IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社 創友の特許一覧 ▶ 株式会社Kei corporationの特許一覧

<>
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図1
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図2
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図3
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図4
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図5
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図6
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図7
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図8
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図9
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図10
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図11
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図12
  • 特開-擁壁用笠ブロックおよびその設置方法 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059080
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】擁壁用笠ブロックおよびその設置方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 29/02 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
E02D29/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023151985
(22)【出願日】2023-09-20
(31)【優先権主張番号】P 2022165986
(32)【優先日】2022-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501407263
【氏名又は名称】有限会社 創友
(71)【出願人】
【識別番号】522386965
【氏名又は名称】株式会社Kei corporation
(74)【代理人】
【識別番号】100119725
【弁理士】
【氏名又は名称】辻本 希世士
(74)【代理人】
【識別番号】100168790
【弁理士】
【氏名又は名称】丸山 英之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】森 美奈子
【テーマコード(参考)】
2D048
【Fターム(参考)】
2D048AA02
2D048AA05
(57)【要約】
【課題】
法面に対して設置される擁壁のうち最上部の擁壁の天面に設置され、積み重ねた各擁壁の最上部の各擁壁の天面が段差を有して配設されていても、笠ブロックの天面側がおおよそ面一となる調整を簡便に行うことができる擁壁用笠ブロック等を提供することを目的とする。
【解決手段】
長板状の第一壁部1と、第一壁部1の長手方向に沿って並設する長板状の第二壁部2と、第一壁部1と第二壁部2を連結する連結部3と、第一壁部1の長手方向に亘って第一壁部1の上方端部側より上方に延設された第一枠板部4と、第二壁部2の長手方向に亘って第二壁部2の上方端部側より上方に延設された第二枠板部5を備える擁壁用笠ブロックにより解決することができた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長板状の第一壁部と、
前記第一壁部の長手方向に沿って並設する長板状の第二壁部と、
前記第一壁部と前記第二壁部を連結する連結部と、
前記第一壁部の長手方向に亘って前記第一壁部の前記天面側である上方端部側より上方に延設された第一枠板部と、
前記第二壁部の長手方向に亘って前記第二壁部の前記天面側である上方端部側より上方に延設された第二枠板部と、
を備えることを特徴とする擁壁用笠ブロック。
【請求項2】
前記第一枠板部が第一固定手段によって前記第一壁部と着脱可能に設けられている、又は前記第二枠板部が第二固定手段によって前記第二壁部と着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の擁壁用笠ブロック。
【請求項3】
前記第一枠板部を前記第一壁部に押圧する複数の第一枠板固定部が前記第一枠板部に所定の間隔をあけて固設されている、又は前記第二枠板部を前記第二壁部に押圧する複数の第二枠板固定部が前記第二枠板部に所定の間隔をあけて固設されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の擁壁用笠ブロック。
【請求項4】
前記第一壁部と前記第一枠板部が分離できないように予め一体として成形されている、又は前記第二枠板部と前記第二枠板部が分離できないように予め一体として成形されていることを特徴とする請求項1に記載の擁壁用笠ブロック。
【請求項5】
前記第一壁部の底面又は前記第二壁部の底面のいずれか一方に穿設された差込穴を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の擁壁用笠ブロック。
【請求項6】
前記連結部に、前記第一壁部及び前記第二壁部の長手方向に沿って貫通する貫通孔を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の擁壁用笠ブロック。
【請求項7】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載の擁壁用笠ブロックを用いた擁壁用笠ブロック設置方法であって、
法面に設置された擁壁のうち、最上部の擁壁の天面に、前記第一壁部の底面又は前記第二壁部の底面の少なくとも一方を載置する擁壁用笠ブロック設置工程と、
前記第一壁部、前記第二壁部、前記第一枠板部及び前記第二枠板部にて囲まれた空間に、流体状のコンクリート又はモルタルの少なくとも一方を充填する充填工程を備えることを特徴とする擁壁用笠ブロック設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、盛土部の土留や崖の斜面の崩壊を防止するために法面に対して設置される擁壁のうち、最上部の擁壁の天面に設置される笠ブロック及びその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、盛土部の土留や崖の斜面の崩壊を防止するために法面に対してコンクリート製の擁壁が設置されており、坂道などの勾配がある崖であると、その最上部の擁壁の天面は階段状に段差が生じるため、その段差を解消するために、木製型枠を設けてコンクリートを打設して調整したり、最上部の擁壁の上に笠ブロックを設置したりしている。
【0003】
例えば、特許文献1には、化粧部、アンカー部、つなぎ部、及び接続部からなり、最上部の擁壁の天面に設けられた調整モルタルと、造成地盤の上に設けられた調整モルタルの上に載置して備え付ける、擁壁頂部の調整ブロックが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-84442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の擁壁頂部の調整ブロックでは、その最上部の擁壁の天面に設置する複数の調整ブロックの頂部がおおよそ直線状となるために、最上部の擁壁の天面等に作成する調整モルタルの高さなどの精度が要求されるという課題があった。
【0006】
そこで、本発明は、法面に対して設置される擁壁のうち最上部の擁壁の天面に設置される笠ブロックにおいて、積み重ねた各擁壁の最上部の各擁壁の天面が段差を有して配設されていても、笠ブロックの天面側がおおよそ面一となる調整を簡便に行うことができる擁壁用笠ブロックおよびその設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔1〕すなわち、本発明は、長板状の第一壁部(1)と、前記第一壁部(1)の長手方向に沿って並設する長板状の第二壁部(2)と、前記第一壁部(1)と前記第二壁部(2)を連結する連結部(3)と、前記第一壁部(1)の長手方向に亘って前記第一壁部(1)の前記天面(11)側である上方端部側より上方に延設された第一枠板部(4)と、前記第二壁部(2)の長手方向に亘って前記第二壁部(2)の前記天面(21)側である上方端部側より上方に延設された第二枠板部(5)と、を備えることを特徴とする擁壁用笠ブロックである。
【0008】
〔2〕そして、前記第一枠板部(4)が第一固定手段(B1)によって前記第一壁部(1)と着脱可能に設けられている、又は前記第二枠板部(5)が第二固定手段(B2)によって前記第二壁部(2)と着脱可能に設けられていることを特徴とする前記〔1〕に記載の擁壁用笠ブロックである。
【0009】
〔3〕そして、前記第一枠板部(4)を前記第一壁部(1)に押圧する複数の第一枠板固定部(6)が前記第一枠板部(4)に所定の間隔をあけて固設されている、又は前記第二枠板部(5)を前記第二壁部(2)に押圧する複数の第二枠板固定部(7)が前記第二枠板部(5)に所定の間隔をあけて固設されていることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕のいずれかに記載の擁壁用笠ブロックである。
【0010】
〔4〕そして、前記第一壁部(1)と前記第一枠板部(4)が分離できないように予め一体として成形されている、又は前記第二壁部(2)と前記第二枠板部(5)が分離できないように予め一体として成形されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の擁壁用笠ブロックである。
【0011】
〔5〕そして、前記第一壁部(1)の底面(12)又は前記第二壁部(2)の底面(22)のいずれか一方に穿設された差込穴(23)を備えることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕のいずれかに記載の擁壁用笠ブロックである。
【0012】
〔6〕そして、前記連結部(3)に、前記第一壁部(1)及び前記第二壁部(2)の長手方向に沿って貫通する貫通孔(31)を備えることを特徴とする前記〔1〕又は前記〔2〕のいずれかに記載の擁壁用笠ブロックある。
【0013】
〔7〕そして、前記〔1〕又は前記〔2〕のいずれかに記載の擁壁用笠ブロックを用いた擁壁用笠ブロック設置方法であって、法面に設置された擁壁(W)のうち、最上部の擁壁(W)の天面(Wt)に、前記第一壁部(1)の底面(12)又は前記第二壁部(2)の底面(22)の少なくとも一方を載置する擁壁用笠ブロック設置工程(S1)と、前記第一壁部(1)、前記第二壁部(2)、前記第一枠板部(4)及び前記第二枠板部(5)にて囲まれた空間(SP)に、流体状のコンクリート又はモルタルの少なくとも一方を充填する充填工程(S2)を備えることを特徴とする擁壁用笠ブロック設置方法である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の擁壁用笠ブロックおよびその設置方法によれば、法面に対して設置される擁壁のうち最上部の擁壁の天面に設置される笠ブロックにおいて、その最上部の各擁壁の天面が段差を有して配設されていても、笠ブロックの天面側がおおよそ面一となる調整を簡便に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第一実施形態の擁壁用笠ブロックを示す斜視図である。
図2】本発明の第一実施形態の擁壁用笠ブロックを示す側面図である。
図3】本発明の第一実施形態の擁壁用笠ブロックを示す正面図である。
図4】本発明の第一実施形態の擁壁用笠ブロックを設置する複数の擁壁を示す正面図である。
図5】本発明の第一実施形態の擁壁用笠ブロックを複数の擁壁に設置した状態を示す正面図である。
図6】本発明の第一実施形態の擁壁用笠ブロックを複数の擁壁に設置して当該笠ブロックの内部にコンクリート等を流して固化させた後に第一枠板部等を取り外した完成状態を示す正面図である。
図7】A-A線断面図である。
図8】本発明の第二実施形態の擁壁用笠ブロックを示す側面図である。
図9】本発明の第二実施形態の擁壁用笠ブロックを示す正面図である。
図10】本発明の第三実施形態の擁壁用笠ブロックを示す斜視図である。
図11】本発明の第三実施形態の擁壁用笠ブロックを示す側面図である。
図12】本発明の第四実施形態の擁壁用笠ブロックを示す側面図である。
図13】本発明の第一実施形態に関し、転落防止柵が取り付けられた状態の図7に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る擁壁用笠ブロックおよびその設置方法に関する実施形態について詳しく説明する。また、以下に説明する実施形態は、本発明を実施するに好ましい具体例であるから、技術的に種々の限定がなされているが、本発明は、以下の説明において特に発明を限定する旨が明記されていない限り、この形態に限定されるものではない。なお、明細書中の上下方向とは、図2図3図8図9及び図11における上下方向であり、同じく水平方向とは、図3図9における左右方向である(第三実施形態においては図3図9に対応する正面図の左右方向である)。また、外側とは、図2図8及び図11における左側又は右側の方向である。
【0017】
〔第一実施形態〕
図1から図7に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックは、第一壁部1と、第二壁部2と、連結部3と、第一枠板部4と、第二枠板部5などを備えている。そして、本発明の擁壁用笠ブロックが崖の法面に対して設置される擁壁Wのうち最上部の擁壁Wの天面Wtに設置されることで、積み重ねた各擁壁Wの最上部の各擁壁Wの天面Wtが段差を有して配設されていても、隣接する擁壁用笠ブロックを構成する第一壁部1の天面11や第二壁部2の天面21が面一となる調整を簡便に行うことができる。
【0018】
第一壁部1は、長板状の部材であり、擁壁用笠ブロックを構成する一つの部材である。本実施形態において、第一壁部1は、水平方向が上下方向よりも長く、長手方向における両端側の高さの異なる傾斜した略台形状である。第一壁部1は、砂、砂利、セメント、水などが混練され成型されたコンクリート、砂、セメント、水などが混練され成型されたモルタル、鉄など比重が1より重い材料からなっていることが好ましく、運搬の利便性や風雨に晒されても劣化しにくいという長期安定性からコンクリート又はモルタルであることがより好ましい。図5に示すように、本実施形態において、本発明の擁壁用笠ブロックを積み重ねた各擁壁の最上部の擁壁Wの天面Wtに設置するときに、第一壁部1が法面側に位置しているが、他の実施形態において、本実施形態とは逆に後述する第二壁部2が法面側に位置することもできる。また、第一壁部1は、上述の略台形状であるが、他の実施形態において、水平方向が上下方向よりも長い横長の略矩形状、さらには凸状や凹状などの角形状とすることができる。
【0019】
第一壁部1の天面11は、本発明の擁壁用笠ブロックを、積み重ねた各擁壁の最上部の擁壁Wの天面Wtに設置したときの第一壁部1の上側に位置する面である。第一壁部1の天面11側により第一壁部1の外側上方に延設された後述する第一枠板部4が設けられている。すなわち、図2に示すように、第一壁部1の右側の上方に延びるように第一枠板部4が設けられている。
【0020】
第二壁部2は、第一壁部1の長手方向に沿って並設する長板状の部材であり、擁壁用笠ブロックを構成する一つの部材である。本実施形態において、第二壁部2も、水平方向が上下方向よりも長く、長手方向における両端側の高さの異なる傾斜した略台形状である。第二壁部2も、第一壁部1と同様に、砂、砂利、セメント、水などが混練され成型されたコンクリート、砂、セメント、水などが混練され成型されたモルタル、鉄など比重が1より重い材料からなっていることが好ましく、運搬の利便性や風雨に晒されても劣化しにくいという長期安定性からコンクリート又はモルタルであることがより好ましい。また、本実施形態において、第二壁部2は、第一壁部1の長手方向に沿って第一壁部1と略同形で略平行に立設しているが、他の実施形態において、第二壁部2は、下方側において第一壁部1の下方側と間隔が長く、上方側において第一壁部1の上方側と間隔が短いように、第一壁部1と相対的に傾斜して並設されていてもよい。また、第二壁部2は、上述の略台形状であるが、他の実施形態において、第一壁部1の変形例と同様に水平方向が上下方向よりも長い横長の略矩形状、さらには凸状や凹状などの角形状とすることができる。
【0021】
第二壁部2の天面21は、本発明の擁壁用笠ブロックを、積み重ねた各擁壁の最上部の擁壁Wの天面Wtに設置したときの第二壁部2の上側に位置する面である。第二壁部2の天面21側により第二壁部2の外側上方に延設された後述する第二枠板部5が設けられている。すなわち、図2に示すように、第二壁部2の左側の上方に延びるように第二枠板部5が設けられている。
【0022】
第二壁部2は、長手方向の長さ及びその上下方向の高さにおいて第一壁部1とおおよそ同じであり、第一壁部1と略同形であることが好ましい。このように、第一壁部1と第二壁部2が略同形であると、第一枠板部4や第二枠板部5の各枠板を取り付けるときに区別する必要がないので第一枠板部4や第二枠板部5の各枠板の取り違えを防ぐことができる。
【0023】
第一壁部1の底面12又は第二壁部2の底面22のいずれか一方には、積み重ねた各擁壁Wのうち最上部の各擁壁Wと本発明の擁壁用笠ブロックを固定するために、鋼材などの硬い部材からなるJ字状等のフック筋の基端部を差し込んで固定するための差込穴23が穿設されていてもよい。図7に示すように、最上部の各擁壁Wを挿通する鋼材などの硬い部材からなる線状の挿入筋と差込穴23に基端部が差し込まれたJ字状のフック筋が係合することにより、擁壁用笠ブロックが最上部の各擁壁Wに対して少々の力では動かないように固定することができる。さらに、本発明の擁壁用笠ブロックと最上部の各擁壁Wを固定するために、ボルトや板部材を介して後述する連結部3と最上部の各擁壁Wを結合させたり、第一壁部1の底面12又は第二壁部2の底面22の少なくとも一方に穿設された穴と最上部の各擁壁Wの天面Wtに穿設された穴に他の部材である結合棒を嵌合させることで結合させたりすることも、併用することができる。
【0024】
第一壁部1の長手方向に沿った側面又は第二壁部2の長手方向に沿った側面のいずれか一方に、転落等防止のための防護柵を設置するために、その防護柵を構成する棒状の支柱を固設するための嵌合穴が穿設されていたり、若しくは他の固定部材を介してその支柱が固設されていたりしてもよい。さらに、本発明の擁壁用笠ブロックの転倒を防止するために、第一壁部1又は第二壁部2の少なくとも一方における長手方向に沿った側面に、帯状のベルトを挿通するための2つ並んで貫通した孔である二連孔が穿設し、その二連孔に帯状のベルトを挿通し、帯状のベルトの一端部側又は他端部側の少なくとも一方を地盤Gと固定しもよい。あるいは、帯状のベルトの一端部側を第一壁部1や第二壁部2に穿設された孔に挿通するなどしてそれらの内面に固定して、他端部側を地面Gと固定するようにしてもよい。
【0025】
連結部3は、第一壁部1と第二壁部2を連結する部材である。連結部3により、第一壁部1と第二壁部2が一体となっている。第一壁部1、第二壁部2及び連結部3は、分離できないように予め一体的に成形されていることが好ましいが、各々別部材であったものを組み合わせて一体としてもよい。連結部3も、第一壁部1及び第二壁部2と同様に、砂、砂利、セメント、水などが混練され成型されたコンクリート、砂、セメント、水などが混練され成型されたモルタル、鉄など比重が1より重い材料からなっていることが好ましく、運搬の利便性や風雨に晒されても劣化しにくいという長期安定性からコンクリート又はモルタルであることがより好ましい。
【0026】
第一壁部1と第二壁部2の水平方向の長さに応じて、本発明の擁壁用笠ブロックの強度を保つために、連結部3は、柱状の部材が第一壁部1と第二壁部2の間に複数本設けられていることが好ましい。本実施形態において、連結部3は、柱状の部材が第一壁部1と第二壁部2の間に3本設けられているが、他の実施形態において、2本又は4本以上の複数本設けてもよい。また、本実施形態において、連結部3は、第一壁部1と第二壁部2の下部を連結しているが、他の実施形態において、第一壁部1と第二壁部2の上下方向の中ほどを連結していてもよい。
【0027】
そして、連結部3の一部には、第一壁部1及び第二壁部2の長手方向に沿って貫通する貫通孔31が穿設されている。図7に示すように、後述する打設コンクリートCを打設する前に配設された鋼材などの硬い部材からなる線状の挿入筋が差込穴23に基端部が差し込まれ固設される略J字状等のフック筋と係合することにより、本発明の擁壁用笠ブロックが最上部の各擁壁Wに対して少々の力では動かないように固定することができる。
【0028】
第一枠板部4は、第一壁部1の長手方向に亘って、第一壁部1の天面11側である上方端部側より上方に延設された板状の部材である。また、第一枠板部4は、図2に示すように、第一壁部1の右側である外側の側面に配設されている。第一壁部1が法面側である最上部の擁壁Wの前面側に位置するとき、第一枠板部4により、図7に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックを設置後に、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4、第二枠板部5及び擁壁Wなどにて囲まれた空間SPに流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第一壁部1の天面11を超えて流し込むことができる。このように、予め第一枠板部4が第一壁部1の長手方向に亘って延設されていることで、足場が組まれてから第一枠板部4が第一壁部1の長手方向に亘って設けることに比べて工期を短縮することができる。また、第一枠板部4は、本実施形態において、略平行四辺形の形状であるが、他の実施形態において、略長方形などの形状とすることできる。
【0029】
本実施形態において、第一枠板部4は、第一壁部1と別部材として設けられている。そして、第一枠板部4において上下方向に長く穿設された長孔41を介して、ボルトである第一固定手段B1により第一壁部1と着脱可能に設けられている。
【0030】
第二枠板部5は、第二壁部2の長手方向に亘って、第二壁部2の天面21側である上方端部側より上方に延設された板状の部材である。また、第二枠板部5は、図2に示すように、第二壁部2の左側である外側の側面に配設されている。第二壁部2が法面側である最上部の擁壁Wの前面側に位置するとき、第二枠板部5により、図7に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックを設置後に、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4、第二枠板部5及び擁壁Wなどにて囲まれた空間SPに流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第二壁部2の天面21を超えて流し込むことができる。このように、予め第二枠板部5が第二壁部2の長手方向に亘って延設されていることで、足場が組まれてから第二枠板部5が第二壁部2の長手方向に亘って設けることに比べて工期を短縮することができる。また、第二枠板部5は、本実施形態において、略平行四辺形の形状であるが、他の実施形態において、第一枠板部4と同じように略長方形などの形状とすることできる。
【0031】
本実施形態において、第二枠板部5は、第二壁部2と別部材として設けられている。そして、第二枠板部5において上下方向に長く穿設された長孔51を介して、ボルトである第二固定手段B2により第二壁部2と着脱可能に設けられている。
【0032】
本実施形態の擁壁用笠ブロックは、第一枠板部4が第一固定手段B1によって第一壁部1と着脱可能に設けられており、なおかつ、第二枠板部5が第二固定手段B2によって第二壁部2と着脱可能に設けられている実施形態となっている。
【0033】
第一枠板固定部6は、第一枠板部4を第一壁部1に押圧する部材であり、第一壁部1の長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数固設されている。第一枠板固定部6は、第一枠板部4の第一壁部1とは反対側の面に位置している。第一枠板固定部6により、第一枠板部4が比較的薄い部材であっても、上述した流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第一枠板部4が動いて第一枠板部4及び第二枠板部5の間隔が広がらないように補強することができる。本実施形態において、第一枠板固定部6は、上下方向に長く、断面略L字状の板部材であり、第一壁部1及び第一枠板部4と別部材として設けられている。そして、第一壁部1に第一枠板部4を当接させ、さらに、その第一枠板部4に第一枠板固定部6を当接させて、第一枠板固定部6において上下方向に長く穿設された長孔を介して、ボルトである第一固定手段B1を挿通し、第一壁部1の側面に設けられ雌螺子形成されたねじ込み式インサートなどの螺合穴に第一固定手段B1を螺合することで、第一壁部1、第一枠板部4及び第一枠板固定部6がそれぞれ着脱可能となっている。本実施形態において、第一枠板固定部6は、上述のように、断面略L字状の板部材であるが、他の実施形態において、角柱状、平板状、断面コの字状の板状などの形状とすることができる。また、第一枠板固定部6の上部は、図1から図3などに示すように、第一枠板部4の上方端部より上方に突出していることが好ましい。このように、第一枠板固定部6の上部が第一枠板部4の上方端部より上方に突出していると、図7に示すように、第一枠板固定部6の上部に穿設された挿通孔61と第二枠板固定部7の上部に穿設された挿通孔71にワイヤーWRを通すことで、上述した流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第一枠板部4が動いて第一枠板部4及び第二枠板部5の間隔が広がらないようにより補強することができる。なお、本実施形態において、第一枠板固定部6の上部と第二枠板固定部7の上部がワイヤーWRにて架橋されているが、他の実施形態において、第一枠板固定部6の上部と第二枠板固定部7の上部が棒状や筒状などの鋼材等からなる架橋部にて架橋され予め一体となっている略コの字状又は略H字状の固定部材を複数用いて、その一つ一つにおいて、第一枠板固定部6を第一枠板部4に固設し、第二枠板固定部7を第二枠板部5に固設していてもよい。
【0034】
第二枠板固定部7は、第二枠板部5を第二壁部2に押圧する部材であり、第二壁部2の長手方向に沿って所定の間隔をあけて複数固設されている。第二枠板固定部7は、第二枠板部5の第二壁部2とは反対側の面に位置している。第二枠板固定部7により、第二枠板部5が比較的薄い部材であっても、上述した流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第二枠板部5が動いて第一枠板部4及び第二枠板部5の間隔が広がらないように補強することができる。本実施形態において、第二枠板固定部7は、上下方向に長く、断面略L字状の板部材であり、第二壁部2及び第二枠板部5と別部材として設けられている。そして、第二壁部2に第二枠板部5を当接させ、さらに、その第二枠板部5に第二枠板固定部7を当接させて、第二枠板固定部7において上下方向に長く穿設された長孔を介して、ボルトである第二固定手段B2を挿通し、第二壁部2の側面に設けられ雌螺子形成されたねじ込み式インサートなどの螺合穴に第二固定手段B2を螺合することで、第二壁部2、第二枠板部5及び第二枠板固定部7がそれぞれ着脱可能となっている。本実施形態において、第二枠板固定部7は、上述のように、断面略L字状の板部材であるが、他の実施形態において、角柱状、平板状、断面コの字状の板状などの形状とすることができる。また、第二枠板固定部7の上部は、図1から図3などに示すように、第二枠板部5の上方端部より上方に突出していることが好ましい。このように、第二枠板固定部7の上部が第二枠板部5の上方端部より上方に突出していると、図7に示すように、第一枠板固定部6の上部に穿設された挿通孔61と第二枠板固定部7の上部に穿設された挿通孔71にワイヤーWRを通することで、上述した流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第二枠板部5が動いて第一枠板部4及び第二枠板部5の間隔が広がらないようにより補強することができる。
【0035】
なお、本実施形態において、図4から図7に示されている最上部の擁壁Wは、板状をしている。また、他の実施形態において、最上部の擁壁として、上方から見たときに、略Π字状や略T字状など、法面を覆う前面の板状のパネル部分と、そのパネル部分の背面から立設する支持部分から構成されている種々の形状の擁壁を使用することができ、このとき最上部の擁壁Wの天面Wtに第一壁部1の底面12及び第二壁部2の底面22を載置することができる。
【0036】
〔擁壁用ブロック設置方法〕
次に、本実施形態において、本発明の擁壁用ブロックの設置方法の手順について説明する。主として、法面に設置された擁壁Wのうち、最上部の擁壁Wの天面Wtに、第一壁部1の底面12又は第二壁部2の底面22の少なくとも一方を載置して本発明の擁壁用笠ブロックを設置する擁壁用笠ブロック設置工程S1と、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4及び第二枠板部5にて囲まれた空間SPに、流体状のコンクリート又はモルタルの少なくとも一方を充填する充填工程S2が行われる。
【0037】
まず、擁壁用笠ブロック設置工程S1の前に、土留や崖の地盤Gに擁壁Wを設置して、最上部の擁壁Wを設置してから、擁壁Wの背面側に型枠などを設けて生コンクリートを打設する。そして、図7に示すように、最上部の擁壁Wの天面Wtと打設コンクリートCの天面Ctがおおよそ面一になるようにしておく。なお、擁壁用笠ブロック設置工程S1の前に打設コンクリートCを作製せず、後述する擁壁用笠ブロック設置工程S1において、第二壁部2の外側面側に地盤Gに届く型枠を仮設して本発明の擁壁用笠ブロックを設置したり、背面側に立設する支持部分がある略Π字状や略T字状の擁壁Wを用いて本発明の擁壁用笠ブロックを設置したりして、後述する充填工程S2において、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4及び第二枠板部5にて囲まれた空間SPに、流体状のコンクリート等を充填するときに、同時に打設コンクリートCを作製してもよい。
【0038】
そして、擁壁用笠ブロック設置工程S1に関しては、図7に示された法面に設置された擁壁Wのうち最上部の擁壁Wの天面Wtと打設コンクリートCの天面Ctに対して、第一壁部1の底面12及び第二壁部2の底面22を載置することで、本発明の擁壁用笠ブロックを設置する。なお、本実施形態において、擁壁用笠ブロック設置工程S1の前に、擁壁Wの背面側に打設コンクリートCが設けられているが、他の実施形態において、打設コンクリートCを設けずに、地盤Gと当接する程度に上下方向に長い第三枠板部や第三枠板固定部を第二壁部2の底面22側に設けて、最上部の擁壁Wの天面Wtに第一壁部1の底面12を載置し、地盤Gに第三枠板部の底面側を載置して、本発明の擁壁用笠ブロックを設置してもよい。なお、このとき、第三枠板部は第一枠板部4や第二枠板部5と同様な形状を有しており、第三枠板固定部は第一枠板固定部6や第二枠板固定部7と同様な形状を有していることが好ましい。
【0039】
また、この擁壁用笠ブロック設置工程S1の後に、図7に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックが最上部の各擁壁Wに対して少々の力では動かないように固定するために、打設コンクリートCを打設する前に配設された線状の挿入筋が差込穴23に基端部が差し込まれ固設されたJ字状のフック筋と係合するように、フック筋設置工程を設けたり、第一枠板固定部6の上部に穿設された挿通孔61と第二枠板固定部7の上部に穿設された挿通孔71にワイヤーWRを通す枠板固定部補強工程を設けたり、第二壁部2の底面12側の側面と打設コンクリートCの天面Ct側の側面にそれぞれボルト穴を穿設し、複数の孔の空いた鋼板等をあてがいそれらの孔を通じてそれぞれのボルト穴にボルトを螺合することで、第二壁部2の底面12側と打設コンクリートCの天面Ct側をより強固に固定したりすることができる。これらの工程を組み合わせせることにより、擁壁用笠ブロックが最上部の各擁壁Wに対して少々の力では動かないように固定することができ、流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第一枠板部4や第二枠板部5が動いて第一枠板部4及び第二枠板部5の間隔が広がらないようにより補強することができる。また、差込穴23に基端部が差し込まれ固設されたJ字状のフック筋に代えて、或いは当該フック筋と併せて、擁壁用笠ブロックの転倒防止のために、後述する図13のように、長板状の第二アングルA2を、複数本の第四固定手段B4にて、第二壁部2と打設コンクリートCに固設してもよい。
【0040】
そして、充填工程S2に関しては、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4及び第二枠板部5にて囲まれた空間SPに、流体状のコンクリート又はモルタルの少なくとも一方を充填する。より具体的には、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4、第二枠板部5、擁壁W及び打設コンクリートCにて囲まれた空間SPに、流体状のコンクリート又はモルタルの少なくとも一方を充填する。このとき、充填された流体状のコンクリートやモルタルは比較的粘度が高いために地盤Gの傾斜に沿って堆積するので、流体状のコンクリートやモルタルの表面も地盤Gの傾斜に沿っておおよそ同様に傾斜している。また、他の実施形態において、打設コンクリートCを設けずに、地盤Gと当接する程度に上下方向に長い第二枠板部9を第二壁部2に設けて、最上部の擁壁Wの天面Wtに第一調整ボルト4を載置し、地盤Gに第二枠板部9の底面側を載置して、本発明の擁壁用笠ブロックを設置したときには、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4、第二枠板部5、擁壁W及び地盤Gにて囲まれた空間SPに、流体状のコンクリート又はモルタルの少なくとも一方を充填することとなる。
【0041】
そして、充填工程S2の後であって、コンクリート又はモルタルが固化した後に、第一壁部1から第一枠板部4及び第一枠板固定部6などを取り外し、第二壁部2から第二枠板部5及び第二枠板固定部7などを取り外す枠板部等除去工程S3を設けることができる。これにより、図6に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックと最上部の擁壁Wを一体化させて一連の作業が終了する。なお、枠板部等除去工程S3を設けずに、第一枠板部4、第一枠板固定部6、第二枠板部5、第二枠板固定部7などを設けたままの状態とすることもできる。
【0042】
〔第二実施形態〕
図8及び図9に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックは、第一実施形態と同様に第一壁部1と、第二壁部2と、第一壁部1と第二壁部2を連結する連結部3と、第一壁部1の外側の側面に配設された第一枠板部4と、第二壁部2の外側の側面に配設された第二枠板部5などを備えている。第一実施形態と異なる構成としては、第一枠板固定部6の上部と第二枠板固定部7の上部が棒状や筒状などの鋼材等からなる架橋部8にて架橋され予め一体となっている略コの字状の固定部材9である点などである。固定部材9は、第一枠板固定部6に螺合する第一固定手段B1が第一枠板固定部6に深く螺合されるように締結されるによって、第一枠板部4の外側の側面に配設された桟木cpを介して第一固定手段B1の先端が第一枠板部4の外側の側面と圧接し、第二枠板部5の外側の側面に配設された桟木cpを介して、第二枠板固定部7が第二枠板部5の外側の側面と圧接して、万力のようにして第一枠板部4と第二枠板部5に固設される。本実施形態において、固定部材9は、略コの字状の形状であるが、他の実施形態において、架橋部8が第一枠板部4の上端や第二枠板部5の上端よりも上方に位置している限りにおいて略H字状などの形状を有していてもよい。また、第一枠板部4は第一壁部1と種々の手段により仮止めされ、第二枠板部5は第二壁部2と種々の手段により仮止めされいるため、第一枠板部4と第二枠板部5は最終的には簡便に取り外すことができる。
【0043】
第一実施形態と同様に、第一壁部1側が最上部の擁壁Wの前面側に位置するとき、図7と同様に、本発明の擁壁用笠ブロックを設置後に、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4、第二枠板部5、第一枠板固定部6と第二枠板固定部7を備える固定部材9及び擁壁Wなどにて囲まれた空間SPに流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第一壁部1の天面11及び第二壁部2の天面21を超えて流し込むことができる。第二実施形態では、擁壁用ブロック設置方法において、最終的に、固定部材9を取り外し、第一壁部1から第一枠板部4を取り外し、第二壁部2から第二枠板部5を取り外したときに、第一実施形態に比べて第一壁部1の外側の側面に第一固定手段B1と螺合する螺合穴を穿設する必要がないために外観上美しく仕上げることなどが可能となる。
【0044】
〔第三実施形態〕
図10及び図11に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックは、第一実施形態と同様に第一壁部1と、第二壁部2と、第一壁部1の底面12及び第二壁部2の底面22より上方に位置している連結部3と、第一枠板部4と、第二枠板部5などを備えている。第一実施形態と異なる構成としては、第一枠板部4が、第一壁部1と分離できないように予め一体として成形されており、第一壁部1より着脱することができず、第一壁部1と第一枠板部4が、第二壁部2と第二枠板部5に対して、第一壁部1の底面12側と第二壁部2の底面22側で間隔が広く、第一枠板部4と第二枠板部5の上部側で間隔が狭くなるように傾斜して設けられている。第一枠板部4は、第一壁部1、第二壁部2及び連結部3と同様に、砂、砂利、セメント、水などが混練され成型されたコンクリート、砂、セメント、水などが混練され成型されたモルタル、鉄など比重が1より重い材料からなっていることが好ましく、運搬の利便性や風雨に晒されても劣化しにくいという長期安定性からコンクリート又はモルタルであることがより好ましい。なお、本実施形態は、第二枠板部5が第二固定手段B2によって第二壁部2と着脱可能に設けられている実施形態となっている。
【0045】
第一実施形態と同様に、第一壁部1側が最上部の擁壁Wの前面側に位置するとき、図7と同様に、本発明の擁壁用笠ブロックを設置後に、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4、第二枠板部5及び擁壁Wなどにて囲まれた空間SPに流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第一枠板部4により第一壁部1の天面11を超えて流し込むことができるが、第三実施形態では、擁壁用ブロック設置方法において、第一壁部1から第一枠板部4及び第一枠板固定部6などを取り外する作業が必要ないため、第一実施形態に比べてさらに工期を短縮することができる。なお、第三実施形態において、第二枠板部5は、第一実施形態と同様に第二壁部2と着脱可能に設けれているが、他の実施形態において、第三実施形態におおける第一枠板部4と同様に第二壁部2と分離できないように予め一体として成形されており、第二壁部2より着脱することができないように設けられていてもよい。
【0046】
〔第四実施形態〕
図12に示すように、本発明の擁壁用笠ブロックは、第一実施形態と同様に第一壁部1と、第二壁部2と、第一壁部1の底面12及び第二壁部2の底面22より上方に位置している連結部3と、第一枠板部4と、第二枠板部5などを備えている。第一実施形態と異なる構成としては、第一枠板部4が、第一壁部1の長手方向に亘って第一壁部1の天面11側である上方端部側より上方に延設されている。すわなち、第一枠板部4が、第一壁部1の天面11に形成された略U字状や略V字状などの溝に嵌合されて成形されることで、第一壁部1の天面11より上方に延設されている。そして、第一枠板部4が、第一壁部1の天面11に形成された溝から取り外すことが可能であるように第一壁部1の天面11に設けられている。また、第一枠板部4が、第二壁部2と第二枠板部5に対して、並行して設けられている。第一枠板部4は、第一壁部1、第二壁部2及び連結部3と同様にコンクリート、モルタルから形成されていたり、鉄や木から形成されていたりしてもよい。なお、本実施形態において、第一枠板部4のみが、第一壁部1の長手方向に亘って第一壁部1の天面11側である上方端部側より上方に延設されているが、他の実施形態において、第二枠板部5のみが、第二壁部2の長手方向に亘って第二壁部2の天面21側である上方端部側より上方に延設されるように設けられたり、第一枠板部4が第一壁部1の長手方向に亘って第一壁部1の天面11側である上方端部側より上方に延設されるとともに第二枠板部5が第二壁部2の長手方向に亘って第二壁部2の天面21側である上方端部側より上方に延設されるように設けられたりしてもよい。
【0047】
第一実施形態と同様に、第一壁部1側が最上部の擁壁Wの前面側に位置するとき、図7と同様に、本発明の擁壁用笠ブロックを設置後に、第一壁部1、第二壁部2、第一枠板部4、第二枠板部5及び擁壁Wなどにて囲まれた空間SPに流動性を有するコンクリートやモルタルを流し込むときに、第一枠板部4により第一壁部1の天面11を超えて流し込むことができるが、第四実施形態では、擁壁用ブロック設置方法において、第一実施形態と同様に、枠板部等除去工程S3において、第一壁部1から第一枠板部4及び第一枠板固定部6などを取り外すことができる。
【0048】
〔擁壁用ブロック設置における転落防止柵の取り付け〕
第一実施形態の擁壁用ブロックを設置するときに、第一壁部1側に、転落防止用の柵Eを取り付けることができる。このような転落防止用の柵Eを作製することにより、第一壁部1側及び最上部の擁壁Wの前面側に地表から組み上げた大掛かりな足場を設置する必要がなくなるため、簡便に擁壁用ブロックを設置することができる。具体的には、転落防止用の柵Eは、上下方向に延びた支柱Sと、支柱Sに直角に配設されたパイプビームPから構成されている。まず、法面を覆う前面の板状のパネル部分Wfと、そのパネル部分Wfの背面から立設する支持部分Wsから構成され、上方から見たときに略Π字状又は略T字状である擁壁Wの上に設置する前に、棒状の支柱Sを固定する固定具Fを天面側に有し斜めに支持板が渡された略L型状などの第一アングルA1を、複数本の第三固定手段B3にて、第一壁部1に固設しておく。そして、当該擁壁Wを設置した後に、第一アングルA1を固設した第一壁部1を備える擁壁用笠ブロックを、最上部の当該擁壁Wの天面Wtに設置し、それから、固定具Fに棒状の支柱Sを立設するように取り付け、さらに、支柱Sにおおよそ直角に配して棒状のパイプビームPを複数本取り付けることで、転落防止用の柵Eを作製する。また、擁壁用笠ブロックを当該擁壁Wの天面Wtに設置してから、擁壁用笠ブロックの転倒防止のために、長板状の第二アングルA2を、複数本の第四固定手段B4にて、第二壁部2と擁壁Wの支持部分Wsに固設しておく。なお、擁壁Wの種類によっては、支持部分Wsを有さないパネル部分Wfのみのときもあり、その場合には、支持部分Wsの代替として、略L字状の連結金具、あるいは、直方体又は立方体形状のコンクリート部材等をパネル部分Wfの背面側に接続して、擁壁用笠ブロックの転倒防止のために、長板状の第二アングルA2を、複数本の第四固定手段B4にて、第二壁部2とそれら連結金具やコンクリート部材等に固設しておく。また、擁壁用ブロック設置に関する一連の各工程が終了すれば、地盤G側から、柵EやアングルAを取り外すことができる。なお、本実施形態において、転落防止用の柵Eは、支柱SとパイプビームPから構成されているが、支柱Sと支柱Sに張り巡らされた網目状のネットから構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1・・・第一壁部
11・・・天面
12・・・底面
2・・・第二壁部
21・・・天面
22・・・底面
23・・・差込穴
3・・・連結部
31・・・貫通孔
4・・・第一枠板部
41・・・長孔
5・・・第二枠板部
51・・・長孔
6・・・第一枠板固定部
61・・・挿通孔
7・・・第二枠板固定部
71・・・挿通孔
8・・・架橋部
9・・・固定部材
B1・・・第一固定手段
B2・・・第二固定手段
B3・・・第三固定手段
W・・・擁壁
Wt・・・最上部の擁壁Wの天面
C・・・打設コンクリート
Ct・・・打設コンクリートの天面
G・・・地盤
SP・・・空間
cp・・・桟木
WR・・・ワイヤー
E・・・柵
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13