(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059145
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
D06F 33/43 20200101AFI20240423BHJP
D06F 33/44 20200101ALI20240423BHJP
D06F 34/06 20200101ALI20240423BHJP
D06F 34/08 20200101ALI20240423BHJP
D06F 34/22 20200101ALI20240423BHJP
D06F 34/28 20200101ALI20240423BHJP
D06F 23/02 20060101ALI20240423BHJP
D06F 23/04 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
D06F33/43
D06F33/44
D06F34/06
D06F34/08
D06F34/22
D06F34/28
D06F23/02
D06F23/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166638
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】大江 克己
(72)【発明者】
【氏名】鳶 幸生
(72)【発明者】
【氏名】小西 良
(72)【発明者】
【氏名】中村 哲
(72)【発明者】
【氏名】村下 典子
【テーマコード(参考)】
3B165
3B167
【Fターム(参考)】
3B165AA02
3B165AA12
3B165AB42
3B165AE01
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3B167HA13
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3B167KA17
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3B167KB01
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3B167LC02
3B167LC07
3B167LC17
3B167LD03
3B167LD12
3B167LE02
3B167LF30
(57)【要約】
【課題】家屋の排水路に形成されたバイオフィルムを、オゾン水を用いて良好に除去でき得る洗濯機を提供する。
【解決手段】全自動洗濯機1Aは、外槽20内に回転可能に配置された洗濯脱水槽22と、洗濯脱水槽22内に回転可能に配置されたパルセータ24と、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を回転させるための駆動ユニット30と、オゾン水を生成するためのオゾン水生成装置140と、外槽20内の水を、家屋内に設けられた排水路2へ排出させる排水部40と、制御部と、を備える。制御部は、排水路洗浄運転において、オゾン水生成装置140によりオゾン水を生成することにより、外槽20内にオゾン水を溜め、駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる動作およびパルセータ24と洗濯脱水槽22とを一体的に回転させる動作の何れも行わずに、排水部40により外槽20内のオゾン水を排水路2へ排出させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、
前記洗濯脱水槽内に回転可能に配置されたパルセータと、
前記洗濯脱水槽および前記パルセータを回転させるための駆動部と、
水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、
前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、
前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、
前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、
前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作および前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作の何れも行わずに、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、
前記洗濯脱水槽内に回転可能に配置されたパルセータと、
前記洗濯脱水槽および前記パルセータを回転させるための駆動部と、
水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、
前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、
前記オゾン水を用いて前記洗濯脱水槽を洗浄する槽洗浄運転と、前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転とを行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記槽洗浄運転において、
前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、
前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作または前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作を行い、
前記排水路洗浄運転において、
前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、
前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作および前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作の何れも行わずに、または、前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作および前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作の何れか一方を前記槽洗浄運転よりも短い時間行った後に、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、
前記ドラムを回転させるための駆動モータと、
水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、
前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、
前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、
前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、
前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を行わずに、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
筐体内に配置された外槽と、
前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、
前記ドラムを回転させるための駆動モータと、
水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、
前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、
前記オゾン水を用いて前記ドラムを洗浄する槽洗浄運転と、前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転とを行う制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記槽洗浄運転において、
前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、
前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を行い、
前記排水路洗浄運転において、
前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、
前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を行わずに、または、前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を前記槽洗浄運転よりも短い時間行った後に、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、
前記外槽内に前記オゾン水を溜める動作を開始する前に、前記外槽内に水が溜まっているか否かを判定し、
前記外槽内に水が溜まっている場合、当該水を前記排水部により排出させる、
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1ないし4の何れか一項に記載の洗濯機において、
前記排水部は、
前記排水バルブと、
前記排水バルブの開放により前記外槽から排出された水が流れる排水管路と、を含み、
前記排水管路内には、前記オゾン水の流れに渦流を発生させる渦流発生部が設けられる、
ことを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オゾン発生器で発生させたオゾンを含む水(以下、「オゾン水」と称する)を外槽内に溜め、外槽内に回転可能に配置された内槽を、オゾン水を用いて洗浄するようにした洗濯機が、たとえば、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0003】
特許文献1の洗濯機は、内槽の底部に配置された攪拌体を回転させて水流を生じさせ、洗濯物を洗う、いわゆる、縦型の洗濯機である。槽洗浄運転では、外槽内にオゾン水が溜められた状態で攪拌翼が回転して水流が発生し、オゾン水によって内槽が洗浄され、除菌され得る。
【0004】
特許文献2の洗濯機は、内槽である横軸型のドラムを回転させて洗濯物のたたき洗いを行う、いわゆる、ドラム式の洗濯機である。槽洗浄運転では、外槽内にオゾン水が溜められた状態でドラムが回転し、オゾン水によってドラムが洗浄され、ドラムに形成されたバイオフィルムが除去され得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-187294号公報
【特許文献2】特開2022-098364号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
家屋には、脱衣所等の洗濯機が設置される場所に排水路が設けられ、排水路への入口である排水口に洗濯機の排水ホースが接続される。洗濯機から排出された洗剤や汚れを含む汚水が、排水口を通じて排水路に流される。このため、排水路では、洗濯機からの汚水によって、排水口やその下流の排水管にバイオフィルム(ぬめり)が形成されやすく、排水口からの不快な臭いの発生などが危惧される。
【0007】
特許文献1や特許文献2の洗濯機で行われる槽洗浄運転では、攪拌翼やドラムを回転させる洗浄動作が行われることにより、外槽内の水に含まれる多くのオゾンが内槽に接触して内槽の洗浄のために消費される。このため、槽洗浄運転において外槽内、即ち洗濯機からの排出されるオゾン水は、オゾン濃度が大幅に低い状態となる。よって、槽洗浄運転では、洗濯機からオゾン水が排出されるものの、このオゾン水によって排水口等のバイオフィルムを除去することが難しい。
【0008】
ユーザは、排水路を洗浄するために、排水ホースを排水口から取り外し、排水口等、排水路の中をブラシ等で擦る作業を行ったり、排水路に水を流す作業を行ったりしなければならない。このため、ユーザに大きな労力が掛かることが懸念される。
【0009】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、家屋の排水路に形成されたバイオフィルムを、オゾン水を用いて良好に除去でき得る洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様に係る洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽内に回転可能に配置されたパルセータと、前記洗濯脱水槽および前記パルセータを回転させるための駆動部と、水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転を行う制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作および前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作の何れも行わずに、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる。
【0011】
たとえば、オゾン水生成部が外槽内へ水を供給する給水路に配置される場合、給水路を流れる水から生成されたオゾン水が外槽内に供給されることにより、外槽内にオゾン水が溜まる。また、たとえば、オゾン水生成部が外槽の底部に配置される場合、外槽内に供給された水からオゾン水が生成されることにより、外槽内にオゾン水が溜まる。
【0012】
本態様に係る洗濯機によれば、排水路洗浄運転において、外槽内のオゾン水が、洗濯脱水槽の洗浄による消耗を受けることなく、外槽内に溜められたときに近いオゾン濃度のまま排水路へと送られるので、十分なオゾンの作用により、排水路内を良好に洗浄でき、排水路内に形成されたバイオフィルムを良好に除去することが可能となる。よって、排水路内での不快な臭いの発生等を抑制することが可能となる。
【0013】
さらに、外槽内に溜められたオゾン水が一気に排水路内に流れるため、オゾン水が排水路の内壁面全体に接触しやすく、排水路内を一層良好に洗浄できる。
【0014】
本発明の第2の態様に係る洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に回転可能に配置された洗濯脱水槽と、前記洗濯脱水槽内に回転可能に配置されたパルセータと、前記洗濯脱水槽および前記パルセータを回転させるための駆動部と、水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、前記オゾン水を用いて前記洗濯脱水槽を洗浄する槽洗浄運転と、前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転とを行う制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記槽洗浄運転において、前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作または前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作を行う。さらに、前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作および前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作の何れも行わずに、または、前記駆動部により前記パルセータを回転させる動作および前記パルセータと前記洗濯脱水槽とを一体的に回転させる動作の何れか一方を前記槽洗浄運転よりも短い時間行った後に、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる。
【0015】
本態様に係る洗濯機によれば、槽洗浄運転において、パルセータの回転により発生した水流とオゾンとの作用、あるいは、オゾン水中での洗濯脱水槽の回転とオゾンとの作用により、洗濯脱水槽を洗浄でき、洗濯脱水槽に形成されたバイオフィルムを除去することが可能となる。
【0016】
さらに、排水路洗浄運転において、外槽内から排出されたオゾン水により、排水路内を良好に洗浄でき、排水路内に形成されたバイオフィルムを良好に除去することが可能となる。よって、排水路内での不快な臭いの発生等を抑制することが可能となる。また、外槽内に溜められたオゾン水が一気に排水路内に流れるため、オゾン水が排水路の内壁面全体に接触しやすく、排水路内を一層良好に洗浄できる。
【0017】
本発明の第3の態様に係る洗濯機は、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、前記ドラムを回転させるための駆動モータと、水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転を行う制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を行わずに、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる。
【0018】
本態様に係る洗濯機によれば、排水路洗浄運転において、外槽内のオゾン水が、ドラムの洗浄による消耗を受けることなく、外槽内に溜められたときに近いオゾン濃度のまま排水路へと送られるので、十分なオゾンの作用により、排水路内を良好に洗浄でき、排水路内に形成されたバイオフィルムを良好に除去することが可能となる。よって、排水路内での不快な臭いの発生等を抑制することが可能となる。また、外槽内に溜められたオゾン水が一気に排水路内に流れるため、オゾン水が排水路の内壁面全体に接触しやすく、排水路内を一層良好に洗浄できる。
【0019】
本発明の第4の態様に係る洗濯機において、筐体内に配置された外槽と、前記外槽内に配置され、水平軸または水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能なドラムと、前記ドラムを回転させるための駆動モータと、水にオゾンが混入されてなるオゾン水を生成するためのオゾン水生成部と、前記外槽内の水を、家屋内に設けられた排水路へ排出させる排水部と、前記オゾン水を用いて前記ドラムを洗浄する槽洗浄運転と、前記オゾン水を用いて前記排水路を洗浄する排水路洗浄運転とを行う制御部と、を備える。ここで、前記制御部は、前記槽洗浄運転において、前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を行う。さらに、前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、前記オゾン水生成部により前記オゾン水を生成することにより、前記外槽内に前記オゾン水を溜め、前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を行わずに、または、前記駆動モータにより前記ドラムを回転させる動作を前記槽洗浄運転よりも短い時間行った後に、前記排水部により前記外槽内の前記オゾン水を前記排水路へ排出させる。
【0020】
本態様に係る洗濯機によれば、槽洗浄運転において、オゾン水中でのドラムの回転とオゾンとの作用により、ドラムを洗浄でき、ドラムに形成されたバイオフィルムを除去することが可能となる。
【0021】
さらに、排水路洗浄運転において、外槽内から排出されたオゾン水により、排水路内を良好に洗浄でき、排水路内に形成されたバイオフィルムを良好に除去することが可能となる。よって、排水路内での不快な臭いの発生等を抑制することが可能となる。また、外槽内に溜められたオゾン水が一気に排水路内に流れるため、オゾン水が排水路の内壁面全体に接触しやすく、排水路内を一層良好に洗浄できる。
【0022】
第1ないし第4の態様に係る洗濯機において、前記制御部は、前記排水路洗浄運転において、前記外槽内に前記オゾン水を溜める動作を開始する前に、前記外槽内に水が溜まっているか否かを判定し、前記外槽内に水が溜まっている場合、当該水を前記排水部により排出させるような構成とされ得る。
【0023】
上記の構成によれば、排水路洗浄運転の前に外槽内に溜まっていた水に含まれる汚れや菌等により、オゾンが消費されてオゾン水の濃度が低下してしまうことを防止できる。よって、オゾン水により、一層良好に排水路内を洗浄することができる。
【0024】
第1ないし第4の態様に係る洗濯機において、前記排水部は、前記排水バルブと、前記排水バルブの開放により前記外槽から排出された水が流れる排水管路と、を含むような構成とされ得る。この場合、前記排水管路内には、前記オゾン水の流れに渦流を発生させる渦流発生部が設けられ得る。
【0025】
上記の構成によれば、排水管路内をオゾン水が渦を巻くように流れて勢い良く排水路内へ排出される。これにより、オゾン水が勢い良く排水路内を流れるので、その流れの勢いとオゾンの作用とが相まって、排水路の内壁面に形成されたバイオフィルムが除去されやすくなる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、家屋の排水路に形成されたバイオフィルムを、オゾン水を用いて良好に除去でき得る洗濯機を提供できる。
【0027】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明によりさらに明らかとなろう。ただし、以下の実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る、全自動洗濯機の側面断面図である。
【
図2】
図2(a)は、実施形態1に係る、オゾン水生成装置が断面で示された給水ユニットの平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA-A´断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る、全自動洗濯機の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)は、実施形態1に係る、槽洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。
図4(b)は、実施形態1に係る、槽洗浄運転に含まれる槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、実施形態1に係る、排水路洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。
【
図6】
図6(a)は、実施形態1の変更例1に係る、給水ユニットの平面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のB-B´断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態1の変更例2に係る、外槽の底部におけるオゾン水生成装置の周辺を示す部分断面図である。
【
図8】
図8(a)は、実施形態1の変更例2に係る、槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
図8(b)は、実施形態1の変更例2に係る、排水路洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9(a)は、実施形態1の変更例3に係る、槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
図9(b)は、実施形態1の変更例4に係る、排水路洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る、ドラム式洗濯機の構成を示すブロック図である。
【
図12】
図12は、実施形態2に係る、槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態2の変更例1に係る、ドラム式洗濯機の構成を示す側面断面図である。
【
図14】
図14(a)および(b)は、その他の変更例に係る、排水バルブの出水口に設けられた渦流発生部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0030】
<実施形態1>
実施形態1に係る全自動洗濯機1Aについて説明する。全自動洗濯機1Aは、縦型の洗濯機である。
【0031】
【0032】
全自動洗濯機1Aは、外観を構成する筐体10を備える。筐体10は、上下の面が開放された方形筒状の胴体部11と、胴体部11の上面を覆う上面板12と、胴体部11を支持する脚台13とを含む。上面板12には、中央部に、洗濯物が投入される投入口14が形成される。投入口14は、開閉可能な上蓋15により覆われる。
【0033】
筐体10内には、上面が開口する外槽20が配置される。外槽20は、防振装置を有する4本の吊棒21により、筐体10内に弾性的に吊り下げ支持される。外槽20内には、上面が開口する洗濯脱水槽22が配置される。洗濯脱水槽22は、鉛直方向に延びる回転軸を中心に回転する。洗濯脱水槽22の内周面には、全周に亘って多数の脱水孔22aが形成される。洗濯脱水槽22の上部には、バランスリング23が設けられる。洗濯脱水槽22の底部には、パルセータ24が回転可能に配置される。パルセータ24の表面には、放射状に複数の羽根24aが設けられる。
【0034】
外槽20の外底部には、洗濯脱水槽22およびパルセータ24を回転させるためのトルクを発生させる駆動ユニット30が配置される。駆動ユニット30は、駆動モータ31と、伝達機構部32とを含む。伝達機構部32は、クラッチ機構32aを有し、当該クラッチ機構32aによる切替操作により、洗い工程およびすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24のみに伝達してパルセータ24のみを回転させ、脱水工程およびシャワーすすぎ工程では、駆動モータ31のトルクをパルセータ24および洗濯脱水槽22に伝達してパルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させる。駆動ユニット30は、本発明の駆動部に相当する。
【0035】
外槽20の外底部には、排水口部20aが形成される。排水口部20aには、排水バルブ41が設けられる。排水バルブ41は、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ41の出水口41aに、排水ホース42が接続される。排水ホース42は、筐体10内に配置された内部ホース42aと、筐体10外に配置された外部ホース42bとを含む。排水バルブ41と排水ホース42は、外槽20内の水を、家屋内に設けられた排水路2に排出させる排水部40を構成する。また、排水バルブ41の出水口41aおよび排水ホース42は、排水バルブ41の開放により外槽20から排出された水が流れる排水管路T1を構成する。
【0036】
排水路2は、L字等の形を有する筒状の排水口2aと、当該排水口2aの下流に設けられた排水トラップ2bと、当該排水トラップ2bに接続された排水管2cとを含む。全自動洗濯機1Aが設置される床や洗濯パンに排水路2の入口である排水口2aが配置され、当該排水口2aに排水ホース42が接続される。
【0037】
排水バルブ41が開放されると、洗濯脱水槽22および外槽20に溜められた水が排水ホース42を通じて排水路2へ排出される。
【0038】
上面板12の後部には、洗濯脱水槽22内に水道水を供給するための給水ユニット50が配置される。給水ユニット50は、給水バルブ110と、注水ボックス120と、洗剤ケース130と、オゾン水生成装置140とを含む。
【0039】
図2(a)は、オゾン水生成装置140が断面で示された給水ユニット50の平面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のA-A´断面図である。
【0040】
上面板12の後部において、給水バルブ110と、洗剤ケース130が収容された注水ボックス120とが左右方向に並んで配置され、給水バルブ110と注水ボックス120の後方にオゾン水生成装置140が配置される。オゾン水生成装置140は、本発明のオゾン水生成部に相当する。
【0041】
注水ボックス120は、前面が開口し、上部に水路形成部121を有する。水路形成部121の内部には水路122が形成される。水路形成部121の底面には、複数の注水孔123が形成される。水路形成部121の後面には、L字の筒状を有する給水口124が設けられる。注水ボックス120には、左右の壁面に、前後方向に延びるレール125が設けられる。
【0042】
注水ボックス120内に洗剤ケース130が収容された状態において、洗剤ケース130と注水ボックス120の底面および後面との間には隙間が設けられ、当該隙間が水路126となる。洗剤ケース130は、左右のレール125に載せられ、レール125の上をスライドすることにより、前方に引き出すことができる。
【0043】
洗剤ケース130は、上面が開口する。洗剤ケース130には、液体や粉末の洗剤が投入される。洗剤ケース130の底面には、サイフォン機構部131が設けられる。サイフォン機構部131は、サイフォン管132と、サイフォン管132に被せられるサイフォンキャップ133とからなり、洗剤ケース130内の洗剤を、洗剤ケース130内に流入した水とともに、サイフォンの原理を利用して洗剤ケース130から排出させる。また、洗剤ケース130の後面上部には、排出口134が設けられる。洗剤ケース130内の洗剤および水は、排出口134からも排出される。
【0044】
オゾン水生成装置140は、ケース141と、オゾン電極142と、電極保持部143とを含む。ケース141は、両端部が開口する細長い円筒状を有する。ケース141における、注水ボックス120側の端部の開口は、流出口144となり、当該流出口144に注水ボックス120の給水口124が接続される。ケース141には、給水バルブ110側の端部の近傍に、円筒状の流入口145が設けられる。
【0045】
オゾン電極142は、ケース141の内部に配置される。オゾン電極142は、丸棒状の陽極146と、陽極146の外周に螺旋状に巻かれた線状の陰極147と、陽極146と陰極147との間に介在するイオン交換膜148とを含む。たとえば、陽極146にはダイヤモンド電極が使用され、陰極147には白金電極が使用される。オゾン電極142の一端部が、電極保持部143に保持される。電極保持部143は、ケース141における、給水バルブ110側の端部の開口に、当該開口を塞ぐように取り付けられる。
【0046】
給水バルブ110は、電磁バルブであり、その入水口111が、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続され、その出水口112が、ケース141の流入口145に接続される。
【0047】
給水バルブ110が開放されると、水道栓からの水道水が、ケース141および水路形成部121の水路122を流れ、注水孔123から洗剤ケース130内に放出される。洗剤ケース130に流入した水は、サイフォン機構部131および排出口134から排出され、注水ボックス120の水路126を流れて、注水ボックス120の前面の注水口127から洗濯脱水槽22内へ放出される。これにより、洗濯脱水槽22内および外槽20内に水が溜まる。
【0048】
洗濯運転の洗い工程での給水時には、洗剤ケース130内に投入された洗剤が、水をともに洗濯脱水槽22内、即ち外槽20内に供給される。さらに、槽洗浄運転および排水路洗浄運転の給水時には、オゾン電極142に通電が行われ、ケース141内を流れる水が電気分解されてオゾンが発生する。発生したオゾンが水に溶解し、オゾン水が生成される。生成されたオゾン水は、洗剤ケース130および注水ボックス120を通じて洗濯脱水槽22内、即ち外槽20内に供給される。
【0049】
ケース141および注水ボックス120は、外槽20内へ水を供給する給水路を構成する。よって、本実施の形態では、オゾン水生成装置140が給水路に配置される。
【0050】
なお、注水ボックス120内に、洗剤ケース130の隣に当該洗剤ケース130と一体的に設けられた柔軟剤ケースが収容されるようにしてもよい。柔軟剤ケースには、液体の柔軟剤が投入される。柔軟剤ケースは、洗剤ケース130と同様な構成を有する。この場合、水路形成部121には、柔軟剤ケース用の水路が設けられ、当該水路と柔軟剤投入用の給水バルブとが、接続ホースにより接続される。柔軟剤投入用の給水バルブが開放されると、水道栓からの水とともに、柔軟剤ケース内に投入された柔軟剤が、注水ボックス120を介して洗濯脱水槽22内に供給される。
【0051】
図3は、全自動洗濯機1Aの構成を示すブロック図である。
【0052】
全自動洗濯機1Aは、上述した構成に加え、操作部71と、水位センサ72とを備える。また、全自動洗濯機1Aは、制御ユニット80を備える。制御ユニット80は、制御部81、記憶部82、モータ駆動部83、クラッチ駆動部84、給水駆動部85、排水駆動部86および電極通電部87を含む。
【0053】
操作部71は、全自動洗濯機1Aに対して電源の投入および遮断を行うための電源ボタン、運転を開始、一時停止させるためのスタート/一時停止ボタン、洗濯運転に係る複数の運転コース、槽洗浄運転の運転コースおよび排水路洗浄運転の運転コースの中から任意の運転コースを選択するためのコース選択ボタンなど、各種の操作ボタンを含む。操作部71は、ユーザに操作された操作ボタンに応じた入力信号を制御部81に出力する。
【0054】
水位センサ72は、洗濯脱水槽22内、即ち外槽20内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部81に出力する。
【0055】
モータ駆動部83は、制御部81から出力された制御信号に従って、駆動モータ31を駆動する。モータ駆動部83は、駆動モータ31の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部81により設定された回転数で駆動モータ31が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0056】
クラッチ駆動部84は、制御部81から出力された制御信号に従って、伝達機構部32のクラッチ機構32aを駆動する。給水駆動部85は、制御部81からの制御信号に従って、給水バルブ110を駆動する。排水駆動部86は、制御部81からの制御信号に従って、排水バルブ41を駆動する。電極通電部87は、制御部81からの制御信号に従って、オゾン電極142に通電を行う。
【0057】
記憶部82は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部82には、洗濯運転、槽洗浄運転および排水路洗浄運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部82には、洗濯運転、槽洗浄運転および排水路洗浄運転に用いられる各種の運転条件が記憶される。
【0058】
制御部81は、CPU等を含み、操作部71、水位センサ72等からの各信号に基づいて、記憶部82に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部83、クラッチ駆動部84、給水駆動部85、排水駆動部86、電極通電部87等を制御する。この結果、制御部81は、駆動ユニット30、排水部40、給水ユニット50の動作を制御する。
【0059】
全自動洗濯機1Aでは、制御部81による制御の下、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。
【0060】
洗い工程の前には、洗濯物の負荷量検知が行われる。負荷量検知では、たとえば、洗濯物の投入後に洗濯脱水槽22内に水がない状態でパルセータ24が回転し、駆動モータ31の駆動電流や駆動モータ31が停止するまでの惰性回転量に基づいて負荷量が決定される。検知された負荷量に応じて、洗い工程やすすぎ工程での水位や時間が設定される。
【0061】
洗い工程では、負荷量検知に基づいて設定された水位まで洗濯脱水槽22内に洗剤を含む水が溜められた状態で、パルセータ24が正回転および逆回転する。パルセータ24の回転により洗濯脱水槽22内に水流が発生し、水流と洗剤とにより洗濯物が洗われる。
【0062】
すすぎ工程では、洗濯脱水槽22内に水が溜められた状態でパルセータ24が正回転および逆回転し、洗濯脱水槽22内に水流が発生する。発生した水流より洗濯物がすすがれ、洗濯物に含まれた洗剤が水中に排出される。
【0063】
中間脱水工程および最終脱水工程では、洗濯脱水槽22およびパルセータ24が一体となって所定の脱水回転数で高速回転する。洗濯脱水槽22に発生する遠心力の作用により、洗濯物が脱水される。
【0064】
全自動洗濯機1Aでは、洗濯運転に加えて、オゾン水を用いて洗濯脱水槽22を洗浄する槽洗浄運転と、オゾン水を用いて排水路2を洗浄する排水路洗浄運転とが行われる。
【0065】
まず、槽洗浄運転について説明する。
【0066】
図4(a)は、槽洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。
図4(b)は、槽洗浄運転に含まれる槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
【0067】
操作部71において、コース選択ボタンにより槽洗浄運転の運転コースが選択された後にスタート/一時停止ボタンが押されると、槽洗浄運転が開始される。
【0068】
図4(a)を参照し、槽洗浄運転が開始されると、制御部81は、まず、槽洗浄工程を行う(S1)。
【0069】
図4(b)を参照し、槽洗浄工程において、制御部81は、給水バルブ110を開放するとともに、オゾン電極142に通電する(S101)。これにより、給水ユニット50から外槽20内に所定のオゾン濃度のオゾン水が供給される。排水バルブ41は閉じられており、外槽20内にオゾン水が溜まっていく。
【0070】
なお、洗濯脱水槽22を良好に洗浄でき、洗濯脱水槽22からバイオフィルムを除去でき得るオゾン濃度となるように、給水バルブ110の定格流量やオゾン電極142への通電電流値が設定される。
【0071】
制御部81は、水位センサ72により検出された水位に基づいて、外槽20内の水位が所定の槽洗浄水位に到達したか否かを判定する(S102)。槽洗浄水位は、たとえば、負荷量検知に基づいて設定される洗い工程での最高水位と同等の水位に設定される。
【0072】
制御部81は、外槽20内の水位が槽洗浄水位に到達したと判定すると(S102:YES)。オゾン電極142への通電を停止するとともに、給水バルブ110を閉鎖する(S103)。こうして、外槽20内に槽洗浄水位のオゾン水が溜まる。
【0073】
次に、制御部81は、駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる(S104)。パルセータ24は正回転および逆回転を繰り返し、洗濯脱水槽22は回転しない。
【0074】
外槽20内、即ち洗濯脱水槽22の中および洗濯脱水槽22と外槽20との間に水流が発生し、オゾンと水流との作用により、洗濯脱水槽22が洗浄され、洗濯脱水槽22の外周面や外底面に形成されたバイオフィルムが除去される。黒カビ等が発生していた場合は、黒カビ等も死滅する。
【0075】
制御部81は、パルセータ24の回転を開始させてから所定の槽洗浄時間が経過すると(S105:YES)、パルセータ24の回転を停止させる(S106)。槽洗浄時間は、たとえば、数分から十数分程度の時間に設定され得る。
【0076】
こうして、槽洗浄工程が終了する。このとき、パルセータ24の回転による洗濯脱水槽22の洗浄に多くのオゾンが消費されたため、外槽20内に溜められたオゾン水のオゾン濃度は大幅に低下している。
【0077】
図4(a)に戻り、槽洗浄工程が終了すると、制御部81は、排水部40の動作による排水工程を行う(S2)。即ち、制御部81は、排水バルブ41を開放する。外槽20内からオゾン水が排出される。オゾン水とともに、除去されたバイオフィルム、黒カビ等も外槽20内から流し出される。外槽20内からのオゾン水の排出が完了すると、排水工程が終了する。排水バルブ41は開放されたままとされる。
【0078】
次に、制御部81は、脱水工程を行う(S3)。即ち、制御部81は、駆動ユニット30によりパルセータ24と洗濯脱水槽22とを一体的に高速回転させる。洗濯脱水槽22に残留するオゾン水と、これに含まれる有機物、菌等が、洗濯脱水槽22から飛散して外槽20内から排出される。所定の脱水時間が経過すると、制御部81は、パルセータ24および洗濯脱水槽22の回転を停止させるとともに、排水バルブ41を閉鎖する。こうして、脱水工程が終了し、槽洗浄運転が終了する。
【0079】
次に、排水路洗浄運転について説明する。
【0080】
図5は、排水路洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。
【0081】
操作部71において、コース選択ボタンにより排水路洗浄運転の運転コースが選択された後にスタート/一時停止ボタンが押されると、排水路洗浄運転が開始される。
【0082】
図5を参照し、排水路洗浄運転が開始されると、制御部81は、排水バルブ41を開放する(S201)。次に、制御部81は、外槽20内に水が存在しているか否かを判定する(S202)。制御部81は、水位センサ72により水位が検出されている場合に、外槽20内に水が存在していると判定する。制御部81は、外槽20内に水が存在していると判定した場合(S202:YES)、外槽20内に水が存在しないと判定するまで排水バルブ41を開放させる。制御部81は、外槽20内に水が存在していないと判定した場合(S202:NO)、排水バルブ41を閉鎖する。
【0083】
なお、水位センサ72が、外槽20内に水がある程度溜まらないと水位が検出できない構成である場合、制御部81は、外槽20内に水が存在していないと判定した後、所定時間が経過するのを待って、排水バルブ41を閉鎖する。
【0084】
制御部81は、排水バルブ41を開放する前に外槽20内に水が存在するか否かの判定を行い、水が存在すると判定した場合に排水バルブ41を開放するようにしてもよい。
【0085】
こうして、排水路洗浄運転が開始されたときに外槽20内に水が残っていても、外槽20内を空の状態にできる。
【0086】
次に、制御部81は、給水バルブ110を開放するとともに、オゾン電極142に通電する(S204)。これにより、給水ユニット50から所定のオゾン濃度のオゾン水が外槽20内に供給され、外槽20内に溜まっていく。
【0087】
制御部81は、外槽20内の水位が所定の排水路洗浄水位に到達したか否かを判定する(S205)。排水路洗浄水位は、槽洗浄運転での槽洗浄水位よりも低い水位であり、たとえば、水量が10~15リットル程度となる、洗濯運転での低水位の範囲に含まれるような水位に設定される。
【0088】
制御部81は、外槽20内の水位が排水路洗浄水位に到達したと判定すると(S205:YES)。オゾン電極142への通電を停止するとともに、給水バルブ110を閉鎖する(S206)。こうして、外槽20内に排水路洗浄水位のオゾン水が溜まる。
【0089】
次に、制御部81は、排水バルブ41を開放させる(S207)。排水部40により外槽20内のオゾン水が排水路2に排出される。このとき、制御部81は、排水バルブ41を開放させる前に、駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる動作およびパルセータ24と洗濯脱水槽22とを一体的に回転させる動作の何れも行わない。よって、外槽20内のオゾン水は、洗濯脱水槽22の洗浄による消耗を受けることなく、外槽20内に溜められたときに近いオゾン濃度のまま排水路2へと送られ、多くのオゾンが作用して、排水路2内、即ち排水口2aや排水トラップ2b、排水管2cの内壁面に形成されたバイオフィルムが除去される。排水路2内で黒カビ等が発生していた場合は、黒カビ等も死滅する。
【0090】
制御部81は、外槽20内からのオゾン水の排水が完了すると(S208:YES)、排水バルブ41を閉鎖する(S209)。たとえば、制御部81は、水位センサ72により水位が検出されなくなったとき、あるいは、水位が検出されなくなってから所定時間が経過したときに、排水が完了したと判定する。
【0091】
こうして、排水路洗浄運転が終了する。
【0092】
<実施形態1の効果>
本実施の形態によれば、制御部81が、排水路洗浄運転を行い、当該排水路洗浄運転において、オゾン水生成装置140によりオゾン水を生成することにより、外槽20内に前記オゾン水を溜め、その後、駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる動作およびパルセータ24と洗濯脱水槽22とを一体的に回転させる動作の何れも行わずに、排水部40により外槽20内のオゾン水を排水路2へ排出させる。
【0093】
この構成によれば、外槽20内のオゾン水が、洗濯脱水槽22の洗浄による消耗を受けることなく、外槽20内に溜められたときに近いオゾン濃度のまま排水路2へと送られるので、十分なオゾンの作用により、排水路2内を良好に洗浄でき、排水路2内に形成されたバイオフィルムを良好に除去することが可能となる。よって、排水路2内での不快な臭いの発生等を抑制することが可能となる。
【0094】
また、外槽20内に溜められたオゾン水が一気に排水路2内に流れるため、オゾン水が排水路2の内壁面全体に接触しやすく、排水路2内を一層良好に洗浄できる。
【0095】
さらに、本実施の形態によれば、制御部81が、排水路洗浄運転において、外槽20内にオゾン水を溜める動作を開始する前に、外槽20内に水が溜まっているか否かを判定し、外槽20内に水が溜まっている場合、当該水を排水部40により排出させる。
【0096】
この構成によれば、排水路洗浄運転の前に外槽20内に溜まっていた水に含まれる汚れや菌等により、オゾンが消費されてオゾン水の濃度が低下してしまうことを防止できる。よって、オゾン水により、一層良好に排水路2内を洗浄することができる。
【0097】
さらに、本実施の形態によれば、制御部81が、槽洗浄運転を行い、当該槽洗浄運転において、オゾン水生成装置140によりオゾン水を生成することにより、外槽20内にオゾン水を溜め、その後、駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる動作を行う。
【0098】
この構成によれば、パルセータ24の回転により発生した水流とオゾンとの作用により、洗濯脱水槽22を洗浄でき、洗濯脱水槽22に形成されたバイオフィルムを除去することが可能となる。
【0099】
<実施形態1の変更例1>
上記実施形態1では、洗濯運転で外槽20内へ給水を行う給水路にオゾン水生成装置140が配置された給水ユニット50を備えている。
【0100】
しかしながら、給水ユニット50に替えて、洗濯運転で外槽20内へ給水を行う給水路とは分けられた給水路にオゾン水生成装置140が配置される給水ユニット50Aが備えられてもよい。
【0101】
図6(a)は、変更例1に係る、給水ユニット50Aの平面図であり、
図6(b)は、
図6(a)のB-B´断面図である。
【0102】
給水ユニット50Aは、注水ボックス120の左方に、2連電磁バルブであり、第1バルブ150aと第2バルブ150bとを有する給水バルブ150を備える。また、給水ユニット50Aでは、注水ボックス120の後面の下部に、L字の筒状を有する給水口128が設けられ、注水ボックス120の下部の後方に、オゾン水生成装置140が、そのケース141の流入口145が上を向く姿勢で配置される。ケース141の流出口144は、給水口128に接続される。
【0103】
給水バルブ150の入水口151は、図示しない給水ホースを介して水道栓に接続される。また、第1バルブ150aの出水口152aは、第1接続ホース161を介して水路形成部121の給水口124に接続され、第2バルブ150bの出水口152bは、第2接続ホース162を介してケース141の流入口145に接続される。
【0104】
給水ユニット50Aでは、洗い工程およびすすぎ工程での給水時に、第1バルブ150aが開放される。水道栓からの水道水が、第1接続ホース161、水路形成部121の水路122、洗剤ケース130および注水ボックス120の水路126を流れて、注水口127から外槽20内に供給される。
【0105】
一方、槽洗浄運転および排水路洗浄運転でのオゾン水の給水時には、第2バルブ150bが開放される。水道栓からの水道水が、オゾン電極142に通電された状態のケース141内を流れ、オゾン水が生成される。ケース141から排出されたオゾン水は、注水ボックス120の水路126を流れて、注水口127から外槽20内に供給される。
【0106】
本変更例では、外槽20内にオゾン水を供給する場合にのみ、ケース141内に水道水が流れ、洗濯運転での外槽20内への給水時には、ケース141内に水道水が流れない。これにより、水道水に含まれるカルシウム、マグネシウム等のミネラル成分がオゾン電極142に付着する頻度を少なくすることができる。
【0107】
<実施形態1の変更例2>
上記実施形態1では、給水ユニット50、即ち外槽20内への給水路にオゾン水生成装置140が配置されている。このため、給水ユニット50からオゾン水が供給されることにより、外槽20内にオゾン水が溜まる。
【0108】
これに対し、本変更例では、オゾン水生成装置140Aが外槽20の底部に配置される。このため、外槽20内に供給された水からオゾン水が生成されることにより、外槽20内にオゾン水が溜まる。
【0109】
給水ユニット50では、オゾン水生成装置140が無くなり、給水バルブ110が図示しない接続ホースを介して水路形成部121の給水口124に接続される。
【0110】
図7は、変更例2に係る、外槽20の底部におけるオゾン水生成装置140Aの周辺を示す部分断面図である。
【0111】
オゾン水生成装置140Aは、オゾン電極142と、電極保持部143とを含む。
【0112】
オゾン電極142は、洗濯脱水槽22の外底面と外槽20の内底面との間に配置される。オゾン電極142の一端部が、電極保持部143に保持される。電極保持部143は、外槽20に設けられた取付口20bに取り付けられる。
【0113】
図8(a)は、変更例2に係る、槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
【0114】
本変更例では、槽洗浄運転の槽洗浄工程において、
図8(a)に示すように、
図4(b)の槽洗浄工程におけるステップS101ないしS103の処理に替えて、ステップS111ないしS116の処理が実行される。
【0115】
即ち、槽洗浄工程が開始されると、制御部81は、給水バルブ110を開放して、外槽20内の水位が槽洗浄水位に到達するまで、外槽20内への給水を行う(S111~S113)。その後、制御部81は、オゾン電極142に通電する(S114)。外槽20内に溜められた水の電気分解によりオゾンが発生し、外槽20内でオゾン水が生成される。時間の経過とともに外槽20内のオゾン水のオゾン濃度が高まっていく。
【0116】
制御部81は、オゾン電極142への通電を開始してから第1規定時間が経過したか否かを判定する(S115)。第1規定時間は、外槽20内のオゾン水が、洗濯脱水槽22を良好に洗浄でき得るオゾン濃度に達するような時間に設定される。
【0117】
制御部81は、第1規定時間が経過すると(S115:YES)、オゾン電極142への通電を停止する(S116)。こうして、外槽20内に槽洗浄水位のオゾン水が溜まる。
【0118】
その後、制御部81は、槽洗浄時間、駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる(S104~S106)。
【0119】
図8(b)は、変更例2に係る、排水路洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。
【0120】
本変更例の排水路洗浄運転では、
図8(b)に示すように、
図5の排水路洗浄運転におけるステップS204ないしS206の処理に替えて、ステップS211ないしS216の処理が実行される。
【0121】
即ち、制御部81は、ステップS203で排水バルブ41を閉鎖した後、給水バルブ110を開放して、外槽20内の水位が排水路洗浄水位に到達するまで、外槽20内への給水を行う(S211~S213)。その後、制御部81は、オゾン電極142に通電する(S214)。外槽20内でオゾン水が生成され、そのオゾン濃度が徐々に高まっていく。
【0122】
制御部81は、オゾン電極142への通電を開始してから第2規定時間が経過したか否かを判定する(S215)。第2規定時間は、外槽20内のオゾン水が、排水路2を良好に洗浄でき得るオゾン濃度に達するような時間に設定される。
【0123】
制御部81は、第2規定時間が経過すると(S215:YES)、オゾン電極142への通電を停止する(S216)。こうして、外槽20内に排水路洗浄水位のオゾン水が溜まる。
【0124】
その後、制御部81は、排水バルブ41を開放し、外槽20内のオゾン水を、排水部40を通じて排水路2内へ排出する(S207~S209)。
【0125】
本変更例の構成によっても、上記実施形態1と同様の効果が奏され得る。
【0126】
<実施形態1の変更例3>
図9(a)は、変更例3に係る、槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
【0127】
上記実施形態1では、
図4(b)に示すように、槽洗浄運転の槽洗浄工程において、制御部81は、外槽20内にオゾン水が溜められた後に、槽洗浄時間、駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる(S104~S106)。
【0128】
これに対し、本変更例では、
図9(a)に示すように、槽洗浄工程において、外槽20内にオゾン水が溜められた後(S101~S103)、制御部81は、駆動ユニット30によりパルセータ24と洗濯脱水槽22とを一体的に回転させる(S121)。パルセータ24および洗濯脱水槽22は正回転および逆回転を繰り返す。洗濯脱水槽22が、オゾン水中で回転することにより洗浄され、洗濯脱水槽22に形成されたバイオフィルムが除去される。
【0129】
制御部81は、槽洗浄時間が経過すると(S105:YES)、パルセータ24および洗濯脱水槽22の回転を停止させる(S122)。
【0130】
なお、上記変更例2の槽洗浄工程において、制御部81は、槽洗浄時間、パルセータ24と洗濯脱水槽22とを一体的に回転させてもよい。
【0131】
<実施形態1の変更例4>
図9(b)は、変更例4に係る、排水路洗浄運転の制御処理を示すフローチャートである。なお、
図9(b)では、便宜上、ステップS214以降の処理のみが示されている。
【0132】
上記変更例2では、
図8(b)に示すように、排水路洗浄運転において、制御部81は、外槽20内に駆動ユニット30によりパルセータ24を回転させる動作およびパルセータ24と洗濯脱水槽22とを一体的に回転させる動作の何れも行うことなく、排水バルブ41を開放し、外槽20内に溜められたオゾン水を排水路2内に排出している。
【0133】
これに対し、本変更例では、制御部81は、外槽20内でオゾン水が生成され、オゾン電極142への通電を停止すると、所定の攪拌時間だけ、パルセータ24を回転させる(S217~S219)。攪拌時間は、槽洗浄時間より短い時間であり、たとえば、数秒から数十秒程度の時間に設定される。パルセータ24の回転数は、槽洗浄工程での回転数よりも低くされることが望ましい。
【0134】
外槽20内のオゾン水が攪拌されることにより、オゾン濃度のムラが抑制され得る。また、外槽20内に、僅かな時間、弱い水流が発生する程度であるため、実質的に洗濯脱水槽22は洗浄されない。よって、オゾンが消費されにくく、オゾン水のオゾン濃度が低下しにくい。
【0135】
なお、ステップS217~S219の処理として、制御部81は、所定の攪拌時間だけ、パルセータ24および洗濯脱水槽22を一体的に回転させてもよい。パルセータ24および洗濯脱水槽22の回転数は、槽洗浄工程での回転数よりも低くされることが望ましい。
【0136】
また、パルセータ24の回転やパルセータ24および洗濯脱水槽22の回転によるオゾン水の攪拌動作が、オゾン電極142への通電中、即ち、オゾン水の生成中に行われてもよい。この場合、オゾン電極142の通電停止後、再度、攪拌動作が行われてもよいし、行われなくてもよい。ただし、再度、攪拌動作が行われる場合は、トータルの攪拌時間が、槽洗浄運転での槽洗浄時間より短くされる。
【0137】
<実施形態2>
実施形態2に係るドラム式洗濯機1Bについて説明する。
【0138】
図10は、ドラム式洗濯機1Bの構成を示す側面断面図である。
【0139】
ドラム式洗濯機1Bは、方形状の筐体210を備える。筐体210の前面には、中央部に、洗濯物が投入される円形の投入口211が形成される。投入口211は、開閉自在なドア212により覆われる。
【0140】
筐体210内には、外槽220が配置される。外槽220は、複数のダンパー221とスプリング222とにより弾性的に支持される。外槽220内には、ドラム223が回転自在に配置される。ドラム223は、水平軸周りに回転する。ドラム223は、水平方向に対して傾斜する回転軸周りに回転可能な構成とされてもよい。
【0141】
ドラム223は、前面に円形の開口部223aを有し、外槽220は、ドラム223の開口部223aの前方に円形の開口部220aを有する。
【0142】
外槽220の開口部220aの周縁部と筐体210の投入口211の周縁部が、弾性材料からなる環状のパッキン224により連結される。閉じられたドア212の周面がパッキン224に接触し、投入口211とドア212との間が水封される。
【0143】
ドラム223の内周面には、多数の脱水孔223bが形成される。また、ドラム223の内周面には、周方向に等しい間隔で、ほぼ三角柱形状を有する3つのバッフル225が設けられる。
【0144】
外槽220の後方には、ドラム223を回転させるためのトルクを発生させる駆動モータ230が配置される。駆動モータ230は、たとえば、アウターロータ型のDCブラシレスモータである。駆動モータ230は、洗い工程およびすすぎ工程時には、ドラム223を、ドラム223内の洗濯物に加わる遠心力が重力より小さくなる回転数で回転させる。一方、駆動モータ230は、脱水工程時には、ドラム223を、ドラム223内の洗濯物に加わる遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で回転させる。
【0145】
外槽220の底部には、排水口部220bが形成される。排水口部220bには、外槽20内から排水を行う排水部240が接続される。排水部240は、排水バルブ241、排水ホース242および排水フィルタ243により構成される。排水口部220bに、排水フィルタ243が接続される。排水バルブ241は、排水フィルタ243の下流に設けられ、たとえば、バルブと、バルブを開閉させるトルクモータとを含む。排水バルブ241の出水口241aに、排水ホース242が接続される。排水ホース242は、排水路2の排水口2aに接続される。排水バルブ241の出水口241aおよび排水ホース242は、排水バルブ241の開放により外槽220から排出された水が流れる排水管路T2を構成する。
【0146】
排水バルブ241が開放されると、外槽20内に溜められた水が排水口部220b、排水フィルタ243および排水ホース242、即ち排水部240を通じて排水路2に排出される。リント等の異物が排水フィルタ243により捕獲される。
【0147】
筐体210内の上部には、外槽220内へ給水するための給水部250が配置される。給水部250は、第1給水バルブ251と、洗剤ボックス252と、給水ホース253と、注水管254とを含む。第1給水バルブ251は、筐体210の後方上部に配置され、洗剤ボックス252は、筐体210の前方上部に配置される。洗剤ボックス252には、洗剤が収容される洗剤容器252aが前方から引き出し自在に収容される。給水ホース253は、一端が第1給水バルブ251に接続され、他端が洗剤ボックス252に接続される。注水管254は、一端が洗剤ボックス252に接続され、他端が外槽220の上部に接続される。
【0148】
第1給水バルブ251が開放されると、水道栓から水道水が、給水ホース253、洗剤ボックス252および注水管254を流れて外槽220内に供給される。この際、洗剤容器252aに洗剤が収容されていれば、当該洗剤が水に押し流れて外槽220内に供給される。
【0149】
筐体210内の後部には、外槽20内へオゾン水を給水するためのオゾン水供給部260が配置される。オゾン水供給部260は、第2給水バルブ261と、オゾン水を生成するためのオゾン水生成装置262と、導入管263と、導出管264とを含む。第2給水バルブ261は、筐体210の後方上部に配置され、第1給水バルブ251とともに、2連電磁バルブによって構成される。
【0150】
オゾン水生成装置262は、外槽220の上部に配置される。オゾン水生成装置262の構成は、上記実施形態1のオゾン水生成装置140の構成と同様であり、ケース265と、オゾン電極266と、電極保持部267とを含む。
【0151】
導入管263は、一端が第2給水バルブ261に接続され、他端がケース265の流入口に接続される。導出管264は、一端がケース265の流出口に接続され、他端が外槽220の下部に接続される。
【0152】
第2給水バルブ261が開放されると、水道栓から水道水が、導入管263を介してケース265内に流入し、ケース265内を流れる。オゾン電極266に通電が行われ、ケース265内を流れる水が電気分解されてオゾンが発生する。発生したオゾンが水に溶解し、オゾン水が生成される。オゾン水は、ケース265から流出し、導出管264を介して外槽220内に供給される。
【0153】
図11は、ドラム式洗濯機1Bの構成を示すブロック図である。
【0154】
ドラム式洗濯機1Bは、上述した構成に加え、制御部271と、記憶部272と、操作部273と、水位センサ274と、モータ駆動部275と、給水駆動部276と、排水駆動部277と、電極通電部278とを備える。
【0155】
操作部273は、電源ボタン、スタート/一時停止ボタンおよびコース選択ボタンを含む。操作部273は、ユーザに操作されたボタンに応じた入力信号を制御部271に出力する。
【0156】
水位センサ274は、外槽220内の水位を検出し、検出した水位に応じた水位信号を制御部271に出力する。
【0157】
モータ駆動部275は、制御部271からの制御信号に従って、駆動モータ230を駆動する。モータ駆動部275は、駆動モータ230の回転数を検出する回転センサ、インバータ回路等を含み、制御部271により設定された回転数で駆動モータ230が回転するよう、駆動電力を調整する。
【0158】
給水駆動部276は、制御部271からの制御信号に従って、第1給水バルブ251および第2給水バルブ261を駆動する。排水駆動部277は、制御部271からの制御信号に従って、排水バルブ241を駆動する。電極通電部278は、制御部271からの制御信号に従って、オゾン電極266に通電を行う。
【0159】
記憶部272は、EEPROM、RAM等を含む。記憶部272には、各種運転コースの洗濯運転、槽洗浄運転および排水路洗浄運転を実行するためのプログラムが記憶される。また、記憶部272には、これらプログラムの実行に用いられる各種パラメータや各種制御フラグが記憶される。
【0160】
制御部271は、操作部273、水位センサ274等からの各信号に基づいて、記憶部272に記憶されたプログラムに従い、モータ駆動部275、給水駆動部276、排水駆動部277、電極通電部278等を制御する。この結果、制御部271は、駆動モータ230、排水部240、給水部250およびオゾン水供給部260の動作を制御する。
【0161】
さて、ドラム式洗濯機1Bでは、ユーザによる操作部273の操作に基づき、各種運転コースの洗濯運転が行われる。洗濯運転では、洗い工程、中間脱水工程、すすぎ工程および最終脱水工程が順番に実行される。なお、運転コースによっては、中間脱水工程とすすぎ工程とが2回以上行われる場合がある。
【0162】
洗い工程およびすすぎ工程では、所定の水位まで外槽220内に水が溜められる。洗い工程では、洗剤容器250aに洗剤が投入されるので、外槽220内に溜められた水に洗剤が含まれる。駆動モータ230が、交互に正転または反転し、ドラム223が交互に正転または反転する。このとき、ドラム223は、ドラム223内の洗濯物に作用する遠心力が重力より小さくなる回転数で回転する。ドラム223内の洗濯物が、バッフル225で掻き上げられては落とされることにより、ドラム223の内周面に叩き付けられる。これにより、洗濯物が洗われる、あるいは、すすがれる。
【0163】
中間脱水工程および最終脱水工程では、駆動モータ230が一方向に高速回転し、ドラム223が、ドラム223内の洗濯物に作用する遠心力が重力よりはるかに大きくなる回転数で回転する。遠心力の作用により、洗濯物が、ドラム223の内周面に押し付けられ、脱水される。
【0164】
ドラム式洗濯機1Bでは、洗濯運転に加えて、オゾン水を用いてドラム223を洗浄する槽洗浄運転と、オゾン水を用いて排水路2を洗浄する排水路洗浄運転とが行われる。
【0165】
操作部273において、コース選択ボタンにより槽洗浄運転の運転コースが選択された後にスタート/一時停止ボタンが押されると、槽洗浄運転が開始される。
【0166】
槽洗浄運転では、上記実施形態1と同様、制御部271により、
図4(a)の槽洗浄運転の制御処理が実行される。即ち、制御部271は、槽洗浄工程、排水工程および脱水工程を順番に実行する(S1~S3)。
【0167】
図12は、槽洗浄工程の制御処理を示すフローチャートである。
【0168】
槽洗浄工程では、制御部271が、
図12に示す制御処理を実行する。
【0169】
即ち、制御部81は、第2給水バルブ261を開放するとともに、オゾン電極266に通電する(S301)。制御部271は、外槽220内の水位が槽洗浄水位に到達したと判定すると(S302:YES)。オゾン電極266への通電を停止するとともに、第2給水バルブ261を閉鎖する(S303)。槽洗浄水位は、たとえば、ドラム223の底部が水没する水位であり、且つパッキン224の下縁よりも低い水位に設定される。
【0170】
次に、制御部271は、駆動モータ230によりドラム223を一方向に回転させる(S304)。ドラム223が回転すると、外槽220内に溜められたオゾン水にドラム223の外周面が順次接触し、当該外周面にオゾン水が着いた状態となる。オゾンがドラム223の外周面の全域に亘って効果的に作用し、外周面の全域において、バイオフィルムが除去される。また、黒カビ等が発生していた場合、黒カビ等も死滅する。
【0171】
制御部271は、ドラム223の回転を開始させてから所定の槽洗浄時間が経過すると(S305:YES)、ドラム223の回転を停止させる(S306)。槽洗浄時間は、たとえば、数分から十数分程度の時間に設定され得る。
【0172】
こうして、槽洗浄工程が終了する。このとき、ドラム223の回転によるドラム223の洗浄に多くのオゾンが消費されたため、外槽220内に溜められたオゾン水のオゾン濃度は大幅に低下している。
【0173】
操作部273において、コース選択ボタンにより排水路洗浄運転の運転コースが選択された後にスタート/一時停止ボタンが押されると、排水路洗浄運転が開始される。
【0174】
排水路洗浄運転では、上記実施形態1と同様、制御部271により、
図5の槽洗浄運転の制御処理が実行される。
【0175】
即ち、制御部271は、外槽220内に水が存在していれば、水が無くなるまで排水バルブ241を開放する(S201~S203)。その後、制御部271は、第2給水バルブ261を開放するともにオゾン電極266に通電を行い、排水路洗浄水位まで外槽220内にオゾン水を溜める(S204~S206)。
【0176】
排水路洗浄水位は、たとえば、槽洗浄水位と同じ水位、または、槽洗浄水位より低い水位に設定できる。
【0177】
その後、制御部271は、駆動モータ230によりドラム223を回転させる動作を行わずに、排水バルブ241を開放させ、外槽220内のオゾン水を排水部240により排水路2内に排出させる(S207~S209)。
【0178】
外槽220内のオゾン水は、ドラム223の洗浄による消耗を受けることなく、外槽220内に溜められたときに近いオゾン濃度のまま排水路2へと送られ、多くのオゾンが作用して、排水路2内の内壁面に形成されたバイオフィルムが除去される。排水路2内で黒カビ等が発生していた場合は、黒カビ等も死滅する。
【0179】
なお、槽洗浄水位が、ドラム223の外周面にオゾン水が触れない水位に設定された場合、オゾン水がドラム223の外周面に形成されたバイオフィルムに接触せず、より一層オゾンの消費を抑えることができる。
【0180】
以上、本実施の形態によれば、上記実施形態1と同様の効果を奏することができる。
【0181】
なお、本実施の形態において、オゾン水供給部260が無くされ、給水部250がオゾン水供給部260の機能を有するようにされてもよい。この場合、給水部250の給水ホース253の途中にオゾン水生成装置262が配置される。槽洗浄運転および排水路洗浄運転においてオゾン水が供給される際には、第1給水バルブ251が開放されるとともにオゾン電極266への通電が行われる。
【0182】
<実施形態2の変更例1>
図13は、変更例1に係る、ドラム式洗濯機1Bの構成を示す側面断面図である。
【0183】
上記実施形態2では、オゾン水供給部260、即ち外槽220内への給水路にオゾン水生成装置262が配置されている。このため、オゾン水供給部260からオゾン水が供給されることにより、外槽220内にオゾン水が溜まる。
【0184】
これに対し、本変更例では、ドラム式洗濯機1Bからオゾン水供給部260が無くされ、オゾン水生成装置262Aが外槽220の底部に配置される。このため、外槽220内に供給された水からオゾン水が生成されることにより、外槽220内にオゾン水が溜まる。
【0185】
オゾン水生成装置262Aは、オゾン電極266と、電極保持部267とを含む。
【0186】
オゾン電極266は、ドラム223の外周面と外槽20の内底面との間に配置される。オゾン電極266の一端部が、電極保持部267に保持される。電極保持部267は、外槽220に設けられた取付口220cに取り付けられる。
【0187】
槽洗浄運転の槽洗浄工程では、上記変更例2の槽洗浄工程において実行される
図8(a)の制御処理と同様の制御処理が制御部271により実行され、外槽220内に水が溜められた後、オゾン水生成装置262Aにより、溜められた水からオゾン水が生成される。ただし、
図8(a)のステップS104~S106の処理では、制御部271は、オゾン水が溜められた外槽220内で、槽洗浄時間、ドラム223を回転させる。
【0188】
排水路洗浄運転では、上記変更例2の槽洗浄運転において実行される
図8(b)の制御処理と同様の制御処理が、制御部271により実行され、外槽220内に水が溜められた後、オゾン水生成装置262Aにより、溜められた水からオゾン水が生成される。その後、外槽220内のオゾン水が排水路2に排出される。
【0189】
なお、排水路洗浄運転において、上記変更例4の槽洗浄運転において実行される
図9(b)の制御処理と同様の制御処理が、制御部271により実行されてもよい。ただし、
図9(b)のステップS217~S219の処理では、外槽220内のオゾン水を攪拌するために、制御部271は、攪拌時間、ドラム223を回転させる。
【0190】
<その他の変更例>
上記実施形態1において、排水バルブ41の下流の排水管路T1内に、オゾン水の流れに渦流を発生させる渦流発生部300を設けることができる。
【0191】
図14(a)および(b)は、排水バルブ41の出水口41aに設けられた渦流発生部300の構成を示す図である。
図14(a)は、出水口41aを下方から見た図であり、
図14(b)は、
図14(a)のC-C´断面図である。
【0192】
渦流発生部300は、円筒状を有する出水口41aの内周面に、周方向に沿って配置された複数個、たとえば6個の羽根部301を含む。各羽根部301は、出水口41aの中心軸Pに対して傾くように中心軸Pの方向に延びるとともに、捩じられた形状を有する。
【0193】
外槽20から排出されたオゾン水が各羽根部301の間を通過すると、
図14(a)の矢印のように、中心軸Pの周りに回転するようなオゾン水の流れが生じる。これにより、オゾン水は、渦流発生部300の下流の排水管路T1内、即ち排水ホース42内を、らせん状に渦を巻くように流れ、勢い良く排水路2内へ排出される。オゾン水は、勢い良く排水路2内を流れ、その流れの勢いとオゾンの作用とが相まって、排水路2の内壁面に形成されたバイオフィルムが除去されやすくなる。
【0194】
また、排水路2の排水口2aでは、オゾン水が、渦流の状態で流れる結果、内壁面側を流れやすくなる。これにより、オゾン水が排水口2aの内壁面に形成されたバイオフィルムに接触しやすくなり、バイオフィルムが除去されやすくなる。
【0195】
なお、
図14(a)および(b)の例では、渦流発生部300が排水バルブ41の出水口41aに設けられた。しかしながら、渦流発生部300が排水ホース42における出水口41aの近傍部分に設けられてもよい。
【0196】
上記実施形態1の全自動洗濯機1Aと同様に、上記実施形態1の変更例1ないし4のドラム式洗濯機1A、並びに、上記実施形態2およびその変更例1のドラム式洗濯機1Bにおいて、排水バルブ241の下流の排水管路T2内、即ち排水バルブ241の出水口241aや排水ホース242に、渦流発生部300が設けられてもよい。
【0197】
さらに、オゾン水生成装置140,262の構成は、上記実施形態1、上記実施形態2、上記実施形態1の変更例2および上記実施形態2の変更例1の構成に限定されるものでなく、オゾン水を生成することができれば、如何なるものでもよい。たとえば、オゾン水生成装置は、オゾナイザーにおいてコロナ放電等により空気からオゾンを生成し、生成したオゾンを、エアポンプ等を用いて、外槽20,220内への水が流れる給水路や水が溜められた外槽20内に供給することにより、オゾン水を生成するような構成であってもよい。
【0198】
さらに、上記実施形態1では、全自動洗濯機1Aが、オゾン水を用いて洗濯脱水槽22を洗浄する槽洗浄運転を行う。同様に、上記実施形態2では、ドラム式洗濯機1Bが、オゾン水を用いてドラム223を洗浄する槽洗浄運転を行う。しかしながら、上記実施形態1の全自動洗濯機1Aおよび上記実施形態2のドラム式洗濯機1Bが、槽洗浄運転を行わず、排水路洗浄運転のみを行うようにされてもよい。同様に、上記実施形態1の変更例1、2および4の全自動洗濯機1A、並びに、上記実施形態2の変更例1のドラム式洗濯機1Bが、槽洗浄運転を行わず、排水路洗浄運転のみを行うようにされてもよい。
【0199】
さらに、上記実施形態1およびその変更例1ないし4の全自動洗濯機1A、並びに、上記実施形態2およびその変更例1のドラム式洗濯機1Bにおいて、排水路洗浄運転の開始操作が行われたときに、制御部81,271が、洗濯脱水槽22内やドラム223内の負荷量検知を行い、検知された負荷量に基づいて洗濯脱水槽22内やドラム223内に洗濯物が存在するか否かを判定し、洗濯物が存在する場合に排水路洗浄運転を開始しないようにしてもよい。このようにすれば、洗濯物の除菌にオゾンが消費されてオゾン濃度が低くなったオゾン水により排水路2の洗浄が行われることを防止できる。
【0200】
さらに、上記実施形態1およびその変更例1ないし4の全自動洗濯機1A、並びに、上記実施形態2およびその変更例1のドラム式洗濯機1Bが、洗濯運転のすすぎ工程において、外槽20,220内に溜めたオゾン水で洗濯物をすすぐようにしてもよい。この場合、
図9(b)のステップS218における攪拌時間は、すすぎ工程でパルセータ24やドラム223を回転させる時間よりも短くなる。
【0201】
さらに、上記実施形態1では、全自動洗濯機1Aに本発明が適用された例が示された。しかしながら、乾燥機能を有する全自動洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。また、上記実施形態2では、ドラム式洗濯機1Bに本発明が適用された例が示された。しかしながら、乾燥機能を有するドラム式洗濯乾燥機に本発明を適用することもできる。
【0202】
この他、本発明の実施の形態は、特許請求の範囲に示された技術的思想の範囲内において、適宜、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0203】
1A 全自動洗濯機(洗濯機)
10 筐体
20 外槽
22 洗濯脱水槽
24 パルセータ
30 駆動ユニット(駆動部)
40 排水部
41 排水バルブ
T1 排水管路
81 制御部
140 オゾン水生成装置(オゾン水生成部)
1B ドラム式洗濯機(洗濯機)
210 筐体
220 外槽
223 ドラム
230 駆動モータ
240 排水部
241 排水バルブ
T2 排水管路
262 オゾン水生成装置(オゾン水生成部)
271 制御部
300 渦流発生部
2 排水路