(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059132
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】間仕切パネル装置
(51)【国際特許分類】
E04B 2/82 20060101AFI20240423BHJP
E04B 2/76 20060101ALI20240423BHJP
E04B 2/74 20060101ALI20240423BHJP
E04B 9/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
E04B2/82 501T
E04B2/76
E04B2/74 511D
E04B9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166601
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】土山 和功
(72)【発明者】
【氏名】久保 文人
(72)【発明者】
【氏名】竹内 聡志
(57)【要約】
【課題】床面とシステム天井との間に立設されて区画した空間内における閉塞感を軽減できる間仕切パネル装置を提供する。
【解決手段】床面Fとシステム天井2との間に立設される壁パネル5を複数連接して構成される間仕切パネル装置1であって、壁パネル間5の接合線DL1とシステム天井2を構成するグリッドパネル3間の接合線DL2とが直交して連続している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面とシステム天井との間に立設される壁パネルを複数連接して構成される間仕切パネル装置であって、
前記壁パネル間の接合線と前記システム天井を構成するグリッドパネル間の接合線とが直交して連続していることを特徴とする間仕切パネル装置。
【請求項2】
前記壁パネルの幅寸法は、前記グリッドパネルの幅寸法の略n倍であることを特徴とする請求項1に記載の間仕切パネル装置。
【請求項3】
前記壁パネルの内面線と前記グリッドパネル間の接合線とが略一致していることを特徴とする請求項1に記載の間仕切パネル装置。
【請求項4】
前記壁パネルの外面線と前記グリッドパネル間の接合線とが略一致していることを特徴とする請求項1に記載の間仕切パネル装置。
【請求項5】
前記グリッドパネルは、格子状の天井バーの開口縁に載置されて支持されており、前記天井バーが前記グリッドパネル間の接合線を構成しており、
前記壁パネルは、床面から前記システム天井に立設された支柱に支持され、隣接する前記壁パネルとの間隙が壁パネル間の接合線を構成しており、
前記天井バーの幅寸法と隣接する前記壁パネル間の間隙とが略等しいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の間仕切パネル装置。
【請求項6】
前記壁パネルは、両側縁の背面側に形成された係止溝部が、前記支柱の左右両端部にそれぞれ設けられたフック部にそれぞれ係止されることで支持されており、前記係止溝部の幅寸法は前記フック部の幅寸法よりわずかに大であることを特徴とする請求項5に記載の間仕切パネル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面とシステム天井との間に立設されて室内空間を区画する間仕切パネル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の部屋や空間を複数の区画に仕切って分割するために、床面から天井に亘って複数のパネルを連接してなる間仕切パネル装置が使用されている。また、間仕切パネル装置が使用される対象の天井としては、格子状に天井バーが配設され、この天井バーの格子開口にそれぞれ同規格のグリッドパネルを取り付けたシステム天井なるものが近年では広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-837号公報(第6頁、第8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にも示されるように、このようなシステム天井は、照明装置などの取付装置もグリッドパネルの外形寸法と同規格となっており、グリッドパネル及び取付装置の配置レイアウトの自由度が高いというメリットがある。ここで、間仕切パネル装置の壁パネルは、縦方向に延びるフレームに左右両端が支持される構成であり、隣接する壁パネル間には、これら壁パネル間の境界部分が接合線として露見している。この接合線は、縦方向に床面から天井まで延びているため、視覚効果により縦方向の広がりを演出して閉塞感を軽減する効果がある。しかしながら、間仕切パネル装置により区画された空間内には、壁パネル間の接合線に加えて、システム天井を構成する隣接するグリッドパネル間の接合線が露見しており、特に壁パネル間の接合線と同方向に延びるグリッドパネル間の接合線と壁パネル間の接合線とにより、壁パネルとシステム天井との境界部分が強調されてしまい、壁パネル間の接合線による縦方向の広がりを演出する視覚効果を阻害する虞がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、床面とシステム天井との間に立設されて区画した空間内における閉塞感を軽減できる間仕切パネル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の間仕切パネル装置は、
床面とシステム天井との間に立設される壁パネルを複数連接して構成される間仕切パネル装置であって、
前記壁パネル間の接合線と前記システム天井を構成するグリッドパネル間の接合線とが直交して連続していることを特徴としている。
この特徴によれば、壁パネル間の接合線の上端から、さらにシステム天井を構成するグリッドパネル間の接合線まで縦方向にラインが連続するため、視覚効果により間仕切パネル装置で区画された空間内の縦方向の広がりを効果的に演出することができ、空間内の閉塞感を軽減することができる。
【0007】
前記壁パネルの幅寸法は、前記グリッドパネルの幅寸法の略n倍であることを特徴としている。なおnは自然数である。
この特徴によれば、壁パネルの幅方向の一方端側の接合線と一のグリッドパネルの幅方向の一方端側の接合線とを合わせることで、壁パネルの幅方向の他方端が一のまたは横並びのいずれかのグリッドパネルの幅方向の他方端側の接合線も直交して連続するため、壁パネルの設置作業時における位置合わせが容易であり、かつ開放感を演出する効果が高い。
【0008】
前記壁パネルの内面線と前記グリッドパネル間の接合線とが略一致していることを特徴としている。
この特徴によれば、間仕切パネル装置で区画された空間内の内面を構成する壁パネルの面が成す内面線から、システム天井を構成するグリッドパネル間の接合線まで縦方向にラインが連続するため、視覚効果により間仕切パネル装置で区画された空間内の縦方向の閉塞感を軽減し、開放感を演出できる。また、間仕切パネル装置で区画された空間内においてシステム天井に設置された照明装置の下に壁パネルが重なることがなく、照明効果を阻害しない。
【0009】
前記壁パネルの外面線と前記グリッドパネル間の接合線とが略一致していることを特徴としている。
この特徴によれば、間仕切パネル装置で区画された空間外の外面を構成する壁パネルの面が成す外面線から、システム天井を構成するグリッドパネル間の接合線まで縦方向にラインが連続するため、間仕切パネル装置で区画された空間外においてシステム天井に設置された照明装置の下に壁パネルが重なることがなく、照明効果の阻害がない。
【0010】
前記グリッドパネルは、格子状の天井バーの開口縁に載置されて支持されており、前記天井バーが前記グリッドパネル間の接合線を構成しており、
前記壁パネルは、床面から前記システム天井に立設された支柱に支持され、隣接する前記壁パネルとの間隙が壁パネル間の接合線を構成しており、
前記天井バーの幅寸法と隣接する前記壁パネル間の間隙とが略等しいことを特徴としている。
この特徴によれば、隣接する前記壁パネル間の間隙を通して天井バーが構成する接合線が露見することから、これらの連続性を奥行知覚によっても認識することができ開放感を演出する効果が高い。
【0011】
前記壁パネルは、両側縁の背面側に形成された係止溝部が、前記支柱の左右両端部にそれぞれ設けられたフック部にそれぞれ係止されることで支持されており、前記係止溝部の幅寸法は前記フック部の幅寸法よりわずかに大であることを特徴としている。
この特徴によれば、壁パネルは係止溝部とフック部との遊びの範囲内で左右に移動可能に支持させることができるため、既存の天井バーに合わせて隣接する壁パネルの間隙の位置を微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例における間仕切パネル装置を正面からみた模式図である。
【
図4】システム天井及び床面と間仕切パネル装置の上下端部の相関関係を示す横断面図である。
【
図6】コーナー部を中心として、支柱に対する壁パネルの取付け構造を示す横断図である。
【
図7】間仕切パネル装置で区画された空間の間取りとシステム天井側の接合線との位置関係を示す平面視の模式図である。
【
図8】壁パネル間の接合線とグリッドパネル間の接合線との位置関係を示す斜視図である。
【
図9】壁パネル間の内面線とグリッドパネル間の接合線との位置関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る間仕切パネル装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0014】
実施例に係る間仕切パネル装置につき、
図1から
図9を参照して説明する。以下、
図1の紙面正面側を間仕切パネル装置の正面側(前方側)として説明する。また、
図7の紙面下側を間仕切パネル装置の正面側(前方側)として説明する。
【0015】
間仕切パネル装置は、例えば、学校やオフィス等の建物内の部屋や空間を複数の区画に仕切って分割するために、天井から床面に亘って複数のパネルを取付けてなるものであり、一部のパネルには区画空間の開放感を演出するために透明のガラスパネルや、ドアパネルが使用されることもある。
【0016】
本実施例における間仕切パネル装置1が使用される対象の天井は、いわゆるシステム天井である。
図2に示されるように、システム天井2は、格子状に配設された天井バー3と、この天井バー3で画成された格子開口3aにそれぞれ取り付けられる同規格のグリッドパネル4または照明装置14(
図1参照)などの取付装置と、から構成されている。
【0017】
天井バー3は、ここでは図示しない屋内空間の基礎構造に支持されており、
図3に示されるように上下方向に所定の高さを有し水平方向において薄い所定厚を有するバー本体部3bと、バー本体部3bの下端に水平方向にそれぞれ所定寸法の幅寸法を有する薄肉の下面部3cを有して断面視略倒立T字を成している。天井バー3は長手方向に同一の断面形状である。
【0018】
グリッドパネル4は、本実施例では方形の格子開口3aと同形状であり、縦横寸法は格子開口3aの縦横寸法、すなわち下面部3cの内縁間の離間寸法より大きく、かつ天井バー3における平行に隣接するバー本体部3b間の離間寸法よりわずかに小さく形成されている。このように、グリッドパネル4は天井バー3の格子開口3aの外縁を構成する下面部3cの上面に4辺が載置される形でそれぞれ支持されている。
【0019】
図4に示されるように、間仕切パネル装置1は、システム天井2側に取り付けられる笠木6と、床面F側に取り付けられる巾木7と、これら笠木6と巾木7との間に立設された支柱8と、を備え、複数の壁パネル5はそれぞれ、隣接する一対の支柱8に支持されている。
【0020】
図5に示されるように、壁パネル5は薄肉の金属板で形成され、上下縁部5aと左右縁部5bが背面側に折り返されており、背面側に折り返された左右縁部5bには上下方向に係止孔5cが複数形成されている。そして、
図6に示されるように、支柱8は前後面にそれぞれ上下方向に複数のフック部9を備え、壁パネル5は係止孔5cを支柱8のフック部9に係止させることで、支柱8の前後にそれぞれ支持される態様となっている。
【0021】
壁パネル5の係止孔5cは左右の開口寸法が短いスリット形状であり、支柱8のフック部9は、金属板により上下方向に所定の高さを有し水平方向において薄い所定厚を有して成る。また、係止孔5cの左右の開口寸法L1は支柱8のフック部9の左右の板厚L2よりわずかに大きく、支柱8に支持された壁パネル5は左右方向の移動が規制される。このように、壁パネル5は係止孔5cにフック部9が係止されることで、支柱8の左右方向の所定位置に位置合わせされる。
【0022】
図6に示されるように、間仕切パネル装置1のコーナー部1aを構成するもの以外、すなわち壁パネル5が連接される箇所の支柱8には前述のフック部9が左右両側に配設されている。詳しくは、これらフック部9は支柱8の左右方向の中心を起点として左右対称位置に配設されている。そのため、支柱8の左右両側のフック部9にそれぞれ支持され、連接された壁パネル5,5の側端部5d,5d(表面5e,5eの側端部)は、支柱8の左右方向の中心からそれぞれ同じ距離で離間する。このとき、壁パネル5の左右端部はそれぞれ支柱8に所定寸法で前後に重畳することになる。本実施例では、連接された壁パネル5,5の側端部5d,5d間の離間距離L3は、天井バー3の下面部3cの幅寸法L4(
図2参照)に等しい。
【0023】
間仕切パネル装置1のコーナー部1aには、コーナーポスト10が配置される。コーナーポスト10は平面視で外形が方形を成し、直交する2面にそれぞれ支柱8,18が固定されている。このコーナー部における支柱8にあっては、コーナーポスト10に面する反対の一方側にのみフック部9が配設されている。
【0024】
尚、
図6は、
図1の正面左側のコーナー部1aの拡大断面図であり、コーナーポスト10には、
図5にて示した前後に延びる金属製の壁パネル5と、左右に延びるガラス製の壁パネル15が直交して支持されている。ガラス製の壁パネル15は、ここでは図示しないが、笠木6と巾木7とにそれぞれ上下端が支持されるとともに、支柱18に固定された縦枠材20にそれぞれ裏面が固着されることで、隣接する支柱18,18同士または隣接する支柱18と支柱8との間に取り付けられている。支柱18には、フック部9が設けられていない。また、支柱18の縦枠材20に固着されたガラス製の壁パネル15は、金属製の壁パネル5の左右端部が支柱8に前後に重畳する寸法と同じ寸法で左右端部が支柱18の左右端部に前後に重畳している。
【0025】
また、一の支柱8に支持された壁パネル5の表面5eと、当該一の支柱8とコーナーポスト10を挟んで交差する他の支柱(ここでは18)の左右方向の中央を通る仮想線Xとの離間距離L5は、天井バー3の下面部3cの幅寸法L4(
図2参照)の半分に等しい。言い換えると、壁パネル5の厚み寸法、すなわち左右縁部5bの表面50bと壁パネル5の表面5eとの間の寸法L6は、天井バー3の下面部3cの幅寸法L4の半分の寸法分だけ、支柱8(18)の左右幅L7の半分寸法に対して小さく形成されている。
【0026】
次いで、間仕切パネル装置1の構成について説明する。
図1と
図7とに示されるように、本実施例における間仕切パネル装置1は、3部屋の小部屋A~Cを有する構成となっている。それぞれの小部屋A~Cの四隅には前述のコーナー部1aと同様にコーナーポスト10を有する構成となっている。尚、
図7では間仕切パネル装置1が設置される領域に配置された複数のグリッドパネル4及び照明装置14と、これらグリッドパネル4及び照明装置14の境界部分であるグリッドパネル間の接合線DL1が一点破線で概念的に示されている。
【0027】
本実施例におけるグリッドパネル間の接合線DL1は、天井バー3の格子開口3aから露出する隣接するグリッドパネル4及び照明装置14の端部間の間隙であり、下面部3cの幅寸法L4(
図3参照。)で形成されている。また、本実施例では、隣接する壁パネル5,5間に間隙(寸法L3(
図4,6参照)を有しており、後述する壁パネル間の接合線DL2は、隣接する壁パネル5の側端部5d,5dの間隙の幅で形成されている。
【0028】
小部屋Aは、四隅にコーナーポスト10を備え、かつ後方側にてコーナーポスト10,10に挟まれた壁面は、支柱8を挟んで左右に配された壁パネル5A~5Dにより形成されている。壁パネル5Aの幅寸法は、1枚のグリッドパネル4の両側端の離間寸法に略等しい。壁パネル5B,5Cの幅寸法は、左右に2枚連接されたグリッドパネル4の両側端の離間寸法に略等しい。壁パネル5Dは、右側の一方の支柱8が接合線DL1よりも内側に位置しているため、1枚のグリッドパネル4の両側端の離間寸法よりもコーナーポスト10の幅寸法と支柱8の幅寸法の合計分だけ短い幅寸法である寸法調整用の壁パネルである。
【0029】
また、小部屋Aの左側にてコーナーポスト10,10に挟まれた壁面は、支柱8を挟んで前後に配された壁パネル5E,5Fにより形成されている。これら壁パネル5E,5Fの幅寸法は、それぞれ前後に3枚連接されたグリッドパネル4の両側端の離間寸法に略等しい。小部屋Aの右側の壁パネル5G,5Hについても、前後に3枚連接されたグリッドパネル4の両側端の離間寸法に略等しいが、壁パネル5Gと壁パネル5Hとの間にはコーナーポスト10が配置されており、コーナーポスト10を前後に挟んで支柱8がそれぞれ配置されていることから、壁パネル5G,5Hは壁パネル5E,5Fに比べて幅寸法が短い寸法調整用の壁パネルである。
【0030】
また、小部屋Aの前方側には、ガラス製の壁パネル15A,15Bが配されており、これら壁パネル15A,15B間が開放されて小部屋Aの出入口となっている。ここでは、壁パネル15Aはグリッドパネル4の1枚分の幅寸法であり、壁パネル15Bはグリッドパネル4の3枚分の幅寸法と略等しい。
【0031】
小部屋Bの後方側にてコーナーポスト10,10に挟まれた壁パネル5Jの幅寸法は、左右に3枚連接されたグリッドパネル4の両側端の離間寸法に略等しい。同様に、小部屋Bの前方側にてコーナーポスト10,10に挟まれた壁パネル5Kの幅寸法は、それぞれ左右に3枚連接されたグリッドパネル4の両側端の離間寸法に略等しい。
【0032】
小部屋Bの左側のコーナーポスト10,10に挟まれた壁パネル5H’の幅寸法は、裏側に配置された壁パネル5Hと同じ幅寸法であり、3枚連接されたグリッドパネル4の両側端の離間寸法よりもコーナーポスト10の幅寸法の半分と支柱8の幅寸法の半分との合計分だけ短い。小部屋Bの右側のコーナーポスト10,10には、ドアパネル16が配設されている。
【0033】
尚、小部屋Cは、正面側がガラス製の壁パネル15であること以外は、小部屋Bの前後対称形状であるため、ここでは説明を省略する。
【0034】
図7に示されるように、本実施例における間仕切パネル装置1は、後方左側のコーナー部1aの支柱8の左右方向の中央にグリッドパネル間の接合線DL1が位置しており、壁パネル5Aを挟んで右側に配置される支柱8もまた左右方向の中央にグリッドパネル間の接合線DL1が位置している。そのため、グリッドパネル4の1枚分の幅寸法を有する壁パネル5Aと壁パネル5Bとの間の接合線DL2は、後方左側のコーナー部1aの支柱8の上方に位置するグリッドパネル間の接合線DL1から1つ右の接合線DL1と直交して連続するように配置されることになる(
図8参照)。
【0035】
同様に、壁パネル5Jの一方側端が係止される後方右側のコーナー部1aの支柱8の左右方向の中央にグリッドパネル間の接合線DL1が位置しており、壁パネル5Jを挟んで左側に配置される支柱8もまた左右方向の中央にグリッドパネル間の接合線DL1が位置している。そのため、グリッドパネル4の3枚分の幅寸法を有する壁パネル5Jの他方側端の接合線DL2は、後方左側のコーナー部1aの支柱8の上方に位置するグリッドパネル間の接合線DL1から3つ右の接合線DL1と直交して連続するように配置されることになる(
図8参照)。
【0036】
また、前述ように、一の支柱8に支持された壁パネル5の表面5eと、当該一の支柱8とコーナーポスト10を挟んで交差する他の支柱(ここでは18)の左右方向の中央を通る仮想線Xとの離間距離L5は、天井バー3の下面部3cの幅寸法L4(
図2参照)の半分に等しく、この下面部3cはグリッドパネル間の接合線DL1と同義である。そのため、
図6と
図7に示されるように、本実施例における間仕切パネル装置1は、前方左側のコーナー部1aの支柱8の左右方向の中央にグリッドパネル間の接合線DL1が位置しており、かつこの支柱8とコーナーポスト10を挟んで交差する他の支柱8に支持される壁パネル5の表面5eは、接合線DL1の幅方向の一方端部詳しくは左端部と上下方向において略一致している。
【0037】
尚、グリッドパネル4の両側端の離間寸法と略等しいとした壁パネル5Aは、正確には、平行に離間する天井バー3の対向する下面部3c間の離間距離、すなわち露出するグリッドパネル4の幅寸法のn(なおnは自然数)倍に、天井バー3の下面の幅寸法のn-1倍を足した値である。
【0038】
図8に示されるように、壁パネル間の接合線DL2の上端から、さらにシステム天井2を構成するグリッドパネル4間の接合線DL1まで縦方向にラインが連続するため、視覚効果により間仕切パネル装置1で区画された空間内の縦方向の閉塞感を軽減し、開放感を効果的に演出することができる。
【0039】
また、
図9に示されるように、間仕切パネル装置で区画された空間内の内面を構成する壁パネル5の表面5eが成す内面線から、システム天井2を構成するグリッドパネル間の接合線DL1まで縦方向にラインが連続するため、視覚効果により間仕切パネル装置1で区画された空間内の縦方向の閉塞感を軽減し、開放感を演出できる。また、
図1及び
図7に示されるように、間仕切パネル装置1で区画された空間内においてシステム天井2に設置された照明装置14はグリッドパネル4と同規格かつ同様に天井バー3に支持される構成であることから、照明装置14の側縁の接合線DL1もまた、壁パネル5の表面5eが成す内面線と略一致することになり、照明装置14の下に壁パネル5が重なることがなく、照明効果を阻害しない。
【0040】
また、グリッドパネル4は格子状の天井バー3の格子開口3aの開口縁に載置されて支持されており、この天井バー3の下面部3cがグリッドパネル間の接合線DL1を構成しており、壁パネル5は床面Fからシステム天井2に立設された支柱8に支持され、隣接する壁パネル5との間隙が接合線DL2を構成しており、これら接合線DL1と接合線DL2とが略等しくなっている。これによれば、間仕切パネル装置1で区画された空間内でシステム天井2側を見上げた際には、隣接する壁パネル5,5間の間隙を通して天井バー3が構成する接合線DL1が露見することから、これらの連続性を奥行知覚によっても認識することができ開放感を演出する効果が高い。
【0041】
また、グリッドパネル間の接合線DL1と、壁パネル間の接合線DL2と直交する箇所には、照明装置14からの光が特に届き難いが、グリッドパネル4の下面より僅かに室内に突出する天井バー3の下面部3cにより構成されているため、影になりにくく視認しやすいため、接合線DL2との連続性を認識させやすい。
【0042】
また、壁パネル5は、両側縁の背面側(左右縁部5b)に形成された係止溝部である係止孔5cが、支柱8の左右両端部にそれぞれ設けられたフック部9にそれぞれ係止されることで支持されており、係止孔5cの幅寸法はフック部9の幅寸法よりわずかに大である。これによれば、壁パネル5は係止孔5cとフック部9との遊びの範囲内で左右に移動可能に支持させることができるため、既存の天井バー3(接合線DL1)に合わせて壁パネル5,5間の間隙(接合線DL2)の位置を微調整することができる。
【0043】
また、壁パネル(5A,5B,5C,5E,5F,5J,5K)の幅寸法は、グリッドパネル4の幅寸法の略n倍であることから、壁パネル5の幅方向の一方端側の接合線DL2と一のグリッドパネル4の幅方向の一方端側の接合線DL1とを合わせることで、壁パネル5の幅方向の他方端が一のまたは横並びのいずれかのグリッドパネル4の幅方向の他方端側の接合線DL2も直交して連続するため、壁パネル5の設置作業時における位置合わせが容易であり、かつ壁パネル5の幅方向の両側の接合線DL2がグリッドパネル間の接合線DL1と直交して連続し、開放感を演出する効果が高い。
【0044】
また、寸法調整用の壁パネル(5D,5G,5H)は、それぞれ設置される位置に応じて、つまり設置される支柱8やコーナーポスト10との位置関係に応じて、所定の値をグリッドパネル4の幅寸法の略n倍である壁パネルから差し引いた幅寸法として用意すればよく、グリッドパネル4の幅寸法の略n倍である壁パネルとともに、既成のパターンで用意しておくことができ、現場合わせなどの必要がなく、システム天井2に合わせて設置する間仕切パネル装置1の工期を格段に短縮することができる。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0046】
例えば、前記実施例では、壁パネル5(15)は、金属製またはガラス製であったが、これに限らず、例えば木製パネル等が使用されてもよい。また、壁パネル5を支持する構造についても前記実施例のように支柱8に支持させる構成に限らず、例えば壁パネル自体が床面とシステム天井間で自立する構成であってもよい。
【0047】
また、前記実施例において壁パネル5(15)は、支柱8の表裏にそれぞれ支持されているが、これに限らず、例えば間仕切パネル装置1で区画された空間の内面にのみ設けられる構成でもよい。
【0048】
また、隣接する壁パネル5間には間隙が形成されなくてもよく、この場合の壁パネル間の接合線DL2は、壁パネル5間の境界部分となる。
【0049】
また、グリッドパネル間の接合線DL1と壁パネル間の接合線DL2は、互いの幅内で僅かにでも重なっていればよく、幅方向の中央同士が一致していなくてもよい。また、グリッドパネル間の接合線DL1と壁パネル間の接合線DL2の幅寸法は、互いに等しい場合が最も連続性を演出できるものの、それぞれ異なっていてもよい。
【0050】
また、前記実施例のシステム天井2は、システム天井の構成の一例であり、例えばグリッドパネルは天井バーの下面に支持される構成でもよく、この場合もグリッドパネルの露出する側縁間の境界部分がグリッドパネル間の接合線DL1となる。尚、システム天井2の接合線DL1を構成する天井バー3は、グリッドパネル4と略面であってもよく、これによれば、壁パネル5とシステム天井2が直交する付近の接合線DL1に光が届きやすく、接合線DL1,2が連続する印象を与えることができる。
【0051】
また、本実施例においては、壁パネル5の内面線とグリッドパネル間の接合線DL1とが略一致する構成で説明したが、これに限らず、例えば間仕切パネル装置で区画された空間外の外面を構成する壁パネル5の表面5eである外面線とグリッドパネル間の接合線DL1とが略一致していてもよい。
【0052】
また、壁パネル間から露見する支柱8の表面と、天井バー3の下面部3cの表面の色を同色とすることで、より明確にこれらの連続性を演出することができる。同様に両者の表面素材を同じとすることで、より明確にこれらの連続性を演出することができる。