(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059086
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】風力タービン用ドライブトレインアセンブリ
(51)【国際特許分類】
F03D 13/10 20160101AFI20240422BHJP
【FI】
F03D13/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023171031
(22)【出願日】2023-10-02
(31)【優先権主張番号】22382995.3
(32)【優先日】2022-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】513131419
【氏名又は名称】ゼネラル エレクトリック レノバブレス エスパーニャ, エセ.エレ.
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】ヤコ・ニース
(72)【発明者】
【氏名】ライア・エステバン
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ・マッカラーナ
(72)【発明者】
【氏名】トマ・ドロワ
(72)【発明者】
【氏名】ジョセップ・ボッシュ・コラード
【テーマコード(参考)】
3H178
【Fターム(参考)】
3H178AA03
3H178BB77
3H178CC16
3H178DD08Z
3H178DD12Z
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本開示は、風力タービン用のドライブトレインアセンブリに関する。
【解決手段】ロータハブ20及び発電機モジュール120を備え、発電機モジュールは、発電機固定子130と、発電機固定子を支持するための固定フレーム166とを備える。発電機は、発電機回転子122と、発電機回転子を支持するためのシャフト140と、固定フレームにシャフトを回転可能に取り付けるための軸受アセンブリとをさらに備える。シャフトは発電機回転子に取外し自在に接続され、軸受アセンブリは前方軸受と後方軸受を備える。発電機モジュールの風上端は、ロータハブの風下端に取り付けられる。
【選択図】
図2A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータハブと、
発電モジュールと
を備える風力タービンのドライブトレインアセンブリであって、前記発電モジュールが、
発電機固定子、前記発電機固定子を支持するための固定フレーム、発電機回転子、前記発電機回転子を支持するためのシャフト、及び前記シャフトを固定フレームに回転可能に取り付けるための軸受アセンブリとを備えており、
前記シャフトが前記発電機回転子に取外し自在に接続され、
前記軸受アセンブリが、前方軸受及び後方軸受を備えており、
前記発電機モジュールの風上端が、前記ロータハブの風下端に取り付けられる、ドライブトレインアセンブリ。
【請求項2】
前記シャフトが、前記固定フレームの半径方向外側に配置されている、請求項1に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項3】
前記前方軸受の内輪及び/又は前記後方軸受の内輪が発電機モジュールの固定フレームにしまりばめされる、請求項2に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項4】
前記前方軸受の外輪及び/又は前記後方軸受の外輪が、発電機モジュールのシャフトに焼ばめされる、請求項2又は請求項3に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項5】
前記前方軸受及び前記後方軸受が単列円すいころ軸受である、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項6】
前記固定フレームの風上側に取り付けられる締付けリングであって、前記軸受アセンブリに予荷重を与えるように構成された締付けリングをさらに備える、請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項7】
前記前方軸受と前記後方軸受との長手方向距離が1.5m以上、特に2m以上、特に前記前方軸受と前記後方軸受との長手方向距離が2~2.5mである、請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項8】
前記ロータハブが、該ロータハブの風下端を画成するハブ取付フランジを備えており、前記シャフトが、前記発電機モジュールの風上端を画成するシャフト取付フランジを備えている、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項9】
前記シャフト取付フランジが、環状取付面と、前記前方軸受用の軸受座とを備える、請求項8に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項10】
前記シャフトが、該シャフトを前記発電機回転子に接続するためのフランジに前記シャフト取付フランジを接続する略円筒部を備える、請求項8又は請求項9に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項11】
前記シャフトの内壁と前記固定フレームの外壁との間の1以上の補強材を備える、請求項10に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項12】
前記後方軸受の風下側に配置されたストッパをさらに備える、請求項8乃至請求項11のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項13】
前記固定フレームが、該固定フレームと前記発電機固定子とを接続する複数のアームを備えており、前記複数のアームが、前記固定フレームから半径方向外側に延在し、かつ実質的に半径方向平面内にある、請求項8乃至請求項12のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項14】
前記ロータハブが、該ロータハブの風下端を画成するハブ取付フランジを備えており、前記発電機回転子が、前記発電機モジュールの風上端を画成する発電機回転子取付フランジを含んでいる、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項15】
前記発電機回転子取付フランジが、前記ハブ取付フランジ及び前記シャフトに接続されている、請求項14に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項16】
複数の留め具が、前記発電機回転子取付フランジ、前記ハブ取付フランジ及び前記シャフトを通って延在している、請求項15に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項17】
前記固定フレームが略円錐台形である、請求項14乃至請求項16のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項18】
前記後方軸受が、軸方向に前記発電機固定子の風下側に配置されている、請求項14乃至請求項17のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項19】
前記固定フレームが、該固定フレームと前記発電機固定子とを接続する複数のアームを備えており、前記複数のアームが、前記固定フレームから半径方向外側及び軸方向前方に延在している、請求項18に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項20】
前記発電機回転子が、前記発電機固定子の半径方向外側に配置される、請求項1乃至請求項19のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項21】
前記発電機回転子と前記発電機固定子の間に半径方向エアギャップを含む、請求項1乃至請求項20のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項22】
前記半径方向エアギャップの公称値が5~10mmの範囲内にある、請求項21に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項23】
当該ドライブトレインアセンブリが、冷却空気流を用いて冷却されるように構成されており、冷却空気流が、軸方向に前記半径方向エアギャップを通して導かれる、請求項21又は請求項22に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項24】
前記固定フレームが複数の第1の穴を備えており、前記シャフトが複数の第2の穴を備えており、第1及び第2の穴が、前記シャフトを前記固定フレームに回転ロックするロックピンを受けるように構成されている、請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項25】
前記発電機固定子の固定子構造が、前壁、前壁と略平行な後壁、及び前壁と後壁を接続する固定子リムを有する、請求項1乃至請求項24のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリ。
【請求項26】
タワーと、
タワーに回転可能に取り付けられたメインフレームと、
前記メインフレームに取り付けられた請求項1乃至請求項25のいずれか1項に記載のドライブトレインアセンブリと
を備える風力タービン。
【請求項27】
ナセルをさらに備えており、該ナセルが前記発電モジュールの風下側に配置されている、請求項26に記載の風力タービン。
【請求項28】
前記ハブの外壁を保護するように構成された保護カバーをさらに備える、請求項26又は請求項27に記載の風力タービン。
【請求項29】
当該風力タービンが洋上ダイレクトドライブ風力タービンである、請求項26乃至請求項28のいずれか1項に記載の風力タービン。
【請求項30】
当該風力タービンが12MW以上の公称出力を有する、請求項26乃至請求項29のいずれか1項に記載の風力タービン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、風力タービン用のアセンブリに関し、さらに具体的には、風力タービン用のドライブトレインアセンブリに関する。本開示はさらに、かかるドライブトレインアセンブリの製造及び組立て方法、並びにかかるドライブトレインアセンブリを含む風力タービンに関する。
【背景技術】
【0002】
先進風力タービンは、電力網への電力の供給に常用されている。この種の風力タービンは、一般に、タワーとタワーに配置されたロータとを備える。ロータは、通例ハブと複数のブレードを備えており、ブレードに対する風の影響下で回転する。この回転によってトルクが発生するが、電力を発生して電力を電力網に供給するためトルクは通常は発電機へと伝達される。
【0003】
ロータシャフトをハブに接続してギアボックスの低速入力シャフトとして機能させる風力タービンが知られている。ギアボックスの高速出力シャフトで発電機を駆動する。また、発電機を直接駆動するためのロータハブ又はロータシャフトをハブに接続することも知られている。かかる風力タービンは、一般に「ダイレクトドライブ」又は「ギアレス」風力タービンと呼ばれる。
【0004】
ダイレクトドライブ風力タービンの発電機回転子の回転速度は風力タービンロータの回転速度(例えば2~20rpm)に対応し、一般にギアボックスを用いた場合の発電機回転子の回転速度よりもはるかに低い。そのため、ダイレクトドライブ風力タービンの発電機の直径は一般に格段に大きい。ダイレクトドライブ風力タービン発電機は、例えば6~8m(236~315インチ)の直径、例えば2~3m(79~118インチ)の長さを有することがある。
【0005】
発電機は、一般に、回転子又は回転構造と固定子又は固定構造とを備える。回転子及び固定子構造は共に電磁素子を備えており、回転子と固定子の間にエアギャップが設けられている。例えば、永久磁石励磁発電機(PMG;permanent magnet excited generator)が知られている。かかるPMGでは、永久磁石は通常発電機回転子に取り付けられ、巻線要素(コイルなど)は通常固定子に取り付けられる。永久磁石発電機は、信頼性が高く、他の発電機類型よりもメンテナンスが少なくてよいと一般に考えられており、洋上風力タービンに特に適している。
【0006】
半径方向エアギャップを有する発電機の場合、回転子は固定子の半径方向外側に配置してもよいし、その逆であってもよい。電磁的観点から発電機を効率的にするには、エアギャップをできるだけ小さくすべきである。一方で、エアギャップは、発電機に重大な損傷をもたらしかねない回転子と固定子との接触を避けるための十分な幅をもたせるべきである。
【0007】
風力タービンロータは、一般に、タワーの「風上」又は「上流」に設けられる。ダイレクトドライブ風力タービンでは、発電機もタワーの風上に配置し得る。風力タービンロータ(ハブ及びブレード)と発電機の合計重量は大きな曲げ荷重をもたらし、タワーに伝達しなければならない。
【0008】
また、風力タービンロータの空力荷重もタワーに伝達しなければならない。さらに、運転中に、横方向及び/又は前後方向の振動が発生することもある。例えば、ロータでの空力推力のため前後振動が発生することがある。洋上風力タービンの場合、波荷重も大きな振動を引き起こすおそれがある。
【0009】
(曲げ)荷重による振動及び潜在的変形は、エアギャップ安定性を損なうおそれがある。エアギャップ安定性は、風力タービンの構成及び風力タービンのドライブトレインの構成の設計の決定要因の一つである。例えば、米国特許出願公開第2013/0134712号明細書には、風力タービンロータと発電機回転子の間に配置されたダンパーを介してエアギャップを能動的に制御するダイレクトドライブ風力タービンが開示されている。国際公開第2012/007185号には、ロータハブと固定フレームの間の2つの軸受、及び発電機回転子と発電機固定子の間の1以上の追加の軸受を含む風力タービン構成が開示されている。
【0010】
考慮すべき別の重要な因子は、タワーの頂部の構造物の重量である。タワー頂部の構造の軽量化は、タワーの軽量化及び追加の支持構造(風力タービンの基礎、トランジションピースなど)につながる可能性がある。
【0011】
設計に関する他の重要な決定要因として、製造性、ドライブトレインアセンブリの保守及び組立て能力、並びに風力タービンによる発電のエネルギーコストが挙げられる。
【0012】
幾つかの公知の風力タービン構成では、ハブ及び発電機回転子は、固定フレームに回転可能に取り付けられたシャフトに接続される。シャフトと固定フレームの間に1以上の軸受が設けられることもある。発電機の固定フレームは風力タービンのメインフレームに接続される。メインフレームは、ヨーシステムを介してタワーに接続できる。かかる構成は、例えばVeasy 70風力タービン等で知られている。Vensys 70構成及びその他のダイレクトドライブ風力タービン構成は、例えば“Towards 100% Renewable Energy”(33-50頁)に掲載されたFriedrich Klinger著“STATE OF THE ART and NEW TECHNOLOGIES OF DIRECT DRIVE WIND TURBINES”に記載されている。
【0013】
また、Haliade-X洋上風力タービンもドライブトレインアセンブリを有しており、前方軸受が風力タービンのハブの内側に配置されている。
【0014】
様々な要件及び制約を考慮に入れた風力タービンの設計の最適化は、複雑なエンジニアリング作業である。さらに、種々の設計変数が相互依存しており、複雑に相互作用する。したがって、改善された設計は、一つの側面に焦点を当てることでは一般に達成できず、数多くの又はあらゆる異なる側面を考慮に入れなくてはならない。
【0015】
とりわけ大型洋上風力タービン(例えば公称出力又は定格電力12MW以上のもの)では、風力タービン構成及びドライブトレイン構造の最適化は複雑になりかねない。構造要件に加えて、発電機の効果的かつ効率的な冷却のような他の要因も考慮に入れる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0134712号明細書
【特許文献2】国際公開第2012/007185号
【発明の概要】
【0017】
本開示技術の一態様では、風力タービン用のドライブトレインアセンブリを提供する。本アセンブリは、ロータハブと発電機とを備える。発電機モジュールは、発電機固定子、及び発電機固定子を支持するための固定フレームを備える。発電機モジュールは、発電機回転子、発電機回転子を支持するためのシャフト、及びシャフトを固定フレームに回転可能に取り付けるための軸受アセンブリをさらに備える。軸受アセンブリは、前方軸受及び後方軸受を備える。本ドライブトレインアセンブリにおいて、シャフトは発電機回転子に取外し自在に接続され、発電機モジュールの風上端は、ロータハブの風下端に取り付けられる。
【0018】
本態様では、風力タービン用のドライブトレインアセンブリが提供されるが、シャフト及び固定フレームが発電機の回転子及び固定子に対してもっと前方(もっと「風上」)に配置される従来技術の構成と比較すると、エアギャップ安定性を向上させることができる。回転可能に取り付けられるシャフト(発電機回転子に取外し自在に接続される)との配置は、ドライブトレインアセンブリの製造及び組立て並びにメンテナンスを容易にする。
【0019】
発電機回転子の風上端は、本明細書では、以下の通り解釈し得る。風力タービンが正常に動作しているとき、ナセル及び風力タービンロータは主風向と実質的に整列する。したがって、風は風力タービンの風上側から風力タービンの風下側へと流れる。発電機回転子の風上端は、風上側に最も遠い位置(つまりタワーの前方に最も遠い位置)にある発電機回転子の端又は端部とみなすことができる。ロータハブの風下端は、風下側に最も遠い位置にあるロータハブの端又は端部とみなすことができる。同様に、長手方向に延在する他の風力タービン部品も、それら自身の風上側及び風上端、並びにそれら自身の風下側及び風下端を有し得る。風上端は部品の前方端とみなすこともでき、部品の風下端は後方端とみなすこともできる。「風上」及び「上流」という用語並びに「風下」及び「下流」という用語は、同義に用いられることがある。
【0020】
ドライブトレインアセンブリは、本願では、機械的動力を電力へと変換する部品のアセンブリとみなすことができる。ダイレクトドライブ風力タービンにおいて、ドライブトレインアセンブリは、一般に、風力タービンロータ(ロータハブ及びブレード)、発電機、並びに風力タービンロータから発電機へと機械的動力を伝達するそれらの間の任意の部品を含むことができる。
【0021】
追加の態様では、風力タービンを提供するが、本風力タービンは、本明細書に開示するいずれかの実施例のアセンブリを含む。風力タービンは、ナセルをさらに含んでおり、ナセルは、発電機モジュールの風下側に配置される。
【0022】
本開示技術の実施形態のその他の目的、利点及び特徴については、以下の詳細な説明から当業者には明らかとなろし、或いは本技術の実施を通して習得できるものもあろう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の様々な実施形態について詳細に説明し、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は、本技術を限定するものではなく、例示のためのものにすぎない。特許請求の範囲に記載された技術的範囲及び技術的思想を逸脱することなく、本技術に様々な修正及び変更をなし得ることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は記載された特徴を、別の実施形態と共に用いてさらに別の実施形態とすることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその均等の範囲に属する修正及び変更を包含する。
【0025】
図1は、風力タービン10の一例の斜視図である。この例では、風力タービン10は水平軸風力タービンである。この例では、風力タービン10は、地面12の支持システム14から延在するタワー15と、タワー15に取り付けられたナセル16と、ナセル16に結合したロータ18とを含む。ロータ18は、回転可能なハブ20と、ハブ20に結合しかつハブ20から外側に延在する1以上のロータブレード22とを含む。この例では、ロータ18は3枚のロータブレード22を有する。別の実施形態では、ロータ18は、3枚未満又は3枚超のロータブレード22を含む。タワー15は、支持システム14とナセル16の間の空洞(
図1には図示せず)を画成するための管状鋼から製造し得る。別の実施形態では、タワー15は、任意の適切な高さを有する任意の適切なタイプのタワーである。別の実施形態では、タワーは、コンクリート製部分と管状鋼部分とを含むハイブリッドタワーであってもよい。また、タワーは部分的又は完全な格子タワーであってもよい。
【0026】
ロータブレード22は、ロータ18を回転させて運動エネルギーを風から使用可能な機械的エネルギー、ひいては電気エネルギーへと伝達できるように、ハブ20の周りに離間して配置される。ロータブレード22は、ブレード根元部24を複数の荷重伝達領域26でハブ20に結合することによってハブ20に結合される。荷重伝達領域26は、ハブ荷重伝達領域及びブレード荷重伝達領域(いずれも
図1には図示せず)を有していてもよい。ロータブレード22で惹起された荷重は、荷重伝達領域26を介してハブ20に伝達される。
【0027】
幾つかの例では、ロータブレード22は、約15m~約90m以上の範囲の長さを有し得る。ロータブレード22は、本明細書に記載の機能を風力タービン10が発揮し得る任意の適切な長さを有し得る。風が風向28からロータブレード22に当たると、ロータ18はロータシャフト30の周りで回転する。ロータブレード22が回転して遠心力を受けると、ロータブレード22にも様々な力及びモーメントが加わる。そこで、ロータブレード22は、中立又は非撓み位置から撓み位置まで撓む及び/又は回転し得る。
【0028】
さらに、ロータブレード22のピッチ角(すなわち有効風に対するロータブレード22の向きを決定する角度)は、風ベクトルに対する1以上のロータブレード22の角度位置の調整によって風力タービン10で発生する荷重及び電力を制御するためのピッチシステム32によって変更し得る。ロータブレード22のピッチ軸34が示してある。風力タービン10の運転中、ピッチシステム32は、特にロータブレード(の部分)の迎え角が小さくなるようにロータブレード22のピッチ角を変化させることができ、回転速度の低下を促進し、及び/又はロータ18の失速を促進する。
【0029】
この例では、各ロータブレード22のブレードピッチは、風力タービンコントローラ36又はピッチ制御システムによって個別に制御される。或いは、すべてのロータブレード22に対するブレードピッチを、制御システムによって同時に制御してもよい。
【0030】
また、この例では、風向28の変化に伴って、ロータブレード22を風向28に対して位置付けるため、ナセル16のヨー方向をヨー軸38を中心に回転させてもよい。
【0031】
この例では、風力タービンコントローラ36は、ナセル16内に集中化したものとして示してあるが、風力タービンコントローラ36は、風力タービン10全体、支持システム14上、風力発電所内及び/又は遠隔制御センターにおける分散システムとしてもよい。風力タービンコントローラ36は、本明細書に記載の方法及び/又はステップを実行するように構成されたプロセッサ40を含む。さらに、本明細書に記載の他の部品の多くは、プロセッサを含む。
【0032】
本明細書で用いる「プロセッサ」という用語は、当技術分野でコンピュータと呼ばれる集積回路に限定されず、広く、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、特定用途向け集積回路その他のプログラマブル回路をいい、これらの用語は、本明細書では互換的に用いられる。プロセッサ及び/又は制御システムは、メモリ、入力チャネル及び/又は出力チャネルも含むことができる。
【0033】
図2Aは、風力タービンのメインフレームに取り付けられたドライブトレインアセンブリの一例の断面図を示す。
図2Bは、本例の発電モジュールを示し、ドライブトレインの組立て方法について例示する。
図2Cは、本例の発電モジュールの固定フレームの等角図を示す。以下、
図2A~2Cの例について、さらに詳しく説明する。
【0034】
図2Aは、風力タービン用のドライブトレインアセンブリ100を示す。ドライブトレインアセンブリ100は、ロータハブ20と発電機モジュール120とを備える。発電機モジュール120は、発電機固定子130と、発電機固定子130を支持するための固定フレーム166とを備える。発電機モジュール120は、発電機回転子122と、発電機回転子122を支持するためのシャフト140と、シャフト140を固定フレーム166に回転可能に取り付けるための軸受アセンブリとをさらに備える。軸受アセンブリは、前方軸受162と後方軸受164とを備える。発電機モジュールの風上端は、ロータハブの風下端に取り付けられる。
【0035】
発電機モジュール120は、このように、回転構造(発電機回転子122及びシャフト140)と、固定構造(固定フレーム166及び発電機固定子130)と軸受アセンブリとを含む。本明細書に開示する発電機モジュールの部品は、他の風力タービン部品とは独立に予め組み立てて試験してもよい。
【0036】
この例では、ロータハブ20は、ロータハブの風下端を画成するハブ取付フランジ27を備えており、発電機モジュール120は、発電機モジュールの風上端を画成する発電機取付面141を備える。
図2Aに示すように、ロータハブ20は、発電モジュール120の完全に風上側に配置される。換言すると、発電機モジュール120は、ロータハブ20の完全に風下側に配置される。
【0037】
ハブ20は、ブレード(
図2には図示せず)を取り付けることのできる3つの取付フランジ又は荷重伝達領域26を備えていてもよい。ブレードの各々は、
図1を参照して説明したようなピッチシステムを介してハブ20に接続し得る。
【0038】
ハブの風上側29には、ノーズコーン又は「スピナー」を取り付けてもよい。ハブの風下側に、ハブ20は環状ハブ取付フランジ27を備える。
図2の例では、シャフト140は、環状ハブ取付フランジ27に取り付けるためのシャフト取付フランジ145を備える。発電機取付フランジの前面又は風上面は、発電機取付面141を形成し得る。
【0039】
発電機取付面141は、ロータハブの風下側のシャフト140に組み込まれるので、幾つかの従来技術の構成よりも、シャフト140をハブに接続するのに適した利用できる平面の面積が大きくなる。同様に、ロータハブ20の風下端で利用できる平面の面積が大きくなる。
【0040】
本例のシャフト140は、前方軸受162を支持する前方軸受座142を備える。シャフト140は、環状の半径方向に延在するシャフト取付フランジ145をさらに含む。その前方(又は「風上」)面の外壁は、環状取付面141を画成する。シャフト140を取付面141で取付フランジ27に取り付けるために、適切な留め具を使用してもよい。特に、ボルトを使用し得る。
【0041】
本例のシャフト140は、略円筒部144をさらに含んでおり、略円筒部144は、シャフト取付フランジ145を、発電機回転子122に接続するためのシャフトのフランジ149に接続する。
【0042】
シャフト取付フランジ145に取り付けられるシャフト140の略円筒部144を有する一つの態様は、シャフト140の内壁197と固定フレーム166の外壁199との間に顕著な環状空間が形成されることである。形成された環状空間は、様々な目的に用いることができる。様々な例では、構造補強をこの環状空間に収めてもよい。
【0043】
発電機回転子122は、シャフト140に取外し自在に接続される。例えば、発電機回転子122のシャフトとフランジ128のフランジ149でのボルト接続である。
【0044】
発電機回転子122とシャフト140との接続を取外し自在とすることによって、製造が容易になる。発電機回転子は、例えば6~8mの外径を有することができる。製造を容易にするため、発電機回転子122は、複数のセグメントで製造してもよい。例えば、2、3又はそれ以上のセグメントを使用して、別個に製造してもよい。各セグメントは、リングセクタを形成し得る。
【0045】
これらのセグメントを互いに組み立てて、発電機回転子を形成することができる。各セグメントは、金属鋳造によって製造してもよい。例えば、ダクタイル鋳鉄を使用し得る。シャフトは、この場合も金属鋳造によって、一体品として別個に製造してもよい。例えばダクタイル鋳鉄又は鋼鋳物を使用し得る。シャフトと発電機回転子122とを別々に製造することによって、製造プロセスを簡単にすることができる。
【0046】
図に示す例では、シャフトはテーパ又は円錐台部分148をさらに備える。円錐台部分148は、シャフトのフランジ149を後方軸受座143に接続する。後方軸受座143は後方軸受164を支持する。本例のシャフト140は、管状延長部又はリング147をさらに含んでおり、管状延長部又はリング147は幾つかの穴183を含む。これらの穴の機能については、固定フレーム166の対応する穴を参照して説明するが、リング147は、複数の重量軽減穴189を含んでいてもよい。
【0047】
発電モジュール120は、発電機回転子122と発電機固定子130とを含む。発電機回転子122は、上述の通りシャフト140に取外し自在に取り付けられる。本例の発電機回転子122は、半径方向外側に延在するフロントカバー126をさらに含む。フロントカバー126は、発電機の前方又は風上側を閉じる。フロントカバー126は、さらに、外側回転子リム124を支持するように構成される。
【0048】
本例の外側回転子リム124は、電磁素子を担持する。具体例では、発電機は永久磁石発電機であってもよく、発電機回転子は永久磁石を担持し、発電機固定子は複数のコイルを担持する。磁石は、永久磁石モジュールに配置し得る。運転中、回転子が永久磁石と共に回転運動すると、巻線に変動磁場が発生し、巻線に電流を生じる。
【0049】
本例の発電機固定子130は、固定フレーム166に接続された固定子構造131を備える。固定子構造131は、半径方向断面が略U字型であってもよい。固定子構造131は、固定子リム133を前方(又は「風上」)壁138と後方(又は「風下」)壁136とでつないだものを含むことができる。前方及び後方壁136,138は略平行であってもよい。固定子130の半径方向断面で、固定子リム133及び壁136,138は一緒にU字型を画成する。固定子構造131は、半径方向に配置された複数の内部固定子補強材135をさらに含んでいてもよい。
【0050】
後方壁136は、半径方向内側に延在する複数のフランジを備えていてもよい。発電機固定子130は、これらのフランジで固定フレーム166のアーム134に接続してもよい。したがって、固定子130は、固定子の風下端だけで支持され、片持ち梁構造を形成し得る。
【0051】
発電機固定子130は、固定子リム133に(つまり固定子の外周に沿って)配置された複数のコイル132をさらに含む。コイル132と永久磁石の間に半径方向エアギャップが画成される。開示した例では、発電機回転子122は、発電機固定子130の半径方向外側に配置されるが、他の例では、発電機回転子を固定子の半径方向内側に配置してもよい。
【0052】
図に示す例では、電磁素子(コイル及び磁石)は、エアギャップを通る軸方向冷却空気流を用いて冷却し得る。特に、図に示す例では、複数の冷却空気入口を後方壁136に配置してもよい。冷却空気は、内部固定子補強材135に設けられた穴を通して固定子130の円周に沿って分配し得る。内部固定子補強材135の穴は、冷却空気分配オリフィスとして作用し得る。
【0053】
冷却空気を、前方壁138で固定子130を出てエアギャップに向けて誘導又は案内してもよい。冷却空気は、風上側からエアギャップを通して風下側に軸方向に流してもよい。冷却空気がエアギャップを通って流れると、電磁素子を冷却することができる。冷却空気は加温される。加温された冷却空気は、後方壁136で複数の空気排出口を通して発電機から出してもよい。
【0054】
幾つかの例では、加温された冷却空気は、固定子130の後方壁136の入口に向かって逆流する前に、熱交換器で再び冷却してもよい。任意の適切な熱交換器、例えば液体-空気熱交換器を使用し得る。
【0055】
同様に、発電機回転子122と同様に、発電機固定子130及び特に固定子構造131も別々のセグメント(例えば2、3又はそれ以上のセグメント)で製造することができ、それらを互いに取り付けて発電機固定子130の固定子構造131を形成してもよい。
【0056】
図に示す例(特に
図2C参照)では、発電モジュール120の固定フレーム166は、前方軸受162を支持する前方軸受座167と、後方軸受164を支持する後方軸受座169と、前方軸受座と後方軸受座の間の略円筒部175とを含む。
【0057】
本例の固定フレーム166は、複数のアーム134をさらに含んでいてもよい。アーム134は半径方向外側に延在し、固定フレーム166を発電機固定子130に接続する。この例では、アーム134は、半径方向平面に沿って実質的に半径方向外側に延在しており、すなわち、アームは有意な様式で前方又は後方に延在していない。
【0058】
固定フレーム166を発電機固定子に接続するために、アーム134は、複数の留め具穴178を含むことができる。適切な留め具(例えばボルトなど)を使用して、固定フレーム166を発電機固定子130に接続してもよい。さらに具体的には、この例では、固定フレーム166は、発電機固定子130の固定子構造131に接続されている。この具体例では、6つのアーム134が設けられているが、他の例では、任意の他の適切な数のアーム134を使用し得ることは明らかであろう。
【0059】
アーム134は、例えば一体鋳造品として、固定フレーム166と一体に形成されていてもよい。他の例では、アーム134を別個に製造して、固定フレームに固定又は取外し自在に取り付けてもよい。図に示す例では、アーム134は、側壁179を有するC字型断面で形成されている。他の例では、他の適切な形状を使用してもよい。
【0060】
固定フレームは、複数の第1の穴を備えていてもよく、シャフトは、複数の(対応する)第2の穴を含む。第1及び第2の穴は、シャフトを固定フレームに回転ロックするためのロックピンを受けるように構成し得る。
【0061】
アーム134は、ロックピンを受けるための複数の第1の穴181を含むことができる。ありメンテナンス作業を行うために、風力タービンロータを所定の位置にしっかりとロックしなければならないことがある。発電機モジュールのシャフト140は、複数の第2穴183を含んでいてもよい。この特定の例では、シャフト140は、穴183が組み込まれたリング187を含む。
【0062】
風力タービンロータを所定の位置にロックすべき場合、第2の穴183の1以上を、固定フレーム内の対応する第1の穴181と位置合わせしてもよい。対応する第1及び第2の穴181,183の対の1つにロッキングピンを導入して、発電機回転子122を所定の位置にロックしてもよい。幾つかの例では、複数のロッキングピンを使用して、整列した第1及び第2の穴181,183の複数の対に導入してもよい。風力タービンロータはシャフトに接続されるので、ドライブトレイン全体がロックされ、保守及び点検作業を安全に行うことができる。
【0063】
固定フレーム166は、取付フランジ139を終端とする外向テーパ部137をさらに含んでいてもよく、固定フレーム166の直径はこの部分に沿って風下方向に増大する。取付フランジ139は、取付面172を画成する。ドライブトレインアセンブリ100、特にアセンブリ100の発電機モジュール120は、固定フレーム166のフランジ139によって画成される取付面172で風力タービンのメインフレーム150に取り付けることができる。
【0064】
幾つかの例では、固定フレーム166はダクタイル鋳鉄で製造し得る。
【0065】
本開示の追加の態様では、風力タービンを提供するが、本風力タービンは、本明細書に開示するいずれかの実施例のドライブトレインアセンブリを備える。風力タービンは、陸上風力タービンであっても、洋上風力タービンであってもよい。洋上風力タービンの場合、洋上風力タービンは固定式であっても浮体式であってもよい。
【0066】
風力タービンのメインフレーム150は、タワー(
図2Aには図示せず)に回転可能に取り付けることができる。メインフレーム150は、ドライブトレインアセンブリ100を支持し、かつ関連するあらゆる荷重を風力タービンタワーに伝達するように構成される。
【0067】
メインフレーム150は、ヨー軸受によって支持される環状フランジ152を含むことができる。タワーに対してメインフレーム(及びアップタワー構造全体)を回転させるために適切なヨーシステム(図示せず)を用いてもよく、運転中に風力タービンロータを主風向に合わせることができる。また、必要に応じて、風力タービンロータを風向から離れるように回転させてもよい。
【0068】
風力タービンは、ナセル(
図2には図示せず)をさらに備えていてもよい。ナセルは、発電機モジュール120の風下に配置してもよく、ナセルは発電機モジュールを包含しない。ナセルは、電気機器(コンバータ、変圧器、照明など)、機械機器(クレーン又はホイスト、設置時に用いられるプラットフォーム)、及び/又はその他の機器(空調、熱交換器、通信システム)を取り囲むことができ、機械の中央フレームに取り付けることができる。例えば、ナセルを中央フレームに接続するためにボルトを用いてもよい。ナセルは、多湿及び/又は腐食性屋外環境から内部の電気及び機械機器を保護するハウジングを含むことができる。
【0069】
この特定の例では、ストッパ170は、後方軸受164の風下側に配置し得る。ストッパ170は実質的に平坦な前面を有していてもよく、組立て時に後方軸受164をしっかりと位置決めできる。こうして、固定フレーム166は、この領域でさらに丸みを帯びていてもよく、固定フレーム166内の局所的な応力集中を回避又は少なくとも低減し得る。
【0070】
前方軸受162及び後方軸受164は、シャフト140が回転軸RAを中心に回転し、風力タービンロータから固定フレーム166に荷重を伝達できるようにする。軸受162,164を介して伝達すべき荷重としては、例えば軸方向荷重(例えば風力タービンロータに対する空力推力)及び半径方向荷重(例えば発電機の電磁力によるもの或いは軸受の風上側に位置する風力タービンロータの重量による荷重)が挙げられる。シャフト140は固定フレームを半径方向に取り囲むように配置され、軸受162,164は半径方向に固定フレームとシャフト140の間に配置される。
【0071】
前方及び後方軸受162,164間の(長手方向)距離を大きくすると、軸受が曲げ荷重を吸収して伝達する能力が向上する。換言すると、2つの軸受を離して配置すると、軸受に対する機械的要件が低減し得る。幾つかの例では、前方軸受と後方軸受の間の距離は、1.5m以上、特に2m以上とし得る。軸受間の長手方向距離は、長手方向に沿って、つまり回転軸RAに沿って又は回転軸RAと平行に測定し得る。
【0072】
前方軸受162と後方軸受164の両方をハブの風下側に配置すると、それらの位置は発電機の回転子及び固定子に近づく。こうして、発電機回転子122と固定子130の電磁素子間のエアギャップ安定性を改善することができる。風力タービンロータで発生するおそれのある振動その他の運動によるエアギャップへの影響は低減する。エアギャップ安定性が向上すると、発電機の設計を一段とコンパクトにすることができ、ドライブトレイン全体の重量を軽減できる。発電機の軽量化は、タワー及びタワー支持構造のさらなる軽量化をもたらし得る。
【0073】
幾つかの例では、発電機回転子122と発電機固定子130との間の半径方向エアギャップの公称値は、5~10mmの範囲内、特に6~8mmである。エアギャップの公称値は、本明細書では、発電機の設計に則した(すなわち、例えば空力的又は電磁的荷重によって惹起される変形又は振動の不在下での)エアギャップの平均幅とみなすことができる。軸受を発電機の回転子と固定子の近くに配置することによって、公称電力定格が12MW以上の風力タービンであっても5~10mmのエアギャップを達成し得る。風力タービンの正常運転中(すなわち、故障のない運転中)、軸受の配置及び構造の全体的剛性により、荷重及び振動がタワーに効果的に伝達され、エアギャップは、すべての運転条件及び発電機の全周に沿って、その公称値の少なくとも50%を維持する。
【0074】
幾つかの例では、前方及び後方軸受162,164は、単列円すいころ軸受とすることができる。2つの単列円すいころ軸受は、関連するすべての力及びモーメントを支持及び伝達できる。
【0075】
2つの単列円すいころ軸受の組合せは、例えば複列円すいころ軸受を使用した場合と比較して、低減した重量並びに改善された軸方向及び半径方向ガイダンスを有し得る。図に示す例では、前方及び後方軸受162,164は、幾つかの従来技術の構成よりも風下(後方)に配置してもよく、それによって軸受162,164が耐えることができる曲げ荷重が増加する。単列円すいころ軸受を選択すると、もっと後方に配置したときの重量増加を少なくとも部分的に補償することができる。
【0076】
軸受162,164の各々は、内輪(又は内側「軌道面」)、外輪(又は外側「軌道面」)、及び内輪と外輪の間の1以上の転動体を含む。単列円すいころ軸受の場合、単列のころ(例えば、略円筒形のころ)を用いてもよい。軸受162,164の内輪及び外輪は高級鋼でできており、その機能のため強度、剛性及び加工公差に関して非常に高い要件を有する。特に、軸受の内輪及び外輪に使用される鋼は、固定フレーム166及び/又はシャフト140の鋳造に用いられる鉄又は鋼よりもグレードの高い鋼である。
【0077】
ドライブトレインアセンブリ100のための組立プロセスの一例を、
図2Bを参照して例示し得る。固定フレーム166を、平坦面(地面)に設けてもよい。ストッパ170を、固定フレーム166の周囲に配置し得る。例えば、ストッパ170を固定フレーム166の上方に持ち上げてから、ストッパが固定フレーム166の外向テーパ部分137に静置するまで下降させればよい。
【0078】
次いで、後方軸受164の内輪を、同様にストッパ170に静置するまで下降させてもよい。後方軸受の内輪は、固定シャフトにしまりばめさせることができる。後方軸受の内輪をその位置に押し込んで、後方軸受162の内輪と固定フレームとの摩擦に基づいて継手を形成し、荷重を伝達できるようになる。幾つかの例では、焼きばめを用いてもよい。この場合、後方軸受162の内輪を、固定フレームの周りに取り付ける前に加熱すればよい。後方軸受162の内輪はころを含んでいてもよい。加熱によって、軸受リングが膨張し、固定フレームの周りに嵌めることができる。軸受リングが冷えると、固定フレームと軸受の間に締まりばめが形成される。いずれの場合も、軸受(リング)は固定フレームに取外し自在に取り付けられる。取り付け後、必要に応じて軸受リングを取り外すことができる。例えば、組立て時に偏差が見つかった場合、軸受(リング)を取り外して、その位置を修正することができる。また、軸受(リング)は、損傷又は早期摩耗の場合に取り外すことができる。
【0079】
他の例では、軸受は、別のやり方で固定フレーム166に取外し自在に取り付けてもよい。例えば、ボルト接続を使用できる。
【0080】
次のステップでは、前方及び後方軸受162,164の外輪を搭載したシャフト140を固定フレーム166の周囲に取り付けることができる。その前に、シャフト140に軸受の外輪を取り付ける。幾つかの例では、外輪は、しまりばめを用いて取り付けることがで、いる。
【0081】
幾つかの例では、軸受外輪は焼ばめであってもよい。シャフト140の軸受座の領域を加熱して膨張させた後、軸受の外輪を嵌めてもよい。シャフト140が冷えると、軸受外輪とシャフト140の間に摩擦に基づく継手が形成され、境界面を通して荷重を伝達できるようになる。軸受リングとシャフト140の組立ては、固定フレームへの内輪の取付けの前又は後又は同時に行うことができる。
【0082】
シャフト140に軸受外輪を取り付け、固定フレームに後方軸受の内輪(ころ付)を取り付けたら、シャフトアセンブリを上昇させて固定フレームに取り付けることができる。シャフトは、後方軸受164の外輪が後方軸受のころ及び内輪と係合して後方軸受164を形成するまで、下方に案内又は押し下げられる。
【0083】
前方軸受162の内輪は、次のステップで組み立てることができる。内輪は軸受のころを担持し得る。しまりばめその他の接合方法を用いることができる。具体例では、内輪を加熱して膨張させ、次いで固定フレームの周りに嵌める。内輪が冷えると、固定フレームと前方軸受162の間に摩擦に基づく継手が形成される。
【0084】
幾つかの例では、内輪を固定した後、ギャップを補正するとともに軸受アセンブリの適切な動作を確保するため、システムに予荷重を加えてもよい。図に示す例では、軸受アセンブリに予荷重を加えるため締付けリング180を用いる。緩み又はクリアランスを測定してもよく、この測定に基づいて、適切な厚さとなるシムの数を選択してもよい。シムは、締付けリング180と前方軸受162の内輪との間或いは締付けリング180と固定フレーム166の前面との間に配置することができる。次いで、締付けリングを固定フレームにボルト留めできる。ボルトを締め付けると、締付けリングに軸方向の力が印加されて、締付けリングが軸方向に変位し、前方軸受162の内輪が後方軸受164に向かって押し出される。後方軸受は、内輪がストッパ170及び固定フレーム166によってその場所に保持されているため、軸方向に移動できない。したがって、軸受アセンブリは、適切な予荷重で圧縮することができる。
【0085】
シャフト140を固定フレーム166と組立てた後、発電機の回転子と固定子を組み立ててもよい。幾つかの例では、コイル及び電気ケーブルを含む発電機固定子130を次に取り付けることができる。次いで、発電機回転子122を取り付けることができる。幾つかの例では、永久磁石のない発電機回転子122を取り付けてもよい。発電機回転子122に磁石が取り付けられていないと、発電機回転子122と発電機固定子130との組立てを簡単にすることができる。回転子構造を固定子130と組み立てた後、永久磁石を取り付けることができる。永久磁石モジュールを使用し得る。幾つかの例では、永久磁石モジュールを軸方向にスライドして、回転子のリムに固定してもよい。
【0086】
磁石を回転子に取り付けたら、発電機モジュールは完全に組み立てられ、発電機モジュールを試験できる。かかる試験は、他の部品に接続せずに行うことができる。
【0087】
発電機モジュール120を完全に組み立てた後、ロータハブ20を発電機モジュール120に取り付けることができる。ロータハブ20と発電機モジュールとの接合は垂直に行うことができ、すなわち、固定フレームは、
図2Bに示すように、垂直に向いたままであってもよい。シャフト140、発電機固定子130及び発電機回転子122の取付け後に、ハブを発電機モジュール上に昇降させてもよい。この例では、シャフト140がハブ20に取り付けられる。
【0088】
ドライブトレインアッセンブリ100の組立て後に、ドライブトレインアセンブリを持ち上げて回転させ、メインフレーム150に取り付けてもよい。幾つかの例では、ドライブトレインアセンブリ100を持ち上げるためのホイスト装置は、ハブ20を把持してもよく、ハブ20は、例えば発電機の部品よりも剛性で強度が高いことがある。他の例では、発電機モジュール120を、まずメインフレーム150に取り付けてから、次いでロータハブ20を発電機モジュール120の風上側に取り付けてもよい。
【0089】
図3は、風力タービン用のドライブトレインアセンブリ200の別の例を図示したものである。ドライブトレインアセンブリ200は、風力タービンのメインフレーム150に取り付けてもよい。
図2の例と同様に、メインフレーム150を環状フランジ152でヨーシステムに取り付けてもよい。メインフレーム150は、こうして風力タービンタワーに回転可能に取り付けることができ、所望に応じてメインフレーム150(及びアップタワー構造全体)を風向の内外に向けて回転させることができる。
【0090】
一般に、
図3の例によるドライブトレインアセンブリ200は、ドライブトレインアセンブリ100と共通する多くの構成要素を有する。したがって、ドライブトレインアセンブリに関する説明全体を、
図3の例で繰り返すことはしない。以下、
図2の例と異なる
図3の例の幾つかの態様に焦点を当てて説明する。
【0091】
ドライブトレインアセンブリ200は、ハブ20と発電機モジュール220とを備える。発電機モジュール220は、発電機回転子222と発電機固定子230とを備える。発電機モジュール220は、発電機固定子230を支持するための固定フレーム266をさらに備える。発電機回転子222は、シャフト240に取外し自在に取り付けられる。シャフト240は、固定フレーム266に回転可能に取り付けられる。
【0092】
前述の例と同様に、軸受アセンブリは、前方軸受262及び後方軸受264を備えており、発電機モジュールの風上端はロータハブの風下端に取り付けられる。ロータハブは、ロータハブの風下端を画成するハブ取付フランジ27を備えていてもよく、発電機220は、発電機モジュールの風上端を画成する発電機取付面235を備える。この例では、発電機回転子222は、発電機回転子取付フランジ228の風上(前方)端によって画成される発電機取付面235を含む。
【0093】
発電機回転子取付フランジ228は、ハブ取付フランジ227及びシャフト240に接続し得る。複数の留め具を、ハブ取付フランジ27、発電機回転子取付フランジ228及びシャフト240の一部を通して延在するように配置し得る。留め具は、ハブ取付フランジ27、発電機回転子取付フランジ228及びシャフト240の対応する貫通穴に配置し得る。適切なボルトを用いてもよい。
【0094】
他の例では、ハブ20を発電機回転子222に接続するために、第1の組の留め具を使用し得る。これらの第1の組の留め具は、ハブ20の貫通穴、及び発電機回転子取付フランジ228の止り穴に配置し得る。適切なスタッドを使用することができる。シャフトを発電機回転子取付フランジ228に接続するため第2の組の留め具(例えばスタッド)を使用してもよい。シャフトは貫通穴を含んでいてもよく、発電機取付フランジは対応する止り穴を備えていてもよい。本例の態様は、発電機回転子222及びシャフト240を接続したまま、ドライブトレインアセンブリの残りの部分からハブ20を取り外すことができることである。
【0095】
この例では、固定フレーム266は、実質的に円錐台形とすることができる。固定フレームは、その長さの一部に沿って或いは(図に示す例のように)実質的にその全長に沿って円錐台形とすることができる。固定フレーム266の風上端に、前方軸受262を支持する前方軸受座267が配置され、後方軸受264を支持する後方軸受座269を固定フレーム266の風下端近傍に配置することができる。
【0096】
固定フレーム266は、メインフレーム150の取付フランジ154に接続する取付フランジ239を備えていてもよい。
【0097】
シャフト240は、前方軸受座242を形成するフロントフランジと、発電機を取り付けることのできる半径方向外側に延在する環状部分とを備えていてもよい。シャフト240は、軽くテーパの付いた中央部244をさらに含むことができ、シャフトの直径は風下方向にわずかに減少する。中央部244は、後方軸受264を支持する後方軸受座243を終端とする。
【0098】
後方軸受264は、軸方向に発電機固定子230の風下側に配置し得る。この例では、こうして、後方軸受264は発電機固定子230の風下側に配置され、前方軸受262は発電機固定子230の風上側に配置される。エアギャップ安定性を向上させることができる。
【0099】
前述の例と同様に、前方軸受262と後方軸受264との長手方向距離は、2m以上とすることができる。
【0100】
この例では、固定フレーム266は、固定フレーム266と発電機固定子230とを接続する複数のアーム234を備えており、複数のアーム234は、固定フレーム266から半径方向外側及び軸方向前方に延在している。前述の例のように、アーム234は、発電機固定子230の固定子構造231に接続し得る。固定フレームは、例えば、6又は8その他任意の適切な数のアーム234を含むことができる。アーム234は、固定フレームと一体に形成されていてもよいし、或いは別個に製造して固定フレーム266に固定又は取外し自在に取り付けてもよい。
【0101】
前述の例のように、風力タービンは、発電機モジュール220の風下に配置されたナセル(図示せず)を備えていてもよい。
【0102】
いずれの例でも例示していないが、風力タービンは、ハブの外壁を例えばUV光、雹又は直接雨の影響から保護するように構成された保護シールド又はカバーを含むことができる。かかる保護シールド又はカバーは、ハブ又はハブ全体の少なくとも一部の周囲に配置され、シールドとハブとの間に分離して配置してもよい。
【0103】
本明細書では、本発明を好ましい実施形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲と文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と非本質的な差しかない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。当業者であれば、本願に記載した様々な実施形態の様々な態様並びにかかる各態様について公知の他の均等物を適宜組み合わせて、本願の原則に則した追加の実施形態及び技術を構成することができる。
【符号の説明】
【0104】
10 風力タービン
15 タワー
16 ナセル
18 ロータ
20 ロータハブ
22 ロータブレード
100 ドライブトレインアセンブリ
120 発電モジュール
122 発電機回転子
130 発電機固定子
140 シャフト
162 前方軸受
164 後方軸受
166 固定フレーム
【外国語明細書】