(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059044
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】除雪車輌による除雪作業のための安全支援方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G08B 25/04 20060101AFI20240422BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240422BHJP
G08B 25/00 20060101ALI20240422BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20240422BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G08B25/04 C
G06Q50/10
G08B25/00 510M
G08B21/02
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166552
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】595165852
【氏名又は名称】宮川興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067758
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 綾雄
(72)【発明者】
【氏名】宮川 訓
(72)【発明者】
【氏名】石井 和夫
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA12
5C086AA52
5C086BA22
5C086CA28
5C086CB36
5C086DA07
5C086EA40
5C086EA45
5C086FA06
5C086FA17
5C087AA09
5C087AA37
5C087DD02
5C087DD14
5C087EE02
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087GG02
5C087GG08
5C087GG09
5C087GG66
5C087GG84
5H181AA07
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB12
5H181BB13
5H181CC04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5L049CC11
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】
作業路線の積雪前の路面映像を除雪作業者に提示し、危険物等の存在を作業者に知らせることができるようにして、作業者のミスによる事故の発生を未然に防ぐことができる除雪作業における事故防止支援方法及びシステムを提供する
【解決手段】
積雪前にデジタルビデオカメラを使用して除雪対象路線の映像を撮影し、コンピュータにインストールした画像を加工するためのアプリケーションソフトを用いて撮影した積雪前の路面映像の位置情報をビデオ画像表示装置の位置情報にリンクさせ、積雪前の路面映像の危険個所にアラート画像を付加し、路面映像の加工処理を行う。小型軽量のビデオ画像表示装置にアラート画像を付加した加工路面映像のデータを入力し、ビデオ画像表示装置を除雪車輌の運転者が見える位置に配置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積雪前にデジタルビデオカメラを使用して除雪対象路線の映像を撮影するステップと、コンピュータにインストールした画像を加工するためのアプリケーションソフトを用いて、撮影した積雪前の路面映像の位置情報をビデオ画像表示装置の位置情報にリンクさせ、積雪前の路面映像の危険個所にアラート画像を付加し、路面映像の加工処理を行うステップと、小型軽量のビデオ画像表示装置にアラート画像を付加した加工路面映像のデータを入力するステップと、ビデオ画像表示装置を除雪車輌の運転者が見える位置に配置するステップとから成る除雪車輌による除雪作業のための安全支援方法。
【請求項2】
積雪前に除雪対象路線の位置情報を含む路面映像を撮影するデジタルビデオカメラと、撮影した積雪前の路面映像の危険個所にアラート画像を付加し映像の加工処理を行うためのアプリケーションソフトをインストールしたコンピュータと、GPS機能を有しアプリケーションソフトで加工した映像データを画面に表示するための小型軽量の画像表示装置とから成り、画像表示装置を除雪車輌の運転者が見える位置に配置するようにした除雪車輌による除雪作業のための安全支援システムであって、コンピュータにインストールしたアプリケーションソフトがコンピュータを、
デジタルビデオカメラの出力路面映像データを受信するための路面映像受信手段、
路面映像データを画像表示装置の位置情報にリンクさせる位置情報リンク設定手段、
アラート画像の表示位置を特定するための危険個所登録手段、
危険個所登録情報に基づいてアラート画像を路面映像データに付加するためのアラート画像入力手段、
アラート画像が付加された路面映像データを加工路面映像データとして保管する加工路面映像保管手段
として機能させ、前記画像表示装置の画面に画像表示装置の位置情報にリンクさせた加工路面映像データを表示するようにしたことを特徴とする除雪車輌による除雪作業のための安全支援システム。
【請求項3】
前記アラート画像が付加された加工路面映像データに危険を知らせる警告音声データを付加したことを特徴とする請求項2に記載の除雪車輌による除雪作業のための安全支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライブレコーダーやデジタルビデオカメラなどの映像データを用いた、除雪車輌による除雪作業のための安全支援方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
除雪車両による除雪作業はベテラン作業員の経験に基づく高い技術力と感性が必要とされている。そのため、従来、安全に除雪作業を行うための除雪支援システムが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除雪車輌を用いた除雪作業において、近年、少子高齢化に伴うベテラン作業員の退職が進み、若手作業員の経験不足に基づく除雪作業の事故が多発している。作業に慣れていないことからくる除雪作業時の車輌の脱輪やマンホールや標識・ポストなどへの車輌の衝突破損、それに基づく作業者のむち打ちなどの負傷が多発している。また、従来の、安全に除雪作業を行うための除雪支援システムは構成が複雑であり、容易に採用できないという問題点がある。
本発明は、作業路線の積雪前のアラート画像を付加した加工路面映像を除雪作業者に提示し、危険物等の存在を作業者に知らせることができるようにして、作業者のミスによる事故の発生を未然に防ぐことができる構成が簡単な事故防止支援方法及びシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、積雪前にデジタルビデオカメラを使用して除雪対象路線の映像を撮影するステップと、コンピュータにインストールした画像を加工するためのアプリケーションソフトを用いて、撮影した積雪前の路面映像の位置情報をビデオ画像表示装置の位置情報にリンクさせ、積雪前の路面映像の危険個所にアラート画像を付加し、路面映像の加工処理を行うステップと、小型軽量のビデオ画像表示装置にアラート画像を付加した加工路面映像のデータを入力するステップと、ビデオ画像表示装置を除雪車輌の運転者が見える位置に配置するステップとから成ることを特徴とする。
また、本発明は、積雪前に除雪対象路線の位置情報を含む路面映像を撮影するデジタルビデオカメラと、撮影した積雪前の路面映像の危険個所にアラート画像を付加し映像の加工処理を行うためのアプリケーションソフトをインストールしたコンピュータと、GPS機能を有しアプリケーションソフトで加工した映像データを画面に表示するための小型軽量の画像表示装置とから成り、画像表示装置を除雪車輌の運転者が見える位置に配置するようにした除雪車輌による除雪作業のための安全支援システムであって、コンピュータにインストールしたアプリケーションソフトがコンピュータを、
デジタルビデオカメラの出力路面映像データを受信するための路面映像受信手段、
路面映像データを画像表示装置の位置情報にリンクさせる位置情報リンク設定手段、
アラート画像の表示位置を特定するための危険個所登録手段、
危険個所登録情報に基づいてアラート画像を路面映像データに付加するためのアラート画像入力手段、
アラート画像が付加された路面映像データを加工路面映像データとして保管する加工路面映像保管手段
として機能させ、前記画像表示装置の画面に画像表示装置の位置情報にリンクさせた加工路面映像データを表示するようにしたことを特徴とする。
また、本発明は、前記アラート画像が付加された加工路面映像データに危険を知らせる警告音声データを付加したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、除雪車による除雪作業において、作業者は、運転席に配置したタブレットなどの画像表示装置の画面により、雪のない道路画像と登録した危険個所等を示すアラート画像で確認しながら安全に作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の構成を添付した図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明の実施手順を示すフローチャートであり、まず、ステップ1で積雪前に除雪対象路線の映像を撮影する。撮影機器は、ドライブレコーダー3やGOPRO(ブランド名)5などのデジタルビデオカメラ2を用いることができる。デジタルビデオカメラ2は、本体4にカメラ6とGPS8を備えている。
【0009】
次に、ステップ2で、撮影した映像をインターフェース10のカードスロットに配置されたメモリカードを介してコンピュータ12に読み込み、コンピュータ12にインストールされているアプリケーションソフト14で、インターフェース16を介して読み込んだ映像中の、マンホール等の危険個所など、警告を出したい部分を登録し、登録した部分にアラート画像として警告用の文字や記号を付加し、且つ登録した部分に音声を付ける。
【0010】
図5は、コンピュータ12に読み込まれた映像16とアラート画像位置情報データ18と、電子地図データ20を表示している。電子地図データ20は、インターネット20を介して取得したものを利用している。アプリケーションソフト14は、
図1に示すように、コンピュータ12を、デジタルビデオカメラ2の撮影した路面映像を受信する路面映像受信部24、路面映像を画像表示装置の位置情報にリンクさせ画像表示装置に表示させるための位置情報リンク設定部26、電子地図保管部28、電子地図映像出力部30、危険個所登録部32、加工路面映像保管部34、加工路面映像駆動部36、アラート画像入力部38、警告音声付加部40、走行ログ作成部42、タブレット制御信号入力部44、除雪状況表示部43として機能させるように構成され、これら各部は制御部46によって制御されるように構成されている。タブレット制御信号入力部44は、路面映像データに、「移動中」「除雪中」など、作業開始時に押すボタンを付加するためのものである。
【0011】
コンピュータ12の画面に表示される路面映像中、マンホールや橋の段差などの危険個所は、コンピュータ操作者の指示により、危険個所登録部32に位置情報が登録される。アラート画像入力部38は、コンピュータ操作者の指示により、危険個所登録情報に基づいてアラート画像を作成し、対応する路面映像に、アラート画像を付加する。アラート画像を含む、画像表示装置の位置情報にリンクさせた加工路面映像は、加工路面映像保管部34に保管される。警告音声付加部40は、コンピュータ操作者の指示により、アラート画像が付加された加工路面映像データに警告音声を付加する。
【0012】
次に、ステップ3で、加工路面映像保管部34に保管された加工路面映像データをタブレット48から成る小型軽量のビデオ画像表示装置にインターフェース48を介して入力し、該タブレット48を、その画面が除雪車52の運転者54に見える位置に取り付ける(
図4参照)。除雪車52の中は騒音が大きいので、骨伝導イヤホンを標準装備する。次に、ステップ4でタブレット48の画面に位置情報にリンクして加工路面映像を表示し、ステップ5で除雪車による除雪作業の実行に移行する。タブレット48の画面には、「移動中」「除雪中」など、作業開始時に押すボタンが表示される。タブレット48に入力された加工路面映像データには、緯度・経度の位置情報が埋め込まれており、タブレット画面の「移動中」のボタンが押されると、タブレット48の位置情報にリンクした加工路面映像データが表示状態となるように設定されている。
【0013】
図6は、「移動中」の文字が表示されたタブレット48の画面を表示している。加工路面映像保管部34に保管された加工路面映像データは、加工路面映像駆動部36によって、コンピュータ12やタブレット48の画面に表示可能に構成されている。加工路面映像駆動部36は、タブレット制御信号、例えば「移動中」のボタン信号によって加工路面映像データを、タブレット48の位置情報にリンクさせて駆動するように構成されている。タブレット48の画面に表示される加工路面映像により作業者は、雪のない状態の道を確認しながら除雪作業をすることができるので、無駄な事故を減らすことが可能になる。雪に隠れて見えない「マンホール」「消火栓」「ポスト」「橋のジョイント」「ラバーポール」「ガードレール」「アスカーブ」などタブレット48の画面にアラート画像による警告表示と音声で警告を出し安全確保をする。
【0014】
図7は、タブレット48の画面に「5m以内にマンホールがあります」という警告文を表示するアラート画像が表示され、除雪車52の運転者に警告をしている状態を示している。また、
図8はタブレット48の画面に「24m以内に橋の段差があります」という警告文を表示するアラート画像が表示され、運転者に警告をしている状態を示している。アラート画像とは、路面映像データに付加される警告文字や記号であり、アラート画像が付加された加工路面映像データはタブレット48の位置情報にリンクしている。
【0015】
本実施形態では、走行ログも取得できるので、日報も自動で作成できる。走行ログ作成部42は、タブレット48の画面の「移動中」「除雪中」などのボタンが押されると、タブレット48が取得する緯度・経度とリンクし、作業の開始終了時間や走行ログを記録する。走行ログ作成部42は、電子地図映像出力部30の出力を利用し、
図9に示すように、作業の開始終了時間のデータ54や走行経路データ56を作成し、所定の書式に出力できるので、日報や報告書もわかりやすく提出することが可能である。
【0016】
除雪状況表示部43は地図上で複数台の除雪車の除雪状況を表示させる手段として機能する。
図11は複数台の除雪車の除雪状況を表示するタブレット48の画面であり、符号A,B,Cは、除雪車の地図上の位置と、除雪車が「除雪中」あるいは「移動中」であるかを表示している。この表示により、運転者は複数台の除雪車の除雪状況を把握することができる。 尚、本実施形態では、小型軽量のビデオ画像装置としてタブレットを使用したが特にタブレットに限定されるものではなく、その他同効機能を備えたディスプレイ端末機器を用いることができる。
【符号の説明】
【0017】
2 デジタルビデオカメラ
4 本体
6 カメラ
8 GPS
10 インターフェース
12 コンピュータ
14 アプリケーションソフト
16 映像
18 アラート画像位置情報データ
20 電子地図データ
22 インターネット
24 路面映像受信部
26 位置情報リンク設定部
28 電子地図保管部
30 電子地図映像出力部
32 危険個所登録部
34 加工路面映像保管部
36 加工路面映像駆動部
38 アラート画像入力部
40 警告音声付加部
42 走行ログ作成部
43 除雪状況表示部
44 タブレット制御信号入力部
46 制御部
48 タブレット
50 インターフェース
52 除雪車
54 データ
56 データ