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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005912
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】鞍乗型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 11/16 20200101AFI20240110BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20240110BHJP
   B60T 17/04 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B62J11/16
B62J23/00 A
B60T17/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106374
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】内山 大輔
(72)【発明者】
【氏名】春田 勝哉
【テーマコード(参考)】
3D049
【Fターム(参考)】
3D049AA01
3D049BB29
3D049CC02
3D049HH39
3D049HH41
3D049HH43
3D049KK16
3D049LL04
3D049MM07
3D049NN01
(57)【要約】
【課題】鞍乗型車両において、ブレーキホースの第1ホースと第2ホースとを防水性を有するように互いに接続すると共に、ブレーキホースの接続部分の破損を抑える。
【解決手段】鞍乗型車両は、前輪と、フロントフォークと、カバーと、ブレーキと、ブレーキホースと、プロテクタとを備える。フロントフォークは、前輪を回転可能に支持する。カバーは、フロントフォークの前方に配置される。ブレーキは、前輪に取り付けられる。ブレーキホースは、ブレーキに接続され、カバーの後方を通って延びる。プロテクタは、ブレーキホースに取り付けられる。ブレーキホースは、第1ホースと、第2ホースと、収縮チューブとを含む。第2ホースは、第1ホースと別体である。収縮チューブは、カバーの後方に配置され、第1ホースと第2ホースとを接続する。プロテクタは、カバーの後方に配置され、収縮チューブを覆う。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪と、
前記前輪を回転可能に支持するフロントフォークと、
前記フロントフォークの前方に配置されるカバーと、
前記前輪に取り付けられるブレーキと、
前記ブレーキに接続され、前記カバーの後方を通って延びるブレーキホースと、
前記ブレーキホースに取り付けられるプロテクタと、
を備え、
前記ブレーキホースは、
第1ホースと、
前記第1ホースと別体の第2ホースと、
前記カバーの後方に配置され、前記第1ホースと前記第2ホースとを接続する収縮チューブと、
を含み、
前記プロテクタは、前記カバーの後方に配置され、前記収縮チューブを覆う、
鞍乗型車両。
【請求項2】
前記プロテクタは、
前記収縮チューブを一側方から覆う第1分割体と、
前記収縮チューブを他側方から覆い、前記第1分割体に取り付けられる第2分割体と、
を含む、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項3】
前記第1分割体と前記第2分割体とを互いに固定する結束バンドをさらに備える、
請求項2に記載の鞍乗型車両。
【請求項4】
前記プロテクタは、前記第1分割体と前記第2分割体との表面上において周方向に延びる凹溝を含み、
前記結束バンドは、前記凹溝に配置される、
請求項3に記載の鞍乗型車両。
【請求項5】
前記プロテクタは、
前記収縮チューブが配置される孔と、
前記孔の内面に配置され、前記収縮チューブに係止する突起と、
を含む、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項6】
前記第2ホースは、前記第1ホースよりも硬い材料で形成される、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項7】
前記カバーは、前記第2ホースを案内するガイドを含む、
請求項6に記載の鞍乗型車両。
【請求項8】
前記フロントフォークに取り付けられるアッパブラケットをさらに備え、
前記カバーは、前記アッパブラケットに取り付けられる、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項9】
前記カバーは、ゼッケンプレートである、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【請求項10】
前記プロテクタは、先細り状の形状を有する、
請求項1に記載の鞍乗型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
鞍乗型車両には、フロントフォークの前方に配置されたカバーの後方を通るように、ブレーキホースが配置されるものがある。例えば、特許文献1の自動二輪車は、フロントフォークの前方に配置されるゼッケンプレート部を備えている。ブレーキホースは、フロントブレーキから、ゼッケンプレート部の後方を通って、上方へ延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-257459号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
鞍乗型車両では、ブレーキホースが、互いに別体の第1ホースと第2ホースとを含むものがある。例えば、第1ホースは、柔軟なホースであり、フロントフォークの伸縮に応じて、自在に変形する。第2ホースは、硬いホースであり、高い耐摩耗性を有する。このようなブレーキホースでは、第1ホースと第2ホースとは、防水性を有するように互いに接続されることが望まれる。
【0005】
また、ブレーキホースは、フロントフォークの伸縮に応じて、動く。そのため、ブレーキホースが、カバーの後方を通るように配置されている場合には、第1ホースと第2ホースとの接続部分が、カバーに擦れて破損することが懸念される。本発明の目的は、鞍乗型車両において、ブレーキホースの第1ホースと第2ホースとを防水性を有するように互いに接続すると共に、ブレーキホースの接続部分の破損を抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る鞍乗型車両は、前輪と、フロントフォークと、カバーと、ブレーキと、ブレーキホースと、プロテクタとを備える。フロントフォークは、前輪を回転可能に支持する。カバーは、フロントフォークの前方に配置される。ブレーキは、前輪に取り付けられる。ブレーキホースは、ブレーキに接続され、カバーの後方を通って延びる。プロテクタは、ブレーキホースに取り付けられる。ブレーキホースは、第1ホースと、第2ホースと、収縮チューブとを含む。第2ホースは、第1ホースと別体である。収縮チューブは、カバーの後方に配置され、第1ホースと第2ホースとを接続する。プロテクタは、カバーの後方に配置され、収縮チューブを覆う。
【0007】
本態様に係る鞍乗型車両では、収縮チューブによって、第1ホースと第2ホースとが互いに接続される。収縮チューブは、例えば、柔らかいゴム製であり、熱を加えられることで収縮する。それにより、ブレーキホースの第1ホースと第2ホースとが、防水性を有するように互いに接続される。また、収縮チューブは、プロテクタによって保護される。それにより、フロントフォークの伸縮によりブレーキホースが動いたときに、収縮チューブがカバーに擦れて破損することが抑えられる。
【0008】
プロテクタは、第1分割体と第2分割体とを含んでもよい。第1分割体は、収縮チューブを一側方から覆ってもよい。第2分割体は、収縮チューブを他側方から覆い、第1分割体に取り付けられてもよい。この場合、プロテクタが、第1分割体と第2分割体とに分割されている。それにより、収縮チューブを覆うように、プロテクタが容易にブレーキホースに取り付けられる。
【0009】
鞍乗型車両は、結束バンドをさらに備えてもよい。結束バンドは、第1分割体と第2分割体とを互いに固定してもよい。この場合、結束バンドによって、第1分割体と第2分割体とが互いに容易に固定される。
【0010】
プロテクタは、凹溝を含んでもよい。凹溝は、第1分割体と第2分割体との表面上において周方向に延びていてもよい。結束バンドは、凹溝に配置されてもよい。この場合、結束バンドの位置のズレが抑えられる。
【0011】
プロテクタは、孔と突起とを含んでもよい。収縮チューブは、孔に配置されてもよい。突起は、孔の内面に配置され、収縮チューブに係止してもよい。この場合、プロテクタの位置のズレが抑えられる。
【0012】
第2ホースは、第1ホースよりも硬い材料で形成されてもよい。この場合、第2ホースの損耗が抑えられる。また、第1ホースと第2ホースとの硬さが異なっていても、収縮チューブによって、ブレーキホースの第1ホースと第2ホースとが、防水性を有するように互いに接続される。
【0013】
カバーは、第2ホースを案内するガイドを含んでもよい。この場合、フロントフォークの伸縮にともなう第2ホースの動きが、ガイドによって抑えられる。また、ブレーキホースが動いたときに、収縮チューブのガイドへの擦れが、プロテクタによって抑えられる。
【0014】
鞍乗型車両は、フロントフォークに取り付けられるアッパブラケットをさらに備えてもよい。カバーは、アッパブラケットに取り付けられてもよい。カバーは、ゼッケンプレートであってもよい。
【0015】
プロテクタは、先細り状の形状を有してもよい。この場合、プロテクタがカバーに引っかかることが抑えられる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、鞍乗型車両において、ブレーキホースの第1ホースと第2ホースとが、防水性を有するように互いに接続されると共に、ブレーキホースの接続部分の破損が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る鞍乗型車両の側面図である。
図2】鞍乗型車両の正面図である。
図3】カバー及びその周囲の構造を示す側面図である。
図4】カバー及びその周囲の構造を示す正面図である。
図5】カバー及びその周囲の構造を示す背面図である。
図6】プロテクタ及びブレーキホースの一部を示す図である。
図7】プロテクタ及びブレーキホースの一部を示す縦断面図である。
図8】プロテクタの側面図である。
図9】第1分割体を示す図である。
図10】第2分割体を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、実施形態に係る鞍乗型車両について説明する。図1は、実施形態に係る鞍乗型車両1の側面図である。図2は、鞍乗型車両1の正面図である。鞍乗型車両1は、いわゆるオフロードタイプのモーターサイクルである。図1及び図2に示すように、鞍乗型車両1は、車体フレーム2と、ステアリング装置3と、前輪4と、シート5と、パワーユニット6と、後輪7と、スイングアーム8とを含む。なお、本実施形態において、前後左右の方向は、シート5に着座したライダーから見た前後左右の方向を意味するものとする。
【0019】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ11と、第1メインフレーム12と、第2メインフレーム13と、リアフレーム14を含む。ヘッドパイプ11は、前方且つ下方へ向かって延びている。第1メインフレーム12は、ヘッドパイプ11に接続されている。第1メインフレーム12は、ヘッドパイプ11から、パワーユニット6の後方を通って延びている。第1メインフレーム12は、後方且つ下方へ向かって延びている。
【0020】
第2メインフレーム13は、ヘッドパイプ11に接続されている。第2メインフレーム13は、ヘッドパイプ11から、パワーユニット6の前方を通って延びている。リアフレーム14は、第1メインフレーム12に接続されている。リアフレーム14は、第1メインフレーム12から後方、且つ、上方へ向かって延びている。
【0021】
ステアリング装置3は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持される。ステアリング装置3は、ライダーによって操舵可能である。ステアリング装置3は、フロントフォーク15と、アッパブラケット16と、ロアブラケット17と、ハンドル部材18とを含む。フロントフォーク15は、ヘッドパイプ11に回転可能に支持される。フロントフォーク15は、左サスペンション21と右サスペンション22とを含む。フロントフォーク15は、前輪4を回転可能に支持している。前輪4には、フロントブレーキ20が取り付けられている。前輪4の上方には、フロントフェンダー19が配置されている。
【0022】
アッパブラケット16は、左サスペンション21と右サスペンション22とに接続されている。アッパブラケット16は、ヘッドパイプ11の上方に配置されている。ロアブラケット17は、ヘッドパイプ11の下方に配置されている。ロアブラケット17は、左サスペンション21と右サスペンション22とに接続されている。
【0023】
ハンドル部材18は、フロントフォーク15に接続されている。ハンドル部材18は、ライダーによって左右に操作可能である。図2に示すように、ハンドル部材18は、ハンドルバー23と、左グリップ24と、右グリップ25とを含む。ハンドルバー23は、アッパブラケット16を介して、フロントフォーク15に接続されている。左グリップ24は、ハンドルバー23の左端部に取り付けられている。右グリップ25は、ハンドルバー23の右端部に取り付けられている。
【0024】
ハンドル部材18には、ブレーキレバー26とマスタシリンダ27とが取り付けられている。ブレーキレバー26は、右グリップ25の前方に配置されている。マスタシリンダ27は、ブレーキレバー26に接続されている。マスタシリンダ27は、ブレーキレバー26に隣接して配置されている。マスタシリンダ27とフロントブレーキ20とは、ブレーキホース28によって接続されている。ブレーキレバー26の操作に応じて、フロントブレーキ20を駆動するための油圧が、マスタシリンダ27から、ブレーキホース28を介して、フロントブレーキ20に供給される。
【0025】
シート5は、ヘッドパイプ11の後方に配置されている。シート5は、車体フレーム2に支持されている。パワーユニット6は、シート5の下方に配置される。パワーユニット6は、第1メインフレーム12と第2メインフレーム13に支持されている。パワーユニット6は、例えば内燃エンジンを含む。或いは、パワーユニット6は、電動モータを含んでもよい。
【0026】
パワーユニット6は、後輪7を回転させる駆動力を発生させる。後輪7は、パワーユニット6の後方に配置される。後輪7は、スイングアーム8を介して、第1メインフレーム12接続されている。スイングアーム8は、第1メインフレーム12に揺動可能に支持されている。後輪7は、スイングアーム8に回転可能に支持されている。
【0027】
鞍乗型車両1は、カバー30を備えている。カバー30は、ゼッケンプレートである。ゼッケンプレートには、例えばオフロードモーターサイクルのレースで用いられるゼッケンステッカーが貼付される。カバー30は、例えば樹脂製である。ただし、カバー30は、アルミなどの金属製であってもよい。カバー30は、フロントフォーク15の前方に配置されている。カバー30は、アッパブラケット16に取り付けられている。カバー30は、フロントフォーク15と共に、左右に回動する。カバー30は、ヘッドパイプ11の前方に配置されている。図2に示すように、車両正面視で、カバー30は、ヘッドパイプ11と重なる。カバー30の下端は、フロントフェンダー19に接続されている。
【0028】
図3は、カバー30及びその周囲の構造を示す側面図である。図4は、カバー30及びその周囲の構造を示す正面図である。図5は、カバー30及びその周囲の構造を示す背面図である。図3から図5に示すように、カバー30は、カバー本体31と接続部32とを含む。カバー本体31は、湾曲した板状の形状を有している。ゼッケンステッカーは、カバー本体31の前面に貼付される。接続部32は、カバー本体31の背面から後方へ延びている。接続部32は、アッパブラケット16に取り付けられる。接続部32は、ボルト33によってアッパブラケット16に固定される。
【0029】
図3から図5に示すように、ブレーキホース28は、カバー30の後方を通って延びている。車両背面視において、ブレーキホース28は、カバー30の上方且つ右方の位置から、接続部32の上方を通って、左方へ延びている。車両背面視で、ブレーキホース28は、下方へ向かって湾曲しており、接続部32よりも左方において下方へ延びている。図4に示すように、ブレーキホース28の一部は、車両正面視でカバー30と重なる。
【0030】
図5に示すように、カバー30は、ブレーキホース28を案内する第1ガイド34と、第2ガイド35と、第3ガイド36とを含む。第1ガイド34と、第2ガイド35と、第3ガイド36とは、カバー本体31の背面に設けられている。
【0031】
第1ガイド34は、U字状に屈曲した形状を有している。第1ガイド34は、ブレーキホース28の前方と後方と外側方とを覆う。第1ガイド34の内側方は、開放されている。第2ガイド35は、第1ガイド34よりも上方に配置されている。第2ガイド35は、左右方向に延びている。第1ガイド34は、ブレーキホース28の後方と外側方とを覆う。左右方向において、第2ガイド35の幅は、第1ガイド34の幅よりも大きい。第2ガイド35は、第2ガイドを通って上下方向に延びるスリット37を含む。スリット37の幅は、ブレーキホース28の直径よりも小さい。
【0032】
第3ガイド36は、カバー本体31の背面から後方へ突出した板状の形状を有している。第3ガイド36は、ブレーキホース28の内側方に配置されている。第3ガイド36は、左右方向において、接続部32と第1ガイド34との間に配置されている。第3ガイド36は、上方、且つ、右方へ向かって湾曲した形状を有する。第3ガイド36は、第2ガイド35に接続されている。第3ガイド36は、接続部32に接続されている。第3ガイド36は、接続部32から、左方、且つ、下方へ向かって延びている。カバー30は、リブ39を含む。リブ39は、カバー本体31の背面から後方へ突出している。リブ39は、ブレーキホース28の下方に配置されている。リブ39は、左右方向に延びている。リブ39は、接続部32に接続されている。リブ39は、接続部32から右方へ延びている。リブ39は、カバー30の剛性を向上させる。
【0033】
ブレーキホース28は、フロントフォーク15の伸縮に応じて撓み、それによりカバー30に対して相対的に移動する。第1~第3ガイド34-36は、ブレーキホース28の移動を規制する。第1ガイド34は、ブレーキホース28の前方、後方、及び外側方への移動を規制する。第2ガイド35は、ブレーキホース28の後方及び外側方への移動を規制する。第3ガイド36は、ブレーキホース28の内側方への移動を規制する。
【0034】
図4及び図5に示すように、ブレーキホース28には、プロテクタ40が取り付けられている。図6は、プロテクタ40及びブレーキホース28の一部を示す図である。図7は、プロテクタ40及びブレーキホース28の一部を示す縦断面図である。図7に示すように、ブレーキホース28は、第1ホース41と第2ホース42とを含む。第1ホース41は、可撓性を有するホースである。第1ホース41は、柔軟な樹脂製である。第1ホース41は、マスタシリンダ27とフロントブレーキ20とに接続されている。
【0035】
図3及び図4に示すように、第1ホース41の一端には継手43が接続されている。第1ホース41は、継手43を介して、マスタシリンダ27に接続される。第1ホース41の他端には、図示しない継手が接続されている。第1ホース41は、継手を介してフロントブレーキ20に接続される。なお、第1ホース41は、一体であってもよく、或いは、互いに別体であり互いに接続された複数のホースを含んでもよい。
【0036】
第2ホース42は、第1ホース41と別体である。第2ホース42は、第1ホース41の一部を覆うように第1ホース41に取り付けられる。第2ホース42は、第1ホース41よりも硬い樹脂製である。第2ホース42は、カバー30の後方からカバー30よりも下方の位置まで延びている。図2に示すように、第2ホース42は、カバー30の後方から、左サスペンション21に沿って、下方へ延びている。
【0037】
第1ホース41は、第2ホース42によって保護される。上述した第1ガイド34は、第2ホース42を案内する。第1ホース41は、第2ホース42よりも上方において、外部に露出している。上述した第2ガイド35は、第2ホース42よりも上方において第1ホース41を案内する。第1ホース41は、第2ホース42よりも上方において、右方へ向かって湾曲している。第1ホース41において、第2ホース42よりも上方に位置する部分は、フロントフォーク15の伸縮に応じて、自在に変形する。
【0038】
図7に示すように、ブレーキホース28は、収縮チューブ44を含む。収縮チューブ44は、第1ホース41と第2ホース42とを接続する。収縮チューブ44は、第2ホース42の端部45と第1ホース41とに被せられ、熱によって収縮することで、第2ホース42を第1ホース41に固定する。収縮チューブ44は、第2ホース42の端部45と第1ホース41とに密着することで、第2ホース42の端部45と第1ホース41とを防水性を有するように互いに固定する。収縮チューブ44は、例えばゴム製である。収縮チューブ44は、カバー30の後方に配置される。
【0039】
プロテクタ40は、収縮チューブ44を覆う。プロテクタ40は、例えば樹脂製である。プロテクタ40は、第2ホース42の端部45が第1ホース41と重なる位置において、収縮チューブ44を覆う。プロテクタ40は、カバー30の後方に配置される。図4に示すように、車両正面視で、プロテクタ40は、カバー30と重なる。図5に示すように、プロテクタ40は、第1ガイド34の上方に配置される。プロテクタ40は、上下方向において、第1ガイド34と第2ガイド35との間に配置される。プロテクタ40は、第3ガイド36の外側方に配置される。
【0040】
図6に示すように、プロテクタ40は、第1円錐部46と、第2円錐部47と、凹溝48とを含む。第1円錐部46は、上方へ向かって先細りの形状を有している。ブレーキホース28は、第1円錐部46から上方へ向かって延びている。第2円錐部47は、下方へ向かって先細りの形状を有している。ブレーキホース28は、第2円錐部47から下方へ延びている。凹溝48は、第1円錐部46と第2円錐部47との間に配置されている。凹溝48は、プロテクタ40の表面上において周方向に延びている。
【0041】
図7に示すように、プロテクタ40は、孔49を含む。孔49は、プロテクタ40を通ってプロテクタ40の軸線方向に延びている。収縮チューブ44の一部は、孔49内に配置される。孔49は、第1孔51と第2孔52とを含む。第2孔52は、第1孔51よりも大きな内径を有する。第1孔51内には、第1ホース41において第2ホース42に覆われていない部分が配置される。第2孔52内には、第2ホース42が配置される。孔49の内面には突起53が設けられている。突起53は、孔49の周方向に延びている。孔49は、第1孔51の内面に設けられている。突起53は、収縮チューブ44に係止する。
【0042】
図8は、プロテクタ40の側面図である。図8に示すように、プロテクタ40は、第1分割体54と第2分割体55とを含む。プロテクタ40は、プロテクタ40の軸線方向に延びる平面に沿って、第1分割体54と第2分割体55とに分割されている。第1分割体54は、収縮チューブ44を一側方から覆う。第2分割体55は、収縮チューブ44を他側方から覆う。
【0043】
第1分割体54は、第1合面56を含む。第2分割体55は、第2合面57を含む。第1分割体54と第2分割体55とが互いに固定されることで、第2合面57は、第1合面56と合わさって配置される。第1分割体54と第2分割体55とは、図6に示す結束バンド58によって互いに固定される。結束バンド58は、凹溝48に配置される。
【0044】
図9は、第1分割体54を示す図である。図9に示すように、第1合面56は、第1溝部61と、第1凸部62と、第1凹部63とを含む。図10は、第2分割体55を示す図である。図10に示すように、第2合面57は、第2溝部64と、第2凸部65と、第2凹部66とを含む。第1溝部61と第2溝部64とは、それぞれ半円筒状に凹んだ形状を有する。第1溝部61と第2溝部64とによって、上述したプロテクタ40の孔49が構成される。
【0045】
第1分割体54と第2分割体55とが互いに固定されることで、第1凸部62は、第2凹部66内に配置される。第1分割体54と第2分割体55とが互いに固定されることで、第2凸部65は、第1凹部63内に配置される。それにより、第1分割体54と第2分割体55との互いの位置ずれが防止される。
【0046】
以上説明した本実施形態に係る鞍乗型車両1では、収縮チューブ44によって、第1ホース41と第2ホース42とが互いに接続される。収縮チューブ44は、例えば、柔らかいゴム製であり、熱を加えられることで収縮する。それにより、ブレーキホース28の第1ホース41と第2ホース42とが、防水性を有するように互いに接続される。また、収縮チューブ44は、プロテクタ40によって保護される。それにより、フロントフォーク15の伸縮によりブレーキホース28が動いたときに、収縮チューブ44がカバー30に擦れて破損することが抑えられる。
【0047】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0048】
鞍乗型車両1は、オフロードタイプに限らず、ストリートタイプ、モペッドなどの他のタイプの車両であってもよい。カバー30は、ゼッケンプレートに限らず、ヘッドライトカウルなどの他のカバーであってもよい。カバー30の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、第1~第3ガイド34-36の位置が変更されてもよい。第1~第3ガイド34-36が省略されてもよい。
【0049】
プロテクタ40の形状は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、プロテクタ40は、先細りの形状に限らず、円筒状、或いは角柱状の形状を有してもよい。第1分割体54と第2分割体55との固定方法は、結束バンド58に限らない。第1分割体54と第2分割体55とは、スナップフィット、或いは接着などの他の方法によって互いに固定されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明によれば、鞍乗型車両において、ブレーキホースの第1ホースと第2ホースとが、防水性を有するように互いに接続されると共に、ブレーキホースの接続部分の破損が抑えられる。
【符号の説明】
【0051】
4:前輪、 15:フロントフォーク、 16:アッパブラケット、 20:フロントブレーキ、 28:ブレーキホース、 30:カバー、 34:第1ガイド、 40:プロテクタ、 41:第1ホース、 42:第2ホース、 44:収縮チューブ、 48:凹溝、 49:孔、 53:突起、 54:第1分割体、 55:第2分割体、 58:結束バンド
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