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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005924
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 37/10 20060101AFI20240110BHJP
   D06F 37/28 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
D06F37/10
D06F37/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022106399
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137486
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 雅直
(74)【代理人】
【識別番号】100129377
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 耕司
(72)【発明者】
【氏名】山本 正和
(72)【発明者】
【氏名】藤原 正宏
【テーマコード(参考)】
3B165
【Fターム(参考)】
3B165AA24
3B165AE02
3B165BA12
3B165BA88
3B165CA01
3B165CA17
3B165CB32
3B165GA12
(57)【要約】
【課題】開閉扉が最大開度まで大きく開かれた場合に開閉扉が壁面に衝突するのを抑制し、且つ、乾燥機の設置箇所の自由度を大きくする。
【解決手段】本発明に係る乾燥機は、衣類投入口が形成される筐体と、衣類投入口の周辺部にある回転軸の周りを回動して、衣類投入口を開閉可能に設けられる開閉扉と、開閉扉が回転軸の周りを回動して所定最大開度を超えて開かないように規制する開度規制部材とを備え、所定最大開度は、110度以下の角度に設定される。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類投入口が形成される筐体と、
前記衣類投入口の周辺部にある回転軸の周りを回動して、前記衣類投入口を開閉可能に設けられる開閉扉と、
前記開閉扉が前記回転軸の周りを回動して所定最大開度を超えて開かないように規制する開度規制部材とを備え、
前記所定最大開度は、110度以下の角度に設定されることを特徴とする乾燥機。
【請求項2】
前記開度規制部材は、前記筐体に設けられ、前記所定最大開度まで開かれた前記開閉扉と接触することを特徴とする請求項1に記載の乾燥機。
【請求項3】
前記開度規制部材は、前記筐体に対する向きを変えることにより前記所定最大開度を段階的に変更可能であることを特徴とする請求項2に記載の乾燥機。
【請求項4】
前記開度規制部材は、前記筐体に対して相対的に回転することにより前記所定最大開度を変更可能であることを特徴とする請求項3に記載の乾燥機。
【請求項5】
前記開度規制部材は、前記開閉扉に設けられ、前記開閉扉が前記所定最大開度まで開かれた場合に、前記筐体または前記筐体に取り付けられた部材と接触することを特徴とする請求項1に記載の乾燥機。
【請求項6】
前記筐体を正面から見たときに、前記所定最大開度まで開かれた前記開閉扉は、前記筐体の範囲内に配置されることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載の乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばコインランドリ店舗に設置される乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機としては、ドラムを収容する筐体を有しており、衣類などをドラム内に出し入れするための開閉扉が取り付けられるものが一般的である。その乾燥機において、開閉扉は、ヒンジ機構などによって回動するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-16513
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の乾燥機では、開閉扉を開けた後、衣類をドラム内に出し入れする際の作業性を向上させるために、開閉扉が極力大きく回動して開くように構成される。しかしながら、例えば乾燥機の右側面を壁面に近接して設置する場合、開閉扉が壁面に近づく方向に大きく開かれると、開閉扉が壁面に衝突して壁面が損傷する可能性がある。
【0005】
そのため、開閉扉が壁面に近づく方向に大きく開かれても開閉扉が壁面に衝突しないように、乾燥機を壁面から十分に離して設置する必要があり、乾燥機の設置箇所の自由度が小さくなる問題がある。
【0006】
このように、従来の乾燥機では、乾燥機の設置箇所の自由度を考慮しないで、開閉扉が極力大きく開かれる構成が採用されており、開閉扉の最大開度を小さく規制する技術思想は存在しなかった。
【0007】
そこで、本発明は、開閉扉が最大開度まで大きく開かれた場合に、開閉扉が壁面に衝突するのを抑制し且つ乾燥機の設置箇所の自由度を大きくすることができる乾燥機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る乾燥機は、衣類投入口が形成される筐体と、前記衣類投入口の周辺部にある回転軸の周りを回動して、前記衣類投入口を開閉可能に設けられる開閉扉と、前記開閉扉が前記回転軸の周りを回動して所定最大開度を超えて開かないように規制する開度規制部材とを備え、前記所定最大開度は、110度以下の角度に設定されることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る乾燥機において、前記開度規制部材は、前記筐体に設けられ、前記所定最大開度まで開かれた前記開閉扉と接触することが好適である。
【0010】
本発明に係る乾燥機において、前記開度規制部材は、前記筐体に対する向きを変えることにより前記所定最大開度を段階的に変更可能であることが好適である。
【0011】
本発明に係る乾燥機において、前記開度規制部材は、前記筐体に対して相対的に回転することにより前記所定最大開度を変更可能であることが好適である。
【0012】
本発明に係る乾燥機において、前記開度規制部材は、前記開閉扉に設けられ、前記開閉扉が前記所定最大開度まで開かれた場合に、前記筐体または前記筐体に取り付けられた部材と接触することが好適である。
【0013】
本発明に係る乾燥機において、前記筐体を正面から見たときに、前記所定最大開度まで開かれた前記開閉扉は、前記筐体の範囲内に配置されることが好適である。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る乾燥機では、開閉扉が所定最大開度まで大きく開かれた場合でも、開閉扉における筐体の側面よりも外側に配置される部分が無いまたは小さいため、乾燥機を壁面に比較的近い位置に設置することができる。よって、開閉扉が最大開度まで大きく開かれた場合に開閉扉が壁面に衝突するのを抑制し、且つ、乾燥機の設置箇所の自由度を大きくすることができる。
【0015】
本発明に係る乾燥機では、開閉扉が所定最大開度まで大きく開かれた場合に、筐体に設けられた開度規制部材が開閉扉と接触することで、開閉扉が所定最大開度を超えて開かないように確実に規制することができる。
【0016】
本発明に係る乾燥機では、筐体に対する開度規制部材の向きを変えることにより所定最大開度を段階的に変更することができる。
【0017】
本発明に係る乾燥機では、開度規制部材を筐体に対して相対的に回転させることにより所定最大開度を容易に変更することができる。
【0018】
本発明に係る乾燥機では、開閉扉が所定最大開度まで大きく開かれた場合に、開閉扉に設けられた開度規制部材が筐体または筐体に取り付けられた部材と接触することで、開閉扉が所定最大開度を超えて開かないように確実に規制することができる。
【0019】
本発明に係る乾燥機では、筐体を正面から見たときに、所定最大開度まで開かれた開閉扉が筐体の範囲内に配置されるため、開閉扉が所定最大開度まで大きく開かれた場合に、開閉扉における筐体の側面よりも外側に配置される部分が無い。よって、乾燥機を壁面の近くに設置した場合でも、開閉扉が壁面に衝突して壁面が損傷するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態の乾燥機1の斜視図である。
図2図1の乾燥機1の部分拡大斜視図である。
図3図1の乾燥機1の筐体2の前面10に取り付けられた取付部材30の構成を説明する部分拡大斜視図である。
図4図1の乾燥機1のドア12を開いた状態を示す斜視図である。
図5図4のドア12を開いた状態の乾燥機1の筐体2の前面10の部分拡大斜視図である。
図6図4のドア12を開いた状態の乾燥機1の部分的な拡大水平断面図である。
図7】ドア開度規制ユニット50を説明する斜視図である。
図8】ドア開度規制ユニット50を取り付ける方法を説明する図である。
図9】ドア開度規制ユニット50に含まれる開度規制部材53の構成を説明する図である。
図10図10(a)は、開度規制部材53の第1規制面53Taがドア12側に配置される第1規制状態を示す断面図であり、図10(b)は、開度規制部材53の第2規制面53Tbがドア12側に配置される第2規制状態を示す断面図である。
図11】第1規制状態においてドア12が最大開度θ(α1)まで開かれた状態を示す部分的な拡大水平断面図である。
図12】第1規制状態においてドア12が最大開度θ(α1)まで開かれた状態を示す正面図である。
図13】壁面近くに設置した乾燥機1のドア12が最大開度θ(α1)まで開かれた状態を示す平面図である。
図14】第2規制状態においてドア12が最大開度θ(α2)まで開かれた状態を示す部分的な拡大水平断面図である。
図15】第2規制状態においてドア12が最大開度θ(α2)まで開かれた状態を示す正面図である。
図16】壁面近くに設置した乾燥機1のドア12が最大開度θ(α2)まで開かれた状態を示す斜視図である。
図17】壁面近くに設置した乾燥機1のドア12が最大開度θ(α2)まで開かれた状態を示す平面図である。
図18】本発明の第2実施形態の乾燥機101の部分拡大斜視図である。
図19図18の乾燥機101の筐体2の前面10の部分拡大斜視図である。
図20図18の乾燥機101においてドア12が最大開度θ(α3)まで開かれた状態を示す部分拡大斜視図である。
図21図20の乾燥機101においてドア12が最大開度θ(α3)まで開かれた状態を示す部分的な拡大水平断面図である。
図22図18の乾燥機101のドア12が最大開度θ(α3)まで開かれた状態を示す正面図である。
図23】本発明の第1実施形態の変形例の乾燥機1の開度規制部材253の構成を説明する図である。
図24】本発明の第1実施形態の変形例の乾燥機1においてドア12が最大開度θ(α5)まで開かれた状態を示す部分的な拡大水平断面図である。
図25】本発明の第1実施形態の変形例の乾燥機1のドア12が最大開度θ(α5)まで開かれた状態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る乾燥機1について、図面を参照して説明する。
【0022】
本実施形態の乾燥機1は、例えばコインランドリ店舗で使用されるものであり、衣類の乾燥運転が実施されるものである。乾燥機1は、図1に示すように、箱形状の筐体2を有し、筐体2の内部には、衣類を収容するための略円筒形状の内周面を有するドラム3が配置される。ドラム3の前端には、開口部(図示省略)が形成され、水平軸を回転軸として回転可能である。
【0023】
筐体2の前面10には、ドラム3の前端に形成された開口部と対向する円形の衣類投入口11が形成される。筐体2の前面10には、衣類投入口11を開閉するドア12が設けられる。乾燥機1では、ドア12が開放されることにより、ドラム3内に対して衣類(洗濯物)の出し入れが可能となっている。
【0024】
ドア12は、衣類投入口11よりも大きい円形の部材を含んでおり、衣類投入口11の全体を覆うことができる。ドア12は、その一部として、筐体2の右側面に近接して配置される上下方向に延びる板状の支持板5を有している。支持板5の端部5aの上下両端部は、図2に示すように、筐体2の前面に取り付けられた2つの取付部材30に回転軸Aの周りを回動可能に支持される。
【0025】
具体的には、図3に示すように、支持板5の上下両端部にそれぞれ形成される上下方向に延びる係止片(図示省略)が、取付部材30の突出部31に上下方向に延びるように形成される係止穴部(図示省略)に回転可能にそれぞれ挿入される。そのため、支持板5は、その端部5aを回転軸Aとして筐体2に対して回動する。
【0026】
取付部材30は、突出部31の右側に形成される傾斜部32を有している。傾斜部32の前面は、突出部31から右方向に離れるにつれて前方に配置されるように傾斜する傾斜面32aとなっている。傾斜部32には、ボルト穴33aが形成され、取付部材30は、ボルト穴33aに挿入されるボルト33により、筐体2の前面10に対して取り付けられる。
【0027】
また、傾斜部32には、ボルト穴33aの下方に設けられる傷防止キャップ34が設けられる。傷防止キャップ34は、例えばゴム製の部材であり、取付部材30の一部を構成する。傷防止キャップ34は、傾斜面32aよりも前方に向かって突出している。そのため、図4に示すように、ドア12が大きく開かれて、支持板5が取付部材30の傾斜面32a近傍まで移動した場合に、図5および図6に示すように、支持板5が傷防止キャップ34と接触することで、支持板5の回動方向の衝撃が傷防止キャップ34により吸収される。
【0028】
なお、図6に示すように、ドア12の支持板5が傷防止キャップ34と接触するまで大きく開かれた場合のドア12の最大開度θは、約158度である。本実施形態において、ドア12の開度とは、ドア12が閉じられた状態から開かれた際の回転軸Aの周りを回動された角度である。ドア12が閉じられた状態のドア12の開度は、0である。
【0029】
傷防止キャップ34は、図6に示すように、その裏面から突出する突出部34nを有している。突出部34nが傾斜面32aに形成される取付穴34aに嵌められることにより、傷防止キャップ34は、取付部材30に取り付けられる。傷防止キャップ34は、取付部材30に対して着脱可能に構成される。
【0030】
なお、図5には、支持板5の上部に形成される係止片が取付部材30の突出部31に形成される係止穴部に回転可能に挿入される状態を図示したが、支持板5の下部に形成される係止片も同様に、取付部材30の突出部31に形成される係止穴部に回転可能に挿入される。支持板5の下部を支持する取付部材30は、衣類投入口11の上下方向中央部に対して、支持板5の上部を支持する取付部材30と対称に設けられる。
【0031】
そのため、取付部材30において、ボルト33が挿入されるボルト穴33aと、傷防止キャップ34が取り付けられる取付穴34aとの上下方向の配置が反対である。具体的には、支持板5の下部を支持する取付部材30では、ボルト33が挿入されるボルト穴33aが傾斜部32の下端側に形成され、傷防止キャップ34が取り付けられる取付穴34aがボルト穴33aの上方に形成される。
【0032】
本実施形態の乾燥機1では、ドア開度規制ユニット50が筐体2の前面10に対して着脱可能に構成される。そのため、従来の乾燥機(例えばドア12の最大開度θが図6に示すように約158度である乾燥機)に対してドア開度規制ユニット50を取り付けることにより、本発明に係る乾燥機1に変えることができる。ドア開度規制ユニット50は、図7(a)及び図7(b)に示すように、上下方向に沿って延びる保持部材51と、保持部材51に形成される2つの保持穴52に対して装着される2つの開度規制部材53と、保持部材51に形成される2つのネジ穴54を介して保持部材51を取り付けるための2つの取付ボルト55とを有している。
【0033】
ドア開度規制ユニット50が乾燥機1の筐体2の前面10に取り付けられる場合、まず、筐体2の前面10に取り付けられた2つの取付部材30から傷防止キャップ34がそれぞれ取り外される。すると、図8(a)に示すように、2つの取付部材30に形成された取付穴34aが見える状態となる。その状態において、ドア開度規制ユニット50の保持部材51の上下両端部に形成される2つのネジ穴54が2つの取付穴34aと一致するように配置されて、図8(b)に示すように、取付ボルト55により2つの取付部材30に対して取り付けられる。すると、筐体2の前面10に取り付けられた2つの取付部材30の間に、2つの開度規制部材53が配置されるようになる。
【0034】
本実施形態において、ドア開度規制ユニット50の保持部材51の上下両端部に形成される2つのネジ穴54間の距離は、筐体2の前面10に取り付けられた2つの取付部材30の2つの取付穴34aの距離と略同一である。このように、従来の乾燥機の筐体2の前面10に取り付けられ2つの取付部材30において、傷防止キャップ34を取り外して、傷防止キャップ34が取り付けられていた取付穴34aを使って、ドア開度規制ユニット50が取り付けられる。
【0035】
開度規制部材53は、図9(a)および図9(b)に示すように、保持部材51に形成される保持穴52に対して装着されたときに、保持穴52内に嵌め込まれる嵌挿部53nと、保持部材51の表面から突出する突出部53Tとを有している。突出部53Tは、略直方体形状を有しており、その底面53Tnが保持部材51の表面と接触している。底面53Tnは、縦長の略長方形状であり、その短辺の幅が保持部材51の幅と略同一である。底面53Tnの2つの長辺は、保持部材51の長手方向に沿って配置される。
【0036】
突出部53Tは、底面53Tnと交差する第1規制面53Taおよび第2規制面53Tbを有している。図9(a)および図9(b)に示す状態では、第1規制面53Taがドア12側に配置されており、第2規制面53Tbがドア12から離れた側(筐体2の前面10の右端側)に配置される。
【0037】
図9(b)において、第1規制面53Taと底面53Tnを延長した面との間の角度は、α1である。これに対して、第2規制面53Tbと底面53Tnを延長した面との間の角度は、α2である。なお、α1は、α2よりも大きい。
【0038】
ドア開度規制ユニット50において、保持部材51に形成される2つの保持穴52は、略円形状であり、保持穴52内に嵌め込まれる嵌挿部53nは、略円柱形状であるため、開度規制部材53が保持部材51に対して回転可能に構成される。
【0039】
そのため、本実施形態では、図10(a)に示すように開度規制部材53の第1規制面53Taがドア12側に配置される第1規制状態と、図10(b)に示すように開度規制部材53の第2規制面53Tbがドア12側に配置される第2規制状態とをとり得る。第1規制状態から180度回転させると第2規制状態となり、第2規制状態から180度回転させると第1規制状態となる。
【0040】
本実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53が第1規制状態である場合に、ドア12が大きく開かれると、図11に示すように、支持板5が開度規制部材53の第1規制面53Taと接触するまで移動するため、ドア12の最大開度は、θ(α1)に規制される。なお、本実施形態において、開度規制部材53が第1規制状態である場合のドア12の最大開度θ(α1)は、110度以下であり、約100度である。
【0041】
本実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53が第1規制状態である場合に、ドア12が最大開度θ(α1)まで大きく開かれたときに、乾燥機1を正面から見ると、図12に示すように、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分の長さは、N1である。このように、ドア12が最大開度θ(α1)まで大きく開かれたときに、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分の長さは、従来の乾燥機と比べて短い。
【0042】
そのため、図13に示すように、乾燥機1の右側面が例えば壁面から100mm離れて設置された場合、ドア12が最大開度θ(α1)まで開かれると、ドア12の一部が、筐体2の右側面よりも外側に配置されるが、ドア12の先端と壁面との間には隙間が形成される。そのため、乾燥機1において、ドア12が最大開度θ(α1)まで開かれたとしても、ドア12が壁面と衝突しない。
【0043】
本実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53が第2規制状態である場合に、ドア12が大きく開かれると、図14に示すように、支持板5が開度規制部材53の第2規制面53Tbと接触するまで移動するため、ドア12の最大開度は、θ(α2)に規制される。なお、本実施形態において、開度規制部材53が第2規制状態である場合のドア12の最大開度θ(α2)は、110度以下であり、約95度である。
【0044】
本実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53が第2規制状態である場合に、ドア12が最大開度θ(α2)まで大きく開かれたときに、乾燥機1を正面から見ると、図15に示すように、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分の長さは、N2である。
【0045】
開度規制部材53が第2規制状態である場合の長さN2は、開度規制部材53が第1規制状態である場合の長さN1よりも小さい。このように、ドア12が最大開度θ(α2)まで大きく開かれたときに、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分の長さは、従来の乾燥機と比べて短い。
【0046】
そのため、図16及び図17に示すように、乾燥機1の右側面が例えば壁面から50mm離れて設置された場合、ドア12が最大開度θ(α2)まで開かれると、ドア12の一部が、筐体2の右側面よりも外側に配置されるが、ドア12の先端と壁面との間には隙間が形成される。そのため、乾燥機1において、ドア12が最大開度θ(α2)まで開かれたとしても、ドア12が壁面と衝突しない。
【0047】
以上説明したように本実施形態の乾燥機1は、衣類投入口11が形成される筐体2と、衣類投入口11の周辺部にある回転軸Aの周りを回動して、衣類投入口11を開閉可能に設けられるドア12と、ドア12が回転軸Aの周りを回動して最大開度θ(α1)またはθ(α2)を超えて開かないように規制する開度規制部材53とを備え、最大開度θ(α1),θ(α2)は、110度以下の角度に設定される。
【0048】
これにより、ドア12が最大開度θ(α1),θ(α2)まで大きく開かれた場合でも、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分が小さいため、乾燥機1を壁面に比較的近い位置に設置することができる。よって、ドア12が最大開度まで大きく開かれた場合にドア12が壁面に衝突するのを抑制し、且つ、乾燥機1の設置箇所の自由度を大きくすることができる。
【0049】
本実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53は、筐体2に設けられ、所定最大開度まで開かれたドア12と接触する。
【0050】
これにより、ドア12が最大開度θ(α2)まで大きく開かれた場合に、筐体2に設けられた開度規制部材53がドア12と接触することで、ドア12が最大開度θ(α2)を超えて開かないように確実に規制することができる。
【0051】
本実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53は、筐体2に対する向きを変えることによりドア12の最大開度を段階的に変更可能である。
【0052】
これにより、筐体2に対する開度規制部材53の向きを変えることにより所定最大開度を段階的に変更することができる。
【0053】
本実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53は、筐体2に対して相対的に回転することによりドア12の最大開度を変更可能である。
【0054】
これにより、開度規制部材53を筐体2に対して相対的に回転させることによりドア12の最大開度を容易に変更することができる。
【0055】
(第2実施形態)
本実施形態の乾燥機101が、第1実施形態の乾燥機1と大きく異なる点は、第1実施形態の開度規制部材53が筐体2の前面10に設けられるのに対して、本実施形態の乾燥機101の開度規制部材153がドア12の一部である支持板5に設けられる点である。なお、本実施形態の乾燥機101の他の構成は、第1実施形態の乾燥機1と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
【0056】
本実施形態の乾燥機101は、図18に示すように、筐体2を有しており、筐体2の前面10には、ドラム3の前端に形成された開口部と対向する円形の衣類投入口11が形成される。筐体2の前面10には、衣類投入口11を開閉するドア12が設けられている。
【0057】
乾燥機101では、開度規制部材153がドア12の支持板5の表面に設けられている。開度規制部材153は、例えばステンレス製であり、支持板5の端部5aの下端部近傍に取り付けられている。そのため、従来の乾燥機(例えばドア12の最大開度θが図6に示すように約158度である乾燥機)に対して開度規制部材153を取り付けることにより、本発明に係る乾燥機101に変えることができる。
【0058】
開度規制部材153は、図19に示すように、支持板5の表面に沿って配置される板状の取付部153aと、取付部153aの右端部153a(支持板5の端部5aに近接する側の端部)から延在する傾斜部153bと、傾斜部153bの先端部153bにおいて折り曲げられた折り曲げ部153cとを有している。取付部153a、傾斜部153bおよび折り曲げ部153cの上下方向幅は、何れも略同一であり、筐体2の前面10に取り付けられた取付部材30の上下方向幅と略同一である。
【0059】
取付部153aは、3つのボルト153nにより支持板5の表面に取り付けられる。取付部153aは、筐体2の前面10に取り付けられた取付部材30と略同一高さに配置される。
【0060】
傾斜部153bは、取付部153aの端部153aから右方に離れるにつれて支持板5の表面から離れるように傾斜する。傾斜部153bの先端部153bは、支持板5の端部5aと略平行に配置される。
【0061】
折り曲げ部153cは、傾斜部153bの先端部153bから支持板5の端部5aに向かう方向に延びており、その外側面は、上下方向に沿って延びる。
【0062】
本実施形態の乾燥機101において、ドア12が開かれると、支持板5が回転軸Aの周りを回動するのにつれて、開度規制部材153の折り曲げ部153cが、筐体2の前面10に取り付けられた取付部材30の傾斜面32aに近づいていく。その後、ドア12が最大開度まで開かれると、図20に示すように、開度規制部材153の折り曲げ部153cが取付部材30の傾斜面32aに設けられた傷防止キャップ34と接触する。
【0063】
このように、ドア12が大きく開かれると、ドア12の支持板5に取り付けられた開度規制部材153が、筐体2の前面10に取り付けられた取付部材30の傷防止キャップ34と接触するまで移動するため、図21に示すように、ドア12の最大開度は、θ(α3)に規制される。なお、本実施形態において、ドア12の最大開度θ(α3)は、110°以下であり、約90度である。
【0064】
本実施形態の乾燥機101において、ドア12が最大開度θ(α3)まで大きく開かれたときに、乾燥機101を正面から見ると、図22に示すように、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分の長さは、N3である。
【0065】
本実施形態の乾燥機101における長さN3は、第1実施形態の開度規制部材53が第2規制状態である場合の長さN2よりも小さい。このように、ドア12が最大開度θ(α3)まで大きく開かれたときに、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分の長さは、従来の乾燥機と比べて短い。
【0066】
本実施形態の乾燥機101では、第1実施形態の乾燥機1と同様の効果が得られる。
【0067】
本実施形態の乾燥機101において、開度規制手段153は、ドア12に設けられ、ドア12が最大開度θ(α3)まで開かれた場合に、筐体2の前面10に取り付けられた取付部材30の傷防止キャップ34と接触する。その場合、ドア12が最大開度θ(α3)を超えて開かないように確実に規制することができる。
【0068】
以上、本発明の実施形態について説明したが、各部の具体的な構成は上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0069】
例えば上記第1実施形態では、第1規制状態においてドア12の最大開度θ(α1)が、約100度であり、第2規制状態においてドア12の最大開度θ(α2)が、約95度であるが、それに限られない。ドア12の最大開度が、110°以下であれば、ドア12の最大開度θ(α1),θ(α2)は、任意に変更できる。
【0070】
例えば、開度規制部材53の第2規制面53Tbと底面53Tnを延長した面との間の角度を変えることにより、ドア12の最大開度θ(α1)または最大開度θ(α2)を変更することができる。開度規制部材53の形状は、任意である。例えば、開度規制部材53は、3つ以上の規制面を有し、それら何れかの規制面がドア12側に配置することにより、ドア12の最大開度を段階的に変更してもよい。
【0071】
また、上記第2実施形態では、ドア12の最大開度θ(α3)が、約90度であるが、それに限られない。ドア12の最大開度が、110°以下であれば、ドア12の最大開度θ(α3)は、任意に変更できる。
【0072】
例えば、開度規制部材153の取付部153aに対する折り曲げ部153cの向き、配置を変えることにより、ドア12の最大開度θ(α3)を変更することができる。開度規制部材153の形状は、任意である。
【0073】
上記第1実施形態において、ドア12が最大開度θ(α1)または最大開度θ(α2)まで大きく開かれた場合に、筐体2に設けられた開度規制部材53がドア12と接触すれば、開度規制部材53の配置、数、材質は、任意である。
【0074】
上記第2実施形態において、ドア12が最大開度θ(α3)まで大きく開かれた場合に、ドア12に取り付けられた開度規制部材153が筐体2の前面10に取り付けられた取付部材30と接触すれば、開度規制部材153の配置、数、材質は、任意である。例えば、2つの開度規制部材153を支持板5の端部5aの上端部近傍及び下端部近傍のそれぞれに取り付けられてもよい。
【0075】
上記第1及び第2実施形態では、ドア12が筐体2の右側面近傍にある回転軸Aの周りを回動して開かれるが、それに限られない。本発明に係る乾燥機1は、ドア12が筐体2の左側面近傍にある回転軸Aの周りを回動して開かれるものでもよい。
【0076】
上記第1及び第2実施形態では、ドア12が最大開度θ(α1),θ(α2),θ(α3)まで大きく開かれた場合に、ドア12の一部が、筐体2の右側面よりも外側に配置されるが、それに限られない。
【0077】
例えば、第1実施形態の乾燥機1において、開度規制部材53の代わりに、図23に示す開度規制部材253を使用してもよい。開度規制部材253の突出部253Tは、底面253Tnと交差する規制面253Tを有し、規制面253Taと底面253Tnを延長した面との間の角度は、α5である。このように、規制面253Taと底面253Tnを延長した面との間の角度は、第1実施形態の乾燥機1において開度規制部材53が第2規制状態のときの第2規制面53Tbと底面53Tnを延長した面との間の角度α2よりも小さくてもよい。
【0078】
そのとき、規制面253Tをドア12側に配置した場合に、ドア12が大きく開かれると、図24に示すように、支持板5が開度規制部材253の規制面253Taと接触するまで移動するため、ドア12の最大開度は、θ(α5)に規制される。なお、本変形例において、開度規制部材253の規制面253Taがドア12側に配置される場合のドア12の最大開度θ(α5)は、110度以下であり、約87度である。そのとき、最大開度θ(α5)まで開かれたドア12全体は、筐体2の右側面よりも内側に配置される。また、ドア12が最大開度θ(α5)まで開かれた乾燥機1を正面から見た場合、最大開度θ(α5)まで開かれたドア12全体は、図25に示すように、筐体2の範囲内に配置される。
【0079】
このように、本変形例の乾燥機1において、筐体2を正面から見たときに、最大開度θ(α5)まで開かれたドア12は、筐体2の範囲内に配置される。これにより、ドア12が最大開度θ(α5)まで大きく開かれた場合に、ドア12における筐体2の右側面よりも外側に配置される部分が無い。よって、本変形例の乾燥機1を壁面の近くに設置した場合でも、ドア12が壁面に衝突して壁面が損傷するのを防止することができる。なお、ドア12の最大開度θ(α5)は、110度以下であり、筐体2を正面から見たときに、最大開度θ(α5)まで開かれたドア12が筐体2の範囲内に配置されるのであれば、任意に変更できる。
【0080】
また、本変形例では、開度規制部材253が筐体2に設けられるが、第2実施形態の乾燥機101において、開閉扉に設けられる開度規制部材153の取付部153aに対する折り曲げ部153cの向き、配置を変えることにより、最大開度まで開かれたドア12全体が、筐体2の右側面よりも内側に配置されるようにしてもよい。この場合も、ドア12が最大開度まで開かれた乾燥機101を正面から見た場合、最大開度θ(α3)まで開かれたドア12全体は、筐体2の範囲内に配置される。なお、ドア12の最大開度θ(α3)は、110度以下であり、筐体2を正面から見たときに、最大開度θ(α3)まで開かれたドア12が筐体2の範囲内に配置されるのであれば、任意に変更できる。
【符号の説明】
【0081】
1 乾燥機
2 筐体
11 衣類投入口
12 ドア(開閉扉)
53 開度規制部材
53Ta 第1規制面
53Tb 第2規制面
153 開度規制部材
253 開度規制部材
A 回転軸
図1
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