(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059216
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】充電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/14 20060101AFI20240423BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240423BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240423BHJP
H02J 3/32 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
H02J3/14
H02J7/00 P
H02J7/02 F
H02J3/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166759
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(71)【出願人】
【識別番号】509086464
【氏名又は名称】株式会社関電エネルギーソリューション
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【弁理士】
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100168044
【弁理士】
【氏名又は名称】小淵 景太
(72)【発明者】
【氏名】花尾 隆史
(72)【発明者】
【氏名】大堀 彰大
(72)【発明者】
【氏名】阿部 幸司
(72)【発明者】
【氏名】堀 祐二
(72)【発明者】
【氏名】安田 圭治
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB09
5G066JB03
5G066KA01
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503FA06
5G503GD04
(57)【要約】
【課題】目標デマンドを適切な値に自動調整できる充電システムを提供する。
【解決手段】充電システムA1において、蓄電池54の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体5の蓄電池54を充電する複数の充電装置2と、複数の充電装置2を制御する充電制御装置1と、を備えた。充電制御装置1は、目標デマンドに基づいて、全体の出力電力を制御する電力制御部112と、複数の充電装置2のそれぞれについて、接続された蓄電池54の充電を完了したか否かを判定する満充電判定部115と、充電を完了した充電装置2の割合である満充電割合を検出する割合検出部116と、満充電割合に基づいて、目標デマンドを調整する目標デマンド調整部117とを備えている、
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する複数の充電装置と、
前記複数の充電装置を制御する充電制御装置と、
を備え、
前記充電制御装置は、
目標デマンドに基づいて、全体の出力電力を制御する電力制御部と、
前記複数の充電装置のそれぞれについて、接続された蓄電池の充電を完了したか否かを判定する満充電判定部と、
充電を完了した充電装置の割合である満充電割合を検出する割合検出部と、
前記満充電割合に基づいて、前記目標デマンドを調整する目標デマンド調整部と、
を備えている、
充電システム。
【請求項2】
前記目標デマンド調整部は、前記満充電割合が第1割合以上であった場合、前記目標デマンドを減少させ、前記満充電割合が第2割合未満であった場合、前記目標デマンドを増加させる、
請求項1に記載の充電システム。
【請求項3】
前記目標デマンド調整部は、前記目標デマンドを減少させる際には第1設定値だけ減少させ、前記目標デマンドを増加させる際には前記第1設定値より小さい第2設定値だけ増加させる、
請求項2に記載の充電システム。
【請求項4】
前記目標デマンド調整部は、減少後の目標デマンドが下限値以下になる場合、前記下限値を前記目標デマンドに設定し、増加後の目標デマンドが上限値以上になる場合、前記上限値を前記目標デマンドに設定する、
請求項2に記載の充電システム。
【請求項5】
前記充電制御装置は、
前記複数の充電装置のそれぞれが出力する電力のデマンド時限でのデマンド値である充電デマンドをそれぞれ検出する充電デマンド検出部と、
前記複数の充電装置のそれぞれでの異常の発生を検出する異常検出部と、
をさらに備え、
前記満充電判定部は、検出された前記充電デマンドが判定基準値以下であり、かつ、異常が検出されなかった充電装置について、接続された蓄電池の充電を完了したと判定する、
請求項1ないし4のいずれかに記載の充電システム。
【請求項6】
前記充電制御装置を管理する上位機器から入力される誘導指標を取得する指標取得部と、
前記誘導指標を用いて、あらかじめ設定されている最適化問題に基づいて、前記目標デマンドを算出する目標デマンド算出部と、
をさらに備えている、
請求項1に記載の充電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車などを充電する充電装置を複数備えた充電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の普及に伴い、電気自動車の蓄電池に充電をするための充電システムの整備が進んでいる。充電システムは、複数の充電装置とこれらを制御する充電制御装置とを備えている。また、充電システムは、設置される施設におけるエネルギーマネジメントに組み込まれる場合がある。この場合、充電制御装置は、エネルギーマネジメントを行う上位機器から目標デマンドを入力され、充電システムの出力電力が目標デマンドを超えないように制御する。特許文献1には、使用電力の計測値に基づくデマンド値を監視し、デマンド値が目標デマンドを超えないように、負荷の調整を行うデマンドコントローラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、集合住宅に設置された充電システムの場合、各充電装置には住人の電気自動車が接続され、夜間に充電が行われる。この場合、朝までに充電が完了されていれば問題ないので、電力の消費を分散させることが可能である。しかしながら、充電制御装置は、入力された目標デマンドに基づいて充電システムの出力電力を制御するので、電力の消費を分散させるためには、手作業で目標デマンドを変更する必要があった。手作業で目標デマンドを変更する場合、減少させすぎると、朝になっても充電が不十分で、電気自動車の使用に影響が出る可能性がある。手作業で適切な目標デマンドを設定するのは困難であり、また、煩わしい作業でもある。
【0005】
本発明は上記した事情のもとで考え出されたものであって、目標デマンドを適切な値に自動調整できる充電システムを提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0007】
本発明の第1の側面によって提供される充電システムは、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する複数の充電装置と、前記複数の充電装置を制御する充電制御装置と、を備え、前記充電制御装置は、目標デマンドに基づいて、全体の出力電力を制御する電力制御部と、前記複数の充電装置のそれぞれについて、接続された蓄電池の充電を完了したか否かを判定する満充電判定部と、充電を完了した充電装置の割合である満充電割合を検出する割合検出部と、前記満充電割合に基づいて、前記目標デマンドを調整する目標デマンド調整部と、を備えている。
【0008】
なお、「電気移動体」は、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する移動体であって、いわゆる電気自動車だけでなく、ハイブリッド車なども含まれる。また、「電気移動体」は、いわゆる自動車だけでなく、二輪車、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体も含まれる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記目標デマンド調整部は、前記満充電割合が第1割合以上であった場合、前記目標デマンドを減少させ、前記満充電割合が第2割合未満であった場合、前記目標デマンドを増加させる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記目標デマンド調整部は、前記目標デマンドを減少させる際には第1設定値だけ減少させ、前記目標デマンドを増加させる際には前記第1設定値より小さい第2設定値だけ増加させる。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記目標デマンド調整部は、減少後の目標デマンドが下限値以下になる場合、前記下限値を前記目標デマンドに設定し、増加後の目標デマンドが上限値以上になる場合、前記上限値を前記目標デマンドに設定する。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記充電制御装置は、前記複数の充電装置のそれぞれが出力する電力のデマンド時限でのデマンド値である充電デマンドをそれぞれ検出する充電デマンド検出部と、前記複数の充電装置のそれぞれでの異常の発生を検出する異常検出部と、をさらに備え、前記満充電判定部は、検出された前記充電デマンドが判定基準値以下であり、かつ、異常が検出されなかった充電装置について、接続された蓄電池の充電を完了したと判定する。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記充電制御装置を管理する上位機器から入力される誘導指標を取得する指標取得部と、前記誘導指標を用いて、あらかじめ設定されている最適化問題に基づいて、前記目標デマンドを算出する目標デマンド算出部と、をさらに備えている。
【0014】
本発明の第2の側面によって提供される充電システムは、蓄電池の電力で電動機を駆動して移動する電気移動体の前記蓄電池を充電する複数の充電装置と、前記複数の充電装置を制御する充電制御装置と、を備え、前記充電制御装置は、前記複数の充電装置のそれぞれについて、接続された蓄電池の充電を完了したか否かを判定する満充電判定部と、前記複数の充電装置のそれぞれが出力する電力のデマンド時限でのデマンド値である充電デマンドをそれぞれ検出する充電デマンド検出部と、前記複数の充電装置のそれぞれでの異常の発生を検出する異常検出部と、を備え、前記満充電判定部は、検出された前記充電デマンドが判定基準値以下であり、かつ、異常が検出されなかった充電装置について、接続された蓄電池の充電を完了したと判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によると、満充電判定部が各充電装置について充電を完了したか否かを判定し、割合検出部が充電を完了した充電装置の割合である満充電割合を検出する。そして、目標デマンド調整部が、満充電割合に基づいて目標デマンドを調整する。したがって、充電制御装置は、満充電割合が大きい場合に目標デマンドを減少させ、満充電割合が小さい場合に目標デマンドを増加させることで、目標デマンドを適切な値に自動調整できる。
【0016】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図2】満充電判定部による判定を説明するためのタイムチャートである。
【
図3】目標デマンド調整部による目標デマンドの調整を説明するためのタイムチャートである。
【
図4】制御部が行う満充電割合検出処理を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図5】制御部が行う目標デマンド調整処理を説明するためのフローチャートの一例である。
【
図6】第2実施形態に係る充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図7】第3実施形態に係る充電システムの全体構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
〔第1実施形態〕
図1は、第1実施形態に係る充電システムA1の全体構成を示すブロック図である。充電システムA1は、電気自動車5の充電を行うための設備である。電気自動車5は、動力源としての電動機および電動機に電力を供給する蓄電池54を備えた自動車であり、電動機のみを動力源とするいわゆる電気自動車だけでなく、内燃機関が併設されたハイブリッド車なども含まれる。充電システムA1は、充電制御装置1および複数の充電装置2を備えている。
【0020】
複数の充電装置2は、駐車場などに配置され、電気自動車5の充電を行う。本実施形態では、充電装置2は、いわゆる普通充電装置であり、商用電源9の単相交流の電力で電気自動車5の蓄電池54の充電を行う。なお、充電システムA1が備える充電装置2の数は限定されない。各充電装置2は、充電ケーブル25の先端に配置された充電コネクタ25cが電気自動車5のプラグインコネクタ55に接続されることで、電気自動車5と接続される。本実施形態では、充電装置2は接続された電気自動車5と通信を行う機能を有していない。したがって、充電装置2は、電気自動車5からの情報により充電が完了したことを検出できない。充電装置2は、制御部21、通信部22、電力センサ23、および開閉部24を備えている。
【0021】
電力センサ23は、充電装置2の出力電力を検出するセンサである。電力センサ23は、検出した電力値を制御部21に出力する。制御部21は、電力センサ23から入力される電力値を、充電装置2の出力電力値として、通信部22を介して、充電制御装置1に送信する。
【0022】
開閉部24は、制御部21からの開閉指令に応じて、商用電源9から充電ケーブル25への導電経路を閉路状態(オン)と開放状態(オフ)とで切り替える。開閉部24は、例えばリレースイッチであるが、限定されない。
【0023】
通信部22は、充電制御装置1との間で通信を行う。通信部22は、通信線を介して、充電制御装置1と双方向通信を行う。なお、通信部22は、無線通信により、充電制御装置1と通信を行ってもよい。また、通信規格は限定されない。通信部22は、充電制御装置1から制御指令を受信して、制御部21に出力する。制御部21は、制御指令に応じて、開閉部24に開閉指令を出力することで、電気自動車5への充電を制御する。また、通信部22は、制御部21から出力電力値を入力され、充電制御装置1に送信する。なお、通信部22と充電制御装置1との間で送受信される情報は限定されない。
【0024】
制御部21は、充電装置2の制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部21は、通信部22が充電制御装置1から受信した制御指令に応じて、開閉部24に開閉指令を出力する。なお、制御部21が制御指令に応じてどのように開閉指令を出力するかは限定されない。また、充電装置2は、開閉部24の代わりに、出力する電力を調整する電力調整機構を備え、制御部21が制御指令に応じて出力電力を調整させてもよい。また、制御部21は、電力センサ23から入力される電力値を、通信部22を介して充電制御装置1に送信する。
【0025】
充電制御装置1は、複数の充電装置2の充電を制御する。充電制御装置1は、上位機器8から入力される目標デマンドに基づいて、充電システムA1の出力電力を制御する。
【0026】
上位機器8は、充電システムA1(各充電装置2)、および、施設が備えている図示しない各設備のエネルギーマネジメントを行う機器である。各設備には、たとえば太陽光発電システムなどの発電システム、電力を蓄電する蓄電池を備えた蓄電システム、および、施設が備えている各種負荷などが含まれる。上位機器8は、施設全体で使用される電力を検出し、デマンド時限(例えば30分)での平均使用電力であるデマンド値が契約電力を超えないように、各設備を制御する。なお、デマンド時限は、30分に限定されない。上位機器8は、契約電力とデマンド値とに応じて、設備ごとに目標デマンドを設定して出力する。各設備は、自身の出力電力のデマンド値が設定された目標デマンドを超えないように制御を行う。上位機器8は、充電システムA1(充電制御装置1)にも目標デマンドを出力する。
【0027】
充電制御装置1は、充電システムA1の出力電力のデマンド値が、上位機器8から入力された目標デマンドを超えないように制御を行う。また、充電システムA1は、目標デマンドを適切な値に自動調整する機能を有している。充電制御装置1は、制御部11および通信部12を備えている。
【0028】
通信部12は、通信線を介して、各充電装置2との間で双方向通信を行う。なお、通信部12と通信部22との通信は、無線通信であってもよい。通信部12は、各充電装置2から出力電力値を受信して、制御部11に出力する。また、通信部12は、制御部11が出力した制御指令を、対応する充電装置2にそれぞれ送信する。なお、通信部12と通信部22との間で送受信される情報は限定されない。
【0029】
制御部11は、充電制御装置1の制御を行う構成であり、例えばマイクロコンピュータなどによって実現されている。制御部11は、機能構成として、目標デマンド取得部111、電力制御部112、充電デマンド検出部113、異常検出部114、満充電判定部115、割合検出部116、および目標デマンド調整部117を備えている。
【0030】
目標デマンド取得部111は、上位機器8から入力された目標デマンドを取得する。目標デマンド取得部111によって取得された目標デマンドは、図示しない記憶部に記憶される。後述するように、記憶部に記憶された目標デマンドは、目標デマンド調整部117によって調整された値に更新され、電力制御部112に入力される。また、上位機器8から入力される目標デマンドが変化した場合、目標デマンド取得部111は、記憶部に記憶された目標デマンドを、取得した目標デマンドに更新する。
【0031】
電力制御部112は、記憶部に記憶された目標デマンドに基づいて、充電システムA1全体の出力電力(以下では、「全体出力電力」と記載する)の制御を行う。電力制御部112は、全体出力電力を検出した電力値を入力され、デマンド時限(例えば30分)でのデマンド値を算出する。
図1では、全体出力電力は、すべての充電装置2が接続された電力線で検出されているが、これに限られず、各充電装置2において電力センサ23が検出した電力値を積算することで算出されてもよい。電力制御部112は、全体出力電力のデマンド値が、目標デマンドを超えないように、各充電装置2に対する制御指令を生成し、通信部12を介して送信する。例えば、電力制御部112は、充電装置2のいずれかの充電を停止させることで、全体出力電力を抑制させる。なお、各充電装置2に対する制御指令の生成方法は限定されない。各充電装置2がそれぞれ受信した制御指令に応じて制御を行うことで、全体出力電力のデマンド値が、目標デマンドを超えないように制御される。
【0032】
充電デマンド検出部113は、通信部12が受信した各充電装置2の出力電力値に基づいて、充電装置2ごとに、デマンド時限(例えば30分)でのデマンド値(以下では、「充電デマンド」と記載する)を検出する。なお、当該デマンド時限は、上位機器8でのデマンド時限に一致させなくてもよく、また、30分に限定されない。
【0033】
異常検出部114は、各充電装置2での異常の発生を検出する。異常が検出された場合、制御部11は、対応する充電装置2の充電を停止させる。
【0034】
満充電判定部115は、各充電装置2について、接続された電気自動車5(蓄電池54)の充電を完了したか否かを判定する。満充電判定部115は、充電装置2が第1条件および第2条件を両方とも満たした場合に、当該充電装置2が充電を完了したと判定する。本実施形態では、第1条件は、充電デマンド検出部113が検出した充電デマンドが判定基準値以下になったことである。本実施形態では、判定基準値は例えば「0」kWである。なお、検出誤差を考慮して、判定基準値として小さな値を設定してもよい。電力の瞬時値は、充電が完了していなくても、瞬間的に判定基準値以下になることがある。また、充電装置2は、充電制御装置1による制御によって、一時的に充電を停止する場合がある。この場合も、充電が完了していないが、電力の瞬時値は一時的に判定基準値以下になる。したがって、第1条件では、充電デマンドを判定基準値と比較している。充電デマンドが判定基準値(例えば「0」kW)以下であれば、基本的には充電が完了していると判断できる。
【0035】
充電装置2に異常が発生した場合、制御部11は、事故および故障を防止するために、対応する充電装置2の充電を停止させる。この場合、当該充電装置2の出力電力が「0」kWになり、充電デマンドも「0」kWになるが、充電が完了して停止したのではない。異常の発生により充電を停止させた場合を除外するために、異常検出部114によって異常が検出されなかったことを第2条件としている。
【0036】
図2は、満充電判定部115による判定を説明するためのタイムチャートである。
図2(a)、(b)、(c)において、横軸は、時間を時限(30分)毎の時間コマで示している。また、上段に充電デマンド検出部113が検出した各時間コマでの充電デマンドを示しており、下段に異常検出部114の検出結果の時間変化を示している。判定基準値は、「0」kWとしている。
【0037】
図2(a)の例では、充電デマンドが、3:30の時間コマから低下して、6:00の時間コマ以降は「0」kWになっている。また、異常検出部114の検出結果は常に「正常」である。この例では、6:00の時間コマの終了時(6:30)に、充電装置2が第1条件および第2条件を両方とも満たしているので、満充電判定部115は、当該充電装置2が充電を完了したと判定する。
【0038】
図2(b)の例では、充電デマンドが、6:00の時間コマから低下しているが、最終の7:00の時間コマでも判定基準値以下になっていない。異常検出部114の検出結果は常に「正常」である。この例では、充電装置2が第2条件を満たしているが、第1条件を満たしていないので、満充電判定部115は、当該充電装置2が充電を完了していないと判定する。
【0039】
図2(c)の例では、充電デマンドが3:30の時間コマから低下しているが、4:00の時間コマの途中で異常が発生し、異常検出部114の検出結果が「異常」に変化している。これにより、充電が停止されて、4:30の時間コマ以降は「0」kWになっている。この例では、充電装置2が第1条件を満たしているが、第2条件を満たしていないので、満充電判定部115は、当該充電装置2が充電を完了していないと判定する。
【0040】
割合検出部116は、充電を完了した充電装置2の割合である満充電割合を検出する。充電制御装置1には、充電システムA1の使用態様に応じて、充電期間が設定されている。充電期間は、各充電装置2が充電に用いられることが多い期間である。例えば、充電システムA1が集合住宅に設置される場合、各充電装置2は住人が昼間に使用する電気自動車5が接続されて夜間に充電を行うことが多い。この場合、充電期間は、夜間の時間帯(例えば22:00~7:00)が設定される。また、充電システムA1が施設に設置され、施設に出勤した就業者が通勤用の電気自動車5の充電に利用する場合、各充電装置2は勤務時間中に充電を行うことが多い。この場合、充電期間は、勤務時間帯(例えば8:00~17:00)が設定される。なお、充電期間は限定されない。割合検出部116は、充電期間終了時における満充電割合を検出する。
【0041】
割合検出部116は、満充電判定部115による判定に基づいて、充電を完了したと判定された充電装置2の数である完了数と、充電を完了していないと判定された充電装置2の数である未完了数をカウントする。割合検出部116は、完了数を、完了数と未完了数との合計数で除算することで、満充電割合を算出する。本実施形態では、満充電割合を百分率で示す。未完了数が「0」の場合、満充電割合は100%になる。割合検出部116は、充電期間に電気自動車5が一度も接続されなかった充電装置2、および、充電期間終了まであまり時間がないときに電気自動車5が接続されて、充電を開始した充電装置2については、満充電割合の算出のための対象から除外する。
【0042】
目標デマンド調整部117は、記憶部に記憶された目標デマンドを、割合検出部116が検出した満充電割合に基づいて調整した値に更新する。目標デマンド調整部117は、満充電割合が第1割合以上であった場合に目標デマンドを第1設定値だけ減少させ、満充電割合が第2割合未満であった場合に目標デマンドを第2設定値だけ増加させる。第2割合は、第1割合以下である。目標デマンド調整部117は、満充電割合が第1割合未満で第2割合以上であった場合には目標デマンドを変更しない。本実施形態では、第1割合および第2割合をともに100%とした場合を例にして説明している。なお、第1割合および第2割合はこれに限定されず、また、同じであってもよいし、異なっていてもよい。例えば、第1割合が90%であり、第2割合が80%であってもよい。また、本実施形態では、第1設定値は例えば20kWであり、第2設定値は第1設定値より小さい10kWである。第2設定値を第1設定値より小さい値としているのは、目標デマンドをできるだけ小さい値に保つためである。なお、第2設定値は第1設定値と同じ値であってもよく、また、第1設定値より大きくてもよい。また、第1設定値および第2設定値は限定されず、実験およびシミュレーションに基づいて、適宜設定すればよい。また、第1設定値および第2設定値は、固定値に限定されず、例えば元の目標デマンドに応じて変化する値(例えば元の目標デマンドの○○%など)であってもよい。また、第1設定値および第2設定値は、満充電割合に応じて変化する値であってもよい。例えば、目標デマンド調整部117は、満充電割合が小さいほど第2設定値を大きくして、目標デマンドをより増加させることで、早く満充電割合を大きくさせることができる。
【0043】
また、本実施形態では、目標デマンド調整部117が目標デマンドを調整する際に、上限値および下限値が設定されている。目標デマンド調整部117は、目標デマンドを調整により減少させたとき、減少後の目標デマンドが下限値以下になる場合は、下限値を目標デマンドに設定する。また、目標デマンド調整部117は、目標デマンドを調整により増加させたとき、増加後の目標デマンドが上限値以上になる場合は、上限値を目標デマンドに設定する。本実施形態では、目標デマンドが上位機器8から入力された目標デマンドより大きくならないように、上限値は、目標デマンド取得部111によって取得された目標デマンドとしている。なお、上限値および下限値は限定されない。また、上限値および下限値の少なくとも一方が設定されなくてもよい。
【0044】
図3は、目標デマンド調整部117による目標デマンドの調整を説明するためのタイムチャートである。
図3(a)、(b)、(c)において、横軸は、時間を日にち毎に示している。また、上段に割合検出部116が検出した満充電割合を示しており、下段に目標デマンド調整部117が調整した後の目標デマンドを示している。なお、
図3の例では、目標デマンドの下限は下限値X
1であり、上限は目標デマンド取得部111が取得した目標デマンドのX
0である。
【0045】
図3(a)の例では、1日目は、目標デマンド調整部117による調整が行われず、目標デマンド取得部111が取得した目標デマンドであるX
0がそのまま使用されている。1日目の満充電割合は100%である。したがって、2日目は目標デマンドとしてX
0から減少された値が使用されている。2,3日目の満充電割合も100%であり、翌日は、目標デマンドとして前日の値からさらに減少された値が使用されている。4日目は、目標デマンドが小さくなりすぎたので、満充電割合は100%未満になっている。したがって、5日目は、目標デマンドとして前日の値から増加された値が使用されている。しかし、5日目の満充電割合も100%未満なので、6日目は、目標デマンドとして前日の値からさらに増加された値が使用されている。これにより、6日目の満充電割合は100%になっている。このように、目標デマンドは、前日の満充電割合に応じて自動的に調整され、できるだけ電気自動車5が充電不足とならないようにしつつ、できるだけ小さい値に抑えられる。
【0046】
図3(b)の例では、3日目までは
図3(a)の例と同様である。しかし、4,5日目の満充電割合も100%になっている。翌日は、目標デマンドが前日の値から同様に減少された値(図において白丸および破線で示している)になるが、下限値X
1以下になるので、5,6日目の目標デマンドとして下限値X
1が使用されている。このように、目標デマンドは、小さくなりすぎないように調整される。
【0047】
図3(c)の例では、1日目は、それまでの調整により、目標デマンドとしてX
0と下限値X
1の間の値が使用されており、満充電率は100%未満である。したがって、2日目は目標デマンドとして前日の値から増加された値が使用されている。これにより、2日目の満充電率は前日より大きくなったが、まだ100%未満である。3日目も目標デマンドとして前日の値から増加された値が使用されているが、4日目の満充電率もまだ100%未満である。4日目は、目標デマンドが前日の値から同様に増加された値(図において白丸および破線で示している)になるが、上限値X
0以上になるので、目標デマンドとして上限値X
0が使用されている。5,6日目も4日目と同様である。このように、目標デマンドは、大きくなりすぎないように調整される。
【0048】
図4は、制御部11が行う満充電割合検出処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該満充電割合検出処理は、充電期間の終了後に実行される。
【0049】
まず、充電装置2が選択される(S1)。選択の順番は限定されない。次に、当該充電装置2が満充電割合の算出のための対象であるか否かが判別される(S2)。具体的には、制御部11が対象の充電装置2であるか否かを判断する。対象である場合(S2:YES)、当該充電装置2の充電デマンドDが取得される。具体的には、充電デマンド検出部113が検出した当該充電装置2の充電デマンドのうち、充電期間の最終の時間コマでの充電デマンドDを、満充電判定部115が取得する。次に、充電デマンドDが判定基準値D0以下であるか否かが判別される(S4)。具体的には、満充電判定部115が充電デマンドDと判定基準値D0とを比較して判別する。充電デマンドDが判定基準値D0以下である場合(S4:YES)、異常が検出されたか否かが判別される(S5)。具体的には、満充電判定部115が、異常検出部114の検出結果に基づいて判別する。異常が検出されていない場合(S5:NO)、完了数が「1」増加されて、ステップS8に進む。一方、ステップS4において、充電デマンドDが判定基準値D0より大きい場合(S4:NO)、または、ステップS5において、異常が検出された場合(S5:YES)、未完了数が「1」増加されて、ステップS8に進む。なお、完了数および未完了数は、満充電割合検出処理の開始時に「0」に初期化されている。また、ステップS2において、当該充電装置2が対象でない場合(S2:NO)、完了数および未完了数のいずれも増加されずに、ステップS8に進む。
【0050】
次に、全ての充電装置2について、ステップS2~S7の処理が行われたか否かが判別される(S8)。まだ処理が行われていない充電装置2がある場合(S8:NO)、ステップS1に戻って、別の充電装置2が選択されて、ステップS2~S7の処理が行われる。一方、全ての充電装置2について処理が行われた場合(S8:YES)、満充電割合が割合検出部116によって算出されて(S9)、満充電割合検出処理は終了する。算出された満充電割合は、次に説明する目標デマンド調整処理に用いられる。なお、
図4のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部11が行う満充電割合検出処理は上述したものに限定されない。
【0051】
図5は、制御部11が行う目標デマンド調整処理を説明するためのフローチャートの一例である。当該目標デマンド調整処理は、満充電割合検出処理の後に実行される。なお、本フローチャートでは、第1割合および第2割合をともに100%とした場合を例にして説明している。
【0052】
まず、目標デマンドが取得される(S11)。具体的には、目標デマンド調整部117が、記憶部に記憶された目標デマンドを読み出す。次に、上位機器8から入力された目標デマンドが変更されたか否かが判別される(S12)。具体的には、目標デマンド取得部111が、取得した目標デマンドが変更されたか否かを判別する。目標デマンドが変更された場合(S12:YES)、記憶部に記憶された目標デマンドが、上位機器8から入力された目標デマンドに更新され、目標デマンド調整処理は終了する。この場合、満充電割合に応じた目標デマンドの調整は行われず、上位機器8から入力された目標デマンドが用いられる。
【0053】
ステップS12において、目標デマンドが変更されていない場合(S12:NO)、目標デマンド調整部117による調整が行われる。まず、満充電割合が取得される(S13)。具体的には、目標デマンド調整部117が、充電期間の終了後に満充電割合検出処理で算出された満充電割合を取得する。次に、満充電割合が100%であるか否かが判別される(S14)。満充電割合が100%である場合(S14:YES)、目標デマンドが減少される(S15)。具体的には、目標デマンド調整部117が、目標デマンドを第1設定値だけ減少させる。次に、減少後の目標デマンドが下限値以下であるか否かが判別される(S16)。下限値以下である場合(S16:YES)、記憶部に記憶された目標デマンドが、下限値に更新され(S18)、目標デマンド調整処理は終了する。一方、減少後の目標デマンドが下限値より大きい場合(S16:NO)、記憶部に記憶された目標デマンドが、減少後の目標デマンドに更新され(S17)、目標デマンド調整処理は終了する。
【0054】
一方、ステップS14において、満充電割合が100%でない(100%未満)場合(S14:NO)、目標デマンドが増加される(S19)。具体的には、目標デマンド調整部117が、目標デマンドを第2設定値だけ増加させる。次に、増加後の目標デマンドが上限値以上であるか否かが判別される(S20)。上限値以上である場合(S20:YES)、記憶部に記憶された目標デマンドが、上限値に更新され(S21)、目標デマンド調整処理は終了する。一方、増加後の目標デマンドが上限値より小さい場合(S20:NO)、記憶部に記憶された目標デマンドが、増加後の目標デマンドに更新され(S17)、目標デマンド調整処理は終了する。なお、
図5のフローチャートに示す処理は一例であって、制御部11が行う目標デマンド調整処理は上述したものに限定されない。
【0055】
次に、本実施形態に係る充電システムA1の作用および効果について説明する。
【0056】
本実施形態によると、満充電判定部115は、各充電装置2について、接続された電気自動車5(蓄電池54)の充電を完了したか否かを判定する。割合検出部116は、充電を完了した充電装置2の割合である満充電割合を検出する。そして、目標デマンド調整部117は、満充電割合が第1割合以上であった場合に目標デマンドを第1設定値だけ減少させ、満充電割合が第1割合以下の第2割合未満であった場合に目標デマンドを第2設定値だけ増加させる。これにより、充電システムA1は、満充電割合が大きい場合に目標デマンドが小さい値に調整され、電力の消費を分散させて、エネルギーマネジメントにさらに貢献できる。また、充電システムA1は、満充電割合が小さい場合に目標デマンドが大きい値に調整され、電気自動車5の充電不足を解消させる。このように、充電システムA1は、目標デマンドを適切な値に自動調整できる。
【0057】
また、本実施形態によると、第1割合および第2割合はともに100%である。したがって、目標デマンド調整部117は、満充電割合が100%であった場合に目標デマンドを減少させ、満充電割合が100%未満であった場合に目標デマンドを増加させる。これにより、目標デマンド調整部117は、できるだけ電気自動車5が充電不足とならないようにしつつ、目標デマンドをできるだけ小さい値に調整できる。
【0058】
また、本実施形態によると、第2設定値が第1設定値より小さい。したがって、目標デマンド調整部117は、目標デマンドを増加させる場合、減少させる場合よりもゆっくり変化させる。これにより、目標デマンドは、できるだけ小さい値に保たれる。
【0059】
また、本実施形態によると、目標デマンド調整部117は、目標デマンドを調整する際に、上限値および下限値が設定されている。これにより、目標デマンドが大きくなりすぎたり、小さくなりすぎることを防止できる。目標デマンドが小さくなりすぎることを防止することで、UPR(Under Power Relay:不足電力継電器)の動作を抑制でき、また、充電装置2の1台当たりの充電電力が小さくなることによる充電効率の低下を抑制できる。また、本実施形態では、上限値として、目標デマンド取得部111によって取得された目標デマンドのX0が設定されている。これにより、目標デマンドが上位機器8から指示された目標デマンドを上回る値に調整されることを防止できる。
【0060】
また、本実施形態によると、充電デマンド検出部113は、通信部12が受信した各充電装置2の出力電力値に基づいて、充電装置2ごとに充電デマンドを検出する。異常検出部114は、各充電装置2での異常の発生を検出する。満充電判定部115は、充電デマンド検出部113が検出した充電デマンドが判定基準値以下であり、かつ、異常検出部114によって異常が検出されなかった場合に、当該充電装置2が充電を完了したと判定する。これにより、満充電判定部115は、充電装置2の充電完了を適切に判定できる。また、各充電装置2が接続された電気自動車5から充電状態の情報を得ることができない場合でも、充電制御装置1は各充電装置2の充電完了を判定できる。各充電装置2が常に定格電力で充電を行う場合、充電した時間から充電の完了を推測できる。しかし、電気自動車5が充電電力を調整したり、エネルギーマネジメントにより充電が停止されたり抑制される場合には、充電した時間から充電の完了を推測できない。これらの場合でも、満充電判定部115は、充電装置2の充電完了を適切に判定できる。
【0061】
なお、本実施形態においては、各充電装置2が備える電力センサ23を利用する場合について説明したが、これに限られない。各充電装置2の入力側または出力側に電力センサを設置して、これを利用してもよい。
【0062】
また、本実施形態においては、満充電判定部115が充電デマンドと異常の検出結果とに基づいて充電装置2の充電完了を判定する場合について説明したが、これに限られない。充電完了の判定方法は限定されない。
【0063】
また、本実施形態においては、各充電装置2が普通充電装置である場合について説明したが、これに限られない。各充電装置2は急速充電装置であってもよい。
【0064】
また、本実施形態においては、充電装置2が電気自動車5を充電する場合について説明したが、これに限られない。充電装置2は、電気自動車5以外の移動体を充電してもよい。この移動体の他の例として、たとえば二輪車(電動オートバイ、電動アシスト自転車)、船舶、飛行機などの他の乗り物、または、無人搬送車、ドローンなどの無人移動体などが考えられる。
【0065】
〔第2実施形態〕
図6は、第2実施形態に係る充電システムA2の全体構成を示すブロック図である。
図6において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電システムA2は、各充電装置2の充電完了を判定する方法が、第1実施形態に係る充電システムA1と異なる。
【0066】
第2実施形態に係る各充電装置2は、接続された電気自動車5と通信を行うことができる。充電ケーブル25には、電力線25aとともに通信線25bが配置されている。また、充電装置2は、第2通信部26をさらに備えている。第2通信部26は、通信線25bを介して、電気自動車5との間で通信を行う。なお、第2通信部26は、電気自動車5との間で無線通信を行ってもよい。電気自動車5は、蓄電池54の充電が完了した場合、充電完了を示す完了信号を第2通信部26に送信する。第2通信部26が受信した完了信号は、通信部22を介して、充電制御装置1に送信される。
【0067】
第2実施形態に係る満充電判定部115は、通信部12が受信した完了信号に基づいて、各充電装置2について、接続された電気自動車5(蓄電池54)の充電を完了したか否かを判定する。満充電判定部115は、完了信号を送信した充電装置2は充電を完了したと判定する。
【0068】
本実施形態においても、満充電判定部115が、各充電装置2について、接続された電気自動車5の充電を完了したか否かを判定する。そして、割合検出部116が満充電割合を検出し、目標デマンド調整部117が満充電割合に応じて目標デマンドを調整する。したがって、充電システムA2は、目標デマンドを適切な値に自動調整できる。また、充電システムA2は、充電システムA1と共通する構成により、充電システムA1と同等の効果を奏する。
【0069】
なお、電気自動車5がSOC(State Of Charge:充電率)を充電装置2に送信し、満充電判定部115は、通信部12が充電装置2から受信したSOCに基づいて、当該充電装置2の充電完了を判定してもよい。
【0070】
〔第3実施形態〕
図7は、第3実施形態に係る充電システムA3の全体構成を示すブロック図である。
図7において、上記第1実施形態と同一または類似の要素には、上記第1実施形態と同一の符号を付している。本実施形態に係る充電システムA3は、上位機器8から制御指標を入力され、制御指標に基づいて目標デマンドを設定する点で、第1実施形態に係る充電システムA1と異なる。
【0071】
第3実施形態に係る上位機器8は、各設備に、目標デマンドの代わりに誘導指標を出力する。誘導指標は、施設全体で使用される電力を目標電力に制御するための指標である。上位機器8は、施設全体で使用される電力を検出し、目標電力との差に基づいて誘導指標を算出する。上位機器8は、各設備に共通の誘導指標を出力する。各設備は、上位機器8から入力される共通の誘導指標を用いて、それぞれ設定されている最適化問題に基づいて、自身の入出力電力の目標値を算出する。そして、自身の入出力電力が当該目標値となるように制御を行う。各設備が、誘導指標に基づいて自律的に入出力電力を制御することで、施設全体の入出力電力が目標電力に制御される。
【0072】
第3実施形態に係る充電制御装置1の制御部11は、目標デマンド取得部111の代わりに、指標取得部111aおよび目標デマンド算出部111bを備えている。指標取得部111aは、上位機器8から入力された誘導指標を取得し、取得した誘導指標を目標デマンド算出部111bに出力する。目標デマンド算出部111bは、誘導指標を用いて、あらかじめ設定されている最適化問題に基づいて、目標デマンドを算出する。目標デマンド算出部111bは、算出した目標デマンドを記憶部に記憶する。
【0073】
本実施形態においても、満充電判定部115が、各充電装置2について、接続された電気自動車5の充電を完了したか否かを判定する。そして、割合検出部116が満充電割合を検出し、目標デマンド調整部117が満充電割合に応じて目標デマンドを調整する。したがって、充電システムA3は、目標デマンドを適切な値に自動調整できる。また、充電システムA3は、充電システムA1と共通する構成により、充電システムA1と同等の効果を奏する。さらに、本実施形態によると、上位機器8は、各設備の状態などを把握することなく、誘導指標を算出して送信するだけなので、演算や通信の負担が小さい。上位機器8として高性能で高価な機器を用いる必要がないので、初期導入費用を軽減できる。また、施設に上位機器8が管理する設備を追加したり削減する場合に、上位機器8の大きな改修が必要にならない。充電システムA3は、このような上位機器8に対応することができる。
【0074】
なお、本実施形態においては、上位機器8が誘導指標により各設備を制御する場合について説明した。これと同様に、充電制御装置1が誘導指標により各充電装置2を制御してもよい。すなわち、電力制御部112が、各充電装置2に対する制御指令を生成する代わりに、誘導指標を算出して、各充電装置2に送信する。各充電装置2の制御部21は、充電制御装置1から受信した共通の誘導指標を用いて、それぞれ設定されている最適化問題に基づいて充電電力の目標値を算出し、充電電力が当該目標値となるように制御を行う。
【0075】
本発明に係る充電システムは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る充電システムの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【符号の説明】
【0076】
A1~A3:充電システム、1:充電制御装置、111a:指標取得部、111b:目標デマンド算出部、112:電力制御部、113:充電デマンド検出部、114:異常検出部、115:満充電判定部、116:割合検出部、117:目標デマンド調整部、2:充電装置、5:電気自動車、54:蓄電池、8:上位機器