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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059041
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】磁界検出素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 33/02 20060101AFI20240422BHJP
   H01L 29/82 20060101ALI20240422BHJP
   H10N 50/10 20230101ALI20240422BHJP
【FI】
G01R33/02 D
H01L29/82 Z
H01L43/08 Z
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166548
(22)【出願日】2022-10-17
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-10
(71)【出願人】
【識別番号】713000630
【氏名又は名称】マグネデザイン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】工藤 一恵
(72)【発明者】
【氏名】田辺 淳一
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 義信
(72)【発明者】
【氏名】菊池永喜
(72)【発明者】
【氏名】本蔵 晋平
【テーマコード(参考)】
2G017
5F092
【Fターム(参考)】
2G017AA02
2G017AD44
5F092AA01
5F092AA11
5F092AA12
5F092AB01
5F092CA04
5F092CA08
5F092CA25
5F092EA08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Si基板上に磁界検出素子を作成する際に、逆台形状の溝内にコイルピッチを微細化しようとすると、溝の上部の段差や底面のエッジにより断線しやすくなり、検出コイルを構成する上部コイルや下部コイルの形成が困難である。
【解決手段】溝部にネガレジスト系樹脂被膜の塗布とキュア熱処理により、溝底部の形状をR形状とすることにより下部コイルの断線の防止を図る。また、溝の上部の磁性ワイヤとの段差はポジレジスト系樹脂被膜の塗布とキュア熱処理によりなだらかな形状にして上部コイルの断線の防止を図る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱酸化膜SiOに被覆されたSi基板、前記Si基板上に絶縁性ガラスに被覆された磁性ワイヤ、前記磁性ワイヤを周回する下部コイルと上部コイルとからなる検出コイルおよび電極を備える複数個の磁界検出素子からなる磁界検出素子の製造方法において、
(1) 前記Si基板の全面にレジストを塗布し、素子形成部にはライン状のマスク、アライメントマーク形成部にはアライメントマークとなる十字型と複数の長方形状を配置したマスクを用いて露光、現像し、CFガスを使ったRIEにより熱酸化膜SiOを除去してSi面を露出する工程と、
(2)前記Si面が露出した前記Si基板を水酸化カリウム溶液(40wt%)に浸漬して複数本の逆台形状の溝と十字型と複数の長方形状を配置したアライメントマークを形成する工程と、
(3)前記溝以外に残存する熱酸化膜SiOはCFガスを使ってRIEにより除去する工程と、
(4)前記Si基板の全面にSi絶縁膜を成膜した後、ネガレジスト系の樹脂被膜を塗布し、露光、現像して溝部のみに樹脂被膜を残してキュア熱処理によって溝の底部にR形状を形成する工程と、
(5)前記逆台形状の溝に沿って前記下部コイルと基板上の電極配線と下部コイル以降のアライメントマークを形成する工程と、
(6)前記複数本の溝に沿って前記磁性ワイヤを張力50~100kg/mmの張力を負荷して挿置・仮固定・切断して配置し仮固定する工程と、
(7)基板全面にネガレジスト系樹脂被膜を塗布し、露光、現像して前記磁性ワイヤ部のみにネガレジスト系樹脂被膜を残し、前記張力を付加したまま、キュア熱処理をして前記ワイヤを前記溝内に固定する工程と、
(8)前記ワイヤと電極配線を接合するためのワイヤ電極部にある前記ワイヤを被覆している絶縁性ガラスをCF-RIEにより除去する工程と、
(9)基板全面にポジレジスト系樹脂被膜を塗布し、露光、現像して前記溝と磁性ワイヤ部のみにポジレジスト系樹脂被膜を残し、キュア熱処理して段差部を滑らかにする工程と、
(10)上部コイルおよび電極配線を形成する工程と、
(11)前記磁性ワイヤと前記検出コイルと前記電極からなる前記磁界検出素子の集合体を個片化する工程と、
からなることを特徴とする磁界検出素子の製造方法。
【請求項2】
請求項1の工程(6)において、
張力を弾性限界以上の張力を負荷して基板上の溝に沿って整列させた後、磁性ワイヤを接着剤で仮固定し、10kg/mm~76kg/mmの張力を残存させ、かつ工程(7)において、250℃~350℃の温度で張力熱処理を実施することを特徴とする磁界検出素子の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Si基板に逆台形状の溝を形成して10μm以下の微細コイルピッチよりなる磁界検出素子の製造方法に関する。
【0002】
高感度磁気センサには、ホールセンサ、GMRセンサ、TMRセンサ、高周波キャリアセンサ、FGセンサ、MIセンサ、GSRセンサなどがある。これらのセンサのうち、ホールセンサ、GMRセンサ、TMRセンサ、高周波キャリアセンサは素子とASICが一体化されて小型化、薄型化が実現されているが、検出感度の改善が課題である。
一方、FGセンサ、MIセンサ、GSRセンサは高い感度を有するが、素子とASICが別々に配置されてワイヤボンディングで接合されており、センサの薄型化・小型化、およびさらなる高感度化が課題である。
【0003】
この課題の解決のため、本発明者らは、磁界検出素子のコイルピッチを微細化して高感度化・小型化を図る技術開発を取り組んだ結果、センサの小型化・感度化を実現した(特許文献1)。
特許文献1にて、コイルピッチ14μmのMI素子が開示されている。しかし、その製造方法についてはその後の改良が続けられているが、現時点ではその技術の詳細な開示はされていない。
また、さらなるコイルピッチの微細化として10μm、5μmそして3μmが課題となっている。
【0004】
また、本発明者らは、磁気特性とGSR特性を両立できる最適な張力熱処理条件を見出した(特許文献2)。しかし、その製造方法についてはその後の改良が続けられているが、現時点ではその技術の詳細な開示はされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5747294号公報
【特許文献2】特許第6924453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
磁界検出素子の磁性ワイヤを配置する溝を基板に形成する方法としては、一般的に知られているのはRIE(Reactive Ion Etching)である。しかし、RIEで形成された溝は直方体形状となり、溝の側面にコイルを形成することが困難である。
【0007】
台形状の溝を形成するには、Si基板にその方位によりエッチング速度が異なるため、結晶方位<100>のSi基板10を用いることで、異方性エッチングにより図1に示すような逆台形状の溝11を形成することができる。
しかし、このような逆台形状の形状であっても、Si基板特有のシャープなエッジが溝の上部101、底部102には生じてしまう。このようなエッジは、コイルピッチが微細化すればするほどコイル形成の際に金属膜の段切れが発生(断線)しやすくなり、微細なコイルピッチの形成がより困難となる
【課題を解決するための手段】
【0008】
結晶方位<100>のSi基板上には100nm程度のSiOからなる熱酸化膜が形成されている。
まず、最初にこの熱酸化膜12を除去するため、レジストをSi基板10の全体に塗布し、下部コイル、上部コイルおよび磁性ワイヤを配置する帯状範囲に相当するライン状のマスクを用いて露光、現像し、RIEで熱酸化膜を除去し、溝形成部のSi面を露出させる。この時、アライメントマーク部に相当する部分には、十字マーク型と複数の長方形状を配置したマスクを用いて、ライン状マスクと同時に露光、現像、RIEを行い、アライメントマークを同時に形成する。
【0009】
次に、アルカリ系のエッチング液(例えば、水酸化カリウム溶液)に浸漬する。Si基板はその方位によりエッチング速度が異なるため、結晶方位<100>のSi基板10を用いることで、異方性エッチングにより図1に示すような逆台形状の溝11を形成することができる。
磁性ワイヤを周回する微細なコイルピッチからなるコイルを磁性ワイヤ近傍に形成する必要から、溝の形状は逆台形型であることが必須である。
【0010】
所定の溝の深さまでエッチングした後、RIEで溝以外のSi基板上に残存している熱酸化膜12を除去する。これは、ウェットエッチングは、溝深さ方向だけでなく溝幅方向にも進むために熱酸化膜の下部のSiがエッチングされることにより、熱酸化膜が庇状121に残ってしまう。この庇の下側には下部コイル形成時の金属膜が付きまわらないので断線の原因となる。また、溝の底部についてもそのエッジ102はシャープなままであり、これも断線の原因となる。
【0011】
次に、図2に示すようにSi基板と下部コイルを絶縁するためのSi絶縁膜21を基板全体に成膜後、ネガレジスト系の樹脂被膜22を塗布し、露光、ベーク、現像後、溝部のみに樹脂被膜を残し、キュア熱処理をする。これにより、溝の底部にはR形状(R部)201が形成される。ここで、キュア熱処理の温度は250~350℃である。
【0012】
次に、下部コイルを形成するため、金属膜を成膜する。その後、レジスト塗布、露光、現像工程で下部コイルパターンを形成する。この時、アライメントマーク部には下部コイル以降の工程のための十字パターンと複数の長方形状を配置することで、アライメントマークも同時に形成する。
そして、メッキ、ウェット後にレジストを除去することで溝部に厚さ0.2~1.0μmの下部コイルが形成される。溝部の底部にはR部が形成されており、線幅0.5~2μmの微細配線でも下部コイルは断線することなく形成できる。
【0013】
次に、下部コイルが形成された溝に、張力50~100kg/mmの張力を負荷して磁性ワイヤを配置する。この時、磁性ワイヤはその張力を維持するため、接着剤、テープ等で治具に固定される。その後、ネガレジスト系樹脂被膜を塗布し、磁性ワイヤの仮固定のため、90℃の熱処理を行う。そして、露光、ベーク、現像、キュア熱処理をすることで磁性ワイヤを溝内部に固定するとともに、ワイヤは張力を維持したまま熱処理されるため、GSR特性が改善できる。ここで、キュア熱処理の温度は250~350℃である。
【0014】
溝内部に固定された磁性ワイヤにワイヤ端子(磁性ワイヤの両端部)を設けるために磁性ワイヤを被覆している絶縁性ガラスの一部を除去する。
一般的には、フッ酸処理が知られているが、試作の結果はワイヤ端子周辺の損傷が大きく、素子形成に多大な影響を及ぼしてしまう。そこで、鋭意検討してCFガスを用いたRIE法でガラス除去できることを見出し、以降、RIE法でガラス除去を行なう。
【0015】
次に、磁性ワイヤの上部にポジレジスト系樹脂被膜を塗布し、キュア熱処理を行なう。これにより、溝と磁性ワイヤとの段差を解消することができる。
【0016】
一般的には、構造物として残すレジストとしてはネガタイプのレジストが知られている。しかし、ネガタイプのレジストはエッジ形状が急峻となるため、次工程以降でこの部分に上部コイルに必要な金属膜がうまくつきまわらず、断線の懸念がある。
そこで、キュア熱処理後に形状が変化することから構造物として残すレジストとしては一般的に使われないポジレジスト系樹脂被膜について検討した。その結果、ポジレジスト系樹脂被膜はキュア熱処理後にそのエッジ形状をなだらかに改善でき、断線の懸念なく段差を解消することができる。
【0017】
そして、上部コイルを形成するために金属膜を成膜する。その後、レジスト塗布、露光、現像工程により、磁性ワイヤの上には上部コイル、基板上には電極パターン(ワイヤ端子、配線を含む。)を形成し、めっき、ウェット後にレジストを除去することで上部コイルが形成される。
下部コイルとの接続部はなだらかな形状をしており、断線もなく上部コイルを形成できることにより磁性ワイヤを周回する検出コイルを得ることができる。
【0018】
このように磁性ワイヤを配置するSi基板の逆台形状の溝底部、および上部コイルと下部コイルとの接続部の形状をR形状にしてなだらかにすることにより、10μm以下の微細なピッチコイルの形成が可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、コイルの断線を防止することが可能となり、Si基板上に10μm以下の微細なピッチコイルを有するより高感度の磁界検出素子の製造が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】Si基板に形成された逆台形状の溝における上部エッジ、下部エッジおよび庇を示す図である。
図2】Si基板の全面にSi絶縁膜を成膜し、ネガレジスト系樹脂被膜により溝底部はR形状を示す図である。
図3】Si基板上に配置された、磁界検出素子とアライメントマークを示す平面図
図4】Si基板上に絶縁性ガラスに被覆された磁性ワイヤ、前記磁性ワイヤを周回する下部コイルと上部コイルとからなる検出コイルおよび電極を備える磁界検出素子の平面図
図5図4のA1-A2線の断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
【実施例0022】
幅0.40mm、長さ0.50mmのSi基板10からなるGSR素子の製造方法を、図1~3を用いて以下に説明する。
【0023】
工程(a)
結晶方位<100>のSi基板上には100nm程度のSiOからなる熱酸化被膜が形成されている。
まず、最初にこの熱酸化膜を除去するために、基板全体にレジストを塗布し、ライン状のマスクを用いて露光、現像し、CFガスを使い、RIE(Reactive Ion Etching)で熱酸化膜を除去し、Si面を露出させる。
【0024】
工程(b)
次に、水酸化カリウム溶液に浸漬する。Si基板はその方位によりエッチング速度が異なるため、結晶方位<100>のSi基板10を用いることで、異方性エッチングにより図1に示すような逆台形状の溝11を形成することができる。
【0025】
工程(c)
所定の溝の深さまでエッチングした後、CFRIEで熱酸化膜12を除去する。
【0026】
工程(d)
Si基板と下部コイルとの絶縁するためのSi絶縁膜21を基板全体に300nm成膜後、ネガレジスト系の樹脂被膜22を塗布し、露光、ベーク、現像後、溝部のみに樹脂被膜を残し、280℃にて1時間キュア熱処理をする。これにより、溝の底部にはR形状(R部)201が形成される(図2)。
【0027】
工程(e)
次に、下部コイルを形成するため、金属膜を100nm程度成膜する。その後、レジスト塗布、露光、現像工程で下部コイルパターンを形成する。
そして、メッキ、ウェット後にレジストを除去することで溝部に線幅1.2μm、厚さ0.7μmの下部コイルが形成される。溝部の底部にはR部が形成されており、線幅1μmの微細配線でも下部コイルは断線することなく形成できる。
【0028】
工程(f)
下部コイルが形成された溝に、張力70kg/mmの張力を負荷して磁性ワイヤを配置する。この時、磁性ワイヤはその張力を維持するため、接着剤、テープ等で治具に固定される。その後、ネガレジスト系樹脂被膜を塗布し、磁性ワイヤの仮固定のため、90℃の熱処理を行う。そして、露光、ベーク、現像、280℃にて1時間のキュア熱処理をすることで磁性ワイヤを溝内部に固定するとともに、ワイヤは張力を維持したまま熱処理されるため、GSR特性が改善できる。
【0029】
工程(g)
磁性ワイヤにワイヤ端子(磁性ワイヤの両端部)を設けるために磁性ワイヤを被覆している絶縁性ガラスの一部を、CFガスを用いたRIE法で除去する。
【0030】
工程(h)
次に、溝と磁性ワイヤの段差を解消するため、ポジレジスト系の樹脂被膜を基板全体に塗布、露光、現像、280℃にて1時間のキュア熱処理をして溝内部に固定する。
【0031】
工程(i)
上部コイルを形成するため、100nm程度の金属膜を成膜する。その後、レジスト塗布、露光、現像工程で磁性ワイヤの上部に上部コイルと電極パターンとを形成し、メッキ、ウェット後にレジストを除去することで磁性ワイヤの上部に線幅1.2μm、厚さ0.8μmの上部コイルが形成される。下部コイルとの接続部はなだらか形状をしており、断線もなく、上部コイルも形成される。併せて、ワイヤ端子、電極および配線も形成される。
【0032】
以上の工程で製造されるGSR素子について、Si基板上に配置された、複数の磁界検出素子(集合体)と、複数のアライメントマークを示す平面図(a)とSi基板上に絶縁性ガラスに被覆された磁性ワイヤ、前記磁性ワイヤを周回する下部コイルと上部コイルとからなる検出コイルおよび電極を備える磁界検出素子の平面図(b)および平面図(b)のA1-A2線の断面図(c)に示し、説明する。
まず、図3(a)の平面図から説明する。
Si基板30は20mm角に切断され、その上には、多数個の磁界検出素子30aと、基板の4隅にアライメントマーク30bが配置されている。磁界検出素子はこの基板単位で製造し、最後に個片化を行う。
【0033】
次に、図3(b)の平面図を説明する。
Si基板30は、表面全体がSi絶縁膜301により被覆され、そのサイズは幅(左右方向)0.4mm、長さ(上下方向)0.5mmよりなる。厚さは0.55mmである。
【0034】
Si基板上30に逆台形状の溝31、下部コイル32が形成され、磁性ワイヤ33が配置・固定されている。磁性ワイヤの周囲は、下部コイル32および上部コイル34からなる検出コイルが周回している。検出コイルのコイルピッチは3.0μmで、線幅は1.2μm、厚さ0.7μmである。
【0035】
磁性ワイヤ33には、ワイヤ端子331が2個形成され、それぞれワイヤ端子331と接続する配線332およびワイヤ電極333が形成されている。また、下部コイル32及び上部コイル34と接続する配線321,341およびコイル電極342が2個形成されている。
【0036】
次に、図3(c)に示すA1-A2線の断面図でもって説明する。
Si基板上30に逆台形状の溝31が形成され、溝31内の表面はSi絶縁膜301により被覆されている。そのSi絶縁膜301に被覆されている溝底部にR形状(104)からなるネガレジスト系樹脂被膜302が形成されている。
【0037】
そのネガレジスト系樹脂被膜302の上に、下部コイル32を形成した後、磁性ワイヤ33が配置され、ネガレジスト系樹脂被膜303により固定されている。
磁性ワイヤ33は、厚さ1.0μmの絶縁性ガラスにより被覆され、その直径は12μmである。
【0038】
Si絶縁膜301に被覆されている溝31と磁性ワイヤ33との段差を解消するために、溝31と磁性ワイヤ33との間にポジレジスト系樹脂被膜304が形成されている。
このポジレジスト系樹脂被膜304は、磁性ワイヤ33の上にも行き渡って
おり、その上に上部コイル34が形成されている。
下部コイル32と上部コイル34とは、それぞれの接続部(321、341)でもってなだらかな形状で接続されている。
【0039】
以上の工程により、Si基板を用いて磁性ワイヤを配置する溝底部、および上部コイルと下部コイルの接続部にそれぞれR形状としてなだらかにすることにより、10μm以下の微細なコイルピッチを形成し、より高感度な磁気検出素子を製造することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、Si基板を用いて微細なコイルピッチからなる磁界検出素子の製造を実現するもので、高感度な磁界検出装置としての利用が期待できる。
【符号の説明】
【0041】
1:溝形成されたSi基板
10:Si基板、101:溝上部のエッジ、102:溝底面のエッジ、121:

11:Si基板に形成された逆台形状の溝
2:溝底部のR形状
201:溝底部のR部
21:SiN絶縁膜
22:樹脂被膜
3a:磁界検出素子(集合体)とアライメントマークの平面図
3b:磁界検出素子の平面図
3c:磁界検出素子の断面図
30:Si基板、
30a:磁界検出素子
30b:アライメントマーク
301:Si絶縁膜、302:ネガレジスト系樹脂被膜、303:ネガレジスト系樹脂被膜(磁性ワイヤ固定用)、304:ポジレジスト系樹脂被膜(段差解消用)
31:逆台形状の溝
32:下部コイル
33:磁性ワイヤ
331:ワイヤ端子、332:配線、333:ワイヤ電極
34:上部コイル
341:配線、342:コイル電極









図1
図2
図3
図4
図5