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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059095
(43)【公開日】2024-04-30
(54)【発明の名称】光リンク電力プロファイル推定
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/079 20130101AFI20240422BHJP
   H04B 10/2543 20130101ALN20240422BHJP
【FI】
H04B10/079
H04B10/2543
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023177130
(22)【出願日】2023-10-12
(31)【優先権主張番号】63/379888
(32)【優先日】2022-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/447288
(32)【優先日】2023-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】キム・インウン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシリーヴァ・オルガ アイ
(72)【発明者】
【氏名】新崎 龍
(72)【発明者】
【氏名】小田 祥一朗
(72)【発明者】
【氏名】パラチャーラ・パパラオ
(72)【発明者】
【氏名】江藤 基比古
【テーマコード(参考)】
5K102
【Fターム(参考)】
5K102AA41
5K102AD15
5K102LA06
5K102LA11
5K102LA26
5K102RD28
(57)【要約】
【課題】光リンク電力プロファイル推定のための方法等を提供する。
【解決手段】実施形態の態様に従って、動作は、光受信器と光送信器との間の光リンクを介して光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することを含んでよい。動作はまた、第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することを更に含んでもよい。第2波形プロファイルは、光リンクの1つ以上の特性に基づいてよく、かつ、光信号が光リンクを介して伝わる際の光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいてもよい。更に、動作は、第1波形プロファイルと第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することを含んでよい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光受信器と光送信器との間の光リンクを介して前記光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することと、
前記第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することであり、前記第2波形プロファイルは、前記光リンクの1つ以上の特性に基づいており、かつ、前記光信号が前記光リンクを介して伝わる際の前記光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいている、ことと、
前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、前記光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することと、
前記決定された電力プロファイル推定に基づいて、前記光リンク上での光伝送の1つ以上の側面を変更することと
を有する方法。
【請求項2】
前記第1波形プロファイルは、前記光受信器によってサンプリングされたデータに基づいて取得される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
データのシンボルごとのサンプルの数が閾数よりも少ないことに応答して、前記サンプリングされたデータに対してアップサンプリングを実行することを更に有する、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1波形プロファイルの取得は、波長分散が前記サンプリングされたデータから事前に取り除かれている前記サンプリングされたデータに、前記光リンクに対応する前記波長分散を加えることを含む、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記光リンクに対応する前記電力プロファイル推定の決定は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の、前記比較によって示された差を最小化することに基づく、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記差は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の平均二乗誤差を使用して表される、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記複素スケーリング係数は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の1つ以上のスケーリング誤差を考慮する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
1つ以上のプロセッサと、命令を記憶するよう構成される1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体とを有するコンピューティングシステムであって、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されることに応答して、当該コンピューティングシステムに、
光受信器と光送信器との間の光リンクを介して前記光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することと、
前記第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することであり、前記第2波形プロファイルは、前記光リンクの1つ以上の特性に基づいており、かつ、前記光信号が前記光リンクを介して伝わる際の前記光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいている、ことと、
前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、前記光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することと
を有する動作を実行させる、
コンピューティングシステム。
【請求項9】
前記第1波形プロファイルは、前記光受信器によってサンプリングされたデータに基づいて取得される、
請求項8に記載のコンピューティングシステム。
【請求項10】
前記動作は、データのシンボルごとのサンプルの数が閾数よりも少ないことに応答して、前記サンプリングされたデータに対してアップサンプリングを実行することを更に有する、
請求項9に記載のコンピューティングシステム。
【請求項11】
前記第1波形プロファイルの取得は、波長分散が前記サンプリングされたデータから事前に取り除かれている前記サンプリングされたデータに、前記光リンクに対応する前記波長分散を加えることを含む、
請求項9に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
前記光リンクに対応する前記電力プロファイル推定の決定は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の、前記比較によって示された差を最小化することに基づく、
請求項8に記載のコンピューティングシステム。
【請求項13】
前記差は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の平均二乗誤差を使用して表される、
請求項12に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記複素スケーリング係数は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の1つ以上のスケーリング誤差を考慮する、
請求項8に記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
命令を記憶するよう構成される1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記命令は、実行されることに応答して、システムに、
光受信器と光送信器との間の光リンクを介して前記光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することと、
前記第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することであり、前記第2波形プロファイルは、前記光リンクの1つ以上の特性に基づいており、かつ、前記光信号が前記光リンクを介して伝わる際の前記光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいている、ことと、
前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、前記光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することと
を有する動作を実行させる、
1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項16】
前記第1波形プロファイルは、前記光受信器によってサンプリングされたデータに基づいて取得される、
請求項15に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項17】
前記動作は、データのシンボルごとのサンプルの数が閾数よりも少ないことに応答して、前記サンプリングされたデータに対してアップサンプリングを実行することを更に有する、
請求項16に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項18】
前記第1波形プロファイルの取得は、波長分散が前記サンプリングされたデータから事前に取り除かれている前記サンプリングされたデータに、前記光リンクに対応する前記波長分散を加えることを含む、
請求項16に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項19】
前記光リンクに対応する前記電力プロファイル推定の決定は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の、前記比較によって示された差を最小化することに基づく、
請求項15に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
前記差は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の平均二乗誤差を使用して表される、
請求項19に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願で議論される実施形態は、光リンクに対応する電力プロファイル推定に関係がある。
【背景技術】
【0002】
電気通信システム、ケーブルテレビシステム、及びデータ通信ネットワークは、遠隔地点間で情報を伝えるために光ネットワークを使用する。光ネットワークでは、情報は、光ファイバ又は他の光学媒体を通じて光信号の形で伝えられる。光ネットワークには、光ネットワーク内で様々な動作を実行するよう構成されている、増幅器、分散補償器、マルチプレクサ/デマルチプレクサフィルタ、波長選択スイッチ、カプラ、などの様々なコンポーネントが含まれ得る。
【0003】
いくつかの場合に、光信号の電力は、減衰、分散、及び非線形効果などの様々な要因により、通信リンクの長さに沿って(例えば、光ファイバの長さに沿って)変化する可能性がある。そのようなリンクに対応する電力プロファイルを正確に推定することは、システム設計、最適化、及び性能評価にとって有用であり得る。
【0004】
本願で請求される対象は、上述されているような環境でしか動作しない実施形態や、上述されているような如何なる欠点も解消する実施形態に限られない。むしろ、この背景は、本願で記載されるいくつかの実施形態が実施される可能性がある技術分野の一例について
【発明の概要】
【0005】
実施形態の態様に従って、動作は、光受信器と光送信器との間の光リンクを介して光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することを含んでよい。動作はまた、第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することを更に含んでもよい。第2波形プロファイルは、光リンクの1つ以上の特性に基づいてよく、かつ、光信号が光リンクを介して伝わる際の光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいてもよい。更に、動作は、第1波形プロファイルと第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することを含んでよい。
【0006】
実施形態の目的及び利点は、少なくとも、特許請求の範囲に特に指し示されている要素、特徴、及び組み合わせによって、実現及び達成される。前述の概要及び以下の詳細な説明は両方とも、模範的で説明的であり、請求されている発明を限定するものではないことが理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
例となる実施形態は、添付の図面を使用して、追加の特定及び詳細を用いて記載及び説明される。
【0008】
図1A】光リンクに対応する電力プロファイルを推定するよう構成される電力プロファイル推定モジュールの例示的な実施形態を表す。
図1B】光信号に対応するシンボルコンステレーションの例を表す。
図1C】光送信器と光受信器との間の光リンクの例を表す。
図2】電力プロファイル推定を決定するために使用され得るコンピューティングシステムの例のブロック図を表す。
図3】電力プロファイル推定を決定する方法の例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
光システムは、光リンク(例えば、光ファイバ)を通じて伝えられる光信号を介して互いに情報をやりとりするよう構成されるノードを含んでよい。光信号が光ファイバを伝わる際の光信号の電力分布は、減衰、分散、非線形性、及び他の欠陥を含むいくつかの要因によって影響を及ぼされる可能性がある。縦断的な電力プロファイル推定(Power Profile Estimation,PPE)は、ファイバに沿った異なる位置での電力レベルの推定を決定するために使用され得る。いくつかの実施形態で、PPEは、信号劣化を解析し、システム性能を改善するために使用されてもよい。
【0010】
PPEを決定するためのいくつかの技術には、光受信器で受信された光信号の受信波形プロファイルを、光信号のエミュレートされた波形プロファイルと比較することが含まれ得る。エミュレートされた波形プロファイルを生成又は決定することには、ファイバの物理特性及び信号自体の特性を考慮に入れながら、光信号がファイバを通って伝わる際の光信号の挙動をシミュレーションすることが含まれ得る。このシミュレーションは、減衰、分散、及び非線形性の影響を記述する数学モデルを組み込んでもよい。更に、1つ以上のPPE技術には、受信波形プロファイルとエミュレートされた波形プロファイルとの間の比較に対応する平均二乗誤差を最小化することによって電力プロファイルを推定することができる最小平均二乗誤差(Minimum Mean Square Error,MMSE)技術が含まれ得る。
【0011】
本開示の1つ以上の実施形態に従って、PPEを決定するためのMMSE技術は、エミュレートされた波形プロファイルの決定において複素スケーリング係数(complex scaling factor)を使用することを含んでもよい。複素スケーリング係数は、光送信器と光受信器との間を光信号が伝わる際に起こる可能性がある対応する受信光信号の回転(例えば、1つ以上の非線形性によって引き起こされる。)を考慮することができる複素数(例えば、それに虚数成分が含まれてもよい。)を含んでよい。追加的に、又は代替的に、複素スケーリング係数は、エミュレートされた波形プロファイルの生成において起こる可能性がある潜在的なスケーリング誤差を考慮するのに役立ち得る。
【0012】
複素スケーリング係数のそのような使用は、PPEを他のPPE技術よりも正確にすることができる。例えば、光信号の回転は、PPEの実行前に、受信した光信号に対して実行され得る搬送波位相推定中に取り除かれ得る。従って、光リンクのPPEは、回転が考慮されていないPPE技術における光リンクの(例えば、回転を引き起こす)いくつかの非線形特性を反映しなくなる。いくつかの他のPPE技術は、除去される回転を推定することを含み得るが、そのような推定は、本開示で議論されているような、回転を考慮するための複素スケーリング係数の使用よりも正確でないPPE決定をもたらす可能性がある。
【0013】
本開示の実施形態は、添付の図面を参照して説明される。
【0014】
図1Aは、本開示の少なくともいくつかの実施形態に従って配置される、データ信号102及び光リンクに関連した1つ以上のリンク特性104に基づいて光リンクに対応するPPE106を決定するよう構成される縦断的電力プロファイル推定(PPE)モジュール100(「PPEモジュール100」)の例となる実施形態を表す。PPEモジュール100は、如何なる適切な光デバイスにも含まれてよい。例えば、PPEモジュール100は、光リンクを介して光信号を受信するよう構成される如何なる適切な光受信器にも含まれてよい。いくつかの実施形態で、光受信器は、如何なる適切なコヒーレント光受信器であってもよい。
【0015】
データ信号102は、光受信器で受信され得る光信号に対応するデータ信号であってよい。例えば、いくつかの実施形態で、データ信号102は、光信号の光-電気変換に基づいて生成された電気信号を含んでもよい。
【0016】
追加的に、又は代替的に、データ信号は、光信号に対応する複数の信号を含んでもよい。例えば、光信号は、任意の適切な偏波多重又は二面偏波変調方式などの如何なる適切な変調方式によっても生成されてよい。例えば、光信号は、二面偏波直交位相シフトキーイング(dual-polarization quadrature phase-shift keying,DP-QPSK)変調方式、DP-8PSK変調方式、DP-16PSK変調方式、又は任意の適用可能な二面偏波直交振幅変調(dual-polarization quadrature amplitude modulation,DP-QAM)方式(例えば、DP-QAM、DP-8QAM、DP-16QAMなど)を含み得る二面偏波(dual-polarization,DP)変調方式を用いて生成されてもよい。
【0017】
これら及び他の実施形態で、データ信号102は、光信号に対応する1つ以上のシンボルを含み得る。追加的に、又は代替的に、各シンボルは、1以上のビットの情報を表すよう、搬送波信号の振幅及び位相の異なる組み合わせとして符号化されてもよい。
【0018】
例えば、DP-QPSK変調が光信号を生成するために使用される場合に、データ信号102は、第1データを表し、光信号の同相水平偏波成分(HI)に対応する第1シンボルと、第2データを表し、光信号の直交位相水平偏波成分(HQ)に対応する第2シンボルと、第3データを表し、光信号の同相垂直偏波成分(VI)に対応する第3シンボルと、第4データを表し、光信号の直交位相垂直偏波成分(VQ)に対応する第4シンボルとを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態で、データ信号102は、1つ以上の信号処理動作を実行されていてもよい。例えば、データ信号102は、波長分散(chromatic dispersion)補償を実行されていてもよい。波長分散補償は、対応する光信号が光リンクを通って伝わる際に光リンクによって引き起こされた波長分散によって発生している可能性がある対応する光信号内のノイズを除去することができる。
【0020】
追加的に、又は代替的に、データ信号102は、搬送波位相回復を実行されていてもよい。搬送波位相回復は、対応する光信号が光リンクを通って伝わる際の対応する光信号の回転を考慮してよい。例えば、実施形態において、データ信号102は、データ信号102のシンボルのコンステレーション(constellation)を用いて表され得る。更に、図1Bは、搬送波位相回復が実行される前のデータ信号102に対応する例示的なコンステレーション150aを表す。図1Bに表されているように、コンステレーション150aは、角度“θ”だけ回転され得る。更に、図1Bは、回転が搬送波位相回復により除去された例示的なコンステレーション150bを表す。
【0021】
図1Aを参照すると、リンク特性104は、受信した光信号が伝わり得る光信号に関する特性を含んでよい。例えば、リンク特性104は、受信した光信号を通信した光送信器と光受信器との間の距離を含んでもよい。追加的に、又は代替的に、光リンクは、光ファイバ及び/又は、光増幅器などの1つ以上の他の光学コンポーネントを含んでもよい。これら及び他の実施形態で、リンク特性104は、光リンクを通って伝わる信号の電力プロファイルに作用する可能性がある光リンクに関する情報を含んでもよい。そのような情報には、(例えば、リンクに含まれる光ファイバの)対応する光学コンポーネントの材料、光学コンポーネントのドーピング、リンクの長さ、対応する光ファイバのサイズ、などのような光リンクの物理特性が含まれ得る。追加的に、又は代替的に、リンク特性104は、光リンクによって引き起こされる可能性がある波長分散などに関する情報を含んでもよい。
【0022】
いくつかの実施形態で、リンク特性104は、光リンクの複数のセクションに夫々対応する情報を含んでもよい。例えば、図1Cは、光送信器122と光受信器124との間の例示的な光リンク120を表す。光リンク120は、長さ“L”を有する非線形な光ファイバであってよい。更に、光リンク120は、“z”で始まって“z”で終わる、長さが“z”である“N+1”個の等分のセグメントに分けられてもよい。例として、リンク特性104は、光リンク120の各インクリメントに関する各々の情報を含んでもよい。
【0023】
いくつかの実施形態で、PPEモジュール100は、1つ以上のプロセッサ、中央演算処理装置(CPU)、グラフィクス処理ユニット(GPU)、データ処理ユニット(DPU)、並列処理ユニット(PPU)、マイクロプロセッサ(例えば、1つ以上の動作を実行するためのもの又はそのような実行を制御するためのもの)、プログラマブル・ビジョン・アクセラレータ(programmable vision accelerators,PVA)(1つ以上の直接メモリアクセス(direct memory access,DMA)システム及び/又は1つ以上のベクトル若しくはビジョン処理ユニット(vector/vision processing units,VPU))、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(field-programmable gate arrays,FPGA)、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuits,ASIC)、アクセラレータ(例えば、ディープ・ラーニング・アクセラレータ(deep learning accelerators,DLA))、及び/又は他のタイプのプロセッサタイプを含むハードウェアを用いて実装されてよい。いくつかの他の場合には、これらのモジュールの1つ以上は、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを用いて実施されてもよい。本開示で、PPEモジュール100によって実行されるものとして記載される動作には、PPEモジュール100が1つ以上の対応するコンピューティングシステムに実行することを指示し得る動作が含まれ得る。これらの又は他の実施形態で、PPEモジュール100は、図2に関して更に詳細に記載されるもののような1つ以上のコンピューティングシステムによって実装されてもよい。追加的に、又は代替的に、PPEモジュール100が配置され得る1つ以上のコンピューティングシステムは、光受信器に含まれるデジタル信号処理システムを含んでもよい。
【0024】
いくつかの実施形態で、PPEモジュール100は、データ信号102に関連した光信号に対応する第1波形プロファイルを取得するよう構成されてよい。いくつかの実施形態で、PPEモジュール100は、第1波形プロファイルが光受信器で受信された光信号の光波形を表すように、受信した信号の波形を再構成して第1波形プロファイルを生成するよう構成されてよい。第1波形プロファイルは、第1波形プロファイルが受信した光信号に基づいていることに基づいて、PPEで使用される基準波形プロファイルとも呼ばれ得る。
【0025】
例えば、いくつかの実施形態で、データ信号102のアップサンプリングは、受信した光信号をより良く表すよう実行されてもよい。例えば、データ信号102は、光受信器によって光信号からサンプリングされたデータを含んでもよい。これら及び他の実施形態で、サンプリングレートは、光信号に含まれる各々のシンボルごとに特定の数のサンプルが取得され得るようなものであってよい。データ信号102がシンボルごとのサンプルの閾数未満(2つ未満のサンプル)に対応する場合に、アップサンプリングは、シンボルごとにより多いサンプルを、それに応じて光信号のより良い表現を、有するように実行されてよい。アップサンプリングは、如何なる適切な技術によっても実行されてよい。例えば、いくつかの実施形態で、アップサンプリングは、パルス成形及び/又はゼロパディングに基づいてもよい。
【0026】
追加的に、又は代替的に、上述されたように、データ信号102は、波長分散を取り除かれていてもよい。いくつかの実施形態で、第1波形プロファイルの生成は、それに応じて、波長分散の影響を再導入するようデータ信号102に対して逆波長分散補償を実行することを含んでもよく、それにより、データ信号102は、この場合に、受信された光信号をより良く表す。
【0027】
光信号をより良く表すためのいくつかの動作は、実行するのが困難であったり、又は実行できなかったりする場合がある点に留意されたい。例えば、搬送波位相回復中に実行され得る回転補償の実際の量を決定することは難しい場合がある。従って、第1波形プロファイルの生成において回転補償を無効にすることは難しい場合がある。本開示で、そのような回転補償は、第1波形プロファイルの生成で実行されない。しかし、以下で詳細に説明されるように、PPE106の決定の他の部分で複素スケーラを用いて、回転は考慮される。
【0028】
いくつかの実施形態で、第1波形プロファイルは、数式表現を用いて表されてもよい。例えば、図1Cの例を参照すると、“A(L,t)”は、送信器122から受信器124への光リンク120の長さ“L”にわたる伝播後の時点“t”の受信器124での光信号を表す第1波形プロファイルの表現であることができる。本開示で、用語“A(L,t)”の使用は、非線形回転を取り除かれている光信号も表すことができる。
【0029】
これら及び他の実施形態で、PPEモジュール100は、第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得するよう構成されてよい。特に、第2波形プロファイルは、リンク特性104及びデータ信号102に基づいて生成されるエミュレートされた波形であってよい。例えば、データ信号102に含まれるデータに基づいて、PPEモジュール100は、任意の適切な技術を用いて、送信器で送信された光信号の光波形の再構成を実行するよう構成されてよい。例えば、送信された波形は、光送信器の既知の特性(例えば、パルス成形、変調フォーマット、電気ドライバ及び光変調器の周波数応答)に基づいて再構成され得る。
【0030】
これら及び他の実施形態で、PPEモジュール100は、リンク特性104を使用して、光信号が光送信器から光受信器へ伝わる際の光信号及び対応する波形に対する光リンクの影響を決定するよう構成されてよい。いくつかの実施形態で、再構成された送信信号に対する光信号の影響を適用することで得られる波形は、第2波形プロファイルとして使用され得るエミュレートされた波形になる。
【0031】
これら及び他の実施形態で、第1波形プロファイル及び第2波形プロファイルの電力は、第1波形プロファイルの及び第2波形プロファイルの生成の部分として互いに対して正規化されてもよい。正規化は、如何なる適切な技術によっても実行されてよい。追加的に、又は代替的に、いくつかの場合に、第2波形プロファイルの基礎となる、送信信号を再構成するために使用される光送信器の特性は、正確には特徴付けられないことがある。従って、いくつかの実施形態で、第1波形プロファイルと第2波形プロファイルとの間には正規化誤差(例えば、スケーリング誤差)が存在する可能性がある。
【0032】
これら及び他の実施形態で、数式表現は、光信号が光リンクを通って伝わる際の光信号に対する影響を表すために使用されてよい。追加的に、又は代替的に、数式表現は、光リンクの各個別のセグメント内で引き起こされる影響を表すために使用されてもよい。これら及び他の実施形態で、数式表現は、送信された光信号の数式的表現に適用されてもよい。数式表現の組み合わせが、第2波形プロファイルを表す数式を生成するために使用されてもよい。
【0033】
例えば、再び図1Cの例を参照すると、いくつかの実施形態で、第2波形プロファイルは、次のように、スプリットステップフーリエ方法に基づく式(1)によって表され得る:
【数1】
【0034】
式(1)で、光送信器122で送信されるような、再構成された光信号は、時間“t”で取得されたサンプルに関してセグメント“z”での光信号を表すことができる式“A(0,t)”によって表される。更に、式“E(L,t)”は、送信器122から受信器124へ光リンク120の長さ“L”にわたって伝わった後の受信器124での光信号のエミュレートされたバージョンを表す。従って、“E(L,t)”は、“A(L,t)”の近似であることができる(例えば、A(L,t)≒E(L,t))。
【0035】
更に、距離“z”にわたる伝播の波長分散は、線形演算子
【数2】
を用いて式(1)で表される。更に、
【数3】
は、zからzk+1の間の各々のセグメントの光の伝播を記述する非線形演算子であり、
【数4】
は、光リンクを通る光信号の回転のエミュレーションも表し得る。
【0036】
更に、
【数5】
は、次の式(2)を表してもよい:
【数6】
【0037】
式(2)に関して、“j”は虚数であり、“Δz=zk+1-z”であり、
【数7】
であり、“α(z)”は、“γ’”が非線形係数“(γnl)”及び“z”での光パワーに比例するような光リンク120での減衰である。
【0038】
更に、
【数8】
であるように小さい“Δz”を使用するとき、式(2)は、次のような式(3)を用いて近似され得る:
【数9】
【0039】
式(3)の置換に基づいて、式(1)は、次のような式(4)を用いて書き換えられてもよい:
【数10】
【0040】
更に、式(4)は、次のような式(5)を取得するよう、高次項(例えば、Δz 、Δz 、・・・)を無視することによって変更されてもよい:
【数11】
【0041】
更に、いくつかの場合に、式(5)は、次のような式(6)に書き換えられてもよい:
【数12】
【0042】
“t”の表記は、式(6)では“m”に変更されており、“m=0,・・・,M”であり、これは、離散時間シーケンスにわたって取得される時間“t”でのサンプルの数を表すために使用される。更に、“E(L,m)”は、受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを表し得る“A(L,m)”の近似であることができる。
【0043】
しかし、上述されたように、“A(L,m)”は、非線形な回転を取り除かれていてもよく、一方、“E(L,m)”は、式(6)中の
【数13】
の包含により非線形な回転をエミュレートし得る。更に、上述されたように、“A(L,m)”と“E(L,m)”との間にはスケーリング誤差が存在する可能性がある。従って、“E(L,m)”は、“ρ”のスケーリング誤差及び“θ”の未知の非線形回転だけ“A(L,m)”と異なる可能性がある。これら及び他の実施形態で、“ρejθ”の未知の複素スケーリング係数は、それに応じて、以下次のように式(7)を取得するよう、式(6)に加えられてもよい:
【数14】
【0044】
従って、式(7)は、いくつかの実施形態で、第2波形プロファイルとして使用されてよい。PPEモジュール100は、“A(L,m)”によって表される第1波形プロファイルと、“E(L,m)”によって表される第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、光リンク120のPPE106を決定するよう構成されてよい。
【0045】
例えば、式(7)及び“E(L,m)”による“A(L,m)”のエミュレーションに基づいて、以下の式(8)が取得され得る:
【数15】
【0046】
更に、式(8)は、次のような式(9)に書き換えられてもよい:
【数16】
【0047】
更に、式(9)は、以下次のように式(10)を使用することによって簡単化されてもよく、式(10)は、以下次のように式(11)を取得するよう式(9)と組み合わせる:
【数17】
【0048】
いくつかの実施形態で、第1波形プロファイルと第2波形プロファイルとの間の比較は、第1波形プロファイル(例えば、式(11)の左側で“A(L,m)”によって表される。)と第2波形プロファイル(例えば、式(11)の右側で表される。)との間の差を最小化し得るγ’の値を決定することを含んでもよい。これら及び他の実施形態で、差は、両側の間の平均二乗誤差を含んでもよい。
【0049】
例えば、式(11)の両側の間の平均二乗誤差のコスト関数“I”は、式(12)で次のように定義され得る:
【数18】
【0050】
式(12)で、“E”は誤差を表し、
【数19】
であり、それにより、γ”=ρejθである。
【0051】
任意の適切な技術を用いて、Iを最小化するγ”の値ベクトルが求められ得る。例えば、“I”を最小化したγ”の値は、
【数20】
と表されてよく、式(13)で次のように表され得る:
【数21】
【0052】
更に、上述されたように、γ”(“γ””)の値ベクトルの最後の要素は、複素スケーリング係数“ρejθ”であってよく、それにより、複素スケーリング係数は求められ得る。更に、式(2)に関して上述されたように、γ”は、光パワー(optical power)に比例し得る。従って、いくつかの実施形態で、PPE106は、γ”に基づいて決定され得る。例えば、いくつかの実施形態で、光リンク120のPPE106は、次のような式(14)を用いて表されてもよい:
【数22】
【0053】
従って、PPEモジュール100によるPPE106の決定は、非線形な回転のより良い解決を可能にする方法で、光信号の非線形な回転を考慮し得る。追加的に、又は代替的に、本開示で開示されるPPEの決定は、第1波形プロファイルと第2波形プロファイルとの間で起こる可能性があるスケーリング誤差もより良く考慮し得る。そのような技術は、非線形な回転及び/又はスケーリング誤差を無視するか、或いは、非線形な回転及び/又はスケーリング誤差を推定しようと試みるかのどちらかである他の技術よりも良いPPEを提供することができる。
【0054】
更に、改善されたPPE106の決定は、光ネットワーク全般を改善するの役立ち得る。例えば、光リンクの1つ以上のコンポーネントは、PPE106に基づいて調整され得る。更に、送信された光信号の1つ以上の特性は、PPE106によって示され得る、光信号が受ける可能性がある有害な影響を打ち消すのを助けるために、PPE106に基づいて調整され得る。
【0055】
例えば、PPEは、光リンクでの異常損失検出を実行するために使用されてもよい。異常損失の検出は、交換を必要とする可能性がある光リンクの部分の識別を可能にし得る。追加的に、又は代替的に、異常損失は、如何なる他の適切な技術によっても、軽減されてもよい。例えば、ハイブリッドエルビウムドープファイバ増幅器(Erbium-Doped Fiber Amplifier,EDFA)及びラマン増幅を備えた光リンクでは、伝送性能を再最適化するために、異常損失及び位置(例えば、PPEに基づいて示される。)に応じて発射パワー又はポンプパワーが調整され得る。従って、堅牢で正確なPPEは、分散された光ネットワークの運用及びトラブルシューティングを簡素化するのに役立ち得る。
【0056】
更に、PPE決定は、高度なコヒーレント受信器における非線形な干渉ノイズの補償に使用されてもよい。例えば、より良い補償のために、伝送リンクに沿った正確な電力プロファイルは非常に役に立ち、それにより、本開示に従って決定されたPPEはそのような補償にも役立ち得る。
【0057】
本開示の範囲から外れずに、図1A図1B、及び図1Cに対して変更、追加、又は削除が行われてもよい。例えば、記載されている具体的な特性及び/又は動作は変化してもよい。
【0058】
図2は、本開示の少なくとも1つの実施形態に従って、光リンクに対応するPPEを決定するために使用され得る例示的なコンピューティングシステム202のブロック図を表す。コンピューティングシステム202は、いくつかの実施形態で、図1AのPPEモジュール100に関連した1つ以上の動作を実施又は指示するよう構成されてよい。追加的に、又は代替的に、コンピューティングシステム202は、図1Cの光受信器124などの光受信器に実装されてもよい。
【0059】
コンピューティングシステム202は、プロセッサ250、メモリ252、及びデータストレージ254を含み得る。プロセッサ250、メモリ252、及びデータストレージ254は、通信可能に結合され得る。
【0060】
一般に、プロセッサ250は、様々なコンピュータハードウェア又はソフトウェアモジュールを含む如何なる適切な専用又は汎用のコンピュータ、コンピューティングエンティティ、又は処理デバイスも含んでよく、如何なる適用可能なコンピュータ可読記憶媒体にも記憶されている命令を実行するよう構成されてよい。例えば、プロセッサ250は、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、或いは、プログラム命令を解釈及び/又は実行するよう及び/又はデータを処理するよう構成された任意の他のデジタル又はアナログ回路を含んでよい。図2には単一のプロセッサとして表されているが、プロセッサ250は、本開示で記載されている動作をいくつでも個別的に又は集合的に実行するよう又はその実行を指示するよう構成されている任意の数のプロセッサを含んでもよい。更に、1つ以上のプロセッサが、異なるサーバなどの1つ以上の異なる電子デバイスに存在してもよい。
【0061】
いくつかの実施形態で、プロセッサ250は、メモリ252、データストレージ254、又はメモリ252とデータストレージ254に記憶されているプログラム命令を解釈及び/又は実行し、及び/又は記憶されているデータを処理するよう構成されてよい。いくつかの実施形態で、プロセッサ250は、データストレージ254からプログラム命令をフェッチし、プログラム命令をメモリ252にロードしてよい。プログラム命令がメモリ252にロードされた後、プロセッサ250はプログラム命令を実行してよい。
【0062】
例えば、いくつかの実施形態で、PPEモジュール(例えば、図1AのPPEモジュール100)が、プログラム命令としてデータストレージ254に含まれてもよい。プロセッサ250は、データストレージ254からPPEモジュールのプログラム命令をフェッチしてよく、そして、PPEモジュールのプログラム命令をメモリ252にロードしてよい。PPEモジュールのプログラム命令がメモリ252にロードされた後、プロセッサ250は、コンピューティングシステム202が、命令によって指示されるPPEモジュールに関連した動作を実施し得るように(例えば、動作を実行するか、及び/又は動作の実行を引き起こし得るように)、プログラム命令を実行してよい。
【0063】
メモリ252及びデータストレージ254は、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造を記憶しているか又は搬送するコンピュータ可読記憶媒体を含んでもよい。そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、プロセッサ250などの汎用又は専用のコンピュータによってアクセスされ得る如何なる利用可能な媒体も含んでもよい。例として、限定としてではなく、そのようなコンピュータ可読記憶媒体には、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気的消去可能なプログラム可能読み出し専用メモリ(EEPROM)、コンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)若しくは他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージ若しくは他の磁気記憶デバイス、フラッシュメモリデバイス(例えば、ソリッドステートメモリデバイス)、或いは、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造の形で特定のプログラムコードを記憶するために使用されてよく、かつ、汎用又は専用のコンピュータによってアクセスされ得る任意の他の記憶媒体を含む有形な又は非一時的なコンピュータ可読記憶媒体が含まれ得る。上記のものの組み合わせもコンピュータ可読記憶媒体の範囲内に含まれてよい。コンピュータ実行可能命令は、例えば、プロセッサ250に特定の動作又は動作のグループを実行させるよう構成された命令及びデータを含んでもよい。
【0064】
本開示の範囲から外れずに、コンピューティングシステム202に対して変更、追加、又は削除が行われてもよい。例えば、いくつかの実施形態で、コンピューティングシステム202は、明示的に図示又は記載されていないことがある他のコンポーネントをいくつでも含んでよい。
【0065】
図3は、本開示で記載される少なくとも1つの実施形態に従って、光リンクに対応するPPEを決定する例示的な方法300のフローチャートである。方法300は、任意の適切なシステム、装置、又はデバイスによって実行されてよい。例として、図1AのPPEモジュール100、又は図2のコンピューティングシステム202(例えば、いくつかの実施形態ではPPEモジュール100によって指示される。)が、方法300に関連した動作の1つ以上を実行してもよい。別個のブロックで表されているとしても、方法300のブロックの1つ以上に関連した動作又はステップは、具体的な実施に応じて、追加のブロックに分けられても、より少ないブロックへとまとめられても、又は省略されてもよい。
【0066】
ブロック302で、光受信器と光送信器との間の光リンクを介して光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルが、取得されてよい。いくつかの実施形態で、図1A~1Cに関して記載された第1波形プロファイルは、ブロック302で取得される第1波形プロファイルの例であってよい。更に、第1波形プロファイルの取得は、図1A~1Cに関して記載された1つ以上の動作を含んでもよい。
【0067】
ブロック304で、第2波形プロファイルが取得されてよい。第2波形プロファイルは、第1波形プロファイルの推定であってよい。第2波形プロファイルは、図1A~1Cに関して上述されたような、光リンクの1つ以上の特性に基づいてよい。追加的に、又は代替的に、第2波形プロファイルは、図1A~1Cに関してやはり上述されたような、光信号が光リンクを介して伝わる際の光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいてもよい。これら及び他の実施形態で、複素スケーリング係数は、第1波形プロファイルと第2波形プロファイルとの間の1つ以上のスケーリング誤差を考慮してもよい。
【0068】
ブロック306で、いくつかの実施形態で、光リンクに対応する電力プロファイル推定(PPE)が決定されてよい。いくつかの実施形態で、PPEは、第1波形プロファイルと第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて決定されてよい。これら及び他の実施形態で、PPEは、図1A~1Cに関して上述されたように決定されてよい。
【0069】
ブロック308で、光リンク上での光伝送の1つ以上の側面が、決定されたPPEに基づいて変更されてもよい。例えば、光リンクにわたって伝送される光信号の1つ以上の特性が調整されてもよい。追加的に、又は代替的に、光リンクに含まれる1つ以上のコンポーネントが、決定されたPPEに基づいて変更、置換、アップグレード等されてもよい。
【0070】
当業者には明らかなように、本願で開示されているこの及び他のプロセス、動作、及び方法について、実行される機能及び/又は動作は別の順序で実施されてもよい。更に、説明されている機能及び動作は、例としてのみ与えられており、機能及び動作の一部は、開示されている実施形態の本質から外れずに、任意であっても、より少ない機能及び動作へとまとめられても、又は追加の機能及び動作に拡張されてもよい。いくつかの実施形態で、方法300は、追加のブロック又はより少ないブロックを含んでもよい。
【0071】
上述されたように、本開示で記載されている実施形態は、以下で更に詳細に議論されるように、様々なコンピュータハードウェア又はソフトウェアモジュールを含む専用又は汎用のコンピュータ(例えば、図2のプロセッサ250)の使用を含んでもよい。更に、上述されたように、本開示で記載されている実施形態は、コンピュータ実行可能命令又はデータ構造を記憶している又は搬送するコンピュータ可読媒体(例えば、図2のメモリ252又はデータストレージ254)を用いて実装されてもよい。
【0072】
本開示で、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の本文)で使用される用語は、一般的に、“非限定的な(open)”用語として意図されている(例えば、語「含んでいる(including)」は、“~を含んでいるが、~に限定されない”との意に解釈されるべきであり、語「有している(having)」は、「少なくとも~を有している」との意に解釈されるべきであり、語「含む(includes)」は、「~を含むが、~に限られない」との意に解釈されるべきである、など。)。
【0073】
更に、導入されたクレーム記載(introduced claim recitation)において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該クレーム中に明確に記載され、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しない。例えば、理解を促すために、後続の添付された特許請求の範囲では、「少なくとも1つの(at least one)」及び「1つ以上の(one or more)」といった導入句を使用し、クレーム記載を導入することがある。しかし、このような句を使用するからといって、「a」又は「an」といった不定冠詞によりクレーム記載を導入した場合に、たとえ同一のクレーム内に、「1つ以上の」又は「少なくとも1つの」といった導入句と「a」又は「an」といった不定冠詞との両方が含まれるとしても、当該導入されたクレーム記載を含む特定のクレームが、当該記載事項を1しか含まない例に限定されるということが示唆されると解釈されるべきではない(例えば、「a」及び/又は「an」は、「少なくとも1つの」又は「1つ以上の」を意味すると解釈されるべきである。)。定冠詞を使用してクレーム記載を導入する場合にも同様のことが当てはまる。
【0074】
更には、導入されたクレーム記載において特定の数が明示されている場合であっても、そのような記載は、通常、少なくとも記載された数を意味するように解釈されるべきであることは、当業者には理解されるであろう(例えば、他に修飾語のない、単なる「2つの記載事項」という記載がある場合、この記載は、少なくとも2つの記載事項、又は2つ以上の記載事項を意味する。)。更に、「A、B及びCなどのうち少なくとも1つ」又は「A、B及びCなどのうちの1つ以上」に類する表記が使用される場合、一般的に、そのような構造は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBの両方、AとCの両方、BとCの両方、及び/又はAとBとCの全て、などを含むよう意図される。更に、語「及び/又は」の使用は同じように解釈されるよう意図される。
【0075】
更に、2つ以上の選択可能な用語を表す如何なる離接語及び/又は離接句も、明細書、特許請求の範囲、又は図面のいずれであろうと、それら用語のうちの1つ、それらの用語のうちのいずれか、あるいは、それらの用語の両方を含む可能性を意図すると理解されるべきである。例えば、「A又はB」という句は、たとえ語「及び/又は」が別な場所で使用されるとしても、「A又はB」、あるいは、「A及びB」の可能性を含むことが理解されるべきである。
【0076】
本開示で挙げられている全ての例及び条件付き言語は、当該技術の促進に本発明者によって寄与される概念及び本発明を読者が理解するのを助ける教育上の目的を意図され、そのような具体的に挙げられている例及び条件に制限されないと解釈されるべきである。本開示の実施形態が詳細に記載されてきたが、様々な変更、置換、及び代替が、本開示の主旨及び適用範囲から逸脱することなしに行われてよい。
【0077】
上記の実施形態に加えて、以下の付記を開示する。
(付記1)
光受信器と光送信器との間の光リンクを介して前記光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することと、
前記第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することであり、前記第2波形プロファイルは、前記光リンクの1つ以上の特性に基づいており、かつ、前記光信号が前記光リンクを介して伝わる際の前記光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいている、ことと、
前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、前記光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することと、
前記決定された電力プロファイル推定に基づいて、前記光リンク上での光伝送の1つ以上の側面を変更することと
を有する方法。
(付記2)
前記第1波形プロファイルは、前記光受信器によってサンプリングされたデータに基づいて取得される、
付記1に記載の方法。
(付記3)
データのシンボルごとのサンプルの数が閾数よりも少ないことに応答して、前記サンプリングされたデータに対してアップサンプリングを実行することを更に有する、
付記2に記載の方法。
(付記4)
前記第1波形プロファイルの取得は、波長分散が前記サンプリングされたデータから事前に取り除かれている前記サンプリングされたデータに、前記光リンクに対応する前記波長分散を加えることを含む、
付記2に記載の方法。
(付記5)
前記光リンクに対応する前記電力プロファイル推定の決定は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の、前記比較によって示された差を最小化することに基づく、
付記1に記載の方法。
(付記6)
前記差は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の平均二乗誤差を使用して表される、
付記5に記載の方法。
(付記7)
前記複素スケーリング係数は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の1つ以上のスケーリング誤差を考慮する、
付記1に記載の方法。
(付記8)
1つ以上のプロセッサと、命令を記憶するよう構成される1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体とを有するコンピューティングシステムであって、
前記命令は、前記1つ以上のプロセッサによって実行されることに応答して、当該コンピューティングシステムに、
光受信器と光送信器との間の光リンクを介して前記光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することと、
前記第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することであり、前記第2波形プロファイルは、前記光リンクの1つ以上の特性に基づいており、かつ、前記光信号が前記光リンクを介して伝わる際の前記光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいている、ことと、
前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、前記光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することと
を有する動作を実行させる、
コンピューティングシステム。
(付記9)
前記第1波形プロファイルは、前記光受信器によってサンプリングされたデータに基づいて取得される、
付記8に記載のコンピューティングシステム。
(付記10)
前記動作は、データのシンボルごとのサンプルの数が閾数よりも少ないことに応答して、前記サンプリングされたデータに対してアップサンプリングを実行することを更に有する、
付記9に記載のコンピューティングシステム。
(付記11)
前記第1波形プロファイルの取得は、波長分散が前記サンプリングされたデータから事前に取り除かれている前記サンプリングされたデータに、前記光リンクに対応する前記波長分散を加えることを含む、
付記9に記載のコンピューティングシステム。
(付記12)
前記光リンクに対応する前記電力プロファイル推定の決定は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の、前記比較によって示された差を最小化することに基づく、
付記8に記載のコンピューティングシステム。
(付記13)
前記差は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の平均二乗誤差を使用して表される、
付記12に記載のコンピューティングシステム。
(付記14)
前記複素スケーリング係数は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の1つ以上のスケーリング誤差を考慮する、
付記8に記載のコンピューティングシステム。
(付記15)
命令を記憶するよう構成される1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記命令は、実行されることに応答して、システムに、
光受信器と光送信器との間の光リンクを介して前記光受信器で受信された光信号に対応する第1波形プロファイルを取得することと、
前記第1波形プロファイルの推定である第2波形プロファイルを取得することであり、前記第2波形プロファイルは、前記光リンクの1つ以上の特性に基づいており、かつ、前記光信号が前記光リンクを介して伝わる際の前記光信号の回転を考慮した複素スケーリング係数に基づいている、ことと、
前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の比較に基づいて、前記光リンクに対応する電力プロファイル推定を決定することと
を有する動作を実行させる、
1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記16)
前記第1波形プロファイルは、前記光受信器によってサンプリングされたデータに基づいて取得される、
付記15に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記17)
前記動作は、データのシンボルごとのサンプルの数が閾数よりも少ないことに応答して、前記サンプリングされたデータに対してアップサンプリングを実行することを更に有する、
付記16に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記18)
前記第1波形プロファイルの取得は、波長分散が前記サンプリングされたデータから事前に取り除かれている前記サンプリングされたデータに、前記光リンクに対応する前記波長分散を加えることを含む、
付記16に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記19)
前記光リンクに対応する前記電力プロファイル推定の決定は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の、前記比較によって示された差を最小化することに基づく、
付記15に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
(付記20)
前記差は、前記第1波形プロファイルと前記第2波形プロファイルとの間の平均二乗誤差を使用して表される、
付記19に記載の1つ以上の非一時的なコンピュータ可読記憶媒体。
【0078】
[関連出願の相互参照]
本特許出願は、2022年10月17日に出願された米国特許仮出願第63/379888号の利益及びその優先権を主張するものである。なお、先の米国特許出願は、その全文を参照により本願に援用される。
【符号の説明】
【0079】
100 PPEモジュール
102 データ信号
104 リンク特性
106 PPE
120 光リンク
122 光送信器
124 光受信器
150a コンステレーション
150b コンステレーション(回転除去後)
202 コンピューティングシステム
250 プロセッサ
252 メモリ
254 データストレージ
図1A
図1B
図1C
図2
図3