(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059148
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】ヘアーアイロン
(51)【国際特許分類】
A45D 1/00 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
A45D1/00 501Z
A45D1/00 C
A45D1/00 502B
A45D1/00 503A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166641
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】500313547
【氏名又は名称】株式会社丸隆
(74)【代理人】
【識別番号】100117226
【弁理士】
【氏名又は名称】吉村 俊一
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 好永
(57)【要約】 (修正有)
【課題】水分が内部に浸入して電子部品群に接触するのを防ぐことができるヘアーアイロンを、複雑な構造や特殊な材料を適用することなく提供する。
【解決手段】第1ケース部材12と第2ケース部材22それぞれの先端側の対向位置には平板状の毛髪癖付け部4,5が設けられており、第1ケース部材12と第2ケース部材22それぞれには、毛髪癖付け部4,5で癖付けを行うための電子部品群6が設置されており、その電子部品群6を覆う内部カバー部材15,25それぞれの内周先端部17,27が、第1ケース部材12及び第2ケース部材22それぞれの内側面16,26に設けられた溝18,28に嵌め合わされて防水接着されているように構成して上記課題を解決する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
V字状に拡開可能な一対のアーム部を備えたヘアーアイロンであって、
前記一対のアーム部は、第1アーム部と第2アーム部とからなり、前記第1アーム部は第1ケース部材と第1カバー部材と第1内部カバー部材とで構成され、前記第2アーム部は第2ケース部材と第2カバー部材と第2内部カバー部材とで構成され、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材それぞれの対向位置には平板状の毛髪癖付け部が設けられており、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材それぞれには、前記毛髪癖付け部で癖付けを行うための電子部品群が設置されており、
前記電子部品群を覆う前記内部カバー部材それぞれの周縁先端部は、防水接着部を介し、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材それぞれの内側面に設けられた溝に嵌め合わされて防水接着されている、ことを特徴とするヘアーアイロン。
【請求項2】
前記周縁先端部と前記溝との防水接着は、前記第1内部カバー部材及び前記第2内部カバー部材それぞれの周縁部の全長に渡っている、請求項1に記載のヘアーアイロン。
【請求項3】
前記毛髪癖付け部の全ての周縁は、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材それぞれに防水接着されている、請求項1又は2に記載のヘアーアイロン。
【請求項4】
前記第1ケース部材の周縁外壁部と前記第1カバー部材の周縁内壁部が、Z字型断面の嵌合形状で相互に当接されて超音波溶接された第1溶接部で防水接合され、
前記第2ケース部材の周縁外壁部と前記第2カバー部材の周縁内壁部も、Z字型断面の嵌合形状で相互に当接されて超音波溶接された第2溶接部で防水接合されている、請求項1又は2に記載のヘアーアイロン。
【請求項5】
前記Z字型断面の嵌合形状は、(a)前記第1ケース部材及び第2ケース部材それぞれの周縁外壁部に設けられた切り欠きと、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材それぞれの周縁内壁部に設けられた切り欠きとの嵌合である、又は、(b)前記第1ケース部材及び第2ケース部材それぞれの周縁外壁部に設けられた嵌合凸部と、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材それぞれの周縁内壁部に設けられた嵌合凹部との嵌合である、請求項4に記載のヘアーアイロン。
【請求項6】
前記第1溶接部と前記第2溶接部の防水接合は、前記第1溶接部と前記第2溶接部の防水接合は、前記第1カバー部材の周縁内壁部と前記第2カバー部材の周縁内壁部の全長に渡っている、請求項4に記載のヘアーアイロン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱による癖付けを毛髪に施して整髪を行うヘアーアイロンに関する。さらに詳しくは、ヘアーアイロンを浴室等で使用する場合や、スチーム発生機能を備えたヘアーアイロンを使用する場合のように水分に接触しやすい場合であっても、本体内に水分が浸入するのを防ぐことができるヘアーアイロンに関する。
【背景技術】
【0002】
V字状に拡開可能なヘアーアイロンが知られている。こうしたヘアーアイロンは、例えば、V字状に拡開可能に基端側で連結された一対のアーム部と、前記一対のアーム部に配備された加熱手段によって加熱され、前記一対のアーム部の先端側にそれぞれ配備されて互いに対向する一対の平板状の挟持部とを備えている。そして、毛髪を一対の挟持部で挟み込み、挟み込んだ毛髪にカールやストレート状の癖付けを行うものである。
【0003】
このようなヘアーアイロンにおいて、一対の挟持部の一方にスチーム発生部を設け、挟み込んだ毛髪にスチームを噴出するものが提案されている(特許文献1)。また、ヘアーアイロンを浴室で使用可能なように、浴室で使用しても筐体内部に水が浸入するのを防止できる防水部を備えたヘアーアイロンも提案されている(特許文献2)。その防水部は、上筐体の上本体と上蓋との間に設けられ、上本体と上蓋との間から水が上筐体の内部に浸入することを防ぐように、防水部材と接着材とを有する構造形態になっている(同文献2の
図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-151139号公報
【特許文献2】特開2016-195706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1,2のように、ヘアーアイロンを浴室等で使用する場合や、スチーム発生機能を備えたヘアーアイロンを使用する場合のように、ヘアーアイロンが水分に接触したり水分を発生したりする場合に、水分が内部に浸入して電子部品群に接触すると故障の原因になり易いことから、より防水性の高い防水構造が期待されている。一方、特許文献2のように、接着させる対向面に溝を設け、その溝内に設けた接着材で対向面同士を面接着させる防水構造は、接着強度が十分でなく、接着材の経時劣化により接着強度が低下して密閉性が損なわれやすく、高い防水性を維持することは難しいと考えられる。また、複雑な構造や特殊な材料を適用して防水性を高めることも考えられるが、新たな問題を生じ易く、また材料コストや製造コストが嵩んでしまい、適切な価格でヘアーアイロンを提供できなくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、ヘアーアイロンを浴室等で使用する場合や、スチーム発生機能を備えたヘアーアイロンを使用する場合のように水分に接触しやすい場合であっても、水分が内部に浸入して電子部品群に接触するのを防ぐことができるヘアーアイロンを、複雑な構造や特殊な材料を適用することなく提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るヘアーアイロンは、V字状に拡開可能な一対のアーム部を備えたヘアーアイロンであって、
前記一対のアーム部は、第1アーム部と第2アーム部とからなり、前記第1アーム部は第1ケース部材と第1カバー部材と第1内部カバー部材とで構成され、前記第2アーム部は第2ケース部材と第2カバー部材と第2内部カバー部材とで構成され、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材それぞれの対向位置には平板状の毛髪癖付け部が設けられており、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材それぞれには、前記毛髪癖付け部で癖付けを行うための電子部品群が設置されており、
前記電子部品群を覆う前記内部カバー部材それぞれの周縁先端部は、防水接着部を介し、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材それぞれの内側面に設けられた溝に嵌め合わされて防水接着されている、ことを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、電子部品群を覆う内部カバー部材それぞれの周縁先端部は、防水接着部を介し、第1ケース部材及び第2ケース部材それぞれの内側面に設けられた溝に嵌め合わされて防水接着されているように構成されているので、ヘアーアイロンを浴室等で使用する場合や、スチーム発生機能を備えたヘアーアイロンを使用する場合のように水分に接触しやすい場合であっても、水分が内部に浸入して電子部品群に接触するのを防ぐことができる。その結果、複雑な構造や特殊な材料を適用することがないので、新たな問題を生じ難く、また材料コストや製造コストも抑えられ、適切な価格で提供できる。
【0009】
本発明に係るヘアーアイロンにおいて、前記周縁先端部と前記溝との防水接着は、前記第1内部カバー部材及び前記第2内部カバー部材それぞれの周縁部の全長に渡っている。この発明によれば、第1内部カバー部材及び第2内部カバー部材の周縁部の全長に渡って、第1ケース部材と第2ケース部材との高い防水性が確保される。
【0010】
本発明に係るヘアーアイロンにおいて、前記毛髪癖付け部の全ての周縁は、前記第1ケース部材と前記第2ケース部材それぞれに防水接着されている。この発明によれば、毛髪癖付け部の全ての周縁で、第1ケース部材と第2ケース部材それぞれとの間で高い防水性が確保される。
【0011】
本発明に係るヘアーアイロンにおいて、前記第1ケース部材の周縁外壁部と前記第1カバー部材の周縁内壁部が、Z字型断面の嵌合形状で相互に当接されて超音波溶接された第1溶接部で防水接合され、前記第2ケース部材の周縁外壁部と前記第2カバー部材の周縁内壁部も、Z字型断面の嵌合形状で相互に当接されて超音波溶接された第2溶接部で防水接合されている。
【0012】
この発明によれば、ケース部材の周縁外壁部とカバー部材の周縁内壁部がZ字型断面の嵌合形状で相互に当接されて超音波溶接されて、ケース部材とカバー部材とが防水接合されるので、前記した内部カバー部材とケース部材との防水接着で電子部品群を防水するのに加え、二重の防水処理により高い防水性を確保できる。
【0013】
本発明に係るヘアーアイロンにおいて、前記Z字型断面の嵌合形状は、(a)前記第1ケース部材及び第2ケース部材それぞれの周縁外壁部に設けられた切り欠きと、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材それぞれの周縁内壁部に設けられた切り欠きとの嵌合である、又は、(b)前記第1ケース部材及び第2ケース部材それぞれの周縁外壁部に設けられた嵌合凸部と、前記第1カバー部材及び前記第2カバー部材それぞれの周縁内壁部に設けられた嵌合凹部との嵌合である。
【0014】
この発明によれば、(a)の第1形態の嵌合又は(b)の第2形態の嵌合により、Z字型断面の嵌合形状を構成するので、上記した内部カバー部材とケース部材との防水接着で電子部品群を防水する第1の防水部に加え、二重の防水処理により高い防水性を確保できる。
【0015】
本発明に係るヘアーアイロンにおいて、前記第1溶接部と前記第2溶接部の防水接合は、前記第1カバー部材の周縁内壁部と前記第2カバー部材の周縁内壁部の全長に渡っている。この発明によれば、周縁部の全長に渡って高い防水性が確保される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ヘアーアイロンを浴室等で使用する場合や、スチーム発生機能を備えたヘアーアイロンを使用する場合のように水分に接触しやすい場合であっても、水分が内部に浸入して電子部品群に接触するのを防ぐことができる。その結果、複雑な構造や特殊な材料を適用することがないので、新たな問題を生じ難く、また材料コストや製造コストも抑えられ、適切な価格で提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係るヘアーアイロンの一例であり、一対のアーム部がV字状に拡開した形態を示す図である。
【
図2】
図1のヘアーアイロンにおいて、拡開した一対のアーム部を閉じた形態を示す図である。
【
図3】
図1のアーアイロンを充電している形態を示す図である。
【
図5】第1アーム部を構成する第1ケース部材、第1内部カバー部材、及び第1カバー部材の分解構成図である。
【
図6】第1内部カバー部材が第1ケース部材に防水接着した形態図である。
【
図7】(A)は毛髪癖付け部の全ての周縁が第1ケース部材の内側面に防水接着されている形態図であり、(B)は毛髪癖付け部の全ての周縁が第2ケース部材の内側面に防水接着されている形態図であり、(C)は(B)で表された第2ケース部材を反転した形態図である。
【
図8】第1の防水部の一例を示す拡大断面図である。
【
図9】(A)は第3の防水部の一例を示す拡大断面図であり、(B)は第3の防水部の他の一例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るヘアーアイロンについて、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態は本発明の一形態であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲から把握される技術的範囲において種々の変更や応用が可能である。
【0019】
[ヘアーアイロン]
本発明に係るヘアーアイロン1は、
図1及び
図4に主に示すように、V字状に拡開可能な一対のアーム部2を備えたヘアーアイロンである。一対のアーム部2は、第1アーム部11と第2アーム部21とからなり、それらが基端側7aの連結部3で連結されてV字状に拡開可能になっている。第1アーム部11は、第1ケース部材12と第1カバー部材13と第1内部カバー部材15とで構成されている。第2アーム部21は、第2ケース部材22と第2カバー部材23と第2内部カバー部材25とで構成されている。第1ケース部材12と第2ケース部材22それぞれの先端側7bの対向位置には、平板状の毛髪癖付け部4,5が設けられている。第1ケース部材12と第2ケース部材22それぞれには、毛髪癖付け部4,5で癖付けを行うための電子部品群6が設置されている。
【0020】
本発明では、第1内部カバー部材15と第2内部カバー部材25が、電子部品群6を覆うように設けられている点に特徴がある。具体的には、第1内部カバー部材15の周縁先端部17が、第1ケース部材12の内側面16に設けられた溝18に嵌め合わされて防水接着され、電子部品群6を防水するように覆っている。また、第2内部カバー部材25の周縁先端部27が、第2ケース部材22それぞれの内側面26に設けられた溝28に嵌め合わされて防水接着され、電子部品群6を防水するように覆っている。
【0021】
こうした構成により、ヘアーアイロン1を浴室等で使用する場合やスチーム発生機能を備えたヘアーアイロンを使用する場合のように水分に接触しやすい場合であっても、水分が内部に浸入して電子部品群6に接触するのを防ぐことができる。その結果、複雑な構造や特殊な材料を適用することがないので、新たな問題を生じ難く、また材料コストや製造コストも抑えられ、適切な価格で提供できる。
【0022】
各構成要素を詳しく説明する。
【0023】
<アーム部>
アーム部2は、
図1及び
図2に示すように、第1アーム部11と第2アーム部21とで構成されている。これらのアーム部11,21は、基端側7aの連結部3で連結されている。この連結部3には、アーム部11,21を所定の位置でロックしたりロック解除したりする機能を有していてもよい。通常は、アーム部11,21を
図2に示すように閉じた状態でロックして載置したり、
図3に示す充電ケース31のヘアーアイロン挿入部32に挿入したりする。
【0024】
ここで充電ケース31について説明すれば、充電ケース31は、例えば
図3に示すように、ヘアーアイロン挿入部32を上部に有し、電源ケーブル接続部33を側部に有する形態を挙げることができる。電源ケーブル接続部33には、電源ケーブル34が挿入される。ヘアーアイロン挿入部32の底部には、ヘアーアイロン1の基端側7aの端面に設けられた充電端子電極41に接する電極部(図示しない)が設けられているので、その電極部に充電端子電極41が接し、ヘアーアイロン1が内蔵するバッテリー(図示しない)が充電される。このバッテリーは、電子部品の一つとして電子部品群6に含まれる。
【0025】
第1アーム部11は、
図4及び
図5に示すように、第1ケース部材12と第1カバー部材13と第1内部カバー部材15とで構成されている。第2アーム部21においても、
図4に示すように、第2ケース部材22と第2カバー部材23と第2内部カバー部材25とで構成されている。
【0026】
<毛髪癖付け部と電子部品群>
ヘアーアイロン1の全長のうち基端側7aの半分又は略半分は、その厚さが厚くなっている。この厚い部分は把持領域Bであり、使用者が握り持つ部分である。この厚い把持領域Bでは、
図4及び
図5に示すように、電子部品群6がケース部材12,22上に設置されている。一方、ヘアーアイロン1の全長のうち先端側7bの半分又は略半分は、その厚さが把持領域Bの厚さより薄くなっている。この薄い部分は挟み領域Aであり、癖付けする毛髪を一対のアーム部11,21で挟む部分である。この薄い挟み領域Aでは、
図4及び
図5に示すように、平板状の毛髪癖付け部4,5が対向して設けられている。
【0027】
毛髪癖付け部4,5は、加熱によるものであってもよいし、加熱スチームによるものであってもよいし、超音波によるものであってもよく、その機能は特に限定されない。電子部品群6は、そうした毛髪癖付け部4,5の機能に応じた電子部品で構成されることになるが、その部品構成や配置構成は特に限定されず、必要な部品が適切な位置に配置されている。
図4の断面図には、毛髪癖付け部4,5を超音波で癖付けする場合の電子部品群6が例示されているが、電子部品群6を構成する個々の部品とその配置についてはここでは省略する。
【0028】
<防水部>
(第1の防水部)
電子部品群6は、水分と接触しないように防水されている必要がある。本発明では、第1内部カバー部材15と第2内部カバー部材25が、電子部品群6を覆うように設けられている防水接着部19,29(第1の防水部ともいう。)である点に特徴がある。この防水接着部19,29は、具体的には、
図4~
図6及び
図8に示すように、第1内部カバー部材15と第2内部カバー部材25それぞれの周縁先端部17,27が、第1ケース部材12及び第2ケース部材22それぞれの内側面16,26に設けられた溝18,28に嵌め合わされて防水接着されて、電子部品群6を防水するように覆っている。防水接着には、防水性のシリコン系接着剤を用いることが好ましい。
【0029】
この防水接着部19,29において、周縁先端部17,27と溝18,28との防水接着は、第1内部カバー部材15及び第2内部カバー部材25それぞれの周縁部の全長に渡っている。こうすることで、第1内部カバー部材15及び第2内部カバー部材25の周縁部の全長に渡って、第1ケース部材12と第2ケース部材22との高い防水性が確保される。
【0030】
こうした防水接着部19,29は、
図8に示すように、周縁先端部17,27が溝18,28に嵌め合わされて防水接着されている点に特徴があるので、接着させる対向面に溝を設け、その溝内に設けた接着材で対向方向の対向面同士を面接着させる特許文献2の防水構造に比べ、接着強度が高く、接着材の経時劣化により接着強度が低下して密閉性が損なわれることがなく、高い防水性を維持することができる。
【0031】
(第2の防水部)
平板状の毛髪癖付け部4,5の全ての周縁は、
図7に示すように、第1ケース部材12と第2ケース部材22それぞれに防水接着されて防水接着部20,30(第2の防水部ともいう。)を構成する。こうした防水接着部20,30においては、
図7(A)(B)(C)に示すように、毛髪癖付け部4,5の全ての周縁で、第1ケース部材12と第2ケース部材22それぞれとの間で高い接着性と防水性が確保される。具体的形態は図示しないが、第1ケース部材12と第2ケース部材22それぞれには、毛髪癖付け部4,5の全ての周縁を嵌め込む段差部が設けられており、そこに防水性のシリコン系接着剤を設けて接着させる。この防水接着部20,30は、第1の防水部である防水接着部19,29と協働して、電子部品群6が水分に接しないようにすることができ、より効果的な防水を実現できる。
【0032】
(第3の防水部)
第1ケース部材12の周縁外壁部12aと第1カバー部材13の周縁内壁部13aは、
図4及び
図9(A)に示すように、Z字型断面の嵌合形状になっている。そうした嵌合形態は、周縁外壁部12aと周縁内壁部13aが相互に当接され、その当接部が超音波溶接されて第1溶接部14となって防水接合され、防水接合部を構成する。また、図示しないが、第2ケース部材22の周縁外壁部と第2カバー部材23の周縁内壁部もZ字型断面の嵌合形状になっている。そうした嵌合形態も、周縁外壁部と周縁内壁部が相互に当接され、その当接部が超音波溶接されて第2溶接部24となって防水接合され、防水接合部を構成する。第1溶接部14と第2溶接部24の防水接合は、第1カバー部材13と第2カバー部材23それぞれの周縁部の全長に渡っている。こうすることで、周縁部の全長に渡って高い防水性が確保される。
【0033】
(第1形態)
第1カバー部材13において、Z字型断面は、
図9(A)に示すように、周縁外壁部には切り欠きはなく、周縁内壁部には切り欠きがある断面形態のことである。ここでの切り欠きは、第1ケース部材12の周縁外壁部に設けられた切り欠きに嵌合する形態である。周縁内壁部の切り欠きは、前記周縁外壁部に平行に切り欠かれた構造形態である。その切り欠き長さL1は特に限定されないが、
図9(A)に示すように、例えば、第1カバー部材13の厚さT1と同じ又は略同じ長さであることが好ましい。また、その切り欠き深さT2は、第1カバー部材13の厚さT1の半分又は略半分の深さであることが好ましい。また、このときの切り欠きは、
図9(A)に示すように鋭角に形成されていることが好ましく、その切り欠き角度θ1は仮想法線から鋭角方向に例えば20°以下であることが好ましい。なお、第2カバー部材23についても同様である。
【0034】
第1ケース部材12においては、先端のZ字型断面は、
図9(A)に示すように、周縁外壁部には切り欠きがある断面形態のことである。ここでの周縁外壁部の切り欠きは、第1カバー部材13の周縁内壁部に設けられた切り欠きに嵌合する形態である。周縁外壁部の切り欠きは、前記周縁内壁部に平行に切り欠かれた構造形態である。その切り欠き深さT3は、第1カバー部材13の切り欠き深さT2と同じ又は同程度であることが好ましい。その切り欠き長さL2は特に限定されないが、
図9(A)に示すように、例えば、切り欠き深さT3と同じ又は略同じであることが好ましい。また、このときの切り欠きは、
図9(A)に示すように、第1カバー部材13の周縁内壁部の切り欠きと同様に、鋭角に形成されていることが好ましく、その切り欠き角度θ2も、第1カバー部材13の切り欠き角度θ1と同様に、仮想法線から鋭角方向に例えば20°以下であることが好ましい。なお、第2ケース部材22についても同様である。
【0035】
ケース部材12,22の周縁外壁部(12a)とカバー部材13,23の周縁内壁部(13a)がZ字型断面の嵌合形状で相互に当接されるが、そのときの当接は付勢力Fにより行われることが好ましい。付勢力Fによって当接されるためには、前記した鋭角の切り欠き角度θ1,θ2での切り欠きの嵌合がその付勢力により嵌合していることが好ましい。付勢力Fとしては、
図4に示す円弧状のカバー部材13,23の周縁部が内側に向かって閉じる力を挙げることができる。こうした嵌合形状で超音波溶接されることで、安定且つ接合力にある溶接を実現でき、高い接着力と防水性を実現できる。
【0036】
(第2形態)
第1カバー部材13において、Z字型断面は、
図9(B)に示すように、周縁内壁部13aに嵌合凹部13bがある断面形態のことである。ここでの嵌合凹部13bは、第1ケース部材12の周縁外壁部12aに設けられた嵌合凸部12bに嵌合する形態である。嵌合凹部13bは、第1カバー部材13の周縁内壁部13aに溝状に形成された凹部形態である。その嵌合凹部13bの深さT2は特に限定されないが、
図9(B)に示すように、第1ケース部材12の嵌合凸部12bの高さT3と同じ又は略同じ長さであり、且つ第1カバー部材13の厚さT1の半分又は略半分の深さであることが好ましい。また、この嵌合凹部13bの先端側の切り込み角度θ3は、
図9(B)に示すように鋭角に形成されていることが好ましく、その切り込み角度θ3は仮想法線から鋭角方向に例えば20°以下であることが好ましい。なお、第2カバー部材23についても同様である。
【0037】
第1ケース部材12においては、Z字型断面は、
図9(B)に示すように、周縁外壁部12aには嵌合凸部12bがある断面形態のことである。ここでの周縁外壁部12aの嵌合凸部12bは、第1カバー部材13の周縁内壁部13aに設けられた嵌合凹部13bに嵌合する形態である。嵌合凸部12bは、第1ケース部材12の周縁外壁部12aにレール状に形成された凸部形態である。その嵌合凸部12bの高さT3は特に限定されないが、
図9(B)に示すように、第1カバー部材13の嵌合凹部13bの深さT2と同じ又は略同じ長さであることが好ましい。また、この嵌合凸部12bの先端側の角度θ4は、
図9(B)に示すように鋭角に形成されていることが好ましく、その角度θ4は仮想法線から鋭角方向に例えば20°以下であることが好ましい。なお、第2ケース部材22についても同様である。
【0038】
ケース部材12,22の周縁外壁部(12a)とカバー部材13,23の周縁内壁部(13a)がZ字型断面の嵌合形状で相互に当接されるが、そのときの当接は付勢力Fにより行われることが好ましい。付勢力Fによって当接されるためには、前記した嵌合凸部12bと嵌合凹部13bとが付勢力により嵌合していることが好ましい。付勢力Fとしては、
図4に示す円弧状のカバー部材13,23の周縁部が内側に向かって閉じる力を挙げることができる。こうした嵌合形状で超音波溶接されることで、安定且つ接合力にある溶接を実現でき、高い接着力と防水性を実現できる。
【0039】
図9の2つの形態(第1形態、第2形態)に示すように、ケース部材12,22とカバー部材13,23との防水接合は、それら部材それぞれの壁面(周縁内壁面と周縁外壁面)に設けられた嵌合形状同士が嵌合し、その嵌合した部分が超音波溶接された第3の防水部で行われる。こうして防水接合された第3の防水部は、壁面同士接合及び嵌合接合により接合されているので、本発明に係るヘアーアイロンの防水接合部に起こる引張方向Yに抗するようにケース部材12,22の先端面とカバー部材13,23の先端面とを接着剤で接合した場合に比べて、高い接合を実現できる。なお、第3の接合部での接着破壊は、接着面に平行に作用し、被着体同士を反対方向にずれさせようとする荷重(せん断応力)によって接合部が破断したときの強さ(いわゆるせん断強度)が必要になるが、この第3の防水部でのせん断強度は、前記した先端面同士を接合した場合における引張方向Yの引張強度よりも高くなり、高い接合を実現できるのである。この第3の防水部は、前記した内部カバー部材15,25とケース部材12,22との防水接着で電子部品群6,6を防水する第1の防水部とともに、二重の防水構造となって高い防水性を確保できる。
【0040】
以上のように、本発明によれば、ヘアーアイロン1を浴室等で使用する場合や、スチーム発生機能を備えたヘアーアイロン1を使用する場合のように水分に接触しやすい場合であっても、水分が内部に浸入して電子部品群6に接触するのを防ぐことができる。その結果、複雑な構造や特殊な材料を適用することがないので、新たな問題を生じ難く、また材料コストや製造コストも抑えられ、適切な価格で提供できる。
【符号の説明】
【0041】
1 ヘアーアイロン
2 一対のアーム部
3 連結部
4 毛髪癖付け部
5 毛髪癖付け部
6 電子部品群
7a 基端側
7b 先端側
11 第1アーム部
12 第1ケース部材
12a 第1ケース部材の周縁外壁部
12b 嵌合凸部
13 第1カバー部材
13a 第1カバー部材の周縁内壁部
13b 嵌合凹部
14 第1溶接部(防水接合部)
15 第1内部カバー部材
16 内側面
17 内周先端部
18 溝
19 防水接着部
20 防水接着部
21 第2アーム部
22 第2ケース部材
23 第2カバー部材
24 第2溶接部(防水接合部)
25 第2内部カバー部材
26 内側面
27 内周先端部
28 溝
29 防水接着部
30 防水接着部
31 充電ケース
32 ヘアーアイロン挿入部
33 電源ケーブル接続部
34 電源ケーブル
41 充電端子電極
A 挟み領域
B 把持領域
L1 カバー部材の切り欠き長さ
L2 ケース部材の切り欠き長さ
T1 カバー部材の厚さ
T2 カバー部材の切り欠き深さ又は嵌合凹部の深さ
T3 ケース部材の切り欠き深さ又は嵌合凸部の高さ
θ1,θ3 カバー部材のZ字型断面の角度
θ2,θ4 ケース部材のZ字型断面の角度
F 付勢力
Y 防水接合部に起こる引張方向