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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005908
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】無線タグ読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/10 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 35/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G06K7/10 240
G06K7/10 264
G01N35/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106370
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】井川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 卓朗
(72)【発明者】
【氏名】菅 エリナ
(72)【発明者】
【氏名】カート カレンダー
(72)【発明者】
【氏名】ピーター スーレ
(72)【発明者】
【氏名】ドン スピアーズ
【テーマコード(参考)】
2G058
【Fターム(参考)】
2G058CB15
2G058GC03
2G058GC05
(57)【要約】
【課題】無線タグの読取性能を向上でき、かつ装置の小型化が図れる無線タグ読取装置を提供する。
【解決手段】無線タグ読取装置1は、RFIDタグ106が貼付される被測定物が載置される載置面23と、載置面23に載置されているRFIDタグ106から情報を読み取るアンテナ部11と、アンテナ部11の動作を制御する読取制御部12と、を備え、アンテナ部11及び読取制御部12は単一の筐体2に収容され、アンテナ部11は複数のアンテナ3A~3Dを有し、複数のアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線タグが貼付される被測定物が載置される載置面と、
前記載置面に載置されている前記無線タグから情報を読み取るアンテナ部と、
前記アンテナ部の動作を制御する読取制御部と、を備え、
前記アンテナ部及び前記読取制御部は、単一の筐体に収容され、
前記アンテナ部は複数のアンテナを有し、
前記複数のアンテナは、前記載置面の中心側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置される、
無線タグ読取装置。
【請求項2】
前記複数のアンテナは、前記載置面の中心まわりの周方向に沿って配置され、かつ、前記中心側の前記載置面との距離が、前記載置面の遠心側より大きくなるように傾斜して設置される、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項3】
前記載置面は正方形状に形成され、
前記複数のアンテナは、前記載置面に対して各アンテナを並列配置可能な大きさの正方形状で形成され、
前記筐体のうち前記載置面の裏面に、前記複数のアンテナのそれぞれの前記中心側と前記遠心側の対角を篏合して固定する、前記複数のアンテナと同数の複数組の篏合部が設けられ、
前記複数組の篏合部は、設置される前記アンテナの中央側、かつ、前記載置面と反対側に突出する段差部が設けられ、
前記中心側の前記篏合部に設けられる前記段差部の裏面からの高さが、前記遠心側の前記篏合部に設けられる前記段差部の裏面からの高さより大きくなるよう形成される、
請求項2に記載の無線タグ読取装置。
【請求項4】
前記アンテナ部と前記読取制御部との間に設けられ、前記複数のアンテナから放射される電波が前記読取制御部に伝わるのを遮蔽する遮蔽部を備える、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【請求項5】
前記読取制御部は、前記アンテナ部の動作を制御する制御基板を有し、
前記遮蔽部は、金属板製の遮蔽プレートであり、
前記遮蔽プレートは、前記複数のアンテナを挟んで前記載置面と反対側にて前記複数のアンテナの全体を覆う第1部分と、前記制御基板より前記載置面側にて前記制御基板の全体を覆う第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する第3部分とを有し、
前記第1部分及び前記第2部分が前記載置面と平行に配置され、
前記第1部分の前記載置面との距離が、前記第2部分より大きくなるよう配置され、
前記第3部分が、前記第1部分と前記第2部分に対して直角に配置される、
請求項4に記載の無線タグ読取装置。
【請求項6】
前記読取制御部は、前記アンテナ部を介して前記無線タグに情報を書き込む機能を有する、
請求項1に記載の無線タグ読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線タグ読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、RFID(Radio Frequency Identification)タグなどの無線タグを用いて物品の管理を行う技術が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、検体が入った試験管等の検体容器にRFIDタグを取り付け、RFIDタグを読み取るアンテナを用いて、RFIDタグに記憶された情報を読み出したり、RFIDタグに情報を記憶したりする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-231357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1などに記載の従来の無線タグ読取システムでは、無線タグとの情報の読み書きを行うアンテナ部と、アンテナ部の動作を制御するリーダライタとが別装置で構成される。このため、装置接続用などの付属品が多かったり、システム全体の設置面積が大きいなどの問題がある。また、多数の検体容器から纏めて無線タグの読み書きを行う場合など、被測定物が比較的大きくなると、RFIDタグを読み取る際に一般的に用いられるパッチアンテナの電界は一様ではないため、無線タグの読取に失敗するケースも生じ得るなど、無線タグの読取性能にも改善の余地がある。
【0006】
本開示は、無線タグの読取性能を向上でき、かつ装置の小型化が図れる無線タグ読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態の一観点に係る無線タグ読取装置は、無線タグが貼付される被測定物が載置される載置面と、前記載置面に載置されている前記無線タグから情報を読み取るアンテナ部と、前記アンテナ部の動作を制御する読取制御部と、を備え、前記アンテナ部及び前記読取制御部は、単一の筐体に収容され、前記アンテナ部は複数のアンテナを有し、前記複数のアンテナは、前記載置面の中心側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置される。
【0008】
この態様によれば、複数のアンテナを、載置面の中心側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置する構成、すなわち、複数のアンテナの指向性を載置面の中心側にずらす構成をとる。この構成によって、載置面の中心を含む中央部分のアンテナ利得の低減を抑制することが可能となるので、従来より小型のアンテナを用いても、載置面の中央部のアンテナ利得を従来と同等にできる。したがって、所望の読取性能を実現するために適用するアンテナを小型化できる。さらに、載置面の中心を含む中央部分のアンテナ利得を相対的に高くできるので、載置面の全体に亘ってアンテナ利得をより均一化でき、載置面上における無線タグの読取性能を向上できる。この結果、無線タグの読取性能を向上でき、かつ装置の小型化が図れる。
【0009】
本発明の実施形態の他の観点に係る無線タグ読取装置では、前記複数のアンテナは、前記載置面の中心まわりの周方向に沿って配置され、かつ、前記中心側の前記載置面との距離が、前記載置面の遠心側より大きくなるように傾斜して設置される構成でもよい。
【0010】
この態様によれば、各アンテナの電波受信方向を載置面の中心の方向へ傾斜するように配置することが可能となるので、複数のアンテナの電波放射範囲が、載置面の中心側でより確実に重なるように配置することができ、無線タグのより一層の読取性能の向上と、装置のより一層の小型化が図れる。
【0011】
本発明の実施形態の他の観点に係る無線タグ読取装置では、前記載置面は正方形状に形成され、前記複数のアンテナは、前記載置面に対して各アンテナを並列配置可能な大きさの正方形状で形成され、前記筐体のうち前記載置面の裏面に、前記複数のアンテナのそれぞれの前記中心側と前記遠心側の対角を篏合して固定する、前記複数のアンテナと同数の複数組の篏合部が設けられ、前記複数組の篏合部は、設置される前記アンテナの中央側、かつ、前記載置面と反対側に突出する段差部が設けられ、前記中心側の前記篏合部に設けられる前記段差部の裏面からの高さが、前記遠心側の前記篏合部に設けられる前記段差部の裏面からの高さより大きくなるよう形成される構成でもよい。
【0012】
この態様によれば、各アンテナの電波受信方向を載置面の中心の方向へ傾斜するようにより確実に配置することができ、載置面の中心側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように、より確実に配置することができる。
【0013】
本発明の実施形態の他の観点に係る無線タグ読取装置では、前記アンテナ部と前記読取制御部との間に設けられ、前記複数のアンテナから放射される電波が前記読取制御部に伝わるのを遮蔽する遮蔽部を備える構成でもよい。
【0014】
この態様によれば、アンテナ部と読取制御部とが、遮蔽部に対して区分して配置されるので、アンテナ部の各アンテナから放射される電波が読取制御部に伝わるのを良好に遮蔽することができる。
【0015】
本発明の実施形態の他の観点に係る無線タグ読取装置では、前記読取制御部は、前記アンテナ部の動作を制御する制御基板を有し、前記遮蔽部は、金属板製の遮蔽プレートであり、前記遮蔽プレートは、前記複数のアンテナを挟んで前記載置面と反対側にて前記複数のアンテナの全体を覆う第1部分と、前記制御基板より前記載置面側にて前記制御基板の全体を覆う第2部分と、前記第1部分と前記第2部分とを連結する第3部分とを有し、前記第1部分及び前記第2部分が前記載置面と平行に配置され、前記第1部分の前記載置面との距離が、前記第2部分より大きくなるよう配置され、前記第3部分が、前記第1部分と前記第2部分に対して直角に配置される構成でもよい。
【0016】
この態様によれば、アンテナ部の各アンテナと、読取制御部の制御基板とが、板状の遮蔽プレートに対して上側と下側に区分して配置できる。また、遮蔽プレートの第1部分の位置を第2部分の位置より下方に配置する構成により、各アンテナをより下方に配置でき、かつ、制御基板をより上方に配置することができるので、各アンテナと制御基板の上下方向の位置が重畳するように配置することが可能となる。これにより、電波遮蔽性能を維持しつつ、筐体の高さ方向の寸法を縮小することが可能となり、無線タグ読取装置をさらに小型化できる。
【0017】
本発明の実施形態の他の観点に係る無線タグ読取装置では、前記読取制御部は、前記アンテナ部を介して前記無線タグに情報を書き込む機能を有する構成でもよい。
【0018】
この態様によれば、無線タグの情報の読み取りと書き込みの両方を行うことが可能となるので、無線タグ読取装置がさまざまな用途に対応可能となり、汎用性を向上できる。
【発明の効果】
【0019】
本開示によれば、無線タグの読取性能を向上でき、かつ装置の小型化が図れる無線タグ読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】実施形態に係る無線タグ読取装置の斜視図
図2図1に示す無線タグ読取装置を上側から視た平面図
図3図1に示す無線タグ読取装置を下側から視た平面図
図4図1に示す無線タグ読取装置を前方側から視た正面図
図5図1に示す無線タグ読取装置を後方側から視た背面図
図6図1に示す無線タグ読取装置をアンテナ部側から視た側面図
図7図1に示す無線タグ読取装置を読取制御部側から視た側面図
図8図1に示す無線タグ読取装置の分解斜視図
図9図8中の上カバーを下側から視た斜視図
図10図9に示す篏合部に1つのアンテナを篏合させた状態を示す斜視図
図11図2中のA-A断面図
図12図2中のB-B断面図
図13】無線タグ読取装置を含む無線タグ読取システムの構成図
図14】無線タグ読取システムの使用時の状態を示す上方から視た平面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0022】
なお、以下の説明において、X方向、Y方向、Z方向は互いに垂直な方向である。X方向及びY方向は水平方向であり、Z方向は鉛直方向である。X方向は、無線タグ読取装置1の左右方向であり、アンテナ部11及び読取制御部12の配列方向である。Y方向は、無線タグ読取装置1の前後方向である。また、以下では説明の便宜上、Z正方向側を上側、Z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0023】
<無線タグ読取装置1の外部構成>
図1は、実施形態に係る無線タグ読取装置1の斜視図である。図2は、図1に示す無線タグ読取装置1を上側から視た平面図である。図3は、図1に示す無線タグ読取装置1を下側から視た平面図(底面図)である。図4は、図1に示す無線タグ読取装置1を前方側から視た正面図である。図5は、図1に示す無線タグ読取装置1を後方側から視た背面図である。図6は、図1に示す無線タグ読取装置1をアンテナ部11側から視た側面図である。図7は、図1に示す無線タグ読取装置1を読取制御部12側から視た側面図である。
【0024】
なお、図2中に図示されている点線や二点鎖線は、装置の内部構造を説明するために便宜上追記したものであり、装置表面の模様ではない。図2中の点線は、装置の内部要素を示し、二点鎖線は断面線を示す。
【0025】
図1に示すように、無線タグ読取装置1は、その外観が単一の筐体2で構成されている。筐体2は、上下方向の寸法が相対的に薄い略直方体形状で形成されている。すなわち、図1図7に示すように、筐体2は、無線タグ読取装置1が机などの作業面上に設置された使用時に、鉛直上方(Z正方向)を向く上面2Aと、鉛直下方(Z負方向)を向く下面2Bと、前方(Y負方向)を向く前面2Cと、後方(Y正方向)を向く背面2Dと、正面から視たときの幅方向右方向(X正方向)を向くアンテナ部側側面2Eと、正面から視たときの幅方向左方向(X負方向)を向く読取制御部側面2Fと、を有する。
【0026】
無線タグ読取装置1は、無線タグが貼付される被測定物が所定位置に載置された状態で、これらの無線タグから情報を読み取る装置である。本実施形態では、無線タグの一例としてRFID(Radio Frequency Identification)タグ106を挙げ、複数のRFIDアンテナ3A~3DによってRFIDタグ106から情報を読み取る構成を例示する。また、本実施形態の無線タグ読取装置1は、採血管105などの医療用検体を収容する長尺状の容器の所定位置にRFIDタグ106が貼付され、これらのRFIDタグ106の情報を読み取る構成を例示する。また、本実施形態の無線タグ読取装置1は、被測定物として、上述の採血管105を100本設置可能なラック104を所定位置に設置して、各採血管105に貼付されるRFIDタグ106から纏めて情報の読み取りを行う構成を例示する(図13図14参照)。このため、本実施形態の無線タグ読取装置1は、「採血管リーダ」や「病院検体用RFIDリーダ」とも表現できる。
【0027】
図1図2図4図5図6に示すように、無線タグ読取装置1は、RFIDタグ106が貼付される被測定物が載置される所定位置として、筐体2の上面2Aに載置面23を備える。載置面23は、無線タグ読取装置1の使用時に水平面となるような平面で形成されるのが好ましい。載置面23の平面視の形状は、被測定物の形状に合わせて任意の形状で形成されればよく、本実施形態では後述のラック104の外形に合わせて正方形状に形成されている。また、図1図2に示すように、本実施形態では、載置面23は、一方の対辺がX方向と平行となり、他方の対辺がY方向と平行となるよう形成される。なお、本実施形態で用いる「正方形」とは、略正方形を含み、隣接する2辺の長さが若干異なる場合、あるいは隣接する角が正確な直角でない場合等を含む。
【0028】
図1図7に示すように、無線タグ読取装置1は、アンテナ部11と読取制御部12とを備える。アンテナ部11は、載置面23に載置されているRFIDタグ106から情報を読み取る。読取制御部12は、アンテナ部11の動作を制御する。特に本実施形態では、アンテナ部11及び読取制御部12は、単一の筐体2に収容される。図1図2図4図5に示すように、本実施形態では、アンテナ部11と読取制御部12とは正面から視たときの左右方向(X方向)に隣接して並列配置されており、右側(X正方向側)にアンテナ部11が配置され、左側(X負方向側)に読取制御部12が配置されている。
【0029】
また、図1図2図4図5図6に示すように、筐体2のうちアンテナ部11と読取制御部12との境界部分には、Y方向に沿って段差面24が形成されている。筐体2の上面2Aは、読取制御部12のほうがアンテナ部11より上方(Z正方向)に突出するように形成されている。また、アンテナ部11の上面全体は載置面23となっている。すなわち、上面2Aに形成される段差面24は、載置面23の方向(X正方向)を向くように形成されており、正方形状の載置面23のX負方向側の一辺に沿って形成されている。
【0030】
また、筐体2の上面2Aには、アンテナ部11の背面側(Y正方向側)の端部、すなわち、正方形状の載置面23のY正方向側の一辺に沿って、載置面23から上方に立設し、かつ、X方向に沿って延在する筋状の凸部25が設けられている。
【0031】
これらの段差面24と凸部25は、「載置面23の外縁部の少なくとも一部に設けられる、載置面23から突出して形成され、載置面23に載置される被測定物(ラック104)と当接可能な位置決め部」として機能する。より詳細には、位置決め部は、載置面23が正方形状の場合には、載置面23の少なくとも二辺に沿って設けられるのが好ましい。本実施形態では、位置決め部としての段差面24と凸部25は、正方形状の載置面23の四辺のうち、隣接するY正方向側の一辺と、X負方向側の一辺の二辺に沿って設けられている。
【0032】
本実施形態では、このような位置決め部としての段差面24と凸部25を設けることによって、ラック104を載置面23上に載置する際には、ラック104の正方形状の外形の二辺が段差面24と凸部25とに突き当たるようにすれば、載置面23とラック104との相対的な位置関係を容易に一定にできる。すなわち、後述するアンテナ部11の各アンテナ3A~3Dとラック104上のRFIDタグ106との相対的な位置関係が一定化するように正確かつ容易に位置決めできる。したがって、無線タグ読取装置1の使用時に、被測定物の設置を容易にできると共に、RFIDタグの読取性能も安定化できる。
【0033】
また、従来の無線タグ読取システムでは、無線タグとの情報の読み書きを行うアンテナ部と、アンテナ部の動作を制御するリーダライタとが別装置で構成されていたので、装置接続用などの付属品が多い、システム全体の設置面積が大きいなどの問題がある。これに対して本実施形態では、アンテナ部11と読取制御部12とを、単一の筐体2に収容する構成をとるので、この構成により従来システムの上記の問題を解決でき、装置の小型化を図ることができる。このように、本実施形態の無線タグ読取装置1は、装置の小型化を図れ、かつ、被測定物の設置を容易にできる。
【0034】
また、本実施形態では、位置決め部としての段差面24と凸部25は、矩形状の載置面23の二辺に沿って設けられる。なお、本実施形態で用いる「矩形」とは、略矩形を含み、対辺の長さが若干異なる場合、あるいは隣接する角が正確な直角でない場合等を含む。
【0035】
この構成により、ラック104を載置面23上に載置する際には、ラック104の正方形状の外形の二辺が段差面24と凸部25とに突き当たるようにすれば、載置面23とラック104との相対的な位置関係をより確実に、かつ、容易に一定にできる。
【0036】
また、本実施形態では、位置決め部のうち載置面23の一辺に該当する部分は、筐体2のうちアンテナ部11と読取制御部12との境界部分に形成される段差面24である。この構成により、アンテナ部11と読取制御部12とを一体化するために生じた段差面24を位置決め部として流用できるので、位置決め専用の要素を筐体2の表面に追加形成する手間を省け、筐体2の形状を簡略化でき、製作容易性を向上できる。
【0037】
図5に示すように、筐体2の背面2Dのうち、読取制御部12の部分には、ケーブル接続部28が設けられる。ケーブル接続部28は、例えばUSBケーブル103を接続可能であり、読取制御部12の内部の制御基板5と、USBケーブル103のPC101などの外部機器とを通信可能に接続することができる(図13参照)。
【0038】
<無線タグ読取装置1の内部構成>
図8は、図1に示す無線タグ読取装置1の分解斜視図である。図9は、図8中の上カバー21を下側から視た斜視図である。図10は、図9に示す篏合部26A、26Bに1つのアンテナ3Aを篏合させた状態を示す斜視図である。図11は、図2中のA-A断面図である。すなわち、図11は、正方形状の載置面23の対角線に沿ったアンテナ部11の断面図である。図12は、図2中のB-B断面図である。すなわち、図12は、正方形状の載置面23のX方向の辺の延在方向に沿った断面図であり、かつ、読取制御部12の内部の制御基板5を通過する断面線に沿った断面図である。
【0039】
図8に示すように、筐体2は、上カバー21と下カバー22とを有する。上カバー21は、載置面23、段差面24、凸部25などが設けられる上面2Aを含む部分である。下カバー22は、下面2Bを含む部分である。上カバー21と下カバー22とは、例えば上カバー21の外形枠の下端部と、下カバー22の外形枠の上端部とが篏合して一体的に組み立てられて、さらにネジ締結などにより連結固定されて、筐体2を形成することができる。
【0040】
筐体2の内部には、4つのRFIDアンテナ3A~3Dと、遮蔽プレート4と、制御基板5とが内蔵される。
【0041】
RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23上に載置されたRFIDタグ106から情報を読み取る。なお、RFIDタグ106とRFIDアンテナ3A~3Dとの間の通信は、通信距離を考慮すると短距離通信に適するHF帯を用いるのが好ましいが、タグのICチップの小型化に有利なUHF帯を用いてもよい。また、RFIDタグ106は、RFIDアンテナ3A~3Dから放射された電波により駆動するパッシブタグでもよいし、内部電源により駆動して通信するアクティブタグでもよい。
【0042】
上述のように、本実施形態では載置面23は正方形状に形成される。このため、RFIDアンテナ3A~3Dも、載置面23に対して各アンテナを並列配置可能な大きさの正方形状で形成される。また、各RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心Cまわりの周方向に沿って配置される。
【0043】
ここで、4つのRFIDアンテナ3A~3Dの配置について図2を参照してさらに説明する。図2に示すように、載置面23の中心Cを通り、X軸、Y軸にそれぞれ平行なX1軸、Y1軸を設定する。このとき、載置面23は、X1軸及びY1軸を含む二次元平面となり、X1軸及びY2軸により第1~第4象限の4つの領域に区分できる。このとき、RFIDアンテナ3Aが第1象限に配置され、RFIDアンテナ3Bが第2象限に配置され、RFIDアンテナ3Cが第3象限に配置され、RFIDアンテナ3Dが第4象限に配置されるのが好ましい。また、各RFIDアンテナ3A~3Dは、中心C側のX1軸及びY1軸と、遠心側の載置面23の外形の正方形状の各辺と略等距離に配置されるのが好ましい。また、各RFIDアンテナ3A~3Dの読取可能範囲は、少なくとも各アンテナが配置される各象限の領域を含むように設定されるのが好ましい。
【0044】
これらの構成により、アンテナ部11の読取可能範囲が載置面23の全体に亘るように設定しやすくできる。なお、本実施形態で用いる「正方形状」とは、必ずしも四辺の長さが同一の正方形であることには限定されず、上述の載置面23の4つの象限の区分や、各アンテナの各象限への配置などの条件を満たすことができる範囲で、一方の対辺と他方の対辺の長さに差異がある形状まで含むものとする。
【0045】
また、本実施形態ではアンテナ部11が4個のRFIDアンテナ3A~3Dを有する構成を例示しているが、載置面23の全体に亘ってRFIDタグ106から情報を読み取ることが可能であればよく、RFIDアンテナの個数は例えば3個以下でも5個以上でもよい。例えば載置面23の形状や大きさと、各アンテナの読取可能範囲との関係などに応じて任意の複数個であってよい。
【0046】
図9に示すように、筐体2の上カバー21のうち載置面23の裏面の部分21Aには、複数のアンテナ3A~3Dと同数の複数組(本実施形態では4組)の篏合部26A、26Bが設けられる。各組の篏合部26A、26Bは、4つのRFIDアンテナ3A~3Dのそれぞれの、載置面23の中心C側と、載置面23の正方形の各角部側(遠心側)の対角を篏合して固定する。図9の例では、一方の篏合部26Aが載置面23の中心C側に配置され、他方の篏合部26Bが載置面23の遠心側に配置されている。各篏合部26A、26Bは、裏面21AからZ負方向側に突出して形成される。各篏合部26A、26Bの形状は、Z方向から視たときに略L字状であり、篏合される各アンテナ3A~3Dの対角部分を篏合可能な形状で形成されている。
【0047】
そして特に本実施形態では、RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置される。図11では4つのRFIDアンテナのうち載置面23の対角線方向に配置される2つのRFIDアンテナ3B、3Dを図示している。図11の例を参照すると、各RFIDアンテナ3B、3Dは、各アンテナ3B、3Dの主面の法線方向に指向性を有し、各アンテナ3B、3Dから法線方向に沿った上方に、電波を受信可能な方向13B、13Dを有する。そして、本実施形態では、各RFIDアンテナ3B、3Dは、これらの電波受信方向13B、13Dが載置面23の中心Cの方向へ傾斜するように配置されている。
【0048】
なお、図11には図示されていない他の2つのRFIDアンテナ3A、3Cについても同様である。また、各RFIDアンテナ3A~3Dの電波受信方向の、載置面23の中心軸Cに対する傾斜角度は、例えば2度である。
【0049】
このようにRFIDアンテナを配置するための構成として、本実施形態では、各RFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心C側の載置面23との距離が、載置面23の遠心側より大きくなるように傾斜して設置される。具体的には、図9に示すように、上述の複数組の篏合部26A、26Bには、設置される各アンテナ3A~3Dの主面の中央側、かつ、載置面23と反対側(Z負方向側)に突出する段差部27A、27Bがそれぞれ設けられる。そして、中心C側の篏合部26Aに設けられる段差部27Aの裏面21Aからの高さh1が、遠心側の篏合部26Bに設けられる段差部27Bの裏面21Aからの高さh2より大きくなるよう形成される。
【0050】
このような段差部27A、27Bを設けることにより、篏合部26A、26BにRFIDアンテナを篏合したときには、図10に示すように、各篏合部26A、26Bにおいて、RFIDアンテナ3Aの中心C側の角部3A1が段差部27Aと当接し、遠心側の角部3A2が段差部27Bと当接する。上述のように、段差部27Aの高さh1が段差部27Bの高さh2より大きいので、RFIDアンテナ3Aの中心C側の角部3A1が篏合部26AからZ負方向側にはみ出る部分の寸法h3は、RFIDアンテナ3Aの遠心側の角部3A2が篏合部26Bからはみ出る部分の寸法h4より大きくなる。これにより、RFIDアンテナ3Aの主面の法線方向が載置面23の中心C側へ傾斜するように、RFIDアンテナ3Aは篏合部26A、26Bに篏合された状態となる。
【0051】
他の3つのRFIDアンテナ3B~3Dに関しても、図10に示すRFIDアンテナ3Aと同様の状態で篏合部26A、26Bに取り付けられる。図11には、2つのRFIDアンテナ3B、3Dが傾斜して設置されている状態が示される。この結果、各RFIDアンテナ3A~3Dは、これらの電波受信方向(図11の13B,13D)を載置面23の中心Cの方向へ傾斜するようにより確実に配置することができ、載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように、より確実に配置することができる。
【0052】
ここで、本実施形態に対する比較例として、所定方向に指向性を有する複数のRFIDアンテナを、本実施形態とは異なり載置面23と平行な同一平面上に配置して、指向性を同一方向とした場合を考える。
【0053】
一般に、RFIDアンテナとは、RFIDタグを効率良く読み取れるように電波を一定の方向に集束させる仕組みで作製される。このようなRFIDアンテナの読取性能を示す指標としてアンテナ利得が用いられる場合が多い。アンテナ利得とは、電波を一方向に集束させた時と収束させなかった時の効率性の差を表しており、電波を受信する場合の効率性を数値化したものである。アンテナ利得の数値(dB)は、数値が高いほど性能が良いことを意味し、電波をキャッチしやすくなる。
【0054】
また、一般的なRFIDアンテナは、各アンテナの中心付近のアンテナ利得が外側より外周側より高くなり、アンテナの主面全体にわたってアンテナ利得にムラがある場合が多い。このため、比較例の場合、載置面23上では各アンテナの中央部のアンテナ利得が相対的に高くなり、複数のアンテナ同士の中間の位置となる載置面23の中央部のアンテナ利得は相対的に低くなると考えられる。したがって、比較例の場合、載置面23の中央部の受信感度が、各アンテナの中央部と比較して相対的に悪いと考えられる。
【0055】
また、載置面23において被測定物が載置される場所は載置面23の中央部である場合が多いと考えられる。このため、比較例においてアンテナ部11の受信感度を高めようとすると、複数のRFIDアンテナを大型化して、各アンテナの出力を高めて、載置面23の中央部のアンテナ利得を相対的に高くする必要がある。つまり、比較例では所望の読取性能を担保するために装置全体の体格を大型化することになる。
【0056】
これに対して本実施形態では、複数のRFIDアンテナ3A~3Dを、載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置する構成、すなわち、複数のRFIDアンテナ3A~3Dの指向性を載置面23の中心C側にずらす構成をとる。この構成によって、載置面23の中心Cを含む中央部分のアンテナ利得の低減を抑制することが可能となるので、比較例よりも小型のアンテナを用いても、載置面23の中央部のアンテナ利得を比較例と同等にできる。したがって、所望の読取性能を実現するために適用するRFIDアンテナ3A~3Dを小型化できる。
【0057】
さらに、載置面23の中心Cを含む中央部分のアンテナ利得を相対的に高くできるので、載置面23の全体に亘ってアンテナ利得をより均一化でき、載置面23上におけるRFIDタグ106の読取性能を向上できる。この結果、本実施形態の無線タグ読取装置1は、RFIDタグ106の読取性能を向上でき、かつ装置の小型化が図れる。
【0058】
また、本実施形態では、複数のRFIDアンテナ3A~3Dは、載置面23の中心Cまわりの周方向に沿って配置され、かつ、中心C側の載置面23との距離h1が、載置面23の遠心側の距離h2より大きくなるように傾斜して設置される。この構成により、各RFIDアンテナ3A~3Dの電波受信方向を載置面23の中心Cの方向へ傾斜するように配置することが可能となるので、複数のRFIDアンテナ3A~3Dの電波放射範囲が、載置面23の中心C側でより確実に重なるように配置することができ、RFIDタグ106のより一層の読取性能の向上と、装置のより一層の小型化が図れる。
【0059】
図8図12に示すように、遮蔽プレート4(遮蔽部)は、アンテナ部11と読取制御部12との間に設けられ、複数のRFIDアンテナ3A~3Dから放射される電波が読取制御部12の制御基板5に伝わるのを遮蔽する。なお、遮蔽プレート4は、例えば金属板製であるが、電波遮蔽性能を有するものであれば金属以外の材質で形成してもよい。
【0060】
制御基板5は、読取制御部12の主要部であり、アンテナ部11の動作を制御する。
【0061】
遮蔽プレート4は、アンテナ部11に配置される第1部分41と、読取制御部12に配置される第2部分42と、アンテナ部11と読取制御部12との境界部分に配置される第3部分43とを有する。
【0062】
第1部分41は、複数のアンテナ3A~3Dを挟んで載置面23と反対側(Z負方向側)にて、複数のアンテナ3A~3Dの全体を覆うよう配置される。第2部分42は、制御基板5より載置面23側にて制御基板5の全体を覆うよう配置される。第3部分43は、第1部分41と第2部分42とを連結する。
【0063】
さらに、第1部分41及び第2部分42は載置面23と平行に配置される。第1部分41の載置面23との距離が、第2部分42より大きくなるよう配置される。これにより、第1部分41及び第2部分42のZ方向の位置に格差が生じるため、第3部分43が、第1部分41と第2部分42に対して直角に配置される。なお、本実施形態で用いる「直角」とは、略直角を含み、正確な直角でない場合等を含む。
【0064】
このような遮蔽プレート4を設けることにより、アンテナ部11の各RFIDアンテナ3A~3Dと、読取制御部12の制御基板5とが、板状の遮蔽プレート4に対して上側と下側に区分して配置される。これにより、アンテナ部11のRFIDアンテナ3A~3Dから放射される電波が読取制御部12の制御基板5に伝わるのを良好に遮蔽することができる。
【0065】
また、遮蔽プレート4を第1部分41、第2部分42、第3部分43を有する構成とし、第1部分41のZ方向の位置を第2部分42の位置より下方に配置する構成とする。この構成により、RFIDアンテナ3A~3Dをより下方に配置でき、かつ、制御基板5をより上方に配置することができるので、RFIDアンテナ3A~3Dと制御基板5のZ方向の位置が重畳するように配置することが可能となる。これにより、電波遮蔽性能を維持しつつ、筐体2の高さ方向(Z方向)の寸法を縮小することが可能となり、無線タグ読取装置1をさらに小型化できる。
【0066】
なお、RFIDアンテナ3A~3Dを載置面23の中心C側でそれぞれの電波放射範囲が重なるように配置することが可能であれば、RFIDアンテナ3A~3Dの設置構造は上記の図9図11に例示したものに限られない。例えば、遮蔽プレート4の上面に篏合部26A、26Bや段差部27A、27Bと同様の要素を設けて、遮蔽プレート4にRFIDアンテナ3A~3Dを固定する構成や、篏合部26A、26Bや段差部27A、27Bを設けずに、上カバー21の裏面21Aに傾斜面を設け、RFIDアンテナ3A~3Dの主面がこの傾斜面上に載置するようにテープなど貼り付ける構成や、RFIDアンテナ3A~3Dの一対の主面を平行配置せずに一方を他方に対して傾斜させる形状として、傾斜するほうの主面を上カバー21の裏面21Aや遮蔽プレート4の上面に接着する構成、などが挙げられる。また、載置面23が正方形状以外の形状である場合には、少なくとも各アンテナが載置面の中心側に傾斜するように、例えば対辺を篏合するなど、アンテナの一対の対角(例えば図10の対角3A1、3A2)以外を篏合固定する構成でもよい。
【0067】
<無線タグ読取装置1の使用例>
図13は、無線タグ読取装置1を含む無線タグ読取システム100の構成図である。図14は、無線タグ読取システム100の使用時の状態を示す上方から視た平面図である。
【0068】
上述のように、ここでは無線タグ読取装置1の被測定物として、採血管105を100本設置可能なラック104を所定位置に設置して、各採血管105に貼付されるRFIDタグ106から纏めて情報の読み取りを行う構成を例示して説明する。ラック104は、例えば図13に示すように上面及び底面が載置面23と略同一面積の正方形で形成される直方体形状であり、上面に100本の採血管105を個別に設置可能な100個の孔部104Cを有する。
【0069】
図13に示すように、本実施形態に係る無線タグ読取装置1は、無線タグ読取システム100の一要素として用いられる。無線タグ読取システム100は、無線タグ読取装置1と、PC(Personal Computer)101と、電波吸収体囲い102と、USBケーブル103と、を備える。
【0070】
無線タグ読取装置1は、電波吸収体囲い102の内部に設置される。電波吸収体囲い102は、図13図14に示すように、底板102Aと、一対の側板102B、102Cと、背板102Dとを有する。底板102Aの形状は、無線タグ読取装置1の筐体2の下面2Bと同様の矩形状であり、かつ、下面2Bの全体が外縁より内部に収まる大きさで形成されている。側板102B、102Cは、それぞれ底板102Aの矩形状の外縁のうちX方向の対辺の部分に沿って下端が接続され、鉛直上方に立設されている。背板102Dは、底板102Aの矩形状の外縁のうちY正方向側の一辺の部分に沿って下端が接続され、鉛直上方に立設されている。
【0071】
図13に示すように、一対の側板102B、102Cと、背板102Dは、Z方向の高さ寸法が揃えられて形成されている。背板102Dの形状は、例えば幅方向(X方向)が長辺、高さ方向(Z方向)が短辺の長方形である。一対の側板102B、102Cの形状は、例えば前後方向(Y方向)が長辺、高さ方向(Z方向)が短辺の長方形状であり、前端かつ上端の角部が面取りされた形状である。背板102Dは、X方向両端の短辺の部分で一対の側板102B、102CのそれぞれのY正方向側の短辺と接続されている。
【0072】
したがって、電波吸収体囲い102は、側方と後方は側板102B、102Cと背板102Dによって高さ方向の部分が遮蔽されているが、前方の高さ方向の部分と上方は遮蔽されない構成をとる。このように前方と上方が解放されているため、無線タグ読取装置1の内部への設置作業が容易である。電波吸収体囲い102の各部は、プラスチックや電波シールド材で形成され、外部から伝播される電波を吸収して、囲い102の内部への進入を防止する。
【0073】
USBケーブル103は、PC101と無線タグ読取装置1とを通信可能に接続する。また、電波吸収体囲い102の内部に設置されている無線タグ読取装置1と、外部のPC101とを接続するための構造として、例えば図13に示すように、電波吸収体囲い102の側板102Bと背板102Dとの接続部分において、上端から下方に所定長の切り欠き部102Eが設けられている。USBケーブル103は、この切り欠き部102Eを通されて電波吸収体囲い102の外部から内部へ導入される。切り欠き部の幅寸法は、少なくともUSBケーブル103の径より大きければよい。切り欠き部の高さ方向の深さ寸法は、電波吸収体囲い102の上端部と、無線タグ読取装置1のケーブル接続部28(図5参照)との高さ方向の位置関係に応じて適宜設定できる。
【0074】
なお、PC101と無線タグ読取装置1との接続にはUSBケーブル以外のケーブルを用いてもよい。また、USBケーブル103を波吸収体囲い102の外部から内部へ導入する構造は切り欠き部102E以外でもよい。例えば、電波吸収体囲い102の底板102Aと、一対の側板102B、102Cと、背板102Dのいずれかに、USBケーブル103を通す穴を設けてもよい。また、電波吸収体囲い102の構成は、図13図14に例示する構成に限られず、少なくとも内部に設置される無線タグ読取装置1への外部からの電波の伝播を遮蔽できる構成であればよい。
【0075】
PC101は、無線タグ読取装置1の動作を制御し、無線タグ読取装置1により読み取られたRFIDタグ106の情報を取得して保存する。なお、PC101の代わりに、サーバーや専用機、制御基板などの他の制御装置を適用してもよい。
【0076】
PC101は、物理的には、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置であるRAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)、通信モジュール、補助記憶装置、などを含むコンピュータシステムとして構成することができる。上述したPC101の各機能は、CPUやRAMなどに所定のコンピュータソフトウェアを読み込ませることにより、CPUの制御のもとで各種ハードウェアを動作させると共に、RAMにおけるデータの読み出し及び書き込みを行うことで実現される。
【0077】
次に無線タグ読取システム100の動作について説明する。
【0078】
第1段階では、図13左下に示すように、無線タグ読取装置1は、電波吸収体囲い102の内部に設置され、USBケーブル103を介してPC101と通信可能に接続される。
【0079】
第2段階では、図13右上に示すように、RFIDタグ106が所定位置に貼付されている採血管105がラック104の各孔部104Cに設置される。ラック104には、例えば図13に示すように100本の採血管105を設置できる。
【0080】
第3段階では、図13に矢印Aで示すように、採血管105が設置されたラック104が、無線タグ読取装置1の載置面23に載置される。このとき、図14に示すように、ラック104の4つの側面のうちX負方向側の一の側面104Aが、無線タグ読取装置1の上面2Aの段差面24と当接する。また、この側面104Aと直交かつ隣接するY正方向側の他の側面104Bが、無線タグ読取装置1の上面2Aの凸部25と当接する。このように、ラック104を段差面24と凸部25に突き当てるだけで、ラック104を載置面23の所定位置に容易に設置可能となる。これにより、ラック104に設置される100本の採血管105と、これらの採血管105にそれぞれ貼付されるRFIDタグ106と、無線タグ読取装置1のアンテナ部11に内蔵される各アンテナ3A~3Dとの相対的な位置関係を常に一定にすることができ、読取能力を安定化できる。
【0081】
第4段階では、PC101から操作指令が無線タグ読取装置1の読取制御部12に送信され、これに応じて読取制御部12がアンテナ部11を制御して載置面23上の各RFIDタグ106から情報を読み取る。読取制御部12は、読み取った情報をPC101に出力する。PC101は、読取制御部12から取得した各RFIDタグ106の情報について、データベース化などの所定の処理を行う。また、PC101は、読取制御部12から取得した情報に基づき、載置面23上に設置されたすべてのRFIDタグ106から情報を読み取れたか否かの判定を行う構成としてもよい。この場合、一部のRFIDタグ106からの情報取得に失敗したと判定するとき、PC101は読取制御部12に再度の読取処理を指示することができる。
【0082】
なお、無線タグ読取装置1の読取制御部12は、アンテナ部11を介してRFIDタグ106に情報を書き込む機能を有する構成でもよい。この場合、無線タグ読取システム100は、上記の第4段階において、載置面23上の各RFIDタグ106に情報を書き込む処理を行うこともできる。これにより、RFIDタグ106の情報の読み取りと書き込みの両方を行うことが可能となるので、さまざまな用途に対応可能となり、汎用性を向上できる。
【0083】
また、無線タグ読取システム100では、被測定物は上述のラック104に設置された採血管105のRFIDタグ106に限られず、載置面23上に載置可能なものであればラック104以外の他のものでもよい。例えば検尿カップや輸血パックなど、RFIDタグ106が貼付されている医療用具を載置面23に直接載置して読み取りを行うことも可能である。また、被測定物に合わせて載置面23の形状や、RFIDアンテナ3A~3Dの個数や配置を適宜変更することも可能である。
【0084】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0085】
1 無線タグ読取装置
2 筐体
3A~3D RFIDアンテナ
4 遮蔽プレート(遮蔽部)
41 第1部分
42 第2部分
43 第3部分
5 制御基板
11 アンテナ部
12 読取制御部
23 載置面
24 段差面(位置決め部)
25 凸部(位置決め部)
26A、26B 篏合部
27A、27B 段差部
106 RFIDタグ(無線タグ)
C 載置面の中心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14