(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059196
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】コーヒー飲料
(51)【国際特許分類】
A23F 5/24 20060101AFI20240423BHJP
A23F 5/20 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
A23F5/24
A23F5/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166725
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】森田 孝平
【テーマコード(参考)】
4B027
【Fターム(参考)】
4B027FB24
4B027FC01
4B027FC02
4B027FE06
4B027FE08
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4B027FQ19
(57)【要約】
【課題】苦味が強くなることを抑制しつつ、コーヒー感の良さを向上できるコーヒー飲料に関する技術を提供する。
【解決手段】本発明のコーヒー飲料は、トリアセチンを0.2~4ppm含有する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トリアセチンを0.2~4ppm含有する、コーヒー飲料。
【請求項2】
カフェインの含有量が10mg/100ml以下である、請求項1に記載のコーヒー飲料。
【請求項3】
カフェインレスコーヒーである、請求項1または2に記載のコーヒー飲料。
【請求項4】
ブリックスが0.3~15である、請求項1または2に記載のコーヒー飲料。
【請求項5】
乳入りである、請求項1または2に記載のコーヒー飲料。
【請求項6】
容器詰めされた、請求項1または2に記載のコーヒー飲料。
【請求項7】
トリアセチンの含有量が0.2~4ppmとなるように、コーヒー飲料を調製する工程を含む、コーヒー飲料のコーヒー感向上方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コーヒー飲料に関する。より詳細には、コーヒー飲料およびコーヒー飲料のコーヒー感向上方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー飲料は、特有の香りや苦味、コクや濃厚感等を楽しむ飲料として広く親しまれている。そこで、コーヒー感やおいしさを向上させるため、コーヒー豆抽出液に含まれるコーヒーフレーバーを、コーヒー飲料に添加することが知られている。例えば、特許文献1には、いわゆるインスタントコーヒーを用いた乳風味コーヒー飲料において、4-エチルグアヤコール及び2,3,5-トリメチルピラジンといったコーヒーフレーバーを添加し、これらの濃度を調整することにより、コーヒー感を増強させることが開示されている。
【0003】
ところで、コーヒーフレーバーをコーヒー豆から抽出する方法として、例えば、特許文献2に記載の方法が知られる。特許文献2には、焙煎したコーヒー豆を水蒸気と接触させてコーヒー豆中の香気成分を水蒸気中に抽出する工程と、該水蒸気を冷却により凝縮して香気成分を含む凝縮液を入手する工程と、入手した凝縮液をトリアセチン等のグリセリン脂肪酸エステルにより再抽出する工程とからなるコーヒーフレーバーの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-7373号公報
【特許文献2】特開2005-87122号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、味の濃さを向上し、苦味を高めることなく良好なコーヒー感を得るべく鋭意検討を行ったところ、なんら工夫を施さずにコーヒーフレーバーを添加した場合、フレーバー自体が有する香気が際立ち、味のバランスがくずれ、良好なコーヒー感を向上できない場合があることを知見した。そのため、特許文献1に開示される飲料は、味の濃さを向上し、苦味を高めることなく良好なコーヒー感を得る点において改善の余地があった。また、特許文献2に開示される技術は、コーヒーフレーバーをコーヒー豆から抽出する点に着目したものにとどまり、コーヒーフレーバーをどのように用いて、どのような風味・香味のコーヒー飲料を得たいのか、検討されたものではなかった。
そして、本発明者は、さらに検討を進めたところ意外にもトリアセチンを用いることが有効であることを見出し、本発明を完成させた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下のコーヒー飲料に関する技術が提供される。
【0007】
[1] トリアセチンを0.2~4ppm含有する、コーヒー飲料。
[2] カフェインの含有量が10mg/100ml以下である、[1]または[2]に記載のコーヒー飲料。
[3] カフェインレスコーヒーである、[1]または[2]に記載のコーヒー飲料。
[4] ブリックスが0.3~15である、[1]乃至[3]いずれか一つに記載のコーヒー飲料。
[5] 乳入りである、[1]乃至[4]いずれか一つに記載のコーヒー飲料。
[6] 容器詰めされた、[1]乃至[5]いずれか一つに記載のコーヒー飲料。
[7] トリアセチンの含有量が0.2~4ppmとなるように、コーヒー飲料を調製する工程を含む、コーヒー飲料のコーヒー感向上方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、苦味が強くなることを抑制しつつ、コーヒー感の良さを向上できるコーヒー飲料に関する技術が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。なお、本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。
「ppm」は「mg/L」と同義である。
【0010】
<コーヒー飲料>
本実施形態のコーヒー飲料(以下、単に「飲料」とも称する)は、トリアセチンを0.2~4ppm含有する。
これにより、苦味が強くなることを抑制しつつ、コーヒー感の良さを向上できる。かかる理由の詳細は明らかではないが、トリアセチンは通常のコーヒーフレーバーよりも香味を感じられにくいため、特定量のトリアセチンを用いることでコーヒー抽出液が本来有する香味を引き立てることができるとともに、苦味の強さを適度に低減できると推測される。その結果、苦味が強くなることを抑制しつつも、味の濃さを向上し、コーヒー感の良さも向上できると考えられる。
【0011】
なお、本実施形態において「コーヒー感の良さ」とは、コーヒー飲料を飲んだときにコーヒーらしい酸味、苦味、甘みといった味のバランスが得られ、また、コーヒーらしい好ましい香りが感じられやすいことを意図する。
【0012】
本実施形態において、コーヒー飲料は、コーヒー豆から抽出または溶出した成分(コーヒー分)を原料とする飲料及びこれにその他の成分が加えられている飲料であり、飲んだときにコーヒー風味が感じられる飲料をいい、1977年に制定された「コーヒー含有飲料等の表示に関する公正競争規約」にも記載されているように、コーヒー豆を原料とした飲料及びこれに糖類、乳製品、乳化された食用油脂その他の可食物を加え容器に密封した飲料のことを指す。また、本実施形態においては、コーヒー豆使用量が生豆換算で1重量%未満の飲料であっても、飲んだときにコーヒー風味が感じられる飲料については、コーヒー飲料として扱うこととする。
【0013】
上記のコーヒー豆としては、特に限定されず、アラビカ種、ロブスタ種、リベリカ種などの栽培樹種が挙げられる。また、コーヒー豆の品種としては、特に限定されず、モカ、ブラジル、コロンビア、グアテマラ、ブルーマウンテン、コナ、マンデリン、およびキリマンジャロなどが挙げられる。コーヒー豆は1種でもよいし、2種以上をブレンドして用いてもよい。
コーヒー豆の焙煎温度や焙煎環境等の条件は、特に限定されず、通常の方法を採用できる。また、焙煎コーヒー豆を用いた抽出方法としては、特に限定されないが、例えば、ドリップ式、サイフォン式、ボイリング式、ジェット式、および連続式などが挙げられる。
【0014】
焙煎コーヒー豆の焙煎度は、L値として、28以下が好ましく、25以下がより好ましく、22以下がさらに好ましく、20以下がことさらに好ましい。L値の下限は、特に限定されないが、良好なコーヒー風味を得る観点から、例えば、好ましくは10以上であり、より好ましくは15以上である。
L値は、コーヒー豆の焙煎度合を色で表したものであり、L値100を白、L値0を黒とする。すなわち、コーヒー豆の焙煎が進むほどL値は小さくなることを意図する。
【0015】
ここで、本実施形態のコーヒー飲料にコーヒー分を含有させる方法としては、特に限定されず当業者が適宜設定することができる。例えば、粉砕した焙煎豆を水や温水を用いて抽出した溶液(コーヒー抽出液)や、コーヒー抽出液を濃縮したコーヒーエキス、コーヒー抽出液を乾燥させたインスタントコーヒー等を用いて、これらのうち1種または2種以上を飲料中に添加するといった方法等を挙げることができる。
粉砕した焙煎豆としては、粗挽き、中挽き、細挽き等が挙げられ、特に限定されない。
一方、「飲用乳の表示に関する公正競争規約」によれば、2022年現在、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものについては、乳飲料として扱われることになる。本実施形態に係るコーヒー飲料については、コーヒー豆を原料とした飲料であるため、重量百分率で乳固形分3.0%以上の成分を含有するものであったとしても、コーヒー飲料として扱うこととする。
【0016】
[トリアセチン]
トリアセチンは、1,2,3-トリアセトキシプロパンともいい、トリアシルグリセロールの一種である。
本実施形態のコーヒー飲料のトリアセチンの含有量は、0.2ppm以上であり、好ましくは0.3ppm以上であり、より好ましくは0.4ppm以上である。これにより、苦味の良さ、およびコーヒー感の良さを向上できる。
一方、本実施形態のコーヒー飲料のトリアセチンの含有量は、4ppm以下であり、好ましくは3ppm以下である。これにより、苦味の良さ、およびコーヒー感の良さを向上できる。
【0017】
また、本実施形態のコーヒー飲料が、乳を含まないいわゆるブラックコーヒー飲料である場合、トリアセチンの含有量は、苦味の良さ、コーヒー感の良さ、および味の濃さを向上する点からは、0.5ppm以上であることが好ましく、0.6ppm以上であることがより好ましい。
一方、本実施形態のコーヒー飲料が、乳を含むいわゆる乳入りコーヒー飲料である場合、トリアセチンの含有量は、ミルク感の強さ、ミルク感の良さ、および味の濃さを向上する点から、0.5ppm以上であることが好ましく、0.6ppm以上であることがより好ましい。
【0018】
本実施形態の飲料に含まれるトリアセチンの含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を用いた、ゲステル社製MPSを用いるMVM(Multi Volatile Method)法により定量することができる。
【0019】
[カフェイン]
本実施形態のコーヒー飲料のカフェインの含有量は、10mg/100ml以下であることが好ましく、7mg/100ml以下であることがより好ましく、5mg/100ml以下であることがさらに好ましい。
従来、コーヒー飲料はカフェイン濃度が低いとコーヒー感が低くなる傾向が知られるが、本実施形態のコーヒー飲料は、トリアセチンを所定量含有するため、カフェインの含有量が上記上限値以下であっても、コーヒー感の良さを向上し、味の濃さを向上させることができる。
一方、本実施形態のコーヒー飲料のカフェインの含有量の下限値は、特に限定されず、0.0001mg/100ml以上であることが好ましく、0.001mg/100ml以上であることがより好ましい。これにより、コーヒー飲料としてもおいしさを保持することができる。
【0020】
また、本実施形態のコーヒー飲料は、カフェインレスコーヒーであってもよい。
従来、カフェインレスコーヒーはコーヒー感が低くなる傾向が知られるが、本実施形態のコーヒー飲料は、トリアセチンを所定量含有するため、カフェインレスコーヒーであっても、コーヒー感の良さを向上し、味の濃さを向上させることができる。
カフェインレスコーヒーとは、公正競争規約第2条(5)で規定されるものであり、カフェインを90パーセント以上除去したコーヒーをいう。
【0021】
コーヒー飲料は、乳を含まないブラックコーヒー飲料(有糖と無糖を問わない。)であってもよく、必要に応じて、1種または2種以上の乳成分を含有した乳入りコーヒー飲料であってもよい。
【0022】
[乳成分]
本実施形態のコーヒー飲料は、乳成分を含む乳入りコーヒーであってもよい。
乳成分とは、飲料にミルク風味やミルク感を付与するために添加する成分であり、乳としては、例えば、生乳、牛乳、加工乳、全粉乳、脱脂粉乳、生クリーム、濃縮乳、部分脱脂乳、練乳、粉乳、および発酵乳等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態において、飲料中の乳固形分量は、0.5~6.0質量%であることが好ましく、1.0~5.0質量%であることがより好ましく、1.5~4.0質量%であることがさらに好ましく、2.0~3.0質量%であることがさらに好ましい。
【0023】
乳固形分とは、乳脂肪分と無脂乳固形分とを合わせたものいう。
乳固形分量の測定方法は、全国飲用牛乳公正取引協議会事務局編「飲用乳の検査法」(平成28年5月改訂)による飲用乳の無視乳固形分の試験方法に従い算出する。具体的には、乳固形分(質量%)=〔総固形分量(g)〕-〔乳以外の固形分量(g)〕-〔乳以外の脂質量(g)〕の式に当てはめて算出できる。
【0024】
[その他の成分]
本実施形態のコーヒー飲料は、本発明の効果が得られる限りにおいて、上記以外に甘味料、酸味料、香料、乳化剤、pH調整剤(重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、果汁、各種栄養成分、着色料、希釈剤、酸化防止剤、および増粘安定剤等を含んでもよい。
【0025】
上記の甘味料としては、単糖および二糖類からなる糖類、オリゴ糖(単糖が2~10個程度結合)、果糖ぶどう糖液糖、高果糖液糖、はちみつ、糖アルコール、キシリトール、およびD-ソルビトール等の低甘味度甘味料、タウマチン、ステビア抽出物、グリチルリチン酸二ナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アスパルテーム、サッカリン、ネオテーム、およびサッカリンナトリウム等の高甘味度甘味料などが挙げられる。これらは1種のみを用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
【0026】
つぎに、本実施形態のコーヒー飲料の各種特性等について説明する。
【0027】
[固形分量]
本実施形態の飲料中のコーヒー可溶性固形分の含有量の下限値は、コーヒー特有の香味を得るため、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは0.7質量%以上である。
一方、本実施形態の飲料中のコーヒー可溶性固形分の含有量の上限値は、香り、酸味、苦み、後味等のコーヒー特有の香味のバランスを良好に保持するため、好ましくは2.5質量%以下であり、より好ましくは2.0質量%以下であり、さらに好ましくは1.5質量%以下である。
【0028】
[ブリックス値]
本実施形態の飲料のブリックス値(Bx)は、コーヒー感の良さを向上する点から、好ましくは0.3以上15以下であり、より好ましくは0.5以上12以下である。また、ブラックコーヒーらしさを得る点から、ブリックス値(Bx)は、好ましくは0.3以上5以下である。一方、乳入りコーヒーらしさを保持する点から、ブリックス値(Bx)は、好ましくは1以上15以下である。
ブリックス値を上記数値範囲内とすることにより、苦味が強くなることを抑制しつつ、コーヒー感の良さを向上しやすくなる。
【0029】
ブリックス値は、飲料全量に対する可溶性固形分の合計含有量を示す。ブリックス値は、たとえば、デジタル屈折計Rx-5000α(アタゴ社製)を用いて、20℃における糖用屈折計の示度を測定することができる。
【0030】
[pH]
本実施形態の飲料の20℃におけるpHは、4.0以上、8.0以下であることが好ましく、5.0以上、7.0以下であることがより好ましい。
pHを上記数値範囲内とすることにより、苦味が強くなることを抑制しつつ、コーヒー感の良さを向上しやすくなる。
【0031】
なお、pHの測定は、市販のpH測定器を用いるなどして行うことができる。pHの調整は、例えば、pH調整剤を用いることなどにより行うことができる。
【0032】
[容器]
本実施形態の飲料に用いられる容器としては、ガラス、紙、プラスチック(ポリエチレンテレフタレート等)、アルミ、およびスチール等の単体もしくはこれらの複合材料又は積層材料からなる密封容器が挙げられる。また、容器の種類は、特に限定されるものではないが、たとえば、ペットボトル、アルミ缶、スチール缶、紙パック、チルドカップ、瓶等が挙げられる。飲料の風味を保持する観点から、スチール缶であることが好ましく、軽量で再栓可能な観点からは、蓋つきのペットボトル、スチール缶およびアルミ缶が好ましい。
飲料の容量としては、特に限定されないが、100~2000gが好ましく、飲み切りやすい点からは、100~500gがより好ましい。
【0033】
本実施形態の飲料が容器詰めされた場合の加熱滅菌処理の方法は、特に限定されないが、日本国内においては食品衛生法の規定に従って、加熱滅菌処理される。具体的には、高温で短時間殺菌した後、無菌条件下で殺菌処理された保存容器に充填する方法(UHT殺菌法)と、調合液を缶等の保存容器に充填した後、レトルト処理を行うレトルト殺菌法が挙げられる。なお、本実施形態の飲料は加熱滅菌処理によって効果が損なわれるものではない。
【0034】
[飲料の種類]
本実施形態の飲料は、希釈されずにそのまま飲用される飲料であることが好ましい。また、飲料は、コールド用、ホット用のいずれであってもよい。
【0035】
また、本実施形態の飲料は、非アルコール飲料であることが好ましい。非アルコール飲料とは、アルコールを実質的に含有しない飲料をいい、具体的にはエタノールなどのアルコールの含有量が1.0体積/体積%未満である飲料を意味する。
【0036】
本実施形態の飲料は、炭酸ガスおよび窒素ガス等の発泡ガスを含有しない飲料であることが好ましい。
【0037】
<コーヒー飲料のコーヒー感向上方法>
本実施形態のコーヒー飲料のコーヒー感向上方法は、トリアセチンの含有量が0.2~4ppmとなるようにして、コーヒー飲料を調製する工程を含む。
これにより、苦味が強くなるのを抑制しつつ、コーヒー飲料のコーヒー感の良さを向上できる。飲料としては、上述した飲料と同じものを用いることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【実施例0039】
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
(1)分析・測定方法
<トリアセチンの分析>
分析対象である飲料10mLを塩化ナトリウム入りの20ml容バイアルに入れ、内標を添加し密栓した。
各バイアルを50℃で5分間振盪した後、SPME用ファイバー(DVB/CAR/PDMS,Stableflex 23Ga(Gray)50/30μm:SIGMA-ALDRICH社製)をバイアル中のヘッドスペースに露出させた。
50℃で30分間、揮発性成分をファイバーに吸着させた後、注入口で5分間脱着させ、GC/MSにより分析を行った。検量線は標準添加法にて作成し、内標として2-オクタノールを用いた。
[GC/MSの分析条件]
GC:Agilent Technologies社製 7890A。
MS:Agilent Technologies社製 5975C。
カラム:AgilentTechologies社製 DB-WAX UI 30m×0.25mm、膜厚0.25μm。
カラム流速:1.1ml/min。
注入法:スプリットレス。キャリアガス:He。
注入口温度:240℃。トランスファーライン:240℃。
オーブン温度:40℃(5min)→5℃/min→240℃(5min)。
ポストラン 240℃ 3min。
MS条件:スキャンモード
定量イオン:
トリアセチンm/z=103、
2-オクタノール(内標)m/z=45
【0041】
<カフェインの分析条件>
各コーヒー飲料を、限外ろ過フィルタユニット(Amicon Ultra)によって1000rpm、30分の条件でろ過することによりサンプルを得た。次いで、当該サンプル100ml中におけるカフェインの含有量(mg/100ml)を、UHPLC(Nexera(株式会社島津製作所)、検出器:PDA)を用いて以下の条件により測定した。
カラム:ZORBAX EclipsePlus C18(アジレント・テクノロジー株式会社)
カラムオーブン温度:45℃
移動相:0.2%リン酸8%メタノール含む超純水
ポンプ流量:1.0ml/min
注入量:3μl
セル部温調温度:40℃
それぞれのピーク面積から、標準物質(カフェイン:CAS58-08-2)の面積値を基準とし、カフェイン含有量を求めた。
【0042】
[実験1:ブラックコーヒー]
カフェインレスインスタントコーヒー(メキシコアラビカ)を熱水に溶解し、さらに重曹「0.6g/L」を添加し、コーヒー固形分12%となるように水をくわえてメスアップした後、容器(缶)に充填し密封してレトルト殺菌をかけ、ベース液(カフェイン濃度3.6mg/100ml以下、pH5.9、ブリックス1.5)を調製した。なお、ベース液にはトリアセチンが含まれなかった(検出限界値未満)。
続けて、容器を開栓し、容器内のベース液に対して表1に示す濃度となるようトリアセチンを添加して溶解させコーヒー飲料を得た。その後、速やかに官能評価を行った。
【0043】
次に、得られた各コーヒー飲料(20℃)それぞれを、熟練した5名のパネラーが試飲し、以下に示す評価基準に従い、「おいしさ(ブラックコーヒー飲料として、おいしいと思う程度)」「苦味の強さ」「苦味の良さ」「コーヒー感の強さ」「コーヒー感の良さ」「味の濃さ(濃いと思う程度)」の6項目について、以下の評価基準に従い、7段階(1~7点)の評価を実施し、その平均点を求めた。また、評価する際は、コントロール1の飲料を基準(基準値4点)として評価を実施した。結果を表1に示す。
・評価基準
1点:コントロールと比べとても(そう思わない、弱いと思う、良くないと思う)
2点:コントロールと比べ(そう思わない、弱いと思う、良くないと思う)
3点:コントロールと比べ少し(そう思わない、弱いと思う、良くないと思う)
4点:コントロールと同等に思う
5点:コントロールと比べ少し(そう思う、強いと思う、良いと思う)
6点:コントロールと比べ(そう思う、強いと思う、良いと思う)
7点:コントロールと比べ非常に(そう思う、強いと思う、良いと思う)
【0044】
【0045】
[実験2:乳入りコーヒー]
平均L値17のカフェインレスコーヒー豆を95℃の熱水で抽出し抽出液を得た。得られた抽出液に、牛乳170g/L、砂糖60g/L、重曹1.2g/Lを添加し、コーヒー固形分8.5%、乳固形分2.1%となるように水をくわえてメスアップした後、容器(缶)に充填し密封してレトルト殺菌をかけ、ベース液(pH6.6、ブリックス9.2)を調製した。なお、ベース液にはトリアセチンが含まれなかった(検出限界値未満)。
続けて、容器を開栓し、容器内のベース液に対して表2に示す濃度となるようトリアセチンを添加して溶解させ乳入りコーヒー飲料を得た。その後、速やかに官能評価を行った。
【0046】
次に、得られた各乳入りコーヒー飲料(20℃)それぞれを、熟練した5名のパネラーが試飲し、以下に示す評価基準に従い、「おいしさ(乳入りコーヒー飲料として、おいしいと思う程度)」「苦味の強さ」「苦味の良さ」「ミルク感の強さ」「ミルク感の良さ」「コーヒー感の強さ」「コーヒー感の良さ」「味の濃さ(濃いと思う程度)」の8項目について、以下の評価基準に従い、7段階(1~7点)の評価を実施し、その平均点を求めた。また、評価する際は、コントロール2の飲料を基準(基準値4点)として評価を実施した。結果を表2に示す。
【0047】