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特開2024-59071燃料電池電極用触媒、この製造方法、及びこれを含む燃料電池
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  • 特開-燃料電池電極用触媒、この製造方法、及びこれを含む燃料電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059071
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】燃料電池電極用触媒、この製造方法、及びこれを含む燃料電池
(51)【国際特許分類】
   B01J 23/89 20060101AFI20240422BHJP
   B01J 37/10 20060101ALI20240422BHJP
   B01J 37/16 20060101ALI20240422BHJP
   B01J 37/02 20060101ALI20240422BHJP
   B01J 37/08 20060101ALI20240422BHJP
   H01M 4/90 20060101ALI20240422BHJP
   H01M 4/92 20060101ALI20240422BHJP
   H01M 4/86 20060101ALI20240422BHJP
   H01M 4/88 20060101ALI20240422BHJP
   H01M 8/10 20160101ALN20240422BHJP
【FI】
B01J23/89 M
B01J37/10
B01J37/16
B01J37/02 301N
B01J37/08
H01M4/90 B
H01M4/90 M
H01M4/92
H01M4/86 B
H01M4/90 X
H01M4/88 K
H01M8/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023111599
(22)【出願日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2022-0133185
(32)【優先日】2022-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム ジュン フン
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユウ エン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】キム リム
(72)【発明者】
【氏名】リ スン チュル
(72)【発明者】
【氏名】リ ジョン ミュン
(72)【発明者】
【氏名】チョ ヤン イク
【テーマコード(参考)】
4G169
5H018
5H126
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169AA08
4G169AA09
4G169AA11
4G169BA08B
4G169BA26C
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB04A
4G169BB04B
4G169BB08C
4G169BB09C
4G169BB11C
4G169BB17C
4G169BC03C
4G169BC18A
4G169BC22A
4G169BC22B
4G169BC26A
4G169BC29A
4G169BC31A
4G169BC35A
4G169BC50A
4G169BC54A
4G169BC58A
4G169BC62A
4G169BC66A
4G169BC67A
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC75A
4G169BC75B
4G169BD12C
4G169BE08C
4G169BE11C
4G169BE43C
4G169BE44C
4G169BE46C
4G169BE48C
4G169CC32
4G169DA06
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4G169EA02Y
4G169EA08
4G169EA09
4G169EA10
4G169EB15Y
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4G169EC29
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4G169FA06
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4G169FB10
4G169FB23
4G169FB30
4G169FB45
4G169FB78
4G169FC02
4G169FC07
4G169FC08
5H018AA06
5H018BB01
5H018BB06
5H018BB12
5H018DD10
5H018EE02
5H018EE03
5H018EE04
5H018EE05
5H018EE08
5H018EE12
5H018HH05
5H018HH08
5H126BB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】酸素還元反応の活性と耐久性に優れ、スタックの小型化が可能であり、製造コストが節約可能となる燃料電池電極用触媒、この製造方法、これを含む燃料電池を提供する。
【解決手段】白金、白金を除いた遷移金属及び非遷移金属酸化物を含むコア;及び前記コア上に位置して白金を含むシェル;を含む活性粒子を含み、前記活性粒子は、前記白金と前記非遷移金属を100:1.80から4.00のモル比で含む、燃料電池電極用触媒である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白金、白金を除いた遷移金属及び非遷移金属酸化物を含むコア;及び
前記コア上に位置して白金を含むシェル;を含む活性粒子を含み、
前記活性粒子は、前記白金と前記非遷移金属を100:1.80から4.00のモル比で含む燃料電池電極用触媒。
【請求項2】
前記活性粒子は、白金と非遷移金属を100:2.00から3.80のモル比で含むものである、請求項1に記載の燃料電池電極用触媒。
【請求項3】
前記活性粒子は、前記白金と白金を除いた遷移金属を100:15.00から40.00のモル比で含むものである、請求項1に記載の燃料電池電極用触媒。
【請求項4】
前記遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群から選択される1種以上のものである、請求項1に記載の燃料電池電極用触媒。
【請求項5】
前記非遷移金属酸化物は、インジウム酸化物、錫酸化物及びアンチモン酸化物からなる群から選択される1種以上のものである、請求項1に記載の燃料電池電極用触媒。
【請求項6】
前記燃料電池電極用触媒は、前記活性粒子が炭素系支持体に担持されているものである、請求項1に記載の燃料電池電極用触媒。
【請求項7】
第1白金前駆体、白金を除いた遷移金属前駆体及び非遷移金属酸化物前駆体を含む第1混合物を製造するステップ;
前記第1混合物を第1熱処理して予備コアを製造するステップ;
前記予備コアと第2白金前駆体を含む第2混合物を製造するステップ;
前記第2混合物を第2熱処理して予備活性粒子を製造するステップ;及び
前記予備活性粒子を第3熱処理して活性粒子を製造するステップを含み、
前記第1白金前駆体と第2白金前駆体の白金の総合と非遷移金属酸化物前駆体の非遷移金属のモル比が100:1.80から4.00である、請求項1に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項8】
前記第1白金前駆体及び第2白金前駆体は、それぞれ独立してHPtCl、HPtCl、HPtCl・6HO、KPtCl、KPtCl、Pt(NHCl及びPt(NHClからなる群から選択される1種以上のものである、請求項7に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項9】
前記白金を除いた遷移金属前駆体は、白金を除いた遷移金属の窒化物、塩化物、硫化物、アセテート、アセチルアセトネート及びシアン化物からなる群から選択される1種以上のものである、請求項7に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項10】
前記非遷移金属酸化物前駆体は、非遷移金属の窒化物、塩化物、硫化物、アセテート及びアセチルアセトネートからなる群から選択される1種以上のものである、請求項7に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項11】
前記第1熱処理は、200から300℃で行われるものである、請求項7に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項12】
前記第2熱処理は、40から210℃で行われるものである、請求項7に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項13】
前記第3熱処理は、170から350℃で行われるものである、請求項7に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項14】
前記予備コアを製造するステップは、
前記第1混合物及び炭素系支持体を含む支持体混合物を第1熱処理して予備コアを製造するステップであるものである、請求項7に記載の燃料電池電極用触媒の製造方法。
【請求項15】
酸化電極;
還元電極;及び
前記酸化電極と還元電極との間に位置する電解質膜を含み、
前記酸化電極及び還元電極からなる群から選択される1種以上が請求項1に記載の燃料電池電極用触媒を含む燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池電極用触媒、この製造方法、及びこれを含む燃料電池に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、電解質及び燃料の種類により高分子電解質膜燃料電池(Polymer Electrolyte Membrane Fuel Cells:PEMFC)、直接メタノール燃料電池(Direct Methanol Fuel Cells:DMFCs)、リン酸型燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cells:PAFC)、溶融炭酸塩燃料電池(Molten Carbonate Fuel Cells:MCFC)、固体酸化物燃料電池(Solid Oxide Fuel Cells:SOFC)などに区分することができる。
【0003】
このうち高分子電解質膜燃料電池は、低温(通常100℃未満)で水素を燃料として使用し、水素と空気中の酸素の電気化学的反応を介して電気エネルギーを生産する。このような燃料電池は、電気化学的反応過程で水を副産物として生成するため、環境にやさしいエネルギーであると言える。
【0004】
燃料電池は、燃料が酸化される酸化電極、酸素が還元される還元電極、及び電解質で構成される。
【0005】
燃料として使用される水素は酸化電極で酸化されて水素イオンと電子を生成し、酸化電極で生成された電子は外部導線を介してエネルギーを発生させ、水素イオンは電解質を介して還元電極に移動する。還元電極では空気中で供給される酸素が酸化電極から電解質に移動された水素イオンと反応して水を生成する。
【0006】
一方、酸素還元反応の活性を増大させるために酸化電極及び還元電極の構成要素として、安定的で、酸素還元反応性に優れた白金系触媒が主に用いられている。白金は高価な貴金属成分なので、燃料電池の大量生産時に製造コストの節減のために白金の使用量を減らす必要がある。これによって、白金と低価の遷移金属からなる白金系合金触媒に対する研究が活発に進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0550998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、酸素還元反応の活性と耐久性に優れ、スタックの小型化が可能であり、製造コストを節減することができる燃料電池電極用触媒、この製造方法、これを含む燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するために、1)本発明は、白金、白金を除いた遷移金属及び非遷移金属酸化物を含むコア;及び前記コア上に位置して白金を含むシェル;を含む活性粒子を含み、前記活性粒子は前記白金と前記非遷移金属を100:1.80から4.00のモル比で含む燃料電池電極用触媒を提供する。
【0010】
2)本発明は、前記1)において、前記活性粒子は、白金と非遷移金属を100:2.00から3.80のモル比で含むものである燃料電池電極用触媒を提供する。
【0011】
3)本発明は、前記1)または2)において、前記活性粒子は、前記白金と白金を除いた遷移金属を100:15.00から40.00のモル比で含むものである燃料電池電極用触媒を提供する。
【0012】
4)本発明は、前記1)から3)のうちいずれか一つにおいて、前記遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群から選択される1種以上のものである燃料電池電極用触媒を提供する。
【0013】
5)本発明は、前記1)から4)のうちいずれか一つにおいて、前記非遷移金属酸化物は、インジウム酸化物、錫酸化物及びアンチモン酸化物からなる群から選択される1種以上のものである燃料電池電極用触媒を提供する。
【0014】
6)本発明は、前記1)から5)のうちいずれか一つにおいて、前記燃料電池電極用触媒は、前記活性粒子が炭素系支持体に担持されているものである燃料電池電極用触媒を提供する。
【0015】
7)本発明は、第1白金前駆体、白金を除いた遷移金属前駆体及び非遷移金属酸化物前駆体を含む第1混合物を製造するステップ;前記第1混合物を第1熱処理して予備コアを製造するステップ;前記予備コアと第2白金前駆体を含む第2混合物を製造するステップ;前記第2混合物を第2熱処理して予備活性粒子を製造するステップ;及び前記予備活性粒子を第3熱処理して活性粒子を製造するステップを含み、前記第1白金前駆体と第2白金前駆体の白金の総合と非遷移金属酸化物前駆体の非遷移金属のモル比が100:1.80から4.00である前記1)から6)のうちいずれか一つによる燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0016】
8)本発明は、前記7)において、前記第1白金前駆体及び第2白金前駆体は、それぞれ独立してHPtCl、HPtCl、HPtCl・6HO、KPtCl、KPtCl、Pt(NHCl及びPt(NHClからなる群から選択される1種以上のものである燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0017】
9)本発明は、前記7)または8)において、前記白金を除いた遷移金属前駆体は、白金を除いた遷移金属の窒化物、塩化物、硫化物、アセテート、アセチルアセトネート及びシアン化物からなる群から選択される1種以上のものである燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0018】
10)本発明は、前記7)から9)のうちいずれか一つにおいて、前記非遷移金属酸化物前駆体は、非遷移金属の窒化物、塩化物、硫化物、アセテート及びアセチルアセトネートからなる群から選択される1種以上のものである燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0019】
11)本発明は、前記7)から10)のうちいずれか一つにおいて、前記第1熱処理は200から300℃で行われるものである燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0020】
12)本発明は、前記7)から11)のうちいずれか一つにおいて、前記第2熱処理は40から210℃で行われるものである燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0021】
13)本発明は、前記7)から12)のうちいずれか一つにおいて、前記第3熱処理は170から350℃で行われるものである燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0022】
14)本発明は、前記7)から13)のうちいずれか一つにおいて、前記予備コアを製造するステップは、前記第1混合物及び炭素系支持体を含む支持体混合物を第1熱処理して予備コアを製造するステップであるものである燃料電池電極用触媒の製造方法を提供する。
【0023】
15)本発明は、酸化電極;還元電極;及び前記酸化電極と還元電極との間に位置する電解質膜を含み、前記酸化電極及び還元電極からなる群から選択される1種以上が、前記1)から6)のうちいずれか一つによる燃料電池電極用触媒を含む燃料電池を提供する。
【発明の効果】
【0024】
本発明の燃料電池電極用触媒は、酸素還元反応の活性と耐久性に優れ、白金を除いた遷移金属及び非遷移金属酸化物を用いるため白金の使用量が減少し、製造コストを節減することができる。
【0025】
本発明の燃料電池電極用触媒の前述した効果により、小型スタック化が可能な燃料電池を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】触媒1を撮影したTEM写真である。
図2図1の写真のうち赤色で示されたコア-シェル構造の活性粒子を拡大したTEM写真である。
図3】触媒1を低倍率で撮影したSEM写真である。
図4図2のコア-シェル構造の活性粒子のTEM EDSラインマッピングの結果を示したグラフであって、x軸はマッピング開始点(0)からの距離(distance(nm))であり、y軸は強度(intensity(a.u.))である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に対する理解を助けるためにより詳しく説明する。
【0028】
本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者は自身の発明を最良の方法で説明するために用語の概念を適宜定義することができるという原則に即し、本発明の技術的思想に適合する意味と概念として解釈されなければならない。
【0029】
本発明において、白金、遷移金属、非遷移金属の含量は、誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定することができる。
【0030】
本発明における燃料電池電極用触媒の平均粒径は、X-ray回折分析法(XRD)で測定することができる。
【0031】
1.燃料電池電極用触媒
本発明の一実施形態による燃料電池電極用触媒は、白金、白金を除いた遷移金属及び非遷移金属酸化物を含むコア(core);及び前記コア上に位置して白金を含むシェル(shell);を含む活性粒子を含み、前記活性粒子は前記白金と前記非遷移金属を100:1.80から4.00のモル比で含む。
【0032】
前記活性粒子は、前記白金と前記非遷移金属を100:1.80から4.00のモル比で含み、好ましくは100:2.00から3.80のモル比で含んでよく、より好ましくは100:2.03から3.55のモル比で含んでよい。前記非遷移金属を前述した条件未満で含むと、燃料電池電極用触媒の耐久性が顕著に低下する。そして、前記非遷移金属を前述した範囲を超えて含むと、燃料電池電極用触媒の酸素還元反応の活性及び耐久性が顕著に低下する。
【0033】
前記活性粒子は、前記白金と白金を除いた遷移金属を100:15.00から40.00、好ましくは100:15.00から33.00、より好ましくは100:20.00から33.00、さらに好ましくは100:25.00から30.00、最も好ましくは100:26.03から28.32のモル比で含んでよい。前述した条件を満たせば、燃料電池電極用触媒の酸素還元反応の活性を改善させることができる。
【0034】
前記遷移金属は、白金との電子相互作用により触媒の電子環境を変化させ、触媒の酸素還元反応の活性を改善させることができる。
【0035】
前記遷移金属は、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅及び亜鉛からなる群から選択される1種以上であってよく、このうち白金の電気陰性度を増大させて触媒の酸素還元反応の活性を顕著に改善させ得るニッケルを用いるのが好ましい。
【0036】
前記非遷移金属酸化物は、活性粒子の成長を抑制して触媒の比表面積を増加させ、その結果、触媒の酸素還元反応の活性を改善させることができる。
【0037】
前記非遷移金属酸化物は、インジウム酸化物、錫酸化物及びアンチモン酸化物からなる群から選択される1種以上であってよく、このうち活性粒子の大きさを顕著に減少させて比表面積を増加させ得る錫酸化物が好ましい。
【0038】
前記非遷移金属は、インジウム、錫及びアンチモンからなる群から選択される1種以上であってよく、このうち活性粒子の大きさを顕著に減少させて比表面積を増加させ得る錫が好ましい。
【0039】
前記シェルは、酸性溶液との反応により前記コア内の遷移金属の溶出を防止する役割を担う。すなわち、前記シェルはコアを保護する役割を担い、これにより遷移金属の溶出を防止して触媒の耐久性を増大させることができる。
【0040】
前記活性粒子は、前記コア100重量部に対して、前記シェルを15.00から45.00重量部、好ましくは20.00から40.00重量部、より好ましくは25.00から35.00重量部で含んでよい。前述した条件を満たせば、前記シェルが前記コアを十分に保護し、触媒の耐久性を増大させることができる。また、高価の白金を含むシェルが適正量で用いられるので、製造コストが過度に上昇することを防止することができる。
【0041】
前記燃料電池電極用触媒は、平均粒径が2.50から4.40nm、好ましくは2.80から4.10nm、より好ましくは3.30から3.60nmであってよい。前述した条件を満たせば、燃料電池電極用触媒の比表面積が増加し、酸素還元反応の活性が増加することができる。
【0042】
前記燃料電池電極用触媒は、前記活性粒子が炭素系支持体に担持されているものであってよい。前記活性粒子が炭素系支持体に担持されていれば、燃料電池電極用触媒粒子の分散性が改善され、凝集現象が発生することを最小化することができる。
【0043】
前記炭素系支持体は、カーボンブラック、炭素ナノチューブ、グラファイト、グラフェン、活性炭、多孔性カーボン、カーボン繊維及びカーボンナノワイヤからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0044】
前記炭素系支持体の含量は、前記燃料電池電極用触媒の総含量に対して、40.00から60.00重量%、好ましくは42.00から58.00重量%、より好ましくは45.00から56.00重量%、最も好ましくは47.50から53.50重量%であってよい。前述した条件を満たせば、活性粒子の分散性が改善され、燃料電池電極内で活性粒子が凝集されることを最小化することができる。
【0045】
2.燃料電池電極用触媒の製造方法
本発明の一実施形態による燃料電池電極用触媒の製造方法は、1)第1白金前駆体、白金を除いた遷移金属前駆体及び非遷移金属酸化物前駆体を含む第1混合物を製造するステップ;2)前記第1混合物を第1熱処理して予備コアを製造するステップ;3)前記予備コアと第2白金前駆体を含む第2混合物を製造するステップ;4)前記第2混合物を第2熱処理して予備活性粒子を製造するステップ;及び5)前記予備活性粒子を第3熱処理して活性粒子を製造するステップを含み、前記第1白金前駆体と第2白金前駆体の白金の総合と非遷移金属酸化物前駆体の非遷移金属のモル比が100:1.80から4.00である。
【0046】
前記第1白金前駆体と第2白金前駆体の白金の総合と非遷移金属酸化物前駆体の非遷移金属のモル比が100:1.80から4.00であり、好ましくは100:2.00から3.80、好ましくは100:2.03から3.55であってよい。前記非遷移金属の含量が前述した条件未満であれば、燃料電池電極用触媒の耐久性が顕著に低下する。そして、前記非遷移金属の含量が前述した範囲を超過すれば、燃料電池電極用触媒の酸素還元反応の活性及び耐久性が顕著に低下する。
【0047】
1)第1混合物の製造
先ず、第1白金前駆体、白金を除いた遷移金属前駆体及び非遷移金属酸化物前駆体を含む第1混合物を製造する。
【0048】
前記第1白金前駆体は、 HPtCl、HPtCl、HPtCl・6HO、KPtCl、KPtCl、Pt(NHCl及びPt(NHClからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0049】
前記白金を除いた遷移金属の種類は前述した通りであり、前記白金を除いた遷移金属前駆体は、白金を除いた遷移金属の窒化物、塩化物、硫化物、アセテート、アセチルアセトネート及びシアン化物からなる群から選択される1種以上であってよい。前記白金を除いた遷移金属前駆体の具体的な例のうちニッケル前駆体は、NiCl、Ni(CHCOO)・4HO)、Ni(NO・6HO、NiCl・4HOからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0050】
前記非遷移金属酸化物の種類は前述した通りであり、前記非遷移金属酸化物の前駆体は、非遷移金属の窒化物、塩化物、硫化物、アセテート及びアセチルアセトネートからなる群から選択される1種以上であってよい。前記非遷移金属酸化物前駆体の具体的な例のうち錫酸化物前駆体は、SnCl、Sn(O-tBu)(Tin(IV)tert-butoxide)、Sn(O-Et)(Tin(II)ethoxide)、Sn(O-Me)(Tin(II)methoxide)及びSn(O-iPr)からなる群から選択される1種以上であってよい。
【0051】
前記第1混合物は、構成要素等を均一に混合するため、溶媒、具体的には水系溶媒をさらに含んでよい。
【0052】
また、前記第1混合物は、金属、特に白金の還元を容易にするため、還元剤、具体的にはNaHPOをさらに含んでよい。
【0053】
2)予備コアの製造
次いで、前記第1混合物を第1熱処理して予備コアを製造する。
【0054】
前記第1熱処理によって前駆体等のポリオール(polyol)反応が行われ、前記第1熱処理は200から300℃、好ましくは220から280℃で行われてよい。前述した条件を満たせば、均一な組成を有する予備コアが製造され得る。
【0055】
前記第1熱処理は、空気または窒素雰囲気で行われてよい。
【0056】
一方、予備コアの製造に際して、前記第1混合物とともに炭素系支持体を含む支持体混合物を第1熱処理することができる。前記支持体混合物は、炭素系支持体を容易に分散させるために溶媒を含んでよい。前記溶媒は、エチレングリコール及びイオン交換水からなる群から選択される1種以上を含んでよい。
【0057】
前記炭素系支持体は、予備コアの構成粒子等の分散性が向上され得る。
【0058】
前記炭素系支持体の種類は前述した通りである。
【0059】
前記炭素系支持体の含量は、前記第1白金前駆体と第2白金前駆体の白金、白金を除いた遷移金属前駆体の遷移金属及び非遷移金属酸化物前駆体の非遷移金属の合計100重量部に対して、50.00から150.00重量部、好ましくは70.00から130.00重量部、より好ましくは90.00から110.00重量部であってよい。前述した条件を満たせば、予備コアの構成粒子等の分散性がより向上することができる。
【0060】
ここで、前記炭素系支持体の含量は、前記炭素系支持体の炭素の含量であってよい。
【0061】
そして、前記第1熱処理以後には、濾過及び乾燥工程がさらに行われてもよい。
【0062】
3)第2混合物の製造
次いで、前記予備コアと第2白金前駆体を含む第2混合物を製造する。
【0063】
前記第2混合物は、構成要素等を均一に混合するため、溶媒、具体的には水系溶媒をさらに含んでよい。
【0064】
前記第2白金前駆体の白金の含量は、前記予備コア100重量部に対して、30.00から46.00重量部、好ましくは20.00から37.00重量部、より好ましくは25.00から32.00重量部であってよい。前述した範囲を満たせば、コア上にシェルが適正量で形成され得る。
【0065】
前記第2白金前駆体は、HPtCl、HPtCl、HPtCl・6HO、KPtCl、KPtCl、Pt(NHCl及びPt(NHClからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0066】
4)予備活性粒子の製造
次いで、前記第2混合物を第2熱処理して予備活性粒子を製造する。
【0067】
前記第2熱処理によりガルバニック置換反応が行われ、前記ガルバニック置換反応によりコアの表面に存在する白金を除いた遷移金属と非遷移金属酸化物が白金前駆体の白金に置換され、白金を含むシェルが形成され得る。
【0068】
前記第2熱処理は40から210℃、好ましくは60から190℃、好ましくは90から160℃で行われてよい。前述した条件を満たせば、ガルバニック置換反応の反応性に優れるようになり得る。
【0069】
前記第2熱処理は、空気または窒素雰囲気で行われてよい。
【0070】
5)活性粒子の製造
次いで、前記予備活性粒子を第3熱処理して活性粒子を製造する。
【0071】
前記第3熱処理により表面が活性化された活性粒子が製造され得る。
【0072】
前記第3熱処理は170から350℃、好ましくは200から330℃で行われてよい。前述した条件を満たせば、活性粒子が損傷することなく活性粒子の表面が比較的短時間で活性化できる。
【0073】
前記第3熱処理は、水素雰囲気または水素を含む混合ガス雰囲気で行われてよい。前記第3熱処理が前述した雰囲気で行われれば、熱伝達が容易となり、残存酸素と水素が反応して酸素を容易に除去することができる。
【0074】
3.燃料電池
本発明の他の一実施形態による燃料電池は、酸化電極;還元電極;及び前記酸化電極と還元電極との間に位置する電解質膜を含み、前記酸化電極及び還元電極からなる群から選択される1種以上が本発明の一実施形態による燃料電池電極用触媒を含む。
【0075】
前記酸化電極及び還元電極は、電極基材及び前記電極基材上に位置した触媒層を含んでよい。
【0076】
前記電極基材は、水素または酸素の円滑な供給が行われるように多孔性の導電性基材が用いられてよい。前記多孔性基材は、炭素ペーパー、炭素布、炭素フェルト及び金属布(繊維状態の金属布で構成された多孔性フィルムまたは高分子繊維で形成された布の表面に金属フィルムが形成されたもの)からなる群から選択される1種以上であってよい。前記電極基材は、燃料電池の駆動時に発生される水により反応物拡散効率が低下することを防止するため、フッ素系樹脂で撥水処理してもよい。前記フッ素系樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリペルフルオロアルキルビニルエーテル、ポリペルフルオロスルホニルフルオライドアルコキシビニルエーテル、フッ素化されたエチレンプロピレン及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群から選択される1種以上であってよい。
【0077】
前記触媒層は、前記電解質膜と前記電極基材との間に位置してよい。
【0078】
前記触媒層は、本発明の一実施形態による燃料電池電極用触媒を含んでよい。
【0079】
前記触媒層の一つが本発明の一実施形態による燃料電池電極用触媒を含まない場合、白金、銅、銀、金、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、錫、チタン及びクロムからなる群から選択される1種以上を金属触媒として含んでよい。
【0080】
前記触媒層は、厚さが1から50μm、好ましくは5から40μm、より好ましくは10から25μmであってよい。前述した条件を満たせば、電極反応を効果的に活性化させ、電気抵抗が適正水準に維持され得る。
【0081】
前記触媒層は、スプレーコーティング、スピンコーティング、バーコーティング、ディップコーティングからなる群から選択される1種以上の方法で前記電極基材または電解質膜上に形成され得る。
【0082】
そして、前記電極基材と前記触媒層との間に、前記電極基材での物質拡散を容易にするため、炭素粉末、カーボンブラックなどの導電性微細粒子を含む微細気孔層をさらに含んでよい。
【0083】
前記微細気孔層の厚さは3から50μm、好ましくは5から40μm、より好ましくは10から20μmであってよい。前述した条件を満たせば、水分蒸発抑制性能に優れ、触媒層内部で生成された水が触媒表面を覆って反応表面積を減少させるフラッディング現象を最小化することができる。
【0084】
前記電解質膜は、反応生成物及びイオンなどの拡散のために含まれてよい。前記電解質膜は、スルホン化炭化水素系高分子、過フッ素化系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル-エーテルケトン系高分子及びポリフェニルキノキサリン系高分子からなる群から選択される1種以上を含んでよい。前記スルホン化炭化水素系高分子は、ポリアリレンエーテルスルホン(S-PES)、スルホン化されたポリベンズイミダゾール(S-PBI)、スルホン化されたポリエーテルケトン(S-PEEK)、ポリ(パラ)フェニレン(S-PP)、スルホン化されたポリイミド(S-PI)、スルホン化されたポリスルホン(S-PS)からなる群から選択される1種以上を含んでよい。前記過フッ素化系高分子は、ナフィオン(Nafion、DuPont社)、フレミオン(Flemion、AGC社)、アシプレックス(Asiplex、Asahi Chemical社)、ダウXUS(Dow XUS、Dow Chemical社)及びアクイヴィオン(Aquivion、Solvay社)からなる群から選択される1種以上を含んでよい。
【0085】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、前記実施例は本記載を例示するものであるだけで、本記載の範疇及び技術思想の範囲内で多様な変更及び修正が可能であることは、通常の技術者において明白なことであり、このような変形及び修正が特許請求の範囲に属することも当然のものである。
【0086】
製造例1
カーボンブラック(製造社:CABOT社)2.03g、エチレングリコール1,115.59gとイオン交換水35.03gを混合した後、超音波で30分間分散させて支持体混合物を製造した。
【0087】
Pt(NHCl水溶液(濃度:4重量%)50.61g、NiCl水溶液(濃度:8重量%)17.89g、SnCl水溶液(濃度:2重量%)3.49g、NaHPO水溶液(濃度:30重量%)2.03gを混合して第1混合物を製造した。
【0088】
前記支持体混合物1,152.65gと前記第1混合物74.02gを30分間攪拌した後、オートクレーブに投入した。次いで、空気雰囲気でオートクレーブの内部温度を250℃に上げて20分間第1熱処理して還元反応を行った。このとき、反応器の圧力は約210psiであった。次いで、これを濾過し乾燥して予備コアを製造した。
【0089】
一方、KPtCl水溶液(濃度:4重量%)34.00g、クエン酸ナトリウム(Na)水溶液(濃度:30重量%)12.75g及びイオン交換水777.36gを混合して第2白金前駆体混合物を製造した。
【0090】
前記第2白金前駆体混合物824.11gと前記予備コア3.58gを混合して第2混合物を製造した。前記第2混合物を空気雰囲気にて90℃で10分、160℃で10分間攪拌しながら第2熱処理してガルバニック置換反応を行い、予備活性粒子を製造した。
【0091】
次いで、前記予備活性粒子を濾過、洗浄及び乾燥した後、水素雰囲気にて300℃で120分間第3熱処理し、コア-シェル構造の活性粒子がカーボンブラックに担持された触媒を製造した。
【0092】
製造例2
カーボンブラック(製造社:CABOT社)2.03g、エチレングリコール1,115.59gとイオン交換水35.03gを混合した後、超音波で30分間分散させて支持体混合物を製造した。
【0093】
Pt(NHCl水溶液(4重量%)50.61g、NiCl水溶液(濃度:8重量%)17.89g、SnCl水溶液(濃度:2重量%)2.33g及びNaHPO水溶液(濃度:10重量%)8.15gを混合して第1混合物を製造した。
【0094】
前記支持体混合物1,152.65gと前記第1混合物78.98gを30分間攪拌した後、オートクレーブに投入した。次いで、空気雰囲気で250℃に上げて20分間第1熱処理して還元反応を行った。このとき、反応器の圧力は約210psiであった。次いで、これを濾過し乾燥して予備コアを製造した。
【0095】
一方、KPtCl水溶液(濃度:4重量%)34.00gとクエン酸ナトリウム水溶液(濃度:30重量%)12.75g及びイオン交換水777.36gを混合して第2白金前駆体混合物を製造した。
【0096】
前記第2白金前駆体混合物824.11gと前記予備コア3.58gを混合して第2混合物を製造した。前記第2混合物を空気雰囲気にて90℃で10分、160℃で10分間攪拌して第2熱処理してガルバニック置換反応を行い、予備活性粒子を製造した。
【0097】
次いで、前記予備活性粒子を濾過、洗浄及び乾燥した後、水素雰囲気にて300℃で120分間第3熱処理し、コア-シェル構造の活性粒子がカーボンブラックに担持された触媒を製造した。
【0098】
製造例3
カーボンブラック(製造社:CABOT社)2.03g、エチレングリコール1,115.59gとイオン交換水35.03gを混合した後、超音波で30分間分散させて支持体混合物を製造した。
【0099】
Pt(NHCl水溶液(濃度:4重量%)50.61g、NiCl水溶液(濃度:8重量%)17.89g、SnCl水溶液(濃度:2重量%)7g及びNaHPO水溶液(濃度:10重量%)8.15gを混合して第1混合物を製造した。
【0100】
前記支持体混合物1,152.65gと前記第1混合物4.41gを30分間攪拌した後、オートクレーブに投入した。次いで、空気雰囲気でオートクレーブの内部温度を250℃に上げて20分間第1熱処理して還元反応を行った。このとき、反応器の圧力は約210psiであった。次いで、これを濾過し乾燥して予備コアを製造した。
【0101】
一方、KPtCl水溶液(濃度:4重量%)34.00g、クエン酸ナトリウム水溶液(濃度:30重量%)12.75g及びイオン交換水777.36gを混合して第2白金前駆体混合物を製造した。
【0102】
前記第2白金前駆体混合物824.11gと前記予備コア3.62gを混合して第2混合物を製造した。前記第2混合物を空気雰囲気にて90℃で10分、160℃で10分間攪拌しながら第2熱処理してガルバニック置換反応を行い、予備活性粒子を製造した。
【0103】
次いで、前記予備活性粒子を濾過、洗浄及び乾燥した後、水素雰囲気にて300℃で120分間第3熱処理し、コア-シェル構造の活性粒子がカーボンブラックに担持された触媒を製造した。
【0104】
前記製造例1から3によって製造された触媒等のサンプル等を採取し、下記方法で触媒の組成及び物性を測定した。このとき、製造例1の方法で製造された触媒の場合、3つのサンプルを採取して組成及び物性を測定しており、各サンプル別に組成及び物性に多少差があるものと表れた。測定結果は下記表1に記載した。
【0105】
1)Pt、Ni、Snのモル比:誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)で測定した。
【0106】
2)触媒内のPt、Ni、Sn、Cの含量(重量%):誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-OES)で測定した。
【0107】
3)2θ/平均粒径(nm):X-ray回折分析法(XRD)で測定した。
【0108】
【表1】
【0109】
実施例1
<酸化電極の製造>
ジプロピレングリコールと水を1:1の重量比で混合した溶媒100重量部に、50重量%のPt/C触媒(Pt:Cの重量比1:1、製造社:Tanaka Kikinzoku Kogyo KK社)13.6重量部及びバインダーとしてアイオノマー(Asahi Kasei社)4.1重量部を投入し、3-ロールミルを用いて均一に分散及び混合して第1触媒スラリーを製造した。その後、第1触媒スラリーを真空オーブンを用いて120℃で2時間乾燥した後、乳鉢で細かく粉砕して触媒前駆体粉末を収得した。次いで、ジプロピレングリコールと水を1:1の重量比で混合した溶媒100重量部に、収得された触媒前駆体粉末17.7重量部及び酸化イリジウム(IrO)3.4重量部を投入し、3-ロールミルを用いて均一に分散及び混合して第2触媒スラリーを製造した。前記製造された第2触媒スラリーをフッ化ポリイミド(Fluorinated Polyimide、FPI、エフエムツー社)フィルム上に0.05mg/cmでコーティングし、乾燥オーブンを用いて60℃で2時間乾燥させて酸化電極を製造した。
【0110】
<燃料電池の製造>
イオン交換水とエタノールの体積比が7:3である混合溶媒に、前記触媒1とアイオノマー(商品名:FORBLUE、製造社:AGC社)を、触媒1の炭素とアイオノマーの重量比が1:0.7になるように混合して触媒混合物(濃度:12重量%)を製造した。そして、前記触媒混合物をボールミルミキサー(Retch PM400)により250rpmで90分間混合して第3触媒スラリーを製造した。
【0111】
ポリエチレンナフタレートの一面に前記第3触媒スラリーを塗布し、60℃のオーブンで45分間乾燥して触媒層を製造した。このとき、触媒層の含量は白金基準で0.2mg/cmであった。
【0112】
前記触媒層が塗布されたポリエチレンナフタレートと前記酸化電極との間に電解質膜(商品名:SELECT、製造社:GORE社)を位置させた後、独自で開発した転写装備を介して165℃で3分間18bargの圧力下で転写し、ポリエチレンナフタレートを除去した後、膜電極接合体(活性面積:50mm×50mm)である単位電池を製造した。本発明の触媒層は還元電極として使用した。
【0113】
実施例2から3、比較例1、2
触媒1の代わりに表2に記載された触媒を使用したことを除き、実施例1と同一の方法で燃料電池を製造した。
【0114】
実験例1
触媒1の形状及び元素分布を測定しており、その結果を図1から3に示した。
【0115】
具体的に図1は、触媒1を撮影したTEM写真である。図2は、図1の写真のうち赤色で示されたコア-シェル構造の活性粒子を拡大したTEM写真である。図3は、触媒1の形状を確認するために図1よりも低い倍率で撮影したSEM写真である。
【0116】
図1から図3を参照すれば、触媒1が炭素に担持されたコア-シェル構造の活性粒子であることが確認できた。
【0117】
図4は、図2のコア-シェル構造の活性粒子のTEM EDSラインマッピングの結果を示したグラフであって、x軸はマッピング開始点(0)からの距離(distance(nm))であり、y軸は強度(intensity(a.u.))である。ここで、マッピングは、図2の活性粒子の中心線を基準に左側から右側に進められた。
【0118】
図4を参照すれば、図2の活性粒子の外殻(x軸の4.2から4.6nm、16.1から17.6nm)区間ではPtが主に存在し、中心部区間ではPt、Ni、Snが混在した。このように、活性粒子の外殻と中心部の構成成分が異なるので、活性粒子がコア-シェル構造であることが類推できた。
【0119】
実験例2
実施例1から3、比較例1及び2の燃料電池に対して、65℃、RH50%の環境で酸化電極量論比1.5(SR:stoichiometry ratio)、還元電極量論比2.0を基準にして、活性化及び正常状態への到達後の常圧条件におけるIVカーブ(電流-電圧曲線)を測定した。また、酸化電極及び還元電極にそれぞれ2baraを印加した後、正常状態に到達した後、IVカーブを測定した。
【0120】
そして、常圧条件でIVカーブでの電流が1.0A/cmであるときに測定した電圧と、2baraを印加した条件でIVカーブでの電流が1.2A/ cmであるときに測定した電圧とを表2に示した。
【0121】
ここで、電流と電圧の積(電流×電圧)は燃料電池の出力を示すものであり、出力が高いほど燃料電池の性能が優れていることを意味する。
【0122】
実験例3
サイクリックボルタンメトリー(cyclic voltammetry)を用いて実施例1、比較例1及び2の酸化電極の電圧劣化率を測定して耐久性を確認した。
【0123】
具体的には、65℃、RH50%、常圧、酸化電極量論比(SR:stoichiometry ratio)1.5、還元電極量論比2.0の環境条件で0.2A/cmに該当する流量で酸化電極に水素、還元電極に窒素をそれぞれ供給した。0から1.4V範囲の一範疇内でサイクリックボルタンメトリーを行い、印加電圧速度(Scan rate)は10から100mV/s範囲内で、循環回数は1,500回であった。
【0124】
電圧劣化率は、下記の式によって導出した。
【0125】
(1)電圧劣化率={(1.0A/cmでのBOL(Beginning of life)電圧)-(1.0A/cmでのEOL(End of life)電圧}/(1.0A/cmでのBOL電圧)
【0126】
前記式において、1.0A/cmでのBOL電圧は、循環をさせない実施例1、比較例1及び2の燃料電池に対して、65℃、RH50%の環境で酸化電極量論比1.5(SR:stoichiometry ratio)、還元電極量論比2.0を基準にして活性化及び正常状態に到達した後、常圧条件で測定したIVカーブ(電流-電圧曲線)で電流が1.0A/cmであるときの電圧を示したものである。
【0127】
また、1.0A/cmでのEOL電圧は、前述したサイクリックボルタンメトリーを介して1,500回循環させた実施例1、比較例1及び2の燃料電池に対して、65℃、RH50%の環境で酸化電極量論比1.5(SR:stoichiometry ratio)、還元電極量論比2.0を基準にして活性化及び正常状態に到達した後、常圧条件で測定したIVカーブ(電流-電圧曲線)で電流が1.0A/cmであるときの電圧を示したものである。
【0128】
【表2】
表2を参照すれば、実施例1から3は比較例1及び2に比べ、常圧条件での性能は1A/cmを基準で電圧が同等水準なので、燃料電池の出力も同等水準であることが分かった。
【0129】
しかし、実施例1及び実施例2は比較例1及び2に比べ、2baraを印加した条件では1.2A/cmを基準で電圧が優れているため、燃料電池の出力が優れていることが分かった。
【0130】
また、実施例1の燃料電池が比較例1及び2の燃料電池に比べて電圧劣化率も顕著に少なかった。このような結果から本発明の燃料電池電極用触媒を用いた実施例1が活性及び耐久性が顕著に優れていることが確認できた。
図1
図2
図3
図4