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特開2024-5903不動産シミュレーション装置、不動産シミュレーション方法、及び不動産シミュレーションプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005903
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】不動産シミュレーション装置、不動産シミュレーション方法、及び不動産シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/163 20240101AFI20240110BHJP
【FI】
G06Q50/16 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106351
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】398040527
【氏名又は名称】株式会社オービック
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】空閑 寛之
(72)【発明者】
【氏名】川口 浩司
(72)【発明者】
【氏名】上野 剛光
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC27
(57)【要約】
【課題】新規の契約データのシミュレーションデータ作成を簡単かつ高精度に行うことが可能な不動産シミュレーション装置、不動産シミュレーション方法、及び不動産シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本実施の形態に係る不動産シミュレーション装置は、対象の契約データの物件、区画をキーとして、区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成手段を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部を備えた不動産シミュレーション装置であって、
前記制御部は、
契約番号、取引先、物件、区画、契約開始日、契約終了日、月額賃料、賃料発生日、解約日を含む契約データと、
物件、フロア、区画、面積、用途を関連付けて登録した区画マスタと、
物件、エリア、面積規模、用途、解約から契約締結されるまでの月数、契約締結から引渡しされるまでの月数、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数と、を関連づけて登録した契約ルールマスタと、
物件、フロア、用途、区画、エリア、面積規模、月額賃料坪単価を関連づけて登録した想定賃料マスタと、
にアクセス可能に構成されており、
対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、前記契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成手段と、
を備えたことを特徴とする不動産シミュレーション装置。
【請求項2】
前記予測データ作成手段は、作成した新規の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成する請求項1に記載の不動産シミュレーション装置。
【請求項3】
前記予測データ作成手段は、前記新規の契約データについて、
月額賃料は、取得した面積×前記想定賃料マスタの月額坪単価で算出し、
契約開始日は、解約日+前記契約ルールマスタの解約から契約締結されるまでの月数で算出し、
賃料発生日は、契約開始日+前記契約ルールマスタの契約締結から引渡しされるまでの月数+引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数で算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の不動産シミュレーション装置。
【請求項4】
前記予測データ作成手段は、対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである更新の契約データを作成することを特徴とする請求項1に記載の不動産シミュレーション装置。
【請求項5】
前記予測データ作成手段は、作成した更新の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成する請求項4に記載の不動産シミュレーション装置。
【請求項6】
前記予測データ作成手段は、前記更新の契約データについて、月額賃料は、取得した面積×前記想定賃料マスタの月額坪単価で算出することを特徴とする請求項4又は5に記載の不動産シミュレーション装置。
【請求項7】
制御部を備えた情報処理装置が実行する不動産シミュレーション方法であって、
前記制御部は、
契約番号、取引先、物件、区画、契約開始日、契約終了日、月額賃料、賃料発生日、解約日を含む契約データと、
物件、フロア、区画、面積、用途を関連付けて登録した区画マスタと、
物件、エリア、面積規模、用途、解約から契約締結されるまでの月数、契約締結から引渡しされるまでの月数、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数と、を関連づけて登録した契約ルールマスタと、
物件、フロア、用途、区画、エリア、面積規模、月額賃料坪単価を関連づけて登録した想定賃料マスタと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において実行される、
対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、前記契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成工程と、
を含むことを特徴とする不動産シミュレーション方法。
【請求項8】
制御部を備えた情報処理装置に実行させるための不動産シミュレーションプログラムであって、
前記制御部は、
契約番号、取引先、物件、区画、契約開始日、契約終了日、月額賃料、賃料発生日、解約日を含む契約データと、
物件、フロア、区画、面積、用途を関連付けて登録した区画マスタと、
物件、エリア、面積規模、用途、解約から契約締結されるまでの月数、契約締結から引渡しされるまでの月数、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数と、を関連づけて登録した契約ルールマスタと、
物件、フロア、用途、区画、エリア、面積規模、月額賃料坪単価を関連づけて登録した想定賃料マスタと、
にアクセス可能に構成されており、
前記制御部において、
対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、前記契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成工程と、
を実行させるための不動産シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不動産シミュレーション装置、不動産シミュレーション方法、及び不動産シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、不動産会社では、賃貸物件の賃料の収支をシミュレーションする場合がある。従来、賃貸物件のシミュレーションを行うシステムとして、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-173957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、新規の契約データのシミュレーションデータ作成を簡単かつ高精度に行うことに関して何ら記載されていない。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、新規の契約データのシミュレーションデータ作成を簡単かつ高精度に行うことが可能な不動産シミュレーション装置、不動産シミュレーション方法、及び不動産シミュレーションプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、制御部を備えた不動産シミュレーション装置であって、前記制御部は、契約番号、取引先、物件、区画、契約開始日、契約終了日、月額賃料、賃料発生日、解約日を含む契約データと、物件、フロア、区画、面積、用途を関連付けて登録した区画マスタと、物件、エリア、面積規模、用途、解約から契約締結されるまでの月数、契約締結から引渡しされるまでの月数、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数とを関連づけて登録した契約ルールマスタと、物件、フロア、用途、区画、エリア、面積規模、月額賃料坪単価を関連づけて登録した想定賃料マスタと、にアクセス可能に構成されており、対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、前記契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、前記予測データ作成手段は、作成した新規の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成することにしてもよい。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、前記予測データ作成手段は、前記新規の契約データについて、月額賃料は、取得した面積×前記想定賃料マスタの月額坪単価で算出し、契約開始日は、解約日+前記契約ルールマスタの解約から契約締結されるまでの月数で算出し、
賃料発生日は、契約開始日+前記契約ルールマスタの契約締結から引渡しされるまでの月数+引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数で算出することにしてもよい。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、前記予測データ作成手段は、対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである更新の契約データを作成することにしてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様によれば、前記予測データ作成手段は、作成した更新の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成することにしてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様によれば、前記予測データ作成手段は、前記更新の契約データについて、月額賃料は、取得した面積×前記想定賃料マスタの月額坪単価で算出することにしてもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置が実行する不動産シミュレーション方法であって、前記制御部は、契約番号、取引先、物件、区画、契約開始日、契約終了日、月額賃料、賃料発生日、解約日を含む契約データと、物件、フロア、区画、面積、用途を関連付けて登録した区画マスタと、物件、エリア、面積規模、用途、解約から契約締結されるまでの月数、契約締結から引渡しされるまでの月数、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数とを関連づけて登録した契約ルールマスタと、物件、フロア、用途、区画、エリア、面積規模、月額賃料坪単価を関連づけて登録した想定賃料マスタと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において実行される、対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、前記契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、制御部を備えた情報処理装置に実行させるための不動産シミュレーションプログラムであって、前記制御部は、契約番号、取引先、物件、区画、契約開始日、契約終了日、月額賃料、賃料発生日、解約日を含む契約データと、物件、フロア、区画、面積、用途を関連付けて登録した区画マスタと、物件、エリア、面積規模、用途、解約から契約締結されるまでの月数、契約締結から引渡しされるまでの月数、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数とを関連づけて登録した契約ルールマスタと、物件、フロア、用途、区画、エリア、面積規模、月額賃料坪単価を関連づけて登録した想定賃料マスタと、にアクセス可能に構成されており、前記制御部において、対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、前記契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成工程と、を実行させるための不動産シミュレーションプログラムであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、新規の契約データのシミュレーションデータを自動生成することで、新規の契約データのシミュレーションデータ作成を簡単かつ高精度に行うことが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、累積請求、単月請求、単月複数請求の3パターンの引落方法の例を説明するための図である。
図2図2は、取引先マスタの構成例を示す図である。
図3図3は、物件マスタの構成例を示す図である。
図4図4は、フロアマスタの構成例を示す図である。
図5図5は、区画マスタの構成例を示す図である。
図6図6は、賃貸契約マスタの構成例を示す図である。
図7図7は、契約ルールマスタの構成例を示す図である。
図8図8は、想定賃料マスタの構成例を示す図である。
図9図9は、請求データの構成例を示す図である。
図10図10は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。
図11図11は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図12図12は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図13図13は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図14図14は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図15図15は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図16図16は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図17図17は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図18図18は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図19図19は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
図20図20は、本実施の形態における情報処理装置の制御部の処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は本実施の形態により限定されるものではない。
【0017】
[1.概要]
例えば、大手不動産では、賃貸物件の収支シミュレーション作成を行う場合があるが、会社としてルールが定まっておらず各担当者の経験、感覚でシミュレーションを行っていることが多く、会社として統一的なシミュレーションデータの作成ができていなかった。また、実績の契約データを参照した上でシミュレーションを行うには手間も多く、シミュレーション結果と実績のブレが大きくなることもあった。その結果、自社としての予測だけではなく、AM会社としてオーナーに報告する予測収支の数字も実態と乖離することが多い状態であった。
【0018】
本実施の形態では、各担当者の経験則のようなものがあるが、会社としてのルールや市場の評価をマスタ化し、契約の異動予測を立てることができれば、より精緻で短期間にシミュレーションを行うことができる点に着目した。
【0019】
より具体的には、本実施の形態では、実績に基づく契約データをベースに、例えば、規模・用途別の契約の社内ルールを規定した契約ルールマスタや市場評価を反映させた想定賃料マスタを参照して、新規の契約データのシミュレーションデータを自動生成することで、新規の契約データのシミュレーションデータ作成を簡単かつ高精度に行う。
【0020】
本実施の形態の不動産シミュレーション装置は、不動産管理業(自社物件を保有している会社やPM会社等を含む)等に広く適用可能である。
【0021】
[2.構成]
図1は、本実施の形態に係る不動産シミュレーション装置100の構成の一例を示すブロック図である。図1において、不動産シミュレーション装置100は、制御部102と通信インターフェース部104と記憶部106と入出力インターフェース部108と、を備えている。不動産シミュレーション装置100が備えている各部は、任意の通信路を介して通信可能に接続されている。
【0022】
通信インターフェース部104は、ルータ等の通信装置および専用線等の有線または無線の通信回線を介して、不動産シミュレーション装置100をネットワーク300に通信可能に接続する。通信インターフェース部104は、他の装置と通信回線を介してデータを通信する機能を有する。ここで、ネットワーク300は、不動産シミュレーション装置100とサーバ200や銀行システム400とを相互に通信可能に接続する機能を有し、例えばインターネットやLAN(Local Area Network)等である。
【0023】
入出力インターフェース部108には、入力装置112および出力装置114が接続されている。出力装置114には、モニタ(家庭用テレビを含む)の他、スピーカやプリンタを用いることができる。入力装置112には、キーボード、マウス、および、マイクの他、マウスと協働してポインティングデバイス機能を実現するモニタを用いることができる。なお、以下では、出力装置114をモニタ114として記載する場合がある。
【0024】
記憶部106には、各種のデータベース、テーブル、および、ファイルなどが格納される。記憶部106には、OS(Operating System)と協働してCPU(Central Processing Unit)に命令を与えて各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録される。記憶部106として、例えば、RAM(Random Access Memory)・ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスクのような固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等を用いることができる。
【0025】
記憶部106は、取引先マスタ106aと、物件マスタ106bと、フロアマスタ106cと、区画マスタ106dと、賃貸契約マスタ106eと、契約ルールマスタ106fと、想定賃料マスタ106gと、データテーブル106hと、を備えている。図2は、取引先マスタ106aの構成例を示す図である。図3は、物件マスタ106bの構成例を示す図である。図4は、フロアマスタ106cの構成例を示す図である。図5は、区画マスタ106dの構成例を示す図である。図6は、賃貸契約マスタ106eの構成例を示す図である。図7は、契約ルールマスタ106fの構成例を示す図である。図8は、想定賃料マスタ106gの構成例を示す図である。図9は、データテーブル106hの請求データの構成例を示す図である。以下の説明では、金額の単位を全て「円」としその表記を省略する場合がある。
【0026】
取引先マスタ106aは、取引先(テナントや業者等)の情報を保持するためのマスタである。取引先マスタ106aは、例えば、図2に示すように、取引先CD、取引先名を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。同図に示す例では、1行目は、取引先CD「10000001」、取引先名「テナントA」となっている。
【0027】
物件マスタ106bは、物件の情報を保持するためのマスタである。物件マスタ106bは、例えば、図3に示すように、物件CD、物件名を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。同図に示す例では、1行目は、物件CD「00000001」、物件名「京橋ビル」となっている。
【0028】
フロアマスタ106cは、フロアの情報を保持するためのマスタである。フロアマスタ106cは、例えば、図4に示すように、物件CD、物件名、フロアCD、フロア名を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。同図に示す例では、1行目は、物件CD「00000001」、物件名「京橋ビル」、フロアCD「A」、フロア名「1階」となっている。
【0029】
区画マスタ106dは、区画の情報を保持するためのマスタである。区画マスタ106dは、例えば、図5に示すように、物件CD、物件名、フロアCD、区画CD、区画名、面積、用途を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。同図に示す例では、1行目は、物件CD「00000001」、物件名「京橋ビル」、フロアCD「A」、区画CD「1F-1」、区画名「1階-1」、面積「100坪」、用途「オフィス」となっている。
【0030】
賃貸契約マスタ106eは、テナントとの契約データを保持するためのマスタである。
賃貸契約マスタ106eに基づいて、請求データが作成される。賃貸契約マスタ106eは、契約の更新や解約がされると、契約履歴NOが増えてデータが保持される。賃貸契約マスタ106eは、例えば、図6に示すように、契約番号、取引先CD、取引先名、物件CD、物件名、区画CD、区画名、契約履歴NO、契約開始日、契約終了日、請求項目、月額、賃料発生日、解約日を含む契約データを登録したテーブル等で構成することができる。
【0031】
同図に示す例では、1行目は、契約番号「A0000001」、取引先CD「10000001」、取引先名「テナントA」、物件CD「00000001」、物件名「京橋ビル」、区画CD「1F-1」、区画名「1階-1」、契約履歴NO「1」、契約開始日「2021/6/1」、契約終了日「2022/5/31」、請求項目「賃料」、月額「50,000」、賃料発生日「2021/6/1」となっている。
【0032】
契約ルールマスタ106fは、規模別・用途別等の契約の社内ルールを規定したマスタである。契約ルールマスタ106fは、図7に示すように、物件CD、エリア、面積規模、用途、解約-契約、契約-引渡、引渡-賃発を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。
【0033】
「エリア」は、その物件の所属する地域などを管理するエリアであり、例えば、関東エリア、関西エリア、九州エリア、中部エリア、東北エリアなどに分類される。「面積規模」は、物件の規模を図る指標として管理するためのものであり、建物の延床面積にて、例えば、大、中、小などに分類される。「用途」は、その物件の主用途を管理するためのものであり、例えば、オフィス、商業、ホテル、複合施設などに分類される。「解約-契約」は、解約から契約締結されるまでの月数である。「契約-引渡」は、契約締結から引渡しされるまでの月数である。「引渡-賃発」は、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数である。
【0034】
同図に示す例では、1行目は、物件CD「00000001」、エリア「関東エリア」、面積規模「中」、用途「オフィス」、解約-契約「2.0」、契約-引渡「1.0」、引渡-賃発「1.0」となっている。
【0035】
想定賃料マスタ106gは、市場評価を反映させた賃料を規定したマスタである。想定賃料マスタ106gは、例えば、図8に示すように、物件CD、フロアCD、用途、区画CD、エリア、面積規模、月額1項目、月額1坪単価、月額1発生日、月額2項目、月額2坪単価、月額2発生日を関連付けて登録したテーブル等で構成することができる。想定賃料マスタ106gは、市場評価が変更される毎に最新の情報に更新する。
【0036】
同図に示す例では、1行目は、物件「CD00000001」、フロアCD「A」、用途「オフィス」、区画CD「1F-1」、エリア「関東エリア」、面積規模「中」、月額1項目「賃料」、月額1坪単価「170」、月額1 発生日「0:賃料発生日」、月額2項目「共益費」、月額2坪単価「30」、月額2発生日「0:賃料発生日」となっている。
【0037】
データテーブル106hは、請求データ等の各種データを格納するためのファイルである。請求データは、契約データに基づいて作成される。請求データは、図9(A)に示すように、契約番号、契約履歴NO、取引先CD、物件CD、該当月、請求項目、金額を含んでいてもよい。同図に示す例では、1行目は、契約番号「A0000001」、契約履歴NO「1」、取引先CD「10000001」、物件CD「00000001」、該当月「2021/6」、請求項目「賃料」、金額「50,000」となっている。図9(B)は、請求データの月単位の収支(収入)を示す図である。請求データの月単位の収支は、不図示の収支確認画面で確認可能となっている。
【0038】
図1に戻り、制御部102は、不動産シミュレーション装置100を統括的に制御するCPU等である。制御部102は、OS等の制御プログラム・各種の処理手順等を規定したプログラム・所要データなどを格納するための内部メモリを有し、格納されているこれらのプログラムに基づいて種々の情報処理を実行する。
【0039】
制御部102は、記憶部106に格納されている、取引先マスタ106a、物件マスタ106b、フロアマスタ106c、区画マスタ106d、賃貸契約マスタ106e、契約ルールマスタ106f、想定賃料マスタ106g、及びデータテーブル106h等にアクセス可能に構成されている。なお、取引先マスタ106a、物件マスタ106b、フロアマスタ106c、区画マスタ106d、賃貸契約マスタ106e、契約ルールマスタ106f、想定賃料マスタ106g、及びデータテーブル106hは、他の場所(例えば、サーバ200)に設けられていてもよく、制御部102がアクセス可能な構成であればよい。
【0040】
制御部102は、機能概念的に、登録部102aと、シミュレーション策定環境作成部102bと、予測データ作成部(シミュレーション部)102cと、画面表示制御部102dと、を備えている。
【0041】
登録部102aは、不図示のマスタメンテ画面上のオペレータの操作等に応じて、取引先マスタ106a、物件マスタ106b、フロアマスタ106c、区画マスタ106d、賃貸契約マスタ106e、契約ルールマスタ106f、想定賃料マスタ106gに対して、データの入力・追加・変更・更新等の設定を行う。また、登録部102aは、賃貸契約マスタ106eの契約データに基づいて、請求データを作成してデータテーブル106hに格納する。
【0042】
シミュレーション策定環境作成部102bは、シミュレーションを実行する際に、取引先マスタ106a、物件マスタ106b、フロアマスタ106c、区画マスタ106d、賃貸契約マスタ106e、データテーブル106hの請求データを取込や、契約ルールマスタ106f、想定賃料マスタ106gの取込を行って、シミュレーション策定環境を提供する。
【0043】
予測データ作成部102cは、賃貸契約マスタ106eの対象の契約データの物件、区画をキーとして、区画マスタ106dからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、想定賃料マスタ106gのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ106gのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、契約ルールマスタ106fのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ106g及び契約ルールマスタ106fのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する。
【0044】
また、予測データ作成部102cは、作成した新規の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成することにしてもよい。
【0045】
また、予測データ作成部102cは、新規の契約データについて、月額賃料は、取得した面積×想定賃料マスタ106gの月額坪単価で算出し、契約開始日は、解約日+契約ルールマスタ106fの解約から契約締結されるまでの月数で算出し、賃料発生日は、契約開始日+契約ルールマスタ106fの契約締結から引渡しされるまでの月数+引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数で算出することにしてもよい。
【0046】
予測データ作成部102cは、賃貸契約マスタ106eの対象の契約データの物件、区画をキーとして、区画マスタ106dからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、想定賃料マスタ106gのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ106gのレコードを参照して、シミュレーションデータである更新の契約データを作成する。
【0047】
予測データ作成部102cは、作成した更新の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成してもよい。
【0048】
予測データ作成部102cは、更新の契約データについて、月額賃料は、取得した面積×想定賃料マスタ106gの月額坪単価で算出することにしてもよい。
【0049】
画面表示制御部102dは、モニタ114に表示する各種画面(例えば、マスタメンテ画面、シミュレーション環境策定画面、予測データ作成画面等)の表示や入力の受付を制御する。
【0050】
[3.具体例]
図1図20を参照して、本実施の形態における不動産シミュレーション装置100の制御部102の処理の具体例について説明する。
【0051】
(3-1.全体の処理)
図10は、本実施の形態における不動産シミュレーション装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明するためのフローを示す図である。
【0052】
図10を参照して、本実施の形態における不動産シミュレーション装置100の制御部102の全体の処理の概略を説明する。図10において、登録部102aは、実績環境についての登録処理を実行する(ステップS1)。具体的には、登録処理では、登録部102aは、取引先登録を行い、不図示のマスタメンテ画面上のオペレータの操作等に応じて、取引先マスタ106aに対してデータを設定する。
【0053】
また、登録部102aは、物件登録を行い、不図示のマスタメンテ画面上のオペレータの操作等に応じて、物件マスタ106b、フロアマスタ106c、区画マスタ106dに対してデータを設定する。
【0054】
また、登録部102aは、賃貸契約登録を行い、不図示のマスタメンテ画面上のオペレータの操作等に応じて、賃貸契約マスタ106eに対して契約データを設定し、また、契約データに基づいて、請求データを作成して、データテーブル106hに格納する。
【0055】
また、登録部102aは、契約ルールマスタメンテを行い、不図示のマスタメンテ画面上のオペレータの操作等に応じて、契約ルールマスタ106fに対してデータを設定する。
【0056】
また、登録部102aは、賃貸契約マスタメンテを行い、不図示のマスタメンテ画面上のオペレータの操作等に応じて、想定賃料マスタ106gに対してデータを設定する。
【0057】
シミュレーション策定環境作成部102bは、シミュレーション策定環境作成処理を実行する(ステップS2)。具体的には、シミュレーション策定環境作成処理では、シミュレーション策定環境作成部102bは、シミュレーションを実行する際に、取引先マスタ106a、物件マスタ106b、フロアマスタ106c、区画マスタ106d、賃貸契約マスタ106e、データテーブル106hの請求データを取込や、契約ルールマスタ106f、想定賃料マスタ106gの取込を行って、記憶部106のワークエリアに展開(コピー)して、シミュレーション環境を作成する。
【0058】
契約ルールマスタ106f及び想定賃料マスタ106gは、変更する必要がある場合は、シミュレーション環境でも変更可能となっている。
【0059】
予測データ作成部102cは、予測データ作成処理を実行して(ステップS3)、契約ルールマスタ106f及び想定賃料マスタ106gに基づいて、新規や更新の契約データ(「シミュレーションデータ」や「予測データ」ともいう)を作成し、新規や更新の契約データに基づいて、月別の賃料を含む請求データ(「シミュレーションデータ」や「予測データ」ともいう)を作成する。
【0060】
具体的には、予測データ作成処理では、予測データ作成部102cは、賃貸契約マスタ106eの対象の契約データの物件、区画をキーとして、区画マスタ106dからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、想定賃料マスタ106gのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ106gのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、契約ルールマスタ106fのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ106g及び契約ルールマスタ106fのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する。
【0061】
また、予測データ作成部102cは、作成した新規の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成することにしてもよい。
【0062】
また、予測データ作成部102cは、新規の契約データについて、月額賃料は、取得した面積×想定賃料マスタ106gの月額坪単価で算出し、契約開始日は、解約日+契約ルールマスタ106fの解約から契約締結されるまでの月数で算出し、賃料発生日は、契約開始日+契約ルールマスタ106fの契約締結から引渡しされるまでの月数+引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数で算出することにしてもよい。
【0063】
また、予測データ作成部102cは、賃貸契約マスタ106eの対象の契約データの物件、区画をキーとして、区画マスタ106dからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、想定賃料マスタ106gのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ106gのレコードを参照して、シミュレーションデータである更新の契約データを作成する。
【0064】
また、予測データ作成部102cは、作成した更新の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成してもよい。
【0065】
また、予測データ作成部102cは、更新の契約データについて、月額賃料は、取得した面積×想定賃料マスタ106gの月額坪単価で算出することにしてもよい。
【0066】
(3-2.サンプルデータ)
上記図2図9図11図20は、本実施の形態における不動産シミュレーション装置100の制御部102の処理の具体例を説明するための図である。上記図2図9図11図20を参照して、本実施の形態における不動産シミュレーション装置100の制御部102の処理の具体例を説明する。
【0067】
図11は、シミュレーション策定環境作成画面の画面イメージを示す図である。シミュレーション策定環境作成画面は、対象の年度を指定する欄と、不図示の実行ボタンを備えている。オペレータが、シミュレーション策定環境作成画面で年度を指定して、不図示の実行ボタンを押下すると、予測データ作成部102cは、実績環境のマスタやデータ(取引先マスタ106a、物件マスタ106b、フロアマスタ106c、区画マスタ106d、賃貸契約マスタ106e、データテーブル106hの請求データ、契約ルールマスタ106f、想定賃料マスタ106g)の取込を行って、記憶部106のワークエリア(シミュレーション環境)に一括でコピーする。
【0068】
図12は、予測データ作成画面の表示例を示す図である。予測データ作成画面は、対象の年度を指定する欄と、シミュレーション期間を指定する欄と、不図示の実行ボタンを備えている。年度は、シミュレーション策定環境作成画面で指定された年度が自動設定される。オペレータが、予測データ作成画面でシミュレーション期間を指定して、不図示の実行ボタンを押下すると、予測データ作成部(シミュレーション部)102cは、指定されるシミュレーション期間について、賃貸契約マスタ106eの契約データについて、契約ルールマスタ106f及び想定賃料マスタ106gに基づいて、新規、更新の契約データの予測データ(シミュレーションデータ)を作成する。シミュレーション期間を指定するのは、処理負荷の都合上、期間を限定するためである。
【0069】
(契約データの新規自動作成ロジック)
図13図16を参照して、契約データの新規自動作成ロジックを説明する。図13は、予測データ作成部102cが実行する新規の契約データの作成処理の詳細な処理フローを示す図である。図13において、賃貸契約マスタ106eの対象の契約データの物件CD、区画CDをキーとして、区画マスタ106dからフロアCD、面積、用途を取得する(ステップS11)。物件CD、区画CD、フロアCD、用途をキーとして、想定賃料マスタ106gのレコードを特定する(ステップS12)。特定した想定賃料マスタ106gのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、契約ルールマスタ106fのレコードを特定する(ステップS13)。特定した想定賃料マスタ106g及び契約ルールマスタ106fのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する(ステップS14)。
【0070】
この場合、月額賃料は、取得した面積×想定賃料マスタ106gの月額坪単価で算出し、契約開始日は、解約日+契約ルールマスタ106fの解約から契約締結されるまでの月数で算出し、賃料発生日は、契約開始日+契約ルールマスタ106fの契約締結から引渡しされるまでの月数+引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数で算出する。
【0071】
作成した新規の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成する(ステップS15)。
【0072】
図14(A)は、図6の賃貸契約マスタ106eの対象となる契約データの例を示している。同図に示す例では、契約番号「A0000002」、取引先CD「10000002」、取引先名「テナントB」、物件CD「00000002」、物件名「銀座ビル」、区画CD「1F-2」、区画名「1階-2」、契約履歴NO「1」、契約開始日「2021/7/1」、契約終了日「2022/6/30」、請求項目「賃料」、月額「90,000」、賃料発生日「2021/7/1」となっている。
【0073】
図14(B)は、上記契約データに基づいて作成されている請求データの例を示している(実績環境からコピーされているデータ)。契約開始日「2021/7/1」~契約終了日「2022/6/30」までの各月の賃料の金額が記載されている。
【0074】
図14(C)は、上記請求データの収支を示す図である。解約月までしか収支を予測できない。
【0075】
契約データの物件CD「00000002」、区画CD「1F-2」をキーとして、図5の区画マスタ106dからフロアCD「A」、面積「500坪」、用途「オフィスビル」を取得し、また、物件「00000002」、区画CD「1F-2」、フロアCD「A」、用途「オフィス」をキーとして、図8の想定賃料マスタ106gのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ106gのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、契約ルールマスタ106fのレコードを特定する。
【0076】
図15(A)は、特定した契約ルールマスタ106fのレコードを示す図である。図15(B)は、特定した想定賃料マスタ106gのレコードを示す図である。
【0077】
契約データの契約の解約日が「2022/5/31」なので、契約ルールマスタ106fを参照すると、解約-契約が「3.0」となっているので、契約開始日は、3か月後の「2022/9/1」となる。契約終了日については解約される契約の契約期間と同じ(今回の例だと1年)と判断して、「2023/8/31」となる。また、賃料発生日は、「契約-引渡」が「1.5」であるので、引渡しまでの+1.5か月であり、さらに、「引渡-賃発」が「1.5」であるので、引渡してから賃料が発生するまでの+1.5か月でさらに3か月後となるため、「2022/12/1」となる。
【0078】
賃料の金額については、区画マスタ106dから取得した契約データの区画は「500坪」のため、想定賃料マスタ106gを参照すると、賃料の月額坪単価「200」であるので、賃料の金額は500×200=100,000となる。
【0079】
図15(C)は、シミュレーション環境で自動作成される新規の契約データの例を示す図である。同図に示す例では、契約番号「A9000001」、取引先CD「90000001」、取引先名「ダミーテナント」、物件CD「00000002」、物件名「銀座ビル」、区画CD「1F-2」、区画名「1階-2」、契約履歴NO「1」、契約開始日「2022/9/1」、契約終了日「2023/8/31」、請求項目「賃料」、月額「100,000」、賃料発生日「2022/12/1」となっている。賃料が「90,000」から「100,000」に値上げされている。
【0080】
図16(A)は、上記新規の契約データに基づいて作成される請求データの例を示している。図16(B)は、上記請求データの月毎の収支を示す図であり、元の契約データの下に記載されている。請求データの月毎の収支は、不図示の収支確認画面で確認可能となっている。
【0081】
(契約データの更新自動作成ロジック)
図17図20を参照して、契約データの更新自動作成ロジックを説明する。図17は、予測データ作成部102cが実行する更新の契約データの作成処理の詳細なフローを示す図である。図17において、賃貸契約マスタ106eの対象の契約データの物件CD、区画CDをキーとして、区画マスタ106dからフロアCD、面積、用途を取得する(ステップS21)。物件CD、区画CD、フロアCD、用途をキーとして、想定賃料マスタ106gのレコードを特定する(ステップS22)。特定した想定賃料マスタ106gのレコードを参照して、シミュレーションデータである更新の契約データを作成する(ステップS23)。
【0082】
この場合、月額賃料は、取得した面積×想定賃料マスタ106gの月額坪単価で算出してもよい。
【0083】
作成した更新の契約データに基づいて、各月の賃料を含む請求データを作成する(ステップS24)。
【0084】
図18(A)は、図6の賃貸契約マスタ106eの対象となる契約データの例を示している。同図に示す例では、契約番号「A0000003」、取引先CD「10000003」、取引先名「テナントC」、物件CD「00000003」、物件名「新橋ビル」、区画CD「1F-1」、区画名「1階-1」、契約履歴NO「1」、契約開始日「2021/6/1」、契約終了日「2022/5/31」、請求項目「賃料」、月額「165,000」、賃料発生日「2021/6/1」となっている。
【0085】
図18(B)は、上記契約データに基づいて作成されている請求データの例を示している(実績環境からコピーされているデータ)。契約開始日「2021/6/1」~契約終了日「2022/5/31」までの各月の賃料の金額が記載されている。
【0086】
図18(C)は、上記請求データの月毎の収支を示す図である。契約の終了月までしか収支を予測できない。
【0087】
契約データの物件CD「00000003」、区画CD「1F-1」をキーとして、図5の区画マスタ106dからフロアCD「A」、面積「800坪」、用途「オフィスビル」を取得し、また、物件「00000003」、区画CD「1F-1」、フロアCD「A」、用途「オフィス」をキーとして、図8の想定賃料マスタ106gのレコードを特定する。
【0088】
図19(A)は、特定した想定賃料マスタ106gのレコードを示す図である。
【0089】
契約データの契約終了日が「2022/5/31」なので、更新される契約の「契約開始日」は+1日した「2022/6/1」となる。「賃料発生日」も同様に「2022/6/1」となる。「契約終了日」については、契約データの契約期間と同じ(今回の例だと1年)と判断して、「2023/5/31」とする。「賃料の金額」については、契約データの面積は、「800坪」のため、想定賃料マスタ106gを参照すると、月額坪単価は「220」であるので、800×220=176,000となる。
【0090】
図19(B)は、シミュレーション環境で自動作成される契約データの更新データの例を示す図である。同図の2行目は、更新データの例を示しており、契約番号「A0000003」、取引先CD「10000003」、取引先名「テナントC」、物件CD「00000003」、物件名「新橋ビル」、区画CD「1F-1」、区画名「1階-1」、契約履歴NO「2」、契約開始日「2022/6/1」、契約終了日「2023/5/31」、請求項目「賃料」、月額「176,000」、賃料発生日「2022/6/1」となっている。賃料が「165,000」から「176,000」に値上げされている。
【0091】
図20(A)は、上記契約データの更新データに基づいて作成される請求データの例を示している。図20(B)は、上記請求データの月毎の収支を示す図である。請求データの月毎の収支は、不図示の収支確認画面で確認可能となっている。
【0092】
以上説明したように、本実施の形態によれば、契約番号、取引先、物件、区画、契約開始日、契約終了日、月額賃料、賃料発生日、解約日を含む契約データを登録した賃貸契約マスタ106eと、物件、フロア、区画、面積、用途を関連付けて登録した区画マスタ106dと、物件、エリア、面積規模、用途、解約から契約締結されるまでの月数、契約締結から引渡しされるまでの月数、引渡しから賃料の請求が発生するまでの月数とを関連づけて登録した契約ルールマスタ106fと、物件、フロア、用途、区画、エリア、面積規模、月額賃料坪単価を関連づけて登録した想定賃料マスタ106gと、対象の契約データの物件、区画をキーとして、前記区画マスタからフロア、面積、用途を取得し、物件、区画、フロア、用途をキーとして、前記想定賃料マスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタのレコードのエリア、面積規模、用途をキーとして、前記契約ルールマスタのレコードを特定し、特定した想定賃料マスタ及び契約ルールマスタのレコードを参照して、シミュレーションデータである新規の契約データを作成する予測データ作成部102cと、を備えているので、新規の契約データのシミュレーションデータ作成を簡単かつ高精度に行うことが可能となる。
【0093】
[4.国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
本実施形態により、業務効率化や企業の適切な経営判断を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標8及び9に貢献することが可能となる。
【0094】
また、本実施形態により、廃棄ロス削減や、ペーパレス・電子化を推進することに寄与することができるので、SDGsの目標12、13及び15に貢献することが可能となる。
【0095】
また、本実施形態により、統制、ガバナンス強化に寄与することができるので、SDGsの目標16に貢献することが可能となる。
【0096】
[5.他の実施形態]
本発明は、上述した実施の形態以外にも、特許請求の範囲に記載した技術的思想の範囲内において種々の異なる実施形態にて実施されてよいものである。
【0097】
例えば、実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0098】
また、本明細書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各処理の登録データや検索条件等のパラメータを含む情報、画面例、データベース構成については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0099】
また、不動産シミュレーション装置100に関して、図示の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。
【0100】
例えば、不動産シミュレーション装置100が備える処理機能、特に制御部にて行われる各処理機能については、その全部または任意の一部を、CPUおよび当該CPUにて解釈実行されるプログラムにて実現してもよく、また、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現してもよい。尚、プログラムは、本実施形態で説明した処理を情報処理装置に実行させるためのプログラム化された命令を含む一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されており、必要に応じて不動産シミュレーション装置100に機械的に読み取られる。すなわち、ROMまたはHDD(Hard Disk Drive)などの記憶部などには、OSと協働してCPUに命令を与え、各種処理を行うためのコンピュータプログラムが記録されている。このコンピュータプログラムは、RAMにロードされることによって実行され、CPUと協働して制御部を構成する。
【0101】
また、このコンピュータプログラムは、不動産シミュレーション装置100に対して任意のネットワークを介して接続されたアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることも可能である。
【0102】
また、本実施形態で説明した処理を実行するためのプログラムを、一時的でないコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納してもよく、また、プログラム製品として構成することもできる。ここで、この「記録媒体」とは、メモリーカード、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SD(Secure Digital)カード、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、および、Blu-ray(登録商標) Disc等の任意の「可搬用の物理媒体」を含むものとする。
【0103】
また、「プログラム」とは、任意の言語または記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードまたはバイナリコード等の形式を問わない。なお、「プログラム」は必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールやライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものをも含む。なお、実施形態に示した各装置において記録媒体を読み取るための具体的な構成および読み取り手順ならびに読み取り後のインストール手順等については、周知の構成や手順を用いることができる。
【0104】
記憶部に格納される各種のデータベース等は、RAM、ROM等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、フレキシブルディスク、および、光ディスク等のストレージ手段であり、各種処理やウェブサイト提供に用いる各種のプログラム、テーブル、データベース、および、ウェブページ用ファイル等を格納する。
【0105】
また、不動産シミュレーション装置100は、既知のパーソナルコンピュータまたはワークステーション等の情報処理装置として構成してもよく、また、任意の周辺装置が接続された当該情報処理装置として構成してもよい。また、不動産シミュレーション装置100は、当該装置に本実施形態で説明した処理を実現させるソフトウェア(プログラムまたはデータ等を含む)を実装することにより実現してもよい。
【0106】
更に、装置の分散・統合の具体的形態は図示するものに限られず、その全部または一部を、各種の付加等に応じてまたは機能負荷に応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。すなわち、上述した実施形態を任意に組み合わせて実施してもよく、実施形態を選択的に実施してもよい。
【符号の説明】
【0107】
100 不動産シミュレーション装置
102 制御部
102a 登録部
102b シミュレーション策定環境作成部
102c 予測データ作成部
102d 画面表示制御部
104 通信インターフェース部
106 記憶部
106a 取引先マスタ
106b 物件マスタ
106c フロアマスタ
106d 区画マスタ
106e 賃貸契約マスタ
106f 契約ルールマスタ
106g 想定賃料マスタ
106h データテーブル
108 入出力インターフェース部
112 入力装置
114 出力装置
300 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20