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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059031
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】果肉除去装置
(51)【国際特許分類】
   D01B 1/10 20060101AFI20240422BHJP
   D01B 5/08 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
D01B1/10
D01B5/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166513
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】517335318
【氏名又は名称】株式会社フードリボン
(74)【代理人】
【識別番号】100111349
【弁理士】
【氏名又は名称】久留 徹
(72)【発明者】
【氏名】坂元 直孝
(72)【発明者】
【氏名】藤井 透
(57)【要約】
【課題】高圧ジェット水を当てて果肉を除去する際に、押圧装置で植物を押圧させることなく植物を固定して、果肉を除去できるようにした果肉除去装置を提供する。
【解決手段】果肉の間に長繊維を有してなるパイナップルの葉6を突き刺すための複数の針部24を備え、パイナップルの葉6を前記針部24で突き刺さして保持する保持部2と、当該保持部2に保持されたパイナップルの葉6に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器3とを備えるようする。そして、高圧ジェット器3で果肉の除去された繊維を、保持部2を構成する保持要素21と保持要素21の間に設けられた抽出杆41によって持ち上げて、針部24の間から繊維を分離して抽出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
果肉の間に長繊維を有してなる植物を突き刺すための複数の針部を備え、当該植物を前記針部で突き刺さして保持する保持部と、
当該保持部に保持された植物に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器と、
を備えたことを特徴とする果肉除去装置。
【請求項2】
前記保持部が表面に凹凸を有するように構成されたものである請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項3】
前記保持部が表面に凹凸を有するように構成されたものであり、
当該凹凸の凹部に、果肉の除去された繊維を上方に持ち上げる抽出杆を備えた請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項4】
前記保持部が表面に凹凸を有するように構成されたものであり、
当該凹凸の凹部に前記針部を備えた請求項1に記載の果肉除去装置。
【請求項5】
果肉の間に長繊維を有してなる植物を突き刺すための複数の針部を備え、当該植物を前記針部で突き刺さして保持する複数の保持要素を周回させる第一のコンベアと、
当該第一のコンベアに保持された植物に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器と、
当該高圧ジェット器によって果肉の除去された繊維を前記第一のコンベアから分離して抽出する繊維抽出部と、を備え、
前記保持要素を、表面に凹凸を有するように構成し、
前記繊維抽出部を、前記保持要素の凹凸の凹部に収容され、前記保持要素よりも横幅を長く構成し、
当該繊維抽出部を、前記第一のコンベアよりも搬送方向に長く周回させる第二のコンベアで構成したことを特徴とする果肉除去装置。
【請求項6】
前記第一のコンベアと第二のコンベアを、同一の駆動源で駆動させるようにした請求項5に記載の果肉除去装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、パイナップルの葉、芭蕉、バナナの仮茎などから果肉を除去して、長繊維を抽出できるようにした果肉除去装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、パイナップルの葉や、芭蕉、バナナの仮茎などから50cm以上の長い葉脈長繊維(以下「長繊維」と称する)を抽出する場合、次のような方法が用いられている。
【0003】
例えば、下記の非特許文献1には、葉や仮茎を平らな板の上に載置し、石や鉄でできたスクレーパを用いて果肉を削ぎ落して長繊維を抽出する方法が提案されており、また、下記の特許文献1には、バナナ長繊維を手で剥ぎ取る方法が提案されている。
【0004】
また、下記の非特許文献2には、パイナップルの果肉を回転ローラーで擦り取って長繊維を抽出する方法が提案されており、非特許文献3には、長繊維束をさらに爪で一本一本引き裂いて長繊維を抽出する方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、これらのいずれの方法においても、葉や仮茎の長繊維から完全に果肉を除去することができなかった。
【0006】
これに対して、下記の非特許文献4には、平板上に植物を載置し、その上から高圧ジェット水を当てて果肉を除去する方法が提案されている。この方法を用いれば、上記方法に比べて、効果的に果肉を除去することができるようになる。
【0007】
しかしながら、このような高圧ジェット水を用いる方法では、高圧ジェット水を植物に当てた際に、植物が水圧によって暴れてしまうため、植物の上から押圧装置で植物を押圧しておかなければならない。しかるに、このような押圧装置で植物を押圧すると、その押圧された部分に高圧ジェット水が当たらず、果肉を完全に除去することが難しくなるといった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010-095805号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Global Sci. Journals, Vol.7, Issue 1 (2019) pp.317-326
【非特許文献2】Int. J. of Polymer Science, Vol.2012 (doi.org/10.1155 /2015/950567)
【非特許文献3】http://okinoerabu-bashofu.jp/process.html(令和4年5月2日確認)
【非特許文献4】J. of Eng. Fibers and Fabrics, Vol.15, (2020) pp.1-7 (doi: 101177/1558925050940109)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、高圧ジェット水を当てて果肉を除去する際に、押圧装置で植物を押圧させることなく植物を固定して、果肉を除去できるようにした果肉除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、果肉の間に長繊維を有してなる植物を突き刺すための複数の針部を備え、当該植物を前記針部に突き刺さして保持する保持部と、当該保持部に保持された植物に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器とを備えるようにしたものである。
【0012】
このように構成すれば、植物を針部に突き刺して保持するため、従来のように押圧部材で植物を押圧させる必要がなくなり、上から高圧ジェット水を当てて果肉を除去する場合に、押圧部分に果肉が残ってしまうこともなくなる。また、植物に針部を突き刺して硬い表皮を突き破ることができるため、高圧ジェット水を当てた際に、その突き刺した部分から果肉を除去することができるようになる。
【0013】
また、このような発明において、前記保持部を、表面に凹凸を有するように構成しておく。
【0014】
このように構成すれば、保持部の上から高圧ジェット水を当てた際に、植物の表面側から裏面側を通って凹部に高圧ジェット水を貫通させることができるため、裏面側の果肉も容易に除去していくことができるようになる。また、凹部の底面で繊維を保持させておくことができるため、繊維が撓んで切れてしまうこともなくなる。さらには、凹凸を有するように構成すれば、高圧ジェット水を当てた際に、凹部に植物が入り込むように湾曲して植物がずれ、これにより、針部に突き刺さった部分に亀裂を生じさせて、そこから果肉を除去していくことができるようになる。
【0015】
さらに、前記保持部を、表面に凹凸を有するように構成するとともに、当該凹凸の凹部に、果肉の除去された繊維を上方に持ち上げる抽出杆を設けるようにする。
【0016】
このように構成すれば、抽出杆を持ち上げることによって、針部の間に存在する繊維を持ち上げて抽出することができるようになる。
【0017】
また、前記保持部を、表面に凹凸を有するように構成するとともに、当該凹凸の凹部に前記針部を備えるようにする。
【0018】
このように構成すれば、凹部に入り込んだ高圧ジェット水を溝方向に流す際に、針部によって繊維を保持しておくことができるため、その水とともに繊維が溝方向に流れてしまうことを防止することができる。
【0019】
また、果肉の間に長繊維を有してなる植物を突き刺すための複数の針部を備え、当該植物を前記針部で突き刺さした状態で保持する複数の保持要素を周回させる第一のコンベアと、当該第一のコンベアに保持された植物に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器と、当該高圧ジェット器によって果肉の除去された繊維を前記第一のコンベアから分離して抽出する繊維抽出部と、を備え、前記保持要素を、表面に凹凸を有するように構成し、前記繊維抽出部を、前記保持要素の凹凸の凹部に収容され、前記保持要素よりも横幅が長い抽出杆を備え、当該抽出杆を、前記第一のコンベアよりも搬送方向に長く周回させる第二のコンベアで構成する。
【0020】
このように構成すれば、第一のコンベアよりも第二のコンベアの方を長く設定しているため、第一のコンベアの周回部分から第二のコンベアに繊維を分離・抽出していくことができるようになる。
【0021】
また、このような構成において、前記第一のコンベアと第二のコンベアを、同一の駆動源で駆動させる。
【0022】
このように構成すれば、コストを低減させることができるとともに、それぞれのコンベアの駆動速度を同じにして、抽出杆を凹部に収容させながら、保持部とともに周回させることができるようになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、植物を針部に突き刺して保持するため、従来のように押圧部材で植物を押圧させる必要がなくなり、高圧ジェット水で果肉を除去する場合に、押圧部分に果肉が残ってしまうこともなくなる。また、針部を突き刺して植物の硬い表皮を突き破ることができるため、高圧ジェット水を当てた際に、その突き刺した部分から果肉を除去していくことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施の形態による果肉除去装置を示す側面概略図
図2】同形態における保持要素と抽出杆と果肉の除去された繊維を示す図
図3】同形態における第一のコンベアと第二のコンベアの平面概略図
図4】同形態における亀裂生成装置を示す図
図5】同形態におけるパイナップルの葉に亀裂を生じさせた状態を示す図
図6】他の実施の形態における果肉除去装置を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0026】
この実施の形態における果肉除去装置1は、果肉で覆われた長繊維を有する植物の葉や仮茎などから果肉を除去し、長繊維のみを抽出できるようにしたものであって、図1に示すように、複数本の針部24を備え、パイナップルの葉6を載置させた状態で動かないように保持する保持部2と、この保持部2に設けられた針部24に突き刺したパイナップルの葉6に対して高圧ジェット水を噴射させる高圧ジェット器3と、この高圧ジェット器3によって果肉の除去されたパイナップルの葉6に対して保持部2から繊維のみを抽出する繊維抽出部4とを備えるようにしたものである。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
この実施の形態において、長繊維を有する植物としては、複数本の長繊維の間に、水分を多く含んだ柔らかい果肉で覆われる植物が用いられ、例えば、キジカクシ科のサイザルアサ、バナナ科のバナナ、アサ科の芭蕉マニラアサ、亜麻、苧麻などが挙げられる。なお、この実施の形態では、パイナップルの葉6を例として説明する。
【0028】
このようなパイナップルの葉6としては、食用に供される果実を採取した後、本来、廃棄されるパイナップルの葉6を葉元近傍から切除したものを用いる。一般的に、パイナップルの果実の収穫時期である5月から7月頃には、パイナップルの葉6の長さが50cmから100cm程度の長さになり、厚みも、2mm程度となる。そこで、このように育成した長いパイナップルの葉6を用いるようにする。このようなパイナップルの葉6としては、根元付近から切除されたものをそのまま用いてもよいが、ここでは、採取後、水分を50%以上含有している新鮮なものを用いる。このように水分の多く含有しているパイナップルの葉6を用いると、そのパイナップルの葉6に針部24を突き刺した場合や、図4に示すような亀裂生成装置5を用いてパイナップルの葉6を折り曲げた場合、果肉の表裏に亀裂(図5参照)を生じやすくなり、その亀裂に高圧ジェット水を当てた場合に果肉を除去させやすくすることができる。一方、長期間保管したパイナップルの葉6を使用する場合は、そのパイナップルの葉6を一定期間水中に浸漬させ、水分含有率が50%以上となるようにする。ただし、余り水分含有率が高くなった場合は、屈曲によって果肉に亀裂を生じさせることができないため、水分含有率を50%から70%程度にしておく。
【0029】
このようなパイナップルの葉6に、事前に亀裂を生じさせる場合、図4に示すような亀裂生成装置5を用いる。この亀裂生成装置5は、外周面に凸状体52を放射状に設けられた回転体51を上下一対設け、それぞれの凸状体52を噛み合わせた状態で回転させるように構成されている。そして、それぞれの回転体51の間にパイナップルの葉6を挟み込ませ、その回転体51の凸状体52でパイナップルの葉6を交互に屈曲させ、図5に示すような亀裂61をパイナップルの葉6の表裏に生じさせるようにしている。なお、ここでは、亀裂生成装置5を用いて事前に亀裂を生じさせるようにしているが、亀裂を生じさせることなく、そのままのパイナップルの葉6を用いるようにしてもよい。
【0030】
このように亀裂61の設けられたパイナップルの葉6は、果肉除去装置1によって果肉が除去され、長繊維のみが抽出される。
【0031】
この果肉除去装置1としては、図1に示すように、パイナップルの葉6を突き刺すことができる複数の針部24を備えた保持部2と、この保持部2に保持されたパイナップルの葉6に、高圧ジェット水を噴射させる高圧ジェット器3と、この高圧ジェット器3によって果肉の除去されたパイナップルの葉6から、繊維のみを保持部2から分離して抽出する繊維抽出部4とを備えて構成される。
【0032】
まず、この保持部2は、図2に示すように、針部24を起立させた横長状の保持要素21を短手方向に複数並べ、これを左右に設けられたギア25(図3参照)を介して周回させたコンベアで構成されるようになっている。この針部24は、果肉の除去される植物の平均的な厚みよりも長く設定されており、これによって、先端部分を果肉から突出させるようにしている。そして、このように針部24を果肉から突出させることによって、突き刺した部分で硬い表皮を破り、そこから高圧ジェット水を入れやすくして、果肉を除去できるようにするとともに、果肉の除去された繊維を、針部24で保持して暴れさせないようにしている。
【0033】
この保持部2を構成する保持要素21は、図2図3に示すように、横長方向に沿った凹部23を有するように構成されており、その凹部23の前後に設けられた凸部22の表面にパイナップルの葉6を載置させるとともに、凹部23の底部に針部24を設け、その先端部分でパイナップルの葉6を突き刺すようになっている。そして、この保持要素21と隣接する保持要素21との間に、後述する抽出杆41を位置させ、上から高圧ジェット水を当てた際に、高圧ジェット水をパイナップルの葉6の裏面側まで貫通させて、裏面側の果肉も除去できるようにしている。そして、このような凹部23や抽出杆41を設けることによって、果肉の除去された繊維を底部で保持させ、大きな撓みを抑えて、高圧ジェット水による繊維の破断を防止できるようにしている。
【0034】
このように構成された保持要素21は、左右に設けられた無端ベルトやチェーンなどに取り付けられ、それに噛み合うギア25を介して周回させるように設けられる。なお、この保持要素21を周回させる場合、モーター26にギアやベルトなどの伝達機構27を取り付け、この伝達機構27を介してギア25を回転させて、保持要素21を周回させる。
【0035】
一方、高圧ジェット器3は、この保持部2上のパイナップルの葉6に対して表面から高圧ジェット水を噴射させるようにしたものであって、複数のノズル31から高圧ジェット水を幅方向に噴射させるように構成される。このノズル31からは、左右方向にオーバーラップさせるように高圧ジェット水が噴射され、また、その高圧ジェット水を斜め下方に向けて噴射させることで、噴射方向への跳ね返りを防止して、水圧を高くし、裏面側の果肉も除去できるようにしている。
【0036】
この果肉の除去された繊維は、図2の状態に示すように、保持要素21の針部24の間に挟まった状態で搬送されるが、ここでは、針部24の間に挟まった繊維を、保持要素21の針部24から分離・抽出できるようにした繊維抽出部4を設けるようにしている。
【0037】
この繊維抽出部4は、隣接する保持要素21の間に設けられる横長状の抽出杆41を備えてなるものであって、この抽出杆41を保持部2から分離させることによって、繊維を針部24から抽出させるように構成されている。
【0038】
この抽出杆41は、図2図3に示すように、保持要素21から左右方向に突出するような長さの一本の棒状の部材で構成されており、その両端部分に無端ベルトやチェーンなどを取り付け、これをギア42に噛み合わせ、モーター26を介して、保持部2のコンベアの下流側よりもさらに下流側まで搬送させて周回させるようにしている。そして、このように保持部2よりも長く周回させることによって、図1図3に示すように、抽出杆41を保持要素21の間から分離させ、繊維のみを針部24から持ち上げて、抽出させるようにしている。
【0039】
次に、このように構成された果肉除去装置1を用いて、パイナップルの葉6から果肉を除去する方法について説明する。
【0040】
まず、パイナップルの葉6を保持部2の上流側に載置させる。このとき、パイナップルの葉6を上から押し付けて針部24に貫通させるようにしてもよく、あるいは、針部24に突き刺すことなく、そのまま保持部2の針部24の上に載置させるようにしてもよい。
【0041】
そして、モーター26を駆動させて、保持部2に載置させたパイナップルの葉6を下流側に搬送させ、斜め上方から高圧ジェット器3で高圧ジェット水を当てる。
【0042】
すると、高圧ジェット器3の高圧ジェット水によってパイナップルの葉6が下方に強く押し付けられ、針部24に突き刺さって、パイナップルの葉6が動かないように保持される。
【0043】
このとき、パイナップルの葉6に向けて噴射された高圧ジェット水は、事前に生成されたパイナップルの葉6の亀裂や、針部24の刺し込によって生成された穴から入り込み、硬い表皮を突き破って果肉を除去していくようになる。そして、この高圧ジェット水は、凹部23側まで貫通し、パイナップルの葉6の裏面側の果肉も除去していく。このとき、果肉の除去された繊維は、凹部23に沿って湾曲するが、その繊維が凹部23や抽出杆41の底面で支持されるので、高圧ジェット水を当てた場合でも、大きく撓むことがなくなり、繊維が破断してしまうことがない。そして、この高圧ジェット水や果肉を、凹部23の溝に沿って左右方向に流して排出する。このとき、果肉の除去された繊維も、溝に沿って流れようとするが、凹部23に設けられた針部24で支持されているので、左右方向に流れることなく、繊維の絡まりもなくなる。
【0044】
そして、このように果肉の除去させた繊維を下流方向に搬送させ、下流側で保持要素21を下方に回り込ませる。
【0045】
すると、果肉の除去された繊維は、下方に回り込む保持要素21に対して直進する抽出杆41によって持ち上げられ(図1図3の状態)、そこで保持部2から分離・抽出される。そして、以下同様にして繊維のみを抽出していく。
【0046】
このように上記実施の形態によれば、果肉の間に長繊維を有してなるパイナップルの葉6を突き刺すための複数の針部24を備え、パイナップルの葉6を前記針部24で突き刺さして保持する保持部2と、当該保持部2に保持されたパイナップルの葉6に対して高圧ジェット水を噴射させて果肉を除去する高圧ジェット器3とを備えるようにしたので、従来のように押圧部材でパイナップルの葉6を押圧させる必要がなくなり、上から高圧ジェット水を当てて果肉を除去する場合に、押圧部分に果肉が残ってしまうことがなくなる。また、パイナップルの葉6を針部24に突き刺して硬い表皮を突き破ることができるため、高圧ジェット水を当てた際に、その突き刺した部分から果肉を除去していくことができるようになる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0048】
例えば、上記実施の形態では、保持部2や繊維抽出部4をコンベア状に構成して周回させるようにしたが、図6に示すように、保持部2aを固定した載置台としておき、高圧ジェット器3側を動かして果肉を除去していくようにしてもよい。この場合において、保持部2として、左右方向に凹部23aを形成しておくとともに、この保持部2aに複数の針部24を設けるようにしておく。そして、その凹部23aに、直線状の抽出杆41aを収容しておき、果肉を除去した後に、その抽出杆41aを持ち上げて繊維のみを抽出するようにしてもよい。
【0049】
また、上記実施の形態では、抽出杆41を持ち上げて繊維のみを抽出するようにしたが、コンベアの周回部分にスクレーパなどを取り付け、繊維をコンベアから分離させるようにしてもよい。この場合、スクレーパとして、周回する針部24を避けるスリットを設けておき、針部24と針部24の間の繊維を抽出できるようにしておくとよい。
【0050】
さらに、上記実施の形態では、針部24としてパイナップルの葉6を貫通させるような長さに設定したが、パイナップルの葉6の厚みよりも低く突き刺すように構成してもよい。このようにした場合であっても、果肉の除去された繊維を針部24の間に収容しておくことができ、繊維の暴れを防止することができるようになる。
【0051】
また、上記実施の形態では、針部24を凹部23に設けるようにしたが、図6に示すように、凸部側に設けるようにしてもよい。
【0052】
また、上記実施の形態では、コンベア状の保持部2や、固定台状の保持部2aを設けるようにしたが、保持部を湾曲させておき、その湾曲部分の内側に設けられたノズルを回転させて高圧ジェット水を噴射させるようにしてもよい。このときも、同様に、保持部には針部や凹部などを設けるようにしておく。
【符号の説明】
【0053】
1・・・果肉除去装置
2・・・保持部
21・・・保持要素
22・・・凸部
23・・・凹部
24・・・針部
25・・・ギア
26・・・モーター
27・・・伝達機構
3・・・高圧ジェット器
31・・・ノズル
4・・・繊維抽出部
41・・・抽出杆
42・・・ギア
5・・・亀裂生成装置
51・・・回転体
52・・・凸状部
6・・・パイナップルの葉
61・・・亀裂
図1
図2
図3
図4
図5
図6