(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005904
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法
(51)【国際特許分類】
G01J 5/48 20220101AFI20240110BHJP
【FI】
G01J5/48 E
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106354
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】514173696
【氏名又は名称】國家中山科學研究院
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】湯相峰
(72)【発明者】
【氏名】顏順隆
(72)【発明者】
【氏名】張國仁
(72)【発明者】
【氏名】陳信彰
【テーマコード(参考)】
2G066
【Fターム(参考)】
2G066AA13
2G066BA14
2G066BC15
2G066BC30
2G066CA02
2G066CB01
(57)【要約】
【課題】先行技術から、現在、一般的な熱影像モジュールは、実際に運用する前に、まず、起動してセンサコアチップの操作温度が一定になるまで待つか、大量の数値演算により補正する必要があり、それにより正確に温度を測量することができることが知られている。
【解決手段】本発明は、熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法を提供し、熱影像モジュールコアチップの温度下において、ピクチャ・フレーム時間下でシャッタをアクティブ化した後、黒体温度を測量することによって生産される応答値を獲得する、当該応答値に線形回帰分析を行って、修正応答値方程式を獲得する、当該応答値を当該修正応答値方程式に入力する、当該黒体温度を測量した修正応答値を獲得する、という工程を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S1)熱影像モジュールコアチップの温度下において、ピクチャ・フレーム時間下でシャッタをアクティブ化した後、黒体温度を測量することによって生産される応答値を獲得する、
(S2)当該応答値に線形回帰分析を行って、修正応答値方程式を獲得する、
(S3)当該応答値を当該修正応答値方程式に入力する、
(S4)当該黒体温度を測量した修正応答値を獲得する、
上記(S1)~(S4)の工程を含むことを特徴とする熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法。
【請求項2】
当該応答値はライジング区間応答値及びフォーリング区間応答値に分けられ、当該修正応答値方程式をライジング区間修正応答値方程式及びフォーリング区間修正応答値方程式に分けることができることを特徴とする、
請求項1に記載の熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法。
【請求項3】
当該ライジング区間修正応答値方程式はy=C+0.00438x2-1.20399x+20であり、そのうち、yはライジング区間修正応答値であり、Cは当該ライジング区間応答値であり、xはシャッタがアクティブ化した後のピクチャ・フレーム時間累計数値であることを特徴とする、
請求項2に記載の熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法。
【請求項4】
当該フォーリング区間修正応答値方程式はy1=C1-0.000072(x-180)2+0.11539(x-180)-50であり、そのうち、y1はフォーリング区間修正応答値であり、C1は当該フォーリング区間応答値であり、xはシャッタがアクティブ化した後のピクチャ・フレーム時間累計数値である、
請求項2に記載の熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法。
【請求項5】
シャッタがアクティブ化した後の1つ目のピクチャ・フレーム時間から180個目のピクチャ・フレーム時間は当該ライジング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする、
請求項2に記載の熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法。
【請求項6】
シャッタがアクティブ化した後の181個目のピクチャ・フレーム時間から1080個目のピクチャ・フレーム時間は当該フォーリング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする、
請求項2に記載の熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定補正方法に関する創作であり、特に、熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法に関する創作である。
【背景技術】
【0002】
一般的な熱影像モジュールを温度の測量に運用される場合、通常起動してから15~20分待つ必要があり、当該熱影像モジュールが一定の動作温度に達させる、即ち、当該熱影像モジュールのセンサーコア(FocalPlaneArray、FPA)チップ温度が比較的安定した後、温度を測量する機能を実行することができる。同時に、均一性及び単一温度点シャッタ補正により、室温から100℃までの温度の影像品質の精度を±5℃又は±5%に維持されることを確保する必要があるが、周期的な単一温度点シャッタ補正期間の測量温度ドリフトは、測量温度精度を低くする主な原因の一つである。上記の欠点を解決するため、一般的には、三つ温度補正方法がある。
【0003】
方法一:最もよく用いられる補正技術は、熱カメラモジュール温度が安定した後、可能な限り単一温度点シャッタ補正を行わずに、直接的に温度測定設備内の温度補差を使用して手動で微調整を行うものである。この方法は、環境温度の変異が比較的低い測量フィールドに適しており、標準メトロロジー単位で補正された非接触温度計を初期参考温度として、手動で温度補差の微調整を行うが、最大の欠点は測量フィールドの制限であり、環境温度変異が比較的高いフィールド及び測量温度の区間が比較的広い目標には適さないことである。
【0004】
方法二:温度測定システムに一組の補正された温度センサ部品を導入し、工場出荷前にチューニングを行う時に、起動してから20分後に、システムが安定した後、単一温度点シャッタ補正プログラムをアクティブ化するが、その目的は二つある。第一に、影像の均一性を維持することであり、第二に、可能な限り補正温度センサ部品をシャッタの付近に固定することで、シャッタ温度が内外界の温度の影響を受けないようにして、このときの検出シャッタ温度をデジタル応答値に換算する(正確なシャッタ温度とデジタル応答値対応関係を得ることができる)、即ち、センサコアチップでデジタル転換して出力した応答値(カウントで表示する)を獲得し、このシャッタ温度が対応する応答値をシステム記憶ユニット内に記録することで、システムの工場出荷前の温度補正プログラムを完成することである。温度測定システムが起動すると、センサコアチップ操作温度を一定に到達させ(約20分)、測量前に単一温度点シャッタ補正プログラムをアクティブ化させ、シャッタが環境温度の変異が比較的低い状況下で温度補差方式(offset)を通じて線形性補償を行うが、これは業界において一般である、いわゆる全自動温度補差補正であり、この技術は、環境温度変異が比較的大きい区間において測量すると、誤差が比較的大きいため精度が悪くなるという欠点がある。
【0005】
方法三:可能な限りすべての影響要素を考慮し、実験を利用して異なるシーンで複雑な直交高次の特徴を転換する行列値関数をシミュレーションして、数値演算を行うところ、温度測定システムはシーン環境の温度、目標物の距離、センサコアチップの操作温度等データのみが必要とされており、当然、これらのデータはいずれも追加の温度及び距離センサー機器により入力されることが必要とされており、出荷前に異なる温度の区間のサンプリング結果と組み合わせて、経験式である直交高次の特徴を転換する行列値関数を得て、この推算により温度値を正確に測量する。
【0006】
方法三は広範囲の温度変異の温度測定を満足することができるが、このような技術の最も主な課題は、大きな行列計算を必要としており、高性能な運用ユニットを常に必要としていることに加え、同時に、演算を簡単にするように、異なるパラメーターの間に相関がないことを仮定する必要があるとしていることである。この方法は大幅に広い温度範囲の温度測定の精度を向上させることができるが、複雑な経験演算行列は、演算チップの負担を高くし、事前に完全な条件をサンプリングすることの難易度を高くし、事前に補正する時間を長くすることを引き起こす他、温度測定モジュールに合わせて、異なる環境温度のセンサー機器、光学シャッタの周辺温度センサー機器、センサーコア作動温度センサー機器を増加する必要があるため、固定式で高性能演算装置を有する高次温度測定システムに適しており、手持ち式温度測定機の温度精度補正には適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術から、現在、一般的な熱影像モジュールは、実際に運用する前に、まず、起動してセンサコアチップの操作温度が一定になるまで待つか、大量の数値演算により補正する必要があり、それにより正確に温度を測量することができることが知られている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
更に、先行技術が直面する課題を鑑みると、光学シャッタが単一温度点影像均一性補正を行う短い区間内において、センサコアチップは光学シャッタが開閉した後、短時間内の応答値は比較的劇的な波動を有しているため、推算した測量温度値も短時間内の応答値に伴って、不正確になる。したがって、熱影像モジュールの暖機待機時間を縮短させ、大量に数値演算を減少させるために、本発明は、極簡化を利用し、コンビネーションフィット二次曲線双区間接合方程式を汎用し、非線性自動温度補差演算を行って即時演算することにより、正確で安定した温度値を素早く得ることを特徴とする熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法を提供する。
〔課題を解決するための手段〕
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、(S1)熱影像モジュールコアチップの温度下において、ピクチャ・フレーム時間下でシャッタをアクティブ化した後、黒体温度を測量することによって生産される応答値を獲得する、(S2)当該応答値に線形回帰分析を行って、修正応答値方程式を獲得する、(S3)当該応答値を当該修正応答値方程式に入力する、(S4)当該黒体温度を測量した修正応答値を獲得する、上記(S1)~(S4)の工程を含むことを特徴とする熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法を提供する。
【0010】
好ましくは、当該応答値はライジング区間応答値及びフォーリング区間応答値に分けられ、当該修正応答値方程式をライジング区間修正応答値方程式及びフォーリング区間修正応答値方程式に分けることができる。
【0011】
好ましくは、当該ライジング区間修正応答値方程式はy=C+0.00438x2-1.20399x+20であり、そのうち、yはライジング区間修正応答値であり、Cは当該ライジング区間応答値であり、xはシャッタがアクティブ化した後のピクチャ・フレーム時間累計数値である。
【0012】
好ましくは、当該フォーリング区間修正応答値方程式はy1=C1-0.000072(x-180)2+0.11539(x-180)-50であり、そのうち、y1はフォーリング区間修正応答値であり、C1は当該フォーリング区間応答値であり、xはシャッタがアクティブ化した後のピクチャ・フレーム時間累計数値である。
【0013】
好ましくは、シャッタがアクティブ化した後の1つ目のピクチャ・フレーム時間から180個目のピクチャ・フレーム時間は当該ライジング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、シャッタがアクティブ化した後の181個目のピクチャ・フレーム時間から1080個目のピクチャ・フレーム時間は当該フォーリング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする。
〔発明の効果〕
【0015】
本発明が提供する熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法によって、線形回帰分析と数値計算法則によりコンビネーションフィット修正補償方程式が得られ、ソフトウェアを演算チップモジュールにロードするか、コンピュータ若しくはマイクロプロセッサ方式を利用して即時演算を行うことで、正確で安定した温度値を素早く得ることができ、熱影像モジュールが起動してからシステムが安定するまでの時間を効果的に短縮することができる。本発明は、システムの体積、エネルギー消費及び複雑なハードウェア断熱装置を増やす必要はなく、熱影像画素及び二点温度補正、ムラ欠陥置換に適用することもでき、その後、温度測定熱影カメラのシステムハードウェア絶縁及び散熱設計の複雑さ、システム体積とエネルギー消費を軽減し、システムハードウェアアーキテクチャを変える必要はなく、製造コストを直接的に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1は本発明の熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法の流れ図である。
【0017】
図2は熱影像モジュール40℃、30℃の標準黒体放射源を測量したデジタル化応答値と時間との関係図である。
【0018】
図3は熱影像モジュールが補正された後の1080frames時間間隔内に、40℃、30℃の標準黒体放射源を測量したデジタル化応答値と時間との関係図である。
【0019】
図4は30℃の標準黒体放射源を測定した応答値ライジング区間及びフォーリング区間であり、応答値は二次関数コンビネーションフィット回帰を使用している。
【0020】
図5は40℃の標準黒体放射源を測定した応答値ライジング区間及びフォーリング区間であり、応答値は二次関数コンビネーションフィット回帰を使用している。
【0021】
図6は温度補正前、補正後の30℃の標準黒体放射源を測量したデジタル化応答値出力曲線図である。
【0022】
図7は温度補正前、補正後の40℃の標準黒体放射源を測定したデジタル化応答値出力曲線図である。
【0023】
以下、特定の具体的な実施例を挙げて本発明の実施方法を説明する。この技術分野を熟知した者であれば本明細書に開示された内容から本発明の利点と効果を容易に理解できるであろう。
【0024】
図1を参照されたい。
図1は本発明の熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法の流れ図である。熱影像モジュールシャッタの干渉を受けない温度測定補正方法は、(S1)熱影像モジュールコアチップの温度下において、ピクチャ・フレーム時間下でシャッタをアクティブ化した後、黒体温度を測量することによって生産される応答値を獲得する、(S2)当該応答値に線形回帰分析を行って、修正応答値方程式を獲得する、(S3)当該応答値を当該修正応答値方程式に入力する、(S4)当該黒体温度を測量した修正応答値を獲得する上記(S1)~(S4)の工程を含む。
【0025】
詳細には、
図2において、一般的な熱影像モジュールが温度補正を行う時、まず、単一温度点シャッタ補正週期(即ち、光学シャッタ作動週期)を3600秒に設定し、ピクチャ・フレーム周波数を1/9秒(1時間に1回光学シャッタを開閉する。32400frames時間間隔≡1hr)に設定し、今後の利用シーンは、測量対象物から約1メートル離れた場所を想定していることから、1メートルの距離で、標準黒体放射源を測量し、そのときの温度はそれぞれ30℃及び40℃であり、同時に一つ一つのピクチャ・フレーム時間(Frame)で監視されたデジタル化応答値(ここではそれぞれのframeの画素デジタル化応答値の平均を表示する)を記録し、
図2が示す通り、単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)を実行した後、短時間の週期内にデジタル化応答値の劇的な変化を引き起こし、デジタル化応答値はプランク熱輻射曲線近似公式を通して、逆演算を行い標準黒体放射源の表面温度値を得ることができる。したがって、
図2が示す通り、表面温度が30℃及び40℃である標準黒体放射源を測量し、単一温度点シャッタ補正を行った後、短期間で温度測定センサーコアFPAチップのデジタル化応答値に劇的な変化(それぞれ32400Frames時間間隔ごとに一個突波曲線を有する)を引き起こした。
【0026】
図3に示す通り、光学シャッタが作動した後、温度測定センサーコアFPAチップデジタル化応答値が劇的な変化した区間を細部まで観察するために、この応答値が劇的に変化した区間を拡大して観察した。その週期は、120秒(1080frames時間間隔に相当する。このピクチャ・フレーム時間数=9frams/sec)であり、且つ標準黒体温度30℃及び40℃を測定したデジタル化応答値の関係図である。
図3から30℃及び40℃の標準黒体を測量したデジタル化応答値の変化傾向は一致していることが得られた、即ち、光学シャッタが作動した後、応答値初期値は定常時よりも低く、その後、劇的に上昇し(第一時間区間)、180個目のFrame時間週期に近づいた後、最高値に近づき、その後、転換が発生して(第二時間区間)、次第にシャッタが作動する前に測量した標準黒体のデジタル化応答値まで下がった。
【0027】
本発明を先行技術能と一定の測量精度で比較するために、演算を更に簡略化することで、高性能演算装置の使用を減らした。したがって、本発明は、この関係曲線を180Frame目(変化が緩やかな箇所)で二分割し、それぞれライジング区間応答値及びフォーリング区間応答値に切り分け、その曲線傾向を分析し、二次関数コンビネーションフィット回帰を使用し、平均コンビネーションフィット度(R
2)値は0.96以上を達することを満たし、最後に、各レベルの係数を導き出し、30℃及び40℃の標準黒体のデジタル化応答値を測量して、1080個のFrame時間週期下でコンビネーションフィットした後、二次曲線双区間接合分析を行った。それぞれ
図4、
図5で示す通りである。
【0028】
図4から、30℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=-0.0046x
2+1.2503x+3546である。30℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=5e
-5x
2-0.0882x+362である。
【0029】
図5から、40℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=-0.0048x
2+1.3142x+4151である。40℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=8e
-5x
2-0.1305x+4238である。
【0030】
上記実施例から、異なる温度下において、二次関数を使用してコンビネーションフィットを行うことで、単一温度点シャッタ補正デジタル化応答値の修正を行うことができ、上記で得た修正関数の係数データによって、その各レベルコンビネーションフィット係数の平均値を取得して、コンビネーションフィット修正補償方程式を得ることができた。当該ライジング区間修正応答強度値の方程式はy=C+0.00438x2-1.20399x+20であり、フォーリング区間修正応答強度値的方程式はy1=C1-0.000072(x-180)2+0.11539(x-180)-50であり、そのうち、yはライジング区間修正応答値であり、Cは標準黒体輻射を測量したライジング区間応答値であり、y1はフォーリング区間修正応答値であり、C1は標準黒体輻射を測量したフォーリング区間応答値であり、xはシャッタがアクティブ化した後のピクチャ・フレーム時間累計数値である。
【0031】
コンビネーションフィット修正補償方程式を運用して30℃及び40℃の標準黒体源のデジタル化応答値を測量することによって、長い時間週期下においてコンビネーションフィット修正補償を運用した実験結果とコンビネーションフィット修正補償を運用しなかった実験結果を、
図6と
図7に示す通り、比較した。一時間時間ごとの週期内に単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)を行った状況において、コンビネーションフィット修正補償方程式を運用することによって、デジタル化応答値を効果的に改善したという劇的な変化が見られた。
【0032】
さらに、修正補償方程式が他の熱カメラにおいて有する効果を確認するために、本発明は異なる二つの熱影像モジュール(A組とB組)を利用して検証を行った。各熱影像モジュールは、それぞれ本発明のコンビネーションフィット修正補償方程式を使用し、熱輻射物理プランク曲線近似公式内の熱輻射補正回帰係数を組み合わせて逆演算を行い(CC)、熱輻射物理プランク曲線近似公式内の熱輻射補正回帰係数のみを逆演算した後(UN)に得られた一時間(前後各一回の単一温度点シャッタ補正)の数値結果分析は以下の通りである。
【0033】
番号A型はコンビネーションフィット修正補償方程式を運用しており、30℃の標準黒体源を測量した実際の温度値では、最小温度値部分を29.29℃から29.40℃に修正し、最大温度値部分は31.24℃から30.43℃に修正し、40℃の標準黒体源を測量した実際の温度値で、最小温度値部分を39.40℃から39.41℃に修正し、最大温度値部分を41.12℃から40.34℃に修正しており、平均値(AVG)、標準偏差(STD)、最小値(MIN)、最大値(MAX)及び中央値(MED)相関数値は表一の通りである。
【0034】
表一、修正方程式により修正した後の温度測定精度表
【0035】
【0036】
番号B型はコンビネーションフィット修正補償方程式を運用しており、30℃の標準黒体源を測量した実際の温度値では、最小温度値部分を29.12℃から29.16℃に修正し、最大温度値部分は31.37℃から30.58℃に修正し、40℃の標準黒体源を測量した実際の温度値で、最小温度値部分を39.27℃から39.27℃に修正し、最大温度値部分を41.38℃から40.59℃に修正しており、相関数値は表二の通りである。
【0037】
表二、修正方程式によらず修正した後の温度測定精度表
【0038】
【0039】
表一、二から、当該コンビネーションフィット修正補償方程式はシャッタ作動後における短時間内の温度測定変異を効果的に抑制することができ、単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)時に引き起こされる温度ドリフトによって温度測定が不正確になることを大幅に改善するということを証明することができる。また、同時に本実施例も異なる種類の熱影カメラに用いることができ、本発明のコンビネーションフィット修正補償方程式が修正補償を行うことによって、温度測定安定性及び高精度温度測定の需要をいずれも維持することができることを証明している。
【0040】
上述したように、本発明は、二次関数によりコンビネーションフィット補正を行うことによって、コンビネーションフィット修正補償方程式を得て、ソフトウェアを演算チップモジュールにロードするか、コンピュータ若しくはマイクロプロセッサ方式を利用して即時演算を行うことで、正確で安定した温度値を素早く得ることができる。本発明はシステムの体積、エネルギー消費又は複雑なハードウェア断熱装置を増やす必要がない。実施例において、30℃、40℃で測量した黒体温度を単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)をした後、短時間の週期内にデジタル化応答値の劇的な変化を引き起こし、コンビネーションフィット修正補償方程式を運用した後、デジタル化応答値劇的な変化は温度測定の不安定さを引き起こし、温度測定結果が不正確であるという課題を効果的に改善することができる。最後に、他の二組熱影像モジュールの検証及び比較により、本発明のコンビネーションフィット修正補償方程式が補償を行うことによって、温度測定安定性及び高精度温度測定の需要をいずれも維持することができることを証明することもできる。
【0041】
上記実施例は、本発明の特性及び効果を例示的に説明するものに過ぎず、本発明の実質的な技術内容の範囲を限定するためのものではない。当業者であれば、いずれも発明の要旨及び範疇に違反しない前提で、上記実施例を調整や変更することができる。したがって、本発明の特許権で保護される範囲は、特許請求の範囲に記載の通りである。
【符号の説明】
【0042】
S1-S4工程
【手続補正書】
【提出日】2023-10-31
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S1)熱影像モジュールがシャッタを開けた後、黒体温度を測量して、フレームタイム及び検出黒体温度により特定される応答値を獲得する工程と、
(S2)当該応答値に線形回帰分析を行って、修正応答値方程式を獲得する工程と、
(S3)当該応答値を当該修正応答値方程式に入力する工程と、
(S4)当該黒体温度を測量した修正応答値を獲得する工程と、
を含み、
当該応答値はライジング区間応答値及びフォーリング区間応答値に分けられ、当該修正応答値方程式をライジング区間修正応答値方程式及びフォーリング区間修正応答値方程式に分け、
当該ライジング区間修正応答値方程式はy=C+0.00438x
2
-1.20399x+20であり、そのうち、yはライジング区間修正応答値であり、Cは当該ライジング区間応答値であり、xはシャッタが開けられた後のフレームタイム累計数値であることを特徴とする熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法。
【請求項2】
当該フォーリング区間修正応答値方程式はy1=C1-0.000072(x-180)2+0.11539(x-180)-50であり、そのうち、y1はフォーリング区間修正応答値であり、C1は当該フォーリング区間応答値であり、xはシャッタが開けられた後のフレームタイム累計数値である、
請求項1に記載の熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法。
【請求項3】
シャッタが開けられた後の1つ目のフレームタイムから180個目のフレームタイムは当該ライジング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法。
【請求項4】
シャッタが開けられた後の181個目のフレームタイムから1080個目のフレームタイムは当該フォーリング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定補正方法に関する発明であり、特に、熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般的な熱影像モジュールを温度の測量に運用される場合、通常起動してから15~20分待つ必要があり、当該熱影像モジュールが一定の動作温度に達させる、即ち、当該熱影像モジュールのセンサーコア(FocalPlaneArray、FPA)チップ温度が比較的安定した後、温度を測量する機能を実行することができる。同時に、均一性及び単一温度点シャッタ補正により、室温から100℃までの温度の影像品質の精度を±5℃又は±5%に維持されることを確保する必要があるが、周期的な単一温度点シャッタ補正期間の測量温度ドリフトは、測量温度精度を低くする主な原因の一つである。上記の欠点を解決するため、一般的には、三つ温度補正方法がある。
【0003】
方法一:最もよく用いられる補正技術は、熱カメラモジュール温度が安定した後、可能な限り単一温度点シャッタ補正を行わずに、直接的に温度測定設備内の温度補差を使用して手動で微調整を行うものである。この方法は、環境温度の変異が比較的低い測量フィールドに適しており、標準メトロロジー単位で補正された非接触温度計を初期参考温度として、手動で温度補差の微調整を行うが、最大の欠点は測量フィールドの制限であり、環境温度変異が比較的高いフィールド及び測量温度の区間が比較的広い目標には適さないことである。
【0004】
方法二:温度測定システムに一組の補正された温度センサ部品を導入し、工場出荷前にチューニングを行う時に、起動してから20分後に、システムが安定した後、単一温度点シャッタ補正プログラムを行うが、その目的は二つある。第一に、影像の均一性を維持することであり、第二に、可能な限り補正温度センサ部品をシャッタの付近に固定することで、シャッタ温度が内外界の温度の影響を受けないようにして、このときの検出シャッタ温度をデジタル応答値に換算する(正確なシャッタ温度とデジタル応答値対応関係を得ることができる)、即ち、センサコアチップでデジタル転換して出力した応答値(カウントで表示する)を獲得し、このシャッタ温度が対応する応答値をシステム記憶ユニット内に記録することで、システムの工場出荷前の温度補正プログラムを完成することである。温度測定システムが起動すると、センサコアチップ操作温度を一定に到達させ(約20分)、測量前に単一温度点シャッタ補正プログラムを行わせ、シャッタが環境温度の変異が比較的低い状況下で温度補差方式(offset)を通じて線形性補償を行うが、これは業界において一般である、いわゆる全自動温度補差補正であり、この技術は、環境温度変異が比較的大きい区間において測量すると、誤差が比較的大きいため精度が悪くなるという欠点がある。
【0005】
方法三:可能な限りすべての影響要素を考慮し、実験を利用して異なるシーンで複雑な直交高次の特徴を転換する行列値関数をシミュレーションして、数値演算を行うところ、温度測定システムはシーン環境の温度、目標物の距離、センサコアチップの操作温度等データのみが必要とされており、当然、これらのデータはいずれも追加の温度及び距離センサー機器により入力されることが必要とされており、出荷前に異なる温度の区間のサンプリング結果と組み合わせて、経験式である直交高次の特徴を転換する行列値関数を得て、この推算により温度値を正確に測量する。
【0006】
方法三は広範囲の温度変異の温度測定を満足することができるが、このような技術の最も主な課題は、大きな行列計算を必要としており、高性能な運用ユニットを常に必要としていることに加え、同時に、演算を簡単にするように、異なるパラメーターの間に相関がないことを仮定する必要があるとしていることである。この方法は大幅に広い温度範囲の温度測定の精度を向上させることができるが、複雑な経験演算行列は、演算チップの負担を高くし、事前に完全な条件をサンプリングすることの難易度を高くし、事前に補正する時間を長くすることを引き起こす他、温度測定モジュールに合わせて、異なる環境温度のセンサー機器、光学シャッタの周辺温度センサー機器、センサーコア作動温度センサー機器を増加する必要があるため、固定式で高性能演算装置を有する高次温度測定システムに適しており、手持ち式温度測定機の温度精度補正には適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
先行技術から、現在、一般的な熱影像モジュールは、実際に運用する前に、まず、起動してセンサコアチップの操作温度が一定になるまで待つか、大量の数値演算により補正する必要があり、それにより正確に温度を測量することができることが知られている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
更に、先行技術が直面する課題を鑑みると、光学シャッタが単一温度点影像均一性補正を行う短い区間内において、センサコアチップは光学シャッタが開閉した後、短時間内の応答値は比較的劇的な波動を有しているため、推算した測量温度値も短時間内の応答値に伴って、不正確になる。したがって、熱影像モジュールの暖機待機時間を縮短させ、大量に数値演算を減少させるために、本発明は、極簡化を利用し、コンビネーションフィット二次曲線双区間接合方程式を汎用し、非線性自動温度補差演算を行って即時演算することにより、正確で安定した温度値を素早く得ることを特徴とする熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法を提供する。
〔課題を解決するための手段〕
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、(S1)熱影像モジュールがシャッタを開けた後、黒体温度を測量して、フレームタイム及び検出黒体温度により特定される応答値を獲得する工程と、(S2)当該応答値に線形回帰分析を行って、修正応答値方程式を獲得する工程と、(S3)当該応答値を当該修正応答値方程式に入力する工程と、(S4)当該黒体温度を測量した修正応答値を獲得する工程と、を含むことを特徴とする熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法を提供する。
【0010】
好ましくは、当該応答値はライジング区間応答値及びフォーリング区間応答値に分けられ、当該修正応答値方程式をライジング区間修正応答値方程式及びフォーリング区間修正応答値方程式に分ける。
【0011】
好ましくは、当該ライジング区間修正応答値方程式はy=C+0.00438x2-1.20399x+20であり、そのうち、yはライジング区間修正応答値であり、Cは当該ライジング区間応答値であり、xはシャッタが開けられた後のフレームタイム累計数値である。
【0012】
好ましくは、当該フォーリング区間修正応答値方程式はy1=C1-0.000072(x-180)2+0.11539(x-180)-50であり、そのうち、y1はフォーリング区間修正応答値であり、C1は当該フォーリング区間応答値であり、xはシャッタが開けられた後のフレームタイム累計数値である。
【0013】
好ましくは、シャッタが開けられた後の1つ目のフレームタイムから180個目のフレームタイムは当該ライジング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする。
【0014】
好ましくは、シャッタが開けられた後の181個目のフレームタイムから1080個目のフレームタイムは当該フォーリング区間応答値の時間間隔であることを特徴とする。
〔発明の効果〕
【0015】
本発明が提供する熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法によって、線形回帰分析と数値計算法則によりコンビネーションフィット修正補償方程式が得られ、ソフトウェアを演算チップモジュールにロードするか、コンピュータ若しくはマイクロプロセッサ方式を利用して即時演算を行うことで、正確で安定した温度値を素早く得ることができ、熱影像モジュールが起動してからシステムが安定するまでの時間を効果的に短縮することができる。本発明は、システムの体積、エネルギー消費及び複雑なハードウェア断熱装置を増やす必要はなく、熱影像画素及び二点温度補正、ムラ欠陥置換に適用することもでき、その後、温度測定熱影カメラのシステムハードウェア絶縁及び散熱設計の複雑さ、システム体積とエネルギー消費を軽減し、システムハードウェアアーキテクチャを変える必要はなく、製造コストを直接的に下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1は本発明の
熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法の流れ図である。
【0017】
図2は熱影像モジュール40℃、30℃の標準黒体放射源を測量したデジタル化応答値と時間との関係図である。
【0018】
図3は熱影像モジュールが補正された後の1080frames時間間隔内に、40℃、30℃の標準黒体放射源を測量したデジタル化応答値と時間との関係図である。
【0019】
図4は30℃の標準黒体放射源を測定した応答値ライジング区間及びフォーリング区間であり、応答値は二次関数コンビネーションフィット回帰を使用している。
【0020】
図5は40℃の標準黒体放射源を測定した応答値ライジング区間及びフォーリング区間であり、応答値は二次関数コンビネーションフィット回帰を使用している。
【0021】
図6は温度補正前、補正後の30℃の標準黒体放射源を測量したデジタル化応答値出力曲線図である。
【0022】
図7は温度補正前、補正後の40℃の標準黒体放射源を測定したデジタル化応答値出力曲線図である。
【0023】
以下、特定の具体的な実施例を挙げて本発明の実施方法を説明する。この技術分野を熟知した者であれば本明細書に開示された内容から本発明の利点と効果を容易に理解できるであろう。
【0024】
図1を参照されたい。
図1は本発明の
熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法の流れ図である。
熱影像モジュールにより測定された温度の補正方法は、(S1)
熱影像モジュールがシャッタを開けた後、黒体温度を測量して、フレームタイム及び検出黒体温度により特定される応答値を獲得する工程と、(S2)当該応答値に線形回帰分析を行って、修正応答値方程式を獲得する
工程と、(S3)当該応答値を当該修正応答値方程式に入力する
工程と、(S4)当該黒体温度を測量した修正応答値を獲得する
工程
と、を含む。
【0025】
詳細には、
図2において、一般的な熱影像モジュールが温度補正を行う時、まず、単一温度点シャッタ補正
周期(即ち、光学シャッタ作動
周期)を3600秒に設定し、
フレーム周波数を1/9秒(1時間に1回光学シャッタを開閉する。32400frames時間間隔≡1hr)に設定し、今後の利用シーンは、測量対象物から約1メートル離れた場所を想定していることから、1メートルの距離で、標準黒体放射源を測量し、そのときの温度はそれぞれ30℃及び40℃であり、同時に一つ一つの
フレーム
タイム(Frame)で監視されたデジタル化応答値(ここではそれぞれのframeの画素デジタル化応答値の平均を表示する)を記録し、
図2が示す通り、単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)を実行した後、短時間の
周期内にデジタル化応答値の劇的な変化を引き起こし、デジタル化応答値はプランク熱輻射曲線近似公式を通して、逆演算を行い標準黒体放射源の表面温度値を得ることができる。したがって、
図2が示す通り、表面温度が30℃及び40℃である標準黒体放射源を測量し、単一温度点シャッタ補正を行った後、短期間で温度測定センサーコアFPAチップのデジタル化応答値に劇的な変化(それぞれ32400Frames時間間隔ごとに一個突波曲線を有する)を引き起こした。
【0026】
図3に示す通り、光学シャッタが作動した後、温度測定センサーコアFPAチップデジタル化応答値が劇的な変化した区間を細部まで観察するために、この応答値が劇的に変化した区間を拡大して観察した。その
周期は、120秒(1080frames時間間隔に相当する。この
フレーム
タイム数=9frams/sec)であり、且つ標準黒体温度30℃及び40℃を測定したデジタル化応答値の関係図である。
図3から30℃及び40℃の標準黒体を測量したデジタル化応答値の変化傾向は一致していることが得られた、即ち、光学シャッタが作動した後、応答値初期値は定常時よりも低く、その後、劇的に上昇し(第一時間区間)、180個目のFrame時間
周期に近づいた後、最高値に近づき、その後、転換が発生して(第二時間区間)、次第にシャッタが作動する前に測量した標準黒体のデジタル化応答値まで下がった。
【0027】
本発明を先行技術能と一定の測量精度で比較するために、演算を更に簡略化することで、高性能演算装置の使用を減らした。したがって、本発明は、この関係曲線を180Frame目(変化が緩やかな箇所)で二分割し、それぞれライジング区間応答値及びフォーリング区間応答値に切り分け、その曲線傾向を分析し、二次関数コンビネーションフィット回帰を使用し、平均コンビネーションフィット度(R
2)値は0.96以上を達することを満たし、最後に、各レベルの係数を導き出し、30℃及び40℃の標準黒体のデジタル化応答値を測量して、1080個のFrame時間
周期下でコンビネーションフィットした後、二次曲線双区間接合分析を行った。それぞれ
図4、
図5で示す通りである。
【0028】
図4から、30℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=-0.0046x
2+1.2503x+3546である。30℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=5e
-5x
2-0.0882x+362である。
【0029】
図5から、40℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=-0.0048x
2+1.3142x+4151である。40℃の標準黒体輻射強度ライジング区間を測量した応答値を二次関数コンビネーションフィット回帰に使用した後、当該ライジング区間修正関数はy=8e
-5x
2-0.1305x+4238である。
【0030】
上記実施例から、異なる温度下において、二次関数を使用してコンビネーションフィットを行うことで、単一温度点シャッタ補正デジタル化応答値の修正を行うことができ、上記で得た修正関数の係数データによって、その各レベルコンビネーションフィット係数の平均値を取得して、コンビネーションフィット修正補償方程式を得ることができた。当該ライジング区間修正応答強度値の方程式はy=C+0.00438x2-1.20399x+20であり、フォーリング区間修正応答強度値的方程式はy1=C1-0.000072(x-180)2+0.11539(x-180)-50であり、そのうち、yはライジング区間修正応答値であり、Cは標準黒体輻射を測量したライジング区間応答値であり、y1はフォーリング区間修正応答値であり、C1は標準黒体輻射を測量したフォーリング区間応答値であり、xはシャッタが開けられた後のフレームタイム累計数値である。
【0031】
コンビネーションフィット修正補償方程式を運用して30℃及び40℃の標準黒体源のデジタル化応答値を測量することによって、長い時間
周期下においてコンビネーションフィット修正補償を運用した実験結果とコンビネーションフィット修正補償を運用しなかった実験結果を、
図6と
図7に示す通り、比較した。一時間時間ごとの
周期内に単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)を行った状況において、コンビネーションフィット修正補償方程式を運用することによって、デジタル化応答値を効果的に改善したという劇的な変化が見られた。
【0032】
さらに、修正補償方程式が他の熱カメラにおいて有する効果を確認するために、本発明は異なる二つの熱影像モジュール(A組とB組)を利用して検証を行った。各熱影像モジュールは、それぞれ本発明のコンビネーションフィット修正補償方程式を使用し、熱輻射物理プランク曲線近似公式内の熱輻射補正回帰係数を組み合わせて逆演算を行い(CC)、熱輻射物理プランク曲線近似公式内の熱輻射補正回帰係数のみを逆演算した後(UN)に得られた一時間(前後各一回の単一温度点シャッタ補正)の数値結果分析は以下の通りである。
【0033】
番号A型はコンビネーションフィット修正補償方程式を運用しており、30℃の標準黒体源を測量した実際の温度値では、最小温度値部分を29.29℃から29.40℃に修正し、最大温度値部分は31.24℃から30.43℃に修正し、40℃の標準黒体源を測量した実際の温度値で、最小温度値部分を39.40℃から39.41℃に修正し、最大温度値部分を41.12℃から40.34℃に修正しており、平均値(AVG)、標準偏差(STD)、最小値(MIN)、最大値(MAX)及び中央値(MED)相関数値は表一の通りである。
【0034】
表一、修正方程式により修正した後の温度測定精度表
【表1】
【0035】
番号B型はコンビネーションフィット修正補償方程式を運用しており、30℃の標準黒体源を測量した実際の温度値では、最小温度値部分を29.12℃から29.16℃に修正し、最大温度値部分は31.37℃から30.58℃に修正し、40℃の標準黒体源を測量した実際の温度値で、最小温度値部分を39.27℃から39.27℃に修正し、最大温度値部分を41.38℃から40.59℃に修正しており、相関数値は表二の通りである。
【0036】
表二、修正方程式によらず修正した後の温度測定精度表
【表2】
【0037】
表一、二から、当該コンビネーションフィット修正補償方程式はシャッタ作動後における短時間内の温度測定変異を効果的に抑制することができ、単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)時に引き起こされる温度ドリフトによって温度測定が不正確になることを大幅に改善するということを証明することができる。また、同時に本実施例も異なる種類の熱影カメラに用いることができ、本発明のコンビネーションフィット修正補償方程式が修正補償を行うことによって、温度測定安定性及び高精度温度測定の需要をいずれも維持することができることを証明している。
【0038】
上述したように、本発明は、二次関数によりコンビネーションフィット補正を行うことによって、コンビネーションフィット修正補償方程式を得て、ソフトウェアを演算チップモジュールにロードするか、コンピュータ若しくはマイクロプロセッサ方式を利用して即時演算を行うことで、正確で安定した温度値を素早く得ることができる。本発明はシステムの体積、エネルギー消費又は複雑なハードウェア断熱装置を増やす必要がない。実施例において、30℃、40℃で測量した黒体温度を単一温度点シャッタ補正(光学シャッタ作動)をした後、短時間の周期内にデジタル化応答値の劇的な変化を引き起こし、コンビネーションフィット修正補償方程式を運用した後、デジタル化応答値劇的な変化は温度測定の不安定さを引き起こし、温度測定結果が不正確であるという課題を効果的に改善することができる。最後に、他の二組熱影像モジュールの検証及び比較により、本発明のコンビネーションフィット修正補償方程式が補償を行うことによって、温度測定安定性及び高精度温度測定の需要をいずれも維持することができることを証明することもできる。
【0039】
上記実施例は、本発明の特性及び効果を例示的に説明するものに過ぎず、本発明の実質的な技術内容の範囲を限定するためのものではない。当業者であれば、いずれも発明の要旨及び範疇に違反しない前提で、上記実施例を調整や変更することができる。したがって、本発明の特許権で保護される範囲は、特許請求の範囲に記載の通りである。
【符号の説明】
【0040】
S1-S4工程
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正方法】変更
【補正の内容】