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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024059233
(43)【公開日】2024-05-01
(54)【発明の名称】含水繊維系原料濃縮機
(51)【国際特許分類】
   B01D 33/06 20060101AFI20240423BHJP
   B01D 24/46 20060101ALI20240423BHJP
【FI】
B01D33/06 D
B01D33/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022166788
(22)【出願日】2022-10-18
(71)【出願人】
【識別番号】391011814
【氏名又は名称】株式会社大善
(74)【代理人】
【識別番号】100098936
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100098888
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 明子
(72)【発明者】
【氏名】井出 丈史
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116AA11
4D116AA27
4D116BB14
4D116BC27
4D116BC45
4D116BC48
4D116BC77
4D116DD06
4D116FF12B
4D116GG02
4D116KK01
4D116QA31C
4D116QA31D
4D116QA31F
4D116QA55C
4D116QA55F
4D116QA57C
4D116QA57F
4D116QB35
4D116RR01
4D116RR03
4D116RR14
4D116VV30
(57)【要約】      (修正有)
【課題】単純な構成の利点を生かしつつ、最終的な脱墨処理だけでなく、有用な産業資材を作り出せるように、濃縮度合いをある程度まで均一化できる含水繊維系原料の濃縮機を提供する。
【解決手段】含水繊維系原料濃縮機1では、円筒ドラム4は閉塞部8に対して簡単に着脱可能で、円筒ドラム4の金網の網目のサイズを調整できる。処理部15の回転速度はギアモータの減速機能を利用して調整でき、上がり勾配の傾斜角度も空気バネ26の空気量を変更することで調整できる。後続の含水繊維系原料に押し出されるように先行の含水繊維系原料は円筒ドラム4の内周面の上がり勾配を登っていく。回転ドラム4は回転しているので、更に絡まっていく繊維どうしがねじる方向に力を受けて、金網6の網目から水切りされながら、繊維はおしぼりを絞ったかのように絡まって更に脱水されて棒状の塊に成長していく。濃縮度の度合いは、肉眼で観察しながら容易に調整できる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横向きの軸芯周りで回転可能に支持され、パンチングメタルに金網が内張りされて周面部が形成された交換可能な円筒ドラムと、前記円筒ドラムの軸方向一端面に着脱自在に取り付けられて前記一端面を閉塞して処理部を形成する閉塞部と、前記閉塞部の閉塞側の内面に突設された羽根板と、前記閉塞部に取り付けられて前記処理部を速度調整可能に回転させる回転手段と、前記円筒ドラムの軸方向他端側から内部に延びて前記羽根板に近接した位置に吐出口を有する原料投入パイプと、前記処理部を前記円筒ドラムの閉塞された軸方向一端面から開放された他端面に向かって上がり勾配と下がり勾配に変更可能に傾斜させる傾斜手段を備えることを特徴とする含水繊維系原料濃縮機。
【請求項2】
請求項1に記載した含水繊維系原料濃縮機において、
処理部はケースに収容されて、円筒ドラムの軸方向に沿って前記ケースの一端側が回動自在に支持され、他端側に上下動手段が取り付けられており、これらで傾斜手段が構成されていることを特徴とする含水繊維系原料濃縮機。
【請求項3】
請求項2に記載した含水繊維系原料濃縮機において、
上下動手段が上方に持ち上げる方向に付勢する空気バネで構成されており、前記空気バネの待機位置では、円筒ドラムは閉塞された軸方向一端面から開放された他端面に向かって下がり勾配になっていることを特徴とする含水繊維系原料濃縮機。
【請求項4】
請求項1に記載した含水繊維系原料濃縮機において、
周面に噴出穴が形成された洗浄水供給パイプが前記円筒ドラムの軸方向他端側から内部に延びてその先端部は回転する閉塞部の内面に対して相対的に摺動可能に支持されていることを特徴とする含水繊維系原料濃縮機。
【請求項5】
請求項4に記載した含水繊維系原料濃縮機において、
閉塞部の閉塞側の内面の中心には回転手段の部材が突起になって出ており、この突起に洗浄水供給パイプの先端部が摺動可能に外嵌されていることを特徴とする含水繊維系原料濃縮機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濃縮度合いをある程度まで均一化できる含水繊維系原料の濃縮機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の濃縮洗浄機は、横向きの軸芯周りで回転可能に支持された円筒ドラムの周面を構成するパンチングメタルに金網を内張りし、該円筒ドラムの軸方向一端は開放、他端は閉塞し、該閉塞した側の内面に羽根板を設けたものになっている。この濃縮洗浄機では、洗浄水の供給機能も備えており、洗浄紙料を該羽根板に衝突させると共に洗浄水に晒すことで洗浄させ、該金網を介して汚れた水分を排出することで濃縮する。
印刷紙等の各種古紙を再生する工程で脱墨処理された紙料に対して、この濃縮洗浄機を用いると、更に脱墨度合いを高め、100%近くまで上げることが可能になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2701140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、種々の繊維、例えばバガスやケナフやソルガム等の繊維を産業資材として利用しようとする動きが出てきているが、産業資材として利用するには、解繊して含水になったものを濃縮することが先ず必要になっており、その後に用途に合わせて希釈を含めて様々な処理を施すことになることから、ある程度均一な濃度で濃縮できると都合が良い。
しかしながら、特許文献1の濃縮洗浄機では、仕切板を設けて洗浄紙料を堰き止め、堰き止められた洗浄紙料が堆積されて乗り越えるまでの間で排水の効率化を図っており、洗浄紙料が間欠的に移送されることから、脱水による濃縮化は図れても、濃度にはバラつきが出る恐れがある。
【0005】
本発明は上記従来の問題点に着目して為されたものであり、特許文献1の濃縮洗浄機の単純な構成の利点を生かしつつ、最終的な脱墨処理だけでなく、有用な産業資材を作り出せるように、濃縮度合いをある程度まで均一化できる含水繊維系原料の濃縮機を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、試行錯誤の結果、仕切板を無くし、円筒ドラムの回転速度および傾斜角度と金網の網目のサイズを調整パラメータとし、含水繊維系原料を連続的に供給しながら処理する構成にすることで、含水繊維系原料の処理バランスが取れて、原料が恰も絞ったおしぼりのように棒状に連なりながら、円筒ドラムの内側の金網上を傾斜勾配に抗して登っていき、最終的に排出されること、この棒状に連なった状態で排出されることで、そのどの部位でも濃縮度合いが有る程度まで均一化されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、横向きの軸芯周りで回転可能に支持され、パンチングメタルに金網が内張りされて周面部が形成された交換可能な円筒ドラムと、前記円筒ドラムの軸方向一端面に着脱自在に取り付けられて前記一端面を閉塞して処理部を形成する閉塞部と、前記閉塞部の閉塞側の内面に突設された羽根板と、前記閉塞部に取り付けられて前記処理部を速度調整可能に回転させる回転手段と、前記円筒ドラムの軸方向他端側から内部に延びて前記羽根板に近接した位置に吐出口を有する原料投入パイプと、前記処理部を前記円筒ドラムの閉塞された軸方向一端面から開放された他端面に向かって上がり勾配と下がり勾配に変更可能に傾斜させる傾斜手段を備えることを特徴とする含水繊維系原料濃縮機である。
【0008】
好ましくは、処理部はケースに収容されて、円筒ドラムの軸方向に沿って前記ケースの一端側が回動自在に支持され、他端側に上下動手段が取り付けられており、これらで傾斜手段が構成されている。
より好ましくは、上下動手段が上方に持ち上げる方向に付勢する空気バネで構成されており、前記空気バネの待機位置では、円筒ドラムは閉塞された軸方向一端面から開放された他端面に向かって下がり勾配になっている。
【0009】
好ましくは、周面に噴出穴が形成された洗浄水供給パイプが前記円筒ドラムの軸方向他端側から内部に延びてその先端部は回転する閉塞部の内面に対して相対的に摺動可能に支持されている。
より好ましくは、閉塞部の閉塞側の内面の中心には回転手段の部材が突起になって出ており、この突起に洗浄水供給パイプの先端部が摺動可能に外嵌されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の含水繊維系原料濃縮機によれば、単純な構成の利点を生かしつつ、最終的な脱墨処理だけでなく、有用な産業資材を作り出せるように、濃縮度合いをある程度まで均一化できる。
また、洗浄機能を付加することで、印刷紙等の各種古紙を再利用する際に脱墨処理後に更に脱墨度合いを高めるのにも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態に係る含水繊維系原料濃縮機の斜視図である。
図2図1の含水繊維系原料濃縮機の正面図である。
図3図1の含水繊維系原料濃縮機の横断面図である。
図4図1の含水繊維系原料濃縮機が備える処理部の斜視図である。
図5図4の処理部を別方向から見た円筒ドラムと閉塞部の分解斜視図である。
図6図5の円筒ドラムと閉塞部の連結状態を示す正面図である。
図7図1の含水繊維系原料濃縮機のケースが排出口側が下がり勾配になった状態を示す。
図8図1の含水繊維系原料濃縮機のケースが排出口側が上がり勾配になった状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係る含水繊維系原料濃縮機1について、図面にしたがって詳細に説明する。
含水繊維系原料には、既に薬剤により脱墨処理された段階の紙料だけでなく、種々の繊維、例えばバガスやケナフやソルガム等の繊維を解繊した含水繊維系原料が含まれる。
【0013】
図1図3に示すように、含水繊維系原料濃縮機1では、架台2の上に横長の角形のケース3が載せられている。
図4図6で詳細に示すように、このケース3の内部には円筒ドラム4が収容されている。円筒ドラム4はケース3の横長方向に沿って軸芯が横向きになっている。この円筒ドラム4の周面部はパンチングメタル5に金網6が内張りされて形成されている。周面部を金網6だけで構成すると、円筒ドラム4の強度を維持することが難しかったため、上記の構成になっている。
円筒ドラム4の軸方向両端面は開放されており、一方の端面にはフランジ7が取り付けられている。このフランジ7は円環ブロック状になっており、軸方向に平行に貫通穴7aが形成されている。この貫通穴7aは複数周方向に一定の間隔をあけて形成されている。
【0014】
円筒ドラム4の一方の端面は閉塞部8で閉塞されるようになっている。この閉塞部8は円盤状になっており、閉塞側の内面は外周側を除いて鏡板9で構成されている。この鏡板9には羽根板10が突設されている。羽根板10は中心側から径方向外方に向かって延びており、複数の羽根板10、10、……が互いに周方向に一定の間隔をあけながら突設されて放射状をなしている。但し、羽根板10、10、……は鏡板9の中心部から少し離れた位置から外方に向かって延びている。
閉塞部8の外周側は連結部11になっており、そこには軸方向に平行に貫通穴11aが形成されている。この貫通穴11aは複数周方向に貫通穴7aと同じ間隔をあけて形成されている。
【0015】
フランジ7に連結部11を合わせ、円筒ドラム4側の周方向の向きを調整してそれぞれの貫通穴7a、7a、……と、貫通穴11a、11a、……を連通させ、ボルト12を挿通させてナット13で締めると、円筒ドラム4と閉塞部8が一体となり、円筒ドラム4の一方の端面が閉塞される。円筒ドラム4の軸方向一方の内面は鏡板9で構成され、円筒ドラム4の内部に向かって羽根板10、10、……が突出した状態になる。
なお、フランジ7と連結部11を直接接合させずに、フランジ7と閉塞部8の間にOリングを配置する箇所を設け、Oリングを介して液密に封止する構成にすることも可能である。
【0016】
円筒ドラム4はケース3の内部で、コロ14、14により横向きの軸芯周りで回転可能に支持されている。円筒ドラム4と閉塞部8が上記したように一体化されて処理部15が構成されており、この処理部15が横向きの軸芯周りで回転可能になっている。
架台2には、ケース3の長手方向一方側の外側に回転手段として減速機付きギアモータ16が搭載されており、このギアモータ16の駆動軸はカップリング17を介して回転軸16aと連結され、更に回転軸16aはベアリング18を介してケース3内に入り込み、その先端側は閉塞部8に固定部材19を利用して連結されている。従って、ギアモータ16の駆動により、処理部15を構成する閉塞部8と円筒ドラム4が一体となって軸芯周りで回転する。
【0017】
ケース3の内部には、ギアモータ16の搭載側とは反対側から、洗浄水供給パイプ20と原料投入パイプ21が入り込んでいる。これらのパイプ20、21は、円筒ドラム4の開放端面から円筒ドラム4の内部に入り込んでおり、円筒ドラム4の内部では軸方向に平行に延びている。
洗浄水供給パイプ20は軸方向中心方向に長く延びている。上記した固定部材19は軸方向中心方向に突出しており、軸方向に垂直な断面が円形になっている。この固定部材19に洗浄水供給パイプ20が滑りを可能とする樹脂リングを介して外嵌されている。
【0018】
洗浄水供給パイプ20は水の圧送に絶えられるよう高強度の材料で構成されており、その分だけ重くなっているが、その先端部が固定部材19で持ち上げ支持されているので、円筒ドラム4内で垂れ下がらずに、横方向に延びた姿勢が維持されている。なお、固形部材19は軸芯周りに回転するが、洗浄水供給パイプ20は滑るのでその動きに引き摺られず、固定部材19が洗浄水供給パイプ20に対して相対的に摺動する。
洗浄水供給パイプ20の下側の周面には複数の噴出穴20a、20a、……が一列に一定の間隔をあけて形成されている。この噴出穴20aから下方に向かって水が噴出される。
【0019】
原料投入パイプ21は洗浄水供給パイプ20よりも周方向に変位した位置で延びており、その先端は開口して吐出口21aになっている。
この吐出口21aは鏡板9側を向いており、羽根板10の突設端に近接しているが交差はしない。鏡板9は回転するので、羽根板10、10、……も動き、羽根板10、10、……が順次吐出口21aの近傍を通過することになる。
円筒ドラム4の開放端面とケース3の端面の間では、ケース3の周面部を開けて排出口22が設けられている。
【0020】
内部に収容された処理部15と共に、ケース3の全体を傾斜手段を用いて傾斜させることができる。
この傾斜手段を、図7図8のデフォルメしたイメージ図に従って説明する。
架台2の上に支点23が取付けられており、そこにケース3の長手方向一端側が回動自在に支持されている。また、架台2の上に支点23とは離して受け台24が固定されている。この受け台24の上面は傾斜上面24aになっており、支点23から離れるほど下がっている。ケース3には載置部25が固定されており、この載置部25の下面も傾斜上面24aと同じ方向に傾斜した傾斜下面25aになっている。ケース3の軸方向他端側がこの傾斜上面24aが傾斜下面25aに当接した状態で持ち上げ支持されると、ケース3は内部に収容された円筒ドラム4が開放端面側が下がった下がり勾配になる。
【0021】
一方、受け台24の近傍には、空気バネ26も設けられており、この空気バネ26に空気が入れられて待機位置から上方に伸長すると、ケース3の軸方向他端側はこの空気バネ26で持ち上げ支持される。この場合には、傾斜上面24aが傾斜下面25aから離間する。この状態では、ケース3は内部に収容された円筒ドラム4が開放端面側が上がった上がり勾配になる。
【0022】
ケース3に収容された処理部15との位置関係では、閉塞部8側に支点23が配置され、円筒ドラム4の開放端面側に空気バネ26が配置されているので、開放端面側が上下の位置関係が大きく変わることになる。
なお、ギアモータ16の駆動軸に対してカップリング17を介して連結軸16aが回動可能に連結されているので、上記したケース3の回動に追従して連結軸16aも回動できる。
濃縮処理中は上がり勾配に設定され、後述の清掃中は下がり勾配に設定される。傾斜範囲は±5°程度の範囲が想定されている。
【0023】
含水繊維系原料濃縮機1は上記のように構成されており、円筒ドラム4は閉塞部8に対して簡単に着脱できることから、金網6の網目を違えたものを複数用意しておき、処理部15を構成する円筒ドラム4を交換すれば、金網6の網目のサイズを変更できる。すなわち、調整パラメータの1つとして利用できる。
また、処理部15の回転速度はギアモータ16の減速機能とギアモータのインバータ駆動による周波数調整を利用して調整でき、上がり勾配の傾斜角度も空気バネ26の空気量を変更することで調整できるので、これらも調整パラメータとして利用できる。
【0024】
含水繊維系原料濃縮機1では、回転している円筒ドラム4内に、原料投入パイプ21から含水繊維系原料を投入されると、吐出口21aから鏡板9に向かって吐出されて、鏡板9に衝突すると共に羽根板10により揉まれて脱水されると共に繊維どうしが絡まり始める。
【0025】
含水繊維系原料は連続的に吐出されていくので、後続の含水繊維系原料に押し出されるように先行の含水繊維系原料は円筒ドラム4の内周面の上がり勾配を登っていくことになる。回転ドラム4は回転しているので、更に絡まっていく繊維どうしがねじる方向に力を受けて、金網6の網目から水切りされながら、繊維はおしぼりを絞ったかのように絡まって棒状の塊に成長していく。この棒状の塊は円筒ドラム4の開放端面に到達したものから落下して、排出口22からケース3外に排出される。
【0026】
棒状の塊の成長度合い、すなわち濃縮の進行度合いは、金網6の網目のサイズと円筒ドラム4の上がり勾配の傾斜角度と円筒ドラム4の回転速度を調整パラメータとすれば肉眼で観察しながら調整することが容易になっている。
網目が大きくなれば水切りが良くなり、上がり勾配が急になるほど円筒ドラム4内での登りに時間が掛かり、回転速度が速くなるほど捩じられ易くなる。これらの傾向を考慮して調整することになる。
結果として、排出された段階では、そのどの部位でも濃縮度合いがある程度まで均一化できる。
【0027】
この含水繊維系原料濃縮機1では、洗浄水供給パイプ20を利用した洗浄機能も備えており、噴出穴20a、20a、……から水を噴出される。
繊維は揉まれているので、古紙の再生用に通常の脱墨処理後にこの含水繊維系原料濃縮機1にかけると、繊維間のインキや薬品などが揉みほぐされ分離しやすい状態となり、上記の調整パラメータのバランスを取ることで、100%に近い脱墨効果を実現できる。
【0028】
このように、含水繊維系原料濃縮機1は単純な構成ながら、比較的容易にその原料に対応して濃縮度合いをある程度まで均一化できる。
また、円筒ドラム4を開放端面側が下がる下がり勾配にすることで、円筒ドラム4の内部に滞留してしまったものを滑落させて取り除くことができる。洗浄機能を備えた場合には、洗浄水の衝撃により金網6に引っ掛かったものを剥ぎ取ったり、洗浄水の圧力を滑落方向に変えて滑落し易くできる。従って、円筒ドラム4の清掃が楽になっている。
【0029】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、具体的構成は、この実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計の変更などがあっても発明に含まれる。
例えば、円筒ドラム4の外側に円筒ドラム4の軸方向に平行に移動可能なシャワーを設け、外側から移動しながら高圧水を噴射することで、金網6の網目に引っ掛かった繊維を剥ぎ落とすようにしてもよい。
【0030】
また、円筒ドラム4のフランジ7の内周面に径方向中心に向かって低く立ち上がったすくい板を周方向に一定の間隔をあけて設けてもよい。フランジ7の周面を構成する部位は金網にはできないが、このようにすくい板を設けておけば、円筒ドラム4の回転によりそこに落ちていた原料がすくい上げられるので、金網6側により容易にもっていくことができる。
【符号の説明】
【0031】
1…含水繊維系原料濃縮機
2…架台 3…ケース 4…円筒ドラム
5…パンチングメタル 6…金網 7…フランジ
7a…貫通穴 8…閉塞部 9…鏡板
10…羽根板 11…連結部 11a…貫通穴
12…ボルト 13…ナット 14…コロ
15…処理部 16…ギアモータ 16a…回転軸
17…カップリング 18…ベアリング 19…固定部材
20…洗浄水供給パイプ 20a…噴出穴 21…原料投入パイプ
21a…吐出口 22…排出口 23…支点
24…受け台 24a…傾斜上面 25…載置部
25a…傾斜下面 26…空気バネ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8