(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059048
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】センサユニット
(51)【国際特許分類】
G01L 5/00 20060101AFI20240422BHJP
G01L 1/16 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G01L5/00 Z
G01L1/16 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166560
(22)【出願日】2022-10-17
(71)【出願人】
【識別番号】517069066
【氏名又は名称】ロボセンサー技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107102
【弁理士】
【氏名又は名称】吉延 彰広
(74)【代理人】
【識別番号】100164242
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 直人
(74)【代理人】
【識別番号】100172498
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】大村 昌良
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AA18
2F051AB08
2F051BA05
2F051BA07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】指の末節部に装着される装着部と、前記装着部に設けられた線状センサを備えたセンサユニットに関し、指先感覚のデータ化、指先の作業や動作の数値化、あるいは指先の状態の計測等に適したセンサユニットを提供する。
【解決手段】指の末節部に装着される装着部101,102と、装着部101,102が指の末節部に装着された状態で装着部101,102における該指の腹側を覆う箇所に位置する線状センサ80とを備え、線状センサ80は、装着部101,102が指の末節部に装着された状態で該末節部の中心(バツ印)よりも指先側の指先部分を這う検出部分を有するものである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
指の末節部に装着される装着部と、
前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該装着部における該指の腹側を覆う箇所に位置する線状センサとを備えたセンサユニットであって、
前記線状センサは、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該末節部の中心よりも指先側の指先部分を這う検出部分を有するものであることを特徴とするセンサユニット。
【請求項2】
前記線状センサに接続した信号線を備え、
前記線状センサは、一端側に前記信号線に接続する第1端部を有するとともに他端側に該信号線に接続する第2端部を有するものであり、
前記第1端部および前記第2端部それぞれは、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該指の側部に位置するものであることを特徴とする請求項1記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記検出部分は、前記第1端部から該検出部分の中心部まで渦巻き状に周回した第1周回部と、該第1周回部につながり該中心部から該第2端部に向かって該第1周回部に沿って周回した第2周回部を有するものであり、
前記第1周回部は、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で外周側の部分が該指の側部にまで及ぶものであり、
前記第2周回部も、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で外周側の部分が該指の側部にまで及ぶものであることを特徴とする請求項2記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記検出部分は、前記指先部分を折り返されながら這うものであることを特徴とする請求項1又は2記載のセンサユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、指の末節部に装着される装着部と、前記装着部に設けられた線状センサを備えたセンサユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
人間の手などに備わっている触覚が感じとる情報を検出し、電気信号に変換することで、その触覚を共有したり記録しておくことが可能になる。
【0003】
このため、指の末節部に触覚センサを設けたセンサユニットが種々提案されている(例えば、特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の触覚センサを設けたセンサユニットでは、指先感覚のデータ化、指先の作業や動作の数値化、あるいは指先の状態の計測等には不十分であるといわざるを得ない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、指先感覚のデータ化、指先の作業や動作の数値化、あるいは指先の状態の計測等に適したセンサユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決する本発明のセンサユニットは、
指の末節部に装着される装着部と、
前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該装着部における該指の腹側を覆う箇所に位置する線状センサとを備えたセンサユニットであって、
前記線状センサは、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該末節部の中心よりも指先側の指先部分を這う検出部分を有するものであることを特徴とするセンサユニット。
【0008】
物を掴んだり握ったり、あるいは手を握りしめた場合等には、前記指先部分に加重がかかりやすいことがわかった。そこで、本発明のセンサユニットでは、前記線状センサを、前記指先部分に集中させる構成とした。この結果、指に加わる圧力や振動等を精度良く検出することができ、本発明のセンサユニットは、指先感覚のデータ化、指先の作業や動作の数値化、あるいは指先の状態の計測等に適している。
【0009】
なお、前記検出部分は、前記末節部の中心よりも指先側に収められたものであってもよい。あるいは、前記検出部分は、前記末節部の中心よりも末節側にも設けられたものであってもよいが、70%以上が前記指先部分に設けられたものであることが好ましい。
【0010】
また、違う見方をすれば、前記検出部分は、該検出部分の中心部が、前記末節部の中心よりも指先側にあるものである。
【0011】
さらに、本発明のセンサユニットは、手袋状のものであってもよいし、指サック状のものであってもよい。
【0012】
また、前記線状センサは、内部導体と外部導体の間に圧電材料が設けられたものであってもよい。
【0013】
また、前記線状センサは、前記装着部に糸で固定されたものであってもよいし、前記装着部に接着剤によって接着されたものであってもよい。
【0014】
加えて、前記線状センサを覆うカバー部を備えたものであってもよい。
【0015】
また、
前記線状センサに接続した信号線を備え、
前記線状センサは、一端側に前記信号線に接続する第1端部を有するとともに他端側に該信号線に接続する第2端部を有するものであり、
前記第1端部および前記第2端部それぞれは、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該指の側部に位置するものであることを特徴としてもよい。
【0016】
前記指先部分に前記第1端部および前記第2端部それぞれが位置せず、該指先部分を有効に検出領域にすることができる。
【0017】
また、
前記検出部分は、前記第1端部から該検出部分の中心部まで渦巻き状に周回した第1周回部と、該第1周回部につながり該中心部から該第2端部に向かって該第1周回部に沿って周回した第2周回部を有するものであり、
前記第1周回部は、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で外周側の部分が該指の側部にまで及ぶものであり、
前記第2周回部も、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で外周側の部分が該指の側部にまで及ぶものであることを特徴としてもよい。
【0018】
前記第1周回部と前記第2周回部によって前記指先部分を広範囲に覆う検出領域を確保しやすくなる。
【0019】
なお、ここにいう渦巻き状とは、円形に限らず矩形や三角形であってもよい。さらに、前記指先部分に収まるためおよび指の側部に十分に回り込むためには、指の長手方向に潰れた扁平な形状であることが好ましい。
【0020】
また、
前記検出部分は、前記指先部分を折り返されながら這うものであることを特徴としてもよい。
【0021】
後述するように、前記線状センサは、折り返し回数が少ないほど、感度が良くなる傾向にある。一方、折り返し回数が多いほど、検出部分が密に配置され、検出面積は広くなる。このため、検出部分の形状は、感度と検出面積との関係で決定すればよい。
【0022】
さらに、
前記信号線は、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該指の側部または腹側で手背に向けて延在するものであってもよい。
【0023】
前記信号線が前記指の背側で延在していると、手を握ったり開いたりする動作で信号線が引っ張られ、それにつられて前記線状センサに不必要に張力がかかり検出精度に影響が出てしまうが、該指の側部または腹側で延在していれば、前記線状センサに不必要に張力がかかることが低減される。
【0024】
なお、前記信号線の信号を増幅させるアンプや他の機器に送信する送信部等が設けられた制御部は、手背よりも先の位置に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、指先感覚のデータ化、指先の作業や動作の数値化、あるいは指先の状態の計測等に適したセンサユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2】、本発明のセンサユニットの一実施形態に相当する手袋型センサユニットを手背(手の甲)側から見た図である。
【
図3】
図2に示す手袋型センサユニットを手に装着し、保護部材を取り外した状態で手掌(手の平)側から見た図である。
【
図4】
図3に示す手袋型センサユニットに設けられた線状センサを説明するための図である。
【
図5】線状センサの検出部分が設けられる位置を説明するための図である。
【
図6】(A)は本実施形態の手袋型センサユニットに設けられている線状センサの構造を示す断面図であり、(B)は示指用の線状センサと第2信号ケーブルを接続する第2出力側端子部材を示す図である。
【
図7】
図6(B)に示す重ね合わせてシート状にした第2出力側端子部材を展開した様子を示す平面図である。
【
図8】
図7のT-T線で切断したT-T断面図である。
【
図9】
図6(B)のR-R線で切断したR-R断面を模式的に示した図である。
【
図10】第2実施形態の手袋型センサユニットを手背(手の甲)側から見た図である。
【
図11】第2実施形態の手袋型センサユニットの末節部の指腹側における線状センサの形状を示す図である。
【
図12】シート状にした第2出力側端子部材を展開した様子を示す平面図である。
【
図13】第2実施形態の第2出力側端子部材52を
図9と同じように切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0028】
まず最初に、手の名称について簡単に説明する。
【0029】
【0030】
図1には、手掌(手の平)側から見た右手が示されている。
図1に示す各指では、指腹が見えており、両側が指側になる。示指(人差し指)には、指先側から、末節、中節、基節があり、指先と末節の間が末節部になる。また、末節と中節の間が中節部になり、中節と基節の間が基節部になる。中指、薬指および小指においても同様である。一方、母指(親指)では、中節がなく、末節と基節の間が基節部になる。
【0031】
母指の場合には、末節の関節のことをIP関節と称し、母指以外の指の場合には、末節の関節のことをDIP関節と称する。
【0032】
図2は、本発明のセンサユニットの一実施形態に相当する手袋型センサユニットを手背(手の甲)側から見た図である。
【0033】
図2に示す第1実施形態の手袋型センサユニット1には、全体がナイロン繊維の手袋10が用いられている。この手袋10には、
図2では不図示の手掌側に、耐久性を高めるとともに滑り止め効果を付与するためウレタン樹脂がコーティングされている。手袋10には、各指を覆う指覆い部が設けられており、以下、母指を覆う指覆い部を第1指覆い部101と称し、示指を覆う指覆い部を第2指覆い部102と称する。
【0034】
図2に示す手袋型センサユニット1には、第1指覆い部101と第2指覆い部102に線状センサが設けられている。第1指覆い部101にしても第2指覆い部102にしても、詳しくは後述するが、線状センサは指先部分に設けられている。すなわち、線状センサは、第1指覆い部101が装着された母指の末節部における指腹側と、第2指覆い部102が装着された示指の末節部における指腹側に設けられている。線状センサが設けられた部分(末節部を覆う部分)には、保護部材40が被せられている。保護部材40は、第1指覆い部101および第2指覆い部102それぞれに縫い付けられたり接着されている。この保護部材40は、母指の末節部および示指の末節部に加わる圧力や振動等を低減させることなく、線状センサを摩擦等から保護するものである。
【0035】
手袋型センサユニット1は、保護部材40および不図示の線状センサの他に、出力側端子部材と信号ケーブルと接続端子70を有する。以下、第1指覆い部101の線状センサに接続する信号ケーブルを第1信号ケーブル61と称し、第2指覆い部102の線状センサに接続する信号ケーブルを第2信号ケーブル62と称する。また、第1指覆い部101の線状センサと第1信号ケーブル61との接続部になる出力側端子部材を第1出力側端子部材51と称し、第2指覆い部102の線状センサと第2信号ケーブル62との接続部になる出力側端子部材を第2出力側端子部材52と称する。第1出力側端子部材51は、母指の、示指側とは反対側の外側の指側に位置している。第2出力側端子部材52は、示指の、中指側の指側に位置している。第1出力側端子部材51や第2出力側端子部材52の位置が、指腹側から外れていることで、指腹側の検出精度に影響を与えずに線状センサを信号ケーブルに確実に接続することができる。
【0036】
手袋10には、帯状の第1布11が第1経路110を形成するように取り付けられている。第1経路110は、第1指覆い部101の、示指側とは反対側になる外側の指側部から手背側を通って手首近傍まで延在した経路である。この第1経路110には、第1信号ケーブル61が通されている。
【0037】
また、手袋10には、帯状の第2布12が第2経路120を形成するように取り付けられている。第2経路120は、第2指覆い部102の、中指側の指側部から手背側を通って手首近傍まで延在した経路である。なお、
図2における点線は、第2指覆い部102の、中指側の側縁を示す点線になる。第2経路120には、第2信号ケーブル62が通されている。
【0038】
第1信号ケーブル61にしても第2信号ケーブル62にしても、指背側で延在していることになる。手を握ったり開いたりする動作で信号ケーブルが引っ張られると、それにつられて線状センサに不必要に張力がかかり検出精度に影響が出てしまうが、信号ケーブルが指側または指背側で延在していれば、線状センサに不必要に張力がかかることが低減される。
【0039】
なお、第1布11および第2布12は、手袋10のおもて面に取り付けられているが、裏面に取り付け、見えなくなるようにしてもよい。
【0040】
第1信号ケーブル61と第2信号ケーブル62それぞれは、接続端子70に接続されている。接続端子70は、第1信号ケーブル61および第2信号ケーブル62それぞれの信号を増幅させるアンプや他の機器に送信する送信部等が設けられた不図示の制御装置に接続される。あるいは、接続端子70は、不図示の延長信号ケーブルにさらに接続され、延長信号ケーブルが制御装置に接続されてもよい。
【0041】
図3は、
図2に示す手袋型センサユニットを手に装着し、保護部材を取り外した状態で手掌(手の平)側から見た図である。
【0042】
手袋型センサユニット1を装着した手の母指の末節部を覆っていた保護部材40と、上記手の示指の末節部を覆っていた保護部材40を取り外すと、
図2に示すように、母指の末節部の指腹側と、示指の末節部の指腹側それぞれに線状センサ80が見える。
図3では、母指用の線状センサ80と第1信号ケーブル61との接続部である第1出力側端子部材51は見えないが、示指用の線状センサ80と第2信号ケーブル62との接続部である第2出力側端子部材52は見えている。
【0043】
図4は、
図3に示す手袋型センサユニットに設けられた線状センサを説明するための図である。
【0044】
図4(A)は、示指用の線状センサを拡大して示す図である。
【0045】
線状センサ80は、第1端部80a、第2端部80b、および検出部分800を有する。第1端部80aと第2端部80bは指側部に位置する。より詳細に説明すれば、示指用の線状センサ80の場合は、第1端部80aと第2端部80bは、第2指覆い部102の中指側の指側部に位置する。一方、母指用の線状センサ80の場合は、第1端部80aと第2端部80bは、第1指覆い部101の、示指側とは反対側の外側の指側部に位置する。なお、示指用の線状センサ80の第1端部80aと第2端部80bは、第2出力側端子部材52を介して第2信号ケーブル62に接続し、母指用の線状センサ80の第1端部80aと第2端部80bは、第1出力側端子部材51を介して第1信号ケーブル61に接続する。
【0046】
線状センサ80の検出部分800は、第1周回部80cと第2周回部80dを有する。
図4(A)では、第1周回部80cを灰色の実線で示し、第2周回部80dを黒色の実線で示している。第1周回部80cは、第1端部80aから、検出部分800の中心部まで渦巻き状に周回した部分になる。
図4(A)における1点鎖線の円は、検出部分800の中心部を示す。第2周回部80dは、第1周回部80cにその中心部でつながりその中心部から第2端部80bに向かって第1周回部80cに沿って周回した部分になる。したがって、第2周回部80dも渦巻き状に周回している。
【0047】
図3には、手袋型センサユニット1を装着した手の母指の末節(DIP間接)と、示指の末節(DIP間接)を示している。また、手袋型センサユニット1を装着した手の母指における末節部の中心と示指における末節部の中心それぞれをバツ印で示している。
【0048】
図5は、線状センサの検出部分が設けられる位置を説明するための図である。
【0049】
図5には、第2指覆い部102が示されているが、第1指覆い部101でも同様である。この
図5には、手袋型センサユニット1を装着した手の示指における末節(DIP間接)が示されるとともに、末節部の中心もバツ印で示している。バツ印で示す中心は、指腹側における末節(DIP間接)と指先を結ぶ矢印を付した直線の丁度中間になる。
図4(A)に示す検出部分800は、この中心よりも指先側の指先部分を這うように設けられている。
図5では、指先部分をハッチングで示している。
図4(A)に示す検出部分800は、指先部分よりも末節(DIP間接)側には、はみ出しておらず、中心よりも指先側に収まっている。
【0050】
物を掴んだり握ったり、あるいは手を握りしめた場合等には、前記指先部分に加重がかかりやすいことがわかった。このため、指に加わる圧力や振動等を精度良く検出するためには、指先部分に検出部分800が位置するようにする必要がある。検出部分800は、中心よりも末節(DIP間接)側にはみ出していてもよいが、検出部分800のうちの70%以上が指先部分に設けられている必要がある。
図5に示す二点鎖線は、検出部分800の末節(DIP間接)側の限界位置を示す。検出部分800は、この二点鎖線よりも指先側に収める必要がある。
【0051】
また、検出部分800は、
図4(A)に1点鎖線で示す中心部が、末節部の中心よりも指先側にあるものである。
【0052】
図4(B)は、指先側から指を見たときの模式図である。この
図4(B)では、紙面手前側が指先側になる。また、爪側が上側になることから、指背側が上側になり、指腹側が下側になる。指側は、指背と指腹の間の部分になる。
図4(b)では、指の厚みの略真ん中を1点鎖線で表している。
【0053】
線状センサ80は、指の厚みの略真ん中部分まで回り込んだ態様(矢印A1参照)であってもよいし、指側を超えて指背側まで及び爪の脇まで回り込んだ態様(矢印A2参照)であってもよい。
【0054】
線状センサ80の指側への回り込み具合は、手袋10のタイプによっても異なる。例えば、手袋10が、装着したときに指にぴったりとフィットするタイプのものであれば、線状センサ80は矢印A2で示すように爪の脇まで回り込みやすくなる。一方、手袋10が、装着したときに指側との間に隙間ができるタイプのものであれば、線状センサ80は矢印A1で示すように指側までしか回り込まない場合もある。
図3に示す手袋型センサユニット1は、装着したときに指側との間に隙間ができるタイプのものである。
【0055】
図3に示すように、手袋型センサユニットが手に装着された状態では、示指用の線状センサ80は、外周側の部分が示指の側部(指側)にまで及んでいる。また、母指用の線状センサ80も、外周側の部分が母指の側部(指側)にまで及んでいる。ここにいう外周側の部分とは、第1周回部80cにおける外周側の部分および第2周回部80dにおける外周側の部分になる。また、線状センサ80における上述の渦巻き状とは、指の長手方向に潰れた扁平な円形であり、指側にまで十分に回り込んでいる。なお、渦巻き状とは、線状センサ80が指側にまで回り込んでいればよく、円形に限らず矩形や三角形であってもよい。
【0056】
図4(C)は、手袋10への線状センサ80の取り付け例を示す図である。
【0057】
線状センサ80は、手袋10における第1指覆い部101および第2指覆い部102それぞれの末節部に、アラミド繊維の糸80tで固定されている。より詳しく説明すれば、末節部における生地10mに、線状センサ80の外周を間隔をあけながら周回するように糸80tを通すことで、線状センサ80は生地10mに縫い付けられている。なお、線状センサ80は、末節部に接着剤によって貼り付けられることで固定されていてもよい。
【0058】
図6(A)は、本実施形態の手袋型センサユニットに設けられている線状センサの構造を示す断面図である。
【0059】
線状センサ80は、センサ線80sと内側シース84とシールド被覆85と外側シース86とから構成されている。センサ線80sは、内部導体81と圧電体82と外部導体83とから構成されている。内部導体81は、線状センサ80の中心に配置されており、7本の導体線で構成されている。圧電体82は、内部導体81の外周に設けられている。外部導体83は、圧電体82の外周に設けられている。
【0060】
7本の導体線は、中心に配置されている1本の中心導体線8111と、その周りに配置された6本の外側導体線8112で構成されている。7本の導体線8111,8112は、いずれも直径が10μmのものであって、中心導体線8111は、アラミド繊維(芳香族ポリアミド系樹脂、より具体的にはポリパラフェニレン テレフタルアミド)を導電性材料で被覆(例えば、銅メッキ)した導電性を有する高張力繊維の導体線である。また、6本の外側導体線8112はいずれも、銅製の導体線である。銅製の導体線は、導電性を有する高張力繊維の導体線に比べて、電気抵抗が低く、かつ柔らかい。反対に、導電性を有する高張力繊維の導体線は、銅製の導体線に比べて、電気抵抗は高くなるが、機械的強度(例えば、引張強度等)および剛性は高くなる。
【0061】
7本の導体線8111,8112は、正六角形の各頂点およびその正六角形の中心に配置された状態になっている。これらの7本の導体線8111,8112は、一本に撚り合わされた状態のものである。すなわち、内部導体81は、7本の導体線8111,8112をその断面において最密構造に配置した上で撚り合わせたものである。なお、この場合の内部導体81の太さは最大30μmとなる。このように複数本の導体線8111,8112を甘撚、あるいは中撚程度に撚っておくことで、撚りの方向とは逆方向の緩みを許容し、線状センサ8に柔軟性を与えることができる。
【0062】
なお、導体線8111,8112の直径は10μmに限られず、5μm以上40μm以下であってもよく、8μm以上30μm以下にすることが好ましい。導体線8111,8112は、細ければ細いほど柔軟性は高められるが強度および剛性が低下し、太ければ太いほど柔軟性は低下するが強度および剛性が高められる。また、導体線8111,8112の太さが8μm以上であれば、低コストで製造することができ、且つ製造も容易である。また、異なる太さの導体線8111,8112を撚り合わせて内部導体81を構成してもよい。
【0063】
また、
図6(A)に示す内部導体81は、7本の導体線8111,8112を撚り合わせたものであるが、この数については7本でなくてもよい。複数の導体線を撚り合わせることにより、線状センサ80の柔軟性を高めることができる。また例えば、複数本を撚り合わせた束を複数用意し、これらをさらに撚り合わせる、といったように複数段階に分けて撚り合わせものであってもよい。例えば、7本の細い導体線を撚り合わせた束を7本用意し、その束をさらに撚り合わせた構成にしてもよい。複数段階に分けて撚り合わせることで、線状センサ80の柔軟性がより高まるので、線状センサ80に加わった振動等に応じて線状センサ80が変形しやすくなる。その結果、線状センサ80における検出感度を高めることができる。なお、複数段階に分けて撚り合わせる場合のように、撚り合わせの工程が複数回ある場合には、撚り合わせる方向を異ならせてもよい。一方、複数の導体線(例えば、7本の導体線8111,8112)を撚り合わせずに、直線状に束にしたものを用いてもよい。また、例えば、撚り合わせない複数の導体線の束と、撚り合わせた複数の導体線を撚り合わせる、といったように、これらの構成を組み合わせてもよい。これらの場合であっても、圧電材料を塗布することで、複数の導体線が互いに接着されて束ねられ、一本の圧電性繊維を製造することができる。
【0064】
以上説明したセンサ線80sでは、内部導体81を構成する導体線として、機械的強度や電気抵抗が異なる複数種類の導体線が用いられているが、柔軟性をさらに高める場合や、電気抵抗をさらに低くする場合には、中心導体線8111を銅製の導体線に代えて、全ての導体線を銅製にしてもよい。また、中心導体線8111は、導電性材料で被覆していない高張力繊維の導体線にして、外側導体線8112で導電性を確保するようにしてもよい。さらには、導電性を有する高張力繊維の導体線に代えて、ステンレス製の導体線や、タングステン製の導体線や、タングステン及びその合金等の高張力鋼材あるいは超高張力鋼からなる導体線を用いてもよいし、銅製の導体線に代えて、チタン製の導体線や、チタン合金あるいはマグネシウムやマグネシウム合金等からなる導体線を用いてもよい。さらには、カーボンナノチューブを含む導体線であってもよいし、ピッチ系炭素繊維を含む導体線であってもよい。あるいは、弾性変形しやすいバネ鋼材からなる導体線を用いてもよい。
【0065】
圧電体82は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等の圧電材料を内部導体81に塗布することによって形成されたものである。ポリフッ化ビニリデンは、圧電効果が発生する軽量の高分子材料であり、これに圧力を加えると電圧が発生し、電圧を加えると歪が発生する特性を備えている。圧電体82には分極処理が施されており、振動等によって圧電体82に変形が生じたときに内部導体81と外部導体83の間に電圧が誘起される。
【0066】
図6(A)に示す圧電体82を構成する圧電材料としては、ポリフッ化ビニリデンの他に、トリフルオロエチレン(TrEF)や、PVDFとTrEFの混晶材料や、ポリ乳酸、ポリ尿酸、ポリアミノ酸等の双極子モーメントをもつ高分子材料があげられる。また、圧電材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装や噴霧塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。なお、塗布する構成に限らず、例えば、帯状のPVDFフィルムを内部導体81に螺旋状に巻き付けた構成であってもよい。
【0067】
圧電体82の厚みは、導体線8111,8112の直径以上であることが好ましい。
図6(A)に示す圧電体82の厚さは、最も薄い箇所で10μmであるが、10μm以上50μm以下であることが好ましい。なお、圧電体82の厚さは、厚ければ厚いほど検出感度が良好になるが、圧電体82の厚さの限界値は、塗布する圧電材料の粘度や塗布方法によって決まってくる。また、圧電体82の厚さが厚すぎると線状センサ80が硬くなりすぎてしまい柔軟性に欠けてしまうといった欠点もある。
【0068】
図6(A)に示す内部導体81では、複数の導体線8111,8112を撚り合わせているため、導体線同士の境目に窪みがある。この窪みの部分では、より多くの圧電材料を担持することができ、圧電材料の体積が大きく(厚く)なるため、検出感度が他の部分よりも良好になる。内部導体81には、こうした窪みによって圧電材料が他の部分よりも厚い部分が6か所、周方向に均等間隔で存在するため、どの方向に曲げられても高感度な圧電性繊維として機能する要因になる。
【0069】
なお、
図6(A)に示す隣り合う導体線8111,8112は互いにほぼ接しているが、わずかな隙間から毛細管現象によって圧電材料が浸透し、隣り合う導体線8111,8112同士の隙間(内部導体81の内部)が圧電材料によって埋められた状態になっている。ただし、圧電材料の粘度や塗布方法によっては、隣り合う導体線8111,8112同士の隙間に圧電材料が浸透しない場合もある。この場合でも、内部導体81の外周に面した部分に圧電材料が担持された状態となっていればよい。なお、上述した帯状のPVDFフィルムを圧電体82として用いた構成では、隣り合う導体線8111,8112同士の隙間に圧電材料が浸透していない線状センサ80になる。この線状センサ80では、隣り合う導体線8111,8112同士の隙間に圧電材料が浸透しているものと比較して線状センサ80の柔軟性が高まるので、線状センサ80における検出感度が高まる。
【0070】
図6(A)に示す外部導体83は、圧電体82の外周に、カーボンナノチューブ等のカーボンを含む高分子導電性材料が塗布されることで形成されている。外部導体83を形成する導電性材料としては、銀の微粒子を含む高分子導電性材料や銀ペースト等であってもよい。また、この導電性材料を塗布する方式としては、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいしスプレー等による吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。外部導体83の厚さは、導体線8111,8112の直径以下であることが好ましく、また、圧電体82の厚さ以下であることも好ましい。
図6(A)に示す外部導体83の厚さは、5μmであるが、5μm以上50μm以下であることが好ましい。また、外部導体83に導電性材料を用いずに導線を用いてもよい。
【0071】
内側シース84は、耐摩耗性、耐薬品性、防錆性を高めるために外部導体83の外周を覆っている。この内側シース84は、厚さが6μmに形成されている。内側シース84は、外側シース86に比べて柔らかい材料で構成されている。この内側シース84は、ポリアミド合成樹脂を塗布することで形成されているが、ポリ塩化ビニル樹脂を塗布することで形成してもよい。
【0072】
シールド被覆85は、ニッケルメッキ銅やステンレスなどの金属製の細線を編組してチューブ状にしたシールドである。なお、シールド被覆85は、内部導体81と圧電体82と外部導体83を内側に有する内側シース84に、蒸着によって銅やアルミニウム等を蒸着させることで形成してもよい。また、シールド被覆85は、スパッタ、EBD(電子線ビーム蒸着)、CVD(気相成長法)、塗布、浸漬(ドブ付け)、無電解メッキ、接着剤による接着等の他の方法を用いて内側シース84に付着させてもよく、金属箔を巻き付けることで形成してもよい。
【0073】
外側シース86は、内側シース84に比べて耐摩耗性が高い材料で構成されている。この外側シース86は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を塗布することで形成されている。ただし、4フッ化・6フッ化プロピレン フッ素樹脂(FEP)、4フッ化エチレンエチレン共重合(EPFE)、または4フッ化エチレンパーフロロアルコキシエチレン共重合 フッ素樹脂(PFA)を塗布することで形成してもよい。ここにいう塗布とは、浸漬(ドブ付け)塗装であってもよいし吹き付け塗装であってもよいしハケ塗りであってもよいし、コーター等による塗布装置による塗布であってもよい。また、ピンホールが発生することを考慮して複数回塗布することが好ましい。また、外側シース86は、内側シース84よりも厚くてもよい。さらに、内側シース84は、可燃性材料で形成されていてもよいが、外側シース86は、難燃性材料、不燃性材料、耐炎性材料で形成されていることが好ましい。
【0074】
図6(A)に示す線状センサ80の直径は0.1mmである。ただし、線状センサ80の直径はさらに太くてもよく細くてもよく、0.1~3.0mmであることが好ましい。
【0075】
図6(B)は、示指用の線状センサと第2信号ケーブルを接続する第2出力側端子部材を示す図である。なおここでは、第2出力側端子部材52について説明するが、母用の線状センサと第1信号ケーブル61を接続する第1出力側端子部材51についても同様である。
【0076】
図6(B)の左側には、示指用の線状センサ80の第1端部80aと第2端部80bが示され、右側には、第2信号ケーブル62が示されている。
【0077】
図6(B)に示す第2出力側端子部材52は、フィルム状の部材を、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bが最も内側になるように複数回(本実施形態では6回)折り曲げることで重ね合わせてシート状にしたものである。折り曲げられた第2出力側端子部材52の両端部には、端面を覆う絶縁性の出力側封止材52eが設けられている。出力側封止材52eは、エポキシ樹脂などの接着剤を固化させたものであるが、エポキシ樹脂以外の接着剤であってもよい。この出力側封止材52eにより、第2出力側端子部材52の端面から液体や水蒸気が侵入してしまうことが防止されている。
【0078】
なお、フィルム状の第2出力側端子部材52を、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bの周りに巻き付けることで重ね合わせて円筒状にしてもよい。この場合には、出力側封止材52eの代わりに、熱収縮チューブを用いてもよい。また、出力側封止材52eの代わりに、第2出力側端子部材52の端面を覆うキャップを用いてもよい。すなわち、第2出力側端子部材52の端面を水密または気密に覆う絶縁性のものを配置すればよい。
【0079】
図7は、
図6(B)に示す重ね合わせてシート状にした第2出力側端子部材を展開した様子を示す平面図である。なお、この
図7では、最も紙面手前に設けられている絶縁フィルムである上部カバーレイは図示省略されている。また、
図6(B)に示した出力側封止材52eは、第2出力側端子部材52を折り曲げてから塗布して固化させるため、この
図7には出力側封止材52eは示されていない。
【0080】
図7に示す第2出力側端子部材52は、第1領域5S1、第2領域5S2、第3領域5S3、第4領域5S4、第5領域5S5、第6領域5S6および第7領域5S7を備え、第1折曲線5a、第2折曲線5b、第3折曲線5c、第4折曲線5d、第5折曲線5eおよび第6折曲線5fの6ヵ所で折り曲げられる。第1折曲線5aは、第1領域5S1と第2領域5S2の境界に位置する。第2折曲線5bは、第2領域5S2と第3領域5S3の境界に位置する。第3折曲線5cは、第3領域5S3と第4領域5S4の境界に位置する。第4折曲線5dは、第4領域5S4と第5領域5S5の境界に位置する。第5折曲線5eは、第5領域5S5と第6領域5S6の境界に位置する。第6折曲線5fは、第6領域5S6と第7領域5S7の境界に位置する。
図7では各折曲線は太い破線で示されている。第1領域5S1は突出した領域であり、第1折曲線5aで折り曲げられると第2領域5S2に被さる領域である。第1領域5S1と第2領域5S2の
図7における上下方向の長さは同じ長さであるが、線状センサ80の外部導体83の太さや第2信号ケーブル62のシグナルグランド線623の太さを考慮して第1領域5S1の長さを第2領域5S2の長さより長くしてもよい。また、折り曲げたときの厚みを考慮して、第2領域5S2、第3領域5S3、第4領域5S4、第5領域5S5、第6領域5S6は、この順で
図7における上下方向の長さが長くなっている。一方、第7領域5S7の
図7における上下方向の長さは、第4領域5S4の
図7における上下方向の長さ以下であって第3領域5S3の
図7における上下方向の長さ以上である。
【0081】
図7に示すように、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bそれぞれでは、外側シース86、シールド被覆85、内側シース84、外部導体83、圧電体82が順に階段状に剥離されることで、内部導体81、圧電体82、外部導体83、内側シース84、シールド被覆85それぞれが、線状センサ80の延在方向に1~3mm程度づつ露出している。なお、内部導体81と外部導体83が短絡してしまわないように、圧電体82の露出長は、内部導体81または外部導体83の露出長よりも長い方が好ましい。同様に、外部導体83とシールド被覆85が短絡してしまわないように、内側シース84の露出長は、外部導体83またはシールド被覆85の露出長よりも長い方が好ましい。また、圧電体82、内側シース84、および外側シース86は、剥離する代わりにレーザで焼くことで消失させてもよい。
【0082】
また、
図7に示すように、第2出力側端子部材52の第2領域5S2には、第1接続部514と、第2接続部515と、第3接続部516と、第2ケーブル接続部5151と、第3ケーブル接続部5161とが設けられている。
【0083】
さらに、第2出力側端子部材52には、第2信号ケーブル62が接続されている。第2信号ケーブル62は、送信線621と、ケーブル内側シース622と、シグナルグランド線623と、ケーブル中間シース624と、ケーブルアース線625と、ケーブル外側シース626から構成されている。送信線621は、第2信号ケーブル62の中心に配置された銅製の導体線である。ケーブル内側シース622は、送信線621の外周を覆う、ポリアミド合成樹脂などの絶縁体である。シグナルグランド線623は、ケーブル内側シース622の外周を覆う高分子導電性材料で構成された導電体である。ケーブル中間シース624は、シグナルグランド線623の外周を覆うポリアミド合成樹脂などの絶縁体である。ケーブルアース線625は、ケーブル中間シース624の外周を覆うニッケルメッキ銅やステンレスなどの金属製の細線を編組してチューブ状にしたものである。ケーブル外側シース626は、ケーブルアース線625の外周を覆うPTFEなどの絶縁体である。なお、第2信号ケーブル62を構成する部材の材質はこれらに限られず、導電体と絶縁体が中心から順に形成されていれば、任意の材質のものを用いることができる。
【0084】
図8は、
図7のT-T線で切断したT-T断面図である。なお、この
図8では各部の厚みを誇張して示している。また、第1接続部514、第2接続部515、第3接続部516、第2ケーブル接続部5151および第3ケーブル接続部5161は、露出面に金メッキが施されることでハンダとの接続性が高められるとともに嵩上げされているが、金メッキは図示省略している。
【0085】
図8に示すように、第2出力側端子部材52は、パターン用導体層521とベースフィルム522と上側カバーレイ526を有するフィルム状のものである。この第2出力側端子部材52は、パターン用導体層521がベースフィルム522の片面に形成されており、ベースフィルム522の、パターン用導体層521が形成されている面とは反対側の面は、導体層が形成されていない。
【0086】
パターン用導体層521の厚みは0.02~0.5mmである。パターン用導体層521は、ベースフィルム522の上面に蒸着によって銅を付着させることで形成されている。ただし、パターン用導体層521は、スパッタ、EBD、CVD、塗布、浸漬、無電解メッキ等の他の方法を用いてベースフィルム522の上面に付着させてもよく、ベースフィルム522の上面に導電性の箔を接着することで形成してもよい。さらに、パターン用導体層521に銅以外の導電体を用いてもよい。第1接続部514、第2接続部515、第3接続部516、第2ケーブル接続部5151および第3ケーブル接続部5161は、パターン用導体層521をフォトレジスト加工することで形成されたものである。さらに、パターン用導体層521をフォトレジスト加工することで、第2パターン配線518およびベタパターン519も形成されている。第1接続部514、第2接続部515、第3接続部516、第2ケーブル接続部5151、第3ケーブル接続部5161、第2パターン配線518およびベタパターン519は、同一面に形成されている。ただし、これらは高さの異なる面に配置してもよい。なお、
図7及び
図8では、パターン用導体層521は、左斜め下に向かって傾斜したハッチングで示されている。
【0087】
ベースフィルム522は、厚みが0.1~0.5mmのポリイミド製のフィルムである。ベースフィルム522は、絶縁性のものであればポリエステルなどの他の材質の樹脂フィルムであってもよい。また、基材となるフィルムを別に設け、その基材に蒸着などによって絶縁材料を付着させることで形成されたものであってもよい。
【0088】
上側カバーレイ526は、パターン用導体層521が形成されたベースフィルム522の上面に、ポリイミド等の絶縁フィルムを接着剤によって貼り付けることで形成されたものである。上述のごとく、
図7では、この上側カバーレイ526は図示省略されているが、左斜め下に向かって傾斜したハッチングで示されたパターン用導体層521における、ハンダ付けの箇所を除いた全面が上側カバーレイ526によって覆われている。上側カバーレイ526の厚みは、0.05~0.5mmである。ただし、上側カバーレイ526は、インク状の絶縁材料をスクリーン印刷することで形成されたものであってもよく、絶縁材料を塗布することで形成されたものであってもよい。
【0089】
図7に示すように、第2パターン配線518は、第2領域5S2から、第2折曲線5bと第3折曲線5cを跨いで第3領域5S3および第4領域5S4に延在している。また、ベタパターン519は、第2領域5S2から、第2折曲線5b、第3折曲線5c、第4折曲線5d、第5折曲線5eおよび第6折曲線5fを跨いで、第3領域5S3、第4領域5S4、第5領域5S5、第6領域5S6および第7領域5S7に延在している。第2パターン配線518の最外周は第1絶縁ラインIS1で囲まれている。第2パターン配線518とベタパターン519とは、この第1絶縁ラインIS1の一部によって区切られている。また、ベタパターン519の最外周は第2絶縁ラインIS2で囲まれている。なお、第3領域5S3~第7領域5S7では、全面が上側カバーレイ526によって覆われている。
【0090】
一方、第2パターン配線518およびベタパターン519のうち第2パターン配線518のみが、第2領域5S2から、第1折曲線5aを跨いで第1領域5S1にも延在している。なお、第1領域5S1は、全面が上側カバーレイ526によって覆われている。
【0091】
第2パターン配線518のうち、第1領域5S1に延在した部分は、第2出力側端子部材52が第1折曲線5aで折り曲げられて第1領域5S1が第2領域5S2と厚み方向に重なったときには、第1接続部514、第2接続部515および第2ケーブル接続部5151を覆う大きさに形成されている。また、第2パターン配線518のうち、第3領域5S3に延在した部分は、第2出力側端子部材52が第1折曲線5aと第2折曲線5bそれぞれで折り曲げられて第1領域5S1の、
図7における背面側の面が、第3領域5S3と厚み方向に重なったときには、その第1領域5S1全体を覆う大きさに形成されている。第2パターン配線518のうち、第4領域5S4に延在した部分は、第2出力側端子部材52がさらに第3折曲線5cで折り曲げられて第2領域5S2の、
図7における背面側の面が、第4領域5S4と厚み方向に重なったときには、その第2領域5S2全体を覆う大きさに形成されている。
【0092】
また、ベタパターン519のうち、第5領域5S5に延在した部分は、第2折曲線5b、第3折曲線5cおよび第4折曲線5dそれぞれで折り曲げられて第3領域5S3の、
図7における背面側の面が、第5領域5S5と厚み方向に重なったときには、その第3領域5S3全体を覆う大きさに形成されている。ベタパターン519のうち、第6領域5S6に延在した部分は、さらに第5折曲線5eで折り曲げられて第4領域5S4の、
図7における背面側の面が、第5領域5S5と厚み方向に重なったときには、その第4領域5S4全体を覆う大きさに形成されている。ベタパターン519のうち、第7領域5S7に延在した部分は、第4折曲線5dおよび第5折曲線5eで折り畳まれた、第5領域5S5の、
図7における背面側の面の50%以上80以下の範囲を覆う大きさに形成されている。
【0093】
第1接続部514、第2接続部515、第3接続部516、第2ケーブル接続部5151および第3ケーブル接続部5161は、
図7示す第2出力側端子部材52を折り曲げる前の状態では第2出力側端子部材52の上面に露出している。第1接続部514には、線状センサ80の第1端部80aにおいて露出した内部導体81と第2信号ケーブル62の一端側端部で露出した送信線621がハンダによって電気的に接続されるとともに固定されている。
図7では、ハンダは黒色の四角で示されている。線状センサ80の内部導体81で得られた検出信号は、第1接続部514および第2信号ケーブル62の送信線621を通して不図示の制御装置等に送信される。第2出力側端子部材52における第2ケーブル接続部5151には、第2信号ケーブル62の一端側端部で露出したシグナルグランド線623が電気的に接続されるとともに固定されている。この第2ケーブル接続部5151は、第2パターン配線518によって第2接続部515に電気的に接続されている。線状センサ80の外部導体83は、第2接続部515、第2パターン配線518、第2ケーブル接続部5151および第2信号ケーブル62のシグナルグランド線623を通して制御装置等のシグナルグランドに接続される。第3ケーブル接続部5161には、第2信号ケーブル62の一端側端部で露出したケーブルアース線625が電気的に接続されるとともに固定されている。第3ケーブル接続部5161は、ベタパターン519によって第3接続部516に電気的に接続されている。線状センサ80のシールド被覆85は、第3接続部516、ベタパターン519、第3ケーブル接続部5161および第2信号ケーブル62のケーブルアース線625を通して制御装置等のアースに接続される。第1接続部514と、第2接続部515、第2パターン配線518および第2ケーブル接続部5151と、第3接続部516、ベタパターン519および第3ケーブル接続部5161は、互いに面方向に隙間を空けて配置されている。また、
図6(B)に示した第2出力側端子部材52を折り曲げた状態でも、第1接続部514と、第2接続部515、第2パターン配線518および第2ケーブル接続部5151と、第3接続部516、ベタパターン519および第3ケーブル接続部5161は、
図8に示すベースフィルム522および同じく
図8に示す上側カバーレイ526が厚み方向に対向して配置され、厚み方向にも互いに隙間を空けて配置されるため接触することはない。
【0094】
図9は、
図6(B)のR-R線で切断したR-R断面を模式的に示した図である。この
図9では、特に重要な接着領域を除き、各領域(5S1~5S7)が区別ができるように、領域間に隙間を設けて示しているが、実際には、各領域は接触している。
【0095】
この
図9には、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bが示されている。第1端部80aは、第1領域5S1を折り曲げる第1折曲線5a寄りに位置し、第2端部80bは、第2折曲線5b寄りに位置している。
図7に示すように、ここでは不図示の第2信号ケーブル62は第1折曲線5a寄りに位置し、第2信号ケーブル62と第2折曲線5bの間にはスペースが空いている。この結果、第1領域5S1が第2領域5S2の上に被さると、第1折曲線5aとは反対側の第2折曲線5b側に、第1領域5S1と第2領域5S2が互いに平行な状態になって接着するのに十分な面積が確保される。また、第2端部80bと第2折曲線5bの間のスペースは、第2信号ケーブル62と第2折曲線5bの間のスペースはないものの、接着可能な面積であり、
図9では、第1領域5S1と第2領域5S2の接着範囲を矢印5S12で示している。第2領域5S2を線状センサ80と第2信号ケーブル62との電気的接続領域とし、第1領域5S1を線状センサ80及び第2信号ケーブル62の押さえ込み領域とする。線状センサ80及び第2信号ケーブル62は第2領域5S2と第1領域5S1とで挟み込まれている。
【0096】
また、第1領域5S1~第4領域5S4は、
図9では灰色に示す第5領域5S5および第6領域5S6によって外側を全周にわたって覆われている。上述のごとく、第5領域5S5および第6領域5S6はベタパターン519の領域である。
図7に示した線状センサ80のシールド被覆85が接続したベタパターン519は、第2信号ケーブル62のケーブルアース線625を通して制御装置等のアースに電気的に接続されている。第5領域5S5および第6領域5S6によって外側シールドが形成されている。したがって、
図7に示す、第1領域5S1、第2領域5S2、第3領域5S3、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bおよび第2信号ケーブル62の一端側端部にノイズが直接入り込むことがこの外側シールドで防止されている。
【0097】
また、第2領域5S2と第1領域5S1とで挟み込まれた線状センサ80及び第2信号ケーブル62は、第3領域5S3と第4領域5S4とで外側を全周にわたって覆われている。すなわち、第1接続部514、線状センサ80の、第1端部80a及び第2端部80bそれぞれで露出した内部導体81、第2信号ケーブル62の一端側端部で露出した送信線621は、第3領域5S3および第4領域5S4とで外側を全周にわたって覆われている。上述のごとく、第3領域5S3および第4領域5S4は第2パターン配線518が形成された領域である。
図7に示した線状センサ80の外部導体83が接続した第2パターン配線518は、第2信号ケーブル62のシグナルグランド線623を通して制御装置等のシグナルグランドに電気的に接続されている。第3領域5S3および第4領域5S4によって内側シールドが形成されている。このため、仮に、第5領域5S5および第6領域5S6の外側シールドに外部ノイズが入り込んでも、第1接続部514、線状センサ80の、第1端部80a及び第2端部80bそれぞれで露出した内部導体81、第2信号ケーブル62の一端側端部で露出した送信線621に外部ノイズの影響が及んでしまうことを、この内側シールドによって確実に防止することができる。
【0098】
なお、
図9では、第1絶縁ラインIS1のうちの、第4折曲線5dを跨いで設けられた部分が、白塗りで示されている。
【0099】
さらに、
図9では、第7領域5S7も灰色で示されている。内側シールドを覆うには、第1絶縁ラインIS1のうちの第4折曲線5dを跨いで設けられた白塗りの部分(第4折曲線5d)の外側までで足りるが、この外側の位置で、ベタパターン519を終了してしまうと、この外側の位置は折り曲げ位置であることから剥がれやすくなっている。すなわち、ここでは領域の明確化のため隙間をあけて示しているが、第4領域5S4と第6領域5S6は接着剤で貼り合わせられている。第7領域5S7がないと、上記外側の位置で第6領域5S6がめくれて第6領域5S6が第4領域5S4から剥がれやすくなってしまい、シルード効果が低下する恐れがある。そこで、第5領域5S5の全部を覆う手前まで第7領域5S7を設けている。第5折曲線5eの外側まで第7領域5S7を延ばして第5領域5S5の全部を覆ってしまうと、同じように剥がれやすくなってしまうため、曲面(R印を付した部分)ではなく、なるべく平面な部分(×印を付した部分)で第7領域5S7の終端が終わるようにしている。具体的には、第5領域5S5との接着領域の面積を確保することもあって、第4折曲線5dの外側から第5折曲線5eの外側までの全長を100%とした場合に、第4折曲線5dの外側から50%以上80%以下の範囲(
図9に示す矢印のうちの実線部分参照)に第7領域5S7の終端が位置するようにすることが好ましい。
【0100】
なお、第2出力側端子部材52の最も外側の縁部5201には、ベタパターン519が配置されている。
図7に示す第2出力側端子部材52では、最下端の縁部5201になり、第2絶縁ラインIS2の内側にベタパターン519が位置しているのがわかる。このため、この縁部5201の端面から、第2パターン配線518と、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bと、第2信号ケーブル62の一端側端部にノイズが直接入り込むことも防止されている。また、第2出力側端子部材52の両端面にも、ベタパターン519が配置されている。
図7に示す第2出力側端子部材52では、左右の両端の縁部5202になり、第2絶縁ラインIS2の内側にベタパターン519が位置しているのがわかる。このため、左右の両端の縁部5202の端面から、第2パターン配線518と、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bと、第2信号ケーブル62の一端側端部にノイズが直接入り込むことも防止されている。
【0101】
本実施形態の手袋型センサユニット1において、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bそれぞれを第2出力側端子部材52に取り付ける際には、まず、第1端部80a及び第2端部80bそれぞれにおいて、内部導体81、圧電体82、外部導体83、内側シース84、シールド被覆85を段階的に露出させる。また、第2信号ケーブル62の一端側端部において、送信線621、ケーブル内側シース622、シグナルグランド線623、ケーブル中間シース624、ケーブルアース線625を段階的に露出させる。その後、内部導体81、外部導体83、シールド被覆85それぞれを、第1接続部514、第2接続部515、第3接続部516にハンダ付けする。また、送信線621、シグナルグランド線623、ケーブルアース線625それぞれを、第1接続部514、第2ケーブル接続部5151、第3ケーブル接続部5161にハンダ付けする。次いで、第2出力側端子部材52の、内側面となる一面に接着剤を塗布し、まず、第1領域5S1を第1折曲線5aで折り曲げ、第2領域5S2に被せる。次いで、第2折曲線5b、第3折曲線5c、第4折曲線5d、第5折曲線5e、第6折曲線5fの順に折り曲げ、最後に出力側封止材52e(
図6(B))を塗布することで作業が完了する。
【0102】
以上の説明は、示指用の線状センサ80、第2出力側端子部材52および第2信号ケーブル62についてであったが、母用の線状センサ80、第1出力側端子部材51および第1信号ケーブル61についても同様である。
【0103】
図7~
図9を用いて説明した線状センサユニットは、内部導体(例えば、内部導体81)、該内部導体の外側に設けられた外部導体(例えば、外部導体83)および該外部導体の外側に設けられたシールド体(例えば、シールド被覆85)を有する線状センサ(例えば、線状センサ80)と、送信線(例えば、送信線621)、該送信線の外側に設けられたグランド線(例えば、シグナルグランド線623)および該グランド線の外側に設けられたアース線(例えば、ケーブルアース線625)を有する信号線(例えば、送信線621)と、該線状センサおよび該信号線が接続されたフィルム状の端子部材(例えば、第2出力側端子部材52)とを備えた線状センサユニットであって、前記端子部材は、前記内部導体と前記信号線を電気的に結ぶ第1導通領域(第1接続部514)と、前記外部導体と前記グランド線を電気的に結ぶ第2導通領域(第2パターン配線518)と、前記シールド体と前記アース線を電気的に結ぶ第3導通領域(例えば、ベタパターン519)とを有し、前記第2導通領域は、前記第1導通領域の外側に設けられ、該第1導通領域および前記第3導通領域それぞれと絶縁された領域であって、前記線状センサの延在方向に交わる交差方向の一端側から折り返され前記外部導体と前記グランド線と前記第1導通領域を挟込む挟込部分(例えば、
図7に示す第1領域5S1)と、該交差方向の他端側に延在し折曲線(例えば、第2折曲線5b、第3折曲線5c)で折り曲げながら該挟込部分を巻回し重なった部分は絶縁された巻回部分(例えば、
図7に示す第2領域5S2~第4領域5S4)とを有するものであり、前記第3導通領域は、前記第2導通領域の外側に設けられ、該第2導通領域と絶縁された領域であって、前記交差方向の他端側に延在し、前記シールド体と前記アース線を内側にして折曲線(例えば、第2折曲線5b~第6折曲線5f)で折り曲げながら巻回し重なった部分は絶縁されたものであり、前記第3導通領域は、前記巻回部分を一周以上巻回し、折曲線(例えば、第4折曲線5d)と次の折曲線(例えば、第5折曲線5e)の間略平面な部分(×印を付した部分)を有し、終端部分が該略平面な部分に固定(例えば、接着)されたものであることを特徴とする。なお、前記略平面な部分は、折曲線付近よりも曲がっていない面の部分である。
【0104】
第1実施形態の手袋型センサユニット1によれば、線状センサ80の検出部分800が、母指及び示指それぞれの指先部分(
図5に示すハッチングの部分参照)に設けられており、さらに、指側にまで及ぶ渦巻き状に配置されていることから、母指及び示指に加わる圧力や振動等を精度良く検出することができ、指先感覚のデータ化、指先の作業や動作の数値化、あるいは指先の状態の計測等に適している。
【0105】
続いて、第2実施形態の手袋型センサユニットについて説明する。
【0106】
図10は、第2実施形態の手袋型センサユニットを手背(手の甲)側から見た図である。以下の説明では、
図2に示す第1実施形態の手袋型センサユニットとの相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する場合がある。また、これまで説明した構成要素と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。
【0107】
図10に示す手袋型センサユニット1は、全体がゴム製の内側手袋10aと、ここでは不図示の全体がゴム製の外側手袋の二重構造である。内側手袋10aにしても外側手袋にしても、ニトリルゴム手袋であってもよいし、ラテックス手袋であってもよいし、両者を組み合わせてもよい。内側手袋10aは、全体がゴム製であることにより、装着したときに手にぴったりとフィットする。また、外側手袋も、全体がゴム製であることにより、装着すると、内側手袋10aにぴったりとフィットする。
【0108】
図10に示す内側手袋10aには、第1指覆い部101と第2指覆い部102に線状センサが設けられている。第2実施形態における線状センサは、
図6(A)に示す構造と同じ構造の線状センサである。第1指覆い部101にしても第2指覆い部102にしても、詳しくは後述するが、線状センサは指先部分に設けられている。すなわち、線状センサは、第1指覆い部101が装着された母指の末節部における指腹側と、第2指覆い部102が装着された示指の末節部における指腹側に設けられている。線状センサが設けられた部分(末節部を覆う部分)には、保護部材40が被せられている。保護部材40は、第1指覆い部101および第2指覆い部102それぞれに縫い付けられたり接着されている。この保護部材40は、母指の末節部および示指の末節部に加わる圧力や振動等を低減させることなく、線状センサを摩擦等から保護するものである。なお、第2実施形態では外側手袋があるため、保護部材40を省略してもよい。
【0109】
なお、第1指覆い部101と第2指覆い部102のうち、第1指覆い部101にのみ線状センサを設けてもよいし、第2指覆い部102にのみ線状センサを設けてもよい。
【0110】
図10では、母指の末節の関節であるIP関節IPを点線で表すとともに、示指の末節の関節であるDIP関節DIPも点線で表している。
【0111】
第2実施形態の手袋型センサユニット1においても、母指の末節部の指腹側と、示指の末節部の指腹側それぞれに線状センサ80が設けられている。さらに、第2実施形態では、その線状センサ80が一方の指側で指腹側から指背側に回り込んで、指背において他方の指側に向けて末節の関節を跨いで延在している。すなわち、母指では、線状センサ80が、示指側の指側で指腹側から指背側に回り込んで指背において外側の指側に向けてIP関節IPを跨いで延在している。示指では、線状センサ80が、母指側の指側で指腹側から指背側に回り込んで指背において中指側の指側に向けてDIP関節DIPを跨いで延在している。線状センサ80が関節を跨ぐことにより、その関節の動きを線状センサ80によって検出することができる。しかも、線状センサ80であることにより、関節の動きが阻害されず、従来通りの動きが可能になる。
【0112】
母指の指背において外側の指側に到達した線状センサ80は、その外側の指側で第1出力側端子部材51の一方側に接続している。第1出力側端子部材51の他方側には第1信号ケーブル61が接続しており、第1信号ケーブル61は、帯状の第1布11によって形成された第1経路110を通って接続端子70に接続している。また、示指の指背において中指側の指側に到達した線状センサ80は、その中指側の指側で第2出力側端子部材52の一方側に接続している。第2出力側端子部材52の他方側には第2信号ケーブル62が接続しており、第2信号ケーブル62は、帯状の第2布12によって形成された第2経路120を通って接続端子70に接続している。
【0113】
図11は、第2実施形態の手袋型センサユニットの末節部の指腹側における線状センサの形状を示す図である。この
図11には、第2実施形態の手袋型センサユニットを装着した手の示指における末節(DIP間接)が示されるとともに、末節部の中心もバツ印で示している。また、線状センサ80の指腹側の部分を実線で表し、指側の部分を点線で表し、さらに指背側に回り込んでいる場合には指背側の部分を1点鎖線で表している。
【0114】
末節部の指腹側における線状センサ80の形状は、第1実施形態の手袋型センサユニットでは
図3に示すような渦巻き状であったが、第2実施形態の手袋型センサユニットでは波状である。
【0115】
図11(A)は、縦波状の線状センサ80を示す図である。この線状センサ80の検出部分800は、3回折り返された形状であり、指先部分よりも末節(DIP間接)側には、はみ出しておらず、末節部の中心よりも指先側に収まっている。折り返し部分は、左右の指側それぞれに位置している。また、線状センサ80の第2端部80bにつながる部分は、指先側から指側を通って末節側にまで延在している。
【0116】
図11(B)~同図(D)はいずれも、横波状の線状センサ80を示す図であるが、各図で折り返し回数が異なる。横波状の線状センサ80では、折り返し部分が、指腹における指先側と中心側それぞれに位置している。また、横波状の線状センサ80の検出部分800はいずれも、末節部の中心よりも末節(DIP間接)側にはみ出しているが、検出部分800のうちの70%以上が指先部分に設けられている。また、横波状の線状センサ80の検出部分800はいずれも、検出部分800の中心部が、末節部の中心よりも指先側にある。
【0117】
図11(B)に示す線状センサ80の検出部分800の形状は、3回折り返された形状である。この線状センサ80の第2端部80bにつながる部分は、指背側を通っている。
【0118】
図11(C)に示す線状センサ80の検出部分800の形状は、2回折り返された形状である。この線状センサ80の第2端部80bにつながる部分は、指先側から指側、さらには指背側を通って末節側まで延在している。
【0119】
図11(D)に示す線状センサ80の検出部分800の形状は、1回折り返された形状である。この線状センサ80の第2端部80bにつながる部分は、指背側を通っている。
【0120】
線状センサ80は、折り返し回数が少ないほど、感度が良くなる傾向にある。これは、真鍮の上に、
図11(B)~同図(D)それぞれに示す線状センサ80を載置し、線状センサ80の上に重りを置いて加重した状態で真鍮に振動を加えた場合の、各線状センサ80から出力される出力信号の振幅が、折り返し回数が少ないほど大きくなることから確かめられている。折り返し回数が多いほど、線状センサ1本にかかる加重が分散してしまうが、折り返し回数が少なければ、線状センサ1本にかかる加重が多くなり、これらの結果が、出力信号の振幅の大小に表れていると考える。第2実施形態の手袋型センサユニット1を装着して物を掴んだり握ったり、あるいは手を握りしめた場合に、線状センサ80にかかる加重は、指腹から与えられる押し付け力が相当する。ただし、折り返し回数が多いほど、線状センサ80が密に配置され、検出面積は広くなる。このため、線状センサ80の形状は、感度と検出面積との関係で決定すればよい。
【0121】
また、
図3に示す渦巻き状と、
図11に示す波状を比較すると、
図3に示す渦巻き状の方が、線状センサ80が密に配置され、検出面積は広くなる。特に、渦巻き状の方が指側を通る本数を多くすることができるといった利点がある。
【0122】
第2実施形態の手袋型センサユニットにおいても、出力側端子部材は、
図6(B)に示す第2出力側端子部材52と同じように、フィルム状の部材を、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bが最も内側になるように複数回折り曲げることで重ね合わせてシート状にしたものである。以下、出力側端子部材として、示指用の線状センサと第2信号ケーブル62とを接続する第2出力側端子部材52を例にあげて説明するが、母用の線状センサと第1信号ケーブル61とを接続する第1出力側端子部材51についても同様である。
【0123】
図12は、シート状にした第2出力側端子部材を展開した様子を示す平面図である。なお、この
図12でも、
図7と同じように、最も紙面手前に設けられている絶縁フィルムである上部カバーレイは図示省略されている。
【0124】
図12に示す第2出力側端子部材52は、第1領域5S1、第2領域5S2、第3領域5S3、第4領域5S4、第5領域5S5、および第6領域5S6を備え、第1折曲線5a、第2折曲線5b、第3折曲線5c、第4折曲線5d、および第5折曲線5eの5ヵ所で折り曲げられる。第1折曲線5aは、第1領域5S1と第2領域5S2の境界に位置する。第2折曲線5bは、第2領域5S2と第3領域5S3の境界に位置する。第3折曲線5cは、第3領域5S3と第4領域5S4の境界に位置する。第4折曲線5dは、第4領域5S4と第5領域5S5の境界に位置する。第5折曲線5eは、第5領域5S5と第6領域5S6の境界に位置する。
図12でも
図7と同じように、各折曲線は太い破線で示されている。折り曲げたときの厚みを考慮して、第1領域5S1、第2領域5S2、第3領域5S3、第4領域5S4、第5領域5S5は、この順で
図12における上下方向の長さが長くなっている。一方、第6領域5S6の
図12における上下方向の長さは、第3領域5S3の
図12における上下方向の長さ以下であって第2領域5S2の
図12における上下方向の長さ以上である。
【0125】
図12に示すように、第2出力側端子部材52の第1領域5S1には、第1接続部514と、第2接続部515と、第3接続部516と、第2ケーブル接続部5151と、第3ケーブル接続部5161とが設けられている。これらの接続部は、第2領域5S2寄り、すなわち第2折曲線5b寄りに配置されている。また、第2信号ケーブル62も第2折曲線5b寄りに配置されている。
【0126】
図12のT-T線で切断したT-T断面図は、
図8に示すT-T断面図と同じであるため、説明は省略する。
【0127】
図12に示すように、第2パターン配線518は、第1領域5S1から、第1折曲線5aと第2折曲線5bを跨いで第2領域5S2および第3領域5S3に延在し、さらに第3折曲線5cも跨いで第4領域5S4にまで延在している。第2パターン配線518の最外周は第1絶縁ラインIS1で囲まれている。
図7に示す第2パターン配線518は、折曲線上で区切られている。すなわち、
図7に示す第1絶縁ラインIS1の一部は、第4折曲線5dを跨いで設けられている。一方、この
図12に示す第2パターン配線518は、第3折曲線5cを超えた位置で区切られている。すなわち、第1絶縁ラインIS1の一部は、第3折曲線5cにはかからず、第4領域5S4内で第3折曲線5cと平行に延在している。
【0128】
第2パターン配線518のうち、第2領域5S2に延在した部分は、第2出力側端子部材52が第1折曲線5aで折り曲げられて第1領域5S1が第2領域5S2と厚み方向に重なったときには、第1接続部514、第2接続部515および第2ケーブル接続部5151を覆う大きさに形成されている。また、第2パターン配線518のうち、第3領域5S3に延在した部分は、第2出力側端子部材52が第1折曲線5aと第2折曲線5bそれぞれで折り曲げられて第1領域5S1の、
図7における背面側の面が第3領域5S3と厚み方向に重なったときには、その第1領域5S1全体を覆う大きさに形成されている。
【0129】
また、ベタパターン519は、第1領域5S1から、第1折曲線5a、第2折曲線5b、第3折曲線5c、第4折曲線5dおよび第5折曲線5eを跨いで、第2領域5S2、第3領域5S3、第4領域5S4、第5領域5S5および第6領域5S6に延在している。ベタパターン519の最外周は第2絶縁ラインIS2で囲まれている。なお、第2領域5S2~第6領域5S6では、全面が上側カバーレイ526によって覆われている。また、第1領域5S1では、ハンダ付けの箇所を除いた全面が上側カバーレイ526によって覆われている。
【0130】
ベタパターン519のうち、第4領域5S4に延在した部分は、第2出力側端子部材52が第1折曲線5a、第2折曲線5bおよび第3折曲線5cそれぞれで折り曲げられて第2領域5S2の、
図12における背面側の面が第4領域5S4と厚み方向に重なったときには、その第2領域5S2全体を覆う大きさに形成されている。また、第5領域5S5に延在した部分は、第2出力側端子部材52がさらに第4折曲線5dで折り曲げられて第3領域5S3の、
図12における背面側の面が、第5領域5S5と厚み方向に重なったときには、その第3領域5S3全体を覆う大きさに形成されている。
【0131】
線状センサ80と第2出力側端子部材52の電気的接続および第2信号ケーブル62と第2出力側端子部材52の電気的接続については、
図7を用いた説明と同じため、ここでの説明は省略する。
【0132】
図13は、第2実施形態の第2出力側端子部材52を
図9と同じように切断した断面図である。ただし、この
図13では、各領域が接触している様子を各部の厚みを誇張して示し、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bは見えていない。また、第1折曲線5aを1点鎖線で示し、第2折曲線5bを点線で示し、第3折曲線5cを1点鎖線で示し、第4折曲線5dを点線で示し、第5折曲線5eを1点鎖線で示す。さらに、第4領域5S4内で第3折曲線5cと平行に延在している第1絶縁ラインIS1の一部も示されており、この位置から外側に向けて延在した基準線RLを2点鎖線で示している。
【0133】
第1領域5S1~第3領域5S3、さらには、第4領域5S4のうち第3折曲線5cと平行に延在している第1絶縁ラインIS1までの領域は、第4領域5S4の残りの領域、第5領域5S5および第6領域5S6の基準線RLまでの領域によって外側を全周にわたって覆われている。上述のごとく、第4領域5S4、第5領域5S5および第6領域5S6はベタパターン519の領域である。
図12に示した線状センサ80のシールド被覆85が接続したベタパターン519は、第2信号ケーブル62のケーブルアース線625を通して制御装置等のアースに電気的に接続されている。第4領域5S4の第1絶縁ラインIS1よりも第5領域5S5側の領域、第5領域5S5および第6領域5S6の基準線RLまでの領域によって外側シールドが形成されている。したがって、
図12に示す、第1領域5S1、第2領域5S2、第3領域5S3、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bおよび第2信号ケーブル62の一端側端部にノイズが直接入り込むことがこの外側シールドで防止されている。
【0134】
また、第1領域5S1において接続された線状センサ80及び第2信号ケーブル62は、第2領域5S2と第3領域5S3と第4領域5S4のうち第3折曲線5cと平行に延在している第1絶縁ラインIS1までの領域(以下、これら3つの領域を単に3領域という。)とで外側を全周にわたって覆われている。すなわち、第1接続部514、線状センサ80の、第1端部80a及び第2端部80bそれぞれで露出した内部導体81および第2信号ケーブル62の一端側端部で露出した送信線621は、上記3領域で外側を全周にわたって覆われている。上述のごとく、上記3領域は第2パターン配線518が形成された領域である。
図12に示した線状センサ80の外部導体83が接続した第2パターン配線518は、第2信号ケーブル62のシグナルグランド線623を通して制御装置等のシグナルグランドに電気的に接続されている。上記3領域によって内側シールドが形成されている。このため、仮に、上記外側シールドに外部ノイズが入り込んでも、第1接続部514、線状センサ80の、第1端部80a及び第2端部80bそれぞれで露出した内部導体81、第2信号ケーブル62の一端側端部で露出した送信線621に外部ノイズの影響が及んでしまうことを、この内側シールドによって確実に防止することができる。
【0135】
さらに、
図13では、第6領域5S6のうち、基準線RLを超えた領域部分が、この第2出力側端子部材52の全長に対して、第5折曲線5e側から50%以上80%以下の高さ位置まで延びている。外側シールドの機能としては、ベタパターン519の第6領域5S6の基準線RLまでで十分であるが、基準線RLの位置では、第4領域5S4は曲がっており、第6領域5S6がめくれて第6領域5S6が第4領域5S4から剥がれやすくなってしまい、シルード効果が低下する恐れがある。そこで、第6領域5S6を、基準線RLを超えて上述の50%以上80%以下の高さ位置まで延ばしている。
図13に示すように、この高さ位置では、第4領域5S4平らな状態であり、第6領域5S6を第4領域5S4に強固に接着することができ、第6領域5S6が第4領域5S4から剥がれにくくなっている。なお、第6領域5S6をさらに延ばしてしまうと、第4領域5S4が再び曲がっているため、80%以下の高さ位置に抑える必要がある。また、50%以上の高さ位置にしているのは、第4領域5S4との接着領域の面積を確保するためである。
【0136】
図13では、第2出力側端子部材52の最も外側の縁部5201を細い実線で囲んで表している。この縁部5201には、ベタパターン519が配置されている。
図12に示す第2出力側端子部材52では、最下端の縁部5201になり、第2絶縁ラインIS2の内側にベタパターン519が位置しているのがわかる。このため、この縁部5201の端面5210から、第2パターン配線518と、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bと、第2信号ケーブル62の一端側端部にノイズが直接入り込むことも防止されている。また、第2出力側端子部材52の両端面にも、ベタパターン519が配置されている。
図12に示す第2出力側端子部材52では、左右の両端の縁部5202になり、第2絶縁ラインIS2の内側にベタパターン519が位置しているのがわかる。このため、左右の両端の縁部5202の端面から、第2パターン配線518と、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bと、第2信号ケーブル62の一端側端部にノイズが直接入り込むことも防止されている。
【0137】
第2実施形態の手袋型センサユニット1において、線状センサ80の第1端部80a及び第2端部80bそれぞれを第2出力側端子部材52に取り付ける場合、ハンダ付けまでは、第1実施形態の手袋型センサユニットと同じであり、説明を省略する。第2実施形態の手袋型センサユニット1では、第2出力側端子部材52の、内側面となる一面に接着剤を塗布して第1折曲線5a、第2折曲線5b、第3折曲線5c、第4折曲線5d、第5折曲線5eの順に折り曲げ、最後に、
図6(B)に示す出力側封止材52eを塗布することで作業が完了する。
【0138】
以上の説明は、示指用の線状センサ80、第2出力側端子部材52および第2信号ケーブル62についてであったが、母用の線状センサ80、第1出力側端子部材51および第1信号ケーブル61についても同様である。
【0139】
図12及び
図13を用いて説明した線状センサユニットは、内部導体(例えば、内部導体81)、該内部導体の外側に設けられた外部導体(例えば、外部導体83)および該外部導体の外側に設けられたシールド体(例えば、シールド被覆85)を有する線状センサ(例えば、線状センサ80)と、送信線(例えば、送信線621)、該送信線の外側に設けられたグランド線(例えば、シグナルグランド線623)および該グランド線の外側に設けられたアース線(例えば、ケーブルアース線625)を有する信号線(例えば、送信線621)と、該線状センサおよび該信号線が接続されたフィルム状の端子部材(例えば、第2出力側端子部材52)とを備えた線状センサユニットであって、前記端子部材は、前記内部導体と前記信号線を電気的に結ぶ第1導通領域(第1接続部514)と、前記外部導体と前記グランド線を電気的に結ぶ第2導通領域(第2パターン配線518)と、前記シールド体と前記アース線を電気的に結ぶ第3導通領域(例えば、ベタパターン519)とを有し、前記第2導通領域は、前記第1導通領域の外側に設けられ、該第1導通領域および前記第3導通領域それぞれと絶縁された領域であって、前記外部導体と前記グランド線と前記第1導通領域を内側にして折曲線(例えば、第1折曲線5a~第3折曲線5c)で折り曲げながら巻回し重なった部分は絶縁されたものであり、前記第3導通領域は、前記第2導通領域の外側に設けられ、該第2導通領域と絶縁された領域であって、前記シールド体と前記アース線を内側にして折曲線(例えば、第1折曲線5a~第5折曲線5e)で折り曲げながら巻回し重なった部分は絶縁されたものであり、前記第3導通領域は、前記第2導通領域を一周以上巻回し、折曲線(例えば、第3折曲線5c)と次の折曲線(例えば、第4折曲線5d)の間に略平面な部分を有し、終端部分が該略平面な部分に固定(例えば、接着)されたものであることを特徴とする。なお、前記略平面な部分は、折曲線付近よりも曲がっていない面の部分である。
【0140】
また、第2実施形態の手袋型センサユニット1は、指の末節部に装着される装着部(例えば、第1指覆い部101あるいは第2指覆い部102)と、前記装着部が前記指の末節部に装着された状態で該装着部における該指の腹側を覆う箇所に位置する線状センサ(例えば、
図11に示す線状センサ80)と、前記線状センサに接続した信号線(例えば、第2信号ケーブル62)とを備えたセンサユニットであって、前記信号線は、前記指の背側で該指の末節の関節(例えば、前記指が母指の場合にはIP関節、該指が母指以外の指の場合にはDIP関節)を跨いで延在したものであることを特徴とする。
【0141】
なお、第2実施形態の手袋型センサユニット1は、内側手袋10aと不図示の外側手袋の二重構造であるが、外側手袋を省略してもよい。
【0142】
第1実施形態の手袋型センサユニット1にしても、第2実施形態の手袋型センサユニット1にしても、細かい(高周波)の振動と、粗い(低周波)の振動の両方を検出することができる。細かい振動としては、モータを内蔵した道具を握った場合のそのモータの駆動に伴って発生する振動や、そのモータによって駆動するツール(例えば、ドリル)から伝わる振動や、超音波を照射する道具を握った場合の照射した超音波の反射波の振動等があげられる。一方、粗い振動としては、指の動きや、血管に触れた場合の血管の振動等があげられる。
【0143】
また、変形例として、
図6(A)に示す線状センサ80と、別のセンサを組み合わせることも可能である。さらに、手袋型に限らず、ボクシンググローブ型であってもよい。例えば、指腹側に線状センサ80を配置し、手背(手の甲)部分に6軸センサを配置してもよい。6軸センサによって、手の動き(方向、向き、回転)を検出することができ、移動距離や移動速度を算出することができる。線状センサ80によって、手の握り方の強さや、手の握り方が変化するタイミングを検出することができる。さらに、中手骨頚部が位置する箇所に線状センサ80を渦巻き状や波状に配置してもよい。こうすることで、打撃の強さ(衝撃の大きさ)を検出することができる。この線状センサ80は、ボクシンググローブの内側に配置してもよいし、バンテージに貼り付けてもよいし、バンテージに織り込んでもよい。
【0144】
本発明は上述の実施の形態や変形例に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、手袋型センサユニットの他、指サック状のセンサユニットであってもよい。また、線状センサ80は母指や示指とは異なる指にも設けられていてもよいし、母指のみに設けられていてもよいし、示指のみに設けられていてもよいし、他の指のみに設けられていてもよい。あるいは全ての指に設けられていてもよい。
【0145】
なお、以上説明した実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を、他の実施形態や他の変形例に適用してもよい。
【符号の説明】
【0146】
1 手袋型センサユニット
101 第1指覆い部
102 第2指覆い部
80 線状センサ
80a 第1端部
80b 第2端部
80c 第1周回部
80d 第2周回部
81 内部導体
82 圧電体
83 外部導体
84 内側シース
85 シールド被覆
86 外側シース
51 第1出力側端子部材
52 第2出力側端子部材
514 第1接続部
515 第2接続部
516 第3接続部
5151 第2ケーブル接続部
5161 第3ケーブル接続部
518 第2パターン配線
519 ベタパターン
61 第1信号ケーブル
62 第2信号ケーブル