(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059019
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 43/02 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
B65D43/02 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166489
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】馬場 奈三江
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA24
3E084AB10
3E084CA01
3E084CB04
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA02
3E084FC04
3E084FC07
3E084FC09
3E084GA06
3E084GA08
3E084GB06
3E084GB17
3E084HB02
3E084HC03
3E084HD01
3E084HD04
3E084JA09
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】蓋の閉の感触がより確実に得られると共に、密閉性が良好なヒンジキャップを提供する。
【解決手段】ボトル1の開口部1Aに取り付けられるヒンジキャップである。開口部1Aの外径面に取り付けられる筒状部5と、天板部3及び筒状部5にヒンジ6を介して接続するスカート部4を備える蓋部2と、を有す。筒状部5に設けられ、開口部1Aの外径面1Abに当接するアウターリング8と、アウターリング8の外径面に形成された被嵌合部8bと、天板部3から突出して開口部の内径面に当接するインナーリング9と、スカート部4に設けられて被嵌合部8bに嵌合する2つの嵌合部10と、を有す。蓋部を規定する円の中心Pを通過する第1直線L1と第2直線L2を仮想する。第2直線L2よりもヒンジ6から離れた領域を第1直線L1で区切った左右の領域にそれぞれ嵌合部10が1つだけ配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に向けて延在する筒状の開口部を有するボトルの、当該開口部に取り付けられて、上記開口部よりも硬質の樹脂からなるヒンジキャップであって、
上記開口部の外径面に対向して、当該開口部の外径面に取り付けられる筒状部と、
上記開口部を閉塞した閉じ位置で内面が上記開口部の上端面と対向する天板部と、上記天板部の外周に連続して上記開口部の外径面側に位置すると共に上記筒状部にヒンジを介して接続する筒状のスカート部と、を備える蓋部と、
を有し、
更に、
上記筒状部に設けられて上記開口部の外径面の周方向に沿って延在し、内径面が上記開口部の外径面に当接する環状のアウターリングと、
上記アウターリングの外径面に形成され、その外径面の周方向に沿って延在する環状の溝部からなる被嵌合部と、
上記閉じ位置で、上記天板部の内面から上記開口部内に延在し、外径面が上記開口部の内径面に当接する環状のインナーリングと、
上記スカート部に設けられて上記被嵌合部に嵌合する2つの嵌合部と、
を有し、
平面視において、上記筒状のスカート部を規定する円の中心と上記ヒンジの幅方向中心を通過する仮想の直線を第1直線とし、上記中心を通過し上記第1直線と直交する仮想の直線を第2直線とし、
平面視において、上記第2直線よりも上記ヒンジから離れた領域である離隔領域を上記第1直線で区切った左右の領域にそれぞれ上記嵌合部が1つだけ配置され、各嵌合部は、上記第1直線と重ならない位置に配置されている、
ことを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
上記各嵌合部は、平面視において、上記第1直線に近い近位端と上記円の中心とを結ぶ直線と、上記第1直線とが成す角度を30度以上60度以下とした、
ことを特徴とする請求項1に記載したヒンジキャップ。
【請求項3】
上記各嵌合部は、平面視において、上記第1直線から離れた遠位端と上記円の中心とを結ぶ直線と、上記第2直線とが成す角度を30度以上60度以下とした、
ことを特徴とする請求項1に記載したヒンジキャップ。
【請求項4】
上記各嵌合部は、平面視において、上記円の中心を中心として、上記第1直線と成す角度が30度以上60度以下の範囲内に位置する、
ことを特徴とする請求項1に記載したヒンジキャップ。
【請求項5】
上記各嵌合部は、平面視において、上記第1直線に近い近位端と上記円の中心とを結ぶ直線と、上記第1直線から離れた遠位端と上記円の中心とを結ぶ直線とが成す角度が、5度以上45度以下である、
請求項1に記載したヒンジキャップ。
【請求項6】
上記閉じ位置で、上記インナーリングの一部と上記アウターリングの一部とが、上記開口部を挟んで径方向で対向する、
ことを特徴とする請求項1に記載したヒンジキャップ。
【請求項7】
上記天板部の内面に、上記閉じ位置において、上記開口部の上端面に沿って延在し、当該上端面に当接する環状の凸部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載したヒンジキャップ。
【請求項8】
材質がPPまたはHDPEである、請求項1に記載したヒンジキャップ。
【請求項9】
請求項1~請求項8のいずれか1項に記載のヒンジキャップと、開口部に向けて延在する筒状の開口部を有する上記ボトルとからなる、容器構造であって、
上記開口部は、上記インナーリングと当接可能な内径面の部分が、円筒面となっている、
ことを特徴とする容器構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロー成形で形成されたボトルなどの軟質のボトルの筒状の開口部に取り付けられる硬質のヒンジキャップ及びそのキャップを備えた容器構造に関する技術である。本発明は、例えば、食品やトイレタリー等の分野で内容物を保持するための容器に取り付けられて使用される、ヒンジキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、軟質のブローボトルの開口部に取り付けるヒンジキャップが開示されている。
特許文献1に記載の容器構造は、容器本体とキャップとからなる。容器本体は、下方に胴部、上方に開口部、胴部上端から開口部にかけてキャップ嵌合部を有する。キャップ嵌合部は、外周下方に凸状の係止リングを有する。キャップは、キャップ嵌合部を覆うキャップ筒状部と、キャップ筒状部上端から内側に張り出した天板と、天板内側でキャップ嵌合部に平行なインナーリングと、を有する。また、キャップ筒状部の下方内面全周に凹部で形成され、係止リングと係止可能な係止嵌合部を有する。また、係止嵌合部上方において、キャップ筒状部内面とインナーリング外面とが、それぞれ、少なくとも1箇所ずつ、全周状に当接可能な当接嵌合部を有する。特許文献1には、このような構成によって、容器の開口部にパッキンを使用しなくても、防湿性の高い密封容器を得ることが開示されている。
【0003】
特許文献1に記載のヒンジキャップのように、現在、市場で多く採用されているヒンジキャップでは、キャップの天板(蓋部)から下垂したインナーリングによって、容器を密閉しようとしているケースが多い。ここで言うインナーリングとは、容器の開口部内径面に接触することで、密閉機能を実現する構造を指す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、ガム収納容器のような軟質の容器の開口部の内径面とインナーリングとを接触させる場合、密閉性を向上させるために、キャップの材質としてLDPEなど比較的柔らかい樹脂を使用することが望ましい。しかしながら、柔らかい樹脂で形成されたキャップは、蓋を閉めた時の感触(クリック音)等が弱く、蓋が閉まったかどうかの認識がユーザーに分かり難い、という課題があった。
蓋を確実に閉めたという感触を優先したい場合には、キャップの材質としてPPなどの比較的固い樹脂を選定する必要がある。しかし、硬い樹脂は柔らかい樹脂と比べて弾力性に劣る。このため、蓋を閉めた際に、蓋が開口部から外側に押し戻されて容器の開口部との間に隙間が生じやすくなり、容器の密閉性が悪くなるという別の課題が生じる。
【0006】
本発明は、上記のような点に着目してもので、キャップの材質としてPPなどの比較的固い樹脂を選定しても、蓋を閉めた時の感触がより確実に得られると共に、容器の密閉性が良好なヒンジキャップを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
課題解決のために、本発明の一態様は、開口部に向けて延在する筒状の開口部を有するボトルの、当該開口部に取り付けられて、上記開口部よりも硬質の樹脂からなるヒンジキャップであって、上記開口部の外径面に対向して、当該開口部の外径面に取り付けられる筒状部と、上記開口部を閉塞した閉じ位置で内面が上記開口部と対向する天板部と、上記天板部の外周に連続して上記開口部の外径面側に位置すると共に上記筒状部にヒンジを介して接続する筒状のスカート部と、を備える蓋部と、を有し、更に、上記筒状部に設けられて上記開口部外径面の周方向に沿って延在し、内径面が上記開口部外径面に当接する環状のアウターリングと、上記アウターリングの外径面に形成され、その外径面の周方向に沿って延在する環状の溝部からなる被嵌合部と、上記閉じ位置で、上記天板部の内面から上記開口部内に延在し、外径面が上記開口部の内径面に当接する環状のインナーリングと、上記スカート部に設けられて上記被嵌合部に嵌合する2つの嵌合部と、を有し、平面視において、上記筒状のスカート部を規定する円の中心と上記ヒンジの幅方向中心を通過する仮想の直線を第1直線とし、上記中心を通過し上記第1直線と直交する仮想の直線を第2直線とし、平面視において、上記第2直線よりも上記ヒンジから離れた領域である離隔領域を上記第1直線で区切った左右の領域にそれぞれ上記嵌合部が1つだけ配置され、各嵌合部は、上記第1直線と重ならない位置に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、容器よりも硬質の材料からなるキャップであっても、蓋を閉めた時の感触がより確実に得られると共に、容器の密閉性が良好であるヒンジキャップを提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明に基づく実施形態に係る閉じ位置のヒンジキャップを説明する断面図(
図2のX-X位置での断面図)である。
【
図2】ヒンジキャップを開いた状態での構成を説明する上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(構成)
本実施形態のヒンジキャップは、
図1に示すように、開口部に向けて延在する筒状の開口部を有するボトル1(容器)の、当該開口部1Aに取り付けられるキャップである。そして、そのキャップとボトル1によって、容器構造が構成される。
ボトル1は、例えば、LDPEなどの軟質の樹脂からなり、ブロー成形で形成された軟質のボトルである。本実施形態のヒンジキャップは、開口部1Aよりも硬質の樹脂から構成される。ヒンジキャップは、例えばPPやHDPEを材料として構成される。
本実施形態のヒンジキャップは、
図1に示すように、開口部1Aの外径面1Abに取り付けられる筒状部5と、筒状部5に対し、ヒンジ6を介して開閉可能に接続する蓋部2とを備える。
【0011】
<筒状部5>
筒状部5は、開口部1Aの外径面1Abに対向して当該開口部1Aと同軸に配置された状態で、当該開口部1Aの外径面1Abに取り付けられる。
本実施形態では、
図1に示すように、開口部1Aは、下部側の大径部と上部側の小径部とを有する。そして、開口部1Aの大径部の外径面1Abに、筒状部5の下部側が開口部1A係止することで、開口部1Aに対し、筒状部5が取り付けられている。これによって、
図1に示すように、筒状部5の小径部と筒状部5との間に、空間が確保されている。
【0012】
[アウターリング8]
環状のアウターリング8が、筒状部5に設けられている。アウターリング8は、小径部と対向可能な位置、つまり筒状部5の上部位置から内径方向に突出している。アウターリング8は、開口部1Aの外径面1Abの周方向に沿って延在し、内径面が上記開口部1Aの外径面1Abに当接する環状部材である。
【0013】
[被嵌合部8b]
被嵌合部8bがアウターリング8に設けられている。被嵌合部8bは、アウターリング8の外径面に形成され、その外径面の周方向に沿って延在する環状の溝部からなる。
環状の溝部は、全周(無端環状)に形状する必要はなく、嵌合部10と嵌合可能な領域、例えば、ヒンジ6から離れた領域(後述の離隔領域)にだけ形成されていれば良い。ただし、無端環状に形成する方が、溝部の形成が容易となる。
【0014】
<蓋部2>
蓋部2は、
図1に示すように、天板部3とスカート部4とを備える。
ここで、
図1に示すように、蓋部2で開口部1A上端の開口を閉じて閉塞した状態の蓋部2の位置を、閉じ位置と呼ぶ。
天板部3は、
図1に示すように、閉じ位置で、内面3aが開口部1Aの環状の上端面1Aaの全面と対向して開口部1Aに上方から対向した姿勢となる。
スカート部4は、天板部3と同軸に配置され、天板部3の外周に連続して下垂して、開口部1Aの外径面1Ab側に位置する筒状の部分となっている。スカート部4の下部が、ヒンジ6を介して筒状部5に接続する。符号11は、蓋部2を開ける際に使用される取っ手となる突起部を示す。突起部11は、ヒンジ6から一番離れた位置に形成されている。
【0015】
[インナーリング9]
インナーリング9は、天板部3に設けられている。インナーリング9は、天板部3の内面3aから突出した環状部材であって、閉じ位置で、
図1に示すように、天板部3の内面3aから開口部1A内に延在し、外径面が開口部1Aの内径面1Acに当接する。
インナーリング9と当接可能な開口部1Aの内径面1Acは、上下に直線状に延びる円筒面で形成されることが好ましい。
また、閉じ位置で、
図1に示すように、インナーリング9の一部とアウターリング8の一部とが、開口部1Aを挟んで径方向で対向するように設計することが好ましい。
【0016】
[嵌合部10]
2つの嵌合部10が、スカート部4に設けられている。
2つの嵌合部10の形成位置について説明する。
ここで、
図2に示すように、平面視において、上記筒状のスカート部4若しくは円形形状の天板部3を規定する円の中心Pを考える。その中心Pとヒンジ6の幅方向中心とを通過する仮想の直線を第1直線L1とする。また、円の中心Pを通過し第1直線L1と直交する仮想の直線を第2直線L2とする。
【0017】
そして、2つの嵌合部10は、平面視において、第2直線L2よりもヒンジ6から離れた領域(
図2における、第2直線L2よりも左側の領域)である離隔領域に配置される。更に、2つの嵌合部10は、上記の離隔領域を第1直線L1で区切ることで形成される左右の領域にそれぞれ1つずつ配置される。ただし、各嵌合部10は、第1直線L1と重ならないように配置される。
2つの嵌合部10は、平面視において、第1直線L1に対し線対称な位置に配置されることが好ましい。2つの嵌合部10が、第1直線L1に対し左右対称に形成した場合、蓋部を閉める際に、2つの嵌合部10が同じタイミングで嵌合することで、クリック感がより明確となるという効果を奏する。
【0018】
また、各嵌合部10は、平面視において、第1直線L1に近い近位端と円の中心Pとを結ぶ直線L3と第1直線L1とが成す角度θ1が、30度以上60度以下の範囲となるように設計することが好ましい。
また、各嵌合部10は、平面視において、第1直線L1から離れた遠位端と円の中心Pとを結ぶ直線L4と第2直線L2とが成す角度θ2が、30度以上60度以下の範囲となるように設計することが好ましい。
より好ましくは、各嵌合部10は、平面視において、円の中心Pを中心として、上記第1直線L1と成す角度が30度以上60度以下の範囲内に収まるように位置することが好ましい。これによって、各嵌合部10は、第1直線L1の位置(ヒンジから一番離れた位置)からも第2直線L2の位置からも30度以上離れた位置に形成される。
【0019】
ここで、「第1直線L1と成す角度が30度以上60度以下の範囲内に収まる」とは、近位端が30度以上の範囲かつ遠位端が60度以下の範囲に位置するのと同義である。
更に、各嵌合部10は、平面視において、第1直線L1に近い近位端と円の中心Pとを結ぶ第1直線L1と、第1直線L1から離れた遠位端と円の中心Pとを結ぶ直線L4とが成す角度θ3が、5度以上45度以下、より好ましくは5度以上30度以下、もしくは10度以上30度以下であることが好ましい。
【0020】
[凸部3b]
また、天板部3に凸部3bを形成しても良い。
凸部3bは、天板部3の内面3aに形成した環状に延びる凸部である。凸部3bは、閉じ位置において、開口部1Aの上端面1Aaに沿って延在し、当該上端面1Aaの全周に当接する。なお
図2では、見やすくするため、凸部3bを省略した。
凸部3bは、無くても良いが、凸部3bを設けることで、密閉性が向上する。
【0021】
(動作その他)
本実施形態では、開いた状態の蓋部2を、
図1に示すような閉じ位置に向けて蓋部2を閉じ方向に移動させることで、開口部1Aの内径面1Acにインナーリング9が当接することで容器の密閉性を確保する。開口部1Aの内径面1Acが円筒面の場合、インナーリング9と開口部1Aとの接触面積が稼ぐことが出来る。
このとき、開口部1Aが軟質な材料から構成しても、開口部1Aの外径面1Abに筒状部5に形成したアウターリング8を当接させると共に開口部1Aの内径面1Acにインナーリング9を当接させる。この結果、軟質な開口部1Aを、厚さ方向で、アウターリング8とインナーリング9とで挟み込み、より容器の密封を確保される。
このとき、上記の凸部3bを設ける場合、開口部1Aの上端に凸部3bが当接することで、より密閉性が確保される。
【0022】
また、本実施形態では、容器をブローボトル1とすると共に、蓋部2を閉じた際の感触(音)を優先して、キャップを、比較的固いPP・HDPEなどの樹脂とする。すなわち、キャップをボトル1よりも硬質の樹脂材料から構成する。
ここで、キャップを固い材料で形成した場合、容器を密閉するために、キャップを容器の開口部1Aに強く接触させたときに、開口部1Aに押し返されて蓋部2が勝手に上方に移動してしまうおそれがある。
これを回避するために、筒状部5に環状の溝部からなる被嵌合部8bを形成する共に、その被嵌合部8bに嵌合する嵌合部10を蓋部2に設けた。
【0023】
本実施形態では、ヒンジ6から離れた位置に嵌合部10を複数箇所設けることで、十分な嵌合力を確保して、閉じた蓋部2が上方に移動するのを防ぐ。
ここで、嵌合部を円周方向全周に設けた場合、嵌合力が強くなりすぎるため、閉じたキャップが硬くなりすぎる。これを回避するため、嵌合部10を、部分的に複数箇所に設けた。
なお、嵌合部を突起部11近傍にだけ設けた場合、蓋部2の左右の部分が浮き上がって、密閉性に悪影響が出る。このため、本実施形態では、第1直線L1を挟んだ左右両側に一つずつ嵌合部10を設けた。
【0024】
また、本実施形態では、第2直線L2よりもヒンジ6から離れた離隔領域にだけ2つの嵌合部10を設けた。第2直線L2よりもヒンジ6側に嵌合部を設ける場合よりも、嵌合部を小さくできるて、その分、閉じた蓋部が硬すぎることを防止する。
また、2つの嵌合部10を、第2直線L2よりもヒンジ6から離れた離隔領域に設けると共に、第2直線L2よりもヒンジ6側にも嵌合部を設ける(全部で嵌合部を4カ所設ける)と、嵌合力が強くなりすぎて、閉じた蓋部2が開けにくくなる(硬くなる)。このため、本実施形態では、第2直線L2よりもヒンジ6から離れた離隔領域にだけ2つの嵌合部10を設けた。
【0025】
また、第2直線L2よりもヒンジ6側にも嵌合部を設けた場合、つまり4カ所に嵌合部を設けた場合、蓋部を閉じる際に、そのヒンジ6側の嵌合部が嵌合してから若しくは嵌合の途中で、第2直線L2よりもヒンジ6から離れた2つの嵌合部10が嵌合する。このため、複数のクリック感が生じて、完全に蓋部2が閉じたと認識するためのクリック感がはっきりしない。
これに対し、本実施形態では、第2直線L2よりもヒンジ6から離れた2つの嵌合部10だけであるため、1回のクリック感で締まったという感覚を認識できるため、蓋部が閉じたと認識するためのクリック感が向上する。
【0026】
以上のように、各嵌合部10を、ヒンジ6側から離れた位置であって、しかも本開示の角度の範囲に位置するように設計することによって、各嵌合部10が適度に先端(突起部11)に近い位置に位置することになるため、クリック感を得やすくなると共に、各嵌合部10が適度に先端から離れていることによって蓋部を開封する際に要する力を小さく設計することが可能となる、という効果をより顕著に奏する。
クリック感を向上する観点からは、2つの嵌合部10は、第1直線L1に対し左右対称に形成する方が、2つの嵌合部10が同時期に嵌合するため好ましい。
ここで、キャップを硬質の材料とすることで、嵌合部10を嵌合させた際のクリック音や嵌合した感覚が明瞭となる。そして、クリック感は、嵌合部が嵌合する際のクリック音や嵌合したときの感覚で発生する。
【0027】
また、嵌合の際のクリック感を明瞭とする観点や蓋部を開けやすくする観点からは、各嵌合部10の長さ(周方向に沿った長さ)は短い方がよい。なお、嵌合部10の長さが長くなるほど、クリック感が不明瞭となる。このため、本実施形態では、嵌合部10の長さを、円の中心Pからの角度θ3で45度以下、好ましくは30度以下に規定した。
ただし、嵌合部10の長さが短すぎると、必要とする嵌合力が確保できないおそれがある。このため、本実施形態では、嵌合部10の長さを、円の中心Pからの角度θ3で5度以上、好ましくは10度以上とした。
【0028】
ここで、2つの嵌合部10で安定して嵌合させるためには、上述の通り、各嵌合部10は、平面視において、第1直線L1から離れた遠位端と円の中心Pとを結ぶ直線L4と第2直線L2とが成す角度θ2が、30度以上60度以下の範囲となるように設計することが好ましい。
以上のように、本実施形態のヒンジキャップを用いた場合、密閉性を確保しつつ、蓋部2が閉まったという感触(クリック音)を使用者により確実に与えることが可能となる。
【0029】
(その他)
本開示は、次の構成も取り得る。
(1)開口部に向けて延在する筒状の開口部を有するボトルの、当該開口部に取り付けられて、上記開口部よりも硬質の樹脂からなるヒンジキャップであって、
上記開口部の外径面に対向して、当該開口部の外径面に取り付けられる筒状部と、
上記開口部を閉塞した閉じ位置で内面が上記開口部の上端面と対向する天板部と、上記天板部の外周に連続して上記開口部の外径面側に位置すると共に上記筒状部にヒンジを介して接続する筒状のスカート部と、を備える蓋部と、
を有し、
更に、
上記筒状部に設けられて上記開口部の外径面の周方向に沿って延在し、内径面が上記開口部の外径面に当接する環状のアウターリングと、
上記アウターリングの外径面に形成され、その外径面の周方向に沿って延在する環状の溝部からなる被嵌合部と、
上記閉じ位置で、上記天板部の内面から上記開口部内に延在し、外径面が上記開口部の内径面に当接する環状のインナーリングと、
上記スカート部に設けられて上記被嵌合部に嵌合する2つの嵌合部と、
を有し、
平面視において、上記筒状のスカート部を規定する円の中心と上記ヒンジの幅方向中心を通過する仮想の直線を第1直線とし、上記中心を通過し上記第1直線と直交する仮想の直線を第2直線とし、
平面視において、上記第2直線よりも上記ヒンジから離れた領域である離隔領域を上記第1直線で区切った左右の領域にそれぞれ上記嵌合部が1つだけ配置され、各嵌合部は、上記第1直線と重ならない位置に配置されている。
(2)上記各嵌合部は、平面視において、上記第1直線に近い近位端と上記円の中心とを結ぶ直線と、上記第1直線とが成す角度を30度以上60度以下とした。
(3)上記各嵌合部は、平面視において、上記第1直線から離れた遠位端と上記円の中心とを結ぶ直線と、上記第2直線とが成す角度を30度以上60度以下とした。
(4)上記各嵌合部は、平面視において、上記円の中心を中心として、上記第1直線と成す角度が30度以上60度以下の範囲内に位置する。
(5)上記各嵌合部は、平面視において、上記第1直線に近い近位端と上記円の中心とを結ぶ直線と、上記第1直線から離れた遠位端と上記円の中心とを結ぶ直線とが成す角度が、5度以上45度以下である。
(6)上記閉じ位置で、上記インナーリングの一部と上記アウターリングの一部とが、上記開口部を挟んで径方向で対向する。
(7)上記天板部の内面に、上記閉じ位置において、上記開口部の上端面に沿って延在し、当該上端面に当接する環状の凸部を有する。
(8)材質がPPまたはHDPEである本開示のヒンジキャップ。
(9)本開示のヒンジキャップと、開口部に向けて延在する筒状の開口部を有する上記ボトルとからなる、容器構造であって、
上記開口部は、上記インナーリングと当接可能な内径面の部分が、円筒面となっている。
【符号の説明】
【0030】
1 ボトル
1A 開口部
2 蓋部
3 天板部
3b 凸部
4 スカート部
5 筒状部
6 ヒンジ
8 アウターリング
8b 被嵌合部
9 インナーリング
10 嵌合部
L1 第1直線
L2 第2直線
P 中心