(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005907
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】電子機器の保護回路
(51)【国際特許分類】
H02M 7/06 20060101AFI20240110BHJP
H02H 9/04 20060101ALI20240110BHJP
H02H 9/06 20060101ALI20240110BHJP
H02H 7/125 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H02M7/06 H
H02H9/04 A
H02H9/06
H02H7/125
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106368
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000106173
【氏名又は名称】サンエー電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】村上 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】芦田 健蔵
(72)【発明者】
【氏名】山本 涼太
【テーマコード(参考)】
5G013
5G053
5H006
【Fターム(参考)】
5G013CB16
5G013CB18
5G013CB26
5G013DA03
5G013DA12
5G053AA10
5G053CA05
5G053CA06
5G053EB05
5H006CA07
5H006CB01
5H006CC01
5H006DC05
5H006FA01
(57)【要約】
【課題】雷サージ電圧により発生する振動電圧を低減することができる電子機器の保護回路を提供する。
【解決手段】交流電源からの交流を整流する整流回路11と、交流電源から侵入するノイズを低減すべく、コイル及びコンデンサを有するフィルタ10と、交流電源とフィルタ10との間に設けられ、雷サージ電圧を吸収する雷サージ保護回路12と、を備え、雷サージ電圧の発生時に、整流回路11の入力側で発生する電圧を吸収する入力側電圧吸収回路及び前記整流回路の出力側で発生する電圧を吸収する出力側電圧吸収回路13Bのうちの少なくとも一方を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流を整流する整流回路と、前記交流電源から侵入するノイズを低減すべく、コイル及びコンデンサを有するフィルタと、前記交流電源と前記フィルタとの間に設けられ、雷サージ電圧を吸収する雷サージ保護回路と、を備え、前記雷サージ電圧の発生時に、前記整流回路の入力側で発生する電圧を吸収する入力側電圧吸収回路及び前記整流回路の出力側で発生する電圧を吸収する出力側電圧吸収回路のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴とする電子機器の保護回路。
【請求項2】
前記雷サージ保護回路は、前記交流電源から前記フィルタまでを接続する一対の入力線間に接続される第1バリスタ及び該一対の入力線のうちの少なくとも一方の入力線に一端が接続される第2バリスタと、該第2バリスタの他端とグランドとの間に接続される第1アレスタと、を備えていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の保護回路。
【請求項3】
前記出力側電圧吸収回路は、前記整流回路の出力側に接続される一対の出力線のうちの少なくとも一方の出力線に一端が接続される第3バリスタと、該第3バリスタの他端と前記グランドとの間に接続される第2アレスタと、を備え、前記入力側電圧吸収回路は、前記整流回路の入力側に接続される一対の接続線のうちの少なくとも一方の接続線に一端が接続される第4バリスタと、該4バリスタの他端と前記グランドとの間に接続される前記第2アレスタと、を備えていることを特徴とする請求項2に記載の電子機器の保護回路。
【請求項4】
前記第2アレスタのグランド側端が、前記第1アレスタの入力側に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器の保護回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の保護回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の
図4には、電子機器が開示されている。この電子機器は、入力交流電源からの交流をダイオードブリッジ回路等のコンバータ部で直流に変換し、この直流を平滑用コンデンサで平滑化してスイッチング部に入力する。このスイッチング部でスイッチングすることで入力された直流を三相交流に変換し、変換された三相交流を負荷に印加して、負荷を駆動する。
【0003】
前記電子機器には、入力交流電源から侵入するノイズや入力交流電源に接続される線や筐体等のグランド電位に接続されるアース線を通して侵入する雷による雷サージ電圧に対して回路保護を行うための保護回路を設けている。この保護回路は、コモンチョークコイルとコモンチョークコイルの出力側に接続された2個のコンデンサ(Yコンデンサという)とからなるノイズ除去用のフィルタと、入力交流電源とコモンチョークコイルの入力側との間に直列接続される2個のバリスタとこれらバリスタ間に一端が接続されかつ他端がアースに接続されるアレスタとを有する雷サージ保護回路と、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4577465号公報(
図4参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記電子機器の保護回路では、回路に侵入してきた雷サージ電圧を、雷サージ保護回路により低減することができるようにしている。しかし、コモンチョークコイルとこれの出力側のYコンデンサがLC共振回路として動作することにより、前記低減された雷サージ電圧よりも高い振動電圧(周期的に変動する電圧)がYコンデンサの両端に発生してしまう。前記コモンチョークコイルのインダクタンスは、コモンチョークコイルを流れる電流で鉄心が飽和するため、実際には、その残留インダクタンスとYコンデンサとの間で共振電圧が発生することになる。この共振電圧により、Yコンデンサやそれ以降の負荷側の回路に実装される電子部品の損傷を招くことがあり、早期改善が望まれている。
【0006】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、雷サージ電圧により発生する共振電圧を低減することができる電子機器の保護回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子機器の保護回路は、前述の課題解決のために、交流電源からの交流を整流する整流回路と、前記交流電源から侵入するノイズを低減すべく、コイル及びコンデンサを有するフィルタと、前記交流電源と前記フィルタとの間に設けられ、雷サージ電圧を吸収する雷サージ保護回路と、を備え、前記雷サージ電圧の発生時に、前記整流回路の入力側で発生する電圧を吸収する入力側電圧吸収回路及び前記整流回路の出力側で発生する電圧を吸収する出力側電圧吸収回路のうちの少なくとも一方を備えていることを特徴としている。
【0008】
交流電源又はグランドから侵入してくる雷サージ電圧が、雷サージ保護回路で低減される。しかし、フィルタに備えるコイルとコンデンサがLC共振回路として動作することにより、前記低減された雷サージ電圧よりも高い振動電圧が発生する。この発生する振動電圧(共振電圧)を電圧吸収回路で吸収することによって、共振電圧を低減させることができ、回路に大きな電流が流れてしまうことを抑制することができる。よって、前記コンデンサやそれ以降の負荷側の回路に実装される電子部品の損傷を防止できる。
【0009】
また、本発明の電子機器の保護回路は、前記雷サージ保護回路が、前記交流電源から前記フィルタまでを接続する一対の入力線間に接続される第1バリスタ及び該一対の入力線のうちの少なくとも一方の入力線に一端が接続される第2バリスタと、該第2バリスタの他端とグランドとの間に接続される第1アレスタと、を備えていてもよい。
【0010】
上記のように、交流電源又はグランドから侵入してきた雷サージ電圧を、第1バリスタ及び第2バリスタを通して第1アレスタでグランドへ放電させて確実に低減することができる。
【0011】
また、本発明の電子機器の保護回路は、前記出力側電圧吸収回路が、前記整流回路の出力側に接続される一対の出力線のうちの少なくとも一方の出力線に一端が接続される第3バリスタと、該第3バリスタの他端と前記グランドとの間に接続される第2アレスタと、を備え、前記入力側電圧吸収回路は、前記整流回路の入力側に接続される一対の接続線のうちの少なくとも一方の接続線に一端が接続される第4バリスタと、該4バリスタの他端と前記グランドとの間に接続される前記第2アレスタと、を備えていてもよい。
【0012】
上記のように、フィルタに備えるコイルと静電容量を持つ第3バリスタ又は第4バリスタとが接続されることにより、EMC性能(電磁両立性)が著しく低下することになるが、第2アレスタを第3バリスタに接続する、又は第2アレスタを第4バリスタに接続することによって、EMC性能(電磁両立性)を確保することができる。
【0013】
また、本発明の電子機器の保護回路は、前記第2アレスタのグランド側端が、前記第1アレスタの入力側に接続されていてもよい。
【0014】
上記のように、第2アレスタのグランド側端が第1アレスタの入力側に接続されることにより、第2アレスタ側で発生した雷サージ電圧を第1アレスタにおいても放電することができるので、第2アレスタを容量の小さな小型で廉価なもので構成することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、雷サージ電圧を吸収する入力側電圧吸収回路及び出力側電圧吸収回路のうちの少なくとも一方を備えることによって、雷サージ電圧により発生する共振電圧を低減することができる電子機器の保護回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図10】電源装置の第10実施形態の回路図である。
【
図11】電源装置の第11実施形態の回路図である。
【
図12】電源装置の第12実施形態の回路図である。
【
図13】電源装置の第13実施形態の回路図である。
【
図14】電源装置の第14実施形態の回路図である。
【
図15】電源装置の第15実施形態の回路図である。
【
図17】(a)はライブ端子とフレームグランド端子との間に印加される雷サージ電圧V1の電圧波形を示すグラフ、(b)は
図16の比較例の回路図のニュートラル端子とフレームグランド端子との間に現れる電圧波形を示すグラフ、(c)は
図1の第1実施例の回路図のニュートラル端子とフレームグランド端子との間に現れる電圧波形を示すグラフ、(d)は
図16の比較例の回路図の一方の出力線とフレームグランド端子との間に現れる電圧波形を示すグラフ、(e)は
図1の第1実施例の回路図の一方の出力線とフレームグランド端子との間に現れる電圧波形を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1実施形態>
図1に、本発明の電子機器に備える電源装置の回路図を示している。電源装置は、図示していない筐体に収納され、商用交流電源(図示せず)に接続されるライブ端子L及びニュートラル端子N並びに前記筐体に接地されるフレームグランド端子FGを備えている。また、電源装置には、図示していない後述する整流回路11で整流された電圧電流を交流に変換するためのスイッチング回路(図示せず)、変換された交流の電圧を変換する絶縁トランス(図示せず)、変換された電圧の交流を直流に変換する二次側の整流回路(図示せず)を備え、二次側の整流回路からの直流により負荷(図示せず、具体的には、例えばLED等で構成される照明灯具等)を駆動する(照明灯具を照らす)ようにしている。
【0018】
電源装置は、フィルタ10、整流回路11、平滑コンデンサC6、雷サージ保護回路12、出力側電圧吸収回路13Bからなる保護回路を備えている。
【0019】
フィルタ10は、電磁ノイズを抑制するコモンモードコイル(コモンチョークコイルともいう)Mと、ノーマルモードノイズを低減するためのXコンデンサC1と、コモンモードノイズを除去するYコンデンサCYと、を備えている。
【0020】
コモンモードコイルMは、ライブ端子L及びニュートラル端子Nに接続される一対の入力線14,15に接続されている。XコンデンサC1は、一対の入力線14,15間に接続されている。YコンデンサCYは、4個の第1~第4コンデンサC2,C3,C4,C5から構成されている。第1コンデンサC2の一方が、整流回路11の入力側とコモンモードコイルMの出力側とを接続する一対の接続線16,17のうちの一方の接続線17に接続され、第1コンデンサC2の他方が、フレームグランド端子FGに接続されている。第2コンデンサC3の一方が、前記一対の接続線16,17のうちの他方の接続線16に接続され、第2コンデンサC3の一方が、フレームグランド端子FGに接続されている。第3コンデンサC4の一方が、整流回路11の出力側に接続される一対の出力線18,19のうちの一方の出力線19に接続され、第3コンデンサC4の他方が、フレームグランド端子FGに接続されている。第4コンデンサC5の一方が、前記一対の出力線18,19のうちの他方の出力線18に接続され、第4コンデンサC5の他方が、フレームグランド端子FGに接続されている。
【0021】
整流回路11は、この実施形態では、4個のダイオードD1,D2,D3,D4により構成されるブリッジ回路を用いているが、MOSFETを整流素子とする同期整流回路であってもよい。
【0022】
平滑コンデンサC6は、出力線18,19間に接続され、整流回路11で整流された電流を平滑化及びノイズ除去のために設けられている。
【0023】
雷サージ保護回路12は、一対の入力線14,15間に接続される第1バリスタZ1と、入力線14,15に一端がそれぞれ接続される第2バリスタZ2,Z3と、第2バリスタZ2,Z3の他端同士が合流接続され、その合流部に一端が接続され、他端がフレームグランド端子FGに接続される第1アレスタAR1と、を備えている。各バリスタZ1,Z2,Z3は、電圧によって抵抗値が可変する半導体素子である。そして、雷により交流電源又はグランド(フレームグランド端子FG)から雷サージ電圧が侵入すると、その雷サージ電圧のエネルギーを第1アレスタAR1で吸収しつつ、3つのバリスタZ1,Z2,Z3で第1アレスタAR1の続流を抑制して、雷サージ電圧を確実に低減することができる。
【0024】
出力側電圧吸収回路13Bは、整流回路11の出力側に接続される一対の出力線18,19に一端がそれぞれ接続される第3バリスタZa,Zbと、第3バリスタZa,Zbの他端同士が合流接続され、その合流部に一端が接続され、他端が前記第1アレスタAR1の入力側に接続される第2アレスタAR2と、を備えている。
【0025】
交流電源又はグランド(フレームグランド端子FG)から侵入してくる雷サージ電圧を、雷サージ保護回路12により低減することができるのであるが、コモンモードコイルMとこれの出力側のYコンデンサCYがLC共振回路として動作することにより、低減された雷サージ電圧よりも高い振動電圧(周期的に変動する電圧)がYコンデンサCYの両端に発生してしまう。この振動電圧(共振電圧)を出力側電圧吸収回路13Bで低減することができ、前記コンデンサ(YコンデンサCY)やそれ以降の負荷側の回路に実装される電子部品の損傷を防止できる。
【0026】
また、フィルタ10に備えるコイル(コモンモードコイルM)と静電容量を持つ第3バリスタZa,Zbとが接続されることにより、EMC性能(電磁両立性)が著しく低下することになるが、第2アレスタAR2を第3バリスタZa,Zbに接続することによって、EMC性能(電磁両立性)を確保することができる。
【0027】
また、第2アレスタAR2のグランド側端を、第1アレスタAR1の入力側に接続することにより、第2アレスタAR2側で発生した雷サージ電圧を第1アレスタAR1においても放電することができるので、第2アレスタAR2を容量の小さな小型で廉価なもので構成することができる。
【0028】
<第2実施形態>
図1では、整流回路11の出力側に接続される一対の出力線18,19に一端がそれぞれ接続される第3バリスタZa,Zbを備えたが、
図2の第2実施形態では、整流回路11の出力側に接続される一対の出力線18,19のうちの一方の出力線18に第3バリスタZbの一端を接続し、第3バリスタZbの他端を第2アレスタAR2の一端に接続している。第3バリスタZbと第2アレスタAR2とで、出力側電圧吸収回路13Bを構成している。尚、第2アレスタAR2の他端は、第1アレスタAR1の入力側に接続されている。説明しなかった他の部分は、
図1と同一である。
【0029】
<第3実施形態>
図1では、整流回路11の出力側に接続される一対の出力線18,19に一端がそれぞれ接続される第3バリスタZa,Zbを備えたが、
図3の第3実施形態では、整流回路11の出力側に接続される一対の出力線18,19のうちの一方の出力線19に第3バリスタZaの一端を接続し、第3バリスタZaの他端を第2アレスタAR2の一端に接続している。尚、第2アレスタAR2の他端は、第1アレスタAR1の入力側に接続されている。第3バリスタZaと第2アレスタAR2とで、出力側電圧吸収回路13Bを構成している。説明しなかった他の部分は、
図1と同一である。
【0030】
<第4実施形態>
図1~
図3では、出力側電圧吸収回路13Bを整流回路11の出力側に接続したが、
図4~
図6では、入力側電圧吸収回路13Aを整流回路11の入力側に接続した場合を示している。
図4の第4実施形態では、整流回路11の入力側に接続される一対の接続線16,17に一端がそれぞれ接続される第4バリスタZc,Zdを備えている。また、第4バリスタZc,Zdの他端同士が合流接続され、その合流部に一端が接続され、他端が前記第1アレスタAR1の入力側に接続される第3アレスタAR3を備えている。第4バリスタZc,Zd及び第3アレスタAR3で入力側電圧吸収回路13Aを構成している。説明しなかった他の部分は、
図1と同一である。
【0031】
<第5実施形態>
図4では、整流回路11の入力側に接続される一対の接続線16,17に一端がそれぞれ接続される第4バリスタZc,Zdを備えているが、
図5の第5実施形態では、整流回路11の入力側に接続される一対の接続線16,17のうちの一方の接続線16に第4バリスタZcの一端を接続し、第4バリスタZcの他端を第3アレスタAR3の一端に接続している。第4バリスタZcと第3アレスタAR3とで、入力側電圧吸収回路13Aを構成している。尚、第3アレスタAR3の他端は、第1アレスタAR1の入力側に接続されている。説明しなかった他の部分は、
図1と同一である。
【0032】
<第6実施形態>
図4では、整流回路11の入力側に接続される一対の接続線16,17に一端がそれぞれ接続される第4バリスタZc,Zdを備えているが、
図6の第6実施形態では、整流回路11の入力側に接続される一対の接続線16,17のうちの一方の接続線17に第4バリスタZdの一端を接続し、第4バリスタZdの他端を第3アレスタAR3の一端に接続している。第4バリスタZdと第3アレスタAR3とで、入力側電圧吸収回路13Aを構成している。尚、第3アレスタAR3の他端は、第1アレスタAR1の入力側に接続されている。説明しなかった他の部分は、
図1と同一である。
【0033】
<第7実施形態>
図1~
図6では、出力側電圧吸収回路13B及び入力側電圧吸収回路13Aのいずれか一方を設けた場合を示したが、出力側電圧吸収回路13B及び入力側電圧吸収回路13Aの両方を設けた場合の回路図を、
図7~
図15までの9通りで示している。
図7では、第3バリスタZaの一端を整流回路11の一方(
図7では下側)の出力線19に接続し、第4バリスタZcの一端を整流回路11の入力側の一方の接続線16(図では上側)に接続し、第3バリスタZaの他端と第4バリスタZcの他端を合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、第3バリスタZaと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、第4バリスタZcと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(第3バリスタZa又は第4バリスタZc)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0034】
<第8実施形態>
図8では、第3バリスタZaの一端を整流回路11の一方(
図8では下側)の出力線19に接続し、第4バリスタZdの一端を整流回路11の入力側の一方の接続線17(
図8では下側)に接続し、第3バリスタZaの他端と第4バリスタZdの他端を合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、第3バリスタZaと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、第4バリスタZdと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(第3バリスタZa又は第4バリスタZd)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0035】
<第9実施形態>
図9では、第3バリスタZbの一端を整流回路11の一方(
図9では上側)の出力線18に接続し、第4バリスタZcの一端を整流回路11の入力側の一方の接続線16(
図9では上側)に接続し、第3バリスタZbの他端と第4バリスタZcの他端を合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、第3バリスタZbと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、第4バリスタZcと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(第3バリスタZb又は第4バリスタZc)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0036】
<第10実施形態>
図10~
図13においても、出力側電圧吸収回路13B及び入力側電圧吸収回路13Aの両方を設けた回路を示している。
図10では、第3バリスタZbの一端を整流回路11の一方(
図10の上側)の出力線18に接続し、第4バリスタZdの一端を整流回路11の入力側の一方(
図10の下側)の接続線17に接続し、第3バリスタZbの他端と第4バリスタZdの他端を合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、第3バリスタZbと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、第4バリスタZdと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(第3バリスタZb又は第4バリスタZd)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0037】
<第11実施形態>
図11では、第3バリスタZbの一端を整流回路11の一方(
図11の上側)の出力線18に接続し、第4バリスタZdの一端を整流回路11の入力側の一方(
図11の下側)の接続線17に接続し、さらにもう1個の第4バリスタZcの一端を整流回路11の入力側の一方(
図11の上側)の接続線16に接続し、第3バリスタZbの他端と2個の第4バリスタZc,Zdの他端とを合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、第3バリスタZbと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、2個の第4バリスタZc,Zdと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(3個のバリスタのうちの第3バリスタZb又は第4バリスタZc又はZd)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0038】
<第12実施形態>
図12では、第3バリスタZaの一端を整流回路11の出力側の一方(
図12の下側)の出力線19に接続し、第4バリスタZdの一端を整流回路11の入力側の一方(
図12の下側)の接続線17に接続し、さらにもう1個の第4バリスタZcの一端を整流回路11の入力側の一方(
図12の上側)の接続線16に接続し、第3バリスタZaの他端と2個の第4バリスタZc,Zdの他端とを合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、第3バリスタZbと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、2個の第4バリスタZc,Zdと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(3個のバリスタのうちの第3バリスタZa又は第4バリスタZc又はZd)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0039】
<第13実施形態>
図13~
図15においても、出力側電圧吸収回路13B及び入力側電圧吸収回路13Aの両方を設けた回路を示している。
図13では、第3バリスタZaの一端を整流回路11の一方(
図13の下側)の出力線19に接続し、もう1個の第3バリスタZbの一端を整流回路11の一方(
図13の上側)の出力線18に接続し、第4バリスタZdの一端を整流回路11の入力側の一方(
図13の下側)の接続線17に接続し、2個の第3バリスタZa,Zbの他端と第4バリスタZdの他端を合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、2つの第3バリスタZa,Zbと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、第4バリスタZdと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(3個のバリスタのうちの第3バリスタZa又はZb又は第4バリスタZd)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0040】
<第14実施形態>
図14では、第3バリスタZaの一端を整流回路11の一方(
図14の下側)の出力線19に接続し、もう1個の第3バリスタZbの一端を整流回路11の一方(
図14の上側)の出力線18に接続し、第4バリスタZcの一端を整流回路11の入力側の一方(
図14の上側)の接続線16に接続し、2個の第3バリスタZa,Zbの他端と第4バリスタZcの他端を合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、2つの第3バリスタZa,Zbと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、第4バリスタZcと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(3個のバリスタのうちの第3バリスタZa又はZb又は第4バリスタZc)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0041】
<第15実施形態>
図15では、第3バリスタZaの一端を整流回路11の一方(
図15の下側)の出力線19に接続し、もう1個の第3バリスタZbの一端を整流回路11の一方(
図15の上側)の出力線18に接続し、第4バリスタZcの一端を整流回路11の入力側の一方(
図15の上側)の接続線16に接続し、もう1個の第4バリスタZdの一端を整流回路11の入力側の一方(
図15の下側)の接続線17に接続し、2個の第3バリスタZa,Zbの他端と2個の第4バリスタZc,Zdの他端を合流して第2アレスタAR2に接続している。尚、出力側電圧吸収回路13Bは、2つの第3バリスタZa,Zbと第2アレスタAR2とで構成され、入力側電圧吸収回路13Aは、2個の第4バリスタZc,Zdと第2アレスタAR2とで構成されている。そして、雷サージ電圧が発生した場合には、低い電圧で作動する側のバリスタ(4個のバリスタのうちの第3バリスタZa又はZb又は第4バリスタZc又はZd)が作動して第2アレスタAR2で雷サージ電圧を吸収することになる。
【0042】
続いて、
図1で示した回路及び比較例として
図16に示した回路それぞれにおいて、ライブ端子Lとフレームグランド端子FGとの間に、
図17(a)に示す雷サージ電圧(ピーク時の電圧(最大電圧)が15kV)V1を加えた時に、整流回路11の入力側に発生する電圧と整流回路11の出力側に発生する電圧とを測定し、その測定結果を
図17(b)~(e)のグラフに表している。具体的には、
図17(b)は
図16の比較例の回路のニュートラル端子Nとフレームグランド端子FGとの間に発生する電圧V4の波形を示している。これに対して、
図17(c)は
図1の本発明の第1実施形態の回路のニュートラル端子Nとフレームグランド端子FGとの間に発生する電圧V4の波形を示している。
図17(b)の電圧波形と
図17(c)の電圧波形を見ると、いずれも
図17(a)の雷サージ電圧から同じように低減されていることが分かる。これは、
図1及び
図16にそれぞれ設けられている雷サージ保護回路12により低減されていると言える。
図17(d)は
図16の比較例の回路の出力線19とフレームグランド端子FGとの間に発生する電圧V3の波形を示している。これに対して、
図17(e)は
図1の本発明の第1実施形態の回路の出力線19とフレームグランド端子FGとの間に発生する電圧V5の波形を示している。
図17(d)の電圧波形と
図17(e)の電圧波形を見ると、
図17(e)の電圧波形の方が電圧の値が低減されていることが分かる。これは、
図16には備えていない出力側電圧吸収回路13Bにより雷サージ電圧が吸収されて低減されたと言える。尚、
図1の第1実施形態の回路の電圧波形のみのグラフを
図17に記載したが、
図2~
図15までの回路においてもほぼ同様の電圧波形となるため、グラフを省略している。
【0043】
尚、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0044】
前記実施形態では、雷サージ保護回路12が、一対の入力線14,15間に接続される第1バリスタZ1と、入力線14,15に一端がそれぞれ接続される第2バリスタZ2,Z3と、第2バリスタZ2,Z3の他端同士が合流接続され、その合流部に一端が接続され、他端がフレームグランド端子FGに接続される第1アレスタAR1と、から構成したが、第1バリスタZ1と、2個の第2バリスタZ2,Z3のうちの一方の第2バリスタZ2又はZ3と、一方の第2バリスタZ2又はZ3に接続される第1アレスタAR1と、から構成してもよい。
【0045】
また、前記実施形態では、第2アレスタAR2又は第3アレスタAR3のグランド側端を第1アレスタAR1の入力側に接続したが、第2アレスタAR2又は第3アレスタAR3のグランド側端をフレームグランド端子FGに直接接続してもよい。
【0046】
また、前記実施形態では、4個のコンデンサC2~C5を設けたが、1個又は2個あるいは3個のコンデンサを設けてもよい。
【0047】
また、前記実施形態では、フィルタを構成するコイルとして、コモンモードコイルを用いたが、ノーマルモードコイルであってもよい。また、前記コモンモードコイル及び前記ノーマルモードコイルのそれぞれは、複数個で構成してもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、電子機器として、電源装置を示したが、供給される電力を変換する電力変換装置や、半導体スイッチの駆動を制御する駆動装置等であってもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、平滑コンデンサC6を備えたが、平滑コンデンサC6を省略してもよい。この場合、フィルタを構成するためのコンデンサを設けるとよい。
【0050】
また、前記実施形態では、単相時の保護回路であるが、三相の場合でもよい。この三相の場合は、各相に単相時と同様の回路を構成する。
【符号の説明】
【0051】
10…フィルタ、11…整流回路、12…雷サージ保護回路、13A,13B…電圧吸収回路、14,15…入力線、16,17…接続線、18,19…出力線、C1…Xコンデンサ、C2~C5…コンデンサ、C6…平滑コンデンサ、CY…Yコンデンサ、D1,D2,D3,D4…ダイオード、FG…フレームグランド端子、L…ライブ端子、M…コモンモードコイル、N…ニュートラル端子、V1…雷サージ電圧、V2~V5…電圧、AR1…第1アレスタ、AR2…第2アレスタ、AR3…第3アレスタ、Z1…第1バリスタ、Z2,Z3…第2バリスタ、Za,Zb…第3バリスタ、Zc,Zd…第4バリスタ
【手続補正書】
【提出日】2024-01-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源からの交流を整流する整流回路と、前記交流電源から侵入するノイズを低減すべく、コモンチョークコイル及び該コモンチョークコイルの出力側に接続されるYコンデンサを有するフィルタと、前記交流電源と前記コモンチョークコイルとの間に設けられ、雷サージ電圧を吸収する雷サージ保護回路と、を備え、前記雷サージ電圧の発生時に、前記整流回路の入力側で発生する電圧を吸収する入力側電圧吸収回路及び前記整流回路の出力側で発生する電圧を吸収する出力側電圧吸収回路のうちの少なくとも一方を備え、
前記雷サージ保護回路は、前記交流電源から前記コモンチョークコイルまでを接続する一対の入力線間に接続される第1バリスタ及び該一対の入力線のうちの少なくとも一方の入力線に一端が接続される第2バリスタと、該第2バリスタの他端とグランドとの間に接続される第1アレスタと、を備え、
前記出力側電圧吸収回路は、前記整流回路の出力側に接続される一対の出力線のうちの少なくとも一方の出力線に一端が接続される第3バリスタと、該第3バリスタの他端に一端が接続され、他端が前記第1アレスタの前記グランド側とは反対側の入力側に接続される第2アレスタと、を備えていることを特徴とする電子機器の保護回路。
【請求項2】
交流電源からの交流を整流する整流回路と、前記交流電源から侵入するノイズを低減すべく、コモンチョークコイル及び該コモンチョークコイルの出力側に接続されるYコンデンサを有するフィルタと、前記交流電源と前記コモンチョークコイルとの間に設けられ、雷サージ電圧を吸収する雷サージ保護回路と、を備え、前記雷サージ電圧の発生時に、前記整流回路の入力側で発生する電圧を吸収する入力側電圧吸収回路及び前記整流回路の出力側で発生する電圧を吸収する出力側電圧吸収回路のうちの少なくとも一方を備え、
前記雷サージ保護回路は、前記交流電源から前記コモンチョークコイルまでを接続する一対の入力線間に接続される第1バリスタ及び該一対の入力線のうちの少なくとも一方の入力線に一端が接続される第2バリスタと、該第2バリスタの他端とグランドとの間に接続される第1アレスタと、を備え、
前記入力側電圧吸収回路は、前記整流回路の入力側に接続される一対の接続線のうちの少なくとも一方の接続線に一端が接続される第4バリスタと、該4バリスタの他端に一端が接続され、他端が前記第1アレスタの前記グランド側とは反対側の入力側に接続される第3アレスタと、を備えていることを特徴とする電子機器の保護回路。