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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059153
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】電流センサ
(51)【国際特許分類】
   G01R 15/20 20060101AFI20240423BHJP
【FI】
G01R15/20 D
G01R15/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166655
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】指宿 隆弘
【テーマコード(参考)】
2G025
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AA07
2G025AA11
2G025AA15
2G025AB01
2G025AC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】互いに隣り合う複数の導電体にそれぞれ対応する複数の磁気センサを通過する磁場の磁束密度を大きくしつつ、検知精度を向上させる。
【解決手段】電流センサ1は、第1導電体10Aと、第2導電体10Bと、第1磁気センサ20Aと、第2磁気センサ20Bと、遮蔽板30Aと、第1集磁板40Aと、第2集磁板40Bとを備えている。第1導電体10A及び第2導電体10Bは、それぞれ第1方向D1に沿って電流を流す。第1磁気センサ20A及び第2磁気センサ20Bは、第1導電体10A及び第2導電体10Bの電流による磁場をそれぞれ検知する。第1集磁板40Aは、第1導電体10Aと遮蔽板30Aの間で第1導電体10A及び遮蔽板30Aと離隔して位置する。第2集磁板40Bは、第2導電体10Bと遮蔽板30Aの間で第2導電体10B及び遮蔽板30Aと離隔して位置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延び、前記第1方向に沿って電流を流す第1導電体と、
前記第1導電体と離隔しつつ前記第1方向に延び、前記第1方向に沿って電流を流す第2導電体と、
前記第1方向、および、前記第1導電体と前記第2導電体とが並ぶ第2方向の両方に直交する第3方向において、前記第1導電体と並んでおり、前記第1導電体を流れる電流により生じる磁場を検知する第1磁気センサと、
前記第3方向において前記第2導電体と並んでおり、前記第2導電体を流れる電流により生じる磁場を検知する第2磁気センサと、
前記第1導電体および前記第1磁気センサと、前記第2導電体および前記第2磁気センサとの間に位置する遮蔽板と、
前記第1導電体と前記遮蔽板との間において前記第1導電体および前記遮蔽板のそれぞれと離隔して位置する第1集磁板と、
前記第2導電体と前記遮蔽板との間において前記第2導電体および前記遮蔽板のそれぞれと離隔して位置する第2集磁板とを備え、
前記第1方向における前記第1集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短く、かつ、前記第3方向における前記第1集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短く、
前記第1方向における前記第2集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短く、かつ、前記第3方向における前記第2集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短い、電流センサ。
【請求項2】
前記第1集磁板は、前記第1集磁板の前記第3方向における一方端縁および他方端縁の各々が前記第1集磁板の前記第3方向における中心に向かって切り欠かれることで形成された一対の切欠部を有している、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項3】
一対の前記切欠部は、前記第3方向を向く端面が前記第2方向から見た時に湾曲するように形成されている、請求項2に記載の電流センサ。
【請求項4】
前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサは、各々が、トンネル型磁気抵抗センサまたは巨大磁気抵抗センサである、請求項2に記載の電流センサ。
【請求項5】
前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサは、各々が、前記第2方向における磁界強度を検出する、請求項2に記載の電流センサ。
【請求項6】
前記遮蔽板、前記第1集磁板、および、前記第2集磁板は、各々が、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち、2種類以上の金属を含む磁性体である、請求項1に記載の電流センサ。
【請求項7】
前記第1導電体、前記第2導電体、前記第1磁気センサ、前記第2磁気センサ、前記遮蔽板、前記第1集磁板および前記第2集磁板の各々から見て、前記第3方向における一方側に位置しつつ、前記第2方向に沿って延びる、少なくとも1つの外側集磁板をさらに備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電流センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電流センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電流センサを開示した文献として、特開2000-292455号公報(特許文献1)および特開2021-135186号公報(特許文献2)がある。
【0003】
特許文献1には、通電の有無や電流の大きさを非接触で検出する、従来の電流検出装置が開示されている。当該電流検出装置は、並列された複数の電線の間を磁性体からなる磁気遮蔽板で仕切り、各電線の直上にあって磁気遮蔽板で囲われた内側に電磁変換素子を配置したことを特徴とする。磁気遮蔽板は、パーマロイなどの透磁率の高い磁性材料の薄板から構成されるものであり、各電線に流れる電流により生ずる磁界を遮断することで、隣接する電線間の磁界の相互漏洩を防止する。
【0004】
特許文献2には、導電体と、検知素子と、磁性体コアとを備えた従来の電流センサが開示されている。導電体は、所定の方向に延伸し、当該所定の方向に電流が流れる電流測定部を有する。検知素子は、導電体を流れる電流により生じる磁場を検知する。磁性体コアは、導電体と検知素子を検知素子の感磁方向の両側から挟み込む2枚の板状の磁性体を有する。磁性体コアは、電流測定部を流れる電流により生じる磁場を集磁して検知素子を通過する磁束密度を大きくする機能を有する。磁性体コアは、例えば、ケイ素鋼板などの軟磁性体からなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000-292455号公報
【特許文献2】特開2021-135186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、磁気遮蔽板によって、ある電線の磁界が、隣の電線に対応する電磁変換素子(磁気センサ)へ影響を与えることが抑制されている。しかしながら、磁気遮蔽板によって磁界が過剰に集められ、電磁変換素子を通過する磁束密度が小さくなる場合がある。
【0007】
また、特許文献2においては、磁性体コアによって、検知素子(磁気センサ)を通過する磁束密度が大きくなっている。しかしながら、このような電流センサが並んで配置される際には、電流測定部に隣り合う他の電流測定部によって発生する磁場も磁性体コアによって集磁される場合がある。ひいては、電流センサの検知精度が低下するおそれがある。
【0008】
本開示は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、互いに隣り合う複数の導電体にそれぞれ対応する複数の磁気センサを通過する磁場の磁束密度を大きくしつつ、検知精度を向上させることができる、電流センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に基づく電流センサは、第1導電体と、第2導電体と、第1磁気センサと、第2磁気センサと、遮蔽板と、第1集磁板と、第2集磁板とを備えている。第1導電体は、第1方向に延び、第1方向に沿って電流を流す。第2導電体は第1導電体と離隔しつつ第1方向に延び、第1方向に沿って電流を流す。第1磁気センサは、第1方向、および、第1導電体と第2導電体とが並ぶ第2方向の両方に直交する第3方向において、第1導電体と並んでおり、第1導電体を流れる電流により生じる磁場を検知する。第2磁気センサは、第3方向において第2導電体と並んでおり、第2導電体を流れる電流により生じる磁場を検知する。遮蔽板は、第1導電体および第1磁気センサと、第2導電体および第2磁気センサとの間に位置する。第1集磁板は、第1導電体と遮蔽板との間において第1導電体および遮蔽板のそれぞれと離隔して位置する。第2集磁板は、第2導電体と遮蔽板との間において第2導電体および遮蔽板のそれぞれと離隔して位置する。第1方向における第1集磁板の長さは遮蔽板の長さより短く、かつ、第3方向における第1集磁板の長さは遮蔽板の長さより短い。第1方向における第2集磁板の長さは遮蔽板の長さより短く、かつ、第3方向における第2集磁板の長さは遮蔽板の長さより短い。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、遮蔽板によって、第2導電体に流れた電流により発生した第2磁界が第1磁気センサによって検知されることが抑制されて、電流センサの検知精度が向上する。そして、第1方向および第3方向において遮蔽板より大きさの小さい第1集磁板によって、第1導電体の近傍においては、第1導電体に流れた電流により発生した第1磁界が集められ、第1磁気センサを通過する第1磁界の磁束密度を高くすることができる。これと同様に、遮蔽板によって第1磁界が第2磁気センサによって検知されることが抑制されて、電流センサの検知精度が向上する。そして、第1方向および第3方向において遮蔽板より大きさの小さい第2集磁板によって、第2導電体の近傍においては第2磁界が集められ、第2磁気センサにおける第2磁界の磁束密度を高くすることができる。
【0011】
したがって、本開示によれば、互いに隣り合う複数の導電体に対応する複数の磁気センサを通過する磁場の磁束密度を大きくしつつ、検知精度が向上した電流センサを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の実施形態1に係る電流センサを示す斜視図である。
図2】本開示の実施形態1に係る電流センサを示す正面図である。
図3図2の電流センサをIII-III線矢印方向から見たときの断面図である。
図4】本開示の実施形態1における第1集磁板を示す斜視図である。
図5】本開示の実施形態1における第1集磁板の第1変形例を示す斜視図である。
図6】本開示の実施形態1における第1集磁板の第1変形例を示す側面図である。
図7】本開示の実施形態1における第1集磁板の第2変形例を示す斜視図である。
図8】本開示の実施形態1における第1集磁板の第2変形例を示す側面図である。
図9】本開示の実施形態1における第1集磁板の第3変形例を示す斜視図である。
図10】本開示の実施形態1における第1集磁板の第3変形例を示す側面図である。
図11】本開示の実施形態2に係る電流センサを示す正面図である。
図12図11の電流センサをXII-XII線矢印方向から見たときの断面図である。
図13】本開示の実施形態3に係る電流センサを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の各実施形態に係る電流センサについて図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下の実施形態の説明において、上または下の概念に言及する際には、絶対的な上または下を意味するとは限らず、図示された姿勢の中での相対的な上または下を意味する場合がある。
【0014】
(実施形態1)
図1は、本開示の実施形態1に係る電流センサを示す斜視図である。図2は、本開示の実施形態1に係る電流センサを示す正面図である。図3は、図2の電流センサをIII-III線矢印方向から見たときの断面図である。
【0015】
図1から図3に示すように、本開示の一実施形態に係る電流センサ1は、第1導電体10Aと、第2導電体10Bと、第3導電体10Cと、第1磁気センサ20Aと、第2磁気センサ20Bと、第3磁気センサ20Cと、(第1)遮蔽板30Aと、第2遮蔽板30Bと、第3遮蔽板30Cと、第4遮蔽板30Dと、第1集磁板40Aと、第2集磁板40Bと、第3集磁板40Cと、第4集磁板40Dと、第5集磁板40Eとを備えている。図3においては、見やすさのため第1導電体10Aを破線で示している。
【0016】
第1導電体10Aは、第1方向D1に延び、第1方向D1に沿って電流を流す。第2導電体10Bは、第1導電体10Aと離隔しつつ第1方向D1に延び、第1方向D1に沿って電流を流す。第2導電体10Bは、第2方向D2において第1導電体10Aと並んで位置している。第2方向D2は、第1方向D1に直交する方向である。第3導電体10Cは、第2導電体10Bと離隔しつつ第1方向D1に延び、第1方向D1に沿って電流を流す。第3導電体10Cは、第2方向D2において第1導電体10Aおよび第2導電体10Bと並んで位置している。第3導電体10Cは、第2導電体10Bから見て第1導電体10Aとは反対側に位置している。
【0017】
第1導電体10A、第2導電体10Bおよび第3導電体10Cの各々は、たとえばバスバである。第1導電体10Aおよび第3導電体10Cは、第1方向D1のうちの一方の方向に電流を流し、第2導電体10Bは、第1方向D1のうちの他方の方向に電流を流す。
【0018】
第1導電体10A、第2導電体10Bおよび第3導電体10Cの各々の寸法は特に限定されない。これらの導電体の延在方向から見たときの幅寸法(図2に示される断面の第2方向D2における寸法)は、たとえば9mmであり、高さ寸法(図2示される断面の第3方向D3における寸法)は、たとえば5mmである。第1方向D1から見た時の第1導電体10Aの中心と、第2導電体10Bの中心との距離はたとえば25mmである。第1方向D1から見た時の第2導電体10Bの中心と、第3導電体10Cの中心との距離も、たとえば25mmである。
【0019】
第1磁気センサ20Aは、第1導電体10Aを流れる電流により生じる磁場を検知する。第1磁気センサ20Aは、第1方向D1および第2方向D2の両方に直交する第3方向D3において第1導電体10Aと並んでいる。なお、本明細書においては、第3方向D3のうち第1導電体10Aから第1磁気センサ20Aを見た時の方向を上方という場合がある。
【0020】
第1磁気センサ20Aは、第1方向D1から見たときに、第1磁気センサ20Aの中心と第1導電体10Aの中心が第3方向D3において並ぶように位置している。
【0021】
第2磁気センサ20Bは、第2導電体10Bを流れる電流により生じる磁場を検知する。第2磁気センサ20Bは、第3方向D3において第2導電体10Bと並んでいる。第2磁気センサ20Bは、第2導電体10Bの上方に位置している。
【0022】
第2磁気センサ20Bは、第1方向D1から見たときに、第2磁気センサ20Bの中心と第2導電体10Bの中心が第3方向D3において並ぶように位置している。
【0023】
第3磁気センサ20Cは、第3導電体10Cを流れる電流により生じる磁場を検知する。第3磁気センサ20Cは、第3方向D3において第3導電体10Cと並んでいる。第3磁気センサ20Cは、第3導電体10Cの上方に位置している。
【0024】
第3磁気センサ20Cは、第1方向D1から見たときに、第3磁気センサ20Cの中心と第3導電体10Cの中心が第3方向D3において並ぶように位置している。
【0025】
第1磁気センサ20A、第2磁気センサ20Bおよび第3磁気センサ20Cは、第2方向D2に並んでいる。ただし、第1磁気センサ20A、第2磁気センサ20Bおよび第3磁気センサ20Cは、第2方向D2に並んでいなくてもよい。
【0026】
第1磁気センサ20A、第2磁気センサ20Bおよび第3磁気センサ20Cは、各々が、トンネル型磁気抵抗(TMR)センサまたは巨大磁気抵抗センサ(GMR)である。
【0027】
第1磁気センサ20A、第2磁気センサ20Bおよび第3磁気センサ20Cは、各々が、第2方向D2における磁界強度を検出する。第1磁気センサ20A、第2磁気センサ20Bおよび第3磁気センサ20Cは、第1方向D1における磁界強度をさらに検出可能であってもよく、第3方向D3における磁界強度をさらに検出可能であってもよい。
【0028】
遮蔽板30Aは、第1導電体10Aおよび第1磁気センサ20Aと、第2導電体10Bおよび第2磁気センサ20Bとの間に位置する。この遮蔽板30Aによって、第1導電体10Aに流れた電流により発生した第1磁界B1が第2磁気センサ20Bによって検知されることが抑制されて、電流センサ1の検知精度が向上する。また、遮蔽板30Aによって、第2導電体10Bに流れた電流により発生した第2磁界B2が第1磁気センサ20Aによって検知されることが抑制されて、電流センサ1の検知精度が向上する。
【0029】
遮蔽板30Aは、第1方向D1および第3方向D3の両方に平行に延びている。遮蔽板30Aと第1導電体10Aとの距離、および、遮蔽板30Aと第2導電体10Bとの距離は、互いに略等しい。遮蔽板30Aの外形形状は特に限定されないが、図面に示されるようにたとえば直方体である。
【0030】
第2遮蔽板30Bは、第1導電体10Aから見て遮蔽板30Aの反対側に位置している。第2遮蔽板30Bは、第1方向D1および第3方向D3の両方に平行に延びている。第2遮蔽板30Bと第1導電体10Aとの距離は、遮蔽板30Aと第1導電体10Aとの距離に略等しい。第2遮蔽板30Bの外形形状は特に限定されないが、図面に示されるようにたとえば直方体である。より具体的には、第2遮蔽板30Bは、第2方向に直交する仮想面に関して遮蔽板30Aと面対称となるように配置されていることが好ましい。
【0031】
第3遮蔽板30Cは、第2導電体10Bから見た時に、第1導電体10Aから見たときの遮蔽板30Aとして採用され得る構成と同様の構成を有することができる。第3遮蔽板30Cは、第2導電体10Bから見た時に、第1導電体10Aから見たときの第2遮蔽板30Bとして採用され得る構成と同様の構成を有することがきる。第3遮蔽板30Cおよび第4遮蔽板30Dは、第3導電体10Cから見た時に、第1導電体10Aから見たときの遮蔽板30Aおよび第2遮蔽板30Bとして採用される得る構成と同様の構成をそれぞれ有することができる。
【0032】
本実施形態において、これらの遮蔽板(遮蔽板30A、第2遮蔽板30B、第3遮蔽板30Cおよび第4遮蔽板30D)の各々について、第1方向D1における寸法はたとえば28mmであり、第2方向D2における寸法はたとえば5mmであり、第3方向D3における寸法は例えば32mmまたは48mmである。
【0033】
遮蔽板30A、第2遮蔽板30B、第3遮蔽板30Cおよび第4遮蔽板30Dは、各々が、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち、2種類以上の金属を含む磁性体である。各遮蔽板がこのような磁性体であることにより、磁界の遮蔽効果が向上する。
【0034】
各遮蔽板は、軟磁気特性向上のための1以上の添加元素をさらに含んでいてもよい。添加元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、バナジウム(V)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、および、タングステン(W)などが挙げられる。
【0035】
第1集磁板40Aは、第1導電体10Aと遮蔽板30Aとの間において第1導電体10Aおよび遮蔽板30Aのそれぞれと離隔して位置する。第1方向D1における第1集磁板40Aの長さは遮蔽板30Aの長さより短く、かつ、第3方向D3における第1集磁板40Aの長さは遮蔽板30Aの長さより短い。
【0036】
上記の構成のように、第1方向D1および第3方向D3において遮蔽板30Aより大きさの小さい第1集磁板40Aによって、第1導電体10Aの近傍においては、第1磁界B1が集められ、第1磁気センサ20Aを通過する第1磁界B1の磁束密度を高くすることができる。なお、第1集磁板40Aの具体的な構成は後述する。
【0037】
第2集磁板40Bは、第2導電体10Bと遮蔽板30Aとの間において第2導電体10Bおよび遮蔽板30Aのそれぞれと離隔して位置する。第1方向D1における第2集磁板40Bの長さは遮蔽板30Aの長さより短く、かつ、第3方向D3における第2集磁板40Bの長さは遮蔽板30Aの長さより短い。
【0038】
上記の構成のように、第1方向D1および第3方向D3において遮蔽板30Aより大きさの小さい第2集磁板40Bによって、第2導電体10Bの近傍においては、第2磁界B2が集められ、第1磁気センサ20Aを通過する第1磁界B1の磁束密度を高くすることができる。
【0039】
なお、第2集磁板40Bが有する構成は、第1集磁板40Aが有し得る構成と同様であってもよい。また、第2導電体10B、第2磁気センサ20Bおよび遮蔽板30Aに関して第2集磁板40Bが有する構成は、第1導電体10A、第1磁気センサ20Aおよび遮蔽板30Aに関して第1集磁板40Aが有し得る構成と同様の構成であってもよい。
【0040】
第1集磁板40Aの構成の詳細について説明する。図4は、本開示の実施形態1における第1集磁板を示す斜視図である。
【0041】
図1から図4に示すように、第1集磁板40Aは、第1集磁板40Aの第3方向D3における一方端縁41および他方端縁42の各々が第1集磁板40Aの第3方向D3における中心に向かって切り欠かれることで形成された一対の切欠部43を有している。
【0042】
上記の構成によれば、第1集磁板40Aによって集磁された第3方向D3に沿って延びる第1磁界B1の磁束線の一部が、切欠部43の外形形状に沿うように延びるように誘導され、さらに遮蔽板30Aに誘導される(図3参照)。結果として、切欠部43から第1磁気センサ20Aに向かう磁界(または、電流の流れる方向が逆であれば、第1磁気センサ20Aから切欠部43に向かう磁界)の磁束密度が若干小さくなる。したがって、第1集磁板40Aを配置することで第1磁気センサ20Aにおける第1磁界B1の磁束密度を高くしつつも、切欠部43によって第1磁気センサ20Aを通過する磁場の強さを大きさを最適化することが容易となる。
【0043】
本実施形態において、第1集磁板40Aの一方端縁41は、第1集磁板40Aの上側の端縁である。第1集磁板40Aの他方端縁42は、第1集磁板40Aの下側の端縁である。一方端縁41側の切欠部43が形成されることで、第2方向D2から見て第1磁気センサ20Aは第1集磁板40Aと重ならないように位置しているが、第1集磁板40Aの一方端縁41は、第1磁気センサ20Aより上方に位置している。
【0044】
第1集磁板40Aは、一対の切欠部43を有することにより、第2方向D2から見て略H字状の外形を有している。第2方向D2から見た時に、第1集磁板40Aは、第1磁気センサ20Aより下方かつ第1方向D1における第1磁気センサ20Aの両側に位置している。
【0045】
第1集磁板40Aの他方端縁42側の切欠部43の構成は特に限定されない。他方端縁42側の切欠部43は、第3方向D3に直交する仮想平面に関して一方端縁41側の切欠部43と面対称となるように形成されていることが好ましい。また、第1集磁板40Aの第3方向D3における中心は、第2方向D2から見て第1導電体10Aと重なるように位置している。
【0046】
一対の切欠部43は、第3方向D3を向く端面431が第2方向D2から見た時に湾曲するように形成されている。これにより、湾曲にした端面431に沿って磁束線が誘導されやすくなり、切欠部43から第1磁気センサ20Aに向かう磁界(または、電流の流れる方向が逆であれば、第1磁気センサ20Aから切欠部43に向かう磁界)の磁束密度が容易に小さくなる。このため、第1磁気センサ20Aを通過する第1磁界B1の大きさを切欠部43によって最適化することがより容易となる。本実施形態において、切欠部43の端面431は第2方向D2から見て一様に湾曲している。
【0047】
切欠部43が形成されることで互いに分離した一方端縁41同士の距離は、特に限定されないが、たとえば12mmである。また、切欠部43が形成されることで互いに分離した他方端縁42同士の距離は、特に限定されないが、たとえば12mmである。切欠部43の第3方向D3における切り欠き寸法は、たとえば8mmである。
【0048】
なお、切欠部43は、本実施形態における形状に限定されず、第1磁界B1の磁束線を誘導可能である限り様々な形状をとり得る。図5は、本開示の実施形態1における第1集磁板の第1変形例を示す斜視図である。図6は、本開示の実施形態1における第1集磁板の第1変形例を示す側面図である。
【0049】
図5および図6に示すように、第1変形例に係る第1集磁板40aにおいては、第3方向D3を向く端面431aが、第3方向D3に直交する平面である。切欠部43は、一対の内側面432をさらに有する。一方端縁41側において、一対の内側面432の各々は、一方端縁41と端面431aとを接続する。他方端縁42側において、一対の内側面432の各々は、他方端縁42と端面431aとを接続する。
【0050】
図7は、本開示の実施形態1における第1集磁板の第2変形例を示す斜視図である。図8は、本開示の実施形態1における第1集磁板の第2変形例を示す側面図である。
【0051】
図7および図8に示すように、第2変形例に係る第1集磁板40bにおいては、第3方向D3を向く端面431bが、第2方向D2から見た時に円弧状に延びており、具体的には半円状に延びている。切欠部43は、第1変形例と同様の一対の内側面432を有する。切欠部43は、一対の内側面432を有していなくてもよい。
【0052】
図9は、本開示の実施形態1における第1集磁板の第3変形例を示す斜視図である。図10は、本開示の実施形態1における第1集磁板の第3変形例を示す側面図である。
【0053】
図9および図10に示すように、第3変形例に係る第1集磁板40cの一対の切欠部43の各々において、第3方向D3を向く複数の端面431cが形成されている。第1方向D1において互いに隣り合う端面431cは、第3方向D3において異なる位置に位置している。これにより、第2方向D2から見て切欠部43が段部を有している。
【0054】
なお、本開示の実施形態1においては、図1に示すように、第3集磁板40Cが有する構成が、第1集磁板40Aが有し得る構成と同様であってもよい。また、第1導電体10A、第1磁気センサ20Aおよび第2遮蔽板30Bに関して第3集磁板40Cが有する構成は、第1導電体10A、第1磁気センサ20Aおよび遮蔽板30Aに関して第1集磁板40Aが有し得る構成と同様の構成であってもよい。
【0055】
第4集磁板40Dが有する構成は、第2集磁板40Bが有し得る構成と同様であってもよい。また、第2導電体10B、第2磁気センサ20Bおよび第3遮蔽板30Cに関して第4集磁板40Dが有する構成は、第2導電体10B、第2磁気センサ20Bおよび遮蔽板30Aに関して第2集磁板40Bが有し得る構成と同様の構成であってもよい。
【0056】
第5集磁板40Eが有する構成は、第4集磁板40Dが有し得る構成と同様であってもよい。また、第3導電体10C、第3磁気センサ20Cおよび第3遮蔽板30Cに関して第5集磁板40Eが有する構成は、第2導電体10B、第2磁気センサ20Bおよび第3遮蔽板30Cに関して第4集磁板40Dが有し得る構成と同様の構成であってもよい。
【0057】
第6集磁板40Fが有する構成は、第5集磁板40Eが有し得る構成と同様であってもよい。また、第3導電体10C、第3磁気センサ20Cおよび第4遮蔽板30Dに関して第6集磁板40Fが有する構成は、第3導電体10C、第3磁気センサ20Cおよび第3遮蔽板30Cに関して第5集磁板40Eが有する構成と同様の構成であってもよい。
【0058】
本実施形態において、これらの集磁板(第1集磁板40A、第2集磁板40B、第3集磁板40C、第4集磁板40D、第5集磁板40Eおよび第6集磁板40F)の各々について、第1方向D1における寸法は、各導電体の幅寸法のたとえば1倍以上3倍以下(たとえば9mm以上27mm以下)であり、第2方向D2における寸法は、隣り合う導電体までの距離(たとえば16mm)の1/8以上1/4以下(たとえば2mm以上4mm以下)であり、第3方向D3における寸法は、各導電体の高さ寸法のたとえば1.5倍以上4倍以下(たとえば7.5mm以上20mm以下)である。
【0059】
本実施形態において、これらの集磁板(第1集磁板40A、第2集磁板40B、第3集磁板40C、第4集磁板40D、第5集磁板40Eおよび第6集磁板40F)の各々について、第1方向D1における寸法はたとえば20mmであり、第2方向D2における寸法はたとえば3mmであり、第3方向D3における寸法はたとえば20mmである。
【0060】
なお、上述した遮蔽板(遮蔽板30A、第2遮蔽板30B、第3遮蔽板30Cおよび第4遮蔽板30D)の各々について、第1方向D1における寸法は、集磁板の第1方向D1における寸法のたとえば1.2倍以上3倍以下(たとえば24mm以上60mm以下)であり、第2方向D2における寸法は、集磁板の第2方向D2における寸法のたとえば1倍以上3倍以下(たとえば3mm以上9mm以下)であり、第3方向D3における寸法は、集磁板の第3方向D3における寸法のたとえば1.5倍以上3倍以下(たとえば30mm以上60mm以下)である。
【0061】
第1集磁板40A、第2集磁板40B、第3集磁板40C、第4集磁板40D、第5集磁板40Eおよび第6集磁板40Fは、各々が、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち、2種類以上の金属を含む磁性体である。各集磁板がこのような磁性体であることにより、各集磁板の磁界の集磁効果が向上する。
【0062】
各集磁板は、軟磁気特性向上のための1以上の添加元素をさらに含んでいてもよい。添加元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、シリコン(Si)、バナジウム(V)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、および、タングステン(W)などが挙げられる。
【0063】
上述のように、本開示の実施形態に係る電流センサ1は、第1導電体10Aと、第2導電体10Bと、第1磁気センサ20Aと、第2磁気センサ20Bと、遮蔽板30Aと、第1集磁板40Aと、第2集磁板40Bとを備えている。第1導電体10Aは、第1方向D1に延び、第1方向D1に沿って電流を流す。第2導電体10Bは第1導電体10Aと離隔しつつ第1方向D1に延び、第1方向D1に沿って電流を流す。第1磁気センサ20Aは、第1方向D1、および、第1導電体10Aと第2導電体10Bとが並ぶ第2方向D2の両方に直交する第3方向D3において、第1導電体10Aと並んでおり、第1導電体10Aを流れる電流により生じる磁場を検知する。第2磁気センサ20Bは、第3方向D3において第2導電体10Bと並んでおり、第2導電体10Bを流れる電流により生じる磁場を検知する。遮蔽板30Aは、第1導電体10Aおよび第1磁気センサ20Aと、第2導電体10Bおよび第2磁気センサ20Bとの間に位置する。第1集磁板40Aは、第1導電体10Aと遮蔽板30Aとの間において第1導電体10Aおよび遮蔽板30Aのそれぞれと離隔して位置する。第2集磁板40Bは、第2導電体10Bと遮蔽板30Aとの間において第2導電体10Bおよび遮蔽板30Aのそれぞれと離隔して位置する。第1方向D1における第1集磁板40Aの長さは遮蔽板30Aの長さより短く、かつ、第3方向D3における第1集磁板40Aの長さは遮蔽板30Aの長さより短い。第1方向D1における第2集磁板40Bの長さは遮蔽板30Aの長さより短く、かつ、第3方向D3における第2集磁板40Bの長さは遮蔽板30Aの長さより短い。
【0064】
上記の構成によれば、遮蔽板30Aによって、第2導電体10Bに流れた電流により発生した第2磁界B2が第1磁気センサ20Aによって検知されることが抑制されて、電流センサ1の検知精度が向上する。そして、第1方向D1および第3方向D3において遮蔽板30Aより大きさの小さい第1集磁板40Aによって、第1導電体10Aの近傍においては、第1導電体10Aに流れた電流により発生した第1磁界B1が集められ、第1磁気センサ20Aを通過する第1磁界B1の磁束密度を高くすることができる。これと同様に、遮蔽板30Aによって第1磁界B1が第2磁気センサ20Bによって検知されることが抑制されて、電流センサ1の検知精度が向上する。そして、第1方向D1および第3方向D3において遮蔽板30Aより大きさの小さい第2集磁板40Bによって、第2導電体10Bの近傍においては第2磁界B2が集められ、第2磁気センサ20Bにおける第2磁界B2の磁束密度を高くすることができる。
【0065】
したがって、本開示によれば、互いに隣り合う複数の導電体に対応する複数の磁気センサを通過する磁場の磁束密度を大きくしつつ、検知精度が向上した電流センサ1を提供できる。
【0066】
第1集磁板40Aは、第1集磁板40Aの第3方向D3における一方端縁41および他方端縁42の各々が第1集磁板40Aの第3方向D3における中心に向かって切り欠かれることで形成された一対の切欠部43を有している。
【0067】
上記の構成によれば、第1集磁板40Aによって集磁された第3方向D3に沿って延びる第1磁界B1の磁束線の一部が、切欠部43の外形形状に沿うように延びるように誘導され、さらに遮蔽板30Aに誘導される。結果として、切欠部43から第1磁気センサ20Aに向かう磁界、または、第1磁気センサ20Aから切欠部43に向かう磁界の磁束密度が若干小さくなる。したがって、第1集磁板40Aを配置することで第1磁気センサ20Aにおける第1磁界B1の磁束密度を高くしつつも、切欠部43によって第1磁気センサ20Aを通過する磁場の強さを最適化することが容易となる。
【0068】
一対の切欠部43は、第3方向D3を向く端面431が第2方向D2から見た時に湾曲するように形成されている。
【0069】
上記の構成によれば、湾曲にした端面431に沿って磁束線が誘導されやすくなり、切欠部43から第1磁気センサ20Aに向かう磁界、または、第1磁気センサ20Aから切欠部43に向かう磁界の磁束密度が容易に小さくなる。このため、第1磁気センサ20Aを通過する第1磁界B1の大きさを切欠部43によって最適化することがより容易となる。
【0070】
第1磁気センサ20Aおよび第2磁気センサ20Bは、各々が、トンネル型磁気抵抗センサまたは巨大磁気抵抗センサである。
【0071】
本実施形態においては、上記のように第1磁気センサ20Aおよび第2磁気センサ20Bの各々がトンネル型磁気抵抗センサまたは巨大磁気抵抗センサであるため、磁界密度検知可能範囲に上限がある。本実施形態に係るセンサにおいては、切欠部43によって、これらの磁気センサを通過する磁束密度を、磁界密度検知可能範囲の上限近くに調節することが容易となる。
【0072】
第1磁気センサ20Aおよび第2磁気センサ20Bは、各々が、第2方向D2における磁界強度を検出する。
【0073】
本実施形態においては、切欠部43によって、第2方向D2に沿って切欠部43から第1磁気センサ20Aに向かう磁界、または、第2方向D2に沿って第1磁気センサ20Aから切欠部43に向かう磁界の磁束密度が若干小さくなる。このため、上記のように第1磁気センサ20Aおよび第2磁気センサ20Bの各々が、第2方向D2における磁界強度を検出する場合には、上記切欠部43による磁束密度調整が効果が顕著になる。
【0074】
遮蔽板30A、第1集磁板40A、および、第2集磁板40Bは、各々が、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち、2種類以上の金属を含む磁性体である。
【0075】
遮蔽板30Aがこのような磁性体であることにより、磁界の遮蔽効果が向上する。また、第1集磁板40Aおよび第2集磁板40Bがこのような磁性体であることにより磁界の集磁効果が向上する。
【0076】
(実施形態2)
以下、本開示の実施形態2に係る電流センサについて説明する。本開示の実施形態2に係る電流センサは、各集磁板の構成が本開示の実施形態2に係る電流センサ1と異なる。よって、本開示の実施形態1に係る電流センサ1と同様である構成については説明を繰り返さない。
【0077】
図11は、本開示の実施形態2に係る電流センサを示す正面図である。図12は、図11の電流センサをXII-XII線矢印方向から見たときの断面図である。図12においては、見やすさのため第1導電体10Aを破線で示している。
【0078】
本開示の実施形態2に係る電流センサ1xにおいては、第1集磁板40Axが、一対の切欠部を有していない。しかしながら、本開示の実施形態1と同様に、第1方向D1における第1集磁板40Axの長さは遮蔽板30Aの長さより短く、かつ、第3方向D3における第1集磁板40Axの長さは遮蔽板30Aの長さより短い。第1方向D1における第2集磁板40Bの長さは遮蔽板30Aの長さより短く、かつ、第3方向D3における第2集磁板40Bの長さは遮蔽板30Aの長さより短い。このため、本開示の実施形態2に係る電流センサ1xは、本開示の実施形態1に係る電流センサ1と同様に、互いに隣り合う複数の導電体に対応する複数の磁気センサを通過する磁場の磁束密度を大きくしつつ、検知精度が向上している。
【0079】
本実施形態においては、第1集磁板40Axの一方端縁41は、第3方向D3に直交する方向に延びる、平面状である。第1集磁板40Axの一方端縁41は、第2方向D2から見て、第1磁気センサ20Aより下方に位置している。これにより、第1集磁板40Aを配置することで第1磁気センサ20Aにおける第1磁界B1の磁束密度を大きくしつつも、第1磁気センサ20Aを通過する磁界の強さが大きくなりすぎないように調整することが可能となる。しかしながら、一方端縁41の第3方向D3における位置を調整するよりも、実施形態1のように切欠部43を形成するほうが、容易に磁界の強さを調整できる。
【0080】
第1集磁板40Axの第3方向D3における寸法は特に限定されないが、たとえば8mmである。なお、図11に示されるように、本実施形態においても実施形態1と同様、第1集磁板40Ax以外の集磁板が第1集磁板40Axの構成と同様または類似の構成を有することができる。
【0081】
(実施形態3)
以下、本開示の実施形態3に係る電流センサについて説明する。本開示の実施形態3に係る電流センサは、外側集磁板をさらに備える点で、本開示の実施形態1に係る電流センサと異なる。よって、本開示の実施形態1に係る電流センサと同様である構成については説明を繰り返さない。
【0082】
図13は、本開示の実施形態3に係る電流センサを示す正面図である。図13に示すように、本開示の実施形態3に係る電流センサ1yは、少なくとも1つの外側集磁板50yをさらに備える。外側集磁板50yは、第1導電体10A、第2導電体10B、第1磁気センサ20A、第2磁気センサ20B、遮蔽板30A、第1集磁板40Aおよび第2集磁板40Bの各々から見て、第3方向D3における一方側に位置しつつ、第2方向D2に沿って延びている。
【0083】
上記の構成によれば、各導電体により発生する磁界とは異なる外部磁場BEが第2方向D2に沿って発生している際には、外部磁場BEの磁束線が外側集磁板50yに誘導されるため、各磁気センサによる外部磁場BEの誤検知が抑制される。
【0084】
なお、本実施形態において、上記少なくとも1つの外側集磁板50yは、第3導電体10C、第3磁気センサ20C、第2遮蔽板30B、第3遮蔽板30C、第4遮蔽板30D、第3集磁板40C、第4集磁板40D、第5集磁板40Eおよび第6集磁板40Fの各々から見ても、第3方向D3における上記一方側に位置しつつ、第2方向D2に沿って延びている。電流センサ1yが1つの外側集磁板50yを有する場合には、上記一方側は上側(すなわち、各磁気センサに近い側)であることが好ましい。
【0085】
さらに、本実施形態に係る電流センサ1yは、2つの外側集磁板50yを備える。他方の外側集磁板50yは、第1導電体10A、第2導電体10B、第3導電体10C、第1磁気センサ20A、第2磁気センサ20B、第3磁気センサ20C、遮蔽板30A、第2遮蔽板30B、第3遮蔽板30C、第4遮蔽板30D、第1集磁板40A、第2集磁板40B、第3集磁板40C、第4集磁板40D、第5集磁板40Eおよび第6集磁板40Fの各々から見て、第3方向D3における他方側に位置しつつ、第2方向D2に沿って延びている。
【0086】
(付記)
以上のように、本実施形態においては、以下のような開示を含む。
【0087】
<1>
第1方向に延び、前記第1方向に沿って電流を流す第1導電体と、
前記第1導電体と離隔しつつ前記第1方向に延び、前記第1方向に沿って電流を流す第2導電体と、
前記第1方向、および、前記第1導電体と前記第2導電体とが並ぶ第2方向の両方に直交する第3方向において、前記第1導電体と並んでおり、前記第1導電体を流れる電流により生じる磁場を検知する第1磁気センサと、
前記第3方向において前記第2導電体と並んでおり、前記第2導電体を流れる電流により生じる磁場を検知する第2磁気センサと、
前記第1導電体および前記第1磁気センサと、前記第2導電体および前記第2磁気センサとの間に位置する遮蔽板と、
前記第1導電体と前記遮蔽板との間において前記第1導電体および前記遮蔽板のそれぞれと離隔して位置する第1集磁板と、
前記第2導電体と前記遮蔽板との間において前記第2導電体および前記遮蔽板のそれぞれと離隔して位置する第2集磁板とを備え、
前記第1方向における前記第1集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短く、かつ、前記第3方向における前記第1集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短く、
前記第1方向における前記第2集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短く、かつ、前記第3方向における前記第2集磁板の長さは前記遮蔽板の長さより短い、電流センサ。
【0088】
<2>
前記第1集磁板は、前記第1集磁板の前記第3方向における一方端縁および他方端縁の各々が前記第1集磁板の前記第3方向における中心に向かって切り欠かれることで形成された一対の切欠部を有している、<1>に記載の電流センサ。
【0089】
<3>
一対の前記切欠部は、前記第3方向を向く端面が前記第2方向から見た時に湾曲するように形成されている、<2>に記載の電流センサ。
【0090】
<4>
前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサは、各々が、トンネル型磁気抵抗センサまたは巨大磁気抵抗センサである、<1>から<3>のいずれか1つに記載の電流センサ。
【0091】
<5>
前記第1磁気センサおよび前記第2磁気センサは、各々が、前記第2方向における磁界強度を検出する、<1>から<4>のいずれか1つに記載の電流センサ。
【0092】
<6>
前記遮蔽板、前記第1集磁板、および、前記第2集磁板は、各々が、コバルト(Co)、鉄(Fe)およびニッケル(Ni)のうち、2種類以上の金属を含む磁性体である、<1>から<5>のいずれか1つに記載の電流センサ。
【0093】
<7>
前記第1導電体、前記第2導電体、前記第1磁気センサ、前記第2磁気センサ、前記遮蔽板、前記第1集磁板および前記第2集磁板の各々から見て、前記第3方向における一方側に位置しつつ、前記第2方向に沿って延びる、少なくとも1つの外側集磁板をさらに備える、<1>から<6>のいずれか1つに記載の電流センサ。
【0094】
上述した実施形態の説明において、組み合わせ可能な構成を相互に組み合わせてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1,1x,1y 電流センサ、10A 第1導電体、10B 第2導電体、10C 第3導電体、20A 第1磁気センサ、20B 第2磁気センサ、20C 第3磁気センサ、30A (第1)遮蔽板、30B 第2遮蔽板、30C 第3遮蔽板、30D 第4遮蔽板、40A,40Ax,40a,40b,40c 第1集磁板、40B 第2集磁板、40C 第3集磁板、40D 第4集磁板、40E 第5集磁板、40F 第6集磁板、41 一方端縁、42 他方端縁、43 切欠部、431,431a,431b,431c 端面、432 内側面、50y 外側集磁板、B1 第1磁界、B2 第2磁界、BE 外部磁場、D1 第1方向、D2 第2方向、D3 第3方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13