領域であって、剥離の成否に応じて前記カバーテープの有無が変化する前記撮像対象領域を撮像して、少なくとも輝度を表す画像データを取得するカメラと、前記画像データの前記撮像対象領域の内部に設定した複数の検知エリアの各々を対象として、前記撮像対象領域に前記カバーテープが無いときの輝度基準値を個別に設定する基準設定部と、前記キャリアテープが前記剥離部まで送られた後に前記カメラにより取得した判定用画像データから求めた複数の前記検知エリアの各々の輝度測定値、および前記輝度基準値に基づいて前記剥離の成否を判定する判定部と、を備えるテープ剥離判定装置を開示する。
【0008】
なお、本明細書では、出願当初の請求項4において「請求項1に記載のテープ剥離判定装置」を「請求項1~3のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置」に変更した技術的思想、出願当初の請求項9において「請求項1~6のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置」を「請求項1~8のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置」に変更した技術的思想、出願当初の請求項10において「請求項1~6のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置」を「請求項1~9のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置」に変更した技術的思想、および出願当初の請求項12において「請求項1~6のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置」を「請求項1~9のいずれか一項に記載のテープ剥離判定装置」に変更した技術的思想を開示している。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示するテープ剥離判定装置において、基準設定部は、複数の検知エリアの各々にカバーテープが無いときの輝度基準値を個別に設定し、判定部は、複数の検知エリアの各々の輝度測定値、および輝度基準値に基づいて剥離の成否を判定する。これによれば、判定部は、検知エリアごとに相違し得る輝度測定値と、検知エリアごとに相違し得る輝度基準値とを比較し、さらに複数の比較結果に基づいて判定を行うことができる。したがって、開示するテープ剥離判定装置によれば、ボトムテープとカバーテープとの剥離の成否の判定精度を従来よりも高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のテープ剥離判定装置の判定対象となるキャリアテープの構成を示すテープ幅方向の断面図である。
図2】剥離部を有するテープフィーダを模式的に示す側面図である。
図3】剥離部の詳細な構成を示すとともに剥離動作を説明する平面図であり、剥離に成功した後のキャリアテープの使用状況が示されている。
図4】剥離に成功したキャリアテープを示す平面図である。
図5図4中のV-V矢視方向のキャリアテープの断面図であり、剥離されたカバーテープの折り返し状態が示されている。
図6】剥離に失敗してキャリアテープの全体が剥離刃の下側を通過した状態を示す平面図である。
図7】第1実施形態のテープ剥離判定装置が組み込まれたテープ装填装置を模式的に示す平面図である。
図8】テープ剥離判定装置の動作をテープ装填装置の装填動作と併せて説明するメイン動作フローの図である。
図9図8中の「剥離の成否の判定」を詳細に説明するサブ動作フローの図である。
図10】カメラが取得する基準画像データを例示した図である。
図11】カメラが取得する判定用画像データを例示した図である。
図12図10の基準画像データに係る基準設定部の動作、および図11の判定用画像データに係る判定部の動作を説明する一覧表の図である。
図13】第2実施形態のテープ剥離判定装置が組み込まれた部品装着機を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.キャリアテープ8の構成
第1実施形態のテープ剥離判定装置9Aは、部品装着機1(第2実施形態参照)から離隔する外段取りエリアに配置されたテープ装填装置90に組み込まれる。テープ剥離判定装置9Aは、部品供給用のキャリアテープ8を構成するボトムテープ82とカバーテープ81とを剥離させる剥離動作の成否を判定するものである。テープ剥離判定装置9Aは、剥離部7を有するテープフィーダ6を判定対象とする。テープ剥離判定装置9Aの判定対象となるキャリアテープ8およびテープフィーダ6、ならびに適用対象となるテープ装填装置90について予め説明する。
【0012】
キャリアテープ8は、図1に示されるように、カバーテープ81およびボトムテープ82からなる。図1は、図4のI-I矢視方向の断面図に相当する。ボトムテープ82は、概ね一定厚さの樹脂製テープや紙製テープに複数の部品収納部83が形成され、底面に薄いフィルムテープが貼られて構成される。補足すると、ボトムテープ82のテープ幅方向の中央から一方の側縁に寄った位置に、テープ長さ方向に等ピッチで多数の矩形孔状の部品収納部83が設けられる。部品収納部83の各々に、それぞれ部品89が収納される。ボトムテープ82の他方の側縁に寄った位置に、テープ長さ方向に等ピッチで多数の送り孔84が設けられる。
【0013】
ボトムテープ82の上面に、薄いフィルム製のカバーテープ81が剥離可能に接着される。詳細には、カバーテープ81は、部品収納部83の内部の部品89を目視や光学カメラで確認できるように透明なフィルムで形成される。ボトムテープ82の部品収納部83と一方の側縁との間に、テープ長さ方向に延びる第一の接着部85が設けられる。さらに、ボトムテープ82の部品収納部83と送り孔84との間に、テープ長さ方向に延びる第二の接着部86が設けられる。二条の接着部(85、86)は、ボトムテープ82と、カバーテープ81とを接着剤により接着する。カバーテープ81は、テープ幅寸法がボトムテープ82よりも小さく、部品収納部83を覆うが、送り孔84を覆わない。キャリアテープ8は、テープ幅寸法およびテープ厚み寸法が相違する複数種類があり、部品89の様々な大きさに対応している。
【0014】
なお、上述したキャリアテープ8と構造が相違する図略のエンボスキャリアテープがある。エンボスキャリアテープは、キャリアテープ8と同様、カバーテープおよびボトムテープからなる。ただし、エンボスキャリアテープを構成するボトムテープは、樹脂製テープのテープ長さ方向に等ピッチで膨張加工が施されて部品収納部が形成される。エンボスキャリアテープは、キャリアテープ8と使用上の互換性を有し、後述する剥離部7の剥離動作の対象となる。
【0015】
2.テープフィーダ6の全体構成
次に、ボトムテープ82とカバーテープ81とを剥離させる剥離部7を有するテープフィーダ6の全体構成について、図2を参考にして説明する。図2の右下の矢印に示されるように、水平面内のX軸方向およびY軸方向、ならびに鉛直方向に相当するZ軸方向を便宜的に定める。X軸方向は、テープフィーダ6を取り付ける部品装着機1において基板Kを搬送する方向に一致する(第2実施形態参照)。テープフィーダ6は、キャリアテープ8を前側上部の供給位置66まで送って部品89を供給する。テープフィーダ6は、本体61、一部図略のテープ送り機構、およびフィーダ制御部69などで構成される。
【0016】
本体61は、Y軸方向に長い1枚の側板を主材にして形成される。本体61のX軸方向の幅寸法は、複数種類のキャリアテープ8のテープ幅寸法に合わせて定められる。つまり、テープフィーダ6は、幅寸法が相違する複数種類がある。本体61は、着脱レール62、リール保持部63、ガイドレール64、および剥離部7を有する。着脱レール62は、本体61の底面に設けられてY軸方向に延びている。着脱レール62は、部品装着機1への取り付けに使用される。
【0017】
本体61の前面の上側から下側へと順番に、上位置決めピン611、コネクタ612、および下位置決めピン613が設けられる。上位置決めピン611および下位置決めピン613は、部品装着機1の本体側に設けられた位置決め孔に係入して、テープフィーダ6を位置決めする。テープフィーダ6が位置決めされるとき、コネクタ612は、部品装着機1に設けられた受け側コネクタに自動的に嵌合する。これにより、テープフィーダ6は、電源が供給されるとともに、フィーダ制御部69が部品装着機1の本体側に通信接続される。
【0018】
リール保持部63は、本体61の後側下部に設けられる。リール保持部63は、キャリアテープ8が巻回されたリールRLを交換可能に保持する。リール保持部63は、保持軸631および外周保持部632の少なくとも一方によって形成される。保持軸631は、X軸方向に延びるように配置され、リールRLの中心孔を回転可能に保持する。外周保持部632は、リールRLの外周縁を回転可能に保持する。
【0019】
ガイドレール64は、リール保持部63の前方斜め上方の挿入口65を始点として、前側斜め上方に延び、途中から前方に水平に延びて、本体61の前端上部を終点とする。ガイドレール64の前端に近い位置が供給位置66となる。ガイドレール64は、リールRLから引き出されたキャリアテープ8を供給位置66へと案内する。テープ送り機構は、キャリアテープ8を一定ピッチずつ送り、供給位置66で部品89を順番に供給する。テープ送り機構は、四つのスプロケット、二組のサーボモータおよびギヤ機構などで構成される。
【0020】
第1スプロケット671および第2スプロケット672は、供給位置66の前後のガイドレール64の下側に配置され、本体61に回転可能に支持される。第1スプロケット671および第2スプロケット672の各々の歯は、ガイドレール64に形成された溝から突出して、キャリアテープ8の送り孔84に嵌入する。第1スプロケット671および第2スプロケット672は、前側サーボモータおよびギヤ機構により同期して駆動され、かつ、正転および逆転の切り替えが可能となっている。第1スプロケット671と第2スプロケット672の間の供給位置66よりも後側に、剥離部7が設けられる(詳細後述)。
【0021】
第3スプロケット673および第4スプロケット674は、挿入口65よりも少し前側のガイドレール64の下側に配置され、本体61に回転可能に支持される。第3スプロケット673および第4スプロケット674の各々の歯は、ガイドレール64に形成された溝から突出して、キャリアテープ8の送り孔84に嵌入する。第3スプロケット673および第4スプロケット674は、後側サーボモータおよびギヤ機構により同期して駆動され、かつ、正転および逆転の切り替えが可能となっている。
【0022】
通常の稼動時に、四つのスプロケットは、同期して正転し、キャリアテープ8を一定ピッチずつ送る。キャリアテープ8の使用開始時の装填動作において、第3スプロケット673および第4スプロケット674が先行して正転し、後で第1スプロケット671および第2スプロケット672の正転が加わる。装填動作とは、これから使用するキャリアテープ8の先端を供給位置66まで装填して、稼動可能な状態に段取りすることを意味する。したがって、キャリアテープ8の剥離動作は、装填動作の一部分となる。また、稼動が一段落して使いかけのキャリアテープ8を取り外す場合に、四つのスプロケットは、同期して逆転し、キャリアテープ8を戻す。なお、スプロケットの数量は、三つ以下であってもよい。
【0023】
フィーダ制御部69は、本体61に設けられており、その位置は限定されない。フィーダ制御部69は、ソフトウェアで動作するコンピュータ装置である。フィーダ制御部69は、前側サーボモータおよび後側サーボモータを制御する。フィーダ制御部69は、コネクタ612によって部品装着機1の本体側に通信接続され、指令を受け付ける。また、フィーダ制御部69は、テープ検出センサ6Aに接続されている。テープ検出センサ6Aは、ガイドレール64の第3スプロケット673と第4スプロケット674の間の傾斜部分に配置され、送られるキャリアテープ8の有無を検出する。フィーダ制御部69は、テープ検出センサ6Aから検出信号を受け取り、キャリアテープ8の送りおよび戻しの制御に反映する。なお、テープフィーダ6は、本体61の内部にリールRLを保持せず、別置きのリール保持装置に保持されたリールRLからキャリアテープ8が送給されてもよい。
【0024】
3.剥離部7の構成および剥離動作
次に、剥離部7の構成および剥離動作について説明する。図3図4、および図6において、キャリアテープ8を構成するカバーテープ81は、便宜的に斜線のハッチングを付して示されている。また、二条の接着部(85、86)および部品89は、便宜的に黒塗りで示されている。図4は、図3中のキャリアテープ8のみを示した図である。図3および図6に示されるように、剥離部7は、2枚の側板(77、78)、第1テープガイド71、第2テープガイド72、剥離刃73、および、テープ折返し板74などで構成される。
【0025】
第1テープガイド71および第2テープガイド72は、薄板状の部材であり、ガイドレール64の上側に離隔して平行に配置される。第1テープガイド71および第2テープガイド72と、ガイドレール64との離隔寸法は、キャリアテープ8の厚み寸法よりもわずかに大きい。キャリアテープ8は、この離隔寸法の間を通過する。
【0026】
第1テープガイド71の後部は、2枚の側板(77、78)の間に架け渡されており、剥離部7の全幅を占める。第1テープガイド71の前部は、幅寸法が縮小されて、他方の側板78寄りに配置される。第1テープガイド71の前寄りに、キャリアテープ8の送り孔84を目視可能とする長円状の送り孔確認窓711が形成される。第1テープガイド71のその他の複数位置に、キャリアテープ8を目視可能とする符号略の切欠き窓が形成される。
【0027】
第2テープガイド72は、第1テープガイド71の前方寄りに並んで配置され、一方の側板77に取り付けられる。第2テープガイド72は、供給位置66に相当する部分が切り欠かれて開放される。第1テープガイド71と第2テープガイド72との間に、前後方向に延びる開口部75が形成される。開口部75の後部は、第1テープガイド71と側板77との間で幅方向に開口している。
【0028】
剥離刃73は、第2テープガイド72よりも後方の開口部75内に配置される。剥離刃73は、一方の側板77から幅方向に張り出して取り付けられる。剥離刃73は、後ろ向きの先端の幅が狭くかつ上下に薄く形成されて、ボトムテープ82とカバーテープ81との間に進入しやすくなっている。剥離刃73は、先端から遠ざかるにつれて幅が広く形成される。剥離刃73の上面は、側板78に近くて概ね水平な水平部731、および側板77に近い端面寄りで徐々に下降する傾斜部732からなる。剥離刃73は、その先端が送られてくるキャリアテープ8に対向するように配置される。剥離刃73は、高さ位置が調整可能とされており、その先端がボトムテープ82とカバーテープ81との間に進入するように調整される。
【0029】
テープ折返し板74は、剥離刃73の後尾に連なり、一方の側板77から幅方向に張り出して配置される。テープ折返し板74は、第1テープガイド71および第2テープガイド72の上側に離隔して平行に配置される。テープ折返し板74は、カバーテープ81を折り返して部品収納部83を開放するための側縁76をもち、剥離刃73から離れる前方に向かって徐々に拡幅されている。テープ折返し板74と第1テープガイド71との離隔寸法は、カバーテープ81の折り返しが良好に行われるように調整されている。テープ折返し板74は、供給位置66に相当する部分が切り欠かれて開放される。
【0030】
次に、剥離部7の剥離動作について説明する。テープ送り機構が動作してキャリアテープ8が送られると、キャリアテープ8の先端と剥離刃73とが対向する。さらにキャリアテープ8が送られると、剥離刃73は、ボトムテープ82とカバーテープ81との間に進入し、両テープの間を進行する。剥離刃73は、一方の接着部85を剥離し、他方の接着部86を剥離しないように、幅寸法および幅方向の位置が設定されている。このため、カバーテープ81は、一方の接着部85が剥離され、他方の接着部86が接着された半剥離の状態で前方に送られる(半剥離法)。
【0031】
半剥離されたカバーテープ81は、図3に示されるように、剥離刃73の上側を通る。したがって、剥離刃73の上面は、カバーテープ81が通過する通路となっている。また、カバーテープ81は、前側へ進むにつれて剥離刃73の側面に沿いつつ、他方の接着部86の上方に立ち上がってゆく。さらに、カバーテープ81は、テープ折返し板74の側縁76に沿って、他方の側板78の方向に折り返されてゆく。その後、カバーテープ81は、図5に示されるように、供給位置66で180°の折り返し状態となる。これにより、部品収納部83の上部が開放され、部品89の供給が可能となる。部品89が取り出された後、キャリアテープ8は、他方の接着部86によってカバーテープ81がボトムテープ82に接着されたままの状態で、テープフィーダ6の前方へ排出される。
【0032】
剥離部7は、上述した剥離動作に失敗する場合が稀に生じ得る。剥離部7が剥離動作に失敗する大多数の場合、キャリアテープ8の全体が剥離刃73の下側をすり抜けて通過する。つまり、剥離刃73の上面は、剥離動作に失敗した場合に、カバーテープ81が通過しなくなる。これにより、図6に示されるように、キャリアテープ8の全体がそのまま供給位置66まで進み、部品89を供給できない状態となる。この状態のテープフィーダ6を用いて部品装着機1が装着作業を開始すると、部品89が供給され得ないので、すぐに装着作業が停止になってしまう。この問題点に対応するために、テープ剥離判定装置9Aが適用される。
【0033】
4.テープ装填装置90の構成
次に、テープ装填装置90の構成について、図7を参考にして説明する。図7の左上の矢印に示されるように、保持するテープフィーダ6の向きに合わせてテープ装填装置90のX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向を定める。また、図7において、データや制御の流れが矢印を付した破線で示される。テープ装填装置90は、装置基台91、フィーダ保持台92、テープ挿入部93、および装置制御部94などで構成される。装置基台91は、概ね直方体形状の部材である。装置基台91は、作業台などの上に載置される固定型でもよく、あるいはキャスターが付属された可動型でもよい。
【0034】
フィーダ保持台92は、装置基台91の上面のY軸方向前寄り(図7の上寄り)に配置される。フィーダ保持台92は、保持部921、一対の挟持ガイド922、および当接部923などで形成される。保持部921は、Y軸方向に長く形成され、かつY軸方向の途中に段差が設けられて、テープフィーダ6の底面の段差に適合している。保持部921の上面に、一対の挟持ガイド922が配置される。一対の挟持ガイド922は、各々がY軸方向に長く形成され、X軸方向に互いに離間して平行に配置される。一対の挟持ガイド922は、少なくとも一方がX軸方向に移動可能に構成され、相互間の離間距離が変更可能とされる。これにより、フィーダ保持台92は、幅寸法が相違する複数種類のテープフィーダ6に対応する。なお、保持部921は、一対の挟持ガイド922に代えて、テープフィーダ6の着脱レール62が挿入されるスロットを有してもよい。
【0035】
当接部923は、Z軸方向に長い部位であり、フィーダ保持台92のY軸方向前側に起立して配置される。当接部923は、図略の上位置決め孔、受け側コネクタ924、および図略の下位置決め孔をY軸方向の後面にもつ。上位置決め孔、受け側コネクタ924、および下位置決め孔の各々の高さ位置は、テープフィーダ6の上位置決めピン611、コネクタ612、および下位置決めピン613に適合するように設定されている。受け側コネクタ924は、装置制御部94に接続される。
【0036】
作業者は、テープフィーダ6をY軸方向後方(図7の下方)からフィーダ保持台92に向けてセットする。このとき、一対の挟持ガイド922は、テープフィーダ6を両側から挟んで保持し、X軸方向の位置決めを行う。また、上位置決め孔および下位置決め孔は、上位置決めピン611および下位置決めピン613が係入され、テープフィーダ6のY軸方向およびZ軸方向の位置決めを行う。さらに、受け側コネクタ924は、コネクタ612が自動的に嵌合される。これにより、装置制御部94は、フィーダ制御部69に通信接続される。
【0037】
テープ挿入部93は、装置基台91の上面のフィーダ保持台92よりもY軸方向後寄りの位置であって、かつフィーダ保持台92の真後ろからX軸方向に変位した位置に配置される。テープ挿入部93は、一対の移動ガイド931、移動台座932、駆動シリンダ933、上下一対のテープガイド934、二つの駆動ローラ935、および二つのモータ936などで形成される。
【0038】
一対の移動ガイド931は、各々がX軸方向に長く形成され、装置基台91の上面でY軸方向に互いに離間して平行に配置される。移動台座932は、概ね長方形板状の部位であり、一対の移動ガイド931の上側に装架される。駆動シリンダ933は、装置基台91の上面に配置され、その可動部が移動台座932に結合される。移動台座932は、駆動シリンダ933に駆動され、移動ガイド931に案内されてX軸方向に移動する。移動台座932は、通常時には、フィーダ保持台92から離れた側(図7の右側)に位置する。
【0039】
上下一対のテープガイド934は、各々がY軸方向に長く形成され、移動台座932の上面でZ軸方向に互いに離間して平行に配置される。上下一対のテープガイド934は、相互の離間距離がキャリアテープ8の厚み寸法よりもわずかに大きく、相互間にキャリアテープ8の通路を形成する。上下一対のテープガイド934は、少なくとも一方がZ軸方向に移動可能に構成され、相互間の離間距離が変更可能とされる。これにより、上下一対のテープガイド934は、テープ厚み寸法が相違する複数種類のキャリアテープ8に対応する。
【0040】
二つの駆動ローラ935は、下側のテープガイド934のY軸方向に離隔した2箇所を切り欠いて配置される。二つのモータ936は、移動台座932の上面に配置され、各々が駆動ローラ935を駆動する。二つの駆動ローラ935の各々は、モータ936に駆動され、X軸方向に延びる中心軸を中心にして回転する。駆動ローラ935の各々は、その上端が下側のテープガイド934よりも高く位置して、上側のテープガイド934との間にキャリアテープ8を挟み込む。駆動ローラ935の各々は、回転することによって、キャリアテープ8をY軸方向前側(図7の上側)に送る。
【0041】
作業者は、テープフィーダ6をフィーダ保持台92にセットした後、キャリアテープ8をY軸方向後側から上下一対のテープガイド934の間に差し込む。正確には、作業者は、キャリアテープ8の先端が少なくとも手前側(図7の下側)の駆動ローラ935に達するまで差し込む。この後、移動台座932は、フィーダ保持台92に接近する方向に移動する。移動台座932が移動したことにより、上下一対のテープガイド934は、リールRLの前側に位置し、かつ挿入口65に正対する。したがって、二つの駆動ローラ935がキャリアテープ8をY軸方向に送ると、キャリアテープ8は、自動的に挿入口65からガイドレール64へと挿入される。挿入が終了した後、移動台座932は、フィーダ保持台92から離隔する方向に移動し、キャリアテープ8がテープガイド934から離れる。
【0042】
装置制御部94は、装置基台91に設けられており、その位置は限定されない。装置制御部94は、ソフトウェアで動作するコンピュータ装置である。装置制御部94は、駆動シリンダ933および二つのモータ936を制御する。さらに、装置制御部94は、通信接続されたフィーダ制御部69と連携して、キャリアテープ8の装填動作および剥離動作を制御する。テープ装填装置90およびテープフィーダ6は、上述した構成により、キャリアテープ8の自動装填動作を行うことができる。テープ装填装置90は、さらに、キャリアテープ8の剥離の成否を判定する目的で、テープ剥離判定装置9Aが組み込まれる。
【0043】
5.第1実施形態のテープ剥離判定装置9Aの構成
第1実施形態のテープ剥離判定装置9Aの構成について、図7を参考にして説明する。テープ剥離判定装置9Aは、カメラ9B、撮像制御部9C、画像処理部9D、基準設定部9E、および判定部9Fがテープ装填装置90に組み込まれて構成される。撮像制御部9C、画像処理部9D、基準設定部9E、および判定部9Fは、装置制御部94のソフトウェアを用いて構成される。
【0044】
カメラ9Bは、図略の取り付け金具等によって、フィーダ保持台92の上方位置に配置される。カメラ9Bの光軸は、Z軸方向下向きに伸び、フィーダ保持台92にセットされたテープフィーダ6の剥離刃73に到達する。したがって、剥離刃73の上面は、カメラ9Bの撮像対象領域ARとなる。第1実施形態において、剥離刃73の上面は、剥離部7によって剥離されるカバーテープ81の通路上の撮像対象領域ARであって、剥離の成否に応じてカバーテープ81の有無が変化する撮像対象領域ARの一形態となる。撮像対象領域ARの一例が図6に示されている。
【0045】
カメラ9Bは、図略の複数の光源を用いて撮像対象領域ARを概ね均一の照度で照明した条件下で撮像を行う。カメラ9Bは、剥離刃73の上面を撮像して、少なくとも輝度を表す画像データを取得する。カメラ9Bとして、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子を有するデジタル式の撮像装置を例示できる。画像データの各画素の輝度は、例えば0~255の256段階で表される。輝度の値は、大きいほど明るくて眩しいことを示し、小さいほど暗いことを示す。
【0046】
撮像制御部9Cは、カメラ9Bの撮像動作を制御する。また、撮像制御部9Cは、撮像動作が終了した後にカメラ9Bから画像データを受け取り、画像処理部9Dに受け渡す。画像処理部9Dは、基準設定部9Eおよび判定部9Fからの要求にしたがって、画像データに所定の画像処理を施し、処理結果を基準設定部9Eおよび判定部9Fに提供する。
【0047】
基準設定部9Eは、画像データの撮像対象領域ARの内部に設定した複数の検知エリアDAiの各々を対象として、剥離刃73の上面(撮像対象領域AR)にカバーテープ81が無いときの輝度基準値BSiを個別に設定する。輝度基準値BSiは、複数の検知エリアDAiの各々で相違してもよい。具体的には、基準設定部9Eは、カメラ9Bによりカバーテープ81が無いと判明している剥離刃73の上面を撮像して取得した基準画像データGSに基づいて、輝度基準値BSiを個別に設定する。
【0048】
詳細には、基準設定部9Eは、まず、撮像制御部9Cを介してカメラ9Bに撮像を行わせ、基準画像データGSを取得させる。基準設定部9Eは、次に、基準画像データGSの複数の検知エリアDAiの各々を対象として、エリア内の複数の画素の輝度の平均値を演算する処理を画像処理部9Dに要求する。基準設定部9Eは、その次に、画像処理部9Dが演算した平均値を受け取り、検知エリアDAiの各々の輝度基準値BSiとする。なお、基準画像データGS基づくことは必須でない。例えば、基準設定部9Eは、組み立て前の剥離刃73をカメラ9Bと相違する光学測定器で測定した測定結果を予め取得し、測定結果に基づいて複数の検知エリアDAiの各々の輝度基準値BSiを個別に自動設定してもよい。また、基準設定部9Eは、作業者の手動設定操作にしたがって、複数の輝度基準値BSiを個別に設定してもよい。
【0049】
複数の検知エリアDAiは、作業者によって予め設定される。複数の検知エリアDAiは、剥離されたカバーテープ81が確実に通過する領域に設定されることが好ましい。さらに、複数の検知エリアDAiは、撮像対象領域の中で輝度が安定した領域に設定されることが好ましい。複数の検知エリアDAiは、二次元マトリックス状に設定されて互いに接してもよいし、一列に並んで配置されてもよいし、離散的に配置されてもよい。また、複数の検知エリアDAiは、長方形(正方形を含む)に区画され、長方形の撮像対象領域ARと辺同士が平行するように配置される。これにより、画像処理部9Dによる画像処理の演算が効率化される。
【0050】
判定部9Fは、テープフィーダ6内でキャリアテープ8が剥離部7まで送られた後に、撮像制御部9Cを介してカメラ9Bに撮像を行わせ、判定用画像データGJを取得させる。判定部9Fは、次に、判定用画像データGJの複数の検知エリアDAiの各々を対象として、エリア内の複数の画素の輝度の平均値を演算する処理を画像処理部9Dに要求する。判定部9Fは、その次に、画像処理部9Dが演算した平均値を受け取り、検知エリアDAiの各々の輝度測定値BMiとする。当然ながら、輝度測定値BMiは、複数の検知エリアDAiの各々で相違する。
【0051】
さらに、判定部9Fは、複数の検知エリアDAiの各々の輝度測定値BMiおよび輝度基準値BSiに基づき、具体的には、複数の検知エリアDAiの各々の輝度測定値BMiと輝度基準値BSiとの差分値△Biを所定の閾値△Sと比較して、剥離の成否を判定する。詳細な判定方法について説明すると、判定部9Fは、差分値△Biが閾値△Sを超過するという充足条件を満たす検知エリアDAiの数量を表す充足エリア数Naをカウントする。そして、判定部9Fは、充足エリア数Naが所定数NS以上の場合に、剥離に成功したと判定する。また、判定部9Fは、充足エリア数Naが所定数NS未満の場合に、剥離に成功しなかった(失敗)と判定する。所定数NSは、1でもよいし、2以上でもよい。
【0052】
判定部9Fの判定ロジックは、変形することが可能である。例えば、変形例の判定部9Fは、充足条件を満たしかつ相互に接する検知エリアDAiの数量が所定数NS以上の場合に剥離に成功したと判定し、所定数NS未満の場合に剥離に成功しなかったと判定する。つまり、変形例の判定部9Fは、充足条件を満たす検知エリアDAiが相互に接することを追加の必要条件として、判定条件を厳格化する。
【0053】
判定部9Fが剥離に失敗したと判定したとき、装置制御部94は、フィーダ制御部69と連携してテープフィーダ6にリトライ動作を行わせることができる。リトライ動作では、キャリアテープ8の先端が一旦剥離部7の手前側まで戻され、再度剥離部7に向かって送られ、剥離動作が再実施される。リトライ動作は、リトライ回数Rnが最大回数RSを超過しない範囲で繰り返される。最大回数RSのリトライ動作を繰り返しても剥離に成功しなかった場合、装置制御部94は、所定の異常時処理、例えば作業者への異常の通知を行う。基準設定部9Eおよび判定部9Fの機能については、次の動作の説明の中でさらに述べる。
【0054】
6.テープ剥離判定装置9Aの動作
次に、テープ剥離判定装置9Aの動作について、テープ装填装置90による自動装填動作(外段取り作業)と併せて、図8図12を参考にして説明する。図8に示されるメイン動作フローは、主に装置制御部94によって進められ、一部は作業者が関与する。また、メイン動作フローの開始以前に、複数の検知エリアDAiは既に設定されており、閾値△Sは40、所定数NSは2、最大回数RSは3にそれぞれ設定されているものとする。また、充足エリア数Naおよびリトライ回数Rnは、リセットされてゼロになっている。
【0055】
図8のステップS1で、作業者は、テープフィーダ6をフィーダ保持台92セットする。これにより、装置制御部94は、フィーダ制御部69に通信接続されたことを確認し、フィーダ制御部69と連携して以降の動作を制御する。作業者は、さらに、キャリアテープ8の先端をテープ挿入部93の上下一対のテープガイド934の間に差し込む。
【0056】
次のステップS2で、装置制御部94は、テープ挿入部93を動作させる。まず、移動台座932がフィーダ保持台92に接近して、上下一対のテープガイド934を挿入口65に正対させる。次に、二つの駆動ローラ935は、キャリアテープ8を送って挿入口65からガイドレール64へと挿入する。一方、テープフィーダ6では、第3スプロケット673および第4スプロケット674が動作して、挿入されたキャリアテープ8を送る。ただし、キャリアテープ8の送りは、テープ検出センサ6Aがキャリアテープ8の先端を検出した時点で一時停止される。
【0057】
この時点で、剥離刃73の上面にカバーテープ81が無いことが判明している。次のステップS3で、撮像制御部9Cは、カメラ9Bに撮像動作を行わせて、図10に例示される基準画像データGSを取得させる。図示されるように、16個の検知エリアDAi(DA1~DA16)は、二次元マトリックス状に設定され、互いに接している。かつ、16個の検知エリアDAi(DA1~DA16)は、撮像対象領域ARの中で相対的に輝度が安定した領域、具体的には、剥離刃73の上面のうちの水平部731に設定されており、傾斜部732には設定されない(図3および図6参照)。補足すると、剥離刃73は、金属製であって、その上面が金属光沢を有して照明光の反射率が高く、検知エリアDAiの設定に好適となっている。
【0058】
図10に例示される基準画像データGS、および図11に例示される判定用画像データGJにおいて、16個の検知エリアDAiに番号を付す。すなわち、一列目の左端の第1検知エリアDA1~右端の第4検知エリアDA4、二列目の左端の第5検知エリアDA5~右端の第8検知エリアDA8、三列目の左端の第9検知エリアDA9~右端の第12検知エリアDA12、および四列目の左端の第13検知エリアDA13~右端の第16検知エリアDA16とする。以降では、検知エリアDAi、輝度基準値BSi、輝度測定値BMi、および差分値△Biに付した添字iを適宜1~16に置き換えて個別に説明する。また、便宜的にハッチングを用いて輝度の大小を定性的に示すこととする。すなわち、輝度が特に大きな無地の領域、輝度が比較的大きな点のハッチング領域、輝度が比較的小さな右下がり斜線のハッチング領域、および輝度が特に小さな右上がりの斜線のハッチング領域を分けて示す。
【0059】
基準画像データGSにおいて、輝度が比較的小さな領域、および輝度が特に小さな領域は、剥離刃73の傾斜部732に相当する。一方、輝度が特に大きな領域は、第16検知エリアDA16の大部分、第12検知エリアDA12の半分弱、および第15検知エリアDA15の一部に広がっている。複数の検知エリアDAiの残りの部分は、輝度が比較的大きな領域の内部に位置する。
【0060】
次のステップS4で、基準設定部9Eは、前述したように、第1検知エリアDA1~第16検知エリアDA16の各々を対象として、画像処理部9Dが演算したエリア内の複数の画素の輝度の平均値を輝度基準値(BS1~BS16)とする。図12に示された一覧表の例で、第1検知エリアDA1の輝度基準値BS1は220である。
【0061】
以下同様に、第2検知エリアDA2の輝度基準値BS2は220、第3検知エリアDA3の輝度基準値BS3は221、第4検知エリアDA4の輝度基準値BS4は223である。第5検知エリアDA5の輝度基準値BS5は220、第6検知エリアDA6の輝度基準値BS6は221、第7検知エリアDA7の輝度基準値BS7は223、第8検知エリアDA8の輝度基準値BS8は225である。第9検知エリアDA9の輝度基準値BS9は222、第10検知エリアDA10の輝度基準値BS10は223、第11検知エリアDA11の輝度基準値BS11は226、第12検知エリアDA12の輝度基準値BS12は235である。第13検知エリアDA13の輝度基準値BS13は223、第14検知エリアDA14の輝度基準値BS14は227、第15検知エリアDA15の輝度基準値BS15は232、第16検知エリアDA16の輝度基準値BS16は240である。
【0062】
次のステップS5で、装置制御部94は、キャリアテープ8の自動装填動作をフィーダ制御部69に指令する。フィーダ制御部69は、テープ送り機構を制御して四つのスプロケットを正転させ、キャリアテープ8の先端をテープ検出センサ6Aの位置から供給位置66まで送る。キャリアテープ8の送りの途中で、剥離部7による剥離動作が自動的に行われる。フィーダ制御部69は、キャリアテープ8の供給位置66までの送りが終了したことを装置制御部94に通知する。
【0063】
次のステップS6で、撮像制御部9Cは、カメラ9Bに撮像動作を行わせて、図11に例示される判定用画像データGJを取得させる。この判定用画像データGJは、剥離に成功したときの画像データである。判定用画像データGJは、撮像対象領域ARにカバーテープ81が有ることにより、基準画像データGSと比較して輝度の分布が変化する。具体的には、判定用画像データGJ内の第1領域A1および第2領域A2は、輝度が減少して、輝度が比較的小さな領域に変化している。第3領域A3は、逆に輝度が増加して、輝度が特に大きな領域に変化している。このような輝度の増減は、カバーテープ81の傾斜や屈曲などに応じて照明光を反射する様相が変化することに起因する。また、判定用画像データGJ内の第4領域A4は、輝度が大幅に減少して、輝度が特に小さな領域に変化している。これは、接着部85の接着剤がカバーテープ81に残存していたことに起因する。
【0064】
第1領域A1は、第1検知エリアDA1から第4検知エリアDA4、および第8検知エリアDA8の一部にかけて広がっている。第2領域A2は、第12検知エリアDA12の一部、および第14検知エリアDA14から第16検知エリアDA16にかけて広がっている。第3領域A3は、第1検知エリアDA1から第2検知エリアDA2、第5検知エリアDA5から第8検知エリアDA8、および第10検知エリアDA10から第12検知エリアDA12にかけて広がっている。第4領域A4は、第9検知エリアDA9の大部分、および第12検知エリアDA12から第13検知エリアDA13にかけて広がっている。
【0065】
次のステップS7で、判定部9Fは、剥離の成否を判定する。ステップS7の詳細は図9のサブ動作フローに示されている。図9のステップS21で、判定部9Fは、判定用画像データGJ内の第1検知エリアDA1を選択する。次のステップS22で、判定部9Fは、選択した検知エリアDAiを対象として、画像処理部9Dが演算したエリア内の複数の画素の輝度の平均値を輝度測定値BMiとする。次のステップS23で、判定部9Fは、選択した検知エリアDAiを対象として、輝度測定値BMiと輝度基準値BSiとの差分値△Biを求め、正確には、輝度基準値BSiから輝度測定値BMiを減算した符号付きの差分値△Biを求める。
【0066】
次のステップS24で、判定部9Fは、差分値△Biが閾値△S(=40)を超過する充足条件が満たされているか否かに応じて、ステップS25を実施するか否か判定する。充足条件が満たされている場合のステップS25で、判定部9Fは、充足エリア数Naを1だけカウントアップして、動作フローをステップS26に進める。充足条件が満たされていない場合、判定部9Fは、ステップS25を省略して、動作フローをステップS26に進める。図12に示された例で、第1検知エリアDA1の輝度測定値BM1は195である。したがって、差分値△B1は25(=220-195)となり、充足条件を満たさない(×印で示す)。また、充足エリア数Naはゼロから変化しない。
【0067】
次のステップS26で、判定部9Fは、最後の第16検知エリアDA16に対する動作であるか否かを判定し、否である場合に動作フローをステップS27に進める。ステップS27で、判定部9Fは、次の検知エリアDAiを選択して、動作フローをステップS22に戻す。したがって、ステップS22~ステップS27により形成される動作ループが、検知エリアDAiのエリア数だけ繰り返される。さらに、繰り返しの中で、充足エリア数Naが逐次カウントアップされる。
【0068】
図12に示される例で、第2検知エリアDA2の輝度測定値BM2は188、差分値△B2は32で、充足条件を満たさない。第3検知エリアDA3の輝度測定値BM3は180、差分値△B3は41で、充足条件を満たす(〇印で示す)。第4検知エリアDA4の輝度測定値BM4は178、差分値△B4は45で、充足条件を満たす。第5検知エリアDA5の輝度測定値BM5は233、差分値△B5は-13で、充足条件を満たさない。第6検知エリアDA6の輝度測定値BM6は230、差分値△B6は-9で、充足条件を満たさない。第7検知エリアDA7の輝度測定値BM7は227、差分値△B7は-4で、充足条件を満たさない。第8検知エリアDA8の輝度測定値BM8は215、差分値△B8は10で、充足条件を満たさない。
【0069】
さらに、第9検知エリアDA9の輝度測定値BM9は164、差分値△B9は58で、充足条件を満たす。第10検知エリアDA10の輝度測定値BM10は226、差分値△B10は-3で、充足条件を満たさない。第11検知エリアDA11の輝度測定値BM11は212、差分値△B11は14で、充足条件を満たさない。第12検知エリアDA12の輝度測定値BM12は209、差分値△B12は26で、充足条件を満たさない。第13検知エリアDA13の輝度測定値BM13は176、差分値△B13は47で、充足条件を満たす。第14検知エリアDA14の輝度測定値BM14は175、差分値△B14は52で、充足条件を満たす。第15検知エリアDA15の輝度測定値BM15は179、差分値△B15は53で、充足条件を満たす。第16検知エリアDA16の輝度測定値BM16は180、差分値△B16は60で、充足条件を満たす。
【0070】
ステップS26で、第16検知エリアDA16に対する動作であるとき、判定部9Fは、動作フローをステップS28に進める。ステップS28で、判定部9Fは充足エリア数Naが所定数NS(=2)以上であるか否かに基づいて、動作フローを分岐させる。条件を満たす場合のステップS29で、判定部9Fは、剥離に成功したと判定する。一方、条件を満たさない場合のステップS30で、判定部9Fは、剥離に失敗したしたと判定する。ステップS29またはステップS30の実行後に、動作フローは、メイン動作フローのステップS8に戻される。
【0071】
図12に示される例で、充足条件は、第3検知エリアDA3、第4検知エリアDA4、第9検知エリアDA9、および第13検知エリアDA13~第16検知エリアDA16で満たされている。つまり、充足エリア数Naは、7までカウントアップされる。したがって、充足エリア数Na(=7)が所定数NS(=2)以上であるので、判定部9Fは、剥離に成功したと判定する。一方、剥離に失敗して撮像対象領域ARにカバーテープ81がない場合、判定用画像データGJは、基準画像データGSに酷似したものとなる。このとき、充足条件を満たす検知エリアDAiは無くなり、充足エリア数Naは、ゼロから変化しない。したがって、判定部9Fは、剥離に失敗したと正しく判定することができる。
【0072】
ここで、接着部85の接着剤がカバーテープ81に残存する現象には再現性がない。したがって、第4領域A4(接着剤の影響で輝度が大幅に減少した領域)を含まない判定用画像データGJが取得される場合がある。この場合、接着剤の影響が解消される第9検知エリアDA9、第13検知エリアDA13、および第14検知エリアDA14で充足条件が満たされなくなる可能性が高い。それでも、充足エリア数Naは4となり、判定部9Fは、剥離に成功したと正しく判定することができる。
【0073】
一方、第1領域A1、第2領域A2、および第3領域A3は、撮像するたびに輝度の若干の変化や、位置および面積の若干の変化が生じ得るが、領域そのものが消失することは有り得ない。したがって、充足エリア数Naが所定数NS(=2)未満となることは無く、判定部9Fは、剥離に成功したと正しく判定することができる。また、例示したように、充足条件を満たす検知エリアDAiは、相互に接している。したがって、前述した変形例の判定部9Fでも、同じ判定結果となる。これに対比して、一つの検知エリアを用いる従来技術では、カバーテープ81があることによって輝度が増加する第3領域A3の影響を受けやすく、誤判定のおそれが大きい。したがって、第1実施形態によれば、剥離の成否の判定精度が従来技術よりも向上する。
【0074】
ステップS8で、装置制御部94は、剥離の成否に基づいて動作フローを分岐させ、剥離に成功している場合にメイン動作フローを終了する。剥離に失敗している場合のステップS9で、装置制御部94は、リトライ回数Rnを1だけカウントアップする。次のステップS10で、装置制御部94は、リトライ回数Rnが最大回数RS(=3)を超過しているか否かを判定して、動作フローを分岐させる。
【0075】
超過していない場合のステップS11で、装置制御部94は、フィーダ制御部69にリトライ動作を指令する。フィーダ制御部69は、テープ送り機構を制御して四つのスプロケットを逆転させ、キャリアテープ8の先端を一旦剥離部7の手前側まで戻す(戻し動作)。この後、動作フローはステップS5に戻される。フィーダ制御部69は、再度キャリアテープ8の先端を供給位置66まで送り、剥離部7による剥離動作が自動的に再実施される。一方、リトライ回数Rnが最大回数RSを超過している場合のステップS12で、装置制御部94は、所定の異常時処理を行い、メイン動作フローを終了する。
【0076】
第1実施形態のテープ剥離判定装置9Aにおいて、基準設定部9Eは、複数の検知エリアDAi(DA1~DA16)の各々にカバーテープ81が無いときの輝度基準値BSiを個別に設定する。また、判定部9Fは、複数の検知エリアDAi(DA1~DA16)の各々の輝度測定値BMi、および輝度基準値BSiに基づいて剥離の成否を判定する。これによれば、判定部9Fは、検知エリアDAi(DA1~DA16)ごとに相違し得る輝度測定値BMiと、検知エリアDAi(DA1~DA16)ごとに相違し得る輝度基準値BSiとを比較し、さらに複数の比較結果、例えば充足エリア数Nsに基づいて判定を行うことができる。したがって、テープ剥離判定装置9Aによれば、ボトムテープ82とカバーテープ81との剥離の成否の判定精度を従来よりも高めることができる。
【0077】
7.第2実施形態のテープ剥離判定装置9Hおよび部品装着機1
次に、第2実施形態のテープ剥離判定装置9Hについて、図13を参考にして、第1実施形態と異なる点を主に説明する。第2実施形態のテープ剥離判定装置9Hは、部品装着機1に組み込まれる。このため、部品装着機1の構成について予め説明する。部品装着機1は、部品を基板Kに装着する装着作業を実施する。図13の紙面左側から右側に向かう水平方向が基板Kを搬送するX軸方向、紙面下側(後側)から紙面上側(前側)に向かう水平方向がY軸方向、鉛直方向がZ軸方向となる。部品装着機1は、基板搬送装置2、部品供給装置3、部品移載装置4、および制御装置5などが基台10に組み付けられて構成される。
【0078】
基板搬送装置2は、一対のガイドレール21、図略の一対の搬送ベルト、および図略のクランプ機構などで構成される。一対のガイドレール21は、基台10の上面のやや後方寄りを横断してX軸方向に延在し、互いに平行して基台10に組み付けられる。一対の搬送ベルトは、基板Kの平行する二辺が戴置された状態でガイドレール21に沿って輪転し、基板Kを基台10の中央付近の停止位置まで搬入する。クランプ機構は、搬入された基板Kを押し上げ、ガイドレール21との間にクランプして位置決めする。部品移載装置4による装着作業が終了した後、クランプ機構は基板Kを解放し、搬送ベルトは基板Kを機外まで搬出する。
【0079】
部品供給装置3は、パレット台31および複数のテープフィーダ6で構成される。パレット台31は、平面視で概ね長方形の部材であり、基台10の後部に配置される。パレット台31は、互いに平行してY軸方向に延びつつX軸方向に並んだ複数のスロットを有する。さらに、パレット台31は、複数のスロットの各々に対応して、テープ装填装置90の当接部923と同様の上位置決め孔、受け側コネクタ、および下位置決め孔をもつ。複数のスロットの各々には、第1実施形態で説明した着脱レール62が挿入されて、複数のテープフィーダ6が着脱可能にX軸方向に配列される。
【0080】
部品移載装置4は、一対のガイドレール40、Y軸移動体41、X軸移動体42、装着ヘッド43、ノズルツール44、吸着ノズル45、基板カメラ46、および部品カメラ47などで構成される。一対のガイドレール40は、基台10のX軸方向に離隔した両縁に配置され、互いに平行してY軸方向に延びている。Y軸移動体41は、一対のガイドレール40に装架されて、Y軸方向に移動する。X軸移動体42は、Y軸移動体41に装架され、X軸方向に移動する。
【0081】
装着ヘッド43は、X軸移動体42の前面に設けられ、基板搬送装置2および部品供給装置3よりも上方に配置される。装着ヘッド43は、X軸移動体42と共に水平二方向に移動する。装着ヘッド43の下側にノズルツール44が回転可能に設けられる。ノズルツール44は、複数(図1の例では4本)の吸着ノズル45を垂直中心軸から等距離に有する。吸着ノズル45は、昇降および回転が可能であり、さらに、負圧エアおよび正圧エアが選択的に供給される。これにより、吸着ノズル45は、部品供給装置3から部品を吸着して基板Kに装着する装着作業を行う。なお、装着ヘッド43は、ノズルツール44が省略されて1本の吸着ノズル45が設けられてもよく、あるいは、複数の吸着ノズル45が一列または格子状に配列されてもよい。
【0082】
基板カメラ46は、装着ヘッド43と並んでX軸移動体42に下向きに設けられる。基板カメラ46は、基板Kに付された位置マークを上方から撮像して画像データを取得する。この画像データが画像処理され、基板Kの停止位置が正確に求められる。部品カメラ47は、基板搬送装置2と部品供給装置3の間の基台10上に上向きに設けられる。部品カメラ47は、装着ヘッド43が部品供給装置3から基板Kに移動する途中で、吸着ノズル45に保持された部品を下方から撮像して認識する。これにより、部品の種類の正誤が判定され、また、吸着ノズル45に対する部品の位置や向きが検出されて装着作業に反映される。基板カメラ46および部品カメラ47として、デジタル式の撮像装置を用いることができる。
【0083】
制御装置5は、基台10に組み付けられており、その位置は限定されない。制御装置5は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ装置により構成される。なお、制御装置5は、複数のCPUが機内に分散配置され、かつ通信接続されて構成されてもよい。制御装置5は、作業者の指令や選択操作などを受け付ける図略の入力部、および種々の情報を作業者に伝える図略の表示部を有する。制御装置5は、図略の装着ジョブデータに基づき、基板搬送装置2、部品供給装置3、および部品移載装置4を制御して装着作業を進める。装着ジョブデータは、基板Kや部品に関するデータ、部品の装着座標データ、使用するテープフィーダ6および吸着ノズル45に関するデータなどを含む。
【0084】
第2実施形態のテープ剥離判定装置9Hは、基板カメラ46、撮像制御部9C、画像処理部9D、基準設定部9E、および判定部9Fなどで構成される。基板カメラ46は、部品供給装置3のテープフィーダ6の上方まで移動して、第1実施形態のカメラ9Bと同じ撮像動作を行う。撮像制御部9C、画像処理部9D、基準設定部9E、および判定部9Fは、制御装置5のソフトウェアを用いて構成され、第1実施形態と同じ機能を有して同じ動作を行う。
【0085】
第2実施形態において、部品装着機1の装着作業が進捗していずれかのテープフィーダ6がキャリアテープ8を使い切ると(部品切れ)、リールRLを交換する必要が生じる。作業者は、パレット台31上のテープフィーダ6から使用済みのリールRLを取り外して、新しいリールRLを取り付ける交換作業を行う(内段取り作業)。内段取り作業ではテープ装填装置90を使用することができないので、作業者は、新しいリールRLから引き出したキャリアテープ8の先端を挿入口65から挿入する。この後、テープ剥離判定装置9Hおよびテープフィーダ6は、第1実施形態と同じ自動装填動作を行い、剥離部7による剥離動作が自動的に行われる。第2実施形態における動作および効果は、第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0086】
8.実施形態の応用および変形
なお、第1実施形態のカメラ9Bおよび第2実施形態の基板カメラ46の撮像対象領域ARは、剥離刃73の上面に代えて供給位置66に定められてもよい。ただし、判定部9Fの剥離の成否の判定ロジックが変化する。つまり、判定部9Fは、剥離刃73の上面にカバーテープ81が有る場合に剥離が成功したと判定し、供給位置66にカバーテープ81が無い場合に剥離が成功したと判定する。また、第1実施形態のカメラ9Bは、上方に折り返される途中のカバーテープ81を横方向から撮像して、基準画像データGSおよび判定用画像データGJを取得してもよい。
【0087】
また、第1実施形態では、カバーテープ81があることによって輝度が減少する場合について説明した。しかしながら、剥離刃73の材質および上面の状態と、カバーテープ81の材質との組み合わせによっては、カバーテープ81があることによって輝度が増加する場合がある。この場合には、差分値△Biの正負の決め方や閾値△Sの大きさ等を適宜変更する。また、第1および第2実施形態は、剥離部7が二条の接着部(85、86)の両方を剥離する構成(全剥離法)に応用することができる。
【0088】
さらに、テープ装填装置90は、作業者の操作にしたがってキャリアテープ8の装填動作を進める手動操作タイプの装置であってもよい。この態様でも、狭隘な部位を目視して剥離動作の成否を判定する作業者の手間が省略されるとともに、判定精度が高められる。また、第2実施形態において、テープフィーダ6は、第一のキャリアテープ8の使用中に第二のキャリアテープ8が挿入され、第一のキャリアテープ8を使い切ったときに第二のキャリアテープ8を自動装填するタイプであってもよい。第1および第2実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0089】
1:部品装着機 2:基板搬送装置 3:部品供給装置 31:パレット台 4:部品移載装置 46:基板カメラ 5:制御装置 6:テープフィーダ 7:剥離部 73:剥離刃 8:キャリアテープ 81:カバーテープ 82:ボトムテープ 85、86:接着部 89:部品 90:テープ装填装置 91:装置基台 92:フィーダ保持台 93:テープ挿入部 94:装置制御部 9A、9H:テープ剥離判定装置 9B:カメラ 9C:撮像制御部 9D:画像処理部 9E:基準設定部 9F:判定部 AR:撮像対象領域 GS:基準画像データ GJ:判定用画像データ DA1、DA4、DA13、DA16:第1、第4、第13、第16検知エリア
図1
図2
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図13