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特開2024-59130シールドジャッキおよびシールド掘進機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059130
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】シールドジャッキおよびシールド掘進機
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
E21D9/06 302J
E21D9/06 302G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166597
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 泰司
【テーマコード(参考)】
2D054
【Fターム(参考)】
2D054AC01
2D054AD33
2D054AD35
2D054BA03
(57)【要約】
【課題】ジャッキロッドの垂れ下がりを抑制することを可能とした、シールドジャッキおよびシールド掘進機を提案する。
【解決手段】シールド掘進機1のスキンプレート21の内側に固定されたジャッキシリンダ51と、ジャッキシリンダ51に進退可能に支持されたジャッキロッド52と、ジャッキロッド52の先端に固定されたスプレッダ53と、スプレッダ53に設けられた支持部材54とを備えるシールドジャッキ5である。支持部材54は、スキンプレート21の内面にジャッキロッド52の軸方向に沿って設けられたレール部材6に沿って移動可能である。また、スプレッダ53は、支持部材54を介してレール部材6に上載あるいは吊持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド掘進機のスキンプレートの内側に固定されたジャッキシリンダと、
前記ジャッキシリンダに進退可能に支持されたジャッキロッドと、
前記ジャッキロッドの先端に固定されたスプレッダと、
前記スプレッダに設けられた支持部材と、を備えるシールドジャッキであって、
前記スキンプレートの内面に、前記ジャッキロッドの軸方向に沿ったレール部材が設けられていて、
前記支持部材は、前記レール部材に沿って移動可能であり、
前記スプレッダは、前記支持部材を介して前記レール部材に上載あるいは吊持されていることを特徴とする、シールドジャッキ。
【請求項2】
前記支持部材は、前記レール部材の上面において回動可能な車輪を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のシールドジャッキ。
【請求項3】
前記レール部材は、前記スキンプレートの内面から間隔をあけて配設されたガイド片と、前記スキンプレートと前記ガイド片とを連結する取付片と、を備えており、
前記スプレッダは、前記ガイド片の上面を移動可能な前記支持部材を介して前記レール部材に吊持されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシールドジャッキ。
【請求項4】
前記レール部材は、前記スキンプレートから内側に張り出すガイド片を備えており、
前記スプレッダは、前記ガイド片の上面を移動可能な前記支持部材を介して前記レール部材に上載されていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のシールドジャッキ。
【請求項5】
筒状のスキンプレートを備える本体部と、
前記本体部の前方に設けられたカッターヘッドと、
前記本体部の後部において、前記スキンプレートの内面に配設された複数のシールドジャッキと、を備えるシールド掘進機であって、
前記シールドジャッキは、ジャッキシリンダと、前記ジャッキシリンダに進退可能に支持されたジャッキロッドと、前記ジャッキロッドの先端に固定されたスプレッダと、を備えており、
前記スキンプレートの上部に配設された前記シールドジャッキの前記スプレッダは、前記スキンプレートに固定されたレール部材の上面を移動する支持部材を介して当該レール部材に吊持されており、
前記スキンプレートの底部に配設された前記シールドジャッキの前記スプレッダは、前記スキンプレートに内面を移動する支持部材を介して前記スキンプレートに上載されており、
その他の前記シールドジャッキの前記スプレッダは、前記スキンプレートに固定されたレール部材の上面を移動する支持部材を介して当該レール部材に上載されていることを特徴とする、シールド掘進機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールドジャッキおよびシールド掘進機に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法では、シールド掘進機の後方に形成された既設のセグメントから確保した推力により掘進する。シールド掘進機の推力は、セグメントに押し当てたシールドジャッキを伸長させることで確保する。
シールドジャッキの中心がセグメントの断面中心に対して偏芯している場合には、ジャッキロッドの先端部に偏心金具を介してスプレッダを取り付ける場合がある。このとき、ジャッキロッドの中心とスプレッダの中心に偏心があるため、推力が作用している際に、シールドジャッキが外側に変位するおそれがある。
例えば、特許文献1には、ジャッキロッドの先端部が外側に変位するのを抑制するために、スキンプレートに反力をとる変形抑止材を備えるシールドジャッキが開示されている。特許文献1の変形抑止材は、スキンプレートの内周面に接する車輪を備えている。特許文献1のシールドジャッキは、変形抑止材がスキンプレートを走行することで、ジャッキロッドが外側へ変位することを抑止するものである。
また、特許文献2には、ジャッキロッドの回転を規制する回転規制手段が設けられたシールドジャッキが開示されている。このシールドジャッキにおける回転規制手段は、ジャッキロッドまたは偏心部材からスキンプレートの内周面に当接するように設けられている。
なお、シールドジャッキを伸長させると、ジャッキロッドが片持ち支持の状態になるため、ジャッキロッドの自重によってジャッキロッドの先端側が垂れ下がる場合がある。特に、トンネルの大断面化によりセグメント幅(セグメントのトンネル軸方向の長さ)が増大するのに伴い、シールドジャッキのストローク長が大きくなると、シールドジャッキを伸長させた際に、図8に示すように、自重によりジャッキロッドが下に垂れる場合や、ジャッキロッドが垂れることで先端部(スプレッダ53)が偏芯する場合がある。ここで、図8は、スプレッダ53の変位を示す模式図である。なお、特許文献1および特許文献2に記載のシールドジャッキは、ジャッキロッドが自重により垂れ下がることに対して対策を講じるものではない。
ジャッキロッドが垂れ下がると、ジャッキシリンダのパッキンが変形し、内部の油が漏れ出すおそれがある。また、ジャッキロッドとジャッキシリンダとの間で摩擦による振動や異音が生じ、地上に伝播するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-274651号公報
【特許文献2】特開2005-179946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような観点から、本発明は、ジャッキロッドの垂れ下がりを抑制することを可能とした、シールドジャッキおよびシールド掘進機を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明のシールドジャッキは、シールド掘進機のスキンプレートの内側に固定されたジャッキシリンダと、前記ジャッキシリンダに進退可能に支持されたジャッキロッドと、前記ジャッキロッドの先端に固定されたスプレッダと、前記スプレッダに設けられた支持部材とを備えている。前記スキンプレートの内面には前記ジャッキロッドの軸方向に沿ったレール部材が設けられていて、前記支持部材は前記レール部材に沿って移動可能であり、前記スプレッダは前記支持部材を介して前記レール部材に上載あるいは吊持されている。
かかるシールドジャッキによれば、スプレッダが支持部材を介してレール部材に上載あるいは吊持されているため、ジャッキロッドが垂れ下がることが防止されている。また、支持部材は、レール部材に沿って移動可能なため、支持部材によってシールドジャッキの伸縮が阻害されることもない。そのため、ジャッキロッドの垂れ下がりによるパッキンの変形が抑制され、また、ジャッキシリンダとジャッキロッドとの間で生じる振動や異音も抑制できる。
【0006】
なお、前記支持部材が前記レール部材の上面を転動可能な車輪(ローラーや球も含む)を備えていれば、レール部材に沿った支持部材の移動時の抵抗を最小限に抑えた状態で、ジャッキロッドの変位を抑制できる。
前記レール部材が、前記スキンプレートの内面から間隔をあけて配設されたガイド片と、前記スキンプレートと前記ガイド片とを連結する取付片とを備えている場合には、前記スプレッダは前記ガイド片の上面を移動可能な前記支持部材を介して前記レール部材に吊持すればよい。
また、前記レール部材が、前記スキンプレートから内側に張り出すガイド片を備えている場合には、前記スプレッダは、前記ガイド片の上面を移動可能な前記支持部材を介して前記レール部材に上載すればよい。
【0007】
また、本発明のシールド掘進機は、筒状のスキンプレートを備える本体部と、前記本体部の前方に設けられたカッターヘッドと、前記本体部の後部において前記スキンプレートの内面に配設された複数のシールドジャッキとを備えるものである。前記シールドジャッキは、ジャッキシリンダと、前記ジャッキシリンダに進退可能に支持されたジャッキロッドと、前記ジャッキロッドの先端に固定されたスプレッダとを備えていて、前記スキンプレートの上部に配設された前記シールドジャッキの前記スプレッダは前記スキンプレートに固定されたレール部材の上面を移動する支持部材を介して当該レール部材に吊持されており、前記スキンプレートの底部に配設された前記シールドジャッキの前記スプレッダは前記スキンプレートに内面を移動する支持部材を介して前記スキンプレートに上載されており、その他の前記シールドジャッキの前記スプレッダは前記スキンプレートに固定されたレール部材の上面を移動する支持部材を介して当該レール部材に上載されている。
かかるシールド掘進機によれば、スプレッダが支持部材を介してレール部材に吊持あるいは上載されているか、スキンプレートに上載されているため、ジャッキロッドが垂れ下がることが防止されている。また、支持部材は、レール部材またはスキンプレートに沿って移動可能なため、支持部材によってシールドジャッキの伸縮が阻害されることもない。
【発明の効果】
【0008】
本発明のシールドジャッキおよびシールド掘進機によれば、ジャッキロッドの垂れ下がりを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係るシールド掘進機の概要を示す断面図である。
図2】レール部材とシールドジャッキの関係を示す断面図である。
図3】頂部に設けられたシールドジャッキとレール部材を示す斜視図である。
図4】底部に設けられたシールドジャッキを示す斜視図である。
図5】高さ方向中間部に配設されたシールドジャッキとレール部材を示す斜視図である。
図6】肩部に設けられたシールドジャッキとレール部材を示す斜視図である。
図7】下部に設けられたシールドジャッキとレール部材を示す。斜視図である。
図8】スプレッダに変位が生じた状況を示す模式図である。
図9】シールド掘進機のテール部分の補強構造の例を示す図であって、(a)は斜視図、(b)は後方から望む正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に本実施形態のシールド掘進機1の概要を示す。シールド工法では、シールド掘進機1により地山Gを削孔するとともに、シールド掘進機1の後方にセグメントリングRを連設することによりトンネルを形成する。シールド掘進機1は、シールド掘進機1の後方に形成された既設のセグメントリングRから確保した推力により掘進する。
シールド掘進機1は、図1に示すように、筒状のスキンプレート21を備える本体部2と、本体部2の前方に設けられたカッターヘッド3と、本体部2の前部に形成された隔壁4と、本体部2の後部に設けられた複数のシールドジャッキ5,5,…とを備えている。
【0011】
本体部2には、カッターヘッド3の動力となるモーター31や、カッターヘッド3と隔壁4との間に形成されたチャンバー22から土砂を排出する搬送手段(図示せず)等が設けられている。
カッターヘッド3は、モーター31の動力により回転することで、地山Gを切削する。カッターヘッド3による切削により発生した残土は、チャンバー22に取り込まれた後、搬送手段を介してトンネル坑外に搬出される。
シールド掘進機1の推力は、セグメントリングRに押し当てたシールドジャッキ5を伸長させることで確保する。
【0012】
シールドジャッキ5は、本体部2の後部において、スキンプレート21の内面に配設されている。複数のシールドジャッキ5,5,…は、スキンプレート21の周方向に並設されている。
シールドジャッキ5は、ジャッキシリンダ51と、ジャッキロッド52と、スプレッダ53と、支持部材54とを備えている。
ジャッキシリンダ51は、シールド掘進機1のスキンプレート21の内側に固定されている。
ジャッキロッド52は、ジャッキシリンダ51に進退可能に支持されている。
スプレッダ53は、ジャッキロッド52の先端に固定されている。スプレッダ53は、支持部材54を介して、スキンプレート21の内面に固定されたレール部材6(図2、3、5~7参照)に上載あるいは吊持されている。
支持部材54は、スプレッダ53に設けられている。支持部材54は、レール部材6の上面において回動可能なローラー(車輪)55を備えていて、レール部材6に沿って移動可能である(図3~7参照)。
スプレッダ53が支持部材54を介してレール部材6により支持されているため、図8に示すような自重によるジャッキロッド52の垂れ下がりやスプレッダ53の回転が抑制されている。
【0013】
図2にレール部材6とシールドジャッキ5の関係を示す。
レール部材6は、図2に示すように、スキンプレート21の内面に設けられている。レール部材6は、ジャッキロッド52の設置個所に対応して、ジャッキロッド52の軸方向(ジャッキロッド52が進退する方向)に沿って設けられている。本実施形態では、スキンプレート21の底部に設けられたシールドジャッキ5以外のシールドジャッキ5に対応して、ジャッキロッド52の軸方向に沿ってレール部材6が設けられている。
【0014】
図3に頂部に設けられたシールドジャッキ5とレール部材6を示す。
スキンプレート21の頂部(上部)に設けられたシールドジャッキ5のスプレッダ53(第一スプレッダ531)は、図3に示すように、スキンプレート21に固定された第一レール部材61の上面を移動する支持部材54を介して当該第一レール部材61に吊持されている。スキンプレート21の頂部に設けられて支持部材54を吊持する第一レール部材61は、スキンプレート21の内面から間隔をあけて配設されたガイド片65と、スキンプレート21とガイド片65とを連結する取付片66とを備えており、断面視L字状を呈している。本実施形態では、一対の第一レール部材61,61が間隔をあけて設けられている。一対の第一レール部材61,61は、ガイド片65同士が間隔をあけて配設されており、取付片66は、他方の第一レール部材61と反対側の端部においてガイド片65を支持している。
支持部材54のローラー55は、一対の第一レール部材61,61のガイド片65,65に横架されている。第一スプレッダ531は、第一レール部材61に吊持されることで、スキンプレーと21の内面からの距離が一定に保たれる。本実施形態では、第一スプレッダ531の上部に溝531aが形成されている。溝531aは、一対の第一レール部材61,61の全幅よりも大きな幅を有し、溝531a内に一対の第一レール部材61,61が挿入される。支持部材54は、ローラー55が第一スプレッダ531の上端よりもスキンプレート21側に突出するように、溝531a内に設けられている。第一スプレッダ531は、支持部材54を介して一対の第一レール部材61,61に吊持された状態で、第一レール部材61に沿って移動する。
【0015】
図4に底部に設けられたシールドジャッキ5を示す。
スキンプレート21の底部に配設されたシールドジャッキ5のスプレッダ53(第二スプレッダ532)は、図4に示すように、スキンプレート21に内面を移動する支持部材54を介してスキンプレート21に上載されている。第二スプレッダ532のスキンプレート21側の角部には、凹部532aが形成されている。支持部材54は、凹部532aに配設されていて、スキンプレート21の内面を走行するローラー55を備えている。第二スプレッダ532は、支持部材54により、スキンプレート21との距離が一定に保たれている。
【0016】
図5に高さ方向中間部に配設されたシールドジャッキ5とレール部材6を示す。
スキンプレート21の高さ方向中間部に配設されたシールドジャッキ5のスプレッダ53(第三スプレッダ533)は、図5に示すように、スキンプレート21に固定された第二レール部材62の上面を移動する支持部材54(ローラー55)を介して、当該第二レール部材62に上載されている。第三スプレッダ533のスキンプレート21側の角部には凹部533aが形成されている。支持部材54は、ローラー55を備えており、凹部533aに配設されている。スキンプレート21の高さ方向中間部に配設された第二レール部材62は、スキンプレート21から内側に張り出すガイド片65と、ガイド片65を下側から支持するブラケット67とを備えている。支持部材54のローラー55は、第二レール部材62のガイド片65の上面を走行する。シールドジャッキ5は、支持部材54を介して第二レール部材62により支持されているため、自重により垂れ下がることが抑制されて、スキンプレート21との距離が一定に保たれている。
【0017】
図6に肩部(頂部以外の上半)に設けられたシールドジャッキ5とレール部材6を示す。
スキンプレート21の肩部に設けられたシールドジャッキ5のスプレッダ53(第四スプレッダ534)は、図6に示すように、スキンプレート21に固定された第一レール部材61を走行する一方の支持部材54と第三レール部材63を走行する他方の支持部材54により支持されている。
第四スプレッダ534のスキンプレート21側の面には、一方の支持部材54を設置するための溝534aが形成されており、一方の支持部材54よりも下方のスキンプレート21側のスプレッダ53の角部は、他方の支持部材54を設置するために切り欠かれている(隅切りされている)。溝534aは、第一レール部材61を挿入可能な形状を有している。
第三レール部材63は、スキンプレート21から内側に張り出すガイド片65と、ガイド片65を吊持する補助片68とを備えている。補助片68は、ガイド片65の上面とスキンプレート21の内面とを連結している。ガイド片65の先端部は、補助片68よりも内側に張り出している。他方の支持部材54のローラー55は、ガイド片65の補助片68よりも内側に張り出した部分の上面を走行する。
このように、肩部に設けられたシールドジャッキ5は、第一レール部材61により吊持されているとともに、第三レール部材63に上載されているため、自重による回転(垂れ下がり)が抑制されて、スキンプレート21との距離が一定に保たれている。
【0018】
図7に下部(底部以外の下半)に設けられたシールドジャッキ5とレール部材6を示す。
スキンプレート21の下部(底部以外)に設けられたシールドジャッキ5のスプレッダ53(第五スプレッダ535)は、図7に示すように、スキンプレート21に固定された第四レール部材64を走行する支持部材54を介して第四レール部材64に上載されている。本実施形態では、二つの第四レール部材64により一つの第五スプレッダ535が支持されている。
第五スプレッダ535のスキンプレート21に面する下側の角部には、一方の支持部材54を設置するための凹部535aが形成されており、上側の角部は他方の支持部材54を設置するために切り欠かれている(隅切りされている)。
第四レール部材64は、スキンプレート21から内側に張り出すガイド片65と、ガイド片65を下側から支持する補助片68とを備えている。補助片68は、ガイド片65の先端部(内側端部)とスキンプレート21の内面とを連結する。本実施形態の第四レール部材64は、断面視逆V字状を呈している。支持部材54のローラー55は、第四レール部材64のガイド片65の上面を走行する。シールドジャッキ5は、支持部材54を介して第四レール部材64により支持されているため、自重によりスプレッダ53が垂れ下がることおよび回転することが抑制されて、スキンプレート21との距離が一定に保たれている。
【0019】
本実施形態のシールド掘進機1によれば、スプレッダ53が支持部材54を介してレール部材6に吊持あるいは上載されているか、スキンプレート21に上載されているため、ジャッキロッド52が垂れ下がること、およびスプレッダ53が回転することが防止されている。
ジャッキロッド52の垂れ下がりが防止されているため、ジャッキシリンダ51とジャッキロッド52との干渉が防止され、ひいてはシールド掘進時の振動を抑制できる。
また、ジャッキロッド52の垂れ下がりに起因するパッキンの破損等も抑制できる。
また、支持部材54は、レール部材6またはスキンプレート21に沿って移動可能なため、支持部材54を設けたとしてもシールドジャッキ5の伸縮が阻害されることはなく、ひいては、推力が低減することもない。そのため、所定の推力による掘進が可能となる。
【0020】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
例えば、各シールドジャッキ5が備えるジャッキロッド52の本数は限定されるものではなく、適宜決定すればよい。
また、スプレッダ53の形状も、限定させるものではなく、設置個所やレール部材6の形状および配置などに応じて適宜決定すればよい。
支持部材54は、必ずしも車輪(ローラー55)を備える必要はなく、例えば、レール部材6に沿って摺動するように構成されていてもよい。
シールドジャッキ5(ジャッキロッド52およびスプレッダ53)の重量が作用することにより、シールド掘進機1のテール部分(スキンプレート21)が変形する(例えば、撓みが生じる)おそれがある場合には、テール部分におけるスキンプレートの板厚を増加させる等の変形防止工を施すのが望ましい。また、その他のシールド掘進機1のテール部分のスキンプレートの変形防止構造としては、図9(a)および(b)に示すように、同時裏込め注入装置やテールシール材注入装置等の注入管23を内蔵する突条部分24に補強用の鋼材25などを配設することにより行ってもよい。
【符号の説明】
【0021】
1 シールド掘進機
2 本体部
21 スキンプレート
3 カッターヘッド
4 隔壁
5 シールドジャッキ
51 ジャッキシリンダ
52 ジャッキロッド
53 スプレッダ
54 支持部材
55 ローラー(車輪)
6 レール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9