(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059197
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240423BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240423BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20240423BHJP
【FI】
B66F9/24 L
G06T7/00 C
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166727
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 美徳
【テーマコード(参考)】
3F333
5L096
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333FA27
3F333FA36
3F333FD14
3F333FE05
3F333FE09
5L096BA01
5L096FA06
5L096FA10
5L096FA62
5L096JA18
(57)【要約】
【課題】脚部を有する荷役台に対する荷取作業を好適に支援する。
【解決手段】フォークリフト1は、少なくとも2つの脚部32を有する荷役台30(ボックスパレット30A又はポストパレット30B)の画像を取得する撮影部24と、制御部27とを備えている。制御部27は、荷役台30の画像に基づいて、撮影部24に対する荷役台30の相対姿勢を求め、荷役台30の相対姿勢に基づいて、荷役台30と撮影部24とが正対しているか否かを判定する。制御部27は、荷役台30の画像から2つの脚部32を個別に含む2つの脚部領域Gを抽出し、2つの脚部領域Gに基づいて荷役台30の相対姿勢を求める。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの脚部を有する荷役台の画像を取得する撮像手段と、
前記荷役台の画像から前記2つの脚部を個別に含む2つの脚部領域を抽出し、前記2つの脚部領域に基づいて前記撮像手段に対する前記荷役台の相対姿勢を求める演算手段と、
前記荷役台の相対姿勢に基づいて、前記荷役台と前記撮像手段とが正対しているか否かを判定する判定手段と、
を備える荷取支援装置。
【請求項2】
前記演算手段は、
前記2つの脚部領域に基づいて、前記2つの脚部領域の間の部分を含む領域における前記荷役台の底板の下縁を第1エッジとして抽出し、
前記第1エッジに基づいて前記荷役台の相対姿勢を求める、
請求項1に記載の荷取支援装置。
【請求項3】
前記演算手段は、前記荷役台の相対姿勢として、前記撮像手段の左右方向に対応する方向と前記第1エッジとのなす角度を算出し、
前記判定手段は、前記角度が所定の閾値よりも小さい場合に、前記荷役台と前記撮像手段とが正対していると判定する、
請求項2に記載の荷取支援装置。
【請求項4】
前記荷役台と前記撮像手段とが正対していると前記判定手段が判定した場合に、前記第1エッジと平行であって前記脚部の下端に接する第2エッジを前記荷役台の画像から抽出し、前記第1エッジと前記第2エッジと前記2つの脚部領域とに囲まれたフォーク挿入領域を表示部に表示させる表示手段を備える、
請求項2に記載の荷取支援装置。
【請求項5】
前記演算手段は、前記2つの脚部領域に基づいて、前記撮像手段に対する前記荷役台の相対位置を求める、
請求項1に記載の荷取支援装置。
【請求項6】
前記荷役台を保持する一対の保持部を備える搬送装置を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、前記荷役台と前記撮像手段とが正対していると前記判定手段が判定した場合に、前記2つの脚部領域の間の部分と前記一対の保持部とを、前記撮像手段の左右方向に対応する方向において互いの中心を対応させる、
請求項1に記載の荷取支援装置。
【請求項7】
前記撮像手段は、深度情報を有する前記画像を取得可能であり、
前記演算手段は、前記深度情報に基づいて、前記荷役台の相対姿勢を求める、
請求項1に記載の荷取支援装置。
【請求項8】
前記荷役台と前記撮像手段とが正対していないと前記判定手段が判定した場合に、当該判定結果を報知する報知手段を備える、
請求項1に記載の荷取支援装置。
【請求項9】
請求項1に記載の荷取支援装置と、
前記荷役台を保持する一対の保持部と、を備える、
搬送装置。
【請求項10】
少なくとも2つの脚部を有する荷役台の画像を取得する撮像手段を備える荷取支援装置の制御手段が、
前記荷役台の画像から前記2つの脚部を個別に含む2つの脚部領域を抽出し、前記2つの脚部領域に基づいて前記撮像手段に対する前記荷役台の相対姿勢を求める演算工程と、
前記荷役台の相対姿勢に基づいて、前記荷役台と前記撮像手段とが正対しているか否かを判定する判定固定と、
を実行する荷取支援方法。
【請求項11】
少なくとも2つの脚部を有する荷役台の画像を取得する撮像手段を備える荷取支援装置のコンピュータを、
前記荷役台の画像から前記2つの脚部を個別に含む2つの脚部領域を抽出し、前記2つの脚部領域に基づいて前記撮像手段に対する前記荷役台の相対姿勢を求める演算手段、
前記荷役台の相対姿勢に基づいて、前記荷役台と前記撮像手段とが正対しているか否かを判定する判定手段、
として機能させる荷取支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷取支援装置、搬送装置、荷取支援方法及び荷取支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フォークリフトでの荷役作業では、運転者(作業者)が目視によりパレットの孔部(フォークポケット)を確認し、この孔部へのフォークの挿入可否を判断していた。そのため、特にパレットがフォークリフトから目視しづらい位置に置かれている場合などには、予測を頼りにフォークを挿入しなければならなかった。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に記載の技術では、パレットの画像を教師データとして機械学習させた学習モデルを用い、孔部へのフォークの挿入可否を判断している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術は、孔部(フォークポケット)を有する一般的な平パレットを対象としたものであり、ボックスパレットやポストパレット等のように脚部を有してその間にフォークが挿入される荷役台に対して最適化された技術ではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、脚部を有する荷役台に対する荷取作業を好適に支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る荷取支援装置は、
少なくとも2つの脚部を有する荷役台の画像を取得する撮像手段と、
前記荷役台の画像から前記2つの脚部を個別に含む2つの脚部領域を抽出し、前記2つの脚部領域に基づいて前記撮像手段に対する前記荷役台の相対姿勢を求める演算手段と、
前記荷役台の相対姿勢に基づいて、前記荷役台と前記撮像手段とが正対しているか否かを判定する判定手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、脚部を有する荷役台に対する荷取作業を好適に支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るフォークリフトの外観を示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るフォークリフトの概略の制御構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係る荷取支援処理の手順を示すフローチャートである。
【
図4】荷取支援処理における画像処理の内容を説明するための図である。
【
図5】荷取支援処理における画像処理の内容を説明するための図である。
【
図6】荷取支援処理における画像処理の内容を説明するための図である。
【
図7】荷取支援処理における画像処理の内容を説明するための図である。
【
図8】荷取支援処理における画像処理の内容を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[フォークリフトの構成]
図1は、本実施形態に係るフォークリフト1の外観を示す斜視図である。
本実施形態に係るフォークリフト1は、本発明に係る搬送装置の一例であり、車体11、フォーク12、昇降体(リフト)13、マスト14、車輪15を備える。マスト14は車体11の前方に設けられ、図示しない駆動源によって駆動されて車体11の前後に傾斜する。昇降体13は、図示しない駆動源によって駆動され、マスト14に沿って昇降する。昇降体13には、荷物や荷役台30などを保持する保持部としての左右一対のフォーク12が取り付けられている。
【0011】
荷役台30は、フォークリフト1の荷役(荷取)対象となる荷物が載置・収容されるものである。荷役台30は、矩形板状の底板(台板)31と、その下面四隅に配置された脚部32とを有し、底板31の下方空間のうち隣り合う2つの脚部32の間の部分に一対のフォーク12が挿入されることにより、フォークリフト1に保持される。具体的に、本実施形態の荷役台30は、ボックスパレット30A又はポストパレット30Bである(
図4(a)、(b)参照)。ボックスパレット30Aは、底板31上に金網状の矩形箱形のボックス33Aが固定されている。ポストパレット30Bは、底板31上の四隅に、脚部32と一体的に構成された支柱34Bを有している。ボックスパレット30A及びポストパレット30Bのいずれも、脚部32をボックス33A又は支柱34Bの上端に載せるようにして、複数を段積みできるようになっている。
なお、本発明に係る荷役台は、少なくとも2つの脚部を有するボックスパレットやポストパレット等を含み、脚部を有していない平パレット等は含まない。換言すれば、本発明に係る荷役台は、隣り合う脚部の間にフォークが挿入されるパレットを含み、いわゆるフォークポケットを有するパレットは含まない。脚部はキャスターでもよい。
また、以下の説明では、荷役台30の構成のうち、ボックスパレット30Aの構成には「A」を、ポストパレット30Bの構成には「B」を、当該構成の符号の末尾に付してこれらを識別する場合がある。
【0012】
図2は、フォークリフト1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、フォークリフト1は、上記構成に加え、駆動部21、操作部22、表示部23、撮影部24、記憶部26、制御部27を備える。本発明に係る荷取支援装置は、少なくとも撮影部24、制御部27を含んで構成される。
【0013】
駆動部21は、フォークリフト1の各種駆動源である走行モータ、操舵モータ及び荷役モータ(いずれも図示省略)を含む。走行モータは、車輪15のうちの駆動輪を駆動する。操舵モータは、車輪15のうちの操舵輪を回転(操舵動作)させる。荷役モータは、昇降体13の昇降とマスト14の傾倒との各動作を行わせる駆動源である。
操作部22は、オペレータ(運転者)が各種操作を行う操作手段である。操作部22は、例えばハンドルやペダル、レバー、各種ボタン等を含み、これらの操作内容に応じた操作信号を制御部27に出力する。
【0014】
表示部23は、例えば液晶ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイであり、制御部27から入力される表示信号に基づいて各種情報を表示する。なお、表示部23は、操作部22の一部を兼ねるタッチパネルであってもよいし、音声表示(出力)が可能なスピーカを含んでもよい。
撮影部24は、所定の解像度を有するカメラであり、例えば昇降体13又はマスト14に前方向きに取り付けられている。撮影部24は、フォークリフト1の前方を撮影し、その画像(例えばRGB画像)を取得する。
【0015】
記憶部26は、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等を備えて構成されるメモリであり、各種のプログラム及びデータを記憶するとともに、制御部27の作業領域としても機能する。
本実施形態の記憶部26には、学習モデル261と、荷役台情報データベース(DB)262とが予め記憶されている。
学習モデル261は、荷役台30の撮像画像から脚部32を含む脚部領域G(
図4参照)を抽出するものであり、機械学習により予め構築されて記憶部26に格納されている。学習モデル261は、深層学習されたニューラルネットワークを有するAI(Artificial Intelligence:人工知能)であってもよい。
荷役台情報データベース262には、荷役台30の形状等の情報が、荷役台30の種類毎に整理されて格納されている。
さらに、本実施形態の記憶部26には、後述の荷取支援処理(
図3参照)を実行するための荷取支援プログラム263が予め記憶されている。
【0016】
制御部27は、例えばCPU(Central Processing Unit)等を備えて構成され、フォークリフト1各部の動作を制御する。具体的に、制御部27は、操作部22の操作内容に基づいて駆動部21を動作させたり、記憶部26に予め記憶されているプログラムを展開し、展開されたプログラムと協働して各種処理を実行したりする。
【0017】
[荷取支援処理]
続いて、フォークリフト1が荷役台30にフォーク12を挿入する際の荷取動作を支援する荷取支援処理について説明する。
この荷取動作では、荷役台30の画像に基づいて荷役台30の姿勢が求められ、その結果に基づいて、荷役台30の下部へのフォーク12の挿入が好適にアシストされる。
図3は、荷取支援処理の手順を示すフローチャートであり、
図4~
図8は、荷取支援処理における画像処理の内容を説明するための図である。
図4~
図8では、(a)がボックスパレット30Aの例を、(b)がポストパレット30Bの例を、それぞれ示している。
【0018】
荷取支援処理は、荷役台30の画像から荷役台30の相対姿勢を予測し、荷役台30との正対判定を行う処理である。この荷取支援処理は、制御部27が、オペレータの操作に基づいて記憶部26から荷取支援プログラム263を読み出して展開することで実行される。ここでは、フォークリフト1が荷役台30の前方まで走行してきた状態であるものとする。
【0019】
図3に示すように、荷取支援処理が実行されると、まず制御部27は、撮影部24により荷役台30の画像を取得する(ステップS1)。
このステップでは、制御部27は、オペレータの操作に基づいて、撮影部24を動作させて前方の荷役台30を含む画像を取得し、記憶部26に記憶させる。これにより、例えば
図4(a)、(b)に示すような荷役台30の撮像画像Mが得られる。撮像画像Mは表示部23にリアルタイム表示させてもよい。
なお、撮影タイミングはオペレータの操作に基づくものでなくともよく、例えば所定の撮影タイミングで定期的にフォークリフト1前方を撮影し、その画像から荷役台30を検出することとしてもよい。
【0020】
次に、制御部27は、ステップS1で取得した荷役台30の撮像画像Mを学習モデル261に入力し、撮像画像Mのうち手前側(正面に近い側)の2つの脚部領域Gを抽出する(ステップS2)。
脚部領域Gは、例えば
図4(a)、(b)に示すように、各脚部32を含む領域であって、撮像画像Mの上下左右に沿った四辺を有する矩形状の局所領域である。このステップでは、制御部27は、手前側の2つの脚部32を個別に含む2つの脚部領域Gを、学習モデル261により撮像画像Mから抽出する。学習モデル261は、上述のように、例えばニューラルネットワーク等を利用した機械学習により、荷役台30の画像から手前側の2つの脚部領域Gを抽出するように予め構築されたモデルである。
【0021】
次に、制御部27は、撮像画像Mのうち、2つの脚部領域Gの間の底面エッジLaを抽出する(ステップS3)。
このステップでは、例えば
図5(a)、(b)に示すように、制御部27は、2つの脚部領域Gを全て含むエッジ検出領域Gwを設定し、そのうち底板31の直線状の下縁を底面エッジ(第1エッジ)Laとして抽出(エッジ検出)する。
【0022】
次に、制御部27は、ステップS3で抽出した底面エッジLaに基づいて、撮影部24に対する荷役台30の相対姿勢を求める(ステップS4)。
このステップでは、制御部27は、撮影部24に対する荷役台30の相対姿勢として、エッジ検出領域Gwの横線Xに対する底面エッジLaの相対角度θを算出する。エッジ検出領域Gwの横線Xは、荷役台30の画像のうち、撮影部24(すなわちフォークリフト1)の左右方向に対応する方向(以下、単に「左右方向」という場合がある。)に沿った直線である。相対角度θは、撮影部24と荷役台30とが正対するに連れて小さくなる。
なお、このステップでは、2つの脚部領域Gに基づいて、荷役台30の相対姿勢に加え、撮影部24に対する荷役台30の相対位置を求めてもよい。
【0023】
次に、制御部27は、ステップS4で求めた荷役台30の相対姿勢に基づいて、撮影部24(すなわちフォークリフト1)と荷役台30とが正対しているか否かを判定する(ステップS5)。
具体的に、制御部27は、荷役台30の相対姿勢としてステップS4で求めた底面エッジLaの相対角度θが所定の閾値よりも小さい場合に、撮影部24と荷役台30が正対していると判定する。閾値は、例えば底板31の下方空間へのフォーク12の挿入が可能な相対角度θの上限値として、予め設定されている。
【0024】
また、ステップS5では、底面エッジLaの相対角度θに基づく手法に代えて、2つの脚部領域G(又はエッジ検出領域Gw)の左右対称の度合いに基づいて、荷役台30との正対判定を行ってもよい。つまり、2つの脚部領域G(又はエッジ検出領域Gw)の左右対称の度合いが所定以上の場合に、撮影部24と荷役台30が正対していると判定してもよい。より詳しくは、例えば、各脚部領域G(又はエッジ検出領域Gw)と底面エッジLaとの交点のY座標(画像の縦方向座標)が、左右で一致、もしくは左右の差が閾値以下の場合に、撮影部24と荷役台30が正対していると判定してもよい。あるいは、2つの脚部領域G(又はエッジ検出領域Gw)のX方向(画像の横方向)の中心線から、後述する左右2つの垂直エッジE(
図7参照)までのX方向の距離が互いに等しい、もしくは当該距離の差が閾値以下の場合に、撮影部24と荷役台30が正対していると判定してもよい。
この場合、上述のステップS4では、底面エッジLaの相対角度θに代えて、脚部領域G(又はエッジ検出領域Gw)の左右対称の度合いを求める上記各数値を算出すればよい。
【0025】
なお、撮影部24による画像情報と併せて、その深度情報(奥行き情報)を取得した場合、さらに高精度に荷役台30の相対姿勢を算出できる。深度情報を得る構成は特に限定されず、例えば、撮影部24とは別に(又は一体的に)TOF(Time Of Flight)センサ等を設けてもよいし、撮影部24として三次元の点群データを含む画像が得られるRGB-Dカメラ(デプスカメラ)やステレオカメラ等を用いてもよい。もしくは、荷役台30のサイズが既知であれば(荷役台情報DB262から取得できれば)、撮影部24の内部パラメータから、画像上のスケール(とアスペクト比)に基づいて距離を求めてもよい。
具体的に、撮像画像Mの深度情報を有する場合には、例えば
図6(a)、(b)に示すように、各脚部領域Gから少なくとも2つの点Pを任意に抽出し、各点Pの深度を含む三次元座標を取得する。そして、この少なくとも2つの点Pの三次元座標から、荷役台30の相対姿勢として、底板31に垂直なヨー軸Y回りの回転量を算出できる。この場合、底面エッジLaと後述の下端エッジLb(
図8参照)に囲まれた領域から、一直線上に位置しない3つ以上の点Pを抽出し、当該3つ以上の点Pの三次元座標から荷役台30の相対姿勢を求めてもよい。
あるいは、例えば
図7(a)、(b)に示すように、ボックス33Aの手前側の2つの角部の縁(又は、手前側の2つの支柱34Bの縁)に沿った上下方向の2つの垂直エッジEを抽出(エッジ検出)する。そして、底面エッジLaと、上下方向の2つ垂直エッジEとの2つの交点の三次元座標から、荷役台30の相対姿勢を求めてもよい。
あるいは、ボックス33Aの手前側の2つの角部(又は、手前側の2つの支柱34B)の上端部分を含む2つの上端領域Uを抽出する。そして、2つの上端領域Uの三次元座標から、荷役台30の相対姿勢を求めてもよい。
これらの手法により、チルト角度を含む荷役台30の三次元的な相対姿勢を求めることができる。なお、チルト角度は、荷役台30の前面(ポストパレット30Bの場合は仮想面)を求めてその傾きを算出できればよい。例えばボックスパレット30Aの場合は、前面のパネル35Aを抽出してその傾きを求めてもよい。
【0026】
ステップS5において、撮影部24と荷役台30とが正対していると判定した場合(ステップS5;Yes)、制御部27は、一対のフォーク12の挿入候補位置Nを表示部23に表示させる(ステップS6)。
一対の挿入候補位置Nは、例えば、底面エッジLaよりも下側かつ2つの脚部領域Gの間の空間範囲のうち、2つの脚部領域Gを結ぶ方向に所定距離(例えば現在の一対のフォーク12間の距離)だけ離間した2箇所の位置である。このステップでは、制御部27は、挿入候補位置Nを求めたうえで、表示部23に表示させた撮像画像M上に重畳表示させる。
また、挿入候補位置Nの表示と併せて、撮影部24(すなわちフォークリフト1)が荷役台30に正対していることをオペレータに報知(例えば表示部23に「OK」と表示する等)してもよい。
【0027】
なお、ステップS6では、例えば
図8(a)、(b)に示すように、挿入候補位置Nの表示に代えて(又はこれと併せて)、フォーク12を挿入可能な挿入空間AR(図中のドット箇所)を表示部23に表示させてもよい。挿入空間ARは、底面エッジLa及びこれに平行な下端エッジ(第2エッジ)Lbと、2つの脚部領域Gとに囲まれたフォーク挿入領域(脚部領域Gは含まない)である。下端エッジLbは、底面エッジLaに平行であって、少なくともいずれか一方の脚部32の下端に接する(他方の脚部32とは離れていてもよい)直線として、撮像画像Mから抽出される。
これにより、フォーク12が挿入される範囲として挿入空間ARを指定できる(自動運転の場合には挿入空間ARに限定できる)ため、荷取作業時におけるフォーク12と挿入空間AR外の物体との干渉のおそれを抑制できる。例えば、段積みされた上側の荷役台30を荷取する場合、下側の荷役台30に積まれた荷をフォーク12で傷付ける事態を回避できる。なお、自動運転(例えばフォークリフト1が無人搬送車)の場合、フォーク12が挿入空間ARに挿入されるように制御されればよく、挿入空間ARの表示は省略してもよい。
またこのとき、撮影部24に対する荷役台30の相対姿勢及び相対位置に基づいて、フォーク12の左右方向位置が挿入空間AR内に含まれるか否かを判定してもよい。
【0028】
また、ステップS6では、挿入空間ARの中心線Cを表示部23に表示させてもよい。中心線Cは、例えば、挿入空間ARの中心位置を通って荷役台30の奥行き方向に平行な線である。ただし、中心線Cは、少なくとも左右方向において挿入空間ARの中心であればよい。
これにより、2つの脚部領域Gの間の部分と一対のフォーク12とが左右方向において互いの中心が対応(例えば一致)するようにオペレータを促す(自動運転の場合にはそのように一対のフォーク12を制御する)ことができる。そのため、フォーク12により荷役台30を保持した状態の安定性を向上させることができる。ひいては、荷崩れ等の不具合を抑制でき、安全性も向上させることができる。なお、自動運転(例えばフォークリフト1が無人搬送車)の場合、2つの脚部領域Gの間の部分と一対のフォーク12とが左右方向において互いの中心が対応するように、一対のフォーク12が制御されればよく、中心線Cの表示は省略してもよい。
【0029】
一方、ステップS5において、撮影部24と荷役台30とが正対していないと判定した場合(ステップS5;No)、制御部27は、撮影部24(すなわちフォークリフト1)が荷役台30に正対していないことをオペレータに報知する(ステップS7)。
この場合の報知態様は特に限定されず、表示部23に警告表示(例えば「パレットに正対していません!」等)を表示させてもよいし、図示しないスピーカに警告音を出力させたりしてもよい。
さらにこの場合、荷役台30に正対していない状態での荷取作業を防ぐため、フォークリフト1の前進動作を停止させる(規制する)等してもよい。
【0030】
次に、制御部27は、荷取支援処理を終了させるか否かを判定し(ステップS8)、終了させないと判定した場合には(ステップS8;No)、上述のステップS1へ処理を移行する。
そして、例えば荷取作業の終了等により、荷取支援処理を終了させると判定した場合には(ステップS8;Yes)、制御部27は、荷取支援処理を終了させる。
【0031】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、荷役台30の撮像画像Mから2つの脚部32を個別に含む2つの脚部領域Gが抽出され、当該2つの脚部領域Gに基づいて撮影部24に対する荷役台30の相対姿勢が求められる。そして、荷役台30の相対姿勢に基づいて、荷役台30と撮影部24(すなわちフォークリフト1)とが正対しているか否かが判定される。
これにより、脚部32を有するボックスパレット30Aやポストパレット30B等の荷役台30に対して、フォークリフト1との正対判定を好適に行うことができる。したがって、脚部32を有する荷役台30に対する荷取作業を好適に支援することができる。
【0032】
また、本実施形態によれば、2つの脚部領域Gに基づいて、2つの脚部領域Gの間の部分を含むエッジ検出領域Gwにおける荷役台30の底板31の下縁が底面エッジLaとして抽出され、底面エッジLaに基づいて荷役台30の相対姿勢が求められる。
これにより、好適に底面エッジLaを抽出し、荷役台30の相対姿勢を求めることができる。また、画像範囲を絞ってエッジ抽出を行うため、画像全体に対してエッジ抽出を行う場合に比べて抽出ミスの発生を低減できる。
【0033】
また、本実施形態によれば、荷役台30と撮影部24(すなわちフォークリフト1)とが正対していると判定された場合、底面エッジLaと平行であって脚部32の下端を通る下端エッジLbが撮像画像Mから抽出される。そして、底面エッジLaと下端エッジLbと2つの脚部領域Gとに囲まれた挿入空間ARが表示部23に表示される。
これにより、フォーク12が挿入される範囲として挿入空間ARを指定できるため、荷取作業時におけるフォーク12と挿入空間AR外の物体との干渉のおそれを抑制できる。例えば、段積みされた上側の荷役台30を荷取する場合に、下側の荷役台30に積まれた荷をフォーク12で傷付ける事態を回避できる。
【0034】
また、本実施形態によれば、荷役台30と撮影部24(すなわちフォークリフト1)とが正対していると判定された場合に、2つの脚部領域Gの間の部分と一対のフォーク12とが、撮影部24の左右方向に対応する方向において互いの中心が対応するように一対のフォーク12が制御される。
これにより、フォーク12により荷役台30を保持した状態の安定性を向上させることができる。ひいては、荷崩れ等の不具合を抑制でき、安全性も向上させることができる。
【0035】
また、本実施形態によれば、撮影部24が深度情報を有する撮像画像Mを取得可能である場合、この深度情報に基づいて荷役台30の相対姿勢が求められる。
これにより、チルト角度を含む荷役台30の三次元的な相対姿勢を好適に求めることができる。
【0036】
また、本実施形態によれば、荷役台30と撮影部24(すなわちフォークリフト1)とが正対していないと判定された場合に、当該判定結果が報知される。
これにより、フォークリフト1のオペレータ等に状況を速やかに報知できる。
【0037】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、荷取支援処理において、荷役台30との正対判定(ステップS5)を行ってから、フォーク12の挿入位置の表示(ステップS6)を行うこととした。しかし、荷役台30との正対判定を行うことなく、フォーク12の挿入位置の表示を行うこととしてもよい。
【0038】
また、上記実施形態では、荷取支援処理の全てがフォークリフト1上で実行されることとしたが、荷取支援処理の少なくとも一部が外部設備(例えば荷役作業場の管理室)で実行されることとしてもよい。例えば、外部設備とフォークリフト1に通信手段を設け、撮影した画像をフォークリフト1から外部設備の演算装置に送信して、この演算装置で算出した結果をフォークリフト1に送信することとしてもよい。
【0039】
また、本発明に係る搬送装置は、荷役台を保持して搬送するものであればフォークリフトに限定されず、例えば荷を無人(自動)で搬送する無人搬送車(例えばAGV:Automated Guided Vehicle)などであってもよい。搬送装置が無人搬送車の場合、荷取支援処理のステップS6、S7における表示処理や報知処理は、例えば、フォークリフト1と通信可能な外部設備の表示部(報知部)に対して行ってもよい。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 フォークリフト(搬送装置)
12 フォーク(保持部)
23 表示部
24 撮影部(撮像手段)
26 記憶部
27 制御部(演算手段、判定手段、表示手段、制御手段、報知手段)
30 荷役台
30A ボックスパレット
30B ポストパレット
31 底板
32 脚部
33A ボックス
34B 支柱
35A パネル
261 学習モデル
263 荷取支援プログラム
AR 挿入空間(フォーク挿入領域)
C 中心線
E 垂直エッジ
G 脚部領域
Gw エッジ検出領域
La 底面エッジ(第1エッジ)
Lb 下端エッジ(第2エッジ)
M 撮像画像
N 挿入候補位置
P 点
U 上端領域
X 横線
θ 相対角度