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特開2024-59142対象物取扱い装置及びこれを備えた加工システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059142
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】対象物取扱い装置及びこれを備えた加工システム
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20240423BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240423BHJP
   B25J 13/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B23Q7/04 M
B23Q11/08 Z
B25J13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166632
(22)【出願日】2022-10-18
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [公開事由] ウェブサイトのアドレス https://www.takamaz.co.jp/product/ https://www.takamaz.co.jp/product/4736/ ウェブサイトの掲載日:令和4年(2022年)4月26日 [公開事由] 展示会名:IMTS2022(International Manufacturing Technology Show 2022) 展示日 :令和4年(2022年)9月12日~9月17日(6日間) [公開事由] ウェブサイトのアドレス https://www.takamaz.co.jp/column/5584/ ウェブサイトの掲載日:令和4年(2022年)8月3日 [公開事由] 配布場所:MECT2021(メカトロテックジャパン2021) ポートメッセ名古屋(名古屋市国際展示場)(愛知県名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地) 配布日 :令和3年(2021年)10月20日~10月23日(4日間) [公開事由] 配布場所:MEX金沢2022(第58回機械工業見本市金沢) 石川県産業展示館(3・4号館)(石川県金沢市袋畠町南193) 配布日 :令和4年(2022年)5月19日~5月21日(3日間) [公開事由] 配布場所:あさひ工場完成記念プライベートショー 高松機械工業株式会社 あさひ工場(石川県白山市旭丘4丁目13番地) 配布日 :令和4年(2022年)6月6日~6月10日(5日間) [公開事由] 配布場所:ロボットテクノロジージャパン2022(ROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2022) Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)(愛知県常滑市セントレア5丁目10番) 配布日 :令和4年(2022年)6月30日~7月2日(3日間) [公開事由] ウェブサイトのアドレス https://www.takamaz.co.jp/wp/wp-content/uploads/2022/08/ServoROT01.pdf ウェブサイトの掲載日:令和4年(2022年)8月2日 [公開事由] 展示会名:ロボットテクノロジージャパン2022(ROBOT TECHNOLOGY JAPAN 2022) 展示日 :令和4年(2022年)6月30日~7月2日(3日間)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り [公開事由] 展示会名:あさひ工場完成記念プライベートショー 展示日 :令和4年(2022年)6月6日~6月10日(5日間) [公開事由] 展示会名:MEX金沢2022(第58回機械工業見本市金沢) 石川県産業展示館(3・4号館)(石川県金沢市袋畠町南193) 展示日 :令和4年(2022年)5月19日~5月21日(3日間) [公開事由] 展示会名:MECT2021(メカトロテックジャパン2021) ポートメッセ名古屋(名古屋市国際展示場)(愛知県名古屋市港区金城ふ頭二丁目2番地) 展示日 :令和3年(2021年)10月20日~10月23日(4日間) [公開事由] 刊行物:T-news Vol.total 163 125号(2022 Summer)(TAKAMAZをまるごと紹介するコミュニティ情報誌) 高松機械工業株式会社 発行日 :令和4年(2022年)7月29日 [公開事由] 刊行物 :T-news Vol.total 162 124号(2022 Spring)(TAKAMAZをまるごと紹介するコミュニティ情報誌) 高松機械工業株式会社 発行日 :令和4年(2022年)4月22日 [公開事由] 刊行物 :T-news Vol.total 164 126号(2022 Autumn)(TAKAMAZをまるごと紹介するコミュニティ情報誌) 高松機械工業株式会社 発行日 :令和4年(2022年)10月17日 [公開事由] ウェブサイトのアドレス https://www.takamaz.co.jp/product/4736/ ウェブサイトの掲載日:令和4年(2022年)9月6日 [公開事由] ウェブサイトのアドレス https://www.aperza.com/catalog/page/10009913/59866/ ウェブサイトの掲載日:令和4年(2022年)3月22日 [公開事由] ウェブサイトのアドレス https://www.ipros.jp/catalog/detail/643465?hub=60+905304 https://www.ipros.jp/product/detail/2000698880 ウェブサイトの掲載日:令和4年(2022年)9月6日
(71)【出願人】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕貴
【テーマコード(参考)】
3C011
3C033
3C707
【Fターム(参考)】
3C011DD00
3C033HH05
3C707AS05
3C707BS10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】加工装置の作業開口を通してのメンテナンスが容易であるとともに、ロボット装置の先端部を加工域の奥まで届かせることができる加工システムを提供する。
【解決手段】NC旋盤2(加工装置)と、加工対象物を供給する及び/又は加工済み加工対象物を取り出す対象物取扱い装置と、を具備する加工システム。NC旋盤2は、本体カバー8と、この本体カバー8に設けられた作業開口14を開閉するための開閉ドア16とを備えている。対象物取扱い装置は、架台32と、架台32に支持された取付テーブル34と、取付テーブル34に搭載されたロボット装置36とを含み、取付テーブル34は、NC旋盤2の作業開口14の前面側に位置する作業位置と、この作業位置から後退した後退位置との間を移動自在に架台32に支持されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工対象物を所要の通りに加工する加工装置と、前記加工装置に加工対象物を供給する及び/又は前記加工装置にて加工した加工済み加工対象物を前記加工装置から取り出す対象物取扱い装置と、を具備する加工システムであって、
前記加工装置は、加工装置本体の外観を覆う本体カバーと、前記本体カバーに設けられた作業開口を開閉するための開閉ドアと、を備え、前記開閉ドアは、前記作業開口を開放する開位置と前記作業開口を覆う閉位置との間を移動自在に装着されており、
前記対象物取扱い装置は、前記加工装置の前記作業開口に関連して配設された架台と、前記架台に支持された取付テーブルと、前記取付テーブルに搭載されたロボット装置と、を含み、前記取付テーブルは、前記加工装置の前記作業開口の前面側に位置する作業位置と、前記作業位置から後退した後退位置との間を移動自在に前記架台に支持されていることを特徴とする加工システム。
【請求項2】
前記対象物取扱い装置の前記架台の上端部には一対の案内レールが設けられ、前記取付テーブルの底部には、前記架台側の前記一対の案内レールに対応して一対の被案内部材が設けられ、前記取付テーブル側の一対の被案内部材が前記架台側の前記一対の案内レールに移動自在に支持されており、前記取付テーブルには、更に、前記架台側の前記一対の案内レールの一方又は双方に作用するブレーキ手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記対象物取扱い装置の前記架台の一端側には、前記取付テーブルが前記作業位置と前記後退位置との間を移動自在に配設され、前記架台の他端側には、加工対象物を収容するための収容ボックスが配設されており、また前記ロボット装置は、前記取付テーブルに取り付けられたベース部と、前記ベース部に対して垂直に延びる第1軸線を中心として回転自在に支持された回転部材と、前記回転部材に前記第1軸線に対して垂直な第2軸線を中心として回転自在に支持された第1アーム部材と、を含み、前記ロボット装置の前記ベース部が前記作業位置に向けて下方に傾斜して前記取付テーブルに取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
【請求項4】
前記ロボット装置の前記ベース部は、前記水平面を基準にして前記作業位置に向けて10~20度下方に傾斜して前記取付テーブルに取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の加工システム。
【請求項5】
前記対象物取扱い装置の前記架台の一端側は、前記本体カバーの前記作業開口の少なくとも一部の前面側まで延びており、前記取付テーブルを前記後退位置まで移動させた状態においては、前記取付テーブルに搭載された前記ロボット装置は、前記本体カバーの前記作業開口から外れるように構成されており、また前記架台の一端側には、その一端から内側に延びる作業空間が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の加工システム。
【請求項6】
架台と、前記架台に支持された取付テーブルと、前記取付テーブルに搭載されたロボット装置と、を備え、前記架台の一端側には、前記取付テーブルが作業位置と後退位置との間を移動自在に配設され、前記架台の他端側には、加工対象物を収容するための収容ボックスが配設されており、
また、前記ロボット装置は、前記取付テーブルに取り付けられたベース部と、前記ベース部に対して垂直に延びる第1軸線を中心として回転自在に支持された回転部材と、前記回転部材に前記第1軸線に対して垂直な第2軸線を中心として回転自在に支持された第1アーム部材と、を含み、前記ロボット装置の前記ベース部が前記作業位置に向けて下方に傾斜して前記取付テーブルに取り付けられていることを特徴とする対象物取扱い装置。
【請求項7】
前記ロボット装置の外側を仕切るための仕切り壁を更に備え、前記仕切り壁が前記取付テーブルに取り付けられており、前記仕切り壁は、前記取付テーブルを前記作業位置に位置付けたときには加工装置の作業開口の前面側を覆い、前記取付テーブルを前記後退位置に位置付けたときには前記作業開口の前面側を開放するように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の対象物取扱い装置。

















【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット装置を用いて加工装置に加工対象物を供給する及び/又は加工装置から加工対象物を取り出す際に用いる対象物取扱い装置及びこの対象物取扱い装置を備えた加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット装置を用いて工作機械へ加工対象物を供給及び/又は取出しを行う対象物取扱い装置を備えた加工システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この加工システムにおいては、工作機械(加工装置)の側面に作業開口が設けられ、この作業開口に関連して開閉ドアが設けられる。この開閉ドアは、加工対象物に加工を施すときには加工液、切粉などの周囲への飛散防止、また作業上の安全性確保のために閉状態に保持され、また加工対象物を供給及び/又は取出すときには、ロボット装置を介しての加工対象物の供給及び/又はロボット装置への加工済み加工対象物の受取りをするために開状態に保持される。
【0003】
この対象物取扱い装置は、対象加工物を搬送するためのロボット装置を備えている。このロボット装置は、ベース部材と、このベース部材に装着されたロボット本体とを有し、このロボット本体は、ベース部材に対して垂直に延びる第1軸線を中心として回転自在に装着される。また、工場の床面などに上面が傾斜した台部材が固定され、ロボット装置のベース部材はこの台部材の傾斜面に取り付けられる。
【0004】
この加工システムにおいては、対象物取扱い装置は工作機械の作業開口側に配設され、ロボットのベース部材は工作機械の作業開口から水平方向にずれた位置に設置される。また、台部材の傾斜面は工作機械の作業開口側に向けて下方に傾斜し、この傾斜面にロボット装置のベース部材が取り付けられる。このように構成されるので、ロボット装置の第1軸線は工作機械の作業開口側に傾斜して延び、ロボット本体は作業開口側に傾斜した状態で回転される。
【0005】
このように構成することによって、ロボット本体を工作機械の作業開口(即ち、カバー部材)に重ならないようにすることができ、工作機械におけるこの作業開口を通してのメンテナンスを容易に行うことができ、またロボット本体のアーム部材の先端部を工作機械の加工域の奥部まで届かせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4603604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の加工システムでは、工場の床面などに台部材が固定的に取り付けられ、この台部材の傾斜面にロボット装置のベース部材が取り付けられる構成であり、それ故に、ロボット装置を工作機械の作業開口に重ならないようにするためには台部材(換言すると、これに取り付けられるベース部)をこの作業開口から外れた位置に配設する必要があるが、このように配設した場合、ロボット装置のベース部材が工作機械の作業開口から離れるために、作業開口を通してのメンテナンスは容易となるが、ロボット本体の先端部を工作機械の加工域の奥の方まで届かせることが難しくなる。
【0008】
本発明の目的は、加工装置の作業開口を通してのメンテナンスが容易であるとともに、ロボット装置の先端部を加工装置の加工域の奥の方まで届かせることができる加工システムを提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、加工装置に適用したときにロボット装置の先端部を加工装置の加工域の奥の方まで届かせることができる対象物取扱い装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の加工システムは、加工対象物を所要の通りに加工する加工装置と、前記加工装置に加工対象物を供給する及び/又は前記加工装置にて加工した加工済み加工対象物を前記加工装置から取り出す対象物取扱い装置と、を具備する加工システムであって、
前記加工装置は、加工装置本体の外観を覆う本体カバーと、前記本体カバーに設けられた作業開口を開閉するための開閉ドアと、を備え、前記開閉ドアは、前記作業開口を開放する開位置と前記作業開口を覆う閉位置との間を移動自在に装着されており、
前記対象物取扱い装置は、前記加工装置の前記作業開口に関連して配設された架台と、前記架台に支持された取付テーブルと、前記取付テーブルに搭載されたロボット装置と、を含み、前記取付テーブルは、前記加工装置の前記作業開口の前面側に位置する作業位置と、前記作業位置から後退した後退位置との間を移動自在に前記架台に支持されていることを特徴とする。
【0011】
このような加工システムにおいては、対象物取扱い装置の架台の上端部に一対の案内レールを設け、取付テーブルの底部に一対の被案内部材を設け、取付テーブル側の一対の被案内部材を架台側の一対の案内レールに移動自在に支持するのが好ましく、このように構成することにより、取付テーブルを作業位置と後退位置との間をスムースに移動させることができる。また、取付テーブルに一対の案内レールの一方又は双方に作用するブレーキ手段を設けるのが好ましく、このように構成することにより、この取付テーブルを作業位置と後退位置との間の任意の位置に保持することができる。
【0012】
このような加工システムでは、架台の一端側に取付テーブルを設け、その他端側に収容ボックスを設けるのが好ましく、このように構成することにより、収容ボックスに収容された加工対象物をロボット装置により加工装置に供給する及び/又は加工装置にて加工した加工済み加工対象物をロボット装置により取り出して収容ボックスに収容することができる。また、ロボット装置のベース部を作業位置に向けて下方に傾斜するように取付テーブルに取り付けるのが好ましく、このように構成することによって、ロボット装置の先端部を加工装置の作業域の奥の隅の方まで届かせることができる。
【0013】
また、このロボット装置のベース部を水平面を基準にして作業位置に向けて10~20度下方に傾斜して取付テーブルに取り付けるのが好ましく、このように構成することによって、工作機械の作業開口を通して作業域の隅の方まで届かせることができる。
【0014】
更に、この加工システムにおいては、架台の一端側を本体カバーの作業開口の少なくとも一部の前面側まで延ばし、後退位置まで移動させた状態では、ロボット装置が本体カバーの作業開口から外れるようにし、加えてこの架台の一端側に、その一端から内側に延びる作業空間を設けるのが好ましく、このように構成することにより、作業者は架台の一端側から架台の作業空間に自由に出入りすることができ、この作業空間に入った状態で作業開口を通して加工部装置のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0015】
更に、本発明の対象物取扱い装置は、架台と、前記架台に支持された取付テーブルと、前記取付テーブルに搭載されたロボット装置と、を備え、前記架台の一端側には、前記取付テーブルが作業位置と後退位置との間を移動自在に配設され、前記架台の他端側には、加工対象物を収容するための収容ボックスが配設されており、
また、前記ロボット装置は、前記取付テーブルに取り付けられたベース部と、前記ベース部に対して垂直に延びる第1軸線を中心として回転自在に支持された回転部材と、前記回転部材に前記第1軸線に対して垂直な第2軸線を中心として回転自在に支持された第1アーム部材と、を含み、前記ロボット装置の前記ベース部が前記作業位置に向けて下方に傾斜して前記取付テーブルに取り付けられていることを特徴とする。
【0016】
この対象物取扱い装置においては、ロボット装置の外側を仕切るための仕切り壁を設け、この仕切り壁を取付テーブルが作業位置に位置するときには加工装置の作業開口の前面側を覆い、取付テーブルが後退位置に位置するときには作業開口の前面側を開放するように構成するのが好ましく、これによって、取付テーブル(ロボット装置)の移動とともに仕切り壁を所要の通りに移動させて作業上の安全性、メンテナンスの容易性を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の加工システムによれば、加工装置に加工対象物を供給する及び/又は加工済み加工対象物を加工装置から取り出す対象物取扱い装置は、加工装置の作業開口に関連して配設された架台と、架台に支持された取付テーブルと、取付テーブルに搭載されたロボット装置とを含み、取付テーブルは、作業位置とこの作業位置から後退した後退位置との間を移動自在である。取付テーブルを作業位置に位置付けると、この取付テーブル、即ちこれに搭載されたロボット装置が加工装置の作業開口の前面側に位置し、これによって、ロボット装置の先端部をこの作業開口を通して加工装置内の加工域の隅まで届かせることができ、加工対象物を加工装置に供給及び/又は取出しを容易に行うことができる。また、取付テーブルを後退位置に移動させると、この取付テーブル、即ちこれに搭載されたロボット装置が加工装置の作業開口の前面側から外れ、これによって、この作業開口の前面側に作業空間が生じ、この作業空間を利用して作業開口を通してのメンテナンスなどを容易に行うことができる。
【0018】
また、本発明の対象物取扱い装置によれば、架台の一端側に取付テーブルが作業位置と後退位置との間を移動自在に配設され、この架台の他端側に加工対象物を収容するための収容ボックスが配設されているので、取付テーブルに搭載されたロボット装置を利用して、収容ボックスに収容された加工対象物を取り出して供給する及び/又は加工済み加工物を収容ボックスに収容することができる。また、取付テーブルが作業位置と後退位置との間を移動自在であるので、この取付テーブル及びこれに搭載されたロボット装置を例えば加工装置の作業開口の前面側に位置付けたり、この作業開口の前面側から後退させりすることができる。更に、ロボット装置のベース部が作業位置側に向けて下方に傾斜して取付テーブルに取り付けられているので、ロボット装置の第1軸線がこの作業位置側に傾斜し、これによって、ロボット装置の先端部の可動範囲を作業装置側に大きくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明従う加工システムの一実施形態を簡略的に示す正面図。
図2図1の加工システムを簡略的に示す平面図。
図3図1の加工システムにおける対象物取扱い装置を示す斜視図。
図4図3の対象物取扱い装置におけるロボット装置を示す斜視図。
図5図4のロボット装置における先端部を示す部分斜視図。
図6図3の対象物取扱い装置における収容ボックスを示す部分斜視図。
図7図3の対象物取扱い装置において取付テーブルを後退位置に位置付けた状態で示す斜視図。
図8図3の対象物取扱い装置において、取付テーブルが作業位置に位置するときにおけるロボット装置の先端部の可動範囲を簡略的に示す説明図。
図9図3の対象物取扱い装置において、取付テーブルが後退位置に位置するときにおけるロボット装置の先端部の可動範囲を簡略的に示す説明図。
図10図3の対象物取扱い装置において第1軸線が垂直である場合におけるロボット装置の先端部の可動範囲を簡略的に示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う加工システム(及び対象物取扱い装置)の一実施形態について説明する。
【0021】
図1及び図2において、図示の加工システムは、加工対象物としてのワークW(図5参照)を加工する加工装置としてのNC旋盤2と、このNC旋盤2にワークWを供給するとともに加工したワークWをNC旋盤2から取り出す対象物取扱い装置4とを備えている。NC旋盤2は、工場の床面などに設置される加工装置本体としての旋盤本体6(図2参照)と、この旋盤本体6(加工装置本体)の外観を覆う本体カバー8を備え、この本体カバー8は、旋盤本体6の前面を覆う前カバー10(図1参照)及びその上面を覆う上カバー12(図2参照)などを有している。この前カバー10の幅方向(図1及び図2において左右方向)略中央部には矩形状の作業開口14が設けられ、この作業開口14は、前カバー10から上カバー12の前部にわたって設けられている。
【0022】
本体カバー8の作業開口14に関連して、開閉ドア16が開閉自在に配設されている。開閉ドア16には取っ手18が設けられ、この取っ手18を把持して矢印20で示す開方向(即ち、図1及び図2において左方)に開位置(図1及び図2に実線で示す位置)まで移動させることができ、また矢印22で示す閉方向(図1及び図2において右方)に閉位置(図1及び図2に一点鎖線で示す位置)まで移動させることができる。
【0023】
この開閉ドア16を開位置に位置付けて開状態にすると、図1及び図2に示すように、本体カバー8の作業開口14が開放され、この開放された作業開口14を通して、後述するように、対象物取扱い装置4を用いてワークWをNC旋盤2に供給することができ、またNC旋盤2にて加工された加工済みワークWをこのNC旋盤2から取り出すことができる。更に、この開放された作業開口14を通して、NC旋盤2内のメンテナンスを行うことができる。
【0024】
また、この開閉ドア16を閉位置に位置付けて閉状態にすると、図示していないが、本体カバー8の作業開口14が閉じられ、加工時に発生する切粉、加工液などの周囲への飛散を防止することができ、また作業者などに対する加工時の安全性を確保することができる。
【0025】
このNC旋盤2を更に概説すると、この実施形態では、旋盤本体6(加工装置本体)の左部には主軸部(図示せず)が設けられ、この主軸部に主軸24が回転自在に支持されている。主軸24にはチャック手段26が装着され、加工すべきワークW(加工対象物)は、このチャック手段26に着脱自在に取り付けられる。主軸24に対向して工具保持手段としてのタレット28が配設され、このタレット28にワークWを加工する加工工具(例えば、切削工具)(図示せず)が取り付けられる。タレット28は所定角度毎に回転され、これにより、ワークWを加工すべき加工工具が選択される。主軸部(図示せず)とタレット28との間に加工域Sが存在し、この加工域SにてワークWの加工が行われる。
【0026】
開閉ドア16が開状態のときには、図1及び図2に示すように、NC旋盤2内の加工域Sが開放され、対象物取扱い装置4は、開放された作業開口14を通してワークWをNC旋盤2のチャック手段26に取り付けることができ、また加工されたワークWをチャック手段26から外してこの作業開口14を通して外側に取り出すことができる。尚、NC旋盤2の右部には操作盤30が設けられ、この操作盤30によって、NC旋盤2の加工条件などが設定される。この実施形態では、NC旋盤としてタレット28を備えたタレット型のものに適用しているが、例えば加工工具を取り付ける櫛歯構造を備えた櫛歯型のものにも同様に適用することができる。
【0027】
次に、図1及び図2とともに図3図6を参照して、対象物取扱い装置4について説明する。図示の対象物取扱い装置4は、工場の床面などに設置される架台32と、この架台32に支持された取付テーブル34と、この取付テーブル34に搭載されたロボット装置36と、ワークW(加工対象物)を収容する収容ボックス38とを備えている。
【0028】
この架台32は、下側に配設された一対の下縦フレーム40、42と、上側に配設された一対の上縦フレーム44,46とを備え、これら縦フレーム40~46が架台32の長手方向に延びている。一対の下縦フレーム40,42は、複数(この形態では、3つ)の下横フレーム48により接続され、また一対の上縦フレーム44,46は、複数(この形態では、3つ)の上横フレーム50(図6において1つ、図7において他の1つ示す。)により接続され、複数の下横フレーム48と複数の上横フレーム50とは上下方向に対応して設けられている。
【0029】
更に、片側の下縦フレーム40及び上縦フレーム44は複数(この形態では、3つ)の上下フレーム52により接続され、また他側の下縦フレーム42及び上縦フレーム46は、複数(この形態では、3つ)の上下フレーム54(図3及び図7において2つ、図6において残りの1つを示す。)により接続され、片側の複数の上下フレーム52と他側の複数の上下フレーム54とは横方向に対応して設けられている。
【0030】
この実施形態では、架台32の片側(図1及び図2において右側、図3において左側)に取付テーブル34が配置され、その他側に収容ボックス38が配置されている。更に説明すると、架台32の上面、この形態では一対の上縦フレーム44,46及び複数の上横フレーム50の上面には上プレート55が取り付けられ、この上プレート55の両側部に一対の案内レール56,58が設けられ、これら案内レール56,58は上縦フレーム44,46の軸方向に延びている。また、取付テーブル34の底部(この形態では、その下面)には、片方の案内レール56に対応して一対の被案内部材60が取り付けられ、他方の案内レール58に対応して一対の被案内部材(図示せず)が取り付けられ、これらの被案内部材60は対応する案内レール56にスライド自在に装着されている。
【0031】
この実施形態では、取付テーブル34(及びこれに搭載されたロボット装置36)は、図3に示す作業位置(図1及び図2に実線で示す位置)と図7に示す後退位置(図1及び図2に一点鎖線で示す位置)との間を移動自在に架台32に支持されている。一対の案内レール56,58の一端部には第1ストッパ部材62が設けられ、取付テーブル34の一端部が第1ストッパ部材62に当接することによって、取付テーブル34の上記作業位置を越える移動が阻止される。また、一対の案内レール56,58の他端部には第2ストッパ部材64が設けられ、取付テーブル34の他端部が第2ストッパ部材64に当接することによって、取付テーブル34の上記後退位置を越える移動が阻止される。尚、図6及び図7においては、第1及び第2ストッパ部材62,64を省略して示している。
【0032】
一対の案内レール56,58に関連して、ブレーキ手段65が設けられ、この実施形態では、ブレーキ手段65は、取付テーブル34の両側部の下面に取り付けられている(図3及び図7において、それらの一方のみを示す。)。このブレーキ手段65は、例えば、空気圧を利用したエアーブレーキから構成することができ、制動状態においては一対の案内レール56,58に作用して取付テーブル34(即ち、ロボット装置36)の移動を拘束し、制動解除状態においては一対の案内レール56,58に対する取付テーブル34の移動を許容する。このブレーキ手段65を制動状態にすることにより、取付テーブル34(即ち、ロボット装置36)を作業位置(図1及び図2に実線で示す位置)及び後退位置(図1及び図2に一点鎖線で示す位置)にロック保持することができ、また作業位置と後退位置との間の任意の位置でもロック保持することができる。
【0033】
このブレーキ手段65の制動、制動解除は、図示していないが、例えば操作スイッチ及び電磁弁を用いて行うことができる。例えば、NC旋盤2の操作盤30に操作スイッチ(図示せず)を設け、この操作スイッチを操作して電磁弁(図示せず)を作動制御し、例えば圧縮空気を供給することにより制動状態に保持し、また圧縮空気を排出することにより制動解除状態に保持することができる。
【0034】
次に、主として図3図5を参照してロボット装置36について説明する。このロボット装置36は、取付支持するためのベース部66と、このベース部66に回転自在に支持された回転部材68と、この回転部材68に回転自在に装着された第1アーム部材70と、この第1アーム部材70に回転自在に装着された第2アーム部材72とを含んでいる。回転部材68は、ベース部66に対して垂直に延びる第1軸線L1を中心としてこのベース部66に回転自在に支持され、第1アーム部材70(その基部)は、第1軸線L1に対して垂直な第2軸線L2を中心として回転自在に回転部材68に装着され、また第2アーム部材72(その基部)は、第2軸線L2に平行な第3軸線L3を中心として回転自在に第1アーム部材70の先端部に装着されている。
【0035】
この第2アーム部材72は、連結基部74と、この連結基部74の先端側に装着された先端連結部76とを有し、この連結基部74が上述したように第1アーム部材70の先端部に連結され、先端連結部76が第3軸線L3に対して垂直に延びる第4軸線L4を中心として回転自在にこの連結基部74に装着されている。
【0036】
このロボット装置36においては、更に、第2アーム部材72の先端部に、図5に示すように、ワークWを保持する保持機構80が装着される。この保持機構80は、取付基部82と、この取付基部82に装着された先端支持部84とを有し、この取付基部82が第2アーム部材72の先端連結部74に第3軸線L3と平行に延びる第5軸線L5(図4参照)を中心として回転自在に装着され、また先端支持部84が第5軸線L5に対して垂直に延びる第6軸線L6を中心として回転自在にこの取付基部82に装着され、この先端支持部84にワークWを保持するワーク保持機構86が取り付けられている。
【0037】
このワーク保持機構86は、ワークWを着脱自在に保持する2つのワークチャック手段、第1及び第2ワークチャック手段88,90を備え、第1及び第2ワークチャック手段88,90は、開閉自在である一対の第1及び第2チャック爪92,94を有している。例えば、第1ワークチャック手段88は、加工すべきワークWを保持してNC旋盤2のチャック手段26に搬送し、第2ワークチャック手段90は、NC旋盤2のチャック手段26に保持されて加工されたワークWを受け取って加工域Sから取り出す。
【0038】
この実施形態では、ロボット装置36は、図3及び図4に示すように、傾斜台96を介して取付テーブル34に取り付けられる。図示の傾斜台96は、取付テーブル34に固定される固定取付部98と、この固定取付部98に複数の支持脚部100を介して取り付けられる傾斜部102とを備え、この傾斜部102の上面、即ち傾斜取付面は、NC旋盤2の作業開口14(図1及び図2参照)側に向けて下方に傾斜している。
【0039】
ロボット装置36(具体的には、そのベース部66)は、傾斜台96の傾斜部102の傾斜上面に取り付けられ、取付テーブル34に取り付けた状態では、ロボット装置36の第1軸線L1は、取付テーブル34(換言すると、水平面)に対して垂直な軸線L0を基準にしてNC旋盤2の作業開口14側に傾斜するようになり、この傾斜角度α(図4参照)は、例えば10~20度に設定される。尚、この傾斜角度αは、12~18度とするのが好ましく、このような角度にすることによって、ロボット装置36の先端部、即ちワーク保持機構86をNC旋盤2の作業域Sの隅まで届かせることができ、またNC旋盤2にて加工したワーク(加工対象物)を収容ボックス38の奥まで搬送して収容することができる。
【0040】
尚、この実施形態においては、ロボット装置36を傾斜台96を介して取付テーブル34に取り付けているが、例えば、この傾斜台96を省略する代わりに傾斜部を取付テーブル34に設け、取付テーブル34のこの傾斜部に取り付けるようにしてもよい。
【0041】
次に、この対象物取扱い装置4の収容ボックス38について説明する。主として、図3及び図6を参照して、この収容ボックス38は、箱状のボックス本体112を備え、このボックス本体112が架台32の上プレート55に取り付けられている。このボックス本体112内は上下4段の引出し構造に構成され、最上位から下側に順に4つの引出し114(第1~第4引出し114a~114d)が配設されている。
【0042】
各引出は114(114a~114d)の両側面には、一対の引出支持部材116,118が設けられ(図3に片方の引出支持部材116を示し、図6に他方の引出支持部材118を示す)、この引出支持部材116,118により、ボックス本体112から手前側(ロボット装置36側)に引き出した引出位置(図3及び図6において、第1引出し114aを示す位置)と、ボックスス本体112内に収納された収納位置(図3及び図6において、第2~第3引出し114b~114cを示す位置)との間を引出、収納自在である。
【0043】
各引出114(第1~第4引出し114a~114d)は底壁120を有し、この底壁120に収容トレイ122が位置決めして載置される。この収容トレイ122には、図示していないが、加工前のワーク(W)及び加工済みのワーク(W)が収容される。また、各引出し114(第1~第4引出し114a~114d)の前面側には取っ手部124が設けられ、この取っ手部124を手前側に引くことにより、引出し114をボックス本体112から引き出すことができ、またこの取っ手部124を奥側に押すことにより引き出し114をボックス本体112内に収納することができ、このような引出操作及び収納操作は、ロボット装置36により所要の通りに行うことができる。
【0044】
この対象物取扱い装置4では、収容ボックス38のボックス本体112の前面側(ロボット装置36側)及び背面側(前面側とは反対側)は、開放されており、その前面側の開口を通して第1~第4引出し114a~114dが外側に露出している。また、このボックス本体112の背面側の開口には開閉扉126(図6参照)が開閉自在に設けられ、この開閉扉126を開方向に回動させることによって、この背面側開口を開放することができ、また閉方向に回動させることによって、この背面側開口を閉じることができる。尚、収容ボックス38の下側の空間には、ロボット装置36を制御するための制御ボックス127(図6参照)が配設されている。
【0045】
収容ボックス38に開閉扉126を設けることに関連して、更に、次のように構成されている。図2を参照して、この対象物取扱い装置4は、NC旋盤2(加工装置)に隣接してその作業開口14(即ち、これを覆う開閉ドア16)の前面側に設置される。このように設置すると、架台32の一端側は、NC旋盤2の作業開口14の少なくとも一部の前面側まで延びるようになる。
【0046】
このような設置状態において、対象物取扱い装置4の取付テーブル34(即ち、ロボット装置36)を上記作業位置に位置付けると、この取付テーブル34(ロボット装置36)は、NC旋盤2の作業開口14の前面側に位置し、ロボット装置36のベース部66の少なくとも一部がこの作業開口14の領域(NC旋盤2の横方向において作業開口14に対応する上下方向の領域)に重なるように位置付けられ、このように構成することにより、ロボット装置36の先端側をNC旋盤2の作業開口14を通して作業域Sの奥の方まで移動させることができる。
【0047】
このことに関連して、更に、この加工システムでは、図2に簡略的に太い実線で示すように、仕切り壁132が設けられ、この仕切り壁132は、対象物取扱い装置4の取付テーブル34に取り付けられている。この仕切り壁132は、ロボット装置36の外側(NC旋盤2の作業開口14に面する面とは反対側の面を覆い、具体的には対象物取扱い装置4の一端側からその外側面を通り収容ボック38の前面開口部までを覆っている。
【0048】
この実施形態では、図2に示すように、取付テーブル34(即ち、ロボット装置36)が実線で示す作業位置にあるときには、仕切り壁132はNC旋盤2の作業開口14の前面側を覆い、このように覆うことにより、NC旋盤2の作業開口14及び対象物取扱い装置4のロボット装置36を含む加工作業域S1と、作業者が安全に作業できる安全作業域S2とに仕切り、これにより作業上の安全を確保している。
【0049】
そして、このように構成することにより、加工作業中においては対象物取扱い装置4の収容ボックス38の背面側の開口部は安全作業域S2に位置するようになる。従って、開閉扉126を開状態にしてその背面側開口を開放する(図6参照)ことにより、安全作業域S2において作業者は収容トレイ122を引出し114(第1~第4引出し114a~114d)に載置する(例えば、加工前のワークWを補充する)、また引出し114(第1~第4引出し114a~114d)から取り出す(例えば、加工後のワークWを取り出す)ことができる。
【0050】
また、取付テーブル34(ロボット装置36)を矢印20で示す方向に移動させて一点鎖線で示す後退位置に位置付けると、仕切り壁132は、ロボット装置36とともにNC旋盤2の作業開口14から横に移動して外れ、この作業開口14の前面側が開放され、このように構成することにより、NC旋盤2の作業開口14を通しての種々のメンテナンスを容易に行うことができる。尚、このような取付テーブル34の移動が容易となるように、仕切り壁132に取っ手部材(図示せず)が設けられる。
【0051】
この実施形態では、ボックス本体112を上下4段の引出構造にしているが、このような構成に限定されず、上下2段又は3段、或いは上下5段以上の引出構造にすることもできる。或いは、このような収容ボックス38に代えて、搬送ベルトなどを用いた搬送ベルト機構を採用し、例えば、加工前のワークW(加工対象物)を供給用の搬送ベルト機構を用いてロボット装置36に供給し、またロボット装置36からの加工済みワーク(W)を排出用の搬送ベルト機構を用いて排出側に搬送する、又は排出用の収容ボックスなどに収容するようにしてもよい。
【0052】
この対象物取扱い装置4は、NC旋盤2のメンテナンスなどが容易となるように次のように構成されている。主として図2及び図7を参照して、この対象物取扱い装置4においては、架台32の上プレート55の一端部には矩形状の切欠き142(図7参照)が設けられている。この切欠き142の幅方向は、一対の上縦フレーム44,46の内側まで拡がり、その縦方向は、一つ目の上横フレーム50の内側まで延びている。
【0053】
このことに関連して、片側の下縦フレーム40及び上縦フレーム44の一端部(ロボット装置36側の端部)間には、上下フレーム52が設けられ、また他側の下縦フレーム42及び上縦フレーム46の一端部(ロボット装置36側の端部)間には、上下フレーム54が設けられている。一方、一対の下縦フレーム40,42の一端部間には下横フレームが設けられておらず、また一対の上縦フレーム44,46の間にも上横フレームが設けられていない。このように構成されているので、架台32の一端部には、作業者が出入りすることができる作業空間Pが規定され、この作業空間Pは架台32の一端から縦方向に一つ目の下横フレーム48及び上横フレーム50まで延び、NC旋盤2の作業開口14の内側端(主軸24側の側部)まで延びているのが好ましい。
【0054】
このことに関連して、更に、次のように構成される。即ち、対象物取扱い装置4の取付プレート34(即ち、ロボット装置36)を矢印142(図3)で示す方向に移動させて作業位置に位置付けると、図3に示すように、架台32の一端部に位置し、その上プレート55の切欠き142を覆うようになる。この作業位置に位置付けた状態では、図1及び図2に示すように、取付テーブル34(ロボット装置36)がNC旋盤2の作業開口14の前側に位置し、その少なくとも一部がこの作業開口14の領域に重なるようになる。尚、この作業位置においては、取付テーブル34(ロボット装置36)の大部分がこの作業開口14の領域に重なるようにしてもよい。
【0055】
一方、取付テーブル34(ロボット装置36)を矢印144(図7)で示す方向に移動させて後退位置に位置付けると、この取付テーブル34(ロボット装置36)がNC旋盤2の作業開口14の領域から外れ、NC旋盤2の作業開口14の前面側が開放され、更に、架台32の上プレート55の切欠き142が図7に示すように開放される。また、仕切り壁132が図2に一点鎖線で示す位置まで後退することにより、この上プレート55の切欠き142の開放側が開放されるようになる。このような状態においては、作業者は架台32の一端側から作業空間P内に自由に出入りすることができ、この作業空間Pに入ることによって、NC旋盤2内のメンテナンスを作業開口14を通して容易に行うことが可能となる。
【0056】
この加工装置においては、ロボット装置36のベース部66が水平面(この実施形態では、取付テーブル34の上面)を基準にして作業位置側(即ち、架台32の一端側)に向けて下方に傾斜している、換言すると、ベース部66の第1軸線L1が作業位置側に傾斜している場合、ロボット装置36の先端部の可動範囲は図8及び図9に一点鎖線Rで示す通りとなる。一方、ロボット装置36のベース部66が傾斜していない、換言すると、ベース部66の第1軸線L1が水平面(取付テーブル34の上面)に対して垂直に延びている場合、ロボット装置36の先端部の可動範囲は図10に二点鎖線Qで示す通りとなる。
【0057】
図8及び図9図10とを対比することによって理解される如く、ロボット装置36のベース部66を傾斜させた場合には、このベース部66を傾斜させない場合に比して、その可動範囲が架台32の一端側に移動するとともに、この可動範囲が一端側に傾斜してこの可動範囲の前後のバランスが改善され、これによって、ロボット装置36の先端部をNC旋盤2の作業開口14を通して作業域Sの奥まで移動させることが可能となる。
【0058】
以上、本発明に従う加工システム(及び対象物取扱い装置)の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、加工装置としてのNC旋盤2に適用して説明したが、このようなNC旋盤に限定されず、中ぐり盤、フライス盤、研削盤、射出成形装置などの種々の加工装置にも同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
2 NC旋盤(加工装置)
4 対象物取扱い装置
6 旋盤本体(加工装置本体)
8 本体カバー
14 作業開口
16 開閉ドア
32 架台
34 取付テーブル
36 ロボット装置
38 収容ボックス
56,58 案内レール
66 ベース部
68 回転部材
70 第1アーム部材
72 第2アーム部材
80 保持機構
96 傾斜台
114,114a~114d 引出し
S 加工域
W ワーク(加工対象物)





図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10