(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059220
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】通信システム、アクセスポイント、通信設定装置、通信設定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 76/11 20180101AFI20240423BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20240423BHJP
H04L 12/28 20060101ALI20240423BHJP
H04L 67/51 20220101ALI20240423BHJP
【FI】
H04W76/11
H04W84/12
H04L12/28 200Z
H04L67/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166764
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】杉本 誠史
(72)【発明者】
【氏名】高田 和俊
【テーマコード(参考)】
5K033
5K067
【Fターム(参考)】
5K033AA03
5K033BA01
5K033DA17
5K033EC03
5K067AA34
5K067HH32
(57)【要約】
【課題】異なる複数のネットワークそれぞれに対応したネットワークの接続設定を容易に行うことができる通信システム、アクセスポイント、通信設定装置、通信設定方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】アクセスポイント1は、USBメモリ6がUSB端子に接続されると、USBメモリ6が記憶するアクセスポイント側設定情報を取得する設定情報取得部114と、アクセスポイント側設定情報が取得されると、アクセスポイント1のMACアドレスの下位3バイトを含むSSIDを示すSSID情報を生成し、生成したSSID情報をUSBメモリ6に記憶させるSSID生成部115と、アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、投影装置2を宛先とする映像情報を、生成したSSIDで識別されるネットワークを介して投影装置2へ送信する映像情報送信部113と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセスポイントと、前記アクセスポイントと1つのネットワークを介して通信するクライアント装置と、を備える通信システムであって、
前記アクセスポイントは、
外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部と、
前記外部記憶装置が前記アクセスポイント側接続部に接続されると、前記外部記憶装置が前記1つのネットワークを介して前記クライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報を記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を取得するアクセスポイント側設定情報取得部と、
前記アクセスポイント側設定情報が取得されると、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部と、
前記アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記クライアント装置を宛先とする情報を前記クライアント装置へ送信する情報送信部と、を有し、
前記クライアント装置は、
前記外部記憶装置が接続されるクライアント側接続部と、
前記外部記憶装置が前記クライアント側接続部に接続されると、前記外部記憶装置が前記1つのネットワークを介して前記アクセスポイントと通信する際の前記クライアント装置の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記クライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を取得するクライアント側設定情報取得部と、
前記クライアント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記アクセスポイント識別情報で識別される前記アクセスポイントから送信される前記クライアント装置を宛先とする情報を受信する情報受信部と、を有する、
通信システム。
【請求項2】
前記通信装置識別情報は、MACアドレスを示し、
前記アクセスポイント識別情報は、MACアドレスの下位3バイトを含むSSIDを示す、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記クライアント装置は、表示装置に表示させる映像を示す映像情報を、前記表示装置へ転送することにより、前記映像情報が示す映像を前記表示装置に投影する投影制御部を更に有し、
前記情報送信部は、前記クライアント装置を宛先とする前記映像情報を送信し、
前記投影制御部は、前記アクセスポイントから送信され前記情報受信部が受信した前記映像情報を前記表示装置に投影する、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項4】
前記アクセスポイントは、更に、前記外部記憶装置から前記アクセスポイントへ前記アクセスポイント側設定情報が転送され、前記アクセスポイント識別情報を生成すると、前記アクセスポイント側設定情報を、前記アクセスポイントの前記通信装置識別情報および前記アクセスポイント側設定情報を転送した日時を示すアクセスポイント転送日時情報に対応づけて前記外部記憶装置に記憶させるアクセスポイント側ログ記録部を有し、
前記クライアント装置は、更に、前記外部記憶装置から前記クライアント装置へ前記クライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報が転送されると、前記クライアント側設定情報を、前記クライアント装置の前記通信装置識別情報および前記クライアント側設定情報を転送した日時を示すクライアント転送日時情報に対応づけて前記外部記憶装置に記憶させるクライアント側ログ記録部を有する、
請求項1または2に記載の通信システム。
【請求項5】
クライアント装置と1つのネットワークを介して通信するアクセスポイントであって、
外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部と、
前記外部記憶装置が前記アクセスポイント側接続部に接続されると、前記外部記憶装置が前記1つのネットワークを介して前記クライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報を記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を取得するアクセスポイント側設定情報取得部と、
前記アクセスポイント側設定情報が取得されると、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部と、
前記アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記クライアント装置を宛先とする情報を前記クライアント装置へ送信する情報送信部と、を備える、
アクセスポイント。
【請求項6】
アクセスポイントに設けられたアクセスポイント側接続部と、前記アクセスポイントと1つのネットワークを介して通信するクライアント装置に設けられたクライアント側接続部と、に接続可能な設定装置側接続部と、
前記アクセスポイントが前記1つのネットワークを介して前記クライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報と、前記クライアント装置が前記1つのネットワークを介して前記アクセスポイントと通信する際の前記クライアント装置の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報と、を記憶する通信設定記憶部と、
一意のアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記通信設定記憶部に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部と、
前記設定装置側接続部が前記アクセスポイント側接続部に接続されると、前記アクセスポイント側設定情報を、前記設定装置側接続部および前記アクセスポイント側接続部を介して前記アクセスポイントへ転送し、前記設定装置側接続部が前記クライアント側接続部に接続されると、前記通信設定記憶部が前記アクセスポイント識別情報を記憶している場合、前記クライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を、前記設定装置側接続部および前記アクセスポイント側接続部を介して前記クライアント装置へ転送する設定情報転送部と、を備える、
通信設定装置。
【請求項7】
前記設定装置側接続部が前記アクセスポイント側接続部に接続されると、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報を取得する通信装置識別情報取得部を更に備え、
前記一意のアクセスポイント識別情報は、取得された前記通信装置識別情報の少なくとも一部を含むものである、
請求項6に記載の通信設定装置。
【請求項8】
アクセスポイントが1つのネットワークを介してクライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定と、前記クライアント装置が前記1つのネットワークを介して前記アクセスポイントと通信する際の前記クライアント装置の通信設定と、を行う設定方法であって、
前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報と、前記クライアント装置の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報と、を記憶する外部記憶装置を、前記アクセスポイントに設けられた前記外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部に接続するステップと、
前記アクセスポイントが、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を、前記アクセスポイント側接続部を介して前記外部記憶装置から取得するステップと、
前記アクセスポイントが、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成するステップと、
前記アクセスポイントが、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるステップと、
前記アクセスポイント側設定情報と、前記クライアント側設定情報と、前記アクセスポイント識別情報と、を記憶する前記外部記憶装置を、前記クライアント装置に設けられた前記外部記憶装置が接続されるクライアント側接続部に接続するステップと、
前記クライアント装置が、前記外部記憶装置が記憶する前記クライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を、前記クライアント側接続部を介して前記外部記憶装置から取得するステップと、を含む、
通信設定方法。
【請求項9】
コンピュータを、
外部記憶装置がアクセスポイントに設けられたアクセスポイント側接続部に接続されると、前記アクセスポイントが1つのネットワークを介してクライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報を前記外部記憶装置が記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を取得するアクセスポイント側設定情報取得部、
前記アクセスポイント側設定情報が取得されると、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部、
前記アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記クライアント装置を宛先とする情報を前記クライアント装置へ送信する情報送信部、
として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、アクセスポイント、通信設定装置、通信設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
家電用ネットワークサーバが、メモリカードからネットワーク家電の識別情報を読み出し、読み出した識別情報に基づいてネットワーク家電と無線LAN(Local Area Network)を介して接続するための設定情報を生成してメモリカードへ書き込んだ後、設定情報が書き込まれたメモリカードをネットワーク家電に挿入することによりネットワーク家電の記憶部に設定情報を格納させるネットワーク接続の設定方法が提案されている(例えば特許文献1参照)。このように、無線ネットワークに対応した機器(通信装置)は、無線通信を行うために初期設定を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたネットワーク接続方法の場合、例えば公共施設内のような複数の無線LANが混在して存在する環境において、ネットワーク家電を複数の無線LANのうちのいずれか1つだけに接続させる場合、複数の無線LANそれぞれに対応するアクセスポイント識別情報が重複しないように設定する必要がある。この場合、特に無線LANの数が増加すると、複数の無線LANそれぞれのSSIDを重複しないように決定する必要があり設定作業が煩雑になる虞がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、異なる複数のネットワークそれぞれに対応したネットワークの接続設定を容易に行うことができる通信システム、アクセスポイント、通信設定装置、通信設定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る通信システムは、
アクセスポイントと、前記アクセスポイントと1つのネットワークを介して通信するクライアント装置と、を備える通信システムであって、
前記アクセスポイントは、
外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部と、
前記外部記憶装置が前記アクセスポイント側接続部に接続されると、前記外部記憶装置が前記1つのネットワークを介して前記クライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報を記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を取得するアクセスポイント側設定情報取得部と、
前記アクセスポイント側設定情報が取得されると、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部と、
前記アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記クライアント装置を宛先とする情報を前記クライアント装置へ送信する情報送信部と、を有し、
前記クライアント装置は、
前記外部記憶装置が接続される前記クライアント側接続部と、
前記外部記憶装置が前記クライアント側接続部に接続されると、前記外部記憶装置が前記1つのネットワークを介して前記アクセスポイントと通信する際の前記クライアント装置の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記クライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を取得するクライアント側設定情報取得部と、
前記クライアント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記アクセスポイント識別情報で識別される前記アクセスポイントから送信される前記クライアント装置を宛先とする情報を受信する情報受信部と、を有する。
【0007】
他の観点から見た本発明に係るアクセスポイントは、
クライアント装置と1つのネットワークを介して通信するアクセスポイントであって、
外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部と、
前記外部記憶装置が前記アクセスポイント側接続部に接続されると、前記外部記憶装置が前記1つのネットワークを介して前記クライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報を記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を取得するアクセスポイント側設定情報取得部と、
前記アクセスポイント側設定情報が取得されると、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部と、
前記アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記クライアント装置を宛先とする情報を前記クライアント装置へ送信する情報送信部と、を備える。
【0008】
他の観点から見た本発明に係る通信設定装置は、
アクセスポイントに設けられたアクセスポイント側接続部と、前記アクセスポイントと1つのネットワークを介して通信するクライアント装置に設けられたクライアント側接続部と、に接続可能な設定装置側接続部と、
前記アクセスポイントが前記1つのネットワークを介して前記クライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報と、前記クライアント装置が前記1つのネットワークを介して前記アクセスポイントと通信する際の前記クライアント装置の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報と、を記憶する通信設定記憶部と、
一意のアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記通信設定記憶部に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部と、
前記設定装置側接続部が前記アクセスポイント側接続部に接続されると、前記アクセスポイント側設定情報を、前記設定装置側接続部および前記アクセスポイント側接続部を介して前記アクセスポイントへ転送し、前記設定装置側接続部が前記クライアント側接続部に接続されると、前記通信設定記憶部が前記アクセスポイント識別情報を記憶している場合、前記クライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を、前記設定装置側接続部および前記アクセスポイント側接続部を介して前記クライアント装置へ転送する設定情報転送部と、を備える。
【0009】
他の観点から見た本発明に係る通信設定方法は、
アクセスポイントが1つのネットワークを介してクライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定と、前記クライアント装置が前記1つのネットワークを介して前記アクセスポイントと通信する際の前記クライアント装置の通信設定と、を行う設定方法であって、
前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報と、前記クライアント装置の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報と、を記憶する外部記憶装置を、前記アクセスポイントに設けられた前記外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部に接続するステップと、
前記アクセスポイントが、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を、前記アクセスポイント側接続部を介して前記外部記憶装置から取得するステップと、
前記アクセスポイントが、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成するステップと、
前記アクセスポイントが、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるステップと、
前記アクセスポイント側設定情報と、前記クライアント側設定情報と、前記アクセスポイント識別情報と、を記憶する前記外部記憶装置を、前記クライアント装置に設けられた前記外部記憶装置が接続される前記クライアント側接続部に接続するステップと、
前記クライアント装置が、前記外部記憶装置が記憶する前記クライアント側設定情報および前記アクセスポイント識別情報を、前記クライアント側接続部を介して前記外部記憶装置から取得するステップと、を含む。
【0010】
他の観点から見た本発明に係るプログラムは、
コンピュータを、
外部記憶装置がアクセスポイントに設けられたアクセスポイント側接続部に接続されると、前記アクセスポイントが1つのネットワークを介してクライアント装置と通信する際の前記アクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報を前記外部記憶装置が記憶している場合、前記外部記憶装置が記憶する前記アクセスポイント側設定情報を取得するアクセスポイント側設定情報取得部、
前記アクセスポイント側設定情報が取得されると、前記アクセスポイントを識別する前記アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つ前記アクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成し、生成した前記アクセスポイント識別情報を前記外部記憶装置に記憶させるアクセスポイント識別情報生成部、
前記アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、前記クライアント装置を宛先とする情報を前記クライアント装置へ送信する情報送信部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含むアクセスポイント識別情報が生成され、生成したアクセスポイント識別情報が、アクセスポイントとクライアント装置とで共有される。これにより、複数のネットワークが存在する環境化において、複数のネットワークそれぞれに対応するアクセスポイントに固有の通信装置識別情報を用いて、互いに重複しない複数のアクセスポイントそれぞれのアクセスポイント識別情報が生成されるので、異なる複数のネットワークそれぞれに対応したネットワークの接続設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態1に係る通信システムの構成を示す図である。
【
図2】実施の形態1に係る通信システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1に係る通信システムの機能構成を示す図である。
【
図4】(A)は実施の形態1に係るアクセスポイントの通信設定記憶部が記憶する情報の一例を示す図であり、(B)は実施の形態1に係る投影装置の通信設定記憶部が記憶する情報の一例を示す図である。
【
図5】実施の形態1に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図6】(A)は、実施の形態1に係るアクセスポイントが実行する通信設定処理の流れの一例を示すフローチャートであり、(B)は、実施の形態1に係る投影装置が実行する通信設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図7】実施の形態2に係る通信システムのハードウェア構成を示す図である。
【
図8】実施の形態2に係る通信システムの機能構成を示す図である。
【
図9】実施の形態2に係る通信システムの動作を示すシーケンス図である。
【
図10】実施の形態2に係る通信設定装置が実行する通信設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施の形態に係る通信システムについて図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係る通信システムは、アクセスポイントと、アクセスポイントと1つのネットワークを介して通信するクライアント装置と、を備える。アクセスポイントは、外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部と、アクセスポイント側設定情報取得部と、アクセスポイント識別情報生成部と、情報送信部と、を有する。アクセスポイント側設定情報取得部は、外部記憶装置が接続されるアクセスポイント側接続部と、外部記憶装置がアクセスポイント側接続部に接続されると、外部記憶装置が1つのネットワークを介してクライアント装置と通信する際のアクセスポイントの通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報を記憶している場合、外部記憶装置が記憶するアクセスポイント側設定情報を取得する。アクセスポイント識別情報生成部は、アクセスポイント側設定情報が取得されると、アクセスポイントを識別するアクセスポイントに固有の通信装置識別情報の少なくとも一部を含み且つアクセスポイントを識別するアクセスポイント識別情報を生成し、生成したアクセスポイント識別情報を外部記憶装置に記憶させる。情報送信部は、アクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、クライアント装置を宛先とする情報をクライアント装置へ送信する。クライアント装置は、外部記憶装置が接続されるクライアント側接続部と、クライアント側設定情報取得部と、情報受信部と、を有する。クライアント側設定情報取得部は、外部記憶装置がクライアント側接続部に接続されると、外部記憶装置が1つのネットワークを介してアクセスポイントと通信する際のクライアント装置の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報およびアクセスポイント識別情報を記憶している場合、外部記憶装置が記憶するクライアント側設定情報およびアクセスポイント識別情報を取得する。情報受信部は、クライアント側設定情報が示す通信設定に基づいて、アクセスポイント識別情報で識別されるアクセスポイントから送信されるクライアント装置を宛先とする情報を受信する。以下、本実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態に係る通信システムは、例えば
図1に示すように、端末装置3と、アクセスポイント1と、投影装置2と、表示装置4と、アクセスポイント1および投影装置2の通信設定を行うための設定用端末装置5と、を備える。以下、
図1から
図4を用いて、本実施の形態に係る通信システムの構成それぞれについて、詳細に説明する。
【0015】
アクセスポイント1は、例えば家庭内ネットワーク、オフィス内無線LAN(Local Area Network)の構成要素として採用されるものであり、投影装置2および端末装置3と無線通信する。また、アクセスポイント1には、USB(Universal Serial Bus)メモリ6を接続することができるUSB端子107aが設けられている。USB端子107aは、USBメモリ6が接続されるアクセスポイント側接続部である。端末装置3は、例えば汎用のパーソナルコンピュータであり、アクセスポイント1と無線通信する機能を有する。設定用端末装置5は、例えば汎用のパーソナルコンピュータであり、USBメモリ6を接続することができるUSB端子507aが設けられている。設定用端末装置5は、
図2に示すように、CPU(Central Processing Unit)501と、主記憶部502と、補助記憶部503と、表示部504と、入力部505と、USBインタフェース(
図2のUSBI/F)507と、各部を接続するバス509と、を備える。主記憶部502は、例えばRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリから構成され、CPU501の作業領域などとして使用される。補助記憶部503は、例えばROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ、または、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等から構成され、設定用端末装置5を制御するためのプログラムなどを記憶する。表示部504は、例えば液晶ディスプレイを有し、例えば主記憶部502の表示画像記憶領域に記憶された表示画像情報が示す表示画像を表示する。入力部505は、例えばキーボードであり、利用者による操作内容に応じて入力情報を生成してCPU501へ転送する。
【0016】
また、補助記憶部503は、アクセスポイント1が無線LANを介して投影装置2と通信する際のアクセスポイント1の通信設定の内容を示すアクセスポイント側設定情報と、投影装置2が無線LANを介してアクセスポイント1と通信する際の投影装置2の通信設定の内容を示すクライアント側設定情報と、を記憶している。このアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報は、例えば利用者が表示部504に各設定情報を入力するための入力画像が表示された状態で入力部505を介して通信設定の内容を入力することにより補助記憶部503に記憶される。USBインタフェース507は、USBメモリ6がUSB端子507aに接続されると、バス509から転送される情報をそのUSBメモリ6へ転送したり、USBメモリ6が記憶する情報をバス509へ転送したりする。USBメモリ6への書き込みは、
図3に示す設定情報書き込み部511によりなされる。設定情報書き込み部511は、USB端子507aにUSBメモリ6が接続された状態で、利用者が入力部505に対して行った操作に基づいて、補助記憶部503が記憶するアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報をUSBメモリ6に記憶させる。設定情報書き込み部511は、CPU501が、補助記憶部503に記憶されたプログラムを主記憶部502に読み込んで実行することにより実現される。
【0017】
図1に戻って、表示装置4は、例えば液晶ディスプレイと、HDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)等の通信規格に適合した映像情報を取得するための映像インタフェースとを有し、映像インタフェースに接続された通信ケーブルCB1を介して投影装置2に接続されている。そして、表示装置4は、投影装置2から通信ケーブルCB1を通じて映像情報を取得すると、取得した映像情報に基づいて映像を表示する。なお、映像インタフェースおよび通信ケーブルCB1は、この通信規格(HDMI)に限らず、映像情報を通信できる通信規格であればよい。
【0018】
投影装置2は、アクセスポイント1から送信される映像情報を受信すると、受信した映像情報を、通信ケーブルCB1を介して表示装置4へ送信することにより映像情報に対応する映像を表示装置4に表示させるクライアント装置である。投影装置2には、USB端子207aが設けられている。USB端子207aは、USBメモリ6が接続されるクライアント側接続部である。投影装置2は、
図2に示すように、CPU201と、主記憶部202と、補助記憶部203と、無線モジュール205と、映像インタフェース(
図2の映像I/F)206と、USBインタフェース(
図2のUSBI/F)207と、各部を接続するバス209と、を備える。主記憶部202は、揮発性メモリから構成され、CPU201の作業領域として使用される。補助記憶部203は、不揮発性メモリ、または、SSD、HDD等から構成され、投影装置2を制御するためのプログラムを記憶する。
【0019】
無線モジュール205は、例えばIEEE802.11に準拠した無線LAN規格に適合する通信方式で通信する。無線モジュール205は、アンテナ(図示せず)と、受信回路(図示せず)と、信号処理部(図示せず)と、を有する。受信回路は、アンテナを介して無線信号を受信し、受信した無線信号に対応する信号を復調してベースバンド信号を生成して信号処理部へ出力する。信号処理部は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現され、受信回路から入力されるベースバンド信号に基づいて受信回路が受信した無線信号に対応する情報を生成してバス209へ送出する。また、無線モジュール205は、例えば2.4GHz、5GHzの周波数帯域に属する複数のチャネルから1つのチャネルを選択して利用する。映像インタフェース206は、例えばHDMI(登録商標)等の通信規格に適合した映像情報を表示装置4へ送信するためのインタフェースであり、バス209から映像情報を受け取ると、その映像情報を、通信ケーブルCB1を通じて表示装置4へ転送する。USBインタフェース207は、USBメモリ6がUSB端子207aに接続されると、バス209から転送される情報をそのUSBメモリ6へ転送したり、USBメモリ6が記憶する情報をバス209へ転送したりする。
【0020】
CPU201は、補助記憶部203が記憶するプログラムを主記憶部202に読み込んで実行することにより、
図3に示すように、映像情報受信部211、投影制御部212および設定情報取得部213として機能する。また、
図2に示す補助記憶部203は、
図3に示すように、前述のクライアント側設定情報と、投影装置2と通信するアクセスポイント1を識別するSSID(Service Set Identifier)を示すアクセスポイント識別情報であるSSID情報と、を記憶する通信設定記憶部231を有する。この通信設定記憶部231は、例えば
図4(A)に示すように、SSID情報「SSID_AABBCC」を記憶する。また、クライアント側設定情報は、アクセスポイント1と通信する際に使用する認証方式、認証サーバ(例えばRADIUSサーバ)のローカルアドレス(IPアドレス)、暗号方式を示す情報と、MACアドレスフィルタを有効にするか否か、DHCP機能を有効にするか否か、を指定する情報と、IEEE802.1x規格に適合する通信方式を採用する場合に使用する証明書情報と、が含まれる。
図4(A)に示す例では、認証方式がRADIUSサーバを用いた認証方式である「WPA Enterprise」、暗号方式が「AES」に設定され、MACアドレスフィルタを無効にし、DHCP機能を有効にする場合を示している。また、
図2に示す主記憶部202は、
図3に示すように、アクセスポイント1から受信した映像情報を一時的に記憶する映像バッファ221としての領域も有する。映像情報受信部211は、通信設定記憶部231が記憶するクライアント側設定情報が示す通信設定に基づいて、通信設定記憶部231が記憶するSSID情報が示すSSIDで識別されるアクセスポイント1から送信される投影装置2を宛先とする映像情報を、無線モジュール205を介して受信する。映像情報受信部211は、受信した映像情報を映像バッファ221に記憶させる。
【0021】
投影制御部212は、映像バッファ221が記憶する前述の映像情報を、映像インタフェース206および通信ケーブルCB1を介して表示装置4へ転送することにより、映像情報が示す映像を表示装置4に投影する。
【0022】
設定情報取得部213は、USBメモリ6がUSB端子207aに接続されると、USB端子207aが前述のクライアント側設定情報およびアクセスポイント識別情報を記憶している場合、USBメモリ6が記憶するクライアント側設定情報およびアクセスポイント識別情報を取得するクライアント側設定情報取得部である。設定情報取得部213は、クライアント側設定情報およびアクセスポイント識別情報を取得すると、取得したクライアント側設定情報およびアクセスポイント識別情報を通信設定記憶部231に記憶させる。
【0023】
アクセスポイント1は、
図2に示すように、CPU101と、主記憶部102と、補助記憶部103と、無線モジュール105と、USBインタフェース107と、各部を接続するバス109と、を備える。主記憶部102は、揮発性メモリから構成され、CPU101の作業領域として使用される。補助記憶部103は、不揮発性メモリ、または、SSD、HDD等から構成され、アクセスポイント1を制御するためのプログラムを記憶する。なお、本実施の形態に係るアクセスポイント1では、無線モジュール105に加えて、有線モジュール(図示せず)をも備え、他のアクセスポイントまたは端末装置と有線ネットワークで接続できるように構成されていてもよい。
【0024】
無線モジュール105は、例えばIEEE802.11に準拠した無線LAN規格に適合する通信方式で通信する。無線モジュール105は、それぞれ、アンテナ(図示せず)と、受信回路(図示せず)と、信号処理部(図示せず)と、送信回路(図示せず)と、を有する。受信回路は、アンテナを介して無線信号を受信し、受信した無線信号に対応する信号を復調してベースバンド信号を生成して信号処理部へ出力する。送信回路は、信号処理部から入力されるベースバンド信号を用いてキャリア信号を変調することにより、送信する情報に対応する無線信号を生成し、生成した無線信号を、アンテナを介して送信する。信号処理部は、受信回路から入力されるベースバンド信号に基づいて受信回路が受信した無線信号に対応する情報を生成してバス109へ送出する。また、信号処理部は、主記憶部102からバス109を介して転送されてきた各種情報に基づいてベースバンド信号を生成して送信回路へ出力する。無線モジュール105は、2.4GHz、5GHzの周波数帯域に属する複数のチャネルから1つのチャネルを選択して利用する。USBインタフェース107は、USBメモリ6がUSB端子107aに接続されると、バス109から転送される情報をそのUSBメモリ6へ転送したり、USBメモリ6が記憶する情報をバス109へ転送したりする。
【0025】
CPU101は、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、
図3に示すように、映像情報取得部111、映像情報送信部113、設定情報取得部114およびSSID生成部115として機能する。また、
図2に示す補助記憶部103は、前述のアクセスポイント側設定情報と、アクセスポイント1を識別するSSIDを示すアクセスポイント識別情報であるSSID情報と、アクセスポイント1の通信装置識別情報であるMACアドレス情報と、を記憶する通信設定記憶部131(
図3)としても機能する。この通信設定記憶部131は、例えば
図4(B)に示すように、SSID情報「SSID_AABBCC」を記憶する。また、アクセスポイント側設定情報は、投影装置2と通信する際に使用する周波数帯域、使用チャネル、認証方式、認証サーバのローカルアドレス(IPアドレス)、暗号方式、利用者が個別に使用する個別サーバ(図示せず)のローカルアドレス(IPアドレス)を示す情報と、SSID秘匿機能を有効にするか否か、MACアドレスフィルタを有効にするか否か、を指定する情報と、が含まれる。
図4(B)に示す例では、使用する周波数帯域が「5GHz帯」、使用チャネルが「36ch」、認証方式がRADIUSサーバを用いた認証方式である「WPA Enterprise」、暗号方式が「AES」に設定され、SSID秘匿機能を有効にし、MACアドレスフィルタを無効にする場合を示している。更に、
図2に示す主記憶部102は、
図3に示すように、端末装置3から送信され無線モジュール105により受信された映像情報を一時的に記憶する映像バッファ121としての領域も有する。
【0026】
映像情報取得部111は、端末装置3から送信される映像情報を、無線モジュール105を介して取得すると、取得した映像情報を映像バッファ121に記憶させる。映像情報送信部113は、通信設定記憶部131が記憶する前述のアクセスポイント側設定情報が示す通信設定に基づいて、投影装置2を宛先とする映像情報を投影装置2へ送信する。
【0027】
設定情報取得部114は、USBメモリ6がUSB端子107aに接続されると、USBメモリ6が前述アクセスポイント側設定情報を記憶している場合、USBメモリ6が記憶するアクセスポイント側設定情報を取得するアクセスポイント側設定情報取得部である。設定情報取得部114は、取得したアクセスポイント側設定情報を通信設定記憶部131に記憶させる。
【0028】
SSID生成部115は、設定情報取得部114によりアクセスポイント側設定情報が取得されると、アクセスポイント1を他のアクセスポイントと識別するSSIDを示すSSID情報を生成するアクセスポイント識別情報生成部である。SSID生成部115が生成するSSIDは、自身(アクセスポイント1)のMACアドレスの少なくとも一部、例えば、自身のMACアドレスの下位3バイトを含むSSIDを示すSSID情報を生成するのが望ましい。例えばアクセスポイント1のMACアドレスが、「11:22:33:AA:BB:CC」である場合、SSID生成部115は、アクセスポイント1に付与するSSIDとして、「SSID_AABBCC」を生成する。また、アクセスポイント1のMACアドレスが「11:22:33:AA:BB:CD」である場合、SSID生成部115は、アクセスポイント1に付与するSSIDとして、「SSID_AABBCD」を生成する。SSID生成部115は、生成したSSID情報を通信設定記憶部131に記憶させると共に、USBメモリ6にも書き込む。
【0029】
次に、本実施の形態に係る通信システムの動作について
図5を参照しながら詳細に説明する。
図5は、利用者が設定用端末装置5により入力した、アクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報をUSBメモリ6に書き込み、当該USBメモリ6をアクセスポイント1および投影装置2のUSB端子に接続することで、ネットワークの接続設定をそれぞれに設定し、投影装置2がアクセスポイント1から映像情報を受信すると、受信した映像情報を、表示装置4へ送信するまでの処理を示している。
【0030】
まず、利用者が、USBメモリ6を設定用端末装置5のUSB端子U507aに接続した状態で、入力部505に対して前述のアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報をUSBメモリ6に書き込むための書き込み操作を行ったとする。この場合、USBメモリ6には、設定用端末装置5の設定情報書き込み部511によりアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報が書き込まれる(ステップS1)。次に、利用者が、アクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報が書き込まれたUSBメモリ6を、設定用端末装置5のUSB端子507aから外してアクセスポイント1のUSB端子107aに接続したとする。ここで、アクセスポイント1の設定情報取得部114は、USB端子107aに接続されたUSBメモリ6に記憶された情報の中にアクセスポイント側設定情報が有ると判定したとする(ステップS2)。この場合、アクセスポイント1の設定情報取得部114は、USBメモリ6が記憶するアクセスポイント側設定情報を取得し(ステップS3)、通信設定記憶部131に記憶させる(ステップS4)。続いて、アクセスポイント1のSSID生成部115は、アクセスポイント1のMACアドレスの一部を含むSSIDを示すSSID情報を生成する(ステップS5)。その後、生成されたSSID情報は、アクセスポイント1の設定情報記憶部131に記憶されると共に、アクセスポイント1からUSBメモリ6へ転送され(ステップS6)、USBメモリ6が、転送されてきたSSID情報を記憶する(ステップS7)。
【0031】
次に、利用者が、アクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報に加えてアクセスポイント1のSSID情報が書き込まれたUSBメモリ6を、アクセスポイント1のUSB端子107aから外して投影装置2のUSB端子207aに接続したとする。ここで、投影装置2の設定情報取得部213は、USB端子207aに接続されたUSBメモリ6に記憶された情報の中にクライアント側設定情報およびSSID情報が有ると判定したとする(ステップS8)。この場合、設定情報取得部213は、USBメモリ6が記憶するクライアント側設定情報およびSSID情報を取得し(ステップS9)、これらを通信設定記憶部231に記憶させる(ステップS10)。
【0032】
また、プローブ要求情報が、投影装置2からアクセスポイント1へ送信される(ステップS11)。一方、アクセスポイント1がプローブ要求情報を取得すると、これに応じて、プローブ応答情報が、アクセスポイント1から投影装置2へ送信される(ステップS12)。続いて、前述の証明書情報を含む認証要求情報が、投影装置2からアクセスポイント1へ送信されると(ステップS13)、アクセスポイント1は、認証処理を実行する(ステップS14)。具体的には、アクセスポイント1は、認証要求情報に含まれる証明書情報を抽出し、抽出した証明書情報を含む認証要求情報をRADIUSサーバへ送信し、認証結果情報を含む認証応答情報をRADIUSサーバから取得する処理を実行する。そして、アクセスポイント1が、認証結果情報に基づいて認証が成功したと判定すると、認証が成功したことを示す認証応答情報が、アクセスポイント1から投影装置2へ送信される(ステップS15)。その後、アソシエーション要求情報が、投影装置2からアクセスポイント1へ送信されると(ステップS16)、これに応じて、アクセスポイント1のMACアドレスを示すMACアドレス情報を含むアソシエーション応答情報が、アクセスポイント1から投影装置2へ送信される(ステップS17)。これにより、アクセスポイント1から投影装置2への映像情報の送信が可能な状態となる。
【0033】
ここで、例えばアクセスポイント1と当該アクセスポイント1と1対1で通信する投影装置2との組が複数存在する場合、複数のアクセスポイント1と投影装置2との組それぞれについて、前述のステップS2乃至S14の一連の操作並びに処理が行われることにより、複数の組それぞれについて、各組に対応するアクセスポイント1のMACアドレスの一部を含むSSIDを示すSSID情報が組毎にアクセスポイント1で生成され、生成されたSSID情報が、対応するアクセスポイント1および投影装置2で共有されることになる。
【0034】
次に、利用者が、端末装置3において、端末装置3の表示部に表示されている映像を表示装置4に投影するための映像投影操作を行ったとする。この場合、端末装置3の表示部に表示されている映像を示す映像情報が、端末装置3からアクセスポイント1へ送信される(ステップS18)。一方、アクセスポイント1は、映像情報を受信すると、受信した映像情報を上記の様に確立された無線通信経路を介して投影装置2へ送信する(ステップS19)。一方、投影装置2は、映像情報を受信すると、受信した映像情報を、通信ケーブルCB1を介して表示装置4へ送信することにより映像情報に対応する映像を表示装置4に表示させる(ステップS20)。
【0035】
なお、
図5に示される本実施の形態に係る通信システムでは、ネットワークの接続設定をそれぞれに設定を記憶できた(ステップS4およびS10)後は、直にアクセスポイント1と投影装置2との間で無線接続が開始することで説明したが、例えばネットワークの接続設定をそれぞれに設定できた後にそれぞれの装置が再起動することにしてもよい。このような場合、具体的には、アクセスポイント1は
図5のステップS6の後に再起動処理がなされ、投影装置2は
図5のステップS10の後に再起動処理がなされる。このようにすれば、USBメモリ6を用いてアクセスポイント1および投影装置2にネットワークの接続設定をいずれのタイミング(通信システム導入時、通信システム稼働中など)で行われたとしても、当該ネットワークの接続設定を適切に反映でき、通信システムの信頼性向上に寄与できる。
【0036】
次に、本実施の形態に係るアクセスポイント1が実行する通信設定処理について
図6(A)を参照しながら再度詳細に説明する。この通信設定処理は、例えばアクセスポイント1のUSB端子107aにUSBメモリ6が接続されたことを契機として開始される。なお、投影装置2以外の端末装置3等との間での通信処理は、この通信設定処理と並行して適宜実行される。また、投影装置2との間でのプローブ要求情報等の受信およびプローブ応答情報等の送信を実行する処理、認証処理並びに映像情報の投影装置2への送信を実行する処理は、この通信設定処理後に適宜実行される。
【0037】
まず、設定情報取得部114は、USB端子107aにUSBメモリ6が接続されたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、設定情報取得部114は、USB端子107aにUSBメモリ6が接続されない限り(ステップS101:No)、ステップS101の処理を繰り返し実行する。一方、設定情報取得部114は、USB端子107aにUSBメモリ6が接続されると(ステップS101:Yes)、USBメモリ6に記憶された情報の中にアクセスポイント側設定情報が有るか否かを判定する(ステップS102)。ここで、設定情報取得部114が、USBメモリ6にアクセスポイント側設定情報が記憶されていないと判定すると(ステップS102:No)、再びステップS101の処理が実行される。一方、設定情報取得部114が、USBメモリ6に記憶された情報の中にアクセスポイント側設定情報が有ると判定すると(ステップS102:Yes)、USBメモリ6が記憶するアクセスポイント側設定情報を取得し、取得したアクセスポイント側設定情報を通信設定記憶部131に記憶させる(ステップS103)。
【0038】
次に、SSID生成部115は、通信設定記憶部131が記憶するアクセスポイント1のMACアドレス情報が示すMACアドレスの下位3バイトを含むSSIDを示すSSID情報を生成する(ステップS104)。続いて、SSID生成部115は、生成したSSID情報を通信設定記憶部131に記憶させると共にUSBメモリ6に書き込む(ステップS105)。その後、再びステップS101の処理が実行される。
【0039】
次に、本実施の形態に係る投影装置2が実行する通信設定処理について
図6(B)を参照しながら再度詳細に説明する。なお、アクセスポイント投影装置2との間でのプローブ要求情報等の送信およびプローブ応答情報等の受信を実行する処理、映像情報を表示装置4へ転送する処理等は、この通信設定処理後に適宜実行される。
【0040】
まず、設定情報取得部213は、USB端子207aにUSBメモリ6が接続されたか否かを判定する(ステップS301)。ここで、設定情報取得部213は、USB端子207aにUSBメモリ6が接続されない限り(ステップS301:No)、ステップS301の処理を繰り返し実行する。一方、設定情報取得部213は、USB端子207aにUSBメモリ6が接続されると(ステップS301:Yes)、USBメモリ6に記憶された情報の中にクライアント側設定情報およびSSID情報が有るか否かを判定する(ステップS302)。ここで、設定情報取得部213が、USBメモリ6にクライアント側設定情報およびSSID情報が記憶されていないと判定すると(ステップS302:No)、再びステップS301の処理が実行される。一方、設定情報取得部213が、USBメモリ6に記憶された情報の中にクライアント側設定情報およびSSDI情報が有ると判定すると(ステップS302:Yes)、USBメモリ6が記憶するクライアント側設定情報およびSSID情報を取得し、取得したクライアント側設定情報およびSSID情報を通信設定記憶部231に記憶させる(ステップS303)。その後、再びステップS301の処理が実行される。
【0041】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信システムによれば、アクセスポイント1に固有のMACアドレスの一部を含むSSIDを示すSSID情報が生成され、生成したSSID情報が、アクセスポイント1と投影装置2とで共有される。これにより、複数の無線LANが存在する環境下において、複数の無線LANそれぞれに対応するアクセスポイント1に固有のMACアドレスを用いて、互いに重複しない複数のアクセスポイント1それぞれのSSIDが生成されるので、複数の無線LANが存在する環境下における各無線LANへの接続設定を容易に行うことができる。
【0042】
ところで、例えば学校のような教育施設において、前述のアクセスポイント1と投影装置2と、を1対1で利用している場合、年次更新のイベント等により、アクセスポイント1と投影装置2との組を別の教育施設へ移設したり、アクセスポイント1と投影装置2との組を新たに教育施設に導入したりする場合がある。この場合、このような移設または新規導入の作業は、複数の教育施設を統括する行政機関や特定の業者において一括して行われるのが一般的である。このため、複数の教育施設におけるアクセスポイント1と投影装置2との組の通信設定を行う作業を効率的且つ迅速に行い、通常の業務に支障が無いようにすることが要請されている。これに対して、アクセスポイント1および投影装置2それぞれのアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報を予めUSBメモリに記憶させておき、そのUSBメモリをアクセスポイント1および投影装置2に順次挿入しながら通信設定を行っていくことが考えられる。しかしながら、SSIDは、教育施設毎に各別に設定する必要があるため、結局SSIDの設定に手間を要してしまう虞がある。
【0043】
これに対して、本実施の形態に係る通信システムでは、アクセスポイント側設定情報とクライアント側設定情報とを記憶するUSBメモリ6をアクセスポイント1のUSB端子107aに接続するだけで、アクセスポイント1が、USBメモリ6が記憶するアクセスポイント側設定情報を取得するとともに、SSID情報を生成し、生成したSSID情報をUSBメモリ6に記憶させる。そして、SSID情報を新たに記憶したUSBメモリ6を、アクセスポイント1のUSB端子107aから抜き取って、投影装置2のUSB端子207aに接続すると、投影装置2が、USBメモリ6が記憶するクライアント側設定情報とSSID情報とを取得し、アクセスポイント1と通信可能な状態となる。このように、本実施の形態に係る通信システムでは、アクセスポイント1、投影装置2それぞれの通信設定を行う毎に、USBメモリ6が記憶する情報を更新することなく、アクセスポイント1と投影装置2との両方の通信設定を半自動的に行うことができる。また、複数の教育施設それぞれにおいてアクセスポイント1および投影装置2の通信設定を行う場合には、複数の教育施設へ同一のアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報を記憶したUSBメモリ6を配布すれば複数の教育施設において同様の手順で通信設定を行うことができる。従って、アクセスポイント1と投影装置2との組の通信設定を行う作業を効率的且つ迅速に行うことができる。
【0044】
また、本実施の形態に係る通信システムによれば、例えばアクセスポイント1と投影装置2との組が複数の施設それぞれに設置されるとする。この場合、複数の施設それぞれに適応した複数種類のアクセスポイント側設定情報、クライアント側設定情報の組を、複数のUSBメモリ6それぞれに各別に記憶させて複数の施設へ配布することにより、各施設で各施設に適応した通信設定を行うことができる。
【0045】
更に、本実施の形態に係る通信システムにおいて、互いに使用チャネルが異なる複数のアクセスポイント側設定情報、クライアント側設定情報の組を、複数のUSBメモリ6に各別に記憶させることができる。この場合は、例えば近接して配置されたアクセスポイント1と投影装置2との組それぞれについて異なるUSBメモリを用いて、異なる使用チャネルを用いるように設定することができる。
【0046】
(実施の形態2)
本実施の形態に係る通信システムは、通信設定装置を備え、前述のアクセスポイント識別情報を通信設定装置で実行する点で実施の形態1と相違する。
【0047】
本実施の形態に係る通信システムは、例えば
図7に示すように、端末装置3と、アクセスポイント2001と、投影装置2と、表示装置4と、アクセスポイント2001および投影装置2の通信設定を行うための設定用端末装置5と、アクセスポイント2001および投影装置2の通信設定を行うために使用される通信設定装置2006と、を備える。ここで、アクセスポイント2001のハードウェア構成は、実施の形態1で説明したアクセスポイント1のハードウェア構成と同様である。なお、
図7において、実施の形態1と同様の構成については
図2と同一の符号を付している。また、
図7におけるUSBインタフェース607からUSBインタフェース107、207、507まで延びている破線矢印は、利用者が通信設定装置2006を把持して、当該通信設定装置2006のUSBインタフェース607を、アクセスポイント2001のUSB端子(図示せず)、投影装置2のUSB端子207aまたは設定用端末5のUSB端子507aを介して、USBインタフェース107、207、507のいずれかに接続可能であることを示している。
【0048】
本実施の形態に係るアクセスポイント2001では、CPU101が、補助記憶部103が記憶するプログラムを主記憶部102に読み込んで実行することにより、
図8に示すように、映像情報取得部111、映像情報送信部113、設定情報取得部114およびMACアドレス通知部2115として機能する。なお、
図8において、実施の形態1と同様の構成については、
図3と同一の符号を付している。MACアドレス通知部2115は、USB端子に通信設定装置2006のUSB端子が接続されると、アクセスポイント2001に固有のアクセスポイント2001のMACアドレスを示すMACアドレス情報を、USB端子を介して通信設定装置2006へ転送する。
【0049】
通信設定装置2006は、CPU601と、主記憶部602と、補助記憶部603と、USBインタフェース607と、各部を接続するバス609と、を備える。主記憶部602は、揮発性メモリから構成され、CPU601の作業領域として使用される。補助記憶部603は、不揮発性メモリ、または、SSD、HDD等から構成され、通信設定装置2006を制御するためのプログラムを記憶する。USBインタフェース607は、アクセスポイント2001に設けられたUSB端子と、投影装置2に設けられたUSB端子207aと、に接続可能な設定装置側接続部であるUSB端子(図示せず)を有する。
【0050】
CPU601は、補助記憶部603が記憶するプログラムを主記憶部602に読み込んで実行することにより、
図8に示すように、設定情報取得部2611、設定情報転送部2612、MACアドレス取得部2613およびSSID生成部2614として機能する。また、
図7に示す補助記憶部603は、
図8に示すように、アクセスポイント側設定情報と、クライアント側設定情報と、SSID生成部2614により生成されたSSID情報と、を記憶する通信設定記憶部2631を有する。設定情報取得部2611は、通信設定装置2006のUSB端子が設定用端末装置5のUSB端子507aに接続された状態で、設定用端末装置5の設定情報書き込み部511により書き込まれる前述のアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報を取得する。そして、設定情報取得部2611は、取得したアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報を通信設定記憶部2631に記憶させる。
【0051】
設定情報転送部2612は、自装置のUSB端子がアクセスポイント2001に設けられたUSB端子に接続されると、通信設定記憶部2631が記憶する前述のアクセスポイント側設定情報を、アクセスポイント2001のUSB端子を介してアクセスポイント2001へ転送する。また、設定情報転送部2612は、自装置のUSB端子が投影装置2に設けられたUSB端子207aに接続されると、通信設定記憶部2631がSSID情報を記憶している場合、前述のクライアント側設定情報およびSSID情報を、USB端子207aを介して投影装置2へ転送する。
【0052】
MACアドレス取得部2613は、自装置のUSB端子がアクセスポイント2001に設けられたUSB端子に接続されると、アクセスポイント2001に固有のアクセスポイント2001のMACアドレスを示すMACアドレス情報を取得する通信装置識別情報取得部である。MACアドレス取得部2613は、取得したMACアドレス情報をSSID生成部2614に通知する。
【0053】
SSID生成部2614は、MACアドレス取得部2613により取得されたMACアドレス情報が示すMACアドレスの少なくとも一部を含むSSIDを示すSSID情報を生成する。ここで、SSID生成部2614は、例えばアクセスポイント2001のMACアドレスの下位3バイトを含むSSIDを示すSSID情報を生成する。SSID生成部2614は、生成したSSID情報を通信設定記憶部2631に記憶させる。
【0054】
次に、本実施の形態に係る通信システムの動作について
図9を参照しながら詳細に説明する。なお、
図9において、実施の形態1と同様の処理については
図5と同一の符号を付している。まず、利用者が、通信設定装置2006を設定用端末装置5のUSB端子U507aに接続した状態で、入力部505に対して前述のアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報をUSBメモリ6に書き込むための書き込み操作を行ったとする。この場合、通信設定装置2006は、設定用端末装置5により書き込まれるアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報を取得し、取得したアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報を通信設定記憶部2631に記憶させる(ステップS2001)。次に、利用者が、アクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報が通信設定記憶部2631に記憶された通信設定装置2006を、設定用端末装置5のUSB端子507aから外してアクセスポイント2001のUSB端子に接続したとする。ここで、通信設定装置2006は、通信設定記憶部2631に記憶された情報の中にアクセスポイント側設定情報が有ると判定したとする(ステップS2002)。この場合、通信設定記憶部2631が記憶するアクセスポイント側設定情報が、通信設定装置2006からアクセスポイント2001へ転送される(ステップS2003)。一方、アクセスポイント2001は、転送されてきたアクセスポイント側設定情報を通信設定記憶部131に記憶させる(ステップS2004)。続いて、アクセスポイント2001は、アクセスポイント2001に固有のMACアドレスを示すMACアドレス情報を生成し(ステップS2005)、生成されたMACアドレス情報が、アクセスポイント2001から通信設定装置2006へ転送される(ステップS2006)。
【0055】
一方、通信設定装置2006は、MACアドレス情報を取得すると、取得したMACアドレス情報が示すMACアドレスの一部を含むSSIDを示すSSID情報を生成し(ステップS2007)、生成されたSSID情報が、通信設定装置2006からアクセスポイント1へ転送される(ステップS2008)。一方、アクセスポイント2001は、転送されてきたSSID情報を通信設定記憶部131に記憶させる(ステップS2009)。
【0056】
次に、利用者が、通信設定記憶部2631にアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報に加えてアクセスポイント2001のSSID情報が記憶された通信設定装置2006を、アクセスポイント2001のUSB端子から外して投影装置2のUSB端子207aに接続したとする。ここで、通信設定装置2006が、通信設定記憶部2631が記憶する情報の中にクライアント側設定情報およびSSID情報が有ると判定したとする(ステップS2010)。この場合、通信設定記憶部2631が記憶するクライアント側設定情報およびSSID情報が、通信設定装置2006から投影装置2へ転送され(ステップS2011)、投影装置2が、転送されてきたクライアント側設定情報を通信設定記憶部231に記憶させる(ステップS2012)。その後、実施の形態1で説明したステップS11以降の一連の処理が実行される。
【0057】
次に、本実施の形態に係る通信設定装置2006が実行する通信設定処理について
図10を参照しながら詳細に説明する。なお、この通信設定処理は、利用者が、通信設定装置2006へ電源を投入した後、通信設定装置2006を設定用端末装置5のUSB端子U507aに接続した状態で、入力部505に対して操作を行うことにより、前述のアクセスポイント側設定情報およびクライアント側設定情報を通信設定記憶部2631に記憶させたことを前提として実行されるものとする。まず、設定情報転送部2612は、自装置がアクセスポイント2001に接続されたか否かを判定する(ステップS201)。具体的には、設定情報転送部2612は、自装置のUSB端子がアクセスポイント2001のUSB端子に接続されたか否かを判定する。ここで、設定情報転送部2612が、アクセスポイント2001に接続されていないと判定すると(ステップS201:No)、後述のステップS207の処理が実行される。一方、設定情報転送部2612は、アクセスポイント2001に接続されたと判定すると(ステップS201:Yes)、通信設定記憶部2631に記憶された情報の中にアクセスポイント側設定情報が有るか否かを判定する(ステップS202)。ここにおいて、利用者が、既に通信設定装置2006を設定用端末装置5に接続してアクセスポイント側設定情報を通信設定記憶部2631に記憶させている場合、設定情報転送部2612は、アクセスポイント側設定情報が有ると判定する。ここで、設定情報転送部2612が、通信設定記憶部2631がアクセスポイント側設定情報を記憶していないと判定すると(ステップS202:No)、後述のステップS207の処理が実行される。
【0058】
一方、設定情報転送部2612が、通信設定記憶部2631がアクセスポイント側設定情報を記憶していると判定すると(ステップS202:Yes)、通信設定記憶部2631が記憶するアクセスポイント側設定情報をアクセスポイント2001へ転送する(ステップS203)。次に、MACアドレス取得部2613が、アクセスポイント2001から転送されてくるMACアドレス情報を取得すると(ステップS204)、SSID生成部115は、取得したMACアドレス情報が示すMACアドレスの下位3バイトを含むSSIDを示すSSID情報を生成し、生成したSSID情報を通信設定記憶部2631に記憶させる(ステップS205)。続いて、設定情報転送部2612は、通信設定記憶部2631が記憶するSSID情報をアクセスポイント2001へ転送する(ステップS206)。
【0059】
その後。設定情報転送部2612は、自装置が投影装置2に接続されたか否かを判定する(ステップS207)。具体的には、設定情報転送部2612は、自装置のUSB端子が投影装置2のUSB端子207aに接続されたか否かを判定する。ここで、設定情報転送部2612が、投影装置2に接続されていないと判定すると(ステップS207:No)、再びのステップS201の処理が実行される。一方、設定情報転送部2612は、投影装置2に接続されたと判定すると(ステップS207:Yes)、通信設定記憶部2631に記憶された情報の中にクライアント側設定情報およびSSID情報が有るか否かを判定する(ステップS208)。ここにおいて、利用者が既に通信設定装置2006を設定用端末装置5に接続してクライアント側設定情報を通信設定記憶部2631に記憶させており、通信設定装置2006が、アクセスポイント2001に接続されることによりSSID情報を生成して通信設定記憶部2631に記憶させている場合、設定情報転送部2612は、クライアント側設定情報およびSSID情報が有ると判定する。ここで、設定情報転送部2612が、通信設定記憶部2631がクライアント側設定情報およびSSID情報を記憶していないと判定すると(ステップS208:No)、再びステップS201の処理が実行される。一方、設定情報転送部2612が記憶する情報の中にクライアント側設定情報およびSSID情報が有ると判定すると(ステップS208:Yes)、通信設定記憶部2631が記憶するクライアント側設定情報およびSSID情報を投影装置2へ転送する(ステップS209)。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態に係る通信システムによれば、通信設定装置2006がアクセスポイント2001からMACアドレスを取得し、アクセスポイントに代わってSSIDを生成する態様を説明した。この態様の変形として、通信設定装置2006のSSID生成部2614は、アクセスポイント2001のMACアドレスによらず、独自にSSIDを作成しても良い。この場合、アクセスポイント2001と投影装置2の組が一意に決まるよう独自のSSIDが決定されることが重要であり、例えば、利用者が任意に決めた番号に、SSIDの生成時刻を数字に置き換えたものを組み合わせてSSIDとしてもよい。なお、SSID生成部2614は、利用者が任意に決めた番号とSSIDの生成時刻とを組み合わせてSSIDとする方法以外の他の方法によりSSIDを生成するものであってもよい。そうすれば、ネットワーク設定のための設定処理を簡素化することができる。
【0061】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明は前述の各実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、実施の形態1において、USBメモリ6が、アクセスポイント1および投影装置2との間でアクセスポイント側設定情報、SSID情報およびクライアント側設定情報の授受の履歴を示すログ情報を記憶するログ記憶部(図示せず)を備えるものであってもよい。ここで、ログ記憶部は、例えば、アクセスポイント1へ転送したアクセスポイント側設定情報または投影装置2へ転送したクライアント側設定情報を、アクセスポイント1または投影装置2のMACアドレス情報と、アクセスポイント側設定情報を転送した日時を示す転送日時情報と、に対応づけて記憶する。なお、ログ記憶部は、各種情報を例えばCSV形式で記憶するものであってもよい。この場合、アクセスポイント1は、USBメモリ6からアクセスポイント側設定情報が転送され、SSID情報を生成すると、アクセスポイント側設定情報を、アクセスポイント1のMACアドレス情報およびアクセスポイント側設定情報を転送した日時を示すアクセスポイント転送日時情報に対応づけて前述のログ記憶部に記憶させるアクセスポイント側ログ記録部(図示せず)を備えるものであってもよい。そして、投影装置2が、USBメモリ6からクライアント側設定情報およびSSID情報が転送されると、クライアント側設定情報を、投影装置2のMACアドレス情報およびクライアント側設定情報を転送した日時を示すクライアント転送日時情報に対応づけて前述のログ記憶部に記憶させるクライアント側ログ記録部(図示せず)を備えるものであってもよい。
【0062】
また、実施の形態2において、通信設定装置2006が、前述のログ情報を記憶するログ記憶部(図示せず)を備え、投影装置2が、投影装置2のMACアドレスを示すMACアドレス通知部(図示せず)を備えるものであってもよい。この場合、通信設定装置2006は、アクセスポイント側設定情報をアクセスポイント2001へ転送し、アクセスポイント2001のMACアドレス情報を取得すると、アクセスポイント側設定情報を、アクセスポイント2001のMACアドレス情報およびアクセスポイント側設定情報を転送した日時を示すアクセスポイント転送日時情報に対応づけてログ記憶部に記憶させるログ記録部(図示せず)を備えるものであってもよい。ここで、ログ記録部は、クライアント側設定情報およびSSID情報を投影装置2へ転送すると、投影装置2のMACアドレス通知部から転送されるMACアドレス情報を取得し、クライアント側設定情報を、投影装置2のMACアドレス情報およびクライアント側設定情報を転送した日時を示すクライアント転送日時情報に対応づけて前述のログ記憶部に記憶させるものであってもよい。
【0063】
これらの構成によれば、例えば複数のアクセスポイント1、2001と投影装置2との組それぞれについて、通信設定を行った場合において、通信設定を行った後において、ログ記憶部が記憶するログ情報を参照することで、複数の組それぞれの通信設定の内容を確認することができる。従って、複数のアクセスポイント1、2001と投影装置2との組それぞれの運用開始後のメインテナンスが容易になるという利点がある。
【0064】
また、これらの構成によれば、USBメモリ6または通信設定装置2006のログ記憶部に記憶されたログ情報を例えば管理用のサーバにバックアップ情報として蓄積させておくことができる。従って、例えば新規に導入するアクセスポイント1、2001および投影装置2に対して、過去に他のアクセスポイント1、2001および投影装置2に対して行った通信設定の内容と同様の内容の通信設定を行うことができる。
【0065】
実施の形態1において、アクセスポイント1が、LED(Light Emitting Diode))のような発光素子を有する発光部(図示せず)と、USBメモリ6がUSB端子107aに接続された後、アクセスポイント側設定情報のアクセスポイント1への転送およびSSID情報のUSBメモリ6への転送が完了すると発光部を点滅させる点灯制御部(図示せず)と、を更に備えるものであってもよい。また、投影装置2が、発光素子を有する発光部(図示せず)と、USBメモリ6がUSB端子207aに接続された後、クライアント側設定情報およびSSID情報の投影装置2への転送が完了すると発光部を点滅させる点灯制御部(図示せず)と、を更に備えるものであってもよい。
【0066】
本構成によれば、アクセスポイント1または投影装置2の通信設定の完了時期を把握し易くなるので、例えばアクセスポイント1または投影装置2の通信設定が完了する前にUSBメモリ6がUSB端子107a、207aから外されてしまったことに起因した不具合の発生を抑制できる。
【0067】
各実施の形態では、アクセスポイント1、2001と投影装置2との通信を開始する際RADIUS認証を実行する例について説明したが、これに限定されるものではなく、RADIUS認証を実行しないものであってもよい。
【0068】
本発明に係るアクセスポイント1、2001、通信設定装置2006の各種機能は、専用のシステムによらず、無線通信モジュールを備えるコンピュータシステムを用いて実現可能である。例えば、ネットワークに接続されているコンピュータに、上記動作を実行するためのプログラムを、コンピュータシステムが読み取り可能な非一時的な記録媒体(CD-ROM等)に格納して配布し、当該プログラムをコンピュータシステムにインストールすることにより、上述の処理を実行するアクセスポイント1、2001、通信設定装置2006を構成してもよい。
【0069】
また、コンピュータにプログラムを提供する方法は任意である。例えば、プログラムは、通信回線のサーバにアップロードされ、通信回線を介してコンピュータに配信されてもよい。そして、コンピュータは、このプログラムを起動して、OSの制御の下、他のアプリケーションと同様に実行する。これにより、コンピュータは、上述の処理を実行するアクセスポイント1、2001、通信設定装置2006として機能する。
【0070】
以上、本発明の実施の形態および変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、複数のネットワークが存在する環境下における通信設定に好適である。
【符号の説明】
【0072】
1,2001:アクセスポイント、2:投影装置、3:端末装置、4:表示装置、5:設定用端末装置、6:USBメモリ、2006:通信設定装置、101,201,501,601:CPU、102,202,502,602:主記憶部、103,203,503,603:補助記憶部、105,205:無線モジュール、107,207,507,607:USBインタフェース、107a,207a,507a,607a:USB端子、109,209,509,609:バス、111:映像情報取得部、211:映像情報受信部、113:映像情報送信部、114,213,2611:設定情報取得部、115,2614:SSID生成部、121,221:映像バッファ、131,231,2631:通信設定記憶部、206:映像インタフェース、212:投影制御部、511:設定情報書き込み部、2115:MACアドレス通知部、2612:設定情報転送部、2613:MACアドレス取得部、CB1:通信ケーブル