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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059028
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】検査キット及び検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/53 20060101AFI20240422BHJP
   G01N 33/52 20060101ALI20240422BHJP
   G01N 33/543 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G01N33/53 N
G01N33/52 A
G01N33/543 521
G01N33/53 S
G01N33/53 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166504
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】521347549
【氏名又は名称】ウェルサイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100150876
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 裕一郎
(72)【発明者】
【氏名】芝崎 太
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
2G045CA25
2G045CB30
2G045DA36
2G045DA37
2G045DA80
2G045FB03
2G045FB18
2G045JA20
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、血液又は体液中のたんぱくと結合することで検出可能な抗体、抗原又は遺伝子、及び血液又は体液中の薬剤の濃度を簡易かつ迅速に測定する方法を提供することにある。
【解決手段】 呈色判定による定性分析検査キットを含み、抗体量を定量的に算出できる検査キットであって、
血液又は体液を採集する毛細管と、検査に使用する血液又は体液の量を目視で測定するためのスケールAと、検出対象が検出された判定部分の呈色を目視で判定するスケールBと、定量換算シートと
を含むことを特徴とする検査キット。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
呈色判定による定性分析検査キットを含み、抗体量を定量的に算出できる検査キットであって、
血液又は体液を採集する管と、検査に使用する血液又は体液の量を目視で測定するためのスケールAと、検出対象が検出された判定部分の呈色を目視で判定するスケールBと、定量換算シートと
を含むことを特徴とする検査キット。
【請求項2】
前記呈色判定による定性分析検査キットがイムノクロマトグラフィー法を用いた検査キットであること
を特徴とする請求項1に記載の検査キット。
【請求項3】
前記検出対象が、前記採取された血液又は体液中のタンパクと結合することで検出可能な抗体、抗原又は遺伝子、及び血液又は体液中の薬剤である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の検査キット。
【請求項4】
前記定量換算シートは、縦軸にスケールAで読み取られる血液又は体液の量の数値が記載された縦軸と、スケールBで読み取られる呈色を示す数値が記載された横軸とからなり、両者の交点に抗体量が記載されたマトリックスシートであって、
上記の交点に記載された抗体量は、検量線により求めた抗体量の算出式に、所定の縦軸の数値における横軸の数値を代入して得られた基本抗体量と、該基本抗体量との比に基づいて算出される比抗体量とであること
を特徴とする請求項1に記載の検査キット。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液や体液中の抗体量や薬剤の濃度を簡易かつ迅速に定量する方法に関する。
【0002】
例えば、ウィルスや子宮頸癌等に関しては、ワクチンの接種により抗体が産生されることにより免疫を獲得し、予防の効果が期待されるが、十分な免疫を獲得しているか又はワクチンの効果が持続しているかを知ることで、ワクチンを再度摂取するか否かの判断を簡易に行うことが期待されている。また、例えば、癌の治療として抗癌剤治療が行われるが、血中の抗癌剤濃度を知ることで、抗癌剤の投与のタイミングや投与量等の調整を行うことが期待されている。
【0003】
従来、免疫測定を行う検査キットとして、イムノクロマトグラフィー法を応用した検査キットが知られている。
【0004】
イムノクロマトグラフィー法は、セルロース膜などの多孔質の検査片上を被検体が試薬を熔解しながらゆっくりと流れる性質(採血管現象)を応用した免疫測定法であり、この性質を利用して妊娠診断、インフルエンザ等で応用されている。また、イムノクロマトグラフィー法による検査キットの一例として検体の滴下窓と検査片の状態を目視する検出窓を有する矩形状のケースに、予め標識抗体と補足抗体を固定化させた検査片を封入され、被検体中の細菌が検出されると検出部において呈色し細菌の有無を判定する検査キットが知られている(特許文献1)。
【0005】
また、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)を引き起こすウィルス(SARS-CoV-2)のヌクレオカプシドたんぱく質とスパイクたんぱく質に対して特異的に反応する血中の免疫グロブリンの一種であるIgG抗体やIgM抗体を検出する方法が確立されており、さらにワクチンによる産生された抗体であるか自然感染により産生された抗体であるかを判別することができる検査キットが知られている(特許文献2)。
さらに、安価かつ簡易的にイムノクロマトテストストリプを用いて全血中の血漿タンパクを測定する方法が知られているが、発色による定性的な測定のみが記載されている。好適には定量的に測定されることで、検体中の目的物質の測定が行われる旨の記載があるが、具体的に定量的に測定される方法は記載されていない(特許文献3)。
【0006】
しかしながら、従来の検査キットは、例えば、妊娠の有無、細菌への感染の有無、及び大腸癌への罹患の有無を判定する等、定性的に判定することはできるが、例えば、ワクチンにより免疫を獲得し、予防効果があるかを定量的に判定することはできなかった。そのためこのような定量的な判定ができる簡易なキットが期待されている。
【0007】
さらに、近年、TDM(therapeutic drug monitoring)すなわち「薬物治療モニタリング」あるいは「薬物血中濃度モニタリング」が注目されている。薬の作用は、血中濃度に依存する考え方があるが、迅速かつ簡易にモニタリングできる検査キットは知られていない。特に、抗癌剤治療における血中の抗癌剤濃度や、てんかん、多発性骨髄腫、急性白血病、髄腔内播種等に対する血中の薬物濃度を簡易かつ迅速に判定できる方法が求められている。
【0008】
従来、血液中の抗体を定量するには、病院等で血液を採血し、採取した血液を遠心分離処理して血清・血漿を得て分析を行うため、抗体量の結果が判明するまで数日必要であっる。また、血液、尿、汗及び涙等に含まれる薬物の濃度を簡易かつ迅速に定量する方法は知られていない。血液、尿、汗及び涙等に含まれる抗体量や薬物量を簡易かつ迅速に定量的に判定できるようになれば、ワクチン接種のタイミングを即時に判断でき、薬剤の効果的な投与タイミングを判断できるようになるため、血液、尿、汗及び涙等に含まれる抗体や薬物量を簡易かつ迅速に定量できる方法が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2014-23264
【特許文献2】特許第6976621号
【特許文献3】WO2014/119544
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、血液又は体液中のたんぱくと結合することで検出可能な抗体、抗原又は遺伝子、及び血液又は体液中の薬剤の濃度を簡易かつ迅速に測定することができる検査キットを提供することにある。
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、種々クロマトグラフィーにより検査を行うに際し、採集した体液とクロマトグラフィーの呈色との間に定量的な関係を見出し、かかる関係についてさらに検討を行い、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を提供する。
(構成1)呈色判定による定性分析検査キットを含み、 呈色判定による定性分析検査キットを含み、抗体量を定量的に算出できる検査キットであって、
血液又は体液を採集する管と、検査に使用する血液又は体液の量を目視で測定するためのスケールAと、検出対象が検出された判定部分の呈色を目視で判定するスケールBと、定量換算シートと
を含むことを特徴とする検査キット。
(構成2)
前記呈色判定による定性分析検査キットがイムノクロマトグラフィー法を用いた検査キットであること
を特徴とする構成1に記載の検査キット。
(構成3)
前記検出対象が、前記採取された血液又は体液中のタンパクと結合することで検出可能な抗体、抗原又は遺伝子、及び血液又は体液中の薬剤である
ことを特徴とする構成1又は2に記載の検査キット。
(構成4)
前記定量換算シートは、縦軸にスケールAで読み取られる血液又は体液の量の数値が記載された縦軸と、スケールBで読み取られる呈色を示す数値が記載された横軸とからなり、両者の交点に抗体量が記載されたマトリックスシートであって、
上記の交点に記載された抗体量は、検量線により求めた抗体量の算出式に、所定の縦軸の数値における横軸の数値を代入して得られた基本抗体量と、該基本抗体量との比に基いて算出される比抗体量とであること
を特徴とする構成1に記載の検査キット。
【0012】
呈色判定による上記定性分析検査キットは、例えば、市販されているイムノクロマトグラフィー法を用いた定性分析検査キットを用いてもよい。また、呈色判定には、蛍光、発光なども含まれる。
【0013】
血液は全血であってもよいし、血清又は血漿を用いることができる。
また、体液としては、唾液、尿、涙、又は汗等が挙げられるが、これらに限られない。
【0014】
血液又は体液を採取するに際しては採取器を用いることができる。かかる採取器は、血液であれば穿刺針等を用いることができる。穿刺針等を指先に刺すことで血液を採取することが可能である。
また、体液であれば、紙コップ、検査用チューブ、綿棒等を用いて採取してもよい。
【0015】
血液又は体液を採集する管は、空気が入りにくい透明又は半透明の管が望ましい。また、採集する部分の直径が変化しない管であることが望ましいが、後で述べる検量線が引ければ、直径が変化する管であっても使用することができる。すなわち、上記管は、その内径等は特に制限されず、採集した血液又は体液を適量使用してイムノクロマトグラフィー法を用いた定性分析キットで検出できればよい。通常は、上記管に採集した血液又は体液の全量を用いて定性分析キットで検出するので、後述するように管に採取された血液又は体液の量と分析に用いる血液又は体液の量とが同じとなる。また、管の壁面にメモリを付して採集量を読み取ることができるようにしてもよい。さらに、毛細管現象で液体等が吸引される毛細管、例えばヘマトクリット管を用いることが望ましい。また、液体等を採取できれば、スポイト等を用いることもできる。さらに、血液を採集する場合は、菅の壁面にヘパリンが付されている官を用いると血液が固まることを防ぐことができる。
【0016】
スケールAは、管に採集された血液又は体液の量を目視で簡易に測定できればよい。例えば、図2に示すような目盛を付したスケールである。図2においては、メモリの単位をcmとしている。これは検査キットに用いられる管が決まっているので、管における血液等の量を高さで示すことで採集量(分析の使用量と採集量とは同じ)が判明するためである。管の内径が当該管において一定であれば、後述するように検量線を引くことができるので、図2に示すようなメモリを付したスケールをスケールAとして用いることができる。一方、管の内径が場所によって異なる場合には内容量に応じた態様でメモリを付したスケールとなる。このように検査キットに含まれる血液又は体液を採集する管に合わせて、あらかじめ目盛を付したスケールを検査キットに組み込むことで、採集された血液又は体液の量を目視で簡易に測定することが可能である。
【0017】
スケールBは、定性分析検査キットのテストライン(Tライン)の呈色度合いを測定できるスケールである。通常、定性分析検査キットは、検出したい検出対象の有無をTラインが呈色することで判断する。Tラインが呈色すれば検出対象が血液又は体液中に存在することを示す。
しかしながら、検出対象の量が多いほど定性分析検査キットのテストラインの呈色の程度(色の濃淡)が高いことが想定される。上記スケールBは、このような検出対象の量と呈色の濃度との関係を利用して、Tラインの呈色レベルを簡易に目視で判定できる。スケールBは、例えば、図3に示すような呈色される色の濃淡をレベル毎に数値を付したスケールとすることができる。そして、実際の検査における呈色をこのスケールと見比べて検査における呈色の示す色味に相当するスケールの色を示す数値を読み取ることで使用する。
【0018】
定量換算シートは、前記定量換算シートは、縦軸にスケールAで読み取られる血液又は体液の量の数値が記載された縦軸と、スケールBで読み取られる呈色を示す数値が記載された横軸とからなり、両者の交点に抗体量が記載されたマトリックスシートであって、
上記の交点に記載された抗体量は、検量線により求めた抗体量の算出式に、所定の縦軸の数値における横軸の数値を代入して得られた基本抗体量と、該基本抗体量との比に基いて算出される比抗体量とである。
具体的には、例えば図1に示すように、縦軸にスケールAで読み取られる血液量(検査に用いた血液の管における高さ)を、横軸にスケールBで読み取られる呈色の数値を入れる。そして、スケールA及びスケールBの交点に記載されている数値を読み取ることで定量的に抗体量を判定することができる。この定量判定するための数値は、後述する検量線により求められるものである。なお、図1においては便宜上縦軸について「血液」と記載しているが、体液であっても同様に適用可能である。
スケールA及びスケールBによって測定された指標を、図1に示す定量換算シートを用いて簡易に定量判定することが可能である。定性分析検査キットに滴下された血液又は体液の絶対量が多ければTラインの呈色のレベルは高くなり、滴下された血液又は体液の絶対量が少なければTラインの呈色のレベルは低くなる。すなわち、単位体積当たりの検出対象濃度を算出するには、あらかじめ滴下する血液又は体液の量をスケールAで測定しておき、Tラインの呈色レベルをスケールBで判定し、定量換算シートのスケールAとスケールBの交差した部分を読み取ることで、検出対象の血中又は体液中の濃度を知ることができる。
また、定量換算シートは、検出対象を一般的な定量分析を行い、検量線を作成して数値を算出することで作成される。
さらに、スケールA、スケールB及び定量換算シートが別々のシートでもよいし、一つのシートにまとまっていてもよい。
【0019】
検出対象は、採取された血液又は体液中のタンパクと結合することで検出可能な抗体、抗原、遺伝子又はタンパク、及び血液又は体液中の薬剤である。薬剤としては、例えば、抗癌剤、抗てんかん薬、酵素(遺伝病で欠損している酵素量)、及びビタミン等が挙げられる。
【0020】
本発明の検査キットは、血液又は体液を採集する管と、採取された血液又は体液の量を目視で測定するためのスケールAと、検出対象が検出された判定部分の呈色を目視で判定するスケールBと、定量換算シートを含む。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡易かつ迅速に血液又は体液中のたんぱくと結合することで検出可能な抗体、抗原又は遺伝子、及び血液又は体液中の薬剤の濃度を定量判定することができる。簡易かつ迅速に定量判定することができることで、ワクチン接種のタイミングを迅速に判断できるとともに、抗癌剤等の治療薬剤を投与するタイミングを迅速に判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の換算表の例を示す図である。
図2】本発明のスケールAの例を示す図である。
図3】本発明のスケールBの例を示す図である。
図4】本発明の換算表を作成するための、血清を使用して作成した検量線の例を示す図である。
図5】本発明の換算表を作成するための、検量線の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の検査キット及び検査方法の実施形態および実施例について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態および実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
【0024】
(検量線の作成)
本発明においては、上記定量換算シートを作成するための検量線を求める。
まず、あらかじめ抗体量(いわゆる新型コロナウイルス「COVID-19原因ウイルスSARS-CoV-2」に対する抗体)が分かっている血清を希釈し、様々な濃度の抗体量の試験体を準備した。各試験体をスケールAで2cmの量を測りとり、定性分析検査キット(Welsign製COVID19Ab)の展開膜に染み込ませた。その後、展開膜に展開液を適量滴下し、そのまま15分程度(血液中の抗体と展開膜に備えられた標識物質とが十分に反応するまで)放置した。Cライン(確認ライン)が呈色していることを確認し、Tラインの呈色の程度をスケールBにて目視で判定を行った。目視判定は3回~4回行い、平均を算出した。その結果を表1に示す。その後、試験体の濃度とスケールBから読み取った呈色の程度の平均を用いて、回帰分析し、検量線を作成した。その結果を図4に示す。そして、この検量線から、スケールBから読み取った呈色度合いにおける抗体量(濃度)を算出する算出式(1)を求めた。かかる算出式はイムノクロマトグラフィー法を用いた定性分析検査キットを用いて呈色を確認する場合には好適に用いることができるものであるが、これ以外のクロマトグラフィー法を用いる場合を排除するものではない。
y=53.594e0.8073x ・・・式(1)
(式中、xは呈色度合い、yは試験体中の抗体量を示す。)
【0025】
【表1】
【0026】
(定量換算シートの作成)
スケールAが2cmのときのスケールBの各呈色度合いにおける抗体量(基本抗体量)を式(1)から求め、それぞれ表に記載した。更に、スケールAが0.5cm~4cmの際の各呈色度合いにおける抗体量(比抗体量)については、2cmの抗体量とは体積として反比例関係にあるため、例えば、4cmの欄には2cmの抗体量の1/2倍、1cmの欄には2cmの抗体量の2倍の値を記載し、0.5cm~4cmまでの表を埋め、定量換算シートを完成させた。
【0027】
〔定量換算シートを含む本発明の検査キットの製造法〕
本発明の検査キットは、以下の各工程を経て得ることができる。
血液又は体液の採集に使用する管の長さに応じて長さの判定ができる目盛りを付してスケールを作成するスケールA作成工程、
定性分析検査キットの呈色度合いに対応して1~10±3の範囲内で目盛りを付してスケールBを作成するスケールB作成工程、
あらかじめ抗体濃度のわかっている試験体を上記管により採取してスケールAの目盛りを読み取った後、定性分析検査キットを用いて分析を行い、スケールBの目盛りを読み取り、これらの読み取った値を用いて検量線を作成する検量線作成工程、
得られた検量線から呈色度合いを代入して抗体量を算出する算出式を求める式算出工程、
及び
得られた算出式からスケールAの任意の目盛りの値におけるスケールBの各呈色度合いにおける抗体量を算出し、更に得られた抗体量から他のスケールAの目盛りの値における抗体量も計算して、定量換算シートを得る定量換算シート作成工程。
〔本発明の検査キットの使用法〕
本発明の検査キットは、以下のようにして使用することができる。
血液や体液を採取し、所定の管に採集する。採集した血液や体液の量をスケールAにより測定し、所定の定性分析検査キットを用いて、イムノクロマトグラフィー法等によりクロマト分析などを行いTラインの呈色を目視して、スケールBにより呈色度合いの目盛りの値を読み取る。そして、定量換算シートにより、スケールAの値とスケールBの値との交点の抗体量を読み取る。これにより抗体量を定量的に知ることができる。
〔作用効果〕
本発明の検査キットを用いることにより、通常の定性分析検査キットを用いて定量的な抗体量を知ることができるので、単に陰性陽性の判定のみならず、抗体量についても確認できる。抗体量を迅速且つ簡便に判定することができるので、ワクチン接種のタイミングを迅速に判断できるとともに、抗癌剤等の治療薬剤を投与するタイミングを迅速に判断することができる。
【0028】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されるものではない。
(実施例1~4)
(血液の採集)
穿刺針(例えば、ニプロ製ニプロLSランセット28G 1.0mm 11-166)にて指先より採血する血液を指先より出す。指の付け根から指先に向かって指をもむようにすると血液が出やすくなる。十分な血液が出たところで、血液を管(例えば、アズワン社製2-454-21ヘマトクリット毛細管ヘパリン処理)にて採集する。
(血液量の測定)
次に、管に採集された血液量を確認するため、スケールAを用いて採集量の高さ(cm)を目視で測定する。
(検出対象量の判定)
採集された血液を、イムノクロマトグラフィー法による定性分析検査キット(Welsign製COVID19Ab)の展開膜に染み込ませる。その後、展開膜に展開液を適量滴下する。15分程度(血液中の抗体と展開膜に備えられた標識物質とが十分に反応するまで)放置する。
Cラインが呈色していることを確認し、Tラインの呈色の程度をスケールBにて判定する。
(定量換算シートによる定量判定)
あらかじめ作成した検量線を用いて作成した図1に示す定量換算シートを用いて、スケールAで読み取った血液の量とスケールBで読み取った呈色判定の交差部分の数値を読み取ることで、抗体量の定量を行った。その結果を表2に示す。さらに、検証用定量分析結果と定量換算シートから読み取った抗体量のグラフを図5に示す。
【0029】
(実施例5)
(尿の採集)
紙コップに尿を採集する。採集した尿を管(例えば、アズワン社製2-454-21ヘマトクリット毛細管ヘパリン処理)に採集する。
(採集した尿量の測定)
次に、管に採集された尿量を確認するため、スケールAを用いて採集量の高さ(cm)を目視で測定する。
(検出対象量の判定)
採集された尿を、イムノクロマトグラフィー法による定性分析検査キット(Welsign製COVID19Ab)の展開膜に染み込ませる。その後、展開膜に展開液を適量滴下する。15分程度(尿中の薬剤量と展開膜に備えられた標識物質とが十分に反応するまで)放置する。
Cラインが呈色していることを確認し、Tラインの呈色の程度をスケールBにて判定する。
(定量換算シートによる定量判定)
あらかじめ作成した検量線を用いて作成した図1に示す定量換算シートを用いて、スケールAで読み取った血液の量とスケールBで読み取った呈色判定の交差部分の数値を読み取ることで、抗体量の定量を行った。その結果を表2に示す。さらに、検証用定量分析結果と定量換算シートから読み取った抗体量のグラフを図5に示す。
【0030】
【表2】
図1
図2
図3
図4
図5