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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059013
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】アームレスト及び車両用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/75 20180101AFI20240422BHJP
   A47C 7/54 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B60N2/75
A47C7/54 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166481
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】勝部 健一
(72)【発明者】
【氏名】松澤 剛
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087DC03
(57)【要約】
【課題】着座乗員がハンドル等を把持していない状態でもチルトした状態で着座乗員の肘を下がることなく支持することが可能なアームレスト及び車両用シートを得る。
【解決手段】アームレスト18は、チルト部材28及び水平部材30を備えており、水平部材30は、チルト部材28よりも後方側に設けられている。水平部材30は、ベース部材34に対して略平行に配置された初期状態又はチルト状態の間を移動するチルト部材28の動きに追従して当該チルト部材28との間で角度を変え、チルト部材28のチルトの有無に関係なくベース部材34に対して略平行に配置された状態が維持されるように設定されている。このため、着座乗員がハンドルを把持していない状態でも、水平部材30に肘を乗せることで着座乗員Pの肘は下がることなく支持される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略水平に配置されたベース部材に対して略平行に配置される初期状態、又はシート前後方向の後方側へ向かうにつれてシート上下方向の上方側へ向かってチルトされるチルト状態に設定可能とされるチルト機構を備え、シートクッションに着座した着座乗員の腕を支持可能なチルト部材と、
前記チルト部材よりもシート前後方向の後方側に設けられ、前記チルト機構により前記初期状態と前記チルト状態の間を移動する前記チルト部材の動きに追従して当該チルト部材との間で角度を変え、前記チルト部材のチルトの有無に関係なく前記ベース部材に対して略平行に配置された状態を維持して前記着座乗員の腕を支持可能な水平部材と、
を有するアームレスト。
【請求項2】
前記チルト機構は、前記チルト部材におけるシート前後方向の前端に対してシート前後方向の後端側を持ち上げるように設定されている請求項1に記載のアームレスト。
【請求項3】
前記チルト機構は、
前記ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート幅方向に沿って設けられ、前記チルト部材におけるシート前後方向の前端部を支持する第1軸部と、
前記ベース部材と前記チルト部材の間に配置され、シート幅方向に沿って設けられた第2軸部を中心に回動可能に支持され、前記第2軸部を中心とする回動を規制する第1ロック状態が解除されると、自由端部が前記チルト部材に当接して当該チルト部材をチルトさせると共に前記チルト部材を支持するフラップ部材と、
前記フラップ部材に設けられ、前記第2軸部を中心に当該フラップ部材を回動させる方向へ付勢する第1付勢部材と、
を含んで構成されている請求項1に記載のアームレスト。
【請求項4】
前記チルト機構は、
シート幅方向に設けられ、前記チルト部材と前記水平部材を相対的に回動可能とする第3軸部と、
長手方向の一端部がベース部材側に取り付けられると共に長手方向の他端部が前記第3軸部側に取り付けられ、前記チルト機構により前記初期状態と前記チルト状態の間を移動する前記チルト部材の動きに対して、前記水平部材を前記第3軸部を中心に当該チルト部材との間で角度を変えて前記ベース部材に対して略平行となるように配置させるリンク部材と、
をさらに含んで構成されている請求項3に記載のアームレスト。
【請求項5】
シート上下方向に沿って設けられた第4軸部が設けられ、前記第4軸部を中心に前記ベース部材を回動可能に支持する台座と、
前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されると、前記第4軸部を中心に当該ベース部材を回動可能とする回動機構と、
をさらに有する請求項3に記載のアームレスト。
【請求項6】
操作により前記第1ロック状態を解除させる操作部材と、
前記操作部材に対して当該操作部材を初期状態に復帰させる方向へ付勢する第2付勢部材と、
をさらに有する請求項3に記載のアームレスト。
【請求項7】
前記操作部材は、前記ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート前後方向に沿って押圧可能に設けられた押圧部材であり、
前記押圧部材の押圧により、前記第1ロック状態の解除と共に前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されるように設定されている請求項6に記載のアームレスト。
【請求項8】
前記チルト機構は、
シート上下方向に沿って設けられた第4軸部が設けられ、前記第4軸部を中心に前記ベース部材を回動可能に支持する台座と前記ベース部材の間に配置され、前記押圧部材と共にシート前後方向に沿って移動するスライダーと、
前記スライダーと前記ベース部材とで形成されたカム面と、
前記スライダーに支持され、前記カム面に当接するカム部材と、
前記カム部材が前記カム面に対して当接する方向へ当該カム部材を付勢する第3付勢部材と、
をさらに含んで構成され、
前記押圧部材の押圧により、前記カム面及び前記カム部材を介して、前記スライダーをシート前後方向の前方側へ移動させ、前記第1ロック状態を解除させる請求項7に記載のアームレスト。
【請求項9】
前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されると、前記第4軸部を中心に当該ベース部材を回動可能とする回動機構は、
前記スライダーに設けられ、シート前後方向に沿って形成された第1被係合部と前記第1被係合部におけるシート前後方向の後端部においてシート幅方向に沿って形成された第2被係合部と連続して形成されたガイド部と、
前記ベース部材に形成され、前記第2被係合部と同じ形状を成し当該第2被係合部に対して平面視でオーバラップ可能な第3被係合部と、
前記ガイド部及び前記第3被係合部に対して係合可能な係合部と、
を含んで構成され、
前記押圧部材の押圧により、前記第3被係合部に対して前記第2被係合部を平面視でオーバラップさせ、前記第2ロック状態を解除させる請求項8に記載のアームレスト。
【請求項10】
請求項1~請求項9の何れか1項に記載のアームレストを備えた車両用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アームレスト及び車両用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、アームレスト装置に関する技術が開示されている。この先行技術では、アームレスト装置として傾斜角アクチュエータ及び回転角アクチュエータが設けられている。当該アームレスト装置は、傾斜角アクチュエータによって支持部の後部が押し上げられ、支持部におけるシート前後方向の後部の支持面の高さを前部の支持面の高さよりも高くする(いわゆるチルト)ことができる。また、当該アームレスト装置は、回転角アクチュエータにおいて鉛直方向に沿って設けられた中心軸を中心に、支持部におけるシート前後方向の前部がシート幅方向の中心線側に近づくように、当該支持部を回転(回動)させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6948919号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、上記先行技術では、アームレストの調整後の位置及び形状により、乗員(着座乗員)の体格差を吸収して、乗員の腕部を適切に支持することが可能とされている。
【0005】
しかしながら、上記先行技術では、傾斜角アクチュエータ及び回転角アクチュエータに関して具体的な構造については開示されていない。また、上記先行技術では、支持部がチルトした状態で乗員がハンドル等を把持していない場合、支持部において何も支えがない状態だと肘が下がってしまう。
【0006】
本発明は上記事実を考慮し、着座乗員がハンドル等を把持していない状態でもチルトした状態で着座乗員の肘を下がることなく支持することが可能なアームレスト及び車両用シートを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明に係るアームレストは、略水平に配置されたベース部材に対して略平行に配置される初期状態、又はシート前後方向の後方側へ向かうにつれてシート上下方向の上方側へ向かってチルトされるチルト状態に設定可能とされるチルト機構を備え、シートクッションに着座した着座乗員の腕を支持可能なチルト部材と、前記チルト部材よりもシート前後方向の後方側に設けられ、前記チルト機構により前記初期状態と前記チルト状態の間を移動する前記チルト部材の動きに追従して当該チルト部材との間で角度変え、前記チルト部材のチルトの有無に関係なく前記ベース部材に対して略平行に配置された状態を維持して前記着座乗員の腕を支持可能な水平部材と、を有する。
【0008】
請求項1に記載の発明に係るアームレストでは、チルト部材及び水平部材を備えている。当該チルト部材及び水平部材は、シートクッションに着座した着座乗員の腕を支持可能とされており、水平部材は、チルト部材よりもシート前後方向の後方側に設けられている。
【0009】
本発明では、チルト部材は、チルト機構により初期状態又はチルト状態に設定可能とされており、初期状態では略水平に配置されたベース部材に対して略平行に配置され、チルト状態では、シート前後方向の後方側へ向かうにつれてシート上下方向の上方側へ向かってチルトする。
【0010】
一方、水平部材は、チルト機構により初期状態とチルト状態の間を移動するチルト部材の動きに追従して当該チルト部材との間で角度変え、チルト部材のチルトの有無に関係なくベース部材に対して略平行に配置された状態(略水平状態)が維持されるように設定されている。
【0011】
すなわち、本発明では、シートクッションに着座した着座乗員の腕を支持するアームレストにおいて、チルト部材と水平部材を備え、チルト部材がチルトした状態であっても水平部材によって略水平状態が維持される部位が形成される。
【0012】
例えば、運転時において着座乗員がハンドルを把持している状態では、チルトした状態のチルト部材に肘を乗せることによって腕の疲労感を軽減させることができる。さらに、本発明では、チルト部材がチルトした状態であっても水平部材は略水平状態が維持されているため、着座乗員がハンドルを把持していない状態でも、水平部材に肘を乗せることで着座乗員の肘は下がることなく支持される。
【0013】
なお、本発明では、アームレストは、シートクッションにおける車両幅方向の内側又は車両幅方向の外側に配置されてもよいし、シートクッションにおける車両幅方向の両側に配置されてもよい。また、アームレストは、シートクッションに取り付けられてもよいし、シートバックに取り付けられてもよい。さらには、当該アームレストは、車体フロア、センターコンソール、ドアトリム等に取り付けられてもよい。
【0014】
請求項2に記載の発明に係るアームレストは、請求項1に記載の発明に係るアームレストにおいて、前記チルト機構は、前記チルト部材におけるシート前後方向の前端に対してシート前後方向の後端側を持ち上げるように設定されている。
【0015】
請求項2に記載の発明に係るアームレストでは、チルト機構によって、チルト部材におけるシート前後方向の前端に対してシート前後方向の後端側が持ち上げられる。
【0016】
請求項3に記載の発明に係るアームレストは、請求項1に記載の発明に係るアームレストにおいて、前記チルト機構は、前記ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート幅方向に沿って設けられ、前記チルト部材におけるシート前後方向の前端部を支持する第1軸部と、前記ベース部材と前記チルト部材の間に配置され、シート幅方向に沿って設けられた第2軸部を中心に回動可能に支持され、前記第2軸部を中心とする回動を規制する第1ロック状態が解除されると、自由端部が前記チルト部材に当接して当該チルト部材をチルトさせると共に前記チルト部材を支持するフラップ部材と、前記フラップ部材に設けられ、前記第2軸部を中心に当該フラップ部材を回動させる方向へ付勢する第1付勢部材と、を含んで構成されている。
【0017】
請求項3に記載の発明に係るアームレストでは、チルト機構は、第1軸部と、フラップ部材と、第1付勢部材と、を含んで構成されている。第1軸部は、ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート幅方向に沿って設けられて当該チルト部材におけるシート前後方向の前端部を支持する。
【0018】
また、フラップ部材は、ベース部材とチルト部材の間に配置されており、シート幅方向に沿って設けられた第2軸部を中心に回動可能に支持されている。当該フラップ部材は、第2軸部を中心とする回動を規制する第1ロック状態が解除されると、フラップ部材の自由端部がチルト部材に当接し当該チルト部材をチルトさせると共にチルト部材を支持する。一方、第1付勢部材は、フラップ部材に設けられており、第2軸部を中心に当該フラップ部材を回動させる方向へ付勢する。
【0019】
すなわち、本発明では、第1ロック状態において、フラップ部材は、第2軸部を中心とする回動が規制され、当該第1ロック状態が解除されることによって、第1付勢部材による付勢力によって、第2軸部を中心に回動可能とされる。当該フラップ部材の回動により、フラップ部材の自由端部がチルト部材に当接し、フラップ部材を介して、チルト部材が第1軸部を中心にチルトすると共に当該チルト部材は支持される。
【0020】
請求項4に記載の発明に係るアームレストは、請求項3に記載の発明に係るアームレストにおいて、前記チルト機構は、シート幅方向に設けられ、前記チルト部材と前記水平部材を相対的に回動可能とする第3軸部と、長手方向の一端部がベース部材側に取り付けられると共に長手方向の他端部が前記第3軸部側に取り付けられ、前記チルト機構により前記初期状態と前記チルト状態の間を移動する前記チルト部材の動きに対して、前記水平部材を前記第3軸部を中心に当該チルト部材との間で角度を変えて前記ベース部材に対して略平行となるように配置させるリンク部材と、さらに含んで構成されている。
【0021】
請求項4に記載の発明に係るアームレストでは、チルト機構は、第3軸部及びリンク部材をさらに含んで構成されている。第3軸部は、シート幅方向に設けられており、チルト部材と水平部材を相対的に回動可能としている。また、リンク部材は、長手方向の一端部がベース部材側に取り付けられると共に、長手方向の他端部が第3軸部側に取り付けられている。
【0022】
そして、チルト機構により初期状態とチルト状態の間を移動するチルト部材の動きに対して、当該リンク部材を介して、第3軸部を中心にチルト部材と水平部材の間で角度を変え、ベース部材に対して略平行となるように水平部材が配置される。これにより、本発明では、チルト部材のチルトの有無に関係なくベース部材に対して水平部材を略平行に配置することができる。
【0023】
請求項5に記載の発明に係るアームレストは、請求項3に記載の発明に係るアームレストにおいて、シート上下方向に沿って設けられた第4軸部が設けられ、前記第4軸部を中心に前記ベース部材を回動可能に支持する台座と、前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されると、前記第4軸部を中心に当該ベース部材を回動可能とする回動機構と、をさらに有する。
【0024】
請求項5に記載の発明に係るアームレストでは、台座及び回動機構をさらに備える。台座には、シート上下方向に沿って設けられた第4軸部が設けられており、当該第4軸部を中心にベース部材が回動可能に支持される。回動機構は、ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されると、第4軸部を中心に当該ベース部材を回動可能とする。
【0025】
請求項6に記載の発明に係るアームレストは、請求項3に記載の発明に係るアームレストにおいて、操作により前記第1ロック状態を解除させる操作部材と、前記操作部材に対して当該操作部材を初期状態に復帰させる方向へ付勢する第2付勢部材と、をさらに有する。
【0026】
請求項6に記載の発明に係るアームレストでは、操作部材及び第2付勢部材をさらに備えている。操作部材の操作により、フラップ部材による第2軸部を中心とする回動を規制する第1ロック状態が解除される。これにより、フラップ部材は、第1付勢部材による付勢力によって第2軸部を中心に回動し、フラップ部材の自由端部がチルト部材に当接し、当該フラップ部材を介して、チルト部材が第1軸部を中心にチルトされると共に、当該チルト部材が支持される。
【0027】
一方、第2付勢部材は、操作部材に対して当該操作部材を初期状態に復帰させる方向へ付勢する。このため、本発明では、操作部材が操作された後、第2付勢部材によって、操作部材を初期状態に復帰させることができる。なお、「操作部材」として、例えば、ボタン、スイッチ等の押圧部材、レバー等が挙げられる。
【0028】
請求項7に記載の発明に係るアームレストは、請求項6に記載の発明に係るアームレストにおいて、前記操作部材は、前記ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート前後方向に沿って押圧可能に設けられた押圧部材であり、前記押圧部材の押圧により、前記第1ロック状態の解除と共に前記第2ロック状態が解除されるように設定されている。
【0029】
請求項7に記載の発明に係るアームレストでは、操作部材が押圧部材であり、当該押圧部材は、ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート前後方向に沿って押圧可能に設けられている。この押圧部材の押圧により、フラップ部材による第2軸部を中心とする回動を規制する第1ロック状態の解除と共にベース部材による第4軸部を中心とする回動を規制する第2ロック状態が解除される。
【0030】
すなわち、本発明では、押圧部材を押圧すると、第1ロック状態の解除により、フラップ部材が第2軸部を中心に回動しチルト部材がチルトすると共に、第2ロック状態の解除により、ベース部材は、第4軸部を中心に台座に対して回動可能とされる。このように、本発明では、1回の操作で第1ロック状態及び第2ロック状態を解除することができるため、第1ロック状態、第2ロック状態を解除するためにそれぞれ操作する場合と比較して手間が省けて便利である。
【0031】
請求項8に記載の発明に係るアームレストは、請求項7に記載の発明に係るアームレストにおいて、前記チルト機構は、シート上下方向に沿って設けられた第4軸部が設けられ、前記第4軸部を中心に前記ベース部材を回動可能に支持する台座と前記ベース部材の間に配置され、前記押圧部材と共にシート前後方向に沿って移動するスライダーと、前記スライダーと前記ベース部材とで形成されたカム面と、前記スライダーに支持され、前記カム面に当接するカム部材と、前記カム部材が前記カム面に対して当接する方向へ当該カム部材を付勢する第3付勢部材と、をさらに含んで構成され、前記押圧部材の押圧により、前記カム面及び前記カム部材を介して、前記スライダーをシート前後方向の前方側へ移動させ、前記第1ロック状態を解除させる。
【0032】
請求項8に記載の発明に係るアームレストでは、チルト機構は、スライダー、カム面、カム部材及び第3付勢部材をさらに含んで構成されている。スライダーは、台座とベース部材の間に配置されており、押圧部材と共にシート前後方向に沿って移動する。カム面は、スライダーとベース部材とで形成されており、カム部材は、スライダーに支持され、当該カム面に当接する。また、第3付勢部材は、カム部材がカム面に対して当接する方向へ当該カム部材を付勢している。
【0033】
そして、押圧部材の押圧により、カム面及びカム部材を介して、スライダーをシート前後方向の前方側へ移動させ、第1ロック状態を解除させる。このように、第1ロック状態の解除により、フラップ部材が第2軸部を中心に回動しチルト部材がチルトする。
【0034】
請求項9に記載の発明に係るアームレストは、請求項8に記載の発明に係るアームレストにおいて、前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されると、前記第4軸部を中心に当該ベース部材を回動可能とする回動機構は、前記スライダーに設けられ、シート前後方向に沿って形成された第1被係合部と前記第1被係合部におけるシート前後方向の後端部においてシート幅方向に沿って形成された第2被係合部と連続して形成されたガイド部と、前記ベース部材に形成され、前記第2被係合部と同じ形状を成し当該第2被係合部に対して平面視でオーバラップ可能な第3被係合部と、前記ガイド部及び前記第3被係合部に対して係合可能な係合部と、を含んで構成され、前記押圧部材の押圧により、前記第2被係合部と前記第3被係合部を平面視でオーバラップさせ、前記第2ロック状態を解除させる。
【0035】
請求項9に記載の発明に係るアームレストでは、回動機構は、ガイド部、第3被係合部及び係合部を含んで構成されている。ガイド部は、スライダーに形成されており、シート前後方向に沿って形成された第1被係合部とシート幅方向に沿って形成された第2被係合部が連続して形成されている。第3被係合部は、ベース部材に形成されており、第2被係合部と同じ形状を成し当該第2被係合部に対して平面視でオーバラップ可能とされている。一方、係合部は、ガイド部及び第3被係合部に対して係合可能とされている。
【0036】
ここで、押圧部材の押圧により、第2被係合部と第3被係合部を平面視でオーバラップさせ、第2ロック状態を解除させる。これにより、ベース部材は、第4軸部を中心に台座に対して回動可能とされる。なお、第1被係合部、第2被係合部、第3被係合部は、係合部が係合できれば良い。このため、それぞれ孔部が形成されてもよいし、溝部が形成されてもよい。
【0037】
請求項10に記載の発明に係る車両用シートは、請求項1~請求項9の何れか1項に記載のアームレストを備えている。
【0038】
請求項10に記載の車両用シートでは、請求項1~請求項9の何れか1項に記載のアームレストを用いたことによって得られる効果を享受することが可能となる。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明に係るアームレスト及び車両用シートでは、着座乗員がハンドル等を把持していない状態でもチルトした状態で着座乗員の肘を下がることなく支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本実施の形態に係るアームレストの初期位置における車両用シートを示す側面図である。
図2】本実施の形態に係るアームレストを左斜め前方側から見た斜視図である。
図3】本実施の形態に係るアームレストを示す分解斜視図である。
図4】本実施の形態に係るアームレストの初期状態を示す当該アームレストを幅方向の略中央部に沿って切断したときの断面図である。
図5】本実施の形態に係るアームレストのチルト状態を示す当該アームレストを幅方向の中央部に沿って切断したときの断面図である。
図6】本実施の形態に係るアームレストの一部を構成するベース部材、スライダー等を下方側から見た分解斜視図である。
図7】本実施の形態に係るアームレストの一部を構成するベース部材、スライダーピン及びスライダーを上方側から見た分解平面図である。
図8】(A)、(B)は、本実施の形態に係るアームレストの回動機構の作用を説明するための平面図である。
図9】本実施の形態に係るアームレストの第1ロック状態及び第2ロック状態を示す初期状態の平面図である。
図10図9の要部が拡大された要部拡大平面図である。
図11】本実施の形態に係るアームレストの初期状態において操作ボタンを押圧した状態を示す平面図である。
図12図11の要部が拡大された要部拡大平面図である。
図13】本実施の形態に係るアームレストの操作ボタンの押圧を解除した状態を示す平面図である。
図14図13の要部が拡大された要部拡大平面図である。
図15】本実施の形態に係るアームレストの操作ボタン及びスライダーが前方側へ移動した状態を示す平面図である。
図16図15の要部が拡大された要部拡大平面図である。
図17】本実施の形態に係るアームレストの第1ロック状態及び第2ロック状態が解除された状態を示す平面図である。
図18図17の要部が拡大された要部拡大平面図である。
図19】本実施の形態に係るアームレストのトリムを説明するための側面図である。
図20図19のA-A線に沿って切断したときの本実施の形態に係るアームレストのトリムを説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係るアームレスト18が適用された車両用シート10について説明する。なお、図中に示される矢印FR、矢印UP、矢印OUTは、車両用シート10の前方、上方、外方をそれぞれ示している。この車両用シート10の前後方向、左右方向(車両幅方向)および上下方向は、この車両用シート10が搭載された車両(自動車)の前後方向、左右方向(幅方向)および上下方向と一致している。以下、単に前後左右上下の方向を用いて説明する場合、特に断りのない限り、車両用シート10に対する方向を示すものとする。
【0042】
<車両用シートの構成>
まず、本実施形態に係るアームレスト18が適用された車両用シート10の構成について説明する。
【0043】
図1には、本実施形態に係る車両用シート10の側面図が示されている。この車両用シート10は、着座乗員Pの大腿部及び腰部を支持するシートクッション12と、着座乗員Pの上体を支持するシートバック14と、着座乗員Pの頭部を支持するヘッドレスト16と、を含んで構成されている。一方、当該シートクッション12における車両幅方向の内側には、着座乗員Pの腕部を支持するアームレスト18が取り付けられている。なお、図示はしないが、アームレスト18は、シートクッション12における車両幅方向の内側及び外側に設けられてもよい。
【0044】
本実施形態では、例えば、アームレスト18は、当該アームレスト18の上部を構成する本体部20とアームレスト18の下部を構成する脚部22を含んで構成されている。脚部22は、下方側へ向かうにつれて前後方向の幅寸法が狭くなるように形成されシート側面視で逆台形状を成す箱型とされている。そして、脚部22の下端部は、シートクッション12の骨格部材を構成する図示しないシートクッションフレームをシート幅方向の外方から覆うサイドフィニッシャ24に固定されている。
【0045】
なお、当該アームレスト18は、着座乗員Pの肘を乗せることができればよいため、図示はしないが、シートバック14に取り付けられてもよいし、車体フロア、センターコンソール、ドアトリム等に取り付けられてもよい。
【0046】
一方、図3に示されるように、本体部20は、チルト機構24及び回動機構26を備えている。チルト機構24は、チルト部材28及び水平部材30を含んで構成されており、回動機構26は、台座32及びベース部材34を含んで構成されている。また、本体部20は、上から順に、チルト部材28及び水平部材30、ベース部材34、台座32と配置されており、チルト部材28及び水平部材30によって、それぞれ着座乗員P(図1参照)の腕が支持可能とされている。
【0047】
(チルト部材)
図2図3に示されるように、チルト部材28は、平面視で略矩形状を成す箱型とされており、シート前後方向を長手方向として開口が下方側を向くように配置されている。
【0048】
また、チルト部材28は、シート前後方向の後方側へ向かうにつれてシート上下方向の上方側へ向かってチルト(傾斜)可能とされており、略水平に配置された初期状態P(図4参照)とチルトされたチルト状態Q(図5参照)の間を移動可能とされる。
【0049】
チルト部材28の前壁部28Aには、シート幅方向の内側に面取り部36が形成されている。また、図4に示されるように、チルト部材28の前端部の裏面側には、シート幅方向沿って軸部(第1軸部)38が形成されている。
【0050】
また、図3に示されるように、チルト部材28の後壁部28Bには、シート幅方向の外側に平面視で逆L字状(シート幅方向に沿った軸線を中心に反転させかつシート前後方向に沿った軸線を中心に反転)を成す切欠き部40が形成されている。切欠き部40のシート幅方向の内側には、切欠き部40に隣接してシート幅方向を軸線とする軸部(第3軸部)42が形成されており、当該軸部42の先端部には縮径部42Aが形成され、縮径部42Aは他の部位よりも縮径されて切欠き部40内に延出されている。
【0051】
(水平部材)
図2図3に示されるように、水平部材30は、チルト部材28と同様に、平面視で略矩形状を成す箱型とされており、シート前後方向を長手方向として開口が下方側を向くように配置されている。また、水平部材30は、チルト部材28と幅方向の寸法が略同じとされており、水平部材30の長手方向の寸法は、チルト部材28よりも短くなるように形成されている。
【0052】
また、水平部材30の前壁部30Aには、シート幅方向の内側に平面視でL字状を成す切欠き部44が形成されており、チルト部材28に形成された軸部42が収容可能とされている。切欠き部44のシート幅方向の外側には、切欠き部44に隣接してシート幅方向を軸線とする軸受部46が形成されている。
【0053】
この軸受部46には、チルト部材28に形成された軸部42の縮径部42Aが嵌合可能とされており、チルト部材28の軸部42の縮径部42Aが水平部材30の軸受部46に嵌合された状態で縮径部42Aがボルト47で締結され、縮径部42Aに対して軸受部46が回動可能とされ、チルト部材28と水平部材30は軸部42を中心に相対的に回動可能とされる。
【0054】
なお、本実施形態では、チルト部材28側に軸部42が設けられ、水平部材30側に軸受部46が設けられているが、両者が相対的に回動可能な構成であればよい。このため、図示はしないが、チルト部材28側に軸受部が設けられ、水平部材30側に軸部が設けられてもよい。他の軸部及び軸受部についてもこれと同様である。
【0055】
また、水平部材30の後壁部30Bには、シート幅方向の外側に面取り部48が形成されている。そして、チルト部材28及び水平部材30は、それぞれトリム50、52によって被覆されており、これらのトリム50、52によってチルト部材28及び水平部材30の意匠面が形成される。
【0056】
(ベース部材)
ベース部材34は、平面視で略矩形状を成す箱型とされており、開口が下方側を向くように配置されている。ベース部材34はシート前後方向を長手方向としており、幅方向の寸法がチルト部材28及び水平部材30と略同じとなるように設定されている。
【0057】
ベース部材34の前壁部34Aには、図6に示されるように、開口部54が形成されており、開口部54内には後述する操作ボタン(押圧部材、操作部材)56が挿入可能とされており、シート前後方向に沿って開口部54から出入可能とされている。
【0058】
図3に示されるように、ベース部材34の前壁部34Aには、チルト部材28に形成された面取り部36と上下に対応する位置に面取り部58が形成されており、ベース部材34の前端部には、シート幅方向の中央部に軸受部60が設けられている。
【0059】
この軸受部60にチルト部材28に形成された軸部38(図4参照)が嵌合可能とされており、チルト部材28の軸部38が軸受部60に嵌合された状態で、図5に示されるように、ベース部材34に対して軸部38を中心にチルト部材28がチルト可能とされる。つまり、チルト部材28は、シート前後方向の後方側へ向かうにつれてシート上下方向の上方側へ向かってチルト(傾斜)可能とされる。
【0060】
図3に示されるように、軸受部60におけるシート幅方向の両外側には、シート前後方向に沿って延在する傾斜リブ62、64が軸受部60と一体にそれぞれ形成されている。傾斜リブ62、64は、シート前後方向の後方側へ向かうにつれて下方側へ向かって傾斜するように形成されている。
【0061】
図7に示されるように、ベース部材34において、傾斜リブ62と傾斜リブ64の間には、傾斜リブ64側における傾斜リブ64の前部側に矩形孔66が形成されており、傾斜リブ64の後部側には、図5に示されるように、ベース部材34の表面35よりも下方側に形成された凹壁68が形成されている。
【0062】
この凹壁68には、図7に示されるように、開口部70が形成されており、開口部70の内縁がカム面72を構成している。開口部70は、平面視で略逆L字状(シート前後方向に沿った軸線を中心に反転)を成しており、前部70Aよりも後部70Bの方がシート幅方向の内側へ向かって円弧状に突出している。
【0063】
具体的に説明すると、後部70Bには、後述するスライダーピン(カム部材)74のピン(カム部材)76が係合可能な円弧面72Aが形成されている。また、開口部70の前部70Aには、シート前後方向かつシート幅方向に沿って形成された直線で構成された隅部72Bが設けられており、隅部72Bのシート幅方向の内側には、後方側へ向かうにつれてシート幅方向の内側へ向かって傾斜する傾斜面72Cが形成されている。
【0064】
図6図7に示されるように、凹壁68の下方側には、円柱状を成すスライダーピン74が配置されており、凹壁68に沿って移動可能とされている。スライダーピン74の中央部には、ピン76が貫通しており、上部側のピン76Aが凹壁68に形成された開口部70のカム面72に当接可能とされる。
【0065】
図3図6に示されるように、ベース部材34の前部側には、矩形状の凹部80が凹設されており、凹部80内には、後述する環状リブ90の軸芯を中心として円弧状に形成された長孔部(第3被係合部)84が形成されている。
【0066】
ベース部材34の前部の裏面側には、凹壁68と面取り部58の間にボス86、88が立設している。また、凹部80の後方側には、環状リブ90が立設されており、環状リブ90の後方側には、当該環状リブ90の軸芯を中心として円弧状に形成された長孔リブ92が形成されている。さらに、ベース部材34の後壁部34Bには、水平部材30に形成された面取り部48と上下に対応する位置に面取り部94が形成されている。
【0067】
(フラップ部材)
図3図4に示されるように、凹部80内には、矩形板状のフラップ部材96が収容可能とされている。フラップ部材96の前端部には、シート幅方向の中央部に矩形状の切欠き部98が設けられており、後述するリンク部材100との干渉が回避されるように形成されている。
【0068】
また、フラップ部材96の後端部には、シート幅方向を軸線とする軸部102(第2軸部)が形成されている。軸部102はシート幅方向の左右に分割されており、中央部には、矩形状の切欠き部104が形成され、当該切欠き部104内には軸部102の一部である軸部102Aが設けられている。
【0069】
この軸部102Aには、フラップスプリング(第1付勢部材)106が取り付けられており、フラップスプリング106の一端部がフラップ部材96側に当接し、フラップスプリング106の他端部がベース部材34側に当接している。このフラップスプリング106の付勢力により、図5に示されるように、フラップ部材96は、軸部102を中心に回動し起立可能とされる。
【0070】
ここで、凹部80の後端部には、フラップ保持部108が設けられている。図4に示されるように、フラップ保持部108の下方側にフラップ部材96の軸部102が配置可能とされる。このように、フラップ部材96の軸部102がフラップ保持部108の下方側に配置されることによって、フラップ部材96は、いわゆる第1ロック状態とされ、軸部102を中心とする回動が規制されチルト部材28をチルトしない状態とされる。
【0071】
(リンク部材)
図3図5に示されるように、リンク部材100は、長手方向の一端部100Aがベース部材34に形成された傾斜リブ64に取り付けられると共に長手方向の他端部100Bが水平部材30に設けられた軸部101に取り付けられている。
【0072】
ここで、チルト部材28は、略水平に配置された初期状態P(図4参照)とチルトされたチルト状態Q(図5参照)の間を移動可能とされる。このため、当該チルト部材28の動きに対して、リンク部材100を介して、軸部101を中心にチルト部材28と水平部材30の間で角度を変えることによって、チルト部材28のチルトの有無に関係なく水平部材30が略水平に配置された状態が維持されるように設定されている。
【0073】
(台座)
台座32は、平面視でシート前後方向を長手方向とする略矩形板状を成している。台座32は、下方側へ向かうにつれて前後方向の幅寸法が狭くなるように形成されたシート側面視で逆台形状を成しており、脚部22(図1参照)に固定されている。台座32の前端部には、ベース部材34に形成された面取り部58と上下に対応する位置に面取り部110が形成されている。
【0074】
また、台座32のシート前後方向の中央部には、環状の取付座111が設けられており、取付座111にはガイドピン(係合部)112が固定されている。このガイドピン112は、ベース部材34に形成された長孔部84内に挿入可能とされており、ガイドピン112を基準として、長孔部84の形状に沿って、ベース部材34がシート幅方向に沿って回動可能とされる(後述する)。
【0075】
さらに、台座32の後部には、丸孔114が形成されており、丸孔114の内縁からは環状リブ(第4軸部)82が立設され、環状リブ82内には、ベース部材34に形成された環状リブ90(図6参照)が挿入可能とされている。これにより、ベース部材34は、台座32の環状リブ82及びベース部材34の環状リブ90を介して、当該環状リブ82を中心に回動可能とされる(後述する)。
【0076】
また、台座32の環状リブ82の後方側には、回動規制ピン116が立設している。この回動規制ピン116は、ベース部材34に形成された長孔リブ92(図6参照)内に挿入可能とされており、図8(A)、(B)に示されるように、回動規制ピン116が長孔リブ92の長手方向の両端に当接することによって、長孔リブ92を介してベース部材34の回動移動が規制される。
【0077】
長孔リブ92内には、長孔リブ92の長手方向の両端部に、一対の突起部92A、92Bがそれぞれ形成されており、回動規制ピン116は、当該突起部92A、92Bを乗り越えた状態で長孔リブ92の長手方向の両端に当接し移動が規制される。なお、回動規制ピン116と長孔リブ92の間で摺動抵抗が得られるように設定し、摺動抵抗によりベース部材34が所定の位置で回動規制されるようにしてもよい。
【0078】
(スライダー)
図3図6に示されるように、ベース部材34と台座32の間にはスライダー118が配置されている。スライダー118は、平面視で矩形板状を成しており、シート幅方向に沿って切断した断面形状は上方側を開口とする略U字状を成している。つまり、スライダー118におけるシート幅方向の両端部には、側壁部118A、118Bが形成されており、当該側壁部118A、118Bは、ベース部材34の側壁部34C、34Dと凹部80の間にそれぞれ配置される。
【0079】
スライダー118の前端部には、図6図7に示されるように、スライダーピン74のピン76B(カム部材)が挿入可能な開口部120が形成されており、ピン76Bは、開口部120の内縁によって構成されるカム面122に当接可能とされる。
【0080】
図7に示されるように、開口部120は、平面視で略矩形状を成しており、前部120Aよりも後部120Bの方が大きく形成されている。前部120Aは後部120Bよりもシート幅方向の内側に配置されており、前部120Aと後部120Bの間は傾斜部120Cによって連結されている。
【0081】
具体的に説明すると、開口部120の前部120Aには、ピン76Bが収容可能な収容部122Aが形成されている。開口部120の傾斜部120Cにおけるシート幅方向の外側には、傾斜面122Bが形成されており、傾斜部120Cにおけるシート幅方向の内側には、傾斜面122Cが形成されている。さらに、後部120Bにおけるシート幅方向の内側には、シート前後方向かつシート幅方向に沿って形成された直線で構成された隅部122Dが設けられている。
【0082】
図6に示されるように、スライダー118の開口部120とベース部材34に形成された開口部70は、平面視で重なるように形成されており、スライダー118の開口部120のカム面122にはスライダーピン74に設けられたピン76Bが当接し、ベース部材34に形成された開口部70のカム面72にはスライダーピン74に設けられたピン76Aが当接する。
【0083】
このため、図10図12図14図16図18に示されるように、平面視における開口部70と開口部120の重なり具合によって重なり部A~E(開口部70を示すハッチングと開口部20を示すハッチングが互いに交差する領域)はその形状を変え、ピン76を介してスライダーピン74が移動する。
【0084】
一方、図6に示されるように、ベース部材34の裏面側には、前述したボス86、88が立設している。図9に示されるように、ボス86には、リターンスプリング(第2付勢部材、第3付勢部材)126が装着されており、リターンスプリング126の一端部がボス88に当接し、リターンスプリング126の他端部はスライダーピン74に当接している。このリターンスプリング126の付勢力によって、スライダーピン74は、ピン76A、76Bが、図7に示す開口部70のカム面72、開口部120のカム面122に対してそれぞれ当接する方向へ付勢されている。
【0085】
図3図6に示されるように、スライダー118の後部には、ベース部材34に形成された長孔部84と連通可能なガイド孔(ガイド部)132が形成されており、ガイド孔132には台座32のシート前後方向の中央部に設けられたガイドピン112が挿通されている。ガイド孔132は、シート前後方向に沿って形成されたガイド部(第1被係合部)134とシート幅方向に沿って形成されたガイド部(第2被係合部)136が交差部Rを介して連続して形成されており、ガイド部136は、平面視で長孔部84とオーバラップ可能とされている。
【0086】
図9に示されるように、ガイドピン112がガイド部134内に配置され、ガイド部136が平面視で長孔部84とオーバラップしていない状態では、ベース部材34は台座32に対する回動は規制される(第2ロック状態)。一方、図17に示されるように、ガイドピン112が交差部Rに配置された状態では、ガイド部136は、平面視で長孔部84とオーバラップし、ベース部材34は台座32に対してシート幅方向に沿って回動可能とされる。
【0087】
(操作ボタン)
図3図6に示されるように、スライダー118の前方側には、操作ボタン(押圧部材)56が設けられている。操作ボタン56は、平面視で略矩形状を成す箱型とされており、スライダー118側が開口とされ、スライダー118の前端部が操作ボタン56内に挿入され係合されている。このため、操作ボタン56とスライダー118は一体化され、操作ボタン56の移動によってスライダー118が操作ボタン56と一体に移動する。
【0088】
また、操作ボタン56の前壁部56Aには、ベース部材34の前壁部34Aに形成された面取り部58と対応する面取り部57が形成されている。操作ボタン56がベース部材34の前壁部34Aに形成された開口部54内に挿入された状態で、当該操作ボタン56は、ベース部材34の前壁部34A及び面取り部58の一部を構成する。
【0089】
<車両用シートの作用及び効果>
次に、本実施の形態に係る車両用シート10の作用及び効果について説明する。
【0090】
本実施形態では、図4に示されるように、アームレスト18の初期状態Pでは、アームレスト18は、フラップ部材96の回動が規制された第1ロック状態及びベース部材34の回動が規制された第2ロック状態とされている。
【0091】
具体的に説明すると、第1ロック状態では、フラップ部材96の軸部102がフラップ保持部108の下方側に配置され、フラップ部材96は略水平状態が維持された状態でベース部材34に形成された凹部80内に収容されている。一方、図9に示されるように、第2ロック状態では、台座32(図3参照)に設けられたガイドピン112はスライダー118に形成されたガイド部134内に配置されており、ベース部材34は、台座32に対する回動が規制されている。
【0092】
ここで、図7図10に示されるように、ベース部材34に形成された開口部70とスライダー118に形成された開口部120によって形成された重なり部A内に設けられた円弧面72Aに対して、リターンスプリング126によって付勢されたスライダーピン74のピン76が係合している。これにより、スライダー118はシート前後方向に沿った移動が規制され、アームレスト18は、第1ロック状態及び第2ロック状態が維持される。
【0093】
この状態から、図11に示されるように、操作ボタン56を押圧すると、操作ボタン56と共にスライダー118が後方側へ移動する。これにより、スライダーピン74は、図7図12に示されるように、開口部120に形成された傾斜部120Cの傾斜面122Bによってピン76がシート幅方向の内側へ案内される。
【0094】
つまり、操作ボタン56と共にスライダー118が後方側へ移動すると、ピン76は、傾斜面122Cを経て、ベース部材34に形成された開口部70とスライダー118に形成された開口部120によって形成された重なり部B内に設けられた収容部122Aへ案内される。
【0095】
このように、ピン76がシート幅方向の内側へ案内されることにより、ピン76を介してスライダーピン74がリターンスプリング126の付勢力に抗して移動する。つまり、リターンスプリング126には、弾性エネルギーがより蓄積されることになる。
【0096】
一方、図11に示されるように、台座32(図3参照)に設けられたガイドピン112はスライダー118に形成されたガイド部134内に配置されており、ベース部材34は、台座32に対する回動が規制され、第2ロック状態は維持されている。
【0097】
この状態から、手を離し操作ボタン56を押圧した状態が解除されると、リターンスプリング126の付勢力により、図13図15図17に示されるように、スライダー118と共に操作ボタン56が前方側へ移動する。
【0098】
まず、図13に示されるように、スライダー118と共に操作ボタン56が前方側へ移動すると、図7図14に示されるように、スライダー118に形成された開口部120の位置は、スライダーピン74に対して、前部120A(収容部122A内)から傾斜部120C側へ移動する。
【0099】
これにより、ピン76は、ベース部材34に形成された開口部70とスライダー118に形成された開口部120によって形成された重なり部C内に設けられ開口部120に形成された傾斜面122Cに当接する。
【0100】
また、図13図15に示されるように、台座32(図3参照)に設けられたガイドピン112はスライダー118に形成されたガイド部134内に配置されており、ベース部材34は、台座32に対する回動が規制され、第2ロック状態は維持されている。
【0101】
ここで、図14に示されるように、ピン76は、重なり部C内に設けられた傾斜面122Cに当接した状態で、リターンスプリング126の付勢力により、当該傾斜面122Cに沿ってシート幅方向の外側へ案内される。これにより、図15に示されるように、スライダー118と共に操作ボタン56は前方側へ移動し、操作ボタン56は平面視でベース部材34の前壁部34Aから突出する。
【0102】
このとき、図7図16に示されるように、スライダー118に形成された開口部120の位置は、スライダーピン74に対して、傾斜部120Cから当該傾斜部120Cの後部120B側へ移動する。すなわち、ピン76は、ベース部材34に形成された開口部70とスライダー118に形成された開口部120によって形成された重なり部D内に設けられた開口部70に形成された隅部72B及び開口部120に形成された隅部122Dのシート前後部122D1に当接する。
【0103】
図15図16に示されるように、ピン76は、重なり部D内に設けられた隅部122Dのシート前後部122D1に当接した状態で、リターンスプリング126の付勢力により、当該シート前後部122D1に沿って案内される。これにより、図17に示されるように、スライダー118と共に操作ボタン56はさらに前方側へ移動し、操作ボタン56は平面視でベース部材34の前壁部34Aからさらに突出する。
【0104】
このとき、図7図18に示されるように、スライダー118に形成された開口部120の位置は傾斜部120Cから後部120B側へ配置される。これにより、ピン76は、ベース部材34に形成された開口部70に形成された隅部72Bとスライダー118に形成された開口部120に形成された隅部122Dによって形成された重なり部E内に収容される。
【0105】
この状態で、図4に示すフラップ部材96の軸部102がフラップ保持部108の下方側よりも前方へ移動し、第1ロック状態が解除される。これにより、図5に示されるように、フラップ部材96は、フラップスプリング106の付勢力によって軸部102を中心に回動し起立する。このとき、フラップ部材96の自由端部96Aは、チルト部材28に当接し当該チルト部材28がチルトする。
【0106】
また、図17に示されるように、台座32(図3参照)に設けられたガイドピン112は、スライダー118に形成されたガイド部134とガイド部136の交差部Rに配置され、ガイド部136はベース部材34に形成された長孔部84と平面視でオーバラップする位置に配置される。これにより、第2ロック状態は解除され、図8(A)、(B)に示されるように、ベース部材34は台座32に対してシート幅方向に沿って回動可能とされる。
【0107】
以上のように、本実施形態では、図4に示す操作ボタン56を押圧することによって、第1ロック状態及び第2ロック状態を解除することができる。
【0108】
ここで、図3に示されるように、台座32の環状リブ82の後方側には、回動規制ピン116が立設しており、当該回動規制ピン116は、ベース部材34に形成された長孔リブ92(図6参照)内に挿入され、ベース部材34は、長孔リブ92及び回動規制ピン116を介して台座32に対して回動する。このため、図8(B)に示されるように、長孔リブ92の長手方向の端部に回動規制ピン116が当接することによってベース部材34の回動移動は規制されることになる。
【0109】
なお、図5に示されるように、操作ボタン56がベース部材34の前壁部34Aから突出した状態、つまり、チルト部材28がチルトとした状態(チルト状態Q)で操作ボタン56を押圧すると、操作ボタン56と共にスライダー118が後方側へ移動し、フラップ保持部108によって軸部102Aを中心にフラップ部材96が傾倒する方向へ回動する。
【0110】
これにより、図4に示されるように、チルト部材28が初期状態Pへ戻り、リンク部材100を介して、軸部101を中心にチルト部材28と水平部材30の間で角度変えながら、チルト部材28と水平部材30が略同じ平面状に配置され、両者は略水平に配置された状態となる。
【0111】
ここで、本実施形態では、チルト部材28は、図4に示す初期状態P又は図5に示すチルト状態Qに設定可能とされており、初期状態Pでは略水平に配置されたベース部材34に対して略平行に配置され、チルト状態Qでは、シート前後方向の後方側へ向かうにつれてシート上下方向の上方側へ向かってチルトする。
【0112】
一方、水平部材30は、初期状態Pとチルト状態Qの間を移動するチルト部材28の動きに追従して当該チルト部材28との間で角度変え、チルト部材28のチルトの有無に関係なくベース部材34に対して略平行に配置された状態が維持されるように設定されている。すなわち、本実施形態では、着座乗員Pの腕を支持するアームレスト18において、チルト部材28がチルトした状態であっても水平部材30によって略水平状態が維持される部位が形成される。
【0113】
例えば、運転時において着座乗員P(図1参照)がハンドルを把持している状態では、図5に示すチルト状態Qのチルト部材28に肘を乗せることによって腕の疲労感を軽減させることができる。また、チルト部材28がチルトした状態であっても水平部材30は略水平状態が維持されているため、着座乗員Pがハンドルを把持していない状態でも、水平部材30に肘を乗せることで着座乗員Pの肘は下がることなく支持される。さらに、リラックス時において、スマートフォンを見るときに水平部材に肘を乗せることでスマートフォンを目線に近づけることができる。
【0114】
なお、本実施形態では、アームレスト18は、シートクッション12における車両幅方向の内側に設けられているが、これに限るものではない。例えば、図示はしないが、シートクッション12における車両幅方向の両側に設けられてもよい。また、アームレスト18は、シートバック14(図1参照)側に取り付けられてもよい。さらには、当該アームレスト18は、車体フロア、センターコンソール、ドアトリム等に取り付けられてもよい。
【0115】
一方、本実施形態では、アームレスト18は、チルト機構24によってチルト部材28の前端に対して後端側を持ち上げるように設定されている。また、チルト機構24は、軸部38と、フラップ部材96と、フラップスプリング106と、を含んで構成されている。
【0116】
ここで、本実施形態では、軸部38は、ベース部材34の前端部においてチルト部材28の前端部を支持し、フラップ部材96は、ベース部材34とチルト部材28の間に配置され、軸部102を中心に回動可能に支持されている。また、当該フラップ部材96は、軸部102を中心とする回動を規制する第1ロック状態が解除されると、フラップ部材96の自由端部96Aがチルト部材28に当接し当該チルト部材28をチルトさせると共にチルト部材28を支持する。さらに、フラップスプリング106は、フラップ部材96に設けられており、軸部102を中心に当該フラップ部材96を回動させる方向へ付勢するように設定されている。
【0117】
すなわち、本実施形態では、第1ロック状態において、フラップ部材96は、軸部102を中心とする回動が規制され、当該第1ロック状態が解除されることによって、フラップスプリング106による付勢力によって、軸部102を中心に回動可能とされる。当該フラップ部材96の回動により、フラップ部材96の自由端部96Aがチルト部材28に当接し、フラップ部材96を介して、チルト部材28が軸部38を中心にチルトすると共に当該チルト部材28が支持される。
【0118】
さらに、チルト機構24は、軸部101及びリンク部材100をさらに含んで構成され、軸部101は、シート幅方向に設けられており、チルト部材28と水平部材30を相対的に回動可能としている。また、リンク部材100の一端部100Aはベース部材34側に取り付けられると共に他端部100Bは軸部101側に取り付けられている。
【0119】
そして、初期状態Pとチルト状態Qの間を移動するチルト部材28の動きに対して、当該リンク部材100を介して、軸部101を中心にチルト部材28と水平部材30の間で角度変え、ベース部材34に対して略平行となるように水平部材30が配置される。つまり、本実施形態では、リンク部材100を介して、チルト部材28の有無に関係なく、水平部材30の略水平状態を維持することができる。
【0120】
さらに、本実施形態では、台座32及び回動機構26をさらに備え、台座32には、シート上下方向に沿って設けられた環状リブ82が設けられ、当該環状リブ82を中心にベース部材34が回動可能に支持される。そして、回動機構26は、ベース部材34の回動を規制する第2ロック状態が設定可能とされている。
【0121】
以上のように、本実施形態では、チルト機構24、回動機構26において、モータ等のパワー機構やダンパ機構等の装置を使用しないため、安価な構造でチルト機構24、回動機構26の実現が可能とされる。
【0122】
また、本実施形態では、操作ボタン56及びリターンスプリング126をさらに備え、操作ボタン56は、ベース部材34の前端部においてシート前後方向に沿って押圧可能に設けられており、操作ボタン56の押圧により、フラップ部材96による軸部102を中心とする回動を規制する第1ロック状態が解除される。
【0123】
第1ロック状態が解除されると、フラップ部材96は、フラップスプリング106による付勢力によって軸部102を中心に回動し、フラップ部材96の自由端部96Aがチルト部材28に当接して、当該フラップ部材96を介して、チルト部材28が軸部38を中心にチルトすると共に当該チルト部材28が支持される。
【0124】
一方、リターンスプリング126は、操作ボタン56を図9に示す初期位置に復帰させる方向へ付勢する。このため、操作ボタン56が押圧された後、リターンスプリング126によって、操作ボタン56は初期位置に復帰することができる。
【0125】
本実施形態では、操作ボタン56の押圧により、第1ロック状態の解除と共にベース部材34による環状リブ82を中心とする回動を規制する第2ロック状態が解除される。これにより、フラップ部材96は、フラップスプリング106による付勢力によって軸部102を中心に回動し、フラップ部材96を介して、チルト部材28が軸部38を中心にチルトすると共に当該チルト部材28が支持され、ベース部材34は、環状リブ82を中心に台座32に対して回動可能とされる。
【0126】
つまり、本実施形態では、1回の操作で第1ロック状態及び第2ロック状態を解除することができる。このため、例えば、比較例として、図示はしないが、第1ロック状態を解除するためのボタンと第2ロック状態を解除するためのボタンがそれぞれ設けられた場合と比較して、本実施形態では、1回の操作で第1ロック状態及び第2ロック状態を解除することができるため、大変便利である。
【0127】
また、本実施形態では、図3に示されるように、チルト機構24は、スライダー118、カム面72、122(図7参照)、スライダーピン74及びリターンスプリング126をさらに含んで構成されている。
【0128】
スライダー118は、台座32とベース部材34の間に配置されており、操作ボタン56と共にシート前後方向に沿って移動する。図7に示されるように、カム面72、122は、スライダー118とベース部材34とで形成されている。
【0129】
スライダーピン74は、スライダー118上に移動可能に支持されており、当該カム面72、122に当接する。図9図10に示されるように、リターンスプリング126は、スライダーピン74がカム面72、122に対して当接する方向へ当該スライダーピン74を付勢している。そして、図4に示す操作ボタン56の押圧により、カム面72、122(図7参照)及びスライダーピン74を介して、スライダー118を前方側へ移動させ、第1ロック状態を解除させる。
【0130】
なお、本実施形態では、リターンスプリング126は、スライダーピン74をカム面72、122側へ付勢すると共に、操作ボタン56を初期位置に復帰させる方向へ付勢するように設定されている。このように、1つの付勢部材で複数の部材を付勢することによって部品点数を削減することができるが、スライダーピン74をカム面72、122側へ付勢する付勢部材と、操作ボタン56を初期位置に復帰させる方向へ付勢する付勢部材とで別部材が用いられてもよいのは勿論のことである。
【0131】
さらに、本実施形態では、図6に示されるように、回動機構26は、ガイド孔132、長孔部84及びガイドピン112を含んで構成されている。ガイド孔132は、スライダー118に形成されており、シート前後方向に沿って形成されたガイド部134とシート幅方向に沿って形成されたガイド部136が連続して形成されている。長孔部84は、ベース部材34に形成されており、ガイド部136と同じ形状を成し当該ガイド部136に対して平面視でオーバラップ可能とされている。ガイドピン112は、ガイド孔132及び長孔部84に対して係合可能とされている。
【0132】
ここで、操作ボタン56の押圧により、ガイド部136と長孔部84を平面視でオーバラップさせ、第2ロック状態を解除させる。これにより、図8(A)、(B)に示されるように、ベース部材34は、環状リブ82を中心に台座32に対して回動可能とされる。なお、ガイド部134、ガイド部136、長孔部84は、ガイドピン112が係合できれば良い。このため、図示はしないが、それぞれ貫通孔(孔部)が形成されてもよいし、溝部(穴部)が形成されてもよい。
【0133】
ところで、本実施形態では、アームレスト18がチルトする構成となっている。このため、図5に示されるように、アームレスト18のチルト部材28によるチルト状態Qでは、チルト部材28及び水平部材30とベース部材34の間には隙間138が設けられると共にフラップ部材96が目視可能とされる。
【0134】
したがって、図19図20に示されるように、例えば、チルト部材28及び水平部材30とベース部材34の間にはトリム140が設けられており、当該隙間138が露出しないようにしている。これにより、アームレスト18の外観を向上させることができる。なお、図20は、図19で示すA-A線に沿って切断したときの断面図が示されている。
【0135】
ここで、当該トリム140は上部トリム142と下部トリム144によって構成されている。上部トリム142は、チルト部材28及び水平部材30のトリム50、52に対して接着等によって取り付けられており、下部トリム144は、ベース部材34の表面35に対して接着等によって取り付けられている。
【0136】
上部トリム142と下部トリム144は縫製部146を介して一体化されると共に、上部トリム142の下部トリム144の間には、対向する縫製部146同士を架け渡すようにしてゴムバンド148等の弾性部材が設けられている。
【0137】
ゴムバンド148は、チルト部材28がチルトした状態でシート幅方向の内側へ向かって付勢しており、チルト部材28がチルト状態Q(図5参照)から初期状態P(図4参照)へ戻るとき、ゴムバンド148を介して対向する縫製部146同士が近接し、縫製部146を起点にトリム140がシート幅方向の内側へ向かって折り畳まれ、シート幅方向の内側に収容されるようになっている。これにより、チルト部材28の初期状態Pにおいて、上部トリム142及び下部トリム144が外側へはみ出すことがないようにしている。
【0138】
なお、上部トリム142及び下部トリム144によって構成されたトリム140について説明したが、これに限るものではない。図5に示されるように、アームレスト18のチルト状態Qで、チルト部材28及び水平部材30とベース部材34の間に設けられる隙間138を隠すことができ、また、アームレスト18の初期状態Pにおいて、収納されるようになっていればよいため、例えば、図示はしないが、蛇腹状のトリムが設けられてもよい。
【0139】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されない
【0140】
<付記>
なお、下記の構成を適宜組み合わせて本発明に係るアームレスト及び車両用シートとしてもよい。
【0141】
(構成1)
アームレストは、略水平に配置されたベース部材に対して略平行に配置される初期状態、又はシート前後方向の後方側へ向かうにつれてシート上下方向の上方側へ向かってチルトされるチルト状態に設定可能とされるチルト機構を備え、シートクッションに着座した着座乗員の腕を支持可能なチルト部材と、前記チルト部材よりもシート前後方向の後方側に設けられ、前記チルト機構により前記初期状態と前記チルト状態の間を移動する前記チルト部材の動きに追従して当該チルト部材との間で角度を変え、前記チルト部材のチルトの有無に関係なく前記ベース部材に対して略平行に配置された状態を維持して前記着座乗員の腕を支持可能な水平部材と、を有する。
【0142】
(構成2)
前記チルト機構は、前記チルト部材におけるシート前後方向の前端に対してシート前後方向の後端側を持ち上げるように設定されている。
【0143】
(構成3)
前記チルト機構は、前記ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート幅方向に沿って設けられ、前記チルト部材におけるシート前後方向の前端部を支持する第1軸部と、前記ベース部材と前記チルト部材の間に配置され、シート幅方向に沿って設けられた第2軸部を中心に回動可能に支持され、前記第2軸部を中心とする回動を規制する第1ロック状態が解除されると、自由端部が前記チルト部材に当接して当該チルト部材をチルトさせると共に前記チルト部材を支持するフラップ部材と、前記フラップ部材に設けられ、前記第2軸部を中心に当該フラップ部材を回動させる方向へ付勢する第1付勢部材と、を含んで構成されている。
【0144】
(構成4)
前記チルト機構は、シート幅方向に設けられ、前記チルト部材と前記水平部材を相対的に回動可能とする第3軸部と、長手方向の一端部がベース部材側に取り付けられると共に長手方向の他端部が前記第3軸部側に取り付けられ、前記チルト機構により前記初期状態と前記チルト状態の間を移動する前記チルト部材の動きに対して、前記水平部材を前記第3軸部を中心に当該チルト部材との間で角度を変えて前記ベース部材に対して略平行となるように配置させるリンク部材と、をさらに含んで構成されている。
【0145】
(構成5)
シート上下方向に沿って設けられた第4軸部が設けられ、前記第4軸部を中心に前記ベース部材を回動可能に支持する台座と、前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されると、前記第4軸部を中心に当該ベース部材を回動可能とする回動機構と、をさらに有する。
【0146】
(構成6)
操作により前記第1ロック状態を解除させる操作部材と、前記操作部材に対して当該操作部材を初期状態に復帰させる方向へ付勢する第2付勢部材と、をさらに有する。
【0147】
(構成7)
前記操作部材は、前記ベース部材におけるシート前後方向の前端部においてシート前後方向に沿って押圧可能に設けられた押圧部材であり、前記押圧部材の押圧により、前記第1ロック状態の解除と共に前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されるように設定されている。
【0148】
(構成8)
前記チルト機構は、シート上下方向に沿って設けられた第4軸部が設けられ、前記第4軸部を中心に前記ベース部材を回動可能に支持する台座と前記ベース部材の間に配置され、前記押圧部材と共にシート前後方向に沿って移動するスライダーと、前記スライダーと前記ベース部材とで形成されたカム面と、前記スライダーに支持され、前記カム面に当接するカム部材と、前記カム部材が前記カム面に対して当接する方向へ当該カム部材を付勢する第3付勢部材と、をさらに含んで構成され、前記押圧部材の押圧により、前記カム面及び前記カム部材を介して、前記スライダーをシート前後方向の前方側へ移動させ、前記第1ロック状態を解除させる。
【0149】
(構成9)
前記ベース部材の回動を規制する第2ロック状態が解除されると、前記第4軸部を中心に当該ベース部材を回動可能とする回動機構は、前記スライダーに設けられ、シート前後方向に沿って形成された第1被係合部と前記第1被係合部におけるシート前後方向の後端部においてシート幅方向に沿って形成された第2被係合部と連続して形成されたガイド部と、前記ベース部材に形成され、前記第2被係合部と同じ形状を成し当該第2被係合部に対して平面視でオーバラップ可能な第3被係合部と、前記ガイド部及び前記第3被係合部に対して係合可能な係合部と、を含んで構成され、前記押圧部材の押圧により、前記第3被係合部に対して前記第2被係合部を平面視でオーバラップさせ、前記第2ロック状態を解除させる。
【0150】
(構成10)
車両用シートにおいて、請求項1~請求項9の何れか1項に記載のアームレストを備えている。
【0151】
その他、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0152】
10 車両用シート
18 アームレスト
24 チルト機構
26 回動機構
28 チルト部材
28A 前壁部(チルト部材の前端)
28B 後壁部(チルト部材の後端)
30 水平部材
32 台座
34 ベース部材
38 軸部(第1軸部、チルト機構)
42 軸部(第3軸部、チルト機構)
56 操作ボタン(押圧部材、操作部材)
72 カム面(チルト機構)
74 スライダーピン(カム部材、チルト機構)
76 ピン(カム部材、チルト機構)
76A ピン(カム部材、チルト機構)
76B ピン(カム部材、チルト機構)
82 環状リブ(第4軸部)
84 長孔部(第3被係合部、回動機構)
96 フラップ部材(チルト機構)
96A 自由端部(フラップ部材の自由端部)
100 リンク部材(チルト機構)
100A 一端部(リンク部材の長手方向の一端部)
100B 他端部(リンク部材の長手方向の他端部)
102 軸部(第2軸部)
102A 軸部
106 フラップスプリング(第1付勢部材、チルト機構)
112 ガイドピン(係合部、回動機構)
118 スライダー(チルト機構)
122 カム面(チルト機構)
126 リターンスプリング(第2付勢部材、第3付勢部材、チルト機構)
132 ガイド孔(ガイド部)
134 ガイド部(第1被係合部、回動機構)
136 ガイド部(第2被係合部、回動機構)
P 着座乗員
P 初期状態
Q チルト状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20