(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059173
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】天板付き什器及び天板用カバー
(51)【国際特許分類】
A47B 13/08 20060101AFI20240423BHJP
A47B 13/00 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A47B13/08 A
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166687
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000001351
【氏名又は名称】コクヨ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085338
【弁理士】
【氏名又は名称】赤澤 一博
(72)【発明者】
【氏名】大川 航平
(72)【発明者】
【氏名】千田 啓資
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 徹
(72)【発明者】
【氏名】繁田 佳祐
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NP04
3B053NP07
3B053NQ01
3B053NQ10
3B053PA01
3B053PB05
3B053PC02
3B053PC05
(57)【要約】
【課題】天板面が傷ついた場合や異なった色や模様のものに変更したい場合等には天板全体を交換しなければならないという課題を解消する。
【解決手段】使用端部3aから反使用端部3bに至る領域に天板面3cを有する天板3と、この天板3上に着脱可能に設けられたカバー5とを備えてなる天板付き什器において、カバー5が、天板面3cを覆うカバー本体51と、このカバー本体41の一方の縁から下側に延設され天板3の使用端部3aの外面に係合する使用端側係合部52と、カバー本体51の他方の縁から下側に延設され天板3の反使用端部3bの外面に係合する反使用端側係合部53とを具備してなる構成を採用する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用端部から反使用端部に至る領域に天板面を有する天板と、この天板上に着脱可能に設けられたカバーとを備えてなる天板付き什器であって、
前記カバーが、前記天板面を覆うカバー本体と、このカバー本体の一方の縁から下側に延設され前記天板の使用端部の外面に係合する使用端側係合部と、前記カバー本体の他方の縁から下側に延設され前記天板の反使用端部の外面に係合する反使用端側係合部とを具備してなる天板付き什器。
【請求項2】
前記天板の使用端部は、前記天板面の前縁から下方に延出する垂下面と、この垂下面の延出端から斜め後方に延出する傾斜面とを備えたものであり、
前記カバーの使用端側係合部は、前記天板面に添接するカバー本体から下方に延出し前記天板の垂下面に当接又は近接する垂下板と、この垂下板の下端から斜め後方に延出し前記天板の傾斜面に密着又は近接する傾斜板とを備えたものである請求項1記載の天板付き什器。
【請求項3】
前記カバーの反使用端側係合部は、前記カバー本体から下方に延出し前記天板の反使用端面に密着する垂下板を備えたものである請求項2記載の天板付き什器。
【請求項4】
前記カバー本体と、前記使用端側係合部と、前記反使用端側係合部とは、厚み方向に撓むことが可能な薄鋼板を素材にして一体に構成されている請求項3記載の天板付き什器。
【請求項5】
前記カバーの外面には、色彩や模様を表すプリント層が設けられている請求項4記載の天板付き什器。
【請求項6】
使用端部から反使用端部に至る領域に天板面を有する天板に装着される天板用のカバーであって、
前記天板面を覆うカバー本体と、このカバー本体の一方の縁から下側に延設され前記天板の使用端部の外面に係合する使用端側係合部と、前記カバー本体の他方の縁から下側に延設され前記天板の反使用端部の外面に係合する反使用端側係合部と具備してなる天板用のカバー。
【請求項7】
前記天板の使用端部は、前記天板面の前縁から下方に延出する垂下面と、この垂下面の延出端から斜め後方に延出する傾斜面とを備えたものであり、
前記使用端側係合部は、前記天板面に添接するカバー本体から下方に延出し前記天板の垂下面に当接又は近接する垂下板と、この垂下板の下端から斜め後方に延出し前記天板の傾斜面に密着又は近接する傾斜板とを備えたものである請求項6記載の天板用のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等で好適に使用される天板付き什器及びその什器に使用される天板用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の什器に使用されている天板は、天板本体の上面に化粧板を貼着したものが一般的である(例えば、特許文献1を参照)。そのため、天板面が傷ついた場合や異なった色や模様のものに変更したい場合等には、天板全体を交換しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-064350号公報(特に段落0042~0048)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、上述した課題を容易に解消することができる什器及びその什器に使用される天板用のカバーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る天板付き什器は、使用端部から反使用端部に至る領域に天板面を有する天板と、この天板上に着脱可能に設けられたカバーとを備えてなる天板付き什器であって、前記カバーが、前記天板面を覆うカバー本体と、このカバー本体の一方の縁から下側に延設され前記天板の使用端部の外面に係合する使用端側係合部と、前記カバー本体の他方の縁から下側に延設され前記天板の反使用端部の外面に係合する反使用端側係合部とを具備してなるものである。
【0006】
請求項2記載の発明に係る天板付き什器は、前記天板の使用端部が、前記天板面の前縁から下方に延出する垂下面と、この垂下面の延出端から斜め後方に延出する傾斜面とを備えたものであり、前記カバーの使用端側係合部が、前記天板面に添接するカバー本体から下方に延出し前記天板の垂下面に当接又は近接する垂下板と、この垂下板の下端から斜め後方に延出し前記天板の傾斜面に密着又は近接する傾斜板とを備えた請求項1記載のものである。
【0007】
請求項3記載の発明に係る天板付き什器は、前記カバーの反使用端側係合部が、前記カバー本体から下方に延出し前記天板の反使用端面に密着する垂下板を備えた請求項2記載のものである。
【0008】
請求項4記載の発明に係る天板付き什器は、前記カバー本体と、前記使用端側係合部と、前記反使用端側係合部とが、厚み方向に撓むことが可能な薄鋼板を素材にして一体に構成されている請求項3記載のものである。
【0009】
請求項5記載の発明に係る天板付き什器は、前記カバーの外面に、色彩や模様を表すプリント層が設けられている請求項4記載のものである。
【0010】
請求項6記載の発明に係る天板用のカバーは、使用端部から反使用端部に至る領域に天板面を有する天板に装着されるものであって、前記天板面を覆うカバー本体と、このカバー本体の一方の縁から下側に延設され前記天板の使用端部の外面に係合する使用端側係合部と、前記カバー本体の他方の縁から下側に延設され前記天板の反使用端部の外面に係合する反使用端側係合部と具備してなるものである。
【0011】
請求項7記載の発明に係る天板用のカバーは、前記天板の使用端部が、前記天板面の前縁から下方に延出する垂下面と、この垂下面の延出端から斜め後方に延出する傾斜面とを備えたものであり、前記使用端側係合部が、前記天板面に添接するカバー本体から下方に延出し前記天板の垂下面に当接又は近接する垂下板と、この垂下板の下端から斜め後方に延出し前記天板の傾斜面に密着又は近接する傾斜板とを備えた請求項6記載のものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、天板面が傷ついた場合や異なった色や模様のものに変更したい場合等には、天板全体を交換しなければならないという課題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る天板付き什器を示す全体斜視図。
【
図2】同実施形態に係る天板付き什器を示す正面図。
【
図3】同実施形態に係る天板付き什器を示す平面図。
【
図4】同実施形態に係る天板付き什器を示す底面図。
【
図5】同実施形態に係る天板付き什器を示す分z解斜視図。
【
図6】同実施形態に係る天板付き什器の要部を拡大して示す斜視図。
【
図7】同実施形態に係る天板付き什器の要部を示す分解斜視図。
【
図10】同実施形態に係る天板付き什器の要部を拡大して示す斜視図。
【
図11】同実施形態に係る天板へのカバーの取付手順を示す説明図。
【
図12】同実施形態に係る天板及びカバーを拡大して示す側断面図。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係る天板付き什器を示す全体斜視図。
【
図14】同実施形態に係る天板付き什器を示す右側面図。
【
図15】同実施形態に係る天板付き什器を示す平面図。
【
図16】同実施形態に係る天板付き什器を示す分解斜視図。
【
図17】同実施形態に係る天板付き什器の要部を示す分解斜視図。
【
図20】本発明の第3の実施形態に係る天板付き什器を示す全体斜視図。
【
図21】同実施形態に係る天板付き什器を示す右側面図。
【
図22】同実施形態に係る天板付き什器を示す平面図。
【
図23】同実施形態に係る天板付き什器を示す分解斜視図。
【
図24】同実施形態に係る天板付き什器の要部を示す分解斜視図。
【
図27】本発明の他の実施形態に係る天板及びカバーを拡大して示す側断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0015】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を
図1~
図12を参照して説明する。
【0016】
この実施形態の天板付き什器Tは、
図1~
図5に示すように、左右に対をなす少なくとも2つの脚体1と、これら脚体1を連結する幕板2と、前記両脚体1に両端部を支持された天板3と、この天板3の端面を覆うようにして脚体1の外面1b側に添設された外装体4とを具備してなるものである。そして、天板3には、天板面を覆うカバー5が装着されており、そのカバー5の端面も外装体により塞がれている。
【0017】
天板3と脚体1との間には、
図6~
図10に示すように、オプション取付用の隙間s1が形成されており、外装体4の内面に突設された取付けブラケット6をこの隙間s1に挿入して天板3の下面に止着することにより、外装体4を脚体1の外側に取り付けている。
【0018】
なお、この実施形態では、
図3~
図5に示すように、左右に対をなす2つの脚体1を2組備えている。すなわち、共通の幕板2の左右両端部に、前後に対向配置された2枚の脚体1をそれぞれ取着しており、前後に対向配置された2つの脚体1の外面1bに、共通の外装体4を添設している。以下、詳述する。
【0019】
脚体1は、
図5~
図10に示すように、図示しない芯材の外面に表側の外装板11a及び裏側の外装板11bを覆着した側面視四角形をなす盤状のものである。
図5~
図7、
図9及び
図10に示すように、上端面1aには、天板3の下面3eとの間に隙間s1を形成するための凹欠部1a1が形成されているとともに、上端部内面側に天板3をねじ16を利用してねじ止めするための天板取付け用のブラケット12が突設されている。
図7に示すように、脚体1の奥端には幕板2のスリットに係合する係合爪13と、幕板にねじ止めされる幕板取付け用のブラケット14が設けられている。幕板取付け用のブラケット14は、爪を介して脚体1に取り付けられているが、脚体1に溶接等により剛結されたものであってもよい。脚体1の下端面には、床面に接地するアジャスタ15が設けられている。なお、ねじ16は、天板3の埋設ナット3n2に螺着するようにしている。
【0020】
幕板2は、
図2、
図4及び
図5に示すように、左右に延びる幕板本体21と、この幕板本体21の両端に設けた端部構造体22とを備えたものである。幕板本体21は、前後対をなすチャンネル材23を中空体状をなすように合体させて剛結したものである。幕板本体21の前、後両面は、前、後の天板3の下方にそれぞれ形成された下肢空間KSにそれぞれ臨ませてある。端部構造体22は、概略角柱状のもので、前後両面に脚体1の係合爪13が係合する係合スリット22aと、幕板取付け用のブラケット14をねじ26によりねじ止めするための雌ねじ穴22bが設けられている。端部構造体22は、外側方に開放された形態をなしており、この端部構造体22の開口端には側面カバー体24が着脱可能に装着されている。側面カバー体24と端部構造体22との間には、上方に開放されたオプション取付用の空洞2sが形成されており、この空洞2sにデスクトップパネルの脚等を挿入して固定することができるようになっている。側面カバー体24を取り外した状態では、オプションの脚を端部構造体にねじ止めすることもできる。端部構造体22の上端には、オプション取付け用の空洞2sを開放することができる上面カバー体25が着脱可能に装着されている。
【0021】
天板3は、
図6、
図7、
図10、
図11及び
図12に示すように、使用端部3aと反使用端部3bとの間に平坦な天板面3cを有する厚板状のものである。すなわち、この天板付き什器Tは、使用端部3aから反使用端部3bに至る領域に天板面3cを有する天板3と、この天板3上に着脱可能に設けられたカバー5とを備えてなるものであって、カバー5が、天板面3cを覆うカバー本体51と、このカバー本体51の一方の縁から下側に延設され天板3の使用端部3aの外面に係合する使用端側係合部52と、カバー本体51の他方の縁から下側に延設され天板3の反使用端部3bの外面に係合する反使用端側係合部53とを具備してなる。
【0022】
天板3の使用端部3aは、
図6、
図7、
図10、
図11及び
図12に示すように、天板面3cの前縁から下方に延出する垂下面3a1と、この垂下面3a1の延出端から斜め後方に延出する傾斜面3a2とを備えたものであり、カバー5の使用端側係合部52は、天板面3cに添接するカバー本体51から下方に延出し天板3の垂下面3a1に当接又は近接する垂下板521と、この垂下板521の下端から斜め後方に延出し天板3の傾斜面3a2に密着又は近接する傾斜板522とを備えたものである。一方、カバー5の反使用端側係合部53は、カバー本体51から下方に延出し天板3の反使用端面3b1に密着する垂下板531を備えたものである。
【0023】
カバー本体51と、使用端側係合部52と、反使用端側係合部53とは、厚み方向に撓むことが可能な薄鋼板を素材にして一体に構成されている。先ず、
図11の(a)に示す状態から同図の(b)に示すように使用端側係合部52を天板3の使用端部3aに係合させた後に、同図の(c)に示すように反使用端側係合部53を天板の反使用端部3bに係合させることによってこのカバー5を天板3に装着することができるようになっている。この実施例では、
図1~
図5に示すように、カバー5の横幅寸法は、天板3の左右方向寸法の半分の長さ寸法に設定されており、各天板3に対して2枚のカバー5がそれぞれ装着されている。各カバー5の外面には、色彩や模様を表すプリント層が設けられている。
【0024】
図1、
図3及び
図4に示すように、対面配置された一対の天板3間には、配線類を挿通させることが可能な配線挿通用の空間Sが形成されている。そして、その空間Sには、開閉蓋71を有する配線取出しユニット7が配されている。配線取出しユニット7は、開閉蓋71を開いた場合に下肢空間KSと天板3上の空間とが連通するように構成されたものであるが、通常のものであるため説明を省略する。幕板2の上縁部には、配線類を案内するための図示しない配線ダクト等を設けてもよい。
【0025】
外装体4は、
図2~
図4、
図8及び
図9に示すように、幕板2を介して前、後に連結された2つの脚体1の端面1bと、これら脚体1に支持された2つの天板3の端面3dとを覆い隠す形態をなす盤状体であり、側面視長方形状をなしている。外装体4は、
図5、
図8及び
図9に示すように、外板41と、この外板41の内面に添接させた内板42と、外板41の外面を覆う外装シート43とを備えたものであり、上端近傍部に突設された取付けブラケット6により天板3に取り付けられている。すなわち、
図8に示すように、取付けブラケット6は、脚体1の凹欠部1a1と天板3との間に形成された隙間に挿入可能なブラケット本体61と、このブラケット本体61の基端から垂下し外装体4の上端部内面にねじ止めされる取付片62とを備えた側面視L字形のものである。ブラケット本体61は、脚体1から内方に向けて延出し、その挿入端を天板3の下面にねじ止めしている。すなわち、この取付けブラケット6は、脚体1の厚み寸法よりも大きな突出寸法を有した板状のものであり、スリットに挿入されて脚体1を貫通した貫通端を天板3の下面に表出させた埋設ナット3nにねじ止めするようにしている。63は、下肢空間KS側からブラケット6のねじ挿通孔61aを通して天板3の埋設ナット3nに螺着したねじである。64は、このブラケット6を外装体4に固定するためのねじであり、その頭部を座繰り部62aに収納している。
【0026】
ここで、
図1は本実施形態の天板付き什器Tを示す全体斜視図である。
図2は同天板付き什器Tを示す正面図であり、
図3は同平面図であり、
図4は同底面図である。
図5は、同天板付き什器Tを示す分解斜視図である。
図6は同天板付き什器Tの右奥部を拡大して示す斜視図であり、手前側の天板3、及び外装体4は省略して示している。
図7は
図6に示した部分の分解斜視図である。
図8は
図3におけるA-A線に沿った断面図であり、
図9は同B-B線に沿った断面図である。なお、
図8及び
図9では、上部を特に拡大して示している。
図10は、同天板付き什器Tの左手前部を拡大して示す斜視図である。
図11は、本実施形態に係る天板3へのカバー5の取付手順を示す説明図である。
図12は、天板3及びカバー5の要部を拡大して示す側断面図である。
【0027】
このような構成のものであれば、天板3がカバー5により保護されるため、実質的に天板面を構成するカバー5に傷がついたり変色したりした場合には、カバー5を取り換えるだけで新品同様の状態に戻すことが出来る。また、天板面を異なった色や模様のものに変更したい場合等においても、カバー5を交換するだけでその要望に応えることができる。
【0028】
また、この実施形態では、天板3に天板面3cを覆うカバー5が装着されており、そのカバー5の端面5aも外装体4により塞ぐようにしているため、カバー5の天板3に対する横ずれをこの外装体4により係止することができる。また、天板3とカバー5との寸法誤差によりそれらの端部端面に段差が生じるようなことがあっても、外装体4の存在により外観に悪影響を与えることがない。
【0029】
さらに、この実施形態では、天板3の使用端部3aを、天板面3cの前縁から下方に延出する垂下面3a1と、この垂下面3a1の延出端から斜め後方に延出する傾斜面3a2とを備えたものにしている。そして、カバー5の使用端側係合部52を、天板面3cに添接するカバー本体51から下方に延出し天板3の垂下面3a1に当接又は近接する垂下板521と、この垂下板521の下端から斜め後方に延出し天板3の傾斜面3a2に近接又は密接する傾斜板522とを備えたものにしている。そのため、天板3の使用端部3aが先細りの舟底形状をなすことになり、その使用端部3aにカバー5の使用端側係合部52を係合させ易い。その上、係合状態では、カバー5の使用端側係合部52の先端縁が天板3の傾斜面3a2の奥に位置することになり、着座者がカバー5の先端縁に触れ難くなるとともに、この先端縁が視界に入って目障りになるのを防ぐことができる。
【0030】
また、この実施形態のカバー5は、カバー本体51と、使用端側係合部52と、反使用端側係合部53とを、共通の素材により一体に形成しているため、製造が容易である。しかも、その素材として厚み方向に撓むことが可能な薄鋼板を利用しているため、丈夫な上にその一時的な変形を使用して天板3に円滑に装脱することができるという利点がある。
【0031】
そして、カバー5の外面には、色彩や模様を表すプリント層が設けられているため、好みに応じた種々の色彩や絵柄をプリントすることができ、什器の雰囲気を種々演出することが可能となる。
【0032】
以上説明したカバー5は、使用端部3aから反使用端部3bに至る領域に天板面3cを有する天板3に装着される天板用のものであって、天板面3cを覆うカバー本体51と、このカバー本体51の一方の縁から下側に延設され天板3の使用端部3aの外面に係合する使用端側係合部52と、カバー本体51の他方の縁から下側に延設され天板3の反使用端部3bの外面に係合する反使用端側係合部53と具備してなるものである。かかるカバー5は、天板付き什器Tの一部品として当該什器Tとともに流通するだけでなく、後付けのオプションとして天板付き什器Tとは別に販売することも可能である。
【0033】
しかして、天板の使用端部が、前述したように天板面の前縁から下方に延出する垂下面と、この垂下面の延出端から斜め後方に延出する傾斜面とを備えた什器に装着されるカバーの場合には、使用端側係合部が、天板面に添接するカバー本体から下方に延出し天板の垂下面に当接又は近接する垂下板と、この垂下板の下端から斜め後方に延出し前記天板の傾斜面に密着する傾斜板とを備えたものが挙げられるが、装着対象となる天板の形状や寸法に応じて種々変形が可能であることは勿論である。
【0034】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係る天板付き什器T2は、
図13~
図19に示されるようなもので、第1の実施形態で説明した外装体4が装着されておらず、盤状の脚体1により天板3を支持している。天板3にはカバー5が装着されており、天板3の端面3dとカバー5の端面5aとはサイドエッジ8により隠されている。
【0035】
サイドエッジ8は、
図15~
図19に示すように、内面が天板3の側端面(端面3d)とカバー5の側端面(端面5a)に添接するエッジ本体81と、このエッジ本体81から内面側に突出する取付片82とを備えたものであり、その取付片82を天板3の下面3eに止着している。詳述すれば、エッジ本体81は、天板3の端面3dと、カバー5の端面5aとを全体的に覆う形状をなしており、エッジ本体81の上端面81aとカバー5の上面5cとは略面一にしてある。取付片82は、エッジ本体81の下縁から内方に延出させた板状のもので、脚体1の上端面1aを全幅に亘って覆う基板部83と、この基板部83の延出端から内方に延出する第1、第2の先端部84、85とを備えている。第1の先端部84は、
図19に示すように、天板取付け用のブラケット12の上面12aと天板3の下面3eとの間に挟持されるものであり、天板取付け用のブラケット12とともに天板3の下面3eに共締め固定される。3n2は天板に埋設された埋設ナット、16はこの埋設ナット3n2に螺着され脚体1のブラケット12とサイドエッジ8の第1の先端部84とを共締め固定する止着具たるねじである。第1の先端部84は、ねじ挿通孔84aが内方に開放された二股形状をなしており、ねじ16を緩めるだけでサイドエッジ8を装脱することができるようになっている。第2の先端部85は、
図18に示すように、天板3の下面3eに沿って内方に挿入されるもので、ねじ挿通孔85aを有している。3nは天板3に埋設された埋設ナット、89はこの埋設ナット3nに螺着されサイドエッジ8の第2の先端部85を緊締固定する止着具たるねじである。このサイドエッジ8のエッジ本体81と取付部82とは、共通の板金素材を用いて一体に構成されている。
【0036】
なお、この実施形態では、天板固定状態においては、サイドエッジ8の基板部83が脚体1と天板3との間に挟持されるようになっている。この場合、脚体1の凹欠部1a1が形成されている部位は、例外的にサイドエッジ8に接しておらず、前述したオプション取付け用の隙間s1が形成されている。そのため、サイドエッジ8を取り付けた状態において照明器具等のオプション類をこの隙間s1を利用して装着することもできる。この場合、隙間s1に挿入された図示しないオプション取付け用のブラケットは、サイドエッジ8の第2の先端部85とともに天板3の下面3eに共締め固定することが可能である。
【0037】
ここで、
図13は本実施形態の天板付き什器T2を示す全体斜視図である。
図14は同天板付き什器T2を示す右側面図であり、
図15は同平面図である。
図16は、同天板付き什器T2を示す分解斜視図である。
図17は同天板付き什器T2の右奥部の分解斜視図で、手前側の天板3は省略して示している。
図18は
図15におけるC-C線に沿った断面図であり、
図19は同D-D線に沿った断面図である。なお、
図18及び
図19では、上部を特に拡大して示している。
【0038】
このようなものであっても、天板3に天板面3cを覆うカバー5が装着されているため、天板3がカバー5により保護されることになる。そのため、実質的に天板面を構成するカバー5に傷がついたり変色したりした場合には、カバー5を取り換えるだけで新品同様の状態に戻すことが出来る。また、天板面を異なった色や模様のものに変更したい場合等においても、カバー5を交換するだけでその要望に応えることができる。
【0039】
しかも、天板3の端面3dだけでなくカバー5の端面5aもサイドエッジ8により塞ぐようにしているため、カバー5の天板3に対する横ずれをこのサイドエッジ8により係止することができる。また、天板3とカバー5との寸法誤差によりそれらの端部端面に段差が生じるようなことがあっても、サイドエッジ8の存在により外観に悪影響を与えることがない。
【0040】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係る天板付き什器T3は、
図20~
図26に示されるようなもので、第1の実施形態で説明した外装体4が装着されておらず、枠状の脚体10により天板3を支持している。天板3にはカバー5が装着されており、天板3の端面3dとカバー5の端面5aとはサイドエッジ8により隠されている。
【0041】
第3の実施形態における脚体10以外の構成は第2の実施形態の什器T2に準じたものあり、同一又は相当する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
枠状の脚体10は、
図20~
図26に示すように、一対の柱状枠材101と、これら柱状枠材101の下端部間に設けられた下枠材102と、柱状枠材101の上端部間に架設された上枠材103とを備えたものであり、柱状枠材101、下枠材102、及び上枠材103に囲まれた領域に下肢空間KSを外側方に開放する開放部10aが形成されている。上枠材103の上面内縁部分には天板3の下面に止着具を介して止着される天板取付け用のブラケット104が溶接等により固設されているとともに、奥側の柱状枠材101には幕板2に止着具を介して止着される幕板取付け用のブラケット105が溶接等により固設されている。
【0043】
天板取付け用のブラケット104の上面104aは、
図21及び
図24~
図26に示すように、上枠材103の上面103aよりも高い位置に設定されており、脚体10の天板取付け用のブラケット104上に天板3の下面3eを載置して固定した状態では、脚体1の上面と天板3の下面3eとの間に連続した隙間ssが形成されるようになっている。この状態からサイドエッジ8を取り付ける場合には、
図26に示すように、天板取付け用のブラケット104のねじ106を緩めてそのブラケット104の上面104aと天板3との間にサイドエッジ8の取付片82における第1の先端部84を挿入し、ねじ106を締め付けることによって、サイドエッジ8が脚体10と共に天板3に共締め固定される。しかる後に、
図25に示すように、サイドエッジ8の第2の先端部85をねじ89により天板3に止着すれば、サイドエッジ8が強固に天板3に取り付けられることになる。
【0044】
サイドエッジ8を取り付けた状態においても、
図21に示すように、脚体1と天板3との間の隙間ssは残されるため、この隙間ssを利用して照明やパネルなどのオプション類を取り付けることもできる。その場合も、隙間ssに挿入される図示しないオプション類の取付けブラケットは、サイドエッジ8の第2先端部85とともに天板3の下面3eに共締め固定すればよい。
【0045】
ここで、
図20は本実施形態の天板付き什器T3を示す全体斜視図である。
図21は同天板付き什器T3を示す右側面図であり、
図22は同平面図である。
図23は、同天板付き什器T3を示す分解斜視図である。
図24は同天板付き什器T3の右奥部の分解斜視図で、手前側の天板3は省略して示している。
図25は
図22におけるE-E線に沿った断面図であり、
図26は同F-F線に沿った断面図である。なお、
図25及び
図26では、上部を特に拡大して示している。
【0046】
このような構成のものであれば、第1及び第2の実施形態と同様に構造の簡略化を図ることができるとともに、広い下肢空間を確保することができる。
【0047】
しかも、脚体10が下肢空間KSを外側方に開放する開放部10aを備えたものであるため、下肢空間KSへのアクセスが容易なものとなる。そのため、組立や分解作業を円滑に進めることが可能になる上に、床清掃等も効率良く行うことができる。
【0048】
<その他の実施形態>
なお、本発明は、必ずしも図示実施形態のものに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0049】
カバーの形態は、前述の各実施形態に限定されるものではなく、装着すべき天板の形態に応じて種々変形が可能である。例えば、
図27に示す天板A3は、使用端部A3a及び反使用端部A3bが、それぞれ天板面A3cの前縁から下方に延出する垂下面A3a1、A3b1から構成されている。この天板A3に装着されるカバーA5の使用端側係合部A52は、天板面A3cに添接するカバー本体A51から下方に延出し天板A3の垂下面A3a1に当接又は近接する垂下板A521と、この垂下板A521の下端から奥方向に延出し天板A3の下面A3eに密着する水平板A522とを備えたものである。カバーA5の反使用端側係合部A53は、カバー本体A51から下方に延出し天板A3の反使用端面すなわち反使用端部A3bの垂下面A3b1に密着する垂下板A531を備えたものである。
【0050】
そして、カバーの材質も鋼鉄製のものに限らず、合成樹脂製のものにするなど、種々変形が可能である。
【0051】
また、各天板に装着されるカバーは2分割されたものに限られないのは勿論であり、天板と同長手方向寸法を有する1枚物、或いは3分割以上されたものであってもよい。
【0052】
さらに、前述した各実施形態は、天板を脚体により直接支持する天板付き什器である場合について説明したが、本発明は、このようなものに限定されるものではなく、例えば、脚体に支持された天板支持フレーム上に支持される天板を備えた什器に適用されるもの等であってもよい。
【0053】
また、前記各実施形態では、幕板の両側にカバーを装着した天板を配置した場合について説明したが、幕板の片側にだけカバーを装着した天板及び当該天板を支持する脚体を設けてもよい。
【0054】
さらに、前述した各実施形態では、天板の端面とカバーの端面を外装体やサイドエッジにより隠蔽する構造を採用しているが、かかる外装体やサイドエッジを有しないものにも同様に本発明を適用可能である。
【0055】
加えて、以上説明した第1ないし第3の実施形態は、共通の天板、カバー、幕板を使用しているが、本発明は必ずしもこのようなものに限定されるものではなく、いずれかの構成要素に変形を加えてもよいのは勿論である。しかしながら、前述のような部品の共通化けを図っておけば、脚体のみを異なったものにすることによって、什器全体の外観や機能を容易に変更することができるという格別な効果が得られる。すなわち、このような構成によれば、設計段階における仕様変更のみならず、使用段階における模様替え等に円滑に対応することができるという効果が得られる。
【0056】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形してよい。
【符号の説明】
【0057】
T、T2、T3…天板付き什器
3…天板
3a…使用端部
3a1…垂下面
3a2…傾斜面
3b…反使用端部
3b1…反使用端面
3c…天板面
5…カバー
51…カバー本体
52…使用端側係合部
521…垂下板
522…傾斜板
53…反使用端側係合部
531…垂下板